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au版ニッカン★バトル

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原功「BOX!」

この秋、ミドル級とヘビー級でスーパーファイト実現


 この秋、ミドル級とヘビー級でスーパーファイトが実現することになった。ミドル級はWBAスーパー王座とWBC王座を持つゲンナディ・ゴロフキン(36=カザフスタン/米)対元2階級制覇王者、サウル・カネロ・アルバレス(27=メキシコ)の再戦で、試合は9月15日、米国内で行われる。ヘビー級はWBAスーパー、IBF、WBOの3団体王者、アンソニー・ジョシュア(28=英)対WBC王者、デオンタイ・ワイルダー(32=米)の4団体統一戦。こちらは10月か11月、英国開催で両陣営が合意している。4選手とも4000万ドル(約44億円)以上の報酬が見込まれている。

 昨年9月の初対戦では12回引き分けに終わったゴロフキン対アルバレスの再戦は、当初5月5日に行われる予定だった。しかし、アルバレスのドーピング違反が発覚したことで一時は空中分解した。その後も両陣営は辛抱強く交渉を続け、やっと条件合意に達したという。もめていた報酬の分配については21度目の防衛を目指すゴロフキンが42・5%なのに対し、集客能力と人気で上回るアルバレスが57・5%という比率に落ち着いた。それでもゴロフキンは4000万ドルを手にするとみられている。アルバレスの代役を相手に2回KO勝ちを収めた5月のV20戦の保証報酬が100万ドル(約1億1000万円)だったことを考えると、文字通り桁違いの金額ということになる。アルバレスの方は約60億円の報酬になる見込みだ。

 開催地は確定していないが、米国ネバダ州アスレチック・コミッションによるアルバレスの資格停止が8月に解除になることから、初戦と同じ同州ラスベガスのT-モバイル・アリーナが最有力視されている。戦績はゴロフキンが39戦38勝(34KO)1分、アルバレスが52戦49勝(34KO)1敗2分。現時点でのオッズは7対4でゴロフキン有利と出ている。

 21戦全勝(20KO)のジョシュアと、40戦全勝(39KO)のワイルダーのヘビー級4団体王座統一戦は、最重量級の英米対決という付加価値もあり、ゴロフキン対アルバレスの再戦を上回る規模になりそうだ。両陣営は開催地を含めて今春から本格的な交渉を続けてきたが、やはり一時は先送りになる可能性もあった。しかし、ワイルダーに5000万ドル(約55億円)の報酬が約束され、さらに初戦は英国、再戦を行う場合は米国開催という付帯条件がついたことで実現することになった。当初は9月開催を予定していたが、先にゴロフキン対アルバレスが決定したため「10月か11月を考えている」(ジョシュア側のプロモーター、エディ・ハーン氏)という。

 驚異的なKO率(ジョシュア=95%、ワイルダー=97・5%)を誇る全勝のハードパンチャー対決だけにジャッジ不要の試合になることは確実といえる。こちらもオッズは7対4でジョシュア有利という数字が出ている。

 この秋、ボクシング界は大きな盛り上がりをみせそうだ。

大相撲裏話

休場中も稽古場「ずっと努力」親方認める白鵬の強さ

白鵬


 3月。春場所真っただ中のエディオンアリーナ大阪1階。観客に混じって会場内に設置してあるテレビで、十両の取組を何げなく立ち見していた。会場隣のコンビニで買ったおにぎりを手にしながらだが、決してサボっていたわけではない。

 「今のいい相撲だったね」

 背後から男性の声が聞こえた。声の主は、木戸(正面入り口でチケットのもぎりを行う仕事)前の宮城野親方(元前頭竹葉山)だった。その後も数番、一緒に取組を見ながら、今のはああでもないこうでもないと話した。その話の流れの中で、弟子の横綱白鵬の体調を伺った。場所前に両足親指の負傷により休場を余儀なくされていたからだ。

 「今日も昼すぎに稽古場来てたよ」

 休場中なのに稽古場? と疑問に思ったが、聞けばリハビリや負傷した箇所に負荷がかからないトレーニングで汗を流していたという。ただ親方にとっては、珍しい光景ではなくいつものことだという。「あんなに努力している力士は他にいない。横綱になってもずっと努力しているし、今もいろいろ悩みながらやっている。だから強いんだよね」。それだけ言って、木戸の仕事へと向かって行った。

 5月。初場所、春場所と2場所連続休場明けから、夏場所出場に踏み切った白鵬。2場所連続休場は自身初。横綱とは言え、土俵勘に不安がないとは言い切れないはず。ただ「現役力士で1番稽古しているのは自分だと思っている」という自負が、白鵬の背中を押した。自他共に認める努力家。しかし復活優勝は逃し、千秋楽で「2場所(連続休場)というのがね。いい勉強になりました」と振り返った。まだまだ進化は止まらない。【佐々木隆史】

原功「BOX!」

ゴロフキンvs村田も?注目のミドル級トップ戦線


 主要4団体すべての王座収集を目指していたWBAスーパー、WBC、IBF世界ミドル級王者、ゲンナディ・ゴロフキン(36=カザフスタン/米 39戦38勝34KO1分)が6日、指名防衛戦の意思がないとみなされIBF王座を剥奪された。一方で9月に計画していたサウル・カネロ・アルバレス(27=メキシコ 52戦49勝34KO1敗2分)との再戦も交渉が決裂しており、ゴロフキンは目標と軌道の修正を迫られる状況になった。

 もともとゴロフキンは5月5日、昨年9月のV19戦で引き分けたアルバレスとの再戦に臨むはずだった。しかし、ドーピング違反が発覚したアルバレスが対戦を辞退したためゴロフキンは代役と拳を交えることになり、自慢の強打で2回KO勝ちを収めた。

 それから1カ月。IBFは王者が次戦で1位のセルゲイ・デレビャンチェンコ(32=露/ウクライナ 12戦全勝10KO)の挑戦を受けることを条件に王座保持を認めたものの、その後もゴロフキンが対戦の意思を示さないため王座を剥奪した。空位になったIBFの王座決定戦にデレビャンチェンコが出場することは決まっているが、相手は未定だ。

 こうしたなかゴロフキンはアルバレスと9月15日に対戦する交渉を続けてきたが、報酬の配分を巡って妥協点を見つけられなかった。50-50の比率で分配を要求したゴロフキン陣営に対しアルバレス側が首を縦に振らなかったためだ。王者側はゴロフキン45-アルバレス55まで譲歩したが、それでも快い返事はなかったという。王座を持っているのはゴロフキンだが、メキシコを中心に人気と知名度、商品価値で上回るアルバレスを軸にビジネスが展開していることが分かる。このねじれ減少がスーパーファイトの大きな壁になっているといえる。

 自分を中心にビジネス展開できるアルバレスはゴロフキンを振り、9月に元WBA王者のダニエル・ジェイコブス(31=米 36戦34勝29KO2敗)と対戦する方向で詰めに入っている模様だ。ゴロフキンと分の悪い引き分けに終わっているアルバレスと、ゴロフキンに善戦したものの僅少差の判定負けを喫しているジェイコブス。敗者復活戦の印象がないわけではないが、興味深いカードには違いない。

 次戦が宙に浮いたかたちのゴロフキンだが、WBCから暫定王者のジャモール・チャーロ(28=アメリカ 27戦全勝21KO)と対戦するよう指令を受けている。スピードと強打に定評のあるチャーロは以前からゴロフキンやアルバレスとの対戦を望んでおり、条件さえ合えばすんなりと団体内の統一戦が実現するかもしれない。しかし、一部で「隠れたミドル級最強」ともいわれるチャーロはゴロフキンやアルバレスにとって極めて危険度の高い相手だが、それはチャーロにとっても同じこと。したがってIBFで4位にランクされるチャーロがリスクを回避し、デレビャンチェンコとの王座決定戦に鞍替えする可能性もある。リング外の動向(交渉)が気になるところだ。

 サウスポーのWBO王者、ビリー・ジョー・サンダース(28=英 28戦全勝12KO)はこれまで門外漢の印象が強かったが、今月23日に予定されていたV4戦をキャンセルしたことで思わぬ注目を集めることになった。大腿部を痛めたことが理由とされているが、「ゴロフキン戦を前提にしたキャンセルでは?」と深読みする関係者もいるのだ。サンダースは昨年初夏にカザフスタンでゴロフキンと対戦する計画があっただけに、両陣営間が水面下で動いたとしても驚くことではない。またゴロフキンにとってWBO王座は以前から手に入れたいものでもあった。ゴロフキン対サンダースも実現の可能性があるカードとして挙げておく必要がありそうだ。

 現状ではミドル級の主役は持ち味の異なるゴロフキンとアルバレスのふたりで、ジェイコブス、チャーロ、デレビャンチェンコ、サンダース、さらに元世界スーパーウエルター級王者のデメトリアス・アンドレイド(30=米 25戦全勝16KO)といった力のある個性派が脇を固める構図となっている。そして、忘れてはならないのがWBA王者の村田諒太(32=帝拳 15戦14勝11KO1敗)だ。現時点では村田も脇を固める立場に甘んじているが、9月か10月に米国で予定される次戦で存在感を示せば、本人の希望するゴロフキン戦が現実的なものになってくるはずだ。

 今後は村田を含むトップ8選手のサバイバル戦に突入するミドル級トップ戦線。しばらく目が離せない状況が続きそうだ。

リングにかける男たち

WWEで夢をつかめ!世界中からスター候補を募集


 WWEの「虎の穴」に門戸開放の動きがあった。

 今夏に5周年を迎えるプロレスラー育成施設WWEパフォーマンスセンターがトライアウト参加用の専用サイトをこのほど開設。世界から希望者を募る新たな試みをスタートさせた。

 WWEのリクルート用ウェブサイトURL=https://www.wweperformancecenter.com/#!/

WWEパフォーマンスセンターには計7つのリングが設置されている(C)2018 WWE, Inc. All Rights Reserved.

 同パフォーマンスセンターは東京ドーム面積の半個分近くとなる2万6000平方メートルもの大きさで、7個のリングが設置されている大型施設だ。5年前の開設以来、WWE傘下となるNXTのウィリアム・リーガルGMのもと、元新日本プロレスで活躍したマット・ブルーム(ジャイアント・バーナード)がヘッドコーチを務めている。リーガルGMは現在、全日本プロレスを中心に活躍する元WWEのTAJIRIとの関係が深い。また中邑真輔やアスカ(華名)がWWE入団時にはトレーニングを積みながらNXTに参加。現在でもカイリ・セイン(宝城カイリ)ら70選手以上がトレーニングするなど、日本と縁がある施設とも言えるだろう。

中邑真輔もWWE加入初期はパフォーマンスセンターでトレーニングを積んだ(C)2018 WWE, Inc. All Rights Reserved.

 この5年間で、ロウで活躍する巨獣ブラウン・ストローマンをはじめ、前ロウ女子王者アレクサ・ブリス、前スマックダウン女子王者シャーロット・フレアーらがトップレスラーが育ってきた。公式サイトには「スーパースターの旅はここから始まる。WWEスーパースターになる夢がある」とつづられている。WWEレスラーになることはプロとしての知名度や人気だけでなく、高額な収入も得られる。

 このほど米経済誌フォーブスが17年度の長者番付が発表した。WWE所属選手の年収ランキングでは、過去16度の王座戴冠を誇るジョン・シナが1位。年収は1000万ドル(約11億円)だった。2位には現ユニバーサル王者ブロック・レスナーで650万ドル(約7億1500万円)、3位はローマン・レインズで430万ドル(約4億7300万円)と続いた。中邑との抗争が続くWWEヘビー級王者AJスタイルズは350万ドル(約3億8500万円)で4位にランクイン。10位のケビン・オーエンズであっても、200万ドル(約2億2000万円)を稼いでいる。フォーブスによるとWWE所属選手の平均年収は50万ドル(約5500万円)。来年あたりは中邑も10位以内にランキングされるかもしれない。

フォーブス発表の18年WWE収入ランキング1位のジョン・シナ(C)2018 WWE, Inc. All Rights Reserved.

 今回のWWEパフォーマンスセンターのトライアウトにはプロレス経験者だけでなく、他競技のアスリートの参加も広く募っている。世界から集結している強者との競争は決して簡単ではないだろうが、WWE版「虎の穴」にはアメリカンドリームが詰まっていることは間違いない。日本人アスリートたちがWWEパフォーマンスセンターから夢をつかむ。そんなビッグなストーリーを実現する日本人プロレスラーが今後登場することを、取材する記者の1人として楽しみにしている。【藤中栄二】

原功「BOX!」

“ハンター”クロフォード“スズメバチ”下し3階級制覇なるか


 全階級を通じたボクサーの強さ指数ともいえる「パウンド・フォー・パウンド」ランキング上位常連のテレンス・クロフォード(30=米)が9日(日本時間10日)、米国ネバダ州ラスベガスでジェフ・ホーン(30=豪)の持つWBO世界ウェルター級王座に挑む。これまでライト級とスーパーライト級で世界王座を獲得したクロフォードにとっては3階級制覇のかかった重要な試合になる。昨夏、マニー・パッキャオ(39=比)に競り勝って戴冠を果たしたホーンを攻略することができるのか。

 世界王座を持っているのはホーンだが、今回の試合の主役がクロフォードであることは誰もが認めるところであろう。クロフォードは14年にWBO世界ライト級王座を獲得すると、2度防衛後に返上してスーパーライト級に転向。その初戦でWBO王座についた。2年前にWBC王者に勝って2団体統一を果たし、昨年8月には同じく2団体王者だったジュリアス・インドンゴ(35=ナミビア)に3回KO勝ちを収めて主要4団体すべての王座を手に入れた。10度の世界戦(全勝7KO)を含む戦績は32戦全勝(23KO)と完璧だ。

 5月27日付の米国「リング・マガジン」電子版で、クロフォードは「パウンド・フォー・パウンド」の3位という高い評価を受けている。ちなみに1位はミドル級3団体王者のゲンナディ・ゴロフキン(36=カザフスタン/米)で、2位がWBA世界ライト級王者のワシル・ロマチェンコ(30=ウクライナ/米)、4位にミドル級のサウル・カネロ・アルバレス(27=メキシコ)、5位がWBC世界ライト級王者のマイキー・ガルシア(30=米)、そして6位にはWBA世界バンタム級王者の井上尚弥(25=大橋)がランクされている。

 「ハンター」というニックネームを持つクロフォードは左右どちらの構えでも戦えるスイッチヒッターで、スピードとテクニックが最大の持ち味といえる。強打者というイメージは薄いが、世界戦10試合で計14度のダウンを奪っており、攻防とも高い次元の選手といえる。

 そんな実力者の挑戦を受けるホーンは12年ロンドン五輪に出場後、プロ転向した。数々の地域王座を獲得したあと昨年7月、パッキャオを破って戴冠を果たした。名前の韻を踏んだ「HORNET(スズメバチ)」というニックネームを持つが、パンチの鋭さや破壊力よりも馬力、体力を持ち味としている。パッキャオ戦でも分厚く頑丈な体で粘り強く戦って接戦をものにしている。こちらも19戦18勝(12KO)1分と無敗だが、対戦相手の質という点ではクロフォードに劣る。ホーンは今回の試合に向け、アマチュア時代にクロフォードに勝ったことがある元世界ランカーのレイ・ロビンソン(32=米)をスパーリング・パートナーに迎えるなどして対策を講じてきた。その成果が出るかどうか。

 6対1というオッズが出ているように、「ハンター」が「スズメバチ」を退治するという見方が大勢を占めている。挑戦者がスピードとテクニックを生かして戦い、前半からポイントを重ねる展開が予想される。クロフォードに不確定な要素があるとすれば、4月に予定された試合を拳の負傷で2カ月延期したことぐらいだろう。10カ月ぶりの試合となるため実戦の勘という点で若干の不安は残る。それに乗じてホーンが序盤から攻勢をかけて体力勝負の乱戦に持ち込めば番狂わせの可能性も出てくる。

リングにかける男たち

ジュニア最強の高橋ヒロム、予知できない言動が魅力


 「ヒロムワールド」が面白い。4日の新日本プロレス、ジュニアヘビー級の最強決定戦「ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア」優勝決定戦を制した高橋ヒロム(28)の予知できない言動が加速し、そして魅力的に映る。

ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア優勝決定戦で石森(左)に勢いを付けてからドロップキックを浴びせる髙橋(撮影・小沢裕)

 突然の話題転換、突拍子もない言動はお手の物なのだが、石森太二との死闘を制した初優勝直後のバックステージでも全くいつもの高橋だった。

 「おーい! 聞こえるか! 2019年の高橋ヒロム。お前も知っていると思うけど、2018年のスーパージュニアはめちゃくちゃ、史上最高に盛り上がったぞ。なあ、2019年の高橋ヒロム! 必ず、越えてみろ!」

 まずは未来の自分へ語りかけてみた。

 「後楽園ホールさん、いつも、いつも、ありがとうね。いつもありがとうね~。分かってる、分かってるよ、ありがとうね」

 次はいきなり会場の柱を触って語りかけた。ベルトにも語りかけるレスラーなので、なにやら生物外の声も聞こえるらしい。

 「最後に1つだけ。知ってるぞ。この会場で、あなたが、あなたが見ていたこと、知っているぞ、イニシャル“K”」

 そして、去り際に残していったのは謎かけ。K…。報道陣はどこかあっけにとられたまま、これが高橋ヒロムだよなとうなずくように見送っていた。

ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア優勝決定戦を制しトロフィーを手に笑顔を見せる髙橋(撮影・小沢裕)

 いままでもそうだった。その予想不可能さにはまる人が続出していると感じる。試合では舌を出し、不気味に笑い、緩慢なようで、時に怒り前面のフルファイト。マイクでも同じ単語の永遠の連呼など異彩を放つが、それは試合外でも同じ。

 今大会の開幕前日の会見では出場16人がそろった都内の明治記念館で、突然「おい! がんばれヒロム!」と叫び始め、必殺技D(変形三角絞め)が開発したいきさつを一人芝居で、脈絡なく説明して他選手とは異なる空気感を発揮。3月のIWGPタッグ王者調印式では自作ポエムを書いたノートを読み上げ、ヒロム色を全開にさせた。今大会も昨年に続き自作の「攻略本」を試合ごとに持参。スケッチブックに手書きの似顔絵や文字は、誰にもまねできない技以外の武器だった。「ジュニアが最高」と公言するが、独自のパフォーマンスは、その愛するジュニア戦線への注目度を集める一助となっている。

 そんな変幻自在の自己プロデュース能力の高さは、予想外の出来事も呼び込むらしい。スーパージュニアを制したリングには「ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン」のメンバーが参集したが、内藤が優勝トロフィーを壊してしまう事態が発生。羽の部分が折れていることに気付いた高橋はがくぜんとして、トロフィーに土下座することになった。「内藤、帰ったのか、あの野郎! 聞いてよ、あの内藤哲也という男は、俺のトロフィーを奪い、そして壊れたことに気付き、俺の耳元で『ごめん、ちょっと壊れた』と俺に渡した。俺はパニックになった。どしたらいいんだと。だったらちょっと笑いに走るしかねえだろ」とバックステージの第一声では猛クレームした。

ベスト・オブ・ザ・スーパージュニアを制した髙橋だったが贈呈されたばかりのトロフィーが壊れ、ぼうぜんとする(撮影・小沢裕)

 冒頭に列挙したコメントはそんな不運に見舞われた後に発した言葉になる。しっかりとアクシデントに言及しながら、自身の世界観はしっかりと表現する。そんな動じない精神性も感じられた出来事だった。

 次は6月9日、大阪大会でIWGPジュニアヘビー級王者ウィル・オスプレイに挑戦表明した。ジュニアを誰よりも愛すると公言する男が、どんな言動をみせてくれるのか注目だ。【阿部健吾】

大相撲裏話

栃ノ心を採寸 右太もも91cm、尻回りにビビった

栃ノ心(左)との一番で待ったを掛ける白鵬(2018年5月24日撮影)


 20年以上前のことだが、師と仰ぐ先輩に言われたことがある。

 「ええか、記事で大事なんは事実の積み重ねや。下手な形容詞、副詞を極力使うな。オマエがいくら『すごい、すごい』って書いても、読者には何も伝わらん。そんなもん使う前に、数字とか具体的なもんを取材して書け」。そういうもんか、と思って、教えを守ってきたつもりです。

 慣れてくれると、気になることが増える。ゴルフ担当やった時、とても気になったんは、女子プロのスカートの丈。まあ男ですし、弊紙読者も男性が多いし、みんな知りたいところでしょう。例えば、イ・ボミちゃんや、キム・ハヌルちゃん。「膝上何センチやろ?」。知りたい。しかし、よう聞かん。測りたい。けど、もちろん無理。泣く泣く「推定膝上10センチ」とかでごまかしたもんです。

 さてここから、相撲の話。実は初場所から猛烈に気になることがありました。

 栃ノ心の太もも。

 何じゃ、あの太さ。よくたくましい太ももを「女性のウエスト並」てな言葉で表現しますけど、そんな生やさしいもんやないことは、一目瞭然。これはもう実際に測るしかない。女子プロゴルファーの膝上はあかんけど、そこは男同士。夏場所中、ドン・キホーテでメジャーを400円で買って、朝稽古の後にお願いした。

 関取、太もも測ってええですか?

 「いいよ」

 では、まず右。メジャーをくるりと回すと…91センチ! 女性のウエストどころか、バスト、それも巨乳並やないか。

 「あれ? 前測った時、85センチだったけどな。太くなったかな?」

 左…87センチ!

 (ちなみに身長168センチ、小太り、53歳の私は左右とも55センチでした)

 ものは次いで、首回り、上腕回りといろいろ測らせてもらいました。もう1つ驚いたというか、ちょっと焦ったのは尻回りを測った時のこと。144センチもあって、その時初めて、買ったメジャーの長さが150センチと自覚した。残り6センチ。あわや計測不能になるとこでした。

 「これだけ測ったんだから、服作ってくれるんでしょ?」

 無理です。私、テーラーやないし、メジャーで人の体測ったのは初めて、きっとそんな正確やないんで。何より、こんなでかいサイズの服をオーダーメードで作ったら、ナンボするか…。それはタニマチさんにお願いしてください。

 うっとうしいお願いを聞いてくださった栃ノ心関、ありがとうございました。これでアナタの原稿を書く時、もうちょっとマシなもんを書けると思います…多分。【加藤裕一】

原功「BOX!」

山中倒すも体重超過で無期限出場停止のネリ、復帰戦の行方は…


 昨年8月と今年3月、WBC世界バンタム級王座をめぐり山中慎介(帝拳)と2度対戦し、連勝しながらドーピング違反、体重オーバーという失態を犯したルイス・ネリ(23=メキシコ)が6月9日(日本時間10日)、出身地でもあるメキシコのティファナで“復帰戦”を行う予定だったが、試合の12日前になって中止が決定した。ネリは世界挑戦の経験を持つジェトロ・パブスタン(28=比)とバンタム級10回戦を行うことになっていたが、WBCから警告があったため出場を見送ることになったという。ネリは山中との再戦を前に大幅な体重超過のため失格、日本ボクシングコミッション(JBC)から永久追放されたうえWBCからも無期限の出場資格停止を言い渡されている。

 ネリは4回TKO勝ちを収めて戴冠を果たした山中との初戦(京都)後、ドーピング違反が発覚したが、「汚染された肉を食べたのが原因だと思う」と言い訳。WBCが調査に乗り出したが、確かな証拠がつかめず「意図的に(禁止物質を)摂取したとは断定できない」という灰色判定を下し、王座の保持を認めたうえで山中との再戦を命じた。

 ダイレクト・リマッチは今年3月1日にセットされた(東京)が、ネリは試合前日の計量で大幅な体重超過を犯して失格、その時点で王座を剥奪された。しかし、試合では山中から合計4度のダウンを奪って2回TKO勝ちを収めた。

 こうしたなかJBCは、ネリの計量失敗が極めて悪質なものとして無期限の出場停止処分を科し、日本のリングから締め出した。ただし、これは日本での試合出場が不可能というだけで、ほかの地域でネリがリングに上がることを規制する効力はない。WBCも同様の罰を科しているが、これも同団体の認可試合への出場を制限するものでしかない。

 当初、ネリは6月9日に米国カリフォルニア州サンディエゴ近郊アルパインで試合を行う計画だった。しかし、ニューヨーク州やネバダ州などとともに選手の健康管理や出場資格に厳しいことで知られるカリフォルニア州もネリに無期限のサスペンドを科しており、この地での試合を断念。そこで出身地でもあるメキシコのティファナに会場を移した経緯があった。ネリは「多くの批判を受けたが、自分がバンタム級最強であることは証明済みだし、いまでも世界王者だと思っている。俺はナチュラルなバンタム級なので、早くベルトを取り戻したい」と話していた。

 今回、自らそのティファナでの試合出場を断念したのは、WBCの警告に従う選択をしたからだ。ネリは山中戦後のWBCの聴聞の際、起こした問題に向き合い行動を正していくことを誓っており、もう少しで約束を反故にするところだった。ギリギリのところで踏みとどまったわけだ。

 バンタム級では、世界のトップ選手8人が高額賞金を狙ってトーナメント戦を行う「ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)」が9月から開催されることになっている。すでにWBA新王者になった井上尚弥(25=大橋)をはじめWBAスーパー王者のライアン・バーネット(26=英国)、IBF王者のエマヌエル・ロドリゲス(25=プエルトリコ)、WBO王者のゾラニ・テテ(30=南ア)らが参戦を表明している。ネリも参加の意思があると伝えられるが、日本やカリフォルニア州、さらにWBC管理下で試合ができない状況とあって、仮に挙手しても受け入れられるかどうか微妙なところといえる。

リングにかける男たち

知名度アップへ「拳四朗&会長」セット売りいかが?


 気がつけば、安定王者である。WBC世界ライトフライ級王者拳四朗(26=BMB)。25日、東京・大田区総合体育館で3度目の防衛戦を行い、昨年5月にベルトを奪った前王者ガニガン・ロペスに2回1分58秒、KO勝ち。右ボディーストレートでもん絶させた。

WBC世界ライトフライ級タイトルマッチ 2回、ボディでダウンを奪う拳四朗(右)(2018年5月25日撮影)

 お見事。圧巻。瞬殺。拳四朗と、父の寺地永会長(54)が「想定外!」と口をそろえる鮮やかさ。当然2人とも「今度は目立ったやろ」と思ったはずが、メインで“モンスター”井上尚弥がバンタム転向初戦にして、さらに早い1回1分52秒KO勝ちで3階級制覇を達成…。井上の勝利はもちろん喜ばしいけど、また目立ち損ねてしまったと言えなくもない。

 拳四朗は昨年5月から計4度、世界戦を行ったものの、1度も自分だけの“シングル世界戦”がない。最初の2試合はWBA世界ミドル級王者村田諒太、最近2試合は井上と同日、同会場で行った。帝拳ジムがプロモーションする興行に“入れてもらって”のダブル、トリプル世界戦。つまり、村田、井上のスケジュールに合わせて、試合が決まる立場にいる。

左からWBC世界ライトフライ級王者拳四朗、井上尚弥、WBA世界バンタム級王者ジェイミー・マクドネル、ガニガン・ロペス(2018年5月23日撮影)

 寺地会長は「ウチは帝拳さんにお世話になってますから。それで全然問題ないし、ええと思ってますよ」という。拳四朗は拳四朗で、誰とやりたいとか、最強を目指したいとか、プロボクサーが持っていて当然の“ギラギラ感”が皆無のタイプで「う~ん、相手は誰でもいいですからね。僕は決まった相手に勝つだけと思ってます」という。

 しかし、計4度の世界戦を取材したこちらにすれば、もうちょいグイグイいってもええんちゃうの、と思う。今回の防衛戦でロペス陣営が持っていたオプション(対戦相手等を選ぶ権利)は消化され、指名試合(WBC同級1位選手の挑戦を、1年以内に受ける義務試合)を除けば、次戦から相手を好きに選べる立場になった。さらに、村田、井上の両王者が次戦は米国で行う予定。いろんな意味で“縛り”はない。じゃあ、次は初の地元関西での防衛戦開催チャンスでは…と思ったりしたのだが…。「いや~、まだ無理でしょ。関西で、1人で世界戦やっても、お客さんは集められませんよ」と寺地会長に、あっさり可能性を否定されてしまった。

 ダブル、トリプル世界戦が別に悪いと思いません。ただ、そればっかりやなくて、もうちょい有名に、ビッグになってほしいだけな訳です。

 「有名になりたい」が口癖の拳四朗はバラエティー番組からオファーが来たら、喜んで出演してるし、寺地会長も「ぜひぜひ」と後押ししてる。防衛を重ねることで、自然と知名度、存在感は高まってくるものですが、それだけではつまらんし、時間もかかる。そこで、考えた。「拳四朗&会長のパック売り」はどうでしょう?

WBC世界ライトフライ級タイトルマッチで防衛に成功した拳四朗(右から2人目)と父の寺地永会長(左から2人目)(2018年5月25日撮影)

 親子そろって天然キャラで、人に好かれることはあっても、嫌われることはまずないタイプ。父は元日本ミドル級&東洋太平洋ライトヘビー級王者で、身長189センチ。対して拳四朗は164センチ。その差25センチのデコボコ具合には、漫才コンビ「オール阪神・巨人」を思わせる、見た目のおもしろさがある。いらうのが上手なMCの番組なら、人気出ると思うんですけど。拳四朗の世界戦がメインになる日が来るために。テレビ局のみなさん、どないですか?【加藤裕一】

大相撲裏話

結び5番前に「菊川茶」懸賞旗


 相撲人気に比例して懸賞の本数が増加している。永谷園などのおなじみがあれば、その場所ごとに新規で出す企業もある。今場所、新規で懸賞を出した企業は7社。静岡・菊川市役所と菊川市茶業協会は合同で、初めて出した。

 緑色ベースの旗に白文字で「深蒸し 菊川茶」と書かれた懸賞旗が、結びから数えて5番前の取組に毎日1本懸かっている。指定力士に懸けたり、結びの一番に懸ける企業がほとんどの中、なぜなのか。同市役所の担当者は「その時が一番視聴率もいいと思うし、結びとかだと懸賞が多くて埋もれてしまうので。売り上げはまだこれからだけど、問い合わせは相当増えました。狙い通りです」と、PR効果は抜群だった。

 新茶の季節であり、懸賞を出すのは夏場所だけ。来年も予定している。「本当は静岡出身の力士に懸けたいんですけどね」と本音もポツリ。13年春場所の磋牙司(現幕下)を最後に、同県出身の幕内力士はいない。「来年はそれも楽しみです」と声を弾ませた。【佐々木隆史】

大相撲裏話

「捨てたもんじゃない」現場の熱伝える手作り懸賞

感謝状を手に記念撮影に臨む森永製菓株式会社の森永剛太代表取締役会長(左)と八角理事長


 日本相撲協会が24日、「森永賞」を続ける森永製菓に感謝状を授与した。森永賞は初、夏、秋の東京場所限定の“ファン投票懸賞”で、その日1番の好取組に選ばれたものに懸けられる。1951年(昭26)初場所で始まり、67年にも及ぶ最古の懸賞でもある。

 投票方法は気持ちいいほどアナログだ。投票用紙がない。チョコ、キャラメルなどの森永製品の空箱に「今日1番」と思う取組と住所、氏名を書いて、午後3時半までに国技館内の投票箱へ。普段は100~200票、多くて約500票を担当者が紙袋で2、3度に分けて回収、記者クラブ内のテーブルで集計を行う。

 用紙のバラバラさが、また手作り感を醸す。ふぞろいな“ファンの声”を、この道12年の男性担当者は「私が言うのも何ですが、捨てたもんじゃないと思いますよ」という。人気力士の取組が多いかと思えば、そうでもない。遠藤絡みの取組は新三役の今場所こそ5度あるが、今まではほぼ圏外だった。場所の行方を左右する一番に票が集まる。白鵬全盛時は白鵬絡みの取組ばかりでマンネリともいえたが、それこそが“清き1票”だ。この日の森永賞は文句なしで「白鵬-栃ノ心」。SNS全盛の時代に、現場の熱を伝える懸賞が輝いている。【加藤裕一】

大相撲裏話

白鵬の強さは外国人も感じ取れる

アンケートで白鵬を選んだノルウェー人のマーレンさん(右)と遠藤を選んだスイス人のデリアさん


 連日、満員御礼の両国国技館には、多くの外国人観光客が訪れている。欧米やアジアなど、さまざまな地域から、大相撲に詳しい人も、そうでない人も観戦。そこで日刊スポーツでは、初日から休場した横綱稀勢の里、大関高安を除く三役以上の7人(鶴竜、白鵬、豪栄道、栃ノ心、逸ノ城、御嶽海、遠藤)を対象に、夏場所を観戦した外国人女性50人にアンケート。顔が分かる写真を見て、好みの力士を回答してもらった。

 1位は18票を獲得した白鵬だった。ノルウェー人のマーレンさんは「チャンピオンっぽくてカッコイイ」と、見た目だけでなく実績を加味して選んだ。他に白鵬を選んだ理由は「真剣な目つきがいい」(オーストラリア人のエミリーさん)や「初めての日本で全然分からないけど、ディス イズ スモーって感じ」(ブラジル人のキャロラインさん)などと、いずれも直感的に強さを感じていた。

 これには白鵬も「海外の人は分かってるね。NHKは海外でも放送しているからかな」と、うれしそうに話した。白鵬に続くのが遠藤(11票)御嶽海(7票)鶴竜&栃ノ心(ともに5票)豪栄道(3票)逸ノ城(1票)。「かわいい」という意見が多かった。女性ファンの増加は、国内だけではなく外国人も同じだったと判明した。【高田文太】

原功「BOX!」

93年ぶりにフィリピン選手同士の世界戦が実現


 IBF世界スーパーフライ級王者のジェルウィン・アンカハス(26=比)は26日(日本時間27日)、米国カリフォルニア州フレズノで同級1位の指名挑戦者、ジョナス・スルタン(26=比)を相手に5度目の防衛戦に臨む。フィリピンの選手同士が世界戦で拳を交えるのは93年ぶり2度目のことになる。

 日本では白井義男氏が1952年に初めて世界王者になったが、フィリピンはそれよりも29年早い1923年にパンチョ・ビラが米国で世界王座を獲得している。そういった面でもビラはマニー・パッキャオらの大先輩といえる。ちなみに世界王者の輩出数では日本が追い抜き、現在は89人(日本ボクシングコミッション認定下)を数える。対してフィリピンは39人となっている。興味深いのはフィリピンの歴代世界王者のうち半数近くがサウスポーであるという点だ。日本は約25パーセント、メキシコは15パーセント前後だから、いかにフィリピンのサウスポー比率が高いかが分かるだろう。

 さて、フィリピンの初代世界王者となったビラは1925年5月2日、フィリピンのマニラで4度目の防衛戦に臨んだが、そのときの相手が同国人のクレバー・センシオだった。試合では23歳のビラが20歳のセンシオに15回判定勝ちを収めている(当時の世界戦は15回戦制)。これも余談になるが、ビラは2カ月後のV5戦で敗れて王座を失い、その10日後に化膿した歯の毒が原因で亡くなった。センシオも11カ月後、10回判定負けを喫した試合の翌朝に脳出血で死亡している。

 これで同胞対決が忌み嫌われたわけではないのだろうが、以後93年間もフィリピン人同士の世界戦が組まれることはなかった。6階級制覇のパッキャオ、5階級制覇のノニト・ドネア、60年代に活躍したフラッシュ・エロルデなど知名度も実力もある選手たちも世界戦で同胞と戦うことはなかった。

 こうしたなか今回のアンカハス対スルタンはIBFの指名試合として行われる。イベントの宣伝デザインには、両選手の写真とともにモノクロのビラのポーズ写真も配されている。イベントのコピーは「Meet & Greet」。邂逅と歓迎とでも訳せばいいのだろうか。

 サウスポーのアンカハスは31戦29勝(20KO)1敗1分の戦績を誇る強打者で、最近の6年間は16戦全勝(15KO)という手のつけられない強さを発揮している。目下4連続KO防衛中だ。挑戦者のスルタンは15年11月の初来日試合で10回判定負けを喫しているが、以後は5連勝(4KO)と勢いを取り戻している。通算戦績は17戦14勝(9KO)3敗。

 下馬評では、パッキャオのMPプロモーションズ、そのパッキャオや村田諒太(帝拳)が契約を交わしている米国のトップランク社と提携しているアンカハスが圧倒的有利とみられている。しかし、戦闘スタイルや感情面など同国人対決は意外に戦いにくい一面もあるだけに、内容と結果が気になるところだ。

 なお、8月18日にはフィリピン人同士の3度目の世界戦となるドニー・ニエテス(36)対アストン・パリクテ(27)のWBOスーパーフライ級王座決定戦がセブ市で行われることが決まっている。

 ビジネス面の成否にもよるが、これを機に今後は軽量級を中心にフィリピン人同士の世界戦が増えそうな気配だ。

リングにかける男たち

全日四天王・川田利明、現役時に寡黙キャラ貫いた訳

丸藤とトークバトルを行った川田利明(2018年4月26日撮影)


 大相撲では、現役時代に取り組み後のインタビューでひと言もしゃべらず記者泣かせの横綱、大関がいた。

 しかし、引退すると、急に笑顔で話し掛けられ驚いたことがあった。そんな話を思い出したのは、川田利明(54)のトークショーを見たからだ。

 全日本プロレス時代は、四天王と呼ばれ、故三沢光晴さん、小橋建太氏、田上明氏とともに黄金時代を築いた伝説のレスラーだ。まだ、引退はしていないが、10年を最後にプロレスはしていない。そんな川田が、再びプロレス界に戻ってきた。自身がプロデュースする大会を4月26日に、新木場1st Ringで開催したのだ。

 もちろん、プロレスはやらなかった。その代わりに、全日本の後輩、丸藤正道(38=ノア)とリングでトークショーを行った。現役時代は常に何かに怒っているような表情で、近づきがたかった。コメントもぶっきらぼうだった。しかし、三沢さんとの激闘は、プロレス史に残る名勝負だった。リング上に登場した川田は、プロレスをやる前のように屈伸運動をした。そして「控室で30分1本勝負でしゃべるなら、試合やった方が、楽じゃない? って言われたけど、オレがイヤだと断った」と笑いを誘った。

 トークショーで川田が話したのは、しゃべらないキャラクターづくりによって、川田自身がプロレスラーとして確立されたということだった。タイガーマスク(三沢)が登場して人気を博していた時代、川田は師匠の故ジャイアント馬場さんから「タイガーマスクよりすごい技をやるな」と言われたという。「何もやらなくなったときに、自分がプロレスラーとして確立できた」と話す。しゃべらないことも、その一環だった。

 「マスコミに対して話さないのは、マスコミが川田がどう(考え、行動する)だろうと考えてくれるから」と当時のダンマリを解説した。それにしても、試合後の川田は怖かった。「近づくな」オーラを出して、記者もびびっていた。そんな川田の考えが、30分1本勝負のトークショーから伝わってきた。

 全日本時代、三沢さんの付け人だった丸藤も、川田から口を聞いてもらえない1人だった。その丸藤が、川田の得意技、ステップキックの伝承を川田にお願いした。「最近、丸藤が気を使ってオレに似たようなことやってくれるんだけど、もうちょっと勉強してからにして」。川田の顔は本当にうれしそうだった。【プロレス担当 桝田朗】

大相撲裏話

ネット情報発信量が多いから「鳴戸部屋」


 鳴戸親方(元大関琴欧洲)が新序出世披露にほくそ笑んだ。鳴戸部屋には今場所、3人の新弟子が入ったが、そのうち1人が狙い通りの入り方だったからだ。相撲未経験で角界の門をたたいた欧樹は「ネットで調べたら一番情報量が多かったから」と鳴戸部屋を選んだ理由を話した。ツイッターやユーチューブで相撲界のことを調べると、鳴戸部屋が浮上。そこから関連して部屋の公式HPにつながり、新弟子募集欄から稽古見学のメールを送ったという。すると返信メールで、1日入門体験を勧められ、そこで「これならやれる」と角界入りを決意した。

 鳴戸親方いわく、昨年4月に創設した鳴戸部屋は「地元がない」状態だという。だから「うちの部屋はこんな感じ、というのを知らせている。今はネット社会だから。そこから縁がつながればいい」ともくろむ。部屋のHPの他に、部屋のツイッターと親方の個人ブログがあり、ほぼ毎日更新されている。そのかいあってか「ネットがきっかけで入門したのは初めて」と新たな道筋をつけた。さらなる部屋の拡大に向けて、今日もネットの更新にいそしむ。【佐々木隆史】

大相撲裏話

豊響 生命の危機乗り越え関取復帰目指す

豊響


 元幕内で東幕下20枚目の豊響(33=境川)が生命の危機を乗り越え、関取復帰を目指している。現在3戦全勝と、3場所ぶり勝ち越しに王手。3勝目を挙げた5日目は「久しぶりに自分らしい相撲を取れた」と立ち合いでぶちかまし、前に出る快勝に笑顔を見せた。

 1月4日の稽古中、急に発病した。師匠の境川親方(元小結両国)は「少しのことでは痛がらないのに、うずくまって動けなくなったので、ただごとではないと思った」と、すぐに救急車を呼んだ。「心室頻拍、心房細動」いわゆる不整脈だった。1週間後に退院し、一命は取り留めたが、医師から心臓にペースメーカーを埋め込むことを勧められた。それを受け入れれば引退-。1月初場所を全休して様子を見ると快方に向かい、3月春場所はぶっつけ本番で臨んで2勝5敗。稽古再開は4月中旬だった。

 実は倒れた5日後に第1子の長男太綱(たづな)くんが誕生した。里由貴夫人が帰省中の2月上旬まで、再発を懸念して部屋で集団生活。下積み時代を思い出すと同時に「名前に『太』という字があるのにガリガリってわけにはいかない」と、愛息を不自由なく食べさせる決意が芽生えた。同じく関取復帰を目指して幕下で3連勝中の豊ノ島とは「全勝同士で対決」と約束を交わした。周囲の支えに感謝し「もう1度幕内で」と誓った。【高田文太】

大相撲裏話

角界変化…エレベーターも開放

これまで国賓級の要人のみ使用されていたエレベーターを、一般にも開放したことをPRする芝田山総合企画部長(左)


 国技館の正面入り口を入り、広いエントランスを抜けたすぐ右にエレベーターが1台設置してある。これまで一般開放はされていなかった。天覧相撲時の天皇、皇后両陛下や、過去には86年に初来日した際に本場所を観覧したチャールズ皇太子ダイアナ妃夫妻らが館内を移動する時に使われてきた。協会職員によれば「国賓級の方が使える」というエレベーターが、今場所から一般開放された。

 館内には1階と2階を結ぶ階段が数カ所あるが、エスカレーターは正面入り口から入った所に上り用と下り用が1台ずつあるだけ。そのエスカレーターの幅は大人1人分と狭く、動くスピードも速いためベビーカーを押す人や年配者などから、改善を求める声が寄せられていたという。

 そこで芝田山総合企画部長(元横綱大乃国)が「時代も変わってきた。なによりも安全性が大切」と、エレベーターの一般開放に踏み切った。ただし原則的には、ベビーカーを押す人や車いすに乗っている人など補助が必要な人に限って使用が認められる。時代の流れとともに、角界も少しずつ変化しようとしている。【佐々木隆史】

原功「BOX!」

また世界戦で計量失格 今年5人目、全て世界王者経験者


 3月と4月に日本で開催された世界戦で計量失格者が出て問題になったが、5月5日に英国で行われたIBF世界バンタム級王座決定戦でもポール・バトラー(29=英)が体重超過のため戦う前に戴冠資格を失い、試合でも大敗を喫した。これで今年に入ってから世界戦での失格者は5人となった。しかも違反者全員が世界王者経験者だ。それが事態の深刻さを物語っている。

 近年、計量における体重オーバーでの失格は、日本だけではなく世界的に憂慮すべき問題となっている。それにもかかわらず相変わらず違反者があとを絶たない。今年に入ってからだけでも下記のとおり世界戦で5件発生している。

◆1月20日@米国 IBFライト級タイトル戦で挑戦者のハビエル・フォルトゥナ(28=ドミニカ共和国)が約680グラム超過 ※12回判定負け

◆3月1日@日本 WBCバンタム級タイトル戦で王者のルイス・ネリ(23=メキシコ)が約1360グラム超過 ※2回TKO勝ち

◆3月10日@米国 WBOフェザー級タイトル戦で挑戦者のスコット・クイッグ(29=英)が約1130グラム超過 ※12回判定負け

◆4月15日@日本 WBCフライ級タイトル戦で王者の比嘉大吾(22=白井・具志堅)が約900グラム超過 ※9回TKO負け

◆5月5日@英国 IBFバンタム級王座決定戦で4位のポール・バトラー(29=英)が約1360グラム超過 ※12回判定負け

 注目すべきは、計量で失格した5人すべてが世界王者経験者であることだ。つまり初めての大舞台というわけではなく、全員がそれなりに高い経験値の持ち主なのである。フォルトゥナ、クイッグに至っては下の階級から上げてきた選手なのに規定体重をつくれなかった。さらに加えるならばフォルトゥナは世界戦で2度目、ネリも昨年3月の挑戦者決定戦に続き重要な試合で2度目の失敗だった。このふたりは悪い意味でのリピーターなのである。

 日本ボクシングコミッション(JBC)は、悪質だったネリに日本での永久的な活動停止処分を科し、比嘉にも報酬の20パーセント相当額の制裁金の支払いと無期限停止処分を言い渡したが、これらの効力は日本国内に留まる。そのためネリは6月9日に米国カリフォルニア州サンディエゴ近郊のアルパインで次戦を行う予定だと伝えられる。選手の生活権の問題もあるため難しい判断を迫られるところだが、ボクシングという体重制の格闘競技を保護するためにも違反者には地域限定ではなく世界共通の重い罰則を設ける必要があるだろう。

 いまは早急にルールが作成されることと、「6人目」が出ないことを祈るばかりだ。

大相撲裏話

貴乃花親方も振分親方も 豪華すぎる審判部

序の口、序二段の審判をする貴乃花親方(撮影・鈴木正人)

<大相撲夏場所>◇2日目◇14日◇東京・両国国技館


 今場所から阿武松審判部長(元関脇益荒雄)をはじめ、新たに8人の親方衆が審判部として、土俵下から取組に目を光らせている。年寄へと計5階級降格し、自らを「一兵卒」と呼ぶ注目の貴乃花親方(元横綱)のほか、副部長の錦戸(元関脇水戸泉)、玉ノ井(元大関栃東)、友綱(元関脇旭天鵬)の各親方といった優勝経験者、さらに二子山(元大関雅山)、西岩(元関脇若の里)、振分(元小結高見盛)という人気者の各親方が新たな顔ぶれだ。

 八角理事長(元横綱北勝海)は「審判部はもとから出島、千代大海、魁皇がいて、栃東、雅山も入った。元大関が多くて、どこの審判でも『オーッ』となる。お客さんを喜ばせることができる。そこに貴乃花がいる。今回(の人事)はだいぶ、そういうのも気を使った。充実している」とメンバー構成に自信を持つ。

 夏場所2日目の14日、最も早い午前8時半から序ノ口、序二段を土俵下で見た貴乃花親方は「新鮮ですよ。将来ある子が多くて気持ちいい」と入門当時を思い出して笑顔。代役で昨年春場所で1場所務めて以来、初の審判部配属となった振分親方は「期待に応えられるよう頑張りたい。マイクも…。苦手ですが頑張ります」とファンを意識。親方衆も歓声を意気に感じる相乗効果が生まれている。【高田文太】

リングにかける男たち

「なんか起きる」予想は当たった亀田興毅の試合

10カウントの途中でゴングを止める亀田興毅


 何かやるかもしれない。そんな思いで後楽園ホールに向かった。

 東京ドームでは安室奈美恵のコンサートがあったが、開演時間が近く人通りは少なかった。ところが後楽園ホールのあるビルにたどり着くと、5階の会場から1階入り口の外まで長蛇の列。やっぱりなんか起きるなと会場入りした。

 亀田興毅の一夜限りの現役復帰での引退試合で、亀田一家が久々表舞台に登場した。数々の騒動や物議を醸したが、一時は日本中が注目したボクサーだったのは間違いない。最近は1000人を切る興行も珍しくなく、リングサイド席は1万円以下が多い。倍の2万円だったが、1803人の観客が詰めかけた。

 客席にネット中継のひな壇が設けられた。MC陣内智則、アシスタント神田愛花、ゲストは板野友美、市原隼人、K-1の武尊ら、解説は元世界王者の竹原慎二、内山高志の両氏に、客席に浜崎あゆみ、佐々木主浩氏、御嶽海、照ノ富士ら。あのASKAもいた。亀田家の血が騒がないわけはなかった。

 ポンサクレックには8年前に判定で初黒星を喫して王座陥落し、父史郎氏が暴言などで大騒動の因縁があった。引退試合とぶち上げてしぶとく粘ったが、結局は単なるスパーリングになった。国内規定でポンサクレックのライセンスが認められず。8オンスのグローブで10回戦の希望が、10オンスでの6回戦でヘッドギアなしのスパーになり、ジャッジはいなかった。

 それでも入場ではライセンスを剥奪された史郎氏を先頭にした亀田トレインも復活させた。3兄弟にメキシコでプロデビュー勝利した妹姫月、前座でプロ初勝利のいとこ京之介も連なった。

 31歳の興毅は2年半、40歳のポンサクレックは直前にタイで突然復帰戦も実に5年ぶりリング。差は歴然でポンサクレックが不憫に思えた。亀田は2回に右ストレートでぶっ倒すと「どんなもんじゃい!」と叫んだ。

 さて、10カウントゴングの引退式となったところで事件は起きた。5つ目のゴングが鳴ると、マイクを手にして「ちょっと待った」。あのロマゴンことゴンサレスと「もう1試合やりたい」と言いだした。ゴング前に足元へマイクを置くよう促していたという。あとで「迷いに迷った」とは言ったが…。

 会場は華やかさがあったが、いつもと違う雰囲気だった。見慣れたボクシングファンより、見慣れぬ一般ファンが多かった。「現役復帰プラス1」に喜ぶ観客もいたが、何人もが「うそつき!!」と叫び、場内騒然となった。

 亀田は当初から「戦いたいボクサーが2人いる」と言い、ロマゴンがその1人とみられていた。一時期は世界最強と言われた現役バリバリのボクサーで王座奪回を狙っている。実現性は極めて低い。

 内山氏は京之介を指導した縁で駆けつけた。指導効果発揮でKO勝ちを見届けると「所用」を理由に会場を後にした。「亀田劇場」は見ていない。ボクシング関係者の姿もほとんどなく、亀田復帰への業界の見方、思いを示す。

 昨年7度目の引退をしたプロレスラー大仁田厚を思い出した。【河合香】

大相撲裏話

皆が復活願う稀勢の里の危機に慣例よりも一致団結を

横綱稀勢の里(2018年2月4日撮影)


 横綱稀勢の里(31=田子ノ浦)の夏場所休場が決まった。横綱の途中出場は考えられず、初の2場所連続全休が確実。何よりも1958年(昭33)の年6場所制以降の横綱では、貴乃花と並ぶ最長の7場所連続休場という不名誉な記録となった。休場を発表した師匠の田子ノ浦親方(元前頭隆の鶴)は「次は大事な場所になる」と、涙ながらに語った。次に出場する本場所では、少なからず進退を問う声が出てくる見通しだ。

 これ以上の休場も難しい雰囲気が漂い始めた。次の名古屋場所に照準を定めるとなると、7月8日の初日までは、すでに2カ月を切っている。夏場所後から始動したのでは、名古屋場所に向けて稽古が本格化する新番付発表まで、すでに1カ月を切った状態。夏場所休場の際の診断書には、左大胸筋痛で「約1カ月激しい運動を制限する」と記載されていた。だからといって、1カ月間何もしなければ、確実に名古屋場所も間に合わないだろう。その間、本場所の緊張感の中で、心身ともに研ぎ澄まされていくライバルとの差を縮めるには、今すぐにでも「激しい運動」こそ避けつつ、衰えた筋力の回復に努めるなど、できることから始めなければ、同じことを繰り返す。

 稀勢の里ほど大相撲ファンはもちろん、現役力士からも親方衆からも、復活を期待されている力士はいないだろう。猛稽古で知られた先代の故鳴戸親方(元横綱隆の里)に指導を受けていたころは「朝稽古」といいつつ、そのまま午後まで突入することもあった。ちゃんこ番では、麺類は麺を作るところから始まる。私生活も厳しく指導され、新聞に冗談として、ふざけているように受け取られるコメントが掲載されると、師匠の前で何時間も正座させられた。本人の口からそういうことを知らされることはなく、部屋の別の力士から聞き、申し訳ないことをしてしまったと猛省した記憶がある。中学卒業後すぐに入門し、どんなに厳しい環境でも不平不満を一切口にせず、耐えて忍んで謙虚に振る舞う。それでいて気は優しくて力持ち。そんな誰からも愛される要素を持つ稀勢の里が窮地に立たされ、力を貸したいと思っている関係者は多いはずだ。

 もはや後がなくなったのだから、慣例などにとらわれず、あらゆることを試してもいいと思う。例えば夏場所中であっても白鵬に胸を借りたり、同じ7場所連続休場の貴乃花親方に当時の心境など助言を求めたり、他競技のアスリートと合同トレーニングをしたり。稀勢の里の頼みなら、誰も迷惑がらず歓迎するだろう。それだけ努力の実績は認知されているのだから。横綱同士だから、場所中だから、一門が違うから、前例がないからと、これまでのしきたりに従えば、一歩を踏み出せない理由はいくらでもある。それでも今、何かをやり始めなければ、復活できないまま引退に追い込まれ、後悔するような気がしてならない。人一倍苦労してきただけに、そんな思いを抱えたまま現役生活を終えてほしくない。

 親方衆も、一門の枠を超えて助言してもいいと思う。もちろん、さまざまな意見は混乱を招きかねないが、横綱まで上り詰めたのだから、取捨選択しながら、自分に合うものを取り入れればいい。ただ、やみくもにこれまでと同じ稽古をするよりも、助言などによって新たな選択肢や刺激が加わるだけでも、浮上のきっかけになるかもしれない。現在の大相撲の大看板が危機に直面している今こそ、風通し良く、一致団結して手を差し伸べればいいと思う。普段は敵でも、巡業などでは一緒に過ごす時間も長く、大家族のようなところが大相撲の強み。その強みを最大限に生かすべき時が来たように思う。【高田文太】

原功「BOX!」

天才vs天才、凱歌はリナレスとロマチェンコどちらに?


 WBA世界ライト級王者、ホルヘ・リナレス(32=帝拳)の4度目の防衛戦が12日(日本時間13日)、米国ニューヨークのマジソン・スクエア・ガーデンで行われる。今回の相手は1階級下のスーパーフェザー級でWBO王座に君臨するワシル・ロマチェンコ(30=ウクライナ/米)だ。無類のスピードとテクニック、右ストレートを武器に3階級制覇を成し遂げているリナレスと、ごりんオリンピック連覇後にプロに転向して3戦目で戴冠、7戦目で2階級制覇を達成したサウスポーのロマチェンコ。天才と天才の対決はどちらに凱歌があがるのか。

 ベネズエラから日本にやってきて17歳でプロデビューしたリナレスは、フェザー級、スーパーフェザー級、そしてライト級の3階級で世界王者になった実績を持つ。キャリア16年、47戦44勝(27KO)3敗の戦績のうち13試合(11勝7KO2敗)は世界戦だ。09年から12年にかけて3度のTKO負けを喫しているように耐久力に課題を抱えているが、最近は13連勝(7KO)と勢いを取り戻している。スピードのある左ジャブを突破口にして右ストレートで仕留めるパターンが多く、フックやアッパーなど左も多彩でタイミングも抜群だ。ただ、今回の試合は以前から師事してきたキューバ出身のイスマエル・サラス・トレーナーではなく、王者の実弟カルロス・リナレスがセコンドにつくことになっている。兄弟の組み合わせが吉と出るか凶と出るか、蓋を開けてみないと分からない部分もある。

 ロマチェンコは08年北京五輪、12年ロンドン五輪で連覇を達成し、世界選手権でも2度の優勝を収めている。アマチュア戦績は397戦396勝1敗というから驚きだ。13年10月にプロに転向し、4カ月半後、2戦目で世界王座に挑んだ。そのときは体重オーバーの相手を警戒し過ぎ、前半の失点が響いて小差の判定負けだった。しかし、続く3戦目の王座決定戦では能力を存分に発揮、12回判定勝ちでWBO世界フェザー級王座についた。3戦目での戴冠は史上最速タイ記録でもある。また、7戦目にはWBOスーパーフェザー級王座を獲得しているが、これは井上尚弥(25=大橋)の8戦を更新する史上最速の2階級制覇記録だ。

 正統派のリナレスとは対照的にロマチェンコはサウスポーの技巧派で、特に瞬間移動ともいえる足の動きに定評がある。前後左右に動きながら多彩で角度のある回転の速い左右のパンチを打ち込む連打型の選手だ。目下7連続KO勝ちで、直近の4試合はすべて途中で相手をギブアップさせている。相手が打とうとしたときには目の前にロマチェンコはおらず、反撃の糸口がつかめないまま心を折られてしまうケースが続いている。「ロマチェンコ勝ち」という表現まであるほどだ。

 ロマチェンコは、ミドル級の3団体統一王者、ゲンナディ・ゴロフキン(36=カザフスタン/米)らとともに、ボクサーの強さ指数ともいえる「パウンド・フォー・パウンド」のトップ3に数えられるだけに、今回のリナレス戦も6対1というオッズが出ている。その数字が示すように、多くのファンや関係者は「ハイテク(高性能)」というニックネームを持つロマチェンコが細かく動いてリナレスを翻弄してしまうとみている。その一方、プロでの経験値や体格、パンチ力で勝るリナレスが右ストレートを打ち抜いてKO防衛を果たす確率も決して低くはないとみる。天才対天才というカードだけに、凡人の想像もつかないような展開になる可能性もある。

 ともにスピードがあるだけに、瞬き厳禁の試合といえる。

リングにかける男たち

オカダ・カズチカ、米基準の王座保持期間でも金字塔


 新日本プロレスのIWGPヘビー級王者オカダ・カズチカ(30)が、4日の福岡大会で歴代最多となる12度目の防衛に成功した。初代王者アントニオ猪木が88年に4度、89年には藤波辰爾が7度、95年に橋本真也が9度、03年に永田裕志が10度、そして12年に棚橋弘至が11度まで伸ばした防衛記録を「レインメーカー」が超えた。ケニー・オメガ(34)とのV13戦は6月9日の大阪城ホール大会。この間に王座返上しない限り、保持期間は720日に伸びる。こちらも史上最長記録を更新中だ。

IWGPヘビー級選手権12度目の防衛に成功したオカダ・カズチカ(2018年5月4日撮影)

 今、米国ではWWEヘビー級王座と並ぶ2大王座の1つ、ユニバーサル王座を保持する王者ブロック・レスナー(40)のベルト保持期間が話題になっている。昨年4月2日のレッスルマニア33大会での同王座奪取後、米国時間5月7日で区切りの400日となる。米メディアはCMパンクが持つ434日を超えることは確実だろうと報じる。6月17日のPPV大会では、ユニバーサル王座の防衛戦が組まれるとみられており、レスナーは441日まで保持期間を伸ばすことになるだろう。

ブロック・レスナー

 WWEではハウスショー(動画中継なしの興行)でもWWEヘビー級王座、ユニバーサル王座の防衛戦がマッチメークされる。頻繁にビッグタイトルが組まれるため、日本のように防衛回数よりも王座保持期間が注目される「文化」がある。WWE前身のWWWFまでさかのぼれば、最高峰ヘビー級王座の最多保持期間は先月他界したブルーノ・サンマルチノの2803日が歴代1位。先月、藤波辰爾による招へいで来日したボブ・バックランドの2135日が2位。3位にはハルク・ホーガンの持つ1474日が続く。前身団体を含めればCMパンクの434日は歴代6位ではあるものの、02年5月にWWEとなって以降では歴代1位。レスナーの「新記録」更新が注目を集めている。

 興行形態、マッチメーク方式、ベルトそのものの違いはあるが、CMパンクやレスナーの保持記録よりも長いオカダの720日は誇っていい記録だ。弊社の新日本プロレス担当阿部健吾記者が「金字塔」と表現したオカダのV12記録。米国で重視される王座保持期間という側面からも胸を張って「金字塔」と表現していいはずだ。

IWGPヘビー級選手権試合ケニー・オメガ(左)をレインメーカーで仕留めるオカダ・カズチカ(2017年1月4日撮影)

 オカダの記録はどこまで伸びるのか。まずは、オメガとの約1年ぶりとなるIWGP対決を楽しみに待ちたい。【藤中栄二】

大相撲裏話

白鵬の人間力注目、父の死乗り越え夏場所母へ元気を

白鵬


 数々の記録を樹立してきた大横綱にとって、出場を目指す大相撲夏場所(13日初日、東京・両国国技館)は、その「人間力」が問われる場所になりそうだ。

 すでに前人未到の40度の優勝を打ち立てた横綱白鵬(32=宮城野)に“逆風”が吹いたのは、昨年11月の九州場所後。節目の40度目Vを決めたが、かち上げや張り手といった立ち合いの乱れや、土俵態度を横綱審議委員会から苦言を呈され、改善を余儀なくされた。すぐに直せるものではない。試行錯誤の翌初場所は、やはりリズムを乱したのか3日目からの連敗で5日目から休場。ケガの影響で春場所は初日から休んだ。

 土俵上での立ち居振る舞いは、土俵で直し、名誉挽回すればいい。だが、どうにもならない失意にこの4月、見舞われた。故郷のモンゴルでは英雄的存在だった父ジジド・ムンフバトさんの死だ。葬儀のためモンゴルに帰国する先月11日、それを済ませ再来日した15日と、いずれも成田空港で白鵬を取材したが、さすがに憔悴(しょうすい)の色は隠せなかった。

 さらに再合流した19日の千葉・柏巡業の支度部屋で話を聞いた際も、本場所で見せる勝ち気な姿は影もなく、生気は失われていた。父のことに思いをはせ、酒を2人で酌み交わしたことを思い出して、ぽつぽつと語ったものだった。「酒って、いいもんだよね。優勝した時に飲む酒とは、また違うもんだったな。(なき父が)『もう、このへんで(飲むのを)やめよう』と言った時、初めて『ああ(父に)勝ったな』と思ったね。5、6年前だったかな。若かったら、もっと飲んでいたんだろうけどね」。さらに形見について聞いた時にも、しんみりした口調で「う~ん…。いっぱいあるけど、いただいた、この自分の体だよ。この体を大事にして、横綱としていちばん長生きしたいね」。モンゴルにいる母親のタミルさん(70)にも思いをはせ「みんなで支え合って、自分も心配させないようにしないとね」と言って、視線を足元に落とした。

 肉親を亡くした心中は、いかばかりか。天国で見守る父を安心させ、故郷で暮らす母を元気づける活躍は、夏場所で見せるしかない。

 データの後押しはある。夏場所優勝8回は、年6場所の中で九州場所と並ぶ最多。そのうち全勝5回も最多だ。史上最多の通算1066勝のうち、夏場所の195勝も6場所で最多、勝率8割4分4厘は秋場所(9割2分)に次ぐ。新入幕の04年、新大関の06年、3回目の優勝を初の全勝で飾り横綱昇進を決めた07年と、いずれも夏場所の思い出だ。そして6場所で唯一、休場がないのも夏場所。そんな相性の良い場所で、再浮上のきっかけをつかめるか。失意からはい上がる、白鵬の「人間力」にも注目してみたい。【渡辺佳彦】

原功「BOX!」

ゴロフキンKOで陰り払拭、V20に花を添えるか


 ミドル級のトップ戦線は風雲急を告げる状況ではあるものの、その主役がWBAスーパー王座とWBC王座、IBF王座を持つ3団体統一王者のゲンナディ・ゴロフキン(36=カザフスタン/米)であることは誰もが認めるところだ。そのゴロフキンが5日(日本時間6日)、米国カリフォルニア州カーソンで1階級下のWBC世界スーパーウエルター級1位、バーネス・マーティロスヤン(32=アルメニア/米)の挑戦を受ける。ゴロフキンが勝てば通算20度目の防衛となる。

 04年アテネ五輪ミドル級で銀メダルを獲得しているゴロフキンは、プロでは38戦37勝(33KO)1分の戦績を残している。8年前にWBAの暫定王座を獲得し、その後、正王者からスーパー王者に昇格した。この間にWBC王座とIBF王座も手に入れている。

 17連続KO防衛を含む通算19度の防衛を果たしているが、直近の2試合は勝負が判定まで持ち込まれており、少なからず陰りが見え始めている。WBAのレギュラー王者で近い将来の対戦を希望している村田諒太(32=帝拳)の言葉を借りるならば「魔法が解けた状態」といえる。

 本来ならば、ゴロフキンは昨年9月に分のいい引き分けという結果に終わったサウル・カネロ・アルバレス(27=メキシコ)との再戦に臨むはずだった。しかし、ドーピング違反が発覚したアルバレスが試合1カ月前になって対戦を辞退したため、マーティロスヤンと対戦することになった経緯がある。試合地もネバダ州ラスベガスのT-モバイル・アリーナからカリフォルニア州カーソンのスタブハブ・センターに変更されている。

 アルバレスの代役を務めることになったマーティロスヤンは、アマチュア時代にゴロフキンと同じアテネ五輪にウエルター級米国代表として出場したことがある。18歳でプロデビューし、13年間に40戦36勝(21KO)3敗1分の戦績を残している。スーパーウエルター級で2度の世界挑戦を経験しているが、まだ目標を達成してはいない。相手によって戦法や戦術を変えることのできる穴のない選手で、スピード、パワー、テクニック、タフネスなど世界レベルでみて平均以上の戦力を備えた選手といえる。

 しかし、16年5月の世界戦で判定負けしたあとは活動休止状態が続いており、今回が2年ぶりのリングとなる。「いつ試合が決まってもいいように常にベストのコンディションを保っていた」とマーティロスヤンは言うが、2年のブランクはプラス材料とはいえない。また、身長(182センチ)では王者を上回っているものの体のフレームでは劣っており、25対1という厳しいオッズは仕方ないところといえる。

 ゴロフキンは「バーネスのことはアテネ五輪のときから知っている。彼は紳士で強い選手なので厳しい試合になることを覚悟している」と警戒している様子だが、序盤から積極的にプレッシャーをかける展開に持ち込むものと思われる。そのうえで距離を潰して中盤あたりで仕留めてしまうのではないだろうか。

 KOでV20に花を添える可能性が高いが、もしもゴロフキンがマーティロスヤンに敗れるようなことがあれば、ミドル級トップ戦線は大混戦状態に陥りそうだ。

リングにかける男たち

ボブ・バックランドに「とげぬき地蔵」は似合わない

倒立してのストレッチをみせるバックランドに驚く藤波(2018年4月18日撮影)


 その68歳は太い幹だった。

 4月20日、後楽園ホールでドラディションの「バック・トゥー・ザ・ニューヨーク・ツアー」を取材した。

 主宰の藤波辰爾(64)の依頼を快諾し、目玉として来日したのは元WWF(現WWE)世界ヘビー級王者ボブ・バックランド(68)。驚かされたのは18日に都内で行われた来日記者会見だった。

 巣鴨に移転したばかりのプロレスを中心とした格闘技グッズ専門「闘道館」の2階に姿を現した「ニューヨークの帝王」は、とてもとげぬき地蔵が似合うような存在ではなかった。

 赤いサスペンダーがピンと張って、ワイシャツ越しからも明らかな筋肉の隆起を感じさせる。肉厚すぎる肉体は、いまだに現役だった。刈り上げられた頭髪は白髪交じりだったが、もし顔を隠して年齢当てクイズでもすれば、正解率は著しく低いだろう。

 「いまも午前6時半に起床して毎日エクササイズをしているからね」。肉体維持の秘訣(ひけつ)を聞かれると、得意げに言った。そして、そこからの行動がさらに驚くものだった。

 「ここでお見せしましょう」とおもむろに立ち上がると、両手を地面に着き。さらに頭頂部も床につける。そのまま脚がきれいに上がっていく。68歳の倒立。そして、さらにその脚を前後に動かして見せた。

 ワイシャツの胸ポケットからコインが落ちて、「これは妻からのお駄賃だね」とアメリカンジョークを飛ばす姿に、会見場のどよめきは止まらなかった。「今でも高校3年生、大学1年生とスパーリングをやっている」という言葉にも説得力があった。

 バックランドが70年代後半から5年以上ベルトを保持していた最中に生まれた記者には、正直言ってなじみが薄い「伝説」の男だった。名前を聞いてぴんと来るのはもう少し上の世代だろう。

 映像や画像で現役時代の姿は予習してから取材に行ったが、衰えた選手の姿のどこかにノスタルジーを探して発見に喜びを見いだすような機会、試合なんだろうと思っていた。ところが、当人を目の前にし、その「エクササイズ」を見せつけられ、レスラーのすごさをまざまざと感じさせられる時間となった。

 「さっき、一度やっただろう」。会見の最後、写真撮影の時間に、そうつぶやきながらももう1度倒立を披露するサービス精神まで見せつけた。

 最近聞いたプロレス好きの識者の言葉に「プロレスラーは異世界の住人です」という指摘があった。20日の後楽園大会、21日の大阪大会と試合でも年齢からかけ離れた動きと肉体とをファンに見続けた「帝王」。

 誰もが予期しないことをできるからこそ、異世界の中心人物として本場マットに君臨し続けたのだと、たった20分ほどの会見で十分に納得させられた。【阿部健吾】

KAZMA SAKAMOTO(左)をチキンウイングフェースロックで仕留めたボブ・バックランド(2018年4月20日撮影)

大相撲裏話

人気者の朝乃山 豊山とのライバル物語に注目

朝乃山


 5月13日に初日を迎える夏場所まで、1カ月を切っている。4月1日から始まった春巡業も、きょう27日で終了。4月30日には夏場所の新番付発表も行われ、いよいよ本場所へのムードも高まってくる。だが、今巡業中も「女性は土俵から下りて下さい」問題や、力士が子どもに稽古をつけるちびっ子相撲に「女の子上げない」問題など、またも土俵外での話題で角界が揺れた。昨年11月に元横綱日馬富士関による傷害事件が発覚以降、止まらない不祥事ラッシュ。以降、このネットコラムでも各相撲担当記者がその時々の“不祥事ネタ”を扱ってきた。ただ、そろそろ純粋に本土俵に集中したい、楽しみたいと思う今日この頃。今回は不祥事ネタを回避しようと思う。

 巡業中の支度部屋でぼやいていたのは、平幕の朝乃山(24=高砂)だった。近畿大出身のいわゆる学生出身力士で、16年春場所に三段目最下位格付け出しデビューした。あれよあれよと、9場所連続勝ち越しで昨年秋場所で新入幕に昇進。実力に加えて、かわいらしい顔ということもあり人気もある。ファンと密接になる巡業では、ひとたび外に出れば大勢のファンから写真撮影やサインをねだられる。この日も、昼食を会場外の売店に買いに行き、支度部屋に戻ってくるまでに多くのファンと触れ合った。喜ばしいようにも思えるが、浮かない顔でため息をついて言った。

 「また豊山に間違えられました」

 朝乃山にとって豊山は、同期の中でも特別な存在だ。豊山も東農大出身の学生出身力士で、同じく三段目最下位格付け出しで16年春場所でデビューした。富山出身の朝乃山と新潟出身の豊山は、高校時代も一緒に稽古をしたことがある仲。そんな2人が同期で、しかも同じ場所で同じ番付でデビューした。そして記念すべきデビュー戦が、朝乃山-豊山だったのだ。軍配が上がった豊山は、デビュー場所で全勝優勝。翌夏場所も幕下全勝優勝して、朝乃山よりも2場所早く、昨年夏場所で新入幕に昇進した。

 たかが一番、されど一番。朝乃山の豊山への嫉妬心というか、執着心というか、ライバル意識はかなり高い。一方、豊山はさらっとしている。その2人の“すれ違い”が、またも朝乃山の闘志を燃やす。2人の取組が分かると、朝乃山は「絶対に負けられない」などと意気込めば、豊山は「向こうが意識してるだけですから~」と1歩引いた、どこか余裕が感じられるような言い回しでいなす。「今日どうでしたか?」「懸賞何本ですか?」と相手の勝敗、懸賞を気にするのはいつも朝乃山。そしてなぜか、それだけ意識している同期にファンから間違われることが多いという。

 という訳で、豊山に間違われるのはショックというか、歯がゆいというか。ただ、2人の仲は決して悪くない。本場所中でも支度部屋で一緒になれば、取組後に2人で話す場面をよく見るし、巡業中も談笑する場面もよく見る。まさに良きライバル、と言ったところか。

 春場所を西前頭13枚目で8勝した朝乃山と、西前頭11枚目で10勝した豊山。夏場所の番付では、それなりの開きが出てくると思われる。それがまた朝乃山の闘志に火をつける。間違われたことに肩を落としたのもつかのま、「絶対に抜いてやりますよ」と、近くにいる豊山に聞こえるか聞こえないかぐらいの声の大きさで、ニヤリとしながら言った。若手の台頭が目立つ昨今。こんな2人のライバル物語に目が離せない。【佐々木隆史】

豊山

原功「BOX!」

目が離せないミドル級トップ戦線左右する注目ファイト


 15日に村田諒太(32=帝拳)がエマヌエーレ・ブランダムラ(38=イタリア)を8回TKOで下してWBA世界ミドル級王座の初防衛戦を果たしたが、その試合を含め4月から5月にかけてミドル級トップ戦線を左右する注目ファイトが続いている。5月5日(日本時間6日)には頂点に君臨するゲンナディ・ゴロフキン(36=カザフスタン/米)の通算20度目の防衛戦が控えており、目が離せない状況になってきた。

 村田の初防衛戦を含め、以下のように4週連続でミドル級のトップ選手たちのサバイバル戦が組まれている。(試合日はいずれも日本時間)

★4/15@日本:WBAタイトルマッチ

〇村田諒太(帝拳) 8回TKO ●ブランダムラ(イタリア)

★4/21@米国:WBC暫定王座決定戦

〇ジャモール・チャーロ(27=米) 2回KO ●ウーゴ・センテノ(27=米)

★4/28@米国:WBA挑戦者決定戦 ダニエル・ジェイコブス(31=米)vsマシエイ・スレッキ(28=ポーランド)

★5/5@米国:WBAスーパー、WBC、IBFタイトルマッチ ゲンナディ・ゴロフキン(36=カザフスタン/米)vsバーネス・マーティロスヤン(31=アルメニア/米)

 21日に行われたWBC暫定王座決定戦は、ゴロフキンがサウル・カネロ・アルバレス(27=メキシコ)とのスーパーファイトに臨むことになっていた(ドーピング違反のアルバレスが挑戦を辞退)ため、待たされるランカーたちのために設けられたもので、大方の予想どおりチャーロが戴冠を果たした。チャーロは元IBF世界スーパーウエルター級王者でもあり、これで2階級制覇を成し遂げたことになる。戦績は27戦全勝(21KO)。村田と同じ183センチの長身で、スピードと強打を併せ持った実力者だ。ゴロフキン、アルバレス、村田、WBO王者のビリー・ジョー・サンダース(28=英)らを差し置いて、一部の関係者やファンの間では「隠れた最強選手」との声もある。

 28日に米国ニューヨークで行われるジェイコブス対スレッキのWBA挑戦者決定戦にも注目が集まっている。特に元王者のジェイコブスは35戦33勝(29KO)2敗の戦績を誇る強打者で、骨肉腫を克服してリングに復帰、世界王座に上り詰めた「ミラクルマン(奇跡の男)」としても知られる。26戦全勝(10KO)のスレッキは侮れない相手だが、パンチ力と経験値で勝るジェイコブスが指名挑戦権を獲得するとみられている。ジェイコブスは昨年3月、ゴロフキンに惜敗しており、再戦の権利を主張することになりそうだ。その一方、ゴロフキンとの対戦を待たされるような状況になった場合、標的を村田に変える可能性もあるだけに動向に注目していきたい。

 そして、5月5日にはミドル級トップ戦線の主役でもあるゴロフキンが登場する。<次回につづく>

リングにかける男たち

比嘉大吾の“明日のために”長谷川穂積氏が贈る言葉


 プロボクサー比嘉大吾(22=白井・具志堅スポーツ)が減量に失敗し、WBC世界フライ級王座を失った。前王者としてリングに上がり、9回途中TKO負けを喫した翌日の16日、元世界3階級王者長谷川穂積氏(37)に話が聞けた。「もうこれ以上ええでしょ? 彼をたたくんは、もう今日までにしましょう。まだほんまに若いし、先があるボクサーやから」。少し悲しそうだが、優しかった。

WBC世界フライ級タイトルマッチ ロサレスに破れ、一礼する比嘉大吾(2018年4月15日撮影)

 自らも苦しんだ。死ぬ思いで体重を落とした。「あかんと思ったこと、ありますよ。バンタムの時は毎回。最後は必死で練習して(落ちるのは)50グラム。50グラムってたまご1個分。“こんなんやったら、練習せん方がええ”と思ったりしてね」。最初に世界王者になったバンタム級で11度目の防衛に失敗するとフェザー級に転向。一気に2階級上げた。結果「国内ジム所属選手初の飛び級2階級制覇」を成したが、裏返せば、スーパーバンタム級でも苦しかったのだ。

WBC世界フェザー級王座決定戦でブルゴス(左)を破り2階級制覇を達成した長谷川穂積氏(2010年11月26日撮影)

 比嘉の罪は重い。具志堅会長、トレーナーら周囲の責任もあるが、最終的には本人の問題。だから、問うべき責任を問うことが、逆に比嘉のためだ。比嘉と同じ沖縄出身で元WBC世界スーパーライト級王者浜田剛史氏は「減量は何キロ落としても自慢ではなく当たり前。沖縄ファイターが出て盛り上がっていたが、大きく裏切った。技術、根性すべてが飛んだ」と言った。比嘉を思えばこそ、強烈な叱責(しっせき)が口を突いた。

1回目の計量で900グラムオーバーとなりうなだれる比嘉大吾(左)は具志堅用高会長から声をかけられる(2018年4月14日撮影)

 浜田氏が責め、長谷川氏がかばうのは、すべて“比嘉の明日”を守るためなのではないだろうか。

 長谷川氏は引退後も「ボクサー」であり続けている。体重63キロは現役時のナチュラルウエートと変わらない。基本的に毎朝7キロ~12キロ走る。ミット打ちを最低6回はこなし、サンドバッグもたたく。「やってないの、ダッシュぐらいですかね」。仕事や用事がなければ、ほぼ毎日、現役時と同じ練習をする。

ミット打ちを披露する長谷川穂積氏(2018年4月16日撮影)

 引退したのに、なぜ?

 「ボクシングをやってたら、僕はすべてに自信を持てる。自分に負けない自分でいられる。(プロで)17年間やって、そうなった。練習も、その日の自分に勝ちたいと思ってやる。達成感はやった者にしかわからんと思いますよ」

 10年後か、15年後か。比嘉がグローブを置いた時、同じ言葉を口にしてほしい。【加藤裕一】

大相撲裏話

不祥事ラッシュの相撲界も…今後は是々非々で堂々と


 相撲担当で1年。知人によく言われる。「オマエ、持っとるな~」。半笑いの問い掛けに、イラッとさせられ「相撲を取材してるんは山ほどおるがな」と思ったりする。しかし、この1年…いや半年は確かに異常な不祥事ラッシュやった。

 横綱の暴行事件が昨年11月の九州場所中に発覚し、1月には関取が無免許運転で捕まり、泥酔行司が後輩にキスして辞職に追い込まれ、3月春場所では、日本相撲協会を告発した親方の弟子が付け人をどついた。

 「相撲って話題豊富やね」と周りに言われ、何べんため息ついたことか。春場所も終わって、さすがに「もう打ち止めやろ」と思ったら、巡業の土俵で男性市長が倒れ、救命措置を行った女性に「土俵から下りてください」という場違いアナウンス。暴力、道交法違反、セクハラ、暴力の次は、土俵の女人禁制に絡む問題かい。貧すれば鈍すというか、地獄モードの負の連鎖というか。ここまで来たら、こっちもげんなりして、笑うしかない。

 そんなこんなの日本相撲協会。テレビのワイドショーのコメンテーター、MCに鬼の首をとったような態度でボロクソ言われ、その扱いたるや、ひどいもんです。曲がりなりにも現場で力士、親方らを取材している立場からすれば「どんだけお偉い方か知りませんが、そこまで言いますか?」と思ったりもする。

 確かにカラオケのデンモクで人を殴ったらあかん、無免許運転はあかん、人命最優先ちゅう判断ができんのもあかん。当然や。だから、ペナルティーを受け入れ、反省して、同じミスを犯さん努力はせなあかん。それも当たり前です。

 しかし、そもそも相撲界って、力士がまげを結って、浴衣着て、東洋の神秘好きの外国人が「オーッ! スモウレスラー!」と喜ぶ世界ですがな。江戸時代を思わせる外見、慣習の特殊性が魅力なわけで、そこが伝統であり、もっと俗っぽく言えば売りなんでしょ?

 一般社会の物差しを当てはめて、ならしていったら、最終的にただの太った力持ちの集団になってまうんちゃうかな。そんなことも思ったりするわけです。

 ダメなことは続きました。この勢いやとまだ、何かあるかもしれん(ヒーッ)。でも、大事なんは今後ですわ。ええことはええ、悪いことは悪い。決して協会の肩持つわけやないけど、是々非々で、堂々といきましょうや。【加藤裕一】