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リングにかける男たち

資金潤沢17億人視聴可能なONEはまさに黒船団体

8月23日、都内のホテルで開催されたONEチャンピオンシップの公式会見

2018年も残り1カ月弱。日本の格闘技界では、大みそかのRIZIN14大会(さいたまスーパーアリーナ)で50戦全勝のボクシング元5階級制覇王者フロイド・メイウェザー(米国)と33連勝中のキックボクシング界の「神童」那須川天心(TARGET/Cygames)によるエキシビションマッチが大きな話題となっている。

那須川に加え、元UFCファイターでRIZINバンタム級GP覇者堀口恭司(アメリカン・トップチーム)の強さも認知度を増し日本の総合格闘技(MMA)が再び盛り上がりをみせつつある。そして年が明けると、日本にはアジアの「黒船」が“襲来”する。その名もONEチャンピオンシップだ。

今年8月、都内のホテルでONEチャンピオンシップのチャトリ・シットヨートンCEOらが会見。来年から日本でイベント開催することを発表した。3月31日、10月11日、いずれも午後7時から東京・両国国技館。初上陸の2019年に、いきなり2大会が開かれる。同CEOは「日本には豊かな総合格闘技の文化と歴史があります。ONEチャンピオンシップは、その真の総合格闘技の体験をアジアの心の奥深くまでファンのみなさまにお届けしたいです。われわれの使命は志が高いです。総合格闘技界のスーパーヒーローを、情熱と希望にあふれたワールドクラスのアスリートを世界に解き放ちたいのです」と宣言した。

同団体にはDREAMの元ライト級王者青木真也、元バンタム級王者ビビアーノ・フェルナンデス(ブラジル)が参戦し、ONEベルトを獲得。今年は11回というUFC最長防衛記録を保持する元UFCフライ級王者デミトリアス・ジョンソンや元UFCライト級王者エディ・アルバレス(ともに米国)と契約。先月にはDREAM、UFCで活躍した43歳の秋山成勲の参戦も発表された。

アジア経済の中心といわれるシンガポールが拠点なのもONEチャンピオンシップの強み。2年前、同国政府系投資会社から1000億円規模の資金が投入されたとの報道があった。既にFOXスポーツ・アジアで中継され、国内ではAbema TVと20大会以上の中継契約を結んだ。チャトリCEOによれば、世界136カ国で約17億人が視聴可能という状況にある。資金調達、大会中継ネットワークという「インフラ」もそろえつつ、日本に乗り込んでくる。

10月6日、タイで開催したONEチャンピオンシップ興行では総合格闘技、キックボクシング、そしてボクシング世界戦となるWBC世界スーパーフライ級王者シーサケット(タイ)の防衛戦を一緒に組み込んだ異色のイベントも実現させた。日本のプロボクシング関係者もアジア視察した際、総合格闘技の隆盛ぶりに驚いたという。日本格闘技界の関係者には脅威になるかもしれないが、ファンには刺激的なアジアの「黒船」。平成最後にやってくるONEチャンピオンシップの動きに注目している。

【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける男たち」)

ONEチャンピオンシップのチャトリCEO(右)とのツーショット写真をインスタに掲載した秋山成勲
ONEチャンピオンシップのロゴ
原功「BOX!」

旧ソ連勢の統一戦グウォジクVSベテルビエフはKO決着濃厚

17戦全勝(14KO)のWBC世界ライト・ヘビー級王者オレクサンダー・グウォジク(32=ウクライナ)と、14戦全KO勝ちのIBF同級王者アルツール・ベテルビエフ(34=露)が18日(日本時間19日)、米国ペンシルベニア州フィラデルフィアで拳を交える。主要4団体の王者同士の統一戦は近年になって増加傾向にあるが、旧ソ連勢のカードは珍しい。総合力は互角だが、ともに強打が売りだけにKO決着が濃厚だ。

WBA、WBC、IBF、WBOの4団体の王者同士による統一戦は今年、9月末日時点で5例を数える。バンタム級の井上尚弥(大橋)対エマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)、スーパー・バンタム級のダニエル・ローマン(米国)対TJドヘニー(アイルランド/豪)、スーパー・ライト級のホセ・ラミレス(米国)対モーリス・フッカー(米国)、ウェルター級のエロール・スペンス(米国)対ショーン・ポーター(米国)、ミドル級のサウル・カネロ・アルバレス(メキシコ)対ダニエル・ジェイコブス(米国)で、いずれも前者が勝利を収めている。このほか団体内の統一戦や階級の異なる王者同士の対戦も3試合ある。

高い次元で技量が接近しているためか凡戦もあるが、井上対ロドリゲスのようにスリルに富んだ好勝負が多い。今回のグウォジク対ベテルビエフもKO決着が間違いないとみられている。

WBC王者のグウォジクは12年ロンドン五輪ライト・ヘビー級で銅メダルを獲得後、14年2月にプロ転向。米国西海岸をホームに定めて着実に実力を伸ばし、昨年3月にWBC暫定王座を獲得した。12月に団体内統一戦で勝利を収めて正王者に昇格。今回の統一戦が3度目の防衛戦でもある。左ジャブで切り込んで右ストレートに繋げる正統派の強打者だが、耐久面が不安視されている。

IBF王者のベテルビエフもアマチュア出身者で、メダル獲得は逃したが08年北京大会、12年ロンドン大会と2度の五輪出場を果たしている。13年6月にカナダでプロデビューし、ハンマーのような左右の強打でKOの山を築いてきた。2年前に戴冠を果たしたが、故障やビジネス上の摩擦もあって17年と18年は防衛戦を1度ずつ行っただけで試合枯れ状態にあった。今年になって大手のトップランク社と契約を交わし、さっそく大きな試合に恵まれた。攻撃偏重のファイター型だが、攻め急ぐあまり被弾してダウンを喫したこともある。

ベテルビエフのディフェンスの甘さがマイナス要因とみられているためか、オッズは6対5の小差ながらグウォジク有利と出ている。強打者同士のチャンピオン対決だけに初回からスリリングな試合が期待される。短期決着ならばベテルビエフ、長引けばグウォジクといったところだが、展開予想の難しいカードだ。

リングにかける男たち

“氷の皇帝”が日本帰還 何歳でも戦ってほしい男

12月29日のベラトール日本大会での対戦が決まったエメリヤーエンコ・ヒョードル(左)とクイントン・“ランペイジ”・ジャクソン

何歳になってもファイトが見たい。そんな総合格闘家と言っていい。何度か米メディアで報じられてきた「氷の皇帝」の日本“帰還”が、ついに発表された。

19年12月29日、米総合格闘技ベラトールの日本大会初開催(さいたまスーパーアリーナ)に合わせ、元PRIDEヘビー級王者エメリヤーエンコ・ヒョードル(43=ロシア)が15年大みそかのRIZIN旗揚げ大会以来、4年ぶりに日本で試合に臨むことが決まった。対戦相手もPRIDEで活躍してきたクイントン“ランペイジ”ジャクソン(41=米国)に決定した。9日には都内のホテルで記者会見に臨んだ。

ヒョードルは「年末に日本でファイトすることは大事なこと。ロシアでは、年末にヒョードルが日本で戦っていることが『伝統』として認知されている。素晴らしい年明けを迎えられるように、29日に向けて準備していきます」との意気込みを示した。

1度引退している。12年6月、母国での興行でベドロ・ヒーゾ(ブラジル)との対戦(KO勝ち)後に現役引退を会見で口にした。引退後は母国のスポーツ省特別補佐官などを務めていたが、RIZINの設立などに合わせ、15年の年末に現役復帰。18年からはベラトール世界ヘビー級GPに参戦し、元UFC同級王者フランク・ミアやUFCで人気を誇ったチェール・ソネン(ともに米国)を下してGP決勝まで進出した。PRIDE時代を思い出させる快進撃だった。

今年1月のGP決勝ではUFCヘビー級で活躍したライアン・ベイダー(米国)の左フックに散った。衝撃的な35秒KO負け。秒殺されていたこともあり、ヒョードルは2度目の引退時期についても言及。「そろそろ引退する時期かもしれない。(ベラトール代表)スコット・コーカーから最後のツアーをやるとの話が来て、年齢とともに(引退が)明確に見えてくるのではないか」と口にした。

「引退ツアー」としてヒョードルと3試合契約を結んだコーカー代表は「スタッフは来年1月のロサンゼルス大会にこのカードをやるべきだと言っていたが、私が日本で組むと主張した」と説明。ヒョードルの日本ラストマッチになることを強調した。ベラトール日本大会に全面協力するRIZINの榊原信行実行委員長は「往年のファンのプレゼント。タイムスリップしたような時間を感じてもらう機会になればいい」。ベラトールはケージ(金網)での試合が主流だが、今回はPRIDEをほうふつさせるリングでの試合もプランにあるという。

ヒョードルは「私にとって日本という国、日本のファンのみなさんは非常に大切な存在。いつもサポートしてくれてありがとうございます」と感謝の言葉を口にした。PRIDE勢の主力選手の中で、ただ1人、UFCに参戦しなかったファイター。ロシア人でありながら、日本の選手にように感情移入し、ロマンを感じてしまうところだ。

体力のピークはとっくに去っている。00年の日本デビューから約19年。ファンが見たいのは「氷の皇帝」「60億分の1の男」たる生きざまだと思う。1度引退した立場にあり、すぐに2度目の引退をすぐに決める必要はないと考える。おそらく日本ラストマッチになるに違いない。しかし世界のファンが求める限りは、何歳になっても戦ってほしい。【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける男たち」)

大相撲裏話

将来性楽しみな琴勝峰ら「花の99世代」誕生なるか

新十両昇進会見で琴手計から改名したしこ名を披露する琴勝峰

また一人、生きのいい関取が誕生した。大相撲九州場所(11月10日初日、福岡国際センター)の番付編成会議で、新十両昇進を決めた琴手計改め琴勝峰(20=佐渡ケ嶽)だ。場所前に20歳を迎えた若武者は、西幕下4枚目で臨んだ秋場所で4勝3敗ながら、番付運にも恵まれて関取の座を射止めた。

190センチ、160キロの恵まれた体を武器に、初土俵から所要12場所のスピード昇進。突き、押しを基本に組んでも、右四つから馬力を生かして前に出る相撲が身上だ。番付に初めてしこ名が載った序ノ口で優勝決定戦に臨んだ際の取材ノートには、目指す力士像として「当たって攻めて崩して攻めて、と相撲に流れがあるから」と鶴竜と妙義龍の名前が記されていた。新十両昇進会見でのそれは、兄弟子の琴奨菊になっていたが、いずれにせよ先代佐渡ケ嶽親方(元横綱琴桜)のような猪突(ちょとつ)猛進の相撲で今後も上を目指す。改名したしこ名にも「勝ってテッペン(=横綱)を目指す」の意味が込められている。

角界でささやかれる世代交代の波は、ここ2、3年で一気に押し寄せてきた。関取のほぼ3人に2人が平成生まれとなり、横綱・大関の平均年齢が32・2歳(秋場所番付)と過渡期にあって、この琴勝峰らの新十両昇進は1つのターニングポイントになる可能性を秘める。

九州場所での新十両昇進を同時に決めたのが、あの元横綱朝青龍のおいにあたる豊昇龍(20=立浪)だ。高校こそ日体大柏で埼玉栄の琴勝峰とは異なるが同学年。この学年には、さらに九州場所では幕下1ケタに番付を上げるであろう、関取予備軍の元横綱大鵬の孫にあたる納谷(19=大嶽)、塚原(10月12日で20=春日野)、幕下入りを目指す光宗(20=阿武松)の「埼玉栄カルテット」らが名を連ねる。高校時代にしのぎを削ったライバルに先を越され、納谷らの尻に火がつくことは間違いない。

そんなライバルたちの動向について、琴勝峰は「(入門以降は)自分でやることをやるだけだった。ちゃんと稽古をしていれば番付は上がると思っていたから、意識はなかった」という。序ノ口から先場所までの11場所で負け越しは1場所だけ。54勝23敗とハイペースで白星を重ねてきたが、初土俵が1場所遅い豊昇龍と納谷も49勝21敗で負けじと出世街道をひた走ってきた。

同年代のライバルが何人もいるのは強みだ。ライバルとの出世争いに「意識しなかった」と無表情で語る本人の言葉をヨソに、師匠の佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若)は満面に笑みを浮かべながら、正直な胸の内を語っていた。「私は気にしていましたよ。必ず1番で(十両に)上げてやると。あの(世代の)中で絶対に1番でと。彼ら(ライバルたち)の相撲も見てました」。その気持ちは、単に自分の弟子1人の出世だけを考えてのことではない。「一番最初に上がったことで納谷や塚原も『早く追いつきたい』といいライバル心になるでしょう。その年代が(上位に)上がって相撲界を盛り上げてくれればうれしい」。角界全体の活性化を望む気持ちだった。

プロ野球で輝かしい光を放ったのが「松坂世代」。現在の女子ゴルフでは「黄金世代」、サッカー界でも「プラチナ世代」などの言葉が一時代を築いてきた。角界にもかつて「栃若」「柏鵬」「輪湖」などの○○時代、同期生で横綱、大関らを多数輩出した「花のニッパチ」「サンパチ」「ロクサン組」などの代名詞が時代を彩ってきた。果たして数年後、大横綱のDNAを受け継ぐ豊昇竜と納谷が頂点に立ち「○○時代」を築くのか、そこに負けじと琴勝峰らが割って入り「花の99世代」(1999年度生まれ)なる代名詞が誕生するのか-。いずれにせよ、今後の彼らの精進にかかってくる。(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)

原功「BOX!」

元クルーザー級王者ウシク 混戦状態ヘビー級頂点に立てるか

WBA、WBC、IBF、WBOという主要4団体の世界王座を統一した実績を持つ元クルーザー級王者、オレクサンダー・ウシク(32=ウクライナ)が、ヘビー級に殴り込みをかける。その転向初戦が12日(日本時間13日)、WBC22位のタイロン・スポーン(34=スリナム/オランダ)を相手に米国イリノイ州シカゴで行われる。主役と見られていた3団体王者のアンソニー・ジョシュア(29=英国)が6月に敗れたのを機に、一転して混戦状態となったヘビー級でウシクは結果を出すことができるのか。まずは12日の試合に注目したい。

ウシクはアマチュア時代に2度の五輪出場を果たし、08年北京大会では8強に甘んじたが12年ロンドン大会では91キロ以下のヘビー級で金メダルを獲得した。アマチュア戦績は350戦335勝15敗で、勝率は95パーセントを超す。ビタリ&ウラジミールのクリチコ兄弟が代表を務めるK2プロモーションズと契約して13年11月にプロ転向を果たし、6年間に16戦全勝(12KO)をマークしている。3年前に200ポンド(約90.7キロ)が体重上限のクルーザー級でWBO王座を獲得したあと階級最強決定トーナメント、「ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)」に参戦。18年1月の準決勝戦でWBC王者に勝利を収め、7月には決勝でWBA王座とIBF王座を持つムラト・ガシエフ(ロシア)にも完勝、4団体の王座統一を果たした。

身長190センチ/リーチ198センチというウシクの体格は元世界ヘビー級王者のモハメド・アリ(米国)とほぼ同じだが、大型化が進む現在のヘビー級トップ戦線では決して大きくはない。WBC王者のデオンタイ・ワイルダー(33=米国)は201センチ/211センチ、ジョシュアも198センチ/208センチある。元3団体王者のタイソン・フューリー(31=英国)は206センチ/216センチの特大サイズだ。この1年、ウシクはヘビー級にマッチした体をつくってきたはずだが、はたして何キロの体重でリングに上がるのか。中量級のような自在な動きとスピード、テクニックを身上とするサウスポーのウシクだけに、単純に体重を増やせばいいというわけにいかないのが悩ましいところだ。

転向初戦で対戦するスポーンは元キックボクサーで、4年半前に国際式に転向してからは14戦全勝(13KO)という戦績を収めている。体格は188センチ/189センチとウシクに劣るが、KO率93パーセントのパワーは侮れない。

ヘビー級トップ戦線は風雲急を告げる状況だ。このウシク対スポーンのあと11月23日にワイルダー対ルイス・オルティス(40=キューバ)のWBCタイトルマッチが決まっている。さらに12月7日にはジョシュアが3団体の王座奪回を狙って現王者のアンディ・ルイス(30=米国)との再戦に臨むことになっている。

転級して試運転を行う前からヘビー級でWBO1位、WBA2位にランクされているウシクは、大巨人たちが待ち受ける最重量級でも頂点に立つことができるのか。スポーン戦は期待と不安のなかでの試合になりそうだ。

大相撲裏話

霧馬山、憧れ横綱が突然兄弟子に 手本身近に成長を

霧馬山

ブレークの予感が漂う若手の十両力士が、思わぬ形で“横綱の弟弟子”になった。西十両4枚目霧馬山(23=陸奥)は目を丸くする。

「最初聞いたときは『え?』って思った。本当に急だったから」

先月16日に元関脇逆鉾の井筒親方が死去したことにより、横綱鶴竜(34)ら井筒部屋の力士3人と床山が陸奥部屋へ移籍。同じ時津風一門で連合稽古、巡業などで声をかけてもらったことはあったが、あまりの“急接近”に「今でもあんまり信じられませんね」と笑った。

23歳の霧馬山は、鶴竜と同じモンゴル出身。まだモンゴルに住んでいた小学生の頃、テレビで放送される大相撲中継で当時前頭だった鶴竜が相撲を取っていたことを覚えている。

「(幕内で)戦ってみたかったけど、教えてもらって強くなれる方がいいかな」

184センチ、129キロと細身ながら四つ身で力を発揮し、春場所の新十両昇進から着実に番付を上げて幕内を射程圏にしていた。そんなホープの上に、若手力士への指導に定評のある鶴竜が兄弟子として君臨する。

鶴竜も言葉に熱を込めた。

「(陸奥)親方に厳しく指導しろと言われているんでね。(霧馬山は)まだ体重で十両の上の方に負けているところはあるけど、いいものは持っていると思う」

7日に富山・砺波市で行われた秋巡業、朝稽古で霧馬山はおもりを持ったスクワットをするように指示された。「最初は軽いと思ったんですけど」と楽々とこなしていくが、回数をこなしていくうちに太ももが悲鳴。「もうめちゃくちゃきつかった。横綱にちゃんとした(スクワットの)やり方を指示されて、すごく効くんです」。

常に体を動かすことが性分だ。場所中も朝は20~30番相撲を取る。その日の取組が終わっても、動き足りない。部屋に戻っても40~50分、四股やすり足などの基礎運動で汗を流す。

「動いていた方が、体が軽く感じるというか、体のクスリになる」

稽古熱心な23歳は、最高のお手本が近くにいる今後を見据えて言った。

「横綱に教えられたことは他の人に言いたくないな。みんな強くなったら困るから」

強くなることを確信するように、期待に胸を躍らせて、霧馬山はちゃめっ気たっぷりに笑った。【佐藤礼征】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)

リングにかける男たち

王者京口紘人まだ14戦目、理想の追求へ成長は続く

2度目の防衛戦に向けて12回のスパーリングを行ったWBA世界ライトフライ級スーパー王者京口紘人(2019年9月10日撮影)

2度目の防衛戦を控えるWBC世界ライトフライ級王者京口紘人(25=ワタナベ)の12回スパーリングがあると聞き、試合3週間前の9月10日に所属のワタナベジムを訪ねた。

スパーリング直前、京口はおもむろに胸部を守るガードをつけ始める。「言っちゃだめだよ」とジムの渡辺会長。8月のフィリピン合宿の際、1階級上フライ級の世界トップランカー、ギエメル・マグラモとの激しいスパーリングで肋骨(ろっこつ)2、3番目の間の軟骨を骨折していた。パンチを打つ時、守る時、体を丸め、ねじる度に痛むだろうと予想された。

医師の診断は全治約3週間。その時既に痛みはなく、ガードは万が一の保護のためにつけているとのことだった。その日の12回のスパーリングもキレ味抜群。不安はないように見えた。それでも、体のことは本人にしか分からない。肋骨(ろっこつ)の状態を聞くと、「試合までは間に合う。それも含め実力。全然危惧(きぐ)していない」と言い切った。

防衛戦から一夜明け笑顔を見せるWBA世界ライトフライ級チャンピオン京口。左は井上トレーナー、右はワタナベジムの渡辺会長(2019年10月2日撮影)

10月1日の防衛戦で久田哲也に判定勝ちした後も、最後までそのけがのことを公の場では口にしなかった。一夜明けた2日、なぜ明かさなかったか聞くと、「なんか言い訳っぽくなるじゃないですか」と照れながら話した。京口担当となって1年弱。まだ言葉や態度に幼い面を感じることはある。ただ、今回はけがの件も含め、言動すべてでかっこいい世界王者であろうとする京口のプライドが感じられた。

17年7月にIBF世界ミニマム級王者となり、昨年大みそかにWBA世界ライトフライ級王座を奪取して2階級制覇を達成。それでもまだプロ14戦目だ。伸びしろは計り知れない。京口は言う。「ベースは確立していて、それにパーツを付け加えていく作業を追求していかないと」。

求めるのは「見てて目が離せない試合」。自分のお決まりの勝ちパターンに持っていくのではなく、相手のスタイルや試合の流れによって変化し、最終的に勝つ魅力的なボクシング。そのために、打ち方の種類、角度やタイミングなど技術の引き出しを増やすことにいま情熱を注いでいる。

今回の試合後、井上トレーナーはプロ47戦目だった挑戦者久田のうまさをたたえ、その上で「47戦した時の京口が見たいですね」と頬をゆるめた。世界王者の成長は続く。【高場泉穂】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける男たち」)

WBA世界ライトフライ級タイトルマッチ 京口紘人は久田哲也を判定で下し2度目の防衛に成功(2019年10月1日撮影)

原功「BOX!」

様々な思惑が見える ゴロフキンのIBF王座決定戦

17連続KOを含む20度の防衛を記録した元3団体統一世界ミドル級王者、ゲンナディ・ゴロフキン(37=カザフスタン)が5日(日本時間6日)、米国ニューヨークでIBF同級王座決定戦に出場する。相手は14戦13勝(10KO)1敗の戦績を残しているIBF1位のセルゲイ・デレビャンチェンコ(33=ウクライナ)。昨年9月、サウル・カネロ・アルバレス(29=メキシコ)との再戦で惜敗して無冠になったゴロフキンにとっては返り咲きの好機である反面、負ければ選手生命に影響を及ぼす可能性もある重要な試合だ。

もともとゴロフキンはWBA(スーパー王者)、WBC、IBFの3団体のベルトを保持していたが、昨年9月のアルバレスとの再戦(アルバレスが判定勝ち)を前にIBF王座を剥奪された。デレビャンチェンコとの指名試合に応じなかったというのが理由だった。それを受け10月にIBF王座の決定戦が行われ、デレビャンチェンコに12回判定勝ちを収めたダニエル・ジェイコブス(32=米国)が王座を獲得。今年5月、そのジェイコブスとアルバレスが統一戦を行い、アルバレスが12回判定勝ちで3団体の王座を統一した。ところが、アルバレスもデレビャンチェンコとの指名試合に応じる構えをみせなかったためIBFが王座を剥奪した。これが昨夏以降のIBFのミドル級王座を巡る動きだ。

これだけをみるとゴロフキンとアルバレスがデレビャンチェンコから逃げてきたように映るが、必ずしもそういうわけではない。極端な言い方をすれば、実績も知名度もあるゴロフキンとアルバレスにとってデレビャンチェンコはリスクがある反面、多くのリターン(報酬)が見込める相手とはいえなかっただけのことだ。こうしたなか今回、ゴロフキンが対戦に応じたのは、勝てば王座復帰が叶い、その先に大きなビジネスとなるアルバレスとの第3戦がおぼろげながら見えてくるからといっていいだろう。

かつて全階級を通じたボクサーの総合評価「パウンド・フォー・パウンド」で現役最強の声もあったゴロフキンだが、17年以降は5戦3勝(2KO)1敗1分と勝率が落ちている。KO率85パーセントを超す(41戦39勝35KO1敗1分)強打は37歳のいまも健在だが、最近の試合では被弾が目立つなど経年劣化の気配がみられる。今春、9年前から師事してきた指導者とコンビを解消し、前戦から新コーチのもとでトレーニングしているが、それがプラス効果をもたらすかどうか。

一方のデレビャンチェンコはニックネームこそ「テクニシャン」だが、実際の戦いぶりはファイターに近い。積極的に圧力をかけて距離を潰し、右ストレートや左ボディブローなどを矢継ぎ早に打ち込んでくる。1年前、ジェイコブスに惜敗後、スーパーウエルター級の元世界王者を判定で下して最上位に戻ってきた。

オッズは4対1、ゴロフキン有利と出ている。早い段階で歯車が噛み合えばパワー勝負になる可能性もある。そうなれば体格、経験値、一撃の破壊力で勝るゴロフキンのKO勝ちが濃厚だ。

ところで、ゴロフキンの宿敵ともいえるアルバレスは、特例でミドル級王座とスーパーミドル級王座を保持したまま11月2日(日本時間3日)、ライトヘビー級王座に挑戦することが決まっている。ゴロフキン対アルバレス第3戦実現の前には多くの壁がある状況だが、まずは先陣をきるかたちのゴロフキンがインパクトのある勝利で存在感を示すことが求められる。また、同じミドル級にはWBA王者の村田諒太(33=帝拳)もいる。ゴロフキンやアルバレスら世界的なスター選手たちの動向しだいではあるが、大きな試合が決まる可能性もある。

様々な意味でゴロフキン対デレビャンチェンコに注目したい。

リングにかける男たち

侮れないアマチュア、技術の高さはプロにも劣らず

全日本選手権東海地区予選で高山勝成を判定で破った三重県代表の宇津輝(2019年8月31日撮影)

相撲の担当もしている。秋場所は関脇御嶽海が、2度目の賜杯を手にした。9月23日、千秋楽からの一夜明け会見に行った時、へ~と思う言葉があった。

「大学の監督から教わったことで…」

3回ぐらい口にしたか。プロの大相撲で来場所には大関取りを目指そうというお相撲さんが、だ。それが悪いと言うつもりは毛頭ない。むしろ感心した。親方衆や先輩力士から「もっと稽古したら、もっと強くなる」と言われてもマイペースを貫き、結果を残してきた御嶽海に、あれこれ言わず“放任”する師匠の出羽海親方(元前頭小城ノ花)の懐の深さに。そして、アマチュア相撲という土壌の確かさに。

さて、ボクシングの話をします。

8月31日、岐阜工で全日本選手権東海ブロック予選に行った。元世界主要4団体ミニマム級王者の愛知県代表・高山勝成(36=名古屋産大)のアマ転向→東京五輪挑戦を取材するためだったが、高山が負けた。相手は三重県代表宇津輝(日大3年)。最高キャリアは久居高でインターハイ5位(ライトフライ級)だから…とても日本代表クラスとは呼べない。

ある先輩記者に言われた。「元世界王者が地方予選で全国的に有名でも何でもない若手選手に負けるって、どうやねん? 情けないんちゃうの?」

う~ん…とちょっと考えたが、反論した。

「いや、そんだけアマチュアが侮れんし、難しいんと違いますか」

アマチュアが侮れん根拠の1つは、プロボクシングの現状を見たら、わかる。

バンタム級で「モンスター」と世界的に認知されとる井上尚弥。

海外で層の厚さが圧倒的なミドル級で世界を取った村田諒太。

世界最速タイで3階級を制覇したWBOフライ級王者田中恒成。

プロ5戦目で世界を奪った2階級覇者のWBA世界ライトフライ級スーパー王者京口紘人。

五輪金メダリストの村田を筆頭に、みんなアマチュアからの転向者です。

私もボクシング取材はプロの現場がほとんどですが、一昨年秋、国体少年の部を取材して衝撃を受けました。フライ級の中垣龍汰朗(当時、宮崎・日章学園)バンタム級の堤駿斗(同、千葉・習志野)ライト級の今永虎雅(同、奈良・王寺工)ウエルター級の荒本一成(同、奈良・王寺工)。4人とも優勝し、現在は関東の大学リーグで活躍中ですが、その戦いぶり、攻守の技術の高さに「プロの8回戦でもいけるんちゃう?」とたまげたもんです…いや、全く素人目からみた感想なんですがね。

もうひとつ、アマチュアの難しさの根拠は、競技性の違いという点。プロは世界戦で最長3分×12回で、アマは3分×3回の短期決戦。実際、高山は「1回にペースを握られて、焦ってしまった。これが6回、10回あれば巻き返せるけど、1回取られたら、2、3回取らないと負けですから」と話してました。グローブは形状、重さとも違うし。

あと付け加えるなら、本来はミニマム級の高山が、五輪採用される階級を見越し、2つ上のフライ級で戦わなあかんかった不利さもあるでしょうか。

フィールドの最終的なレベルで言うなら、アマチュアよりプロの方が高いかもしれません。しかし、アマチュアで磨かれる技術の高さは、プロに決して劣るものではない。そこは間違いないんやないでしょうか。【加藤裕一】

(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける男たち」)

原功「BOX!」

スペンスに死角なし ウェルター級王座統一戦

 ウェルター級のIBF王者エロール・スペンス(29=米国)とWBC王者のショーン・ポーター(31=米国)が28日(日本時間29日)、米国カリフォルニア州ロサンゼルスで統一戦を行う。選手層の厚いことで知られるこのクラスにはWBAスーパー王者として6階級制覇のマニー・パッキャオ(40=比国)、WBO王者として3階級制覇のテレンス・クロフォード(31=米国)がおり、近い将来の4団体統一戦が期待されている。こうしたなかスペンスが次のステージに駒を進めるのか、それとも下馬評を覆してポーターが勝ち上がるのか。注目度の高い試合だ。

 12年ロンドン五輪ウェルター級ベスト8の実績を持つスペンスは、距離をとっても接近しても戦えるサウスポーの万能型で、25戦全勝(21KO)の戦績が示すとおりパンチ力がある。村田諒太(帝拳)に勝って一度はWBA世界ミドル級王者になったロブ・ブラント(米国)は無名時代にスペンスとスパーリングをした経験を持つが、「2階級の差があるのに彼のパワーはミドル級でも経験したことがないほどだった」と話している。また、同じくスペンスとスパーリングで手合わせしたことがあるフロイド・メイウェザー(米国)は「彼こそが私の後継者だ」と太鼓判を押したエピソードがある。

 現在、スペンスが保持するIBF王座は17年5月に英国遠征でケル・ブルック(英国)を11回KOで下して獲得したもので、これまで3度の防衛を果たしている。内容も圧倒的なものだ。初防衛戦では元2階級制覇王者のレイモント・ピーターソン(米国)を7回終了時点で棄権に追い込み、22戦全勝だった指名挑戦者のカルロス・オカンポ(メキシコ)は3分ちょうどで片づけた。今年3月のV3戦では5階級制覇を狙うマイキー・ガルシア(米国)の挑戦を受けたが、39戦全勝の相手に付け入るスキを与えず、120対108(二者)、120対107の完封勝ちを収めた。身長177センチ、リーチ183センチと体格にも恵まれており、現時点では死角が見当たらない。

 WBC王者のポーターはアマチュア時代はミドル級で活躍したが、プロ転向後はスーパー・ウェルター級からウェルター級に体を絞って成功を収めた。13年12月から14年8月までIBF王座に君臨したが、ブルックに敗れてベルトを失った。現在の王座は昨年9月に獲得したもので、今年3月には指名挑戦者に競り勝って初防衛を果たしている。戦績は33戦30勝(17KO)2敗1分。身長170センチ、リーチ177センチとウェルター級では小柄だが、上体を伸ばすようにして相手の懐に飛び込み、荒々しいフックを浴びせる戦闘スタイルで知られる。10ラウンド以上の戦いを14度も経験しており、スタミナとタフネスに定評がある。

 王者同士の統一戦だが、スペンスの評価が高いためオッズは7対1と大差がついている。

ポーターに飛び込む機会を与えず、逆にスペンスが圧力をかけて攻め落としてしまうだろうという予想が多い。勝者との対戦を望んでいるパッキャオやクロフォードも注目するなか、スペンスが下馬評どおりの強さを見せつけるのか。それともポーターが先輩王者としての意地を見せるのか。

リングにかける男たち

那須川天心は大人に変貌、試合に見た団体背負う覚悟

16日、志朗(左)に判定勝ちした那須川(撮影・中島郁夫)

雰囲気と話し方を見ていて「おやっ?」と思った。9月9日、新松戸のTEPPENジムで行われた那須川天心(21)の公開練習。同16日に、幕張メッセ・イベントホールで開催されるRISEワールドトーナメント決勝へ向けての、練習とインタビューの席だった。

実戦を見据えて多彩な攻撃を、わずか2分のミット打ちで那須川は披露した。そのあとの会見。おだやかな表情で、記者の質問に答えるときの那須川の目は、相手を包み込むような、余裕と自信をたたえていた。記者は他競技と掛け持ちで、6カ月ぶりぐらいの再会だったが、明らかに那須川は変わっていた。

会見では、格闘技界への危機感を語った。「全体的に意識が低いかな。現状に満足し過ぎている人が多いかなと思います。日本の格闘技がすごいと思いすぎている人が多い。今、日本人で外国でトップとやって勝てる人いないんです。もっともっと自分が世界に出て活躍したいとか、そういうことに気付いている選手が少ないでしょう」。

熱く語るわけではなく、淡々と、静かな語り口だが、その思いは強く伝わってきた。キックボクシングでプロデビューし、ガムシャラに頂点を目指してきた少年が、いつの間にか大人になっていた。というより、トップ中のトップ選手の風格、オーラを漂わせていた。総合格闘技のRIZINで名を上げ、地元ともいえるRISEで実績を積み上げてきた。両団体でトップに君臨する存在になって、那須川は自分のことだけでなく、自分が属する団体や競技の将来を考えるようになっていた。

それは試合にも出ていた。自身初の世界一の座を懸けた志朗との決勝で、那須川は3回3-0の判定勝ちを収めた。派手なKOや決定打はほぼなかったが、終始相手に圧力をかけ、相手にはほとんど打たれない完璧な試合運びだった。試合後、那須川の顔は、腫れやアザが全くなく、きれいなままだった。

「今までにない、頭を使った試合だった。志朗君は、すごく研究して、その対策を最後まで貫いた。強い選手だった。今は、ジャイアントキリングブームで、それをさせないように戦った。盛り上がっているときに、ぱっといってやられるのが一番ダメなパターンだから。最後、やっぱり主人公が勝つというストーリーが見せられた」と那須川は胸を張った。

那須川の前の試合で、61キロ以下級で優勝した白鳥大珠(23)も、ワールドシリーズを通じて成長し、トップスターの仲間入りを果たした。16日のRISE大会は、2人の若者の成長を目の前で見られた貴重な大会だった。【桝田朗】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける男たち」)

16日、志朗を下しポーズを決める那須川(撮影・中島郁夫)
大相撲裏話

隆の勝「僕も乗ってます」仲良し明生の活躍横目に

4日目に霧馬山(左)を破った隆の勝(撮影・河田真司)

幕内での活躍と同時につくばエクスプレスでの「電車通勤」に注目が集まる明生を横目に、十両隆の勝(24=千賀ノ浦)がつぶやいた。「僕も、たまに乗っているんですよ」。千葉・柏市出身。帰省の際には部屋の最寄り駅である南千住駅から、柏の葉キャンパス駅までつくばエクスプレスを利用している。昨年9月に発行されたつくばエクスプレスの広報誌「TXかわら版」でも地元力士として紹介された。明生とは巡業の支度部屋では隣同士で寝るなど仲もいいだけに「負けていられないですね」と意識していた。

自身も来場所の返り入幕は確実だ。右膝の負傷などでここ5場所は幕内から遠ざかっているが、今場所は東十両2枚目ですでに9勝。今場所前から敬遠していたウエートトレーニングをやり始め、細かい筋肉がついてきたとか。ライバルに負けない活躍を、虎視眈々(たんたん)と狙っている。【佐藤礼征】

大相撲裏話

大相撲中継で名実況「あ、行司が消えた」

豪栄道と朝乃山の取り組みで土俵下に落ちた行司の木村玉治郎(撮影・丹羽敏通)

秋場所6日目、NHK大相撲中継で名実況があった。朝乃山-豪栄道戦、取組中に行司の木村玉治郎が足をもつれさせて転倒し、土俵下に落ちていった。NHKの佐藤洋之アナウンサーは、こう実況した。

「張っていきました豪栄道、もろ差し狙いだ。巻き替えた朝乃山、右四つ。豪栄道が左の前まわしを引いている。あ、行司が消えた。上手投げ~、勝ったのは朝乃山。朝乃山が勝ったんですが、玉治郎が土俵の外に吹っ飛ばされてしまいました。朝乃山、これで連日の殊勲の星です」

文字通り、玉治郎は画面中央から左へ、サッと消えた。「転倒した」「つまずいた」ではなく「消えた」と表現した言葉選びのセンス、適度に驚く抑揚、ハプニングに固執せず朝乃山の白星をたたえてフォローするなど、アナウンスの技量が凝縮され、機転が利いていた。

NHKアナウンサーの話を総合すると、実況する時は、土俵を直接見るよりも、モニターを見る方が多いという。というのも、複数のカメラで撮影された映像が切り替わるため、適宜反応しなければならないからだ。土俵でなく、視聴者と同じ画面を見ていたからこその「消えた」なのかもしれない。

AbemaTVの大相撲LIVEで実況を務めるフリーアナウンサーの清野茂樹氏は「『行司が消えた』は名実況だと思う。巻き戻して何度も見てしまった」と指摘し「最初に聞いた時はびっくりしました。取組以外のことは言わないという選択肢もあり、取組後に言ってもよかったのかもしれません。でも、記憶に残るという時点で名実況。すごくよかったと思います。速い相撲の中でズバっと言った。条件反射で言ったと思いますね」と解説。佐藤アナは同業者もうならせた。

実況だけでなく、審判や呼び出しもプロだった。

この一番で、赤房下の審判を務めた竹縄親方(元関脇栃乃洋)は、目の前を横切って消えた玉治郎に目もくれず、土俵上の力士2人を凝視し続けた。これについて聞くと「相撲を見る方が仕事だから」ときっぱり。目の前に玉治郎が落ちてきながらも水おけを守った呼び出しの照矢は、こう締めくくった。「びっくりしましたが、みんな無事で良かったです」。

【佐々木一郎】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)

原功「BOX!」

アルバレス4階級制覇なるか コバレフは危険な相手

現役ボクサーのなかで「最も稼ぐ男」として知られるサウル・カネロ・アルバレス(29=メキシコ)が11月2日(日本時間3日)、米国ネバダ州ラスベガスでWBO世界ライトヘビー級王者のセルゲイ・コバレフ(36=露)に挑むことが決まった。アルバレスはスーパーウエルター級、ミドル級、スーパーミドル級で世界王者になっており、勝てば4階級制覇となる。ただ、「クラッシャー(破壊者)」の異名を持つコバレフは76パーセントのKO率を誇る強打者だけに、アルバレスにとってはリスクの高い冒険マッチといえそうだ。

現在もミドル級のWBAスーパー王座とWBAスーパーミドル級王座を同時に保持しているアルバレスは、昨秋にDAZNと「5年間に11試合、総額3億6500万ドル(当時のレートで約412億円)」という超大型契約を結んだ。1試合につき約37億円が保証される好条件だが、代わりに強敵とのマッチメークが続くハイリスクの契約でもある。事実、12月の初戦ではWBAスーパーミドル級王座への挑戦試合が組まれ(3回TKO勝ちで戴冠)、今年5月の第2戦ではIBFミドル級王者のダニエル・ジェイコブス(32=米)との統一戦がセットされた(12回判定勝ち)。この2試合でアルバレスは3階級制覇とミドル級3団体王座統一を果たしたが、のちにミドル級のIBF王座は剥奪され、WBCからは「フランチャイズ(特権)王者」にスライドさせられた経緯がある。それでも、このまま2階級の王座を保持したままコバレフに挑んで勝った場合、3階級の王座を同時に保持する可能性があるわけだ。

そんなアルバレス(55戦52勝35KO1敗2分)だが、コバレフ(38戦34勝29KO3敗1分)は文字どおり大きな壁になるかもしれない。米国を主戦場にしているコバレフは10年前のプロデビュー時からライトヘビー級で戦っており、この階級の主ともいえる存在だ。13年8月以降の16戦はすべて世界戦(13勝10KO3敗)で、3度の戴冠を果たしている。身長173センチ/リーチ179センチのアルバレスに対しコバレフは183センチ/184センチと体格でも大きく勝る。体重もライトヘビー級はミドル級よりも約7キロ、スーパーミドル級よりも約3キロ重い。アルバレス自身も「コバレフは大きくて危険な強打者」と認めているが、「だからこそリスクと向き合って挑戦する意味がある」とも話している。

アルバレスにとって危険なカードには違いないが、試合が発表された直後のオッズは9対2で挑戦者有利と出ている。直近の7戦でコバレフがアゴとボディの打たれ脆さを露呈して3敗(2KO負け)していることが理由だと思われる。ボディ攻撃が巧みなアルバレスがコバレフの弱点を突いて攻略してしまうだろうという見方が多いのだ。

予想どおりの結果になるのか、それともアルバレスの冒険が失敗に終わるのか。ゴングが待ち遠しい。

大相撲裏話

歴代2位の11回目 不戦勝が魁聖の活力源

青狼の休場により不戦勝の勝ち名乗りを受ける魁聖(撮影・小沢裕)

東前頭4枚目の玉鷲(34=片男波)と東十両8枚目の魁聖(32=友綱)が、不戦勝で星を伸ばした。玉鷲は鶴竜、魁聖は青狼と取組予定だったが相手が休場。実はこの2人、不戦勝の回数が歴代1位と2位タイ。玉鷲は5日目の逸ノ城戦に続く今場所2回目で通算13回目、魁聖は11回目となった。

出羽錦と並ぶ1年半ぶり不戦勝に魁聖は「コツは他のことでツイてないことかな」と笑うが、すぐに真顔で「幕内上位で取ることが多かったから」と話した。結果も内容も問われる上位は途中休場も多く、その副産物だと分析する。玉鷲は「お客さんに相撲を見せられず残念」と話した。

この1年半の間に、玉鷲に追い越された魁聖は「名前を残したい。また幕内の上位に」と活力源となっている。魁聖は現在も継続中の横綱戦37連敗という、不名誉な1位記録も保持。「そっちは抜かれないと思うけど…」。【高田文太】

リングにかける男たち

日本王者5人所属の三迫ジム、名門復活へ今後が勝負

左からミニマム級田中教仁、バンタム級鈴木悠介、フェザー級佐川遼、三迫貴志会長、ライト級吉野修一郎、ライトフライ級堀川謙一の三迫ジムの日本王者

5人の王者が並ぶとやはり壮観だ。三迫ジムにとって現役最多を更新する日本王者が誕生した。昨年1月のミニマム級田中教仁(34)、昨年2月のライトフライ級堀川謙一(39)、7月のバンタム級鈴木悠介(30)、17年10月のライト級吉野修一郎(27)にフェザー級佐川遼(25)が加わった。鈴木が王座獲得時でジム最多だった。躍進著しい。

プロボクシングは1人が年間3、4試合程度しかできない。他競技も当たり前になったが、昔からランキングというシステムで、マッチメークという独特方法で試合を決める。1試合の重み、勝ち負けが大きい個人競技。相乗効果はあるが、これだけ同時はなかなかない。

佐川は天才肌の阿部麗也(26=KG大和)に判定勝ちした。下馬評を覆す9戦目での王座獲得は3-0の判定。採点は1、2ポイント差だったが、スコア以上の完勝だった。東農大出身で技術力は認められていたが、阿部は日本王座挑戦前に世界ランク入り。前回の初挑戦は引き分けも、センスのよさは高評価だった。

佐川は長身でリーチを生かし、先手でジャブを突き、右ストレートを打ち込み、阿部に入り込ませなかった。地味な技術戦にはなったが、作戦を遂行しきった。文句のつけようのない勝利だった。

ジムは毎月1日にプロ全選手が集合してミーティングを開いているそうだ。三迫貴志会長を中心に選手からも忌憚(きたん)のない意見をかわす。プロの個人競技では珍しいが、ジムの結束力となり、5人王者誕生にも結びついたと言えるだろう。

加藤健太トレーナー(33)の存在も大きそうだ。プロボクサーだったが網膜剥離で引退し、12年から三迫ジムのトレーナーになった。他ジムながらも東京を練習拠点に移したWBC世界ライトフライ級王者拳四朗(BMB)も指導。現役では最多の6度防衛中が、その指導能力の高さを示している。

名門ジムと言えば、歴史と実績=世界王者を何人輩出したかがバロメーター。協栄ジム13人、帝拳ジム12人、ヨネクラジム5人、角海老宝石、ワタナベ、大橋の3ジムが4人輩出し、三迫ジムなどが3人で続く。

8月に大会長と呼ばれた三迫仁志会長が亡くなった。輪島功一らを育て、プロモーターとして手腕を発揮した。昭和の時代は協栄、帝拳、ヨネクラと4大ジムが引っ張った。平成だった2年前にヨネクラは閉鎖。令和となった現在、4つのジムの世界王者はWBAミドル級の村田諒太しかいない。

14年に跡を継いだ長男貴志会長も海外で積極的にマッチメーク。佐川も前戦でマニラでの地域王座獲得が成長にもつながった。移籍組のベテランも多いが、日本は世界へのステップも共通認識。世界再挑戦を期すライト級小原佳太もいる。三迫が名門復活と言えるか、本当の勝負はこれからの勝負となる。【河合香】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける男たち」)

大相撲裏話

嘉風引退に角界ショック 影響力の強さ感じさせた

嘉風(19年3月撮影)

関取最年長で元関脇の十両嘉風(37=尾車)が秋場所5日目の12日に日本相撲協会へ引退届を提出し、角界にもショックが広がっている。

5日目の取組後、支度部屋で「嘉風引退」を知らされると、ほとんどの関取が目を丸くしていた。年齢の近い琴奨菊は「本当にいいアドバイスをくれるんだよね。『自分を貫き通せ。(周りの意見は)全部聞き流せ』とか、なかなか言ってくれる人いないよ」。大関復帰を目指す貴景勝も影響を受けた1人だ。「自分がベラベラしゃべるものじゃない。軽くなっちゃうから」と前置きした上で「30代で真っ向勝負。自分も嘉風関の押し方をまねしたこともある」と打ち明けた。初めて幕内上位に上がったときは「上位の先入観にとらわれるな」と言葉をもらったという。幅広い年代からの支持が、影響力の強さを感じさせた。

【佐藤礼征】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)

大相撲裏話

天国に旅立ったムギのために活躍届ける荒汐部屋勢

「荒汐部屋のモルとムギ」発売記念イベントで、若い衆の大部屋でファンと交流するムギ(16年10月撮影)

荒汐部屋の看板猫「ムギ」が5日に死んだ。部屋の若い衆によると7月に容体を崩し、足に腫れが見られたという。最初に連れて行った病院では「肉離れ」と診断されたが、食欲が出ないなど体調が回復せず、他の病院での検査で悪性腫瘍と判明。部屋でムギと最も仲が良かったという福轟力は6日、ツイッターで「肺の腺癌でした」とつづった。ムギは同じ飼い猫の「モル」とともに荒汐部屋で暮らしていた。テレビやSNSで紹介され人気を博し、16年にはモルとムギ、部屋の力士が登場する写真集「荒汐部屋のモルとムギ」(リトル・モア社)が発売されるなど、一部でブームを巻き起こした。

突然の別れに部屋で一番の兄弟子、十両蒼国来(35)は「悲しいね。本当に何を言っていいのか分からなかった…」と肩を落としていた。涙を流す若い衆もいたという。その影響か、蒼国来によると「みんな気合が入っている。特に幕下が調子が良くて、期待大だね」と熱弁。部屋全体で4日目終了時点で15勝11敗と白星が先行。天国に旅立ったムギのためにも、活躍を届けたい荒汐部屋勢だ。

【佐藤礼征】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)

原功「BOX!」

統一王者ロマチェンコとデービス 直接対決に現実味

階級を超越したボクサーの総合的偏差値ともいえる「パウンド・フォー・パウンド(PFP)」で現役最強の評価を得ているライト級3団体統一世界王者、ワシル・ロマチェンコ(31=ウクライナ)に、注目すべきライバルが現れた。前WBA世界スーパーフェザー級のスーパー王者、ジャーボンテイ・デービス(24=米)だ。21戦全勝(20KO)という驚異的なKO率を誇るデービスは、このほどライト級に転向。いきなりWBA1位にランクされた。

WBAとWBOライト級王者だったロマチェンコは8月31日、12年ロンドンオリンピック(五輪)金メダリストのルーク・キャンベル(31=英)を12回判定で退け、空位になっていたWBC王座も獲得し、3団体のベルト保持者になった。翌9月1日付でWBAランキングが発表されたが、ロマチェンコは月間最優秀選手に選ばれた。それ以上に注目すべきは、デービスがスーパーフェザー級王座を返上してライト級に転向、いきなり1位にランクされたことである。

もともとデービスはロマチェンコとの対戦希望を口にしてはいたが、プロモーターや階級が異なるため、仮に対戦が実現するとしても2~3年先になるだろうとみられていた。それが今回の転級によって一気に直接対決が現実味を帯びてきたといえる。

デービスはアマチュアで220戦(205勝15敗)を経験後、13年2月にプロデビュー。17年1月にIBF世界スーパーフェザー級王座を獲得した。このときはV2戦を前に体重オーバーのため計量で失格してベルトを失ったが、昨年4月にWBAのスーパー王座を手に入れた。今回の返上を前に2度のKO防衛を果たしている。身長は170センチのロマチェンコよりもさらに小さい166センチのデービスだが、距離を潰しながら積極的に仕掛け、左構えから回転の速い左右のフックやアッパーを顔面とボディに打ち分ける攻撃的なスタイルを確立している。ニックネームは「TANK(装甲戦車)」。計量で失格になった試合も含め世界戦では6試合すべてをKOで終わらせている。5階級制覇王者のフロイド・メイウェザー(米)がプロモーターを務めるなど話題性もある。

同じサウスポーのロマチェンコはアマチュアで五輪と世界選手権を連覇し、プロでは3階級制覇を成し遂げている。戦績は15戦14勝(10KO)1敗。「ハイテク(高性能)」のニックネームどおりスピードと攻防のテクニックに長けている。

そのロマチェンコはライト級で主要4団体制覇を目標に掲げているが、残るIBF王座を持つリチャード・コミー(32=ガーナ)は12月に防衛戦を控えている状況だ。仮にロマチェンコとIBF王者の最終統一戦が実現するとしても早くて来春ということになる。その前にロマチェンコ対デービスが実現するのか、それとも4団体統一後に両雄の対決が見られるのか。ロマチェンコ、そしてデービスの今後に要注目だ。

大相撲裏話

台風余波 前泊力士はリラックス…しすぎて負けた

台風15号の影響で混乱するJR新木場駅=9日午前11時半(撮影・鹿野芳博)

9日の台風15号は、相撲界にも大きな影響を及ぼした。取組は30分遅らせて午前9時10分開始。それでも電車のダイヤが乱れた影響で、序ノ口から取組に間に合わない力士が続出した。序ノ口が4人、序二段が10人、三段目が1人。千葉・鎌ケ谷市の朝日山部屋、同松戸市の佐渡ケ嶽部屋など、墨田区の両国国技館から離れた地域の部屋の力士が多かった。計15人、13取組を後に回す特別措置を取り、不戦敗などにはしなかった。

茨城・つくばみらい市の立浪部屋は、序二段1人が遅れただけだった。部屋関係者は「つくばエクスプレスの終点、秋葉原から歩いた力士も何人かいた」と、約2キロを自力で移動していたと明かす。この日は普段見かけない街中にも、力士が出現したようだ。

前泊した部屋もあった。西武線沿線に唯一構える、埼玉・所沢市の二子山部屋は、東京・台東区のホテルに全9人の力士が宿泊した。9人中8人が2日目に取組があったため、全員がシングルルームに宿泊。相撲部屋は関取になるまで個室を与えられないことが多い。久々のプライベート空間を体験し、同部屋の若い衆の1人は「リラックスできたけど、リラックスし過ぎて負けました…」と頭をかいた。取組に遅れた力士は15人中11人が白星。準備万全だから勝てるものでもないようだ。【高田文太】

リングにかける男たち

井上尚弥に「刺激」最強王者のパートナーとスパー

井上尚弥のスパーリング相手として来日したジャフェスリー・ラミド

ワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)決勝(11月7日、さいたまスーパーアリーナ)を控えるWBA・IBF世界バンタム級王者井上尚弥(26=大橋)は今週から第2次スパーリングに突入した。米老舗ボクシング誌「ザ・リング」が選定するパウンド・フォー・パウンド(階級を超越した最強王者)ランキング1位の3団体統一ライト級王者ワシル・ロマチェンコ(31=ウクライナ)の練習パートナーを務めるジャフェスリー・ラミド(19=米国)と約1カ月間、拳を交える。5階級制覇王者のWBAスーパー王者ノニト・ドネア(36=フィリピン)との決勝に備え「強力助っ人」を呼び寄せた。

所属ジムの大橋秀行会長(54)によれば、ラミドは20年東京オリンピック(五輪)米国フェザー級代表候補で、全米アマチュア同級ランキング2位に名を連ねる。10月に同級ランキング1位との代表選考会が予定されており、その強化の意味も込めてラミド陣営からスパーリングの申し込みがあったという。米カリフォルニア州オレンジ郡を拠点とするフィリピン系米国人のラミドは、どちらかと言えば優しい顔立ち。大橋会長は「以前の私の経験から言えば、あの雰囲気の顔で弱かったボクサーは誰もいない」と、静かに燃えるラミドのオーラを感じ取っている。

昨年から2度、ラミドはロマチェンコの練習パートナーを担当している。ボクシングは1回3分間だが、ロマ流スパーは1回4分間。その過酷な設定であっても、1日に9回を任されていたという。計150回以上のラウンド数を消化してきたが、ロマチェンコに倒されることがなかったそうだ。ラミドの関係者は「ロマチェンコは3人のパートナーを呼ぶが、ラミド以外の2人は、3ラウンドももたなかった」と明かした。

9月上旬に来日済みで、大橋ジムで時差調整を兼ねてトレーニングを積んでいる。他選手とのスパーリングをチェックした井上は「うまいですよ。アマチュアの選手なので。うまさはすごくあります」と実力を認める。対ドネア対策という意味では「スタイルが似ているかと言えば、そうではないですけれど」と前置きした上で「自分の引き出しの多さを試すには良いパートナーです」と楽しみにしている様子だった。

8月下旬、井上は「刺激が欲しい」という内容をSNSにつづった。WBSS決勝発表会見では、他ジムへの出げいこにも興味を示すほど触発されるものを求めていた。最強王者の練習パートナーは、モンスターにとって「刺激」になるのか。報道陣には、ラミドとのスパーリングが公開されることはないが、井上の言動を追って確認していきたい。その刺激度の高さが、WBSS決勝に向けた仕上がりにも影響することは間違いないからだ。【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける男たち」)

スパーリングを行う井上尚弥