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原功「BOX!」

シールズ初防衛戦を全米中継へ、女子ボクシング人気復活なるか

 五輪連覇後にプロ転向し、昨年8月に4戦目でWBCとIBFの女子世界スーパーミドル級王座を獲得したクラレッサ・シールズ(22=米)が12日(日本時間13日)、米国ニューヨーク州ベローナで両王座の初防衛戦に臨む。挑戦者は20戦17勝(2KO)3分の戦績を誇る元WBC女子ミドル級王者のトリ・ネルソン(41=米)。無敗対決を前にシールズは「12日から始まる今年の旅が楽しみ」と、試合が待ちきれない様子だ。

 シールズは父親の影響で11歳のときにボクシングを始め、ジュニアの大会に出場して経験を積んだ。12年の世界選手権では2回戦でポイント負けを喫したが、これがアマチュア、プロを通じて唯一の敗北だ。その年のロンドン五輪に17歳で出場すると、3試合を勝ち抜いて75キロ以下の女子ミドル級で金メダルを獲得した。

 14年の世界選手権、16年の世界選手権を制すると、16年リオデジャネイロ五輪でもミドル級で優勝、ロンドン大会に続く連覇を果たした。アマチュア戦績は78戦77勝(18KO)1敗(75戦74勝1敗説もある)。女王の名に相応しい実績といえる。

 16年11月にプロ転向を果たすと2戦目にNABF北米王座、3戦目にWBCシルバー王座を獲得。そして昨年8月には4戦目(全勝2KO)で2団体の世界王座についた。実力はもちろんのことイベントのメインに据えられ、テレビがシールズの試合を生中継するなど米国での人気と注目度は高い。

 挑戦者のネルソンは、シールズがジュニアの大会に出ていたころ(10年)に34歳でプロデビューし、7年半も無敗を保っている。この間、WBC女子ミドル級王座やマイナー団体のミドル級、ウエルター級、スーパーウエルター級、スーパーミドル級王座を獲得しており、侮れない相手といえそうだ。

 米国ではレイラ・アリ(米)やクリスティ・マーティン(米)らの活躍で女子ボクシングは90年代に一時的に米国で人気を集めたが、彼女らの引退を機に下火になっていた。現在、シールズの台頭によって再び注目されるようになりつつある。その点はシールズも十分に理解しており「私の最終目標は女子ボクシングの人気を高めること。そのためにも頑張る」と話している。今回も大手ケーブル・ネットワーク、ショータイムで試合が全米に放送される予定だ。22歳の女王の奮闘に注目したい。

大相撲裏話

稽古が楽しそう 秋巡業に見た稀勢の里の余裕

稀勢の里(2018年10月5日撮影)

9月の秋場所を10勝5敗で9場所ぶりに皆勤した、横綱稀勢の里(32=田子ノ浦)が、現在行われている秋巡業で精力的に稽古を重ねている。

秋巡業は10月3日に開始。栃木・足利市で行われた5日に、前頭隆の勝にぶつかり稽古で胸を出し、秋巡業で初めて稽古土俵に上がった。甲府市で行われた10日には、前頭佐田の海を相手に三番稽古を行い、相撲を取る稽古も再開。佐田の海には10番取って全勝だったが、付け入る隙を与えない完勝ばかりだった。

佐田の海とは、秋場所前の夏巡業中にも何日も胸を合わせ、勝敗では常に圧倒していた。だが内容では、必ずといっていいほど、何番かは一方的に敗れることもあった。勝敗で圧倒していたのも、稀勢の里の方が34キロ重い体格差を生かした「体力勝ち」の部分が大きかった。だが甲府市では、低く鋭い立ち合いから左を差し、腰が高くなる悪癖ものぞかせず、相手に何もさせずに寄り切る相撲が目立った。

横綱相撲の理想とも言われる、相手を受け止めつつ先手を奪っている「後の先」の域に達するまでには至っていないかもしれない。それでも、私が以前担当していた7、8年前、主に三役として大関を目指していたころのように、ガムシャラに強さを求めていたころと同じように映った。相撲好きの少年がそのまま大人になったような、若々しさ、いきいきとした雰囲気が全身から出ていた。

8場所連続休場から進退を懸けて臨んだ秋場所、さらにその前の夏巡業では、明らかにピリピリと張り詰めた空気をかもし出していた。それが今回の巡業では、自ら明るい雰囲気をつくって報道陣と談笑することまである。足利市での巡業では、隆の勝に約8分間もぶつかり稽古で胸を出した後に「新聞だと『軽めの調整』って書かれちゃうのかな。よく『軽めの調整』『軽めの稽古』って書かれるけど、四股やすり足だけでも軽くないんだから。1度やってみる? そうしたら軽くないんだなって分かるでしょ」と、笑って話していた。何度も隆の勝にぶつかられ、胸を真っ赤に腫らしながらも冗談っぽく話せるほど、心身ともに余裕が出てきた。

秋場所千秋楽後に行われたパーティーでは、後援者らに向けて「優勝争いはかなわなかったですが、また来場所、もっともっと強くなって優勝争いに絡み、また、いい報告をできるように一生懸命頑張ります」と宣言した。懸念された相撲勘が戻りきらない中で、秋場所は2ケタ勝った。そこに上積みする形で、秋巡業ではその後、関脇御嶽海らとも稽古を重ねている。何より、稽古が楽しそうだ。同じ相手と立て続けに何番も取る、本来は体力的にきつい三番稽古でさえ“軽めの調整”に見えてしまうほどの余裕が見える。表情にも明らかに自信が戻ってきた。稀勢の里が、再び優勝争いの中心に戻ってくる日は、遠くないかもしれない。

【高田文太】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)

原功「BOX!」

村田戦の裏でWBO王座決定戦 どうなるミドル級トップ戦線

20日(日本時間21日)、米国ネバダ州ラスベガスで村田諒太(32=帝拳)対ロブ・ブラント(28=米)のWBA世界ミドル級タイトルマッチが行われるが、同じ日、マサチューセッツ州ボストンでは同じ階級のWBO王座決定戦が挙行される。ドーピング違反が発覚したビリー・ジョー・サンダース(29=英)が11日に王座を返上したため、急遽、1位のデメトリアス・アンドレイド(30=米)と2位のウォルター・カウトンドクワ(33=ナミビア)が拳を交えることになったのだ。20日、リングのなかではどんな動きがあるのだろうか。

ミドル級では9月15日、サウル・カネロ・アルバレス(28=メキシコ)が、8年間に20度の防衛を誇ったゲンナディ・ゴロフキン(36=カザフスタン)を僅差の判定で破ってWBAスーパー王座とWBC王座を獲得したばかりだ。そのアルバレスは12月15日に1階級上のスーパーミドル級でWBA王座に挑戦することが内定しており、その結果しだいでは転級も考えられる状況といえる。

こうしたなか20日にWBAとWBOのミドル級タイトルマッチが行われるわけだが、2試合ともすんなりと挙行にこぎ着けたわけではない。村田対ブラントはWBAが義務づけたカードで、8月には興行権入札が行われたが、村田側は参加せず、ブラント側が落札。

一時は村田が王座を返上する可能性まで浮上したが、その後、両陣営が条件合意に達したという経緯がある。

それ以上に慌ただしかったのがWBOタイトルマッチだ。サンダースのドーピング違反が表面化したのが9月下旬で、試合を管理するマサチューセッツ州のコミッションがサンダースの出場を不可と決めたのが試合10日前のことだった。これを受けサンダースに挑戦する予定だったアンドレイドは、待機状態にあった2位のカウトンドクワと暫定王座決定戦を行うことが決定。その後、11日になってサンダースが王座を返上したためアンドレイド対カウトンドクワ戦が正王座の決定戦になったという経緯がある。

アンドレイドは08年北京五輪ウェルター級ベスト8の実績を持ち、プロではスーパーウエルター級でWBO王座とWBA王座を獲得している。身長185センチ、リーチ187センチの大柄な技巧派サウスポーで、25戦全勝(16KO)と負け知らずだ。カウトンドクワは5年前のデビュー戦で判定勝ちのあと16連続KO中の強打者だが、世界的強豪との対戦経験は皆無で、アフリカ大陸を出て戦ったこともない。17戦全勝(16KO)とKO率は高いが、実力そのものは未知といえる。順当にいけばアンドレイドが2階級制覇を成し遂げそうだが、カウトンドクワがKOで戴冠を果たすようなことがあるとミドル級トップ戦線は大荒れ状態に陥る可能性もある。

村田対ブラント、そしてアンドレイド対カウトンドクワ。日本時間の21日、米国からどんなニュースがもたらされるのだろうか。

リングにかける男たち

井上だけでなく田中恒成にも注目を次戦は全国中継で

激しく打ち合う田中恒成(右)と木村翔(2018年9月24日撮影)

WBA世界バンタム級王者井上尚弥が“70秒KO”をして、WBC世界ライトフライ級王者拳四朗がV3を達成した7日、会場の横浜アリーナで、東京の記者から「え?」という一言を聞いた。私が「最近、おもろい試合が多いから、ええよな。田中-木村戦もめちゃおもろかったし」と言うと「田中の試合って、そんな良かったんですか?」と返された。

…そんな良かったんですかて…めちゃめちゃええ試合やったがな…って君、知らんか…。

9月24日、名古屋の武田テバオーシャンアリーナで行われたWBO世界フライ級タイトルマッチ。挑戦者の同級1位田中恒成が、王者木村翔を2-0の僅差判定で破った。プロ12戦目の世界3階級制覇は、パウンド・フォー・パウンド最強とされるWBA世界ライト級スーパー王者ロマチェンコに並ぶ世界最速タイの快挙になった。

それ以上にタフな王者に、スピード&テクニックが際立つ挑戦者が真っ向から打ち合いに応じた内容が、すごかった。どつき合い、拳闘。どんな言葉を使っても、表現が陳腐になるほどの死闘。井上の“70秒KO”もええけど、現時点で年間ベストバウトを選ぶなら田中-木村戦に勝るものはない。そう思う。

ところが、テレビ中継はCBCによる中部ローカルの生放送。関東地区は後日録画放送。関西地区に至っては放送自体なかった。

テレビ局にはテレビ局の事情があるでしょう。「数字(視聴率)が取れないから」とか「スポンサーがつかないから」とか。放送枠の問題もあるか。慈善事業やないですからね。

ウチらの業界かて、ネタの「価値」と同時に「売れる紙面」を考える。読者が見たら「何でこれが1面やねん」ということは、ままあると思います。だから、わかる。わかるけど、今回ばかりはやりきれん思いが残った。

ここからは、半分愚痴ですわ。

田中-木村戦は戦前から、おもろい試合になることは分かってた。北京、ロンドン五輪のライトフライ級で金メダルをとった中国の英雄・鄒市明(ぞう・しみん)から、敵地に乗り込み、KOでベルトを奪い、初防衛戦、V2戦もKOで防衛した王者木村のラッシングファイトに、挑戦者田中がどう挑むのか? ボクシングファンの興味をそそる要素はてんこ盛りやった。

それなのに、全国中継できませんか? まあ仮にできんにしても、録画中継をせんエリアがあるなんて、いくら何でも、それはないんと違います? あの試合を見れんかった関西のボクシングファンは大損です。命を削るような殴り合いを演じた2人も、気の毒やないですか。

世界3階級王者田中は、ボクシング担当歴の浅い、素人記者の私が見てもすごいです。所属の畑中ジムの畑中清詞会長に「次の試合は全国中継で?」と意向を聞くと「もちろん。それ以外は考えてない」。初防衛戦は来年3月あたりが有力です。活字メディアが一生懸命頑張っても、テレビには絶対かなわん一面もある。だからこそ、次こそは、何とぞよろしくお願いいたします。

【加藤裕一】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける男たち」)

大相撲裏話

固定観念とらわれない元貴乃花親方の今後の動向注目

都内の部屋の前で報道陣の取材に対応する貴乃花親方(2018年9月27日撮影)

相撲界のネタで、テレビの情報番組も話題に事欠かない。昨年11月から続いた元横綱日馬富士関の傷害事件に端を発した一連の内紛劇は、半年でようやくピリオドを打った、ようやく…。と思いきや貴乃花親方の突然の退職劇、直後には水面下で進んでいた元日馬富士関への訴訟問題が表面化し、そして元横綱輪島さんの訃報。何だかんだ言っても、さまざまな人間模様を映し出す相撲への世間の関心、興味は高いのだなと、あらためて感じさせる。

その話題の1つに、元貴乃花親方の政界進出話がある。正式退職が決まってから3日後のさる4日、馳浩元文部科学相の東京都千代田区にある事務所を訪問したことで、にわかに来夏の参院選出馬の可能性が取りざたされることになった。

訪問の目的を、日ごろから世話になっている同元文相への退職のあいさつとした元親方は「次、何をしようとするかとか、その余裕はなくしております」と打診の話はなかったことを明言した。政界進出を本当に考えているなら、水面下で人知れず動くのが普通だ。わざわざ報道陣監視の元で永田町を闊歩(かっぽ)する姿から、その信ぴょう性は薄いのでは、とみる向きは多い。

人様の第2の人生に口を挟むのは、余計なおせっかいだろうが個人的にも、そう思う。脇目も振らず一心不乱に、こうと思えば一直線…という性格からすれば、多方面に目配りし、器用に立ち居振る舞うことが求められる異分野への転身は考えにくい。

確かに、裸一貫で生き抜く角界にあって現役時代から退職するまで、相撲界を離れた世相への関心は高く文化人、財界人から知見を吸収しようとする姿勢はかいま見えた。今、ブログなどを見ても、元親方がつづる文章は角界人からすれば難解で分かりづらい文言が多い。悲しいかな、そんな一面も他の親方衆から、一線を画す垣根を作られる要因になったと思う。懐に飛び込めればフランクな性格が分かるが、そうでなければバリアーを張られているような。

つづってきた文章には、哲学的なものを想起させるが、政治は分かりやすさとのバランスが求められるだろう。その器用さは、持ち合わせていないと思う。相撲一筋で生きてきたのだから、それは当然だ。人気に当て込むのは選挙の常かもしれないが、公示板にポスターが貼られる姿は想像しにくい。

ただ一方で、これも個人的な淡い願望として「政治家・花田光司」も見てみたい気がする。数年前、元親方とお茶をしながら世間話をしていると突然、こんな話を切り出してきた。「織田信長って本能寺で死んだことになっているけど、俺はそうは思わないよ」と。家臣だった明智光秀の謀反にあい、49歳の生涯を本能寺で閉じた織田信長。歴史の面白さは、その史実を読み解くとともに、仮説を立てて脈略をつなぐことにもあると思う。確かに、本能寺では遺体がみつからなかった、他の場所で自害した、生き延びて後世を見守った…など識者による諸説はさまざまある。

元親方はその後も、お市の方やねねなど、深くかかわった人物の名前を挙げた上で、信長は生き続け、陰で人をうまく動かし、戦国の世が平静になるのを見届けたのでは…という自分なりの“仮説”を語っていた。そう思うに至ったのは、識者の仮説を見聞きしたり、書物を読んだのが発端かもしれない。いつのころからか日本史に興味を示し、弟子のしこ名に戦国武将の名前を入れたぐらいだ。それはどうであれ既成事実、固定観念にとらわれず物事を見ようという考えが根底にあるのだろう。それを「改革」ととられてしまったのは不本意だったのかもしれないが…。

相撲協会での人生は、本能寺の変の織田信長のように、風雲急を告げるように急転直下、幕を閉じた。ただ、この先もどんな形であれ相撲との縁は切れないはず。育てた弟子の出世も見届けなければならない。「大相撲は不滅です」と公式サイトにつづったように、その繁栄にどう携わるのか注目してみたい。【渡辺佳彦】

(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)

原功「BOX!」

WBSSバンタムは好カード目白押し 井上の相手は誰だ

階級最強を決める賞金トーナメント、「ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)」バンタム級初戦は、第2シードのWBA王者、井上尚弥(25=大橋)が元王者のファン・カルロス・パヤノ(34=ドミニカ共和国)に70秒でKO勝ち、順当に準決勝に駒を進めた。試合時間は短かったが、そのなかでスキルとパワーを見せつけた衝撃のKO劇だった。このあと13日、20日、11月3日に準々決勝に臨むライバル6選手に与えたプレッシャーは大きいものがあったはずだ。

13日にはロシアのエカテリンブルクでWBO王者のゾラニ・テテ(30=南ア)対6位のミーシャ・アロイアン(30=アルメニア/露)が行われる。スーパー・フライ級に続いて17年4月に戴冠を果たしたテテは175センチのサウスポーの技巧派強打者で、初防衛戦では右フック一発で世界戦史上最短記録となる11秒KO勝ちを収めている。今年4月のV2戦では、フライ級で16度、スーパー・フライ級で11度の防衛実績を持つオマール・ナルバエス(43=アルゼンチン)に大差の12回判定勝ち、長丁場にも強いところを証明した。30戦27勝(21KO)3敗。

挑戦者のアロイアンはプロでは4戦すべて判定勝ちとキャリアは浅いが、アマチュア時代には12年ロンドンオリンピック(五輪)フライ級で銅メダルを獲得。11年と13年の世界選手権では優勝している。16年リオデジャネイロ五輪にも出場して準優勝したが、のちにドーピング違反が発覚して銀メダルを剥奪された。体格、技術、パンチ力で勝る第3シードのテテが勝ち上がりそうだ。

20日、米国フロリダ州オーランドでは18戦全勝(12KO)のIBF王者、エマヌエル・ロドリゲス(26=プエルトリコ)対17戦全勝(14KO)のジェイソン・モロニー(27=豪)のタイトルマッチが行われる。勝者が準決勝で井上と拳を交えることになっており、ファンの注目度も高いカードだ。KO率の高い全勝同士の組み合わせだが、12対1のオッズが出ているようにロドリゲス有利は不動と見られている。アマチュアで182戦171勝11敗の戦績を残しているロドリゲスはスピード、テクニック、パワーを備えており、WBA王者自身が「井上が危ないのではないか、と思われている相手」と認める実力者だ。どちらが勝ち上がるにしても井上との試合は興味深いものになりそうだ。

11月3日には井上を差し置いて第1シードに推されたWBAスーパー王者のライアン・バーネット(26=英)が登場する。英国グラスゴーのリングに迎えるのは、5階級制覇の実績を持つスター選手、ノニト・ドネア(35=比)だ。6対1で有利と見られているバーネットは昨年6月にIBF王座につき、4カ月後にはWBAスーパー王座も獲得。ロドリゲスとの指名戦を強制されたためIBFは返上したが、今年3月にはWBAスーパー王座の初防衛を果たしている。戦績は19戦全勝(9KO)だが、相手の質が上がっていることもあってか、このところ8試合続けてKOを逃している。

フライ級からフェザー級までの5階級で世界一になった実績を持つ43戦38勝(24KO)5敗のドネアは左フックや右ストレートに一撃KOの威力を秘めている強打者だが、近年はパワー偏重の雑な戦いぶりが目立つ。年齢に加え7年ぶりのバンタム級ということで減量など不安は少なくないが、万全のコンディションをつくることができればバーネット撃破だけでなく、トーナメントの台風の目になる可能性がある。決勝で井上と戦うことになれば盛り上がることは間違いない。

大本命が井上、対抗がロドリゲスとバーネット、それを追うテテという構図だが、13日、20日、11月3日の3試合で変化があるかもしれない。WBSSバンタム級トーナメント戦、今後の動きに注目していきたい。

リングにかける男たち

田上明氏、久々の“バトル”は愛ある30分1本勝負

川田利明プロデュースの大会で、川田(右)とのトークバトルに参戦したかつての盟友田上明

全日本プロレス四天王として一時代を築き13年に引退した田上明氏(57)が、4月16日の胃がんの全摘出手術後、久々にファンの前に姿を見せた。1日に同じく全日本で活躍した川田利明(54)がプロデュースするプロレス興行「FOLY WAR」新宿大会(新宿FACE)のトークバトルに登場した。

2人は、全日本で名コンビで知られたが、私生活でもお互いが経営する店に行き来するなど、大の仲良し。トークバトルは、茨城県つくば市でステーキ居酒屋を経営する田上氏のもとに、川田が直談判に行き実現した。2人の対決は、ぶっきらぼうな言葉の中に、お互いへの愛情があふれる、「30分1本勝負」だった。

先にリングインしたスーツ姿の川田がコーナーで屈伸運動をすると、田上氏は苦笑。「屈伸運動したら、後ろに倒れたよ。四股でも踏んでやろうかと思ったけど、やめといた」。終了後のインタビューで田上氏は笑いながら話した。

田上氏は玉麒麟のしこ名で大相撲の十両まで務めたが、プロレス転向。ジャイアント馬場とのタッグという破格の待遇でデビューした。その後、川田らの超世代軍に属したが鳴かず飛ばず。しかし、ジャンボ鶴田のパートナーに抜てきされたのが転機となり台頭。鶴田が病気となった後に、それまで敵対していた川田とタッグを結成。「聖鬼軍」を名乗り、世界タッグを最多の6度獲得するなど、一世を風靡(ふうび)した。

お互いのタッグについて田上氏は「気難しそうで最初はいやだった。組んでみたら、今までで一番信頼できるパートナー。組んでみたら、うまかったね。今はラーメンがうまいけど」と、川田が経営するラーメン店もしっかり宣伝。川田は「気が楽。(田上氏)に気にせず、自分が好きなことができた」と話した。

ジャイアント馬場死去後の00年に、三沢が小橋、田上氏らを連れて大量離脱。全日本に残った川田と、ノアの旗揚げに参加した田上氏は離れ離れになった。離脱直後には田上氏が川田に電話しノアへ誘ったという裏話も披露。「あの時に連絡あったのは田上さんだけ」と川田。断ったが、2人の親交は続いた。

13年12月の田上氏の引退試合には川田も参加。川田は「引退試合に行って、お疲れさまでした。今後はノアの社長として田上火山を大噴火させてください」と激励した話をすると、田上氏が「どんどん沈下していった。オレは社長は似合わない」と苦笑交じりに返す。ノア社長時代の苦悩も、2人はトークショーで笑い飛ばしてしまった。

胃の全摘手術を受けた田上氏は、かなりやせてしまっていた。「若いころは良きライバル、おっさんになったら良き飲み友だちだから」という田上氏に、川田は「いい飲み友だちとして、しっかり健康管理してタバコも止めてください」と心遣いを見せていた。98年4月、最後のシングル対決となった仙台大会で、左膝を負傷していた田上氏にあえて足四の字固めを見舞い、早々に試合を終わらせたように。

【桝田朗】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける男たち」)

大相撲裏話

稽古は嘘つかない、貴景勝は貴乃花親方の教え胸に

貴景勝と貴乃花親方(2018年5月20日撮影)

旧貴乃花部屋の小結貴景勝(22=千賀ノ浦)に、悲愴(ひそう)感はなかった。「力士とはどういう姿勢であるべきか。それを常に指導してもらった。相撲はもちろん、生活面とかも。貴乃花親方の弟子で角界に入ったので、教えてもらったことをそのままやっていくのが自分ができること」。はっきりとした口調で堂々と話した。

厳しい稽古で知られていた旧貴乃花部屋。トレーニングジムに通う関取が増えてきた昨今、「関取はジムに通わないのか?」と聞くと「僕は無理。部屋の稽古だけでオーバーワークです」と言う程だった。それは巡業先でも変わらなかった。貴景勝が新十両昇進を果たした16年から、元貴乃花親方(元横綱)が巡業部長になり、巡業では常に土俵下で目を光らせていた。全力士に平等に見ていたつもりだろうが、ついつい弟子に厳しくなってしまうのは親の性。幕内に番付を上げても、常に貴景勝は十両の申し合い稽古から参加。幕内と合わせれば、連日30番以上相撲を取っていた。おかげで力をめきめきとつけていった。

だが実は、1度だけ抜いたことがあった。それが旧貴乃花親方が、巡業を休んだ昨年の九州巡業だった。申し合い稽古に参加しても10番取るか取らないか。もちろん本場所で疲れ切った体を休めるのも大事な仕事で、負傷した箇所があれば満足に稽古もできない。ただ、これまでの巡業に比べると少なかった。新小結で臨んだ今年の初場所は5勝10敗。「稽古はしっかりやってきたつもりですけど…」と支度部屋で少しばつが悪そうに言ったのは印象的だった。

稽古はうそをつかない、というのを身をもって知った貴景勝。その後の春巡業、夏巡業では精力的に稽古土俵に上がった。夏場所10勝、名古屋場所10勝、秋場所9勝と結果も出した。「教えてもらったことをそのままやって-」。元貴乃花親方の教えを、これからもずっと胸に土俵に上がる。【佐々木隆史】

(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)

巡業の朝稽古中に、弟子の貴景勝(右)の背後について四股の踏み方を熱心に指導する貴乃花親方(2018年8月5日撮影)
原功「BOX!」

米大手HBOテレビが今年限りでボクシング中継から撤退へ

米国のボクシング放送の核となってきたケーブルテレビ局の大手、HBO(ホーム・ボックス・オフィス)が今年限りでボクシング中継から撤退することになった。同局はヘビー級王者、マイク・タイソン(米)や6階級制覇王者のオスカー・デラ・ホーヤ(米)、マニー・パッキャオ(比)らスーパースターの注目ファイトをペイ・パー・ビュー(PPV=有料視聴)で生中継するなどしてきたが、近年は契約選手の減少や視聴件数で苦戦が続いていた。

タイムワーナーの系列会社でもあるHBOテレビは、1973年1月にジャマイカの首都キングストンで行われたジョー・フレージャー(米)対ジョージ・フォアマン(米)の試合を放送したのを皮切りに、45年以上にわたってボクシング中継を続けてきた。91年4月のイベンダー・ホリフィールド(米)対ジョージ・フォアマン(米)=約140万件、99年9月のデラ・ホーヤ対フェリックス・トリニダード(プエルトリコ)=約140万件、2007年5月のデラ・ホーヤ対フロイド・メイウェザー(米)=約240万件、10年5月のメイウェザー対シェーン・モズリー(米)=約150万件、11年11月のパッキャオ対ファン・マヌエル・マルケス(メキシコ)第3戦=約140万件、12年5月のメイウェザー(米)対コット=約150万件と、PPVの契約件数で100万件超えを連発するなどボクシング放送には欠かせない局となっていた。PPVは番組視聴のために1件あたり概ね6000円~8000円程度の金額を支払うことが多く、100万件で60億円~80億円を生む計算になる。それが選手の報酬に還元されるため放送局と出場選手双方にメリットがあるシステムといえる。

しかし、近年はライバル局のショータイムに押され気味の状態が続き、さらに有力プロモート会社のトップランク社が1年前に対抗局のESPNと契約を交わしたため、HBOは看板選手のパッキャオやワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)、テレンス・クロフォード(米)らを失うことになった。ストリーミング配信サービスのDAZNがボクシングの映像配信に参入してきたことも、HBOの厳しい状況に拍車をかけることになった。こうしたなか今年9月、HBOは最後の切り札ともいえるゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)対サウル・カネロ・アルバレス(メキシコ)の注目ファイトをPPVで生中継。110万件の視聴件数を記録したものの、デラ・ホーヤ、メイウェザー、パッキャオらが打ち出した数字には遠く及ばなかった。その1週間前、井岡一翔(SANKYO)らが出場した軽量級のイベント「SUPERFLY3」もHBOテレビで生中継されたが、ピーク時で約35万件視聴と低調だったと報告されている。

このあと10月27日に米国ニューヨークで行われるダニエル・ジェイコブス(米)対セルゲイ・デレビャンチェンコ(ウクライナ)のIBF世界ミドル級王座決定戦がHBO最後の放送になる予定だ。ただ、2019年以降に関して定期的な放送は予定されていないというが、単発でボクシングを中継する可能性はあるという。

最近はDAZNのほかフェイスブックによる映像配信も行われるなどボクシングを含むスポーツ中継の方法が劇的に変化している。HBOの撤退はそんな流れのなかで起こったといえよう。

リングにかける男たち

たたき上げ木村翔、王座陥落も名勝負記憶に残した

WBO世界フライ級タイトルマッチ 12回に激しく打ち合う木村翔(右)と田中恒成(2018年9月24日撮影)

今年はあと3カ月あるが、ボクシングの今年の年間最高試合は決まりかもしれない。9月24日の日本人対決。V3を目指したWBO世界フライ級王者木村翔と3階級制覇をかけた田中恒成の一戦は、初回開始のゴングから最終回終了のゴングまで、目を離せない激しい打撃戦だった。

木村が攻め込むと田中が反撃し、田中が連打を打ち込むと木村も連打で応酬と、毎回両者の攻防が繰り返された。最終回には息をのむ見せ場もあった。ともに向き合って、呼吸を合わせて、右ストレートを打ち込んだ。しかも3回連続して。

記者が見て優劣が明確なラウンドは数回で、毎回のように採点に迷った。結果は田中が2-0で判定勝ち。木村は「こんなの初めて。中盤から見えなかった」と右目周囲を大きくはらせた。田中も右目周囲にアザも木村ほどでなく、採点に影響したかもしれない。

7回に木村がダウンを奪うもスリップと判断された。ダウンなら木村が2-1で勝ちだった。最終回は2人が木村優位も1人は田中優位。全員木村優位なら、1人が田中も2人は引き分けで防衛成功だった。青木ジムの有吉将之会長(44)は結果を受け入れつつ「最終回の採点は納得できない」と何度も繰り返した。木村は「紙一重。燃え尽きた」と言ったが、会長の悔しがった顔は忘れられない。

18歳で国際ジムに入門も1勝1敗で引退した。右目網膜剥離で3度手術を受けたが、今も視界は限られている。現役時に修行したタイで仕事していたが、元世界王者のレパード玉熊会長に誘われてトレーナーになった。初代青木敏郎会長が亡くなり、跡を継いだたつ夫人から人づてに誘われた。06年からマネジャー兼務で経営にあたり、09年には会長となった。

1945年(昭20)創設の名門ジムでは、アマ時代から指導した小関を女子世界王者に導き、歴代2位の17度防衛させた。東洋太平洋王者大久保も誕生。そして、木村がついに世界王座についた。国際ジムからは世界王者が3人出たが2人が1回防衛しただけ。孫弟子の岩佐も1回。木村は2回防衛で抜いたことが自慢になった。

木村はデビュー戦で1回KO負け。5連勝もすべて判定で、その後は連続引き分け。トレーナーがさじを投げると会長が引き継いだ。以前から「世界をとれる」との評価を周囲に話していたという。スパーでやられまくっていた相手に判定勝ちで一皮むけた。V3戦前まで12連勝で10KOまで鍛え上げてきた。

練習は昔ながらのスパーでの実戦中心だ。週36回スパーが基本で1日は12回をこなす。ジムでは1回3分30秒でインターバルは30秒。世界戦前のタイ合宿は1回4分でインターバルは45秒。12回なら48分。木村が「15回もできる昭和のボクサー」を自称する由縁だった。

木村は中3で地元の熊谷コサカジムに通い出し、ボクシングを始めた。高1で遊びに走り、23歳でプロを目指して上京した。そのジムからは工藤政志が世界王者になっている。会長は「今回勝てば同じ3回防衛に並べる」と言っていた。記録は残せなかったが、記憶には残るファイトを見せてくれた。

最近は大手ジム、アマ経験者が日本ボクシング界の中心となっている。その中で高田馬場の小さなジムからたたき上げで世界をつかんだ。中国で人気者になった個性派王者の陥落は惜しかった。

【河合香】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける男たち」)

WBO世界フライ級タイトルマッチ 12回を闘い終え、抱き合ってたたえ合う木村翔(右)と田中恒成(2018年9月24日撮影)
大相撲裏話

栃ノ心かど番脱出を後押しした師匠春日野親方の叱責

秋場所14日目、栃ノ心(左)は下手投げで阿炎を下す

稀勢の里に沸き、白鵬が全勝優勝で締め、大団円と思ったら、貴乃花親方の年寄引退騒動…。いい悪いはさておき、これだけ話題が続く業界も珍しい。そんな中、ひっそり窮地を脱した男がいる。

大関栃ノ心である。

夏場所に昇進を決め、新大関場所の名古屋も5連勝。こりゃ優勝か? 今度は綱取りか? てな空気が漂い始めた6日目、玉鷲戦で右足親指付け根の靱帯(じんたい)を損傷し、急転、休場に追い込まれた。で、いきなりかど番で秋場所を迎えることになった。

天国から地獄ですな。相撲は取れても完治はしていない患部、療養優先による稽古不足の影響で思うように動けない。星が伸びず、気持ちがへこむ。場所中に「どうしても“負けたら、落ちちゃう”と考えちゃうね」とボソボソしゃべる姿は、優勝後の春場所で「負けるイメージが全然ないんだよ」と、ごく普通に話していた人間と同一人物とはとても思えんかった。

怪力自慢の大男がしょぼくれてると、おせっかいとわかっていても声を掛けたくなる。5勝3敗で稀勢の里戦を迎える9日目の朝。失礼を承知で聞いてみた。

万が一でっせ、今場所がダメで関脇に落ちても“ふん、来場所10勝したる”ぐらいに考えるとか…。できませんか?

「今場所8勝できないヤツが、来場所10勝できるわけないでしょ」

ま、まあ、そらそうかもしれませんが、気持ちの持ち方っちゅうかね…。

「今場所8勝の方が近いでしょ。簡単でしょ」

あかん、逆効果や…。

栃ノ心は最終的に14日目の阿炎戦で8勝目を挙げ、かど番脱出を決めた。そこは本人の踏ん張りが1番だったことは間違いない。ただ、最後に背中を押したものがあったとすれば、何だったのか?

13日目は正代に負けて、7勝6敗。あと2番で1勝すればいい状況にもかかわらず「もうダメですね」と禁句を口走った。心は折れる寸前だった。

14日目の朝稽古。土俵の栃ノ心に、師匠の春日野親方(元関脇栃乃和歌)が怒鳴った。

「なにをデレ~っとやってんだ! 落ちたら(大関を)クビなんだぞ! わかってんのか?」

「はい」「はい」と答えた栃ノ心の表情がピリッとしたように見えたのは、気のせいか。知る限り、秋場所中の朝稽古で、親方が激しく叱責(しっせき)したのは、この1度だけ。

師弟や。恐れ入りました。

【加藤裕一】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)

原功「BOX!」

ホルヘ・リナレス、ロマチェンコとの再戦へ大事な再起戦

3階級制覇の実績を持つ前WBA世界ライト級王者、ホルヘ・リナレス(33=帝拳)が29日(日本時間30日)、米国カリフォルニア州インディオで元世界ランカーのアブネル・コット(31=プエルトリコ)と対戦する。今年5月、全階級を通じて最も高い評価を得ているワシル・ロマチェンコ(30=ウクライナ)と激闘を展開、10回TKO負けを喫したリナレスにとっては大事な再起戦となる。

ベネズエラから単身来日、17歳のときに大阪でプロデビューしたリナレスも8月で33歳になった。この間、何度かの挫折も味わったが、フェザー級、スーパーフェザー級、ライト級の3階級で世界王座につき、世界的なスター選手の仲間入りを果たしている。リナレスの持ち味はスピードとテクニックだ。速い左ジャブで煽り、相手の出端に合わせて絶妙のタイミングで繰り出すカウンターの右ストレートを主武器に世界のトップ戦線で確かな足跡を残してきた。16年のキャリアで14度の世界戦(11勝7KO3敗)を含め48戦44勝(27KO)4敗の戦績を残している。56パーセントのKO率を誇る一方、4度の敗北はいずれもKO(TKO)によるもので、打たれ脆さが唯一のウイークポイントだ。世界的な注目を集めたロマチェンコ戦では6回に右ストレートでダウンを奪うなど9回までは互角の展開だったが、10回に左ボディブローを浴びて敗れた。プラスとマイナスの両面が出た試合だった。

リナレスは再戦を希望しているが、ロマチェンコは12月にライト級のWBO王者、ホセ・ペドラサ(29=プエルトリコ)との統一戦を計画しており、リマッチが実現するとしても早くて来春になる。リナレスは「とにかくもう一度、ロマチェンコと戦いたい。次は勝てる。でも実現しないならばスーパーライト級に上げて4階級制覇を狙いたい」と話している。

今回の再起戦はライト級のリミットを超えた体重での試合になる予定で、リナレスにとってはテストマッチとなる。しかも、相手は12年から13年にかけて世界ランキング入りしていたこともあるコットである。名前でも分かるように、あの元世界4階級制覇王者、ミゲール・コット(プエルトリコ)のまたいとこにあたる血縁の選手だ。プロでは26戦して、元あるいはのちの世界王者に喫した3敗以外はすべて勝利を収めている(23勝12KO3敗)。16年以降は5連勝(4KO)と好調を維持しているだけに、油断できない相手といえる。

ロマチェンコ戦のショックを引きずっていないか、心身ともに十分なコンディションをつくれるか、など不安もないわけではないが、順当にいけばリナレスが中盤から終盤で仕留める可能性が高い。

リングにかける男たち

闘病しながらUFCと契約を続けたKIDさんの思い

米メディアの取材に対し、流ちょうな英語で対応していた姿が印象的だった。11年2月、格闘技の聖地、米ラスベガス。今月18日に死去した山本“KID”徳郁さん(享年41)が初めてUFCに参戦した時のことだ。高校中退後、4年間の米留学の経験があり、通訳は必要なし。UFCデイナ・ホワイト社長との会話も弾んでいた。もう何年も前からUFCにいたような雰囲気に見えた。

11年2月、米ラスベガスのUFC初参戦前の公開練習で現地メディアのインタビューを英語で応じる山本“KID”徳郁さん(中央)

前座カードにもかかわらず、UFCから異例の要請を受け、メインカードの選手と公式会見に出席した。ホワイト社長から「KIDが私にファイト・オブ・ザ・ナイト(MVP)とノックアウト・オブ・ザ・ナイト(KO賞)を取ると言った」と明かされ、会見の盛り上がりは頂点に達した。急きょ試合順も第3試合から第4試合に格上げされ、ネット生中継も決まった。「メインしか呼ばれない会見に呼ばれて光栄」と感謝したKIDさんには、米国でも暗闇の荒野に道を切り開いてしまうようなオーラを放っていた。

この11年からUFCに軽量級のバンタム級(61・2キロ以下)が新設された。「今まで『オレの階級』がなかった。UFCバンタム級の中心になりたい。集大成のつもりでやる」と明確な目標を掲げた。姉美憂と妹聖子がレスリングで世界女王だったこともあり「UFCはランキング、王座、階級が決まっていて世界の強いヤツが集まる。UFCのベルトが事実上、世界トップ。世界一になりたい」とこだわっていた。

KIDさんが33歳で迎えたUFCデビュー戦は得意の打撃をかわされ、何度もタックルを浴びて判定負け。「殴り合うことしか考えていなかった。ルールを知らないのも準備不足」と反省した。運命のいたずらか、そのデビュー戦の相手デミトリアス・ジョンソン(米国)は12年に新設されたフライ級(56・7キロ以下)でUFC王座を獲得。UFC最多の11度防衛に成功し、王座陥落するまでパウンド・フォー・パウンド(階級を超越した最強選手)1位に君臨した。「たら」「れば」を言えばきりがないが、UFCがあと5~6年早く軽量級を新設すれば、KIDさんが「オレの階級」で日本人初のUFCベルトを手にしていたかもしれない-と今でも思う。

11年2月、UFCの要請を受けて急きょ公式会見に出席した山本“KID”徳郁さん

7年前、あのUFC公式会見で、KIDさんが壇上に設置されたUFCベルトをじっくり眺めていた姿を覚えている。闘病しながら「集大成のつもり」の言葉通り、UFCとの契約を続けた。実現しなかったが、オクタゴン(金網)の中で英語の勝利者インタビューに応じるKIDさんは、きっと格好良かったに違いない。

【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける男たち」)

大相撲裏話

悩める納谷 幕下の壁

花道を引き揚げる納谷(2018年9月21日撮影)

元横綱大鵬の孫、東幕下60枚目納谷(18=大嶽)が幕下の壁にはね返された。3勝4敗と初土俵以来、初めての負け越しを経験。来場所は再び三段目に陥落することが濃厚だ。

今場所の六番相撲で3勝目を挙げ、星を五分に戻しても「今場所はずっとモヤモヤした気持ちがある」。四つにならず立ち合いで突き放して前に出る相撲。三段目までは通過できたが、幕下力士の踏み込みには圧力があった。勢いを止められ、今場所は勝ち負けにかかわらず「2歩目、3歩目が出なかった」と何度も反省を口にした。

師匠の大嶽親方(元十両大竜)は、悩める弟子を場所前から不安視していた。「何か変だったんだよね。迷いなのかな。本人は『全然大丈夫です』と言うんだけど」。稽古でもあっさり負けてしまう場面が目立っていたという。ただ「こっちからガミガミ言っても仕方ないから」と、求めるのは自主性。小手先の技術もいつか必要になるが「今はガムシャラに前へ出続けて欲しい」と多くは求めず、温かく見守る姿勢だ。

「元横綱の孫」という代名詞がのし掛かるが「気負うことなく頑張りたい」と納谷。大器はゆっくりと階段を上るつもりだ。【佐藤礼征】

(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)

大相撲裏話

小結→三段目→十両、静かに常幸龍を支えた妻の思い

豪風(下)をはたき込みで破った常幸龍(撮影・河田真司)

東十両14枚目常幸龍(30=木瀬)が再び関取定着へ奮闘している。秋場所13日目のこの日、西十両6枚目豪風(39=尾車)を破り8勝5敗。2015年九州場所以来の十両勝ち越しを決めた。

14場所ぶりの十両復帰でも気負う様子はない。「けがする以前との変化は特にない。普通ですよ」。11年夏場所の初土俵から、5場所で十両昇進。4年前の秋場所で小結まで昇進したが、右膝のけがの影響で三段目まで番付を落とした。三役経験者が三段目陥落後に十両へ返り咲くのは明治以降では初となる。

無給の幕下では生活費だけでなく、リハビリのための治療費も負担となった。ただ、貯金を切り崩す生活に、真美夫人(32)は文句も励ましの一言も発しなかったという。「僕たちは土俵の上で結果を残すしかない、と分かってくれていた」。相撲に口を出さない妻がありがたかった。

長男心絆(しんば)ちゃんは4歳、2月に生まれた次男日彩(ひいろ)ちゃんはハイハイができるようになった。心絆君は相撲が分かるようになったが「テレビで見た方がきれいなので」と照れ隠し。十両定着、さらに幕内復帰へ。今は十両の中で番付最下位。幕下の足音が聞こえなくなったときに、自信を持って家族を招待したい。【佐藤礼征】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)

大相撲裏話

「九死に一生」式守与之吉 土俵に戻る

九州場所で土俵に復帰する式守与之吉

幕内格行司の式守与之吉(49=宮城野)が、ギラン・バレー症候群を克服して土俵に戻ってくる。今年の初場所から5場所連続で休場中。秋場所の土俵には上がっていないが、事務方として国技館に出勤できるまでに回復した。「九死に一生を得ました。本場所は、九州場所から土俵に上がります」と声をはずませた。

発症したのは、昨年12月8日の宮崎市巡業の朝。前夜から肩が上がらず「疲れかな?」と思って一夜明けると、症状が重くなっていた。顔を洗うことも、着替えることもできない。現地で診察を受けると、そのまま入院を勧められた。四肢に力が入らなくなる難病「ギラン・バレー症候群」だった。巡業で滞在していたため荷物は十分でなく、まずは緊急帰京。空港では自力で歩けず、車いすでの移動を強いられるほどに病状が進行した。

東京に戻って入院。5日間点滴を受け、回復を待った。病気になった明確な原因は分からなかった。その後、リハビリを開始。「今年の3月までは、自分で起き上がることもできませんでした。寝たきりの時はこたえました。復帰できないと、半分以上はあきらめていました」。

一時は体重が10キロ以上も減った。「リハビリの先生の献身が、折れた心を救ってくれました。『治る病気なんです』と言って、手や足を持ち上げてくれました」。歩けるようになったのは、4月から。それでも、大相撲中継は見る気になれなかった。「自分が土俵に立つ時間は心苦しくて、気の焦りもありました。その時間はあえて院内を歩いたりしていました。ニュースや結果は耳に入りましたが、1~7月は見ていないんです」と振り返った。

6月14日に退院。再発の恐れはなくなり、本格復帰への準備を進めている。9月の秋場所からは国技館に出勤し、行司仲間から「おめでとう!」との声を掛けられた。ファンも多く、館内で気づいた人たちに驚かれる毎日だ。

休場中は、日本相撲協会の配慮で病名は伏せられていた。だが回復した今、与之吉は「公表してもらってかまいません。なってしまったものは、仕方ないですし」と前を向く。

30日の日馬富士引退相撲から土俵に立ち、本場所後の秋巡業に参加しつつ、九州に入る。「こんなに長い間空けたことはなかったので、楽しみも不安も半々です。初心に戻る感じですね」。今や表情は明るく、血色もいい。もう間もなく、あのはつらつとした「ハッキヨイ」の声が土俵に戻ってくる。【佐々木一郎】

(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)

原功「BOX!」

ジョシュアvsポベトキン いよいよ23日にゴング

ヘビー級トップ戦線の主役のひとり、WBA、IBF、WBO3団体統一王者、アンソニー・ジョシュア(28=英)が22日(日本時間23日)、英国ロンドンのウェンブリー・スタジアムで元WBA王者のアレクサンデル・ポベトキン(39=露)を相手に通算6度目の防衛戦を行う。WBC王者のデオンテイ・ワイルダー(32=米)との4団体統一戦プランもあるジョシュアが大一番に向けて存在感を示すのか、それともポベトキンが番狂わせを起こすのか。KO決着が確実視されている注目カードだ。

12年ロンドン五輪のスーパーヘビー級金メダリストでもあるジョシュアは、プロ転向から2年半後の16年4月にIBF王座を獲得。17年4月、元王者のウラジミール・クリチコ(ウクライナ)を11回TKOで下した際にはWBAから「スーパー王者」の称号を与えられた。そして今年3月にはWBO王者のジョセフ・パーカー(26=ニュージーランド)に12回判定勝ち。この試合でデビューからの連続KOは20で止まったが、引き換えに三つめのベルトを手に入れた。身長198センチ、リーチ208センチ、体重約110キロの恵まれた体格から速くて正確な左ジャブを突き、射程が合うと破壊力のある右ストレートを打ち抜く。最近は接近戦でアッパーを突き上げるなど攻撃の幅を広げつつある。

21戦全勝(20KO)のジョシュアは人気面でも際立っている。直近の3試合を見てみると、ウェンブリー・スタジアムで行われたクリチコ戦が約9万人、カーディフのプリンシパリティ・スタジアムが会場となった17年10月のカルロス・タカム(37=カメルーン/仏)戦とパーカー戦でも各7万8000人を集めているのだ。この3試合だけでも合計24万6000人の集客となる。最重量級の世界王者に相応しい人気、注目度といえる。今回も実績と知名度のあるポベトキンが相手だけに、ウェンブリー・スタジアムに7万人超の観客が見込まれている。

そのポベトキンは04年アテネ五輪のスーパーヘビー級金メダリストで、プロでは35戦34勝(24KO)1敗の戦績を残している。この1敗は5年前にクリチコに喫したもので、以後は8連勝(6KO)と好調だ。今年3月にはジョシュア対パーカーの前座に出場し、ダウン応酬のすえ豪快な5回KO勝ちを収めている。身長188センチ、リーチ191センチ、体重約103キロと体格ではジョシュアに及ばないが、下から潜り込むようにして打つ左右のパンチは相手にとって脅威といえよう。

とはいえ総合的な戦力と若さに加え地の利もあるジョシュア有利は絶対的なものとみられており、オッズは9対1と出ている。ジョシュアが左ジャブで距離を計り、打ち下ろしの右ストレートでKO勝ち、という可能性が最も高そうだ。

現在のヘビー級はジョシュアを軸にして、統一戦プランが浮上しているWBC王者のワイルダー、さらに戦線復帰した元3団体王者のタイソン・フューリー(30=英)、ワイルダーと激闘を展開した元WBA暫定王者のルイス・オルティス(39=キューバ)、そしてポベトキンと役者が揃っている。こうしたなか、順当にジョシュアが次に駒を進めるのか、それともポベトキンが番狂わせを起こして準主役に躍り出るのか。22日(日本時間23日)、ロンドンのウェンブリー・スタジアムに要注目だ。

リングにかける男たち

スーパー、正規、暫定…乱立王座 誰が真の最強か

村田諒太(2018年6月13日撮影)

ボクシングの「ミドル級頂上決戦第2弾」のゴングが鳴る前に、残念な知らせが届いた。

WBAスーパー、WBCの2団体統一王者ゲンナジー・ゴロフキン対元2階級制覇王者サウル・アルバレスの1年ぶりの決着戦。そのアンダーカードで組まれたWBA同級3位ゲーリー・オサリバン(アイルランド)対同4位デビッド・レミュー(カナダ)戦が、WBAスーパー王者挑戦者決定戦として認められたという報道だった。この決定は、認定団体としてのWBAの方針に関し、さらに疑問を募らせた。

思い返せば17年2月、WBAのメンドーサ・ジュニア会長は日本で会見を開き、スーパー、正規、暫定と王座が乱立する状況に歯止めをかけるために、一本化していく宣言をしていた。具体的には、スーパー王者は他団体のベルトも保持する統一王者に限定すること、統一王者が設置される階級は正規王者を空けること、暫定王座はけがなど正当な理由で正規王者が試合を行えない場合にのみ設置すること、以上を明言。18年までに統一させていくと説いた。

それから1年7カ月、状況は進んでない。レミュー対オサリバン戦の情報を知ると、一層そう思えた。WBAのミドル級の事情で言えば、統一王者として長く君臨してきたゴロフキンの存在が、正規王者や暫定を作らざるを得ない状況を生んだ。そして、現在の正規王者としてベルトを巻くのは村田諒太(32=帝拳)だ。であるならば、一本化という意味ですべきことは、挑戦者決定戦の承認ではなく、スーパー王者と正規王者による統一戦以外にないはずだった。

結果としてゴロフキンは敗れ、アルバレスが新王者となったが、次戦は挑戦者決定戦に勝利したレミューとのV1戦になるとの報道も出ている。統一という機運に傾く流れはなさそうだ。村田自身も、興行面での難しさからアルバレス戦を行うには、「2、3ステップ踏み出さないと行けない」と険しい道のりであることを認識している。

村田を取材する身として知りたいのは、きっと村田自身もそうだが、どれだけ強いのか、ということだ。正規王者にはなったが、スーパー王者がその上にいる事実からして、最強ではない。ただ、それはむしろ前向きな要素で、自分の力がどれほどなのかを追い求めることができる環境に、いま村田は生きがいを感じているように思う。そうであるならば、最強決定戦を見たい。

王座乱立はWBAだけの問題ではなく、ボクシング界全体を覆う。誰が一番強いのか。その単純な事実が分かりにくい状況は、ファン層の拡大への障害にもなる。「だって、誰がチャンピオンか分からないでしょ!」。昨年、具志堅用高氏は、声を荒らげて言った。4団体も王座認定団体があり、ただでさえ王者が大勢いる。その中で、さらにスーパーやら、暫定やら…。その通り、誰が王者か分からない。王者とは最も強い者であるべき。

アルバレス勝利で置かれてた状況を険しいと表現した村田。最強を追い求めるその道にも、しっかりと道筋が敷かれることを願う。

【阿部健吾】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける男たち」

大相撲裏話

故武蔵川親方の言葉浮かび「描いて残す」錦絵の意義

大露羅の錦絵が描かれたポストカード

「あの言葉が浮かんで、ようやく描けました」。相撲錦絵師の木下大門氏は、国技館の売店でしみじみと話した。

85年初場所に現在の国技館が会場になってから、木下氏の錦絵が館内で販売されている。販売するきっかけは、過去に理事長や相撲博物館館長を務めた元前頭出羽ノ花の故武蔵川親方(本名・市川国一)の勧めだった。その時に「関取うんぬんは関係ない。大童山とか巨人力士も錦絵になっているから、そういうのも描け」と言われたという。

しかしその後、幕下以下で巨漢の注目力士はなかなか現れず。月日は流れて昨年8月。当時三段目の大露羅が元大関小錦を上回る288キロを計測して、歴代最重量になったことが耳に入った。そして今年の名古屋場所で、土俵に上がるのも一苦労の姿を見て「市川さんの言葉を思い出した。これはもう記録に残さないといけないと思った」と序二段大露羅の錦絵を描いた。

今場所初日から錦絵が販売されていたが、相撲協会による幕下以下の力士の商品は販売してはいけないという規則から今は販売されていない。それでも「描くのは問題ない。次は300キロを超えたら描きたい」と夢を膨らませた。【佐々木隆史】

(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)

大相撲裏話

2人の十両力士が締め込みに込める思い

白鷹山(右)を寄り切りで破った天空海(撮影・狩俣裕三)

明日の幕内入りを目指して、しのぎを削る十両力士。いろいろな思いを胸に1日一番に集中する中、2人の力士が締め込みに特別な思いを込めて本場所に臨んでいる。

新十両の初場所以来の十両返り咲きとなった天空海(立浪)は、ライムグリーンの締め込みを締めている。初場所は青色だったが心機一転。実は、度重なるケガなどで道半ばで引退した、弟弟子の元十両力真から譲り受けたもの。「十両に上がったら締めて下さい」と言われたという。しかも力真が締めることなく引退したため、新品のままだった。「力真の気持ちも引き継いで勝ち越して恩返しをしたい」と誓った。

翔猿(追手風)は、銀色から金色に変えた。本来は名古屋場所で使う予定だったが、間に合わずに今場所から使用。春、夏場所で2場所連続7勝8敗だったため験直しで替えた。「銀の上は金。いつかは金星を取るぞ、という気持ちも入っています」と話した。兄弟子の遠藤も金色の締め込み。2人の“ゴールデンコンビ”が、そろって金星を挙げる日が待ち遠しい。唯一、身に着ける物だけに、関取のこだわりが詰まっている。【佐々木隆史】

大相撲裏話

一山本が燃え尽きてない若者へ勇気

一山本(18年9月9日撮影)

2年前の制度改革が、将来の関取を発掘しつつある。西幕下5枚目の一山本(24=二所ノ関)が、初土俵から11場所目にして十両昇進を目前にしている。

中大時代に全国学生選手権16強など実績を残し、卒業後は地元北海道の福島町役場に就職。半年後、転機が訪れた。一定の実績がある経験者を対象に、新弟子検査の年齢制限が23歳未満から25歳未満へ緩和された。当時23歳で「俺に流れがきたな」。同年秋の国体で喫した初戦敗退が、相撲への情熱を再び燃やした。公務員を辞して二所ノ関部屋に入門。翌年1月の新弟子検査に合格し、年齢制限緩和第1号の力士となった。

十両昇進を果たせば、この制度を利用して入門した力士では初めての関取になる。大学で相撲に区切りをつけながら、気持ちを捨てきれない若者に勇気を与えられる。「そういう存在になれればいいですね」。

北海道地震から1週間。実家や知人は無事だが、道内ではいまだ余震が続き、1500人以上が避難生活を余儀なくされる。今場所は0勝2敗と苦戦しているが、残りの取組次第では十両昇進もあり得る。故郷を勇気づけるためにも「いい報告をしたい」と活躍を誓った。【佐藤礼征】