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au版ニッカン★バトル

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大相撲裏話

朝乃山が出題!若い衆を「だきまくってます」の意味

朝乃山(2019年7月7日)

「今日はオレが、だいてやる」。何とも妖艶な香りが漂う言葉を発していたのは、東前頭筆頭の朝乃山(25=高砂)だ。先場所の初優勝で人気、知名度ともに大幅に上がっただけに、ファンが色めき立ちそうなフレーズだが、実はこれ、朝乃山の故郷富山県の方言。「だいてやる」は「おごってやる」と意味だった。冒頭の言葉は「意味分かりますか」と、報道陣にクイズ形式で出題したものだ。

朝乃山は近大時代は大阪で、高砂部屋入門後は東京で過ごしてきた。冒頭の言葉を言われた際には「一応『どっちの意味ですか』って聞きます。決まって『おごってやる』という意味ですが」と笑って明かした。先場所の優勝賞金は貯金したしっかり者。それでも気分転換を兼ね「だきまくってます」と、若い衆を連れだって食事に行っている。

現在は「人前で話す時、なまらないように気を付けている」と、地元の友人、家族らと話す以外、方言を出さないように気を付けている。優勝後に帰郷した際には、旧知の年配女性から「だいてやる」と言われたが、冗談で「無理、無理」と即答。「ばかもん、富山弁の方じゃ」と返され、笑いに包まれたという。多忙な中で故郷を感じ、癒やされたようだ。【高田文太】

原功「BOX!」

旧ソ連勢の統一戦グウォジクVSベテルビエフはKO決着濃厚

17戦全勝(14KO)のWBC世界ライト・ヘビー級王者オレクサンダー・グウォジク(32=ウクライナ)と、14戦全KO勝ちのIBF同級王者アルツール・ベテルビエフ(34=露)が18日(日本時間19日)、米国ペンシルベニア州フィラデルフィアで拳を交える。主要4団体の王者同士の統一戦は近年になって増加傾向にあるが、旧ソ連勢のカードは珍しい。総合力は互角だが、ともに強打が売りだけにKO決着が濃厚だ。

WBA、WBC、IBF、WBOの4団体の王者同士による統一戦は今年、9月末日時点で5例を数える。バンタム級の井上尚弥(大橋)対エマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)、スーパー・バンタム級のダニエル・ローマン(米国)対TJドヘニー(アイルランド/豪)、スーパー・ライト級のホセ・ラミレス(米国)対モーリス・フッカー(米国)、ウェルター級のエロール・スペンス(米国)対ショーン・ポーター(米国)、ミドル級のサウル・カネロ・アルバレス(メキシコ)対ダニエル・ジェイコブス(米国)で、いずれも前者が勝利を収めている。このほか団体内の統一戦や階級の異なる王者同士の対戦も3試合ある。

高い次元で技量が接近しているためか凡戦もあるが、井上対ロドリゲスのようにスリルに富んだ好勝負が多い。今回のグウォジク対ベテルビエフもKO決着が間違いないとみられている。

WBC王者のグウォジクは12年ロンドン五輪ライト・ヘビー級で銅メダルを獲得後、14年2月にプロ転向。米国西海岸をホームに定めて着実に実力を伸ばし、昨年3月にWBC暫定王座を獲得した。12月に団体内統一戦で勝利を収めて正王者に昇格。今回の統一戦が3度目の防衛戦でもある。左ジャブで切り込んで右ストレートに繋げる正統派の強打者だが、耐久面が不安視されている。

IBF王者のベテルビエフもアマチュア出身者で、メダル獲得は逃したが08年北京大会、12年ロンドン大会と2度の五輪出場を果たしている。13年6月にカナダでプロデビューし、ハンマーのような左右の強打でKOの山を築いてきた。2年前に戴冠を果たしたが、故障やビジネス上の摩擦もあって17年と18年は防衛戦を1度ずつ行っただけで試合枯れ状態にあった。今年になって大手のトップランク社と契約を交わし、さっそく大きな試合に恵まれた。攻撃偏重のファイター型だが、攻め急ぐあまり被弾してダウンを喫したこともある。

ベテルビエフのディフェンスの甘さがマイナス要因とみられているためか、オッズは6対5の小差ながらグウォジク有利と出ている。強打者同士のチャンピオン対決だけに初回からスリリングな試合が期待される。短期決着ならばベテルビエフ、長引けばグウォジクといったところだが、展開予想の難しいカードだ。

リングにかける男たち

“氷の皇帝”が日本帰還 何歳でも戦ってほしい男

12月29日のベラトール日本大会での対戦が決まったエメリヤーエンコ・ヒョードル(左)とクイントン・“ランペイジ”・ジャクソン

何歳になってもファイトが見たい。そんな総合格闘家と言っていい。何度か米メディアで報じられてきた「氷の皇帝」の日本“帰還”が、ついに発表された。

19年12月29日、米総合格闘技ベラトールの日本大会初開催(さいたまスーパーアリーナ)に合わせ、元PRIDEヘビー級王者エメリヤーエンコ・ヒョードル(43=ロシア)が15年大みそかのRIZIN旗揚げ大会以来、4年ぶりに日本で試合に臨むことが決まった。対戦相手もPRIDEで活躍してきたクイントン“ランペイジ”ジャクソン(41=米国)に決定した。9日には都内のホテルで記者会見に臨んだ。

ヒョードルは「年末に日本でファイトすることは大事なこと。ロシアでは、年末にヒョードルが日本で戦っていることが『伝統』として認知されている。素晴らしい年明けを迎えられるように、29日に向けて準備していきます」との意気込みを示した。

1度引退している。12年6月、母国での興行でベドロ・ヒーゾ(ブラジル)との対戦(KO勝ち)後に現役引退を会見で口にした。引退後は母国のスポーツ省特別補佐官などを務めていたが、RIZINの設立などに合わせ、15年の年末に現役復帰。18年からはベラトール世界ヘビー級GPに参戦し、元UFC同級王者フランク・ミアやUFCで人気を誇ったチェール・ソネン(ともに米国)を下してGP決勝まで進出した。PRIDE時代を思い出させる快進撃だった。

今年1月のGP決勝ではUFCヘビー級で活躍したライアン・ベイダー(米国)の左フックに散った。衝撃的な35秒KO負け。秒殺されていたこともあり、ヒョードルは2度目の引退時期についても言及。「そろそろ引退する時期かもしれない。(ベラトール代表)スコット・コーカーから最後のツアーをやるとの話が来て、年齢とともに(引退が)明確に見えてくるのではないか」と口にした。

「引退ツアー」としてヒョードルと3試合契約を結んだコーカー代表は「スタッフは来年1月のロサンゼルス大会にこのカードをやるべきだと言っていたが、私が日本で組むと主張した」と説明。ヒョードルの日本ラストマッチになることを強調した。ベラトール日本大会に全面協力するRIZINの榊原信行実行委員長は「往年のファンのプレゼント。タイムスリップしたような時間を感じてもらう機会になればいい」。ベラトールはケージ(金網)での試合が主流だが、今回はPRIDEをほうふつさせるリングでの試合もプランにあるという。

ヒョードルは「私にとって日本という国、日本のファンのみなさんは非常に大切な存在。いつもサポートしてくれてありがとうございます」と感謝の言葉を口にした。PRIDE勢の主力選手の中で、ただ1人、UFCに参戦しなかったファイター。ロシア人でありながら、日本の選手にように感情移入し、ロマンを感じてしまうところだ。

体力のピークはとっくに去っている。00年の日本デビューから約19年。ファンが見たいのは「氷の皇帝」「60億分の1の男」たる生きざまだと思う。1度引退した立場にあり、すぐに2度目の引退をすぐに決める必要はないと考える。おそらく日本ラストマッチになるに違いない。しかし世界のファンが求める限りは、何歳になっても戦ってほしい。【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける男たち」)

大相撲裏話

将来性楽しみな琴勝峰ら「花の99世代」誕生なるか

新十両昇進会見で琴手計から改名したしこ名を披露する琴勝峰

また一人、生きのいい関取が誕生した。大相撲九州場所(11月10日初日、福岡国際センター)の番付編成会議で、新十両昇進を決めた琴手計改め琴勝峰(20=佐渡ケ嶽)だ。場所前に20歳を迎えた若武者は、西幕下4枚目で臨んだ秋場所で4勝3敗ながら、番付運にも恵まれて関取の座を射止めた。

190センチ、160キロの恵まれた体を武器に、初土俵から所要12場所のスピード昇進。突き、押しを基本に組んでも、右四つから馬力を生かして前に出る相撲が身上だ。番付に初めてしこ名が載った序ノ口で優勝決定戦に臨んだ際の取材ノートには、目指す力士像として「当たって攻めて崩して攻めて、と相撲に流れがあるから」と鶴竜と妙義龍の名前が記されていた。新十両昇進会見でのそれは、兄弟子の琴奨菊になっていたが、いずれにせよ先代佐渡ケ嶽親方(元横綱琴桜)のような猪突(ちょとつ)猛進の相撲で今後も上を目指す。改名したしこ名にも「勝ってテッペン(=横綱)を目指す」の意味が込められている。

角界でささやかれる世代交代の波は、ここ2、3年で一気に押し寄せてきた。関取のほぼ3人に2人が平成生まれとなり、横綱・大関の平均年齢が32・2歳(秋場所番付)と過渡期にあって、この琴勝峰らの新十両昇進は1つのターニングポイントになる可能性を秘める。

九州場所での新十両昇進を同時に決めたのが、あの元横綱朝青龍のおいにあたる豊昇龍(20=立浪)だ。高校こそ日体大柏で埼玉栄の琴勝峰とは異なるが同学年。この学年には、さらに九州場所では幕下1ケタに番付を上げるであろう、関取予備軍の元横綱大鵬の孫にあたる納谷(19=大嶽)、塚原(10月12日で20=春日野)、幕下入りを目指す光宗(20=阿武松)の「埼玉栄カルテット」らが名を連ねる。高校時代にしのぎを削ったライバルに先を越され、納谷らの尻に火がつくことは間違いない。

そんなライバルたちの動向について、琴勝峰は「(入門以降は)自分でやることをやるだけだった。ちゃんと稽古をしていれば番付は上がると思っていたから、意識はなかった」という。序ノ口から先場所までの11場所で負け越しは1場所だけ。54勝23敗とハイペースで白星を重ねてきたが、初土俵が1場所遅い豊昇龍と納谷も49勝21敗で負けじと出世街道をひた走ってきた。

同年代のライバルが何人もいるのは強みだ。ライバルとの出世争いに「意識しなかった」と無表情で語る本人の言葉をヨソに、師匠の佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若)は満面に笑みを浮かべながら、正直な胸の内を語っていた。「私は気にしていましたよ。必ず1番で(十両に)上げてやると。あの(世代の)中で絶対に1番でと。彼ら(ライバルたち)の相撲も見てました」。その気持ちは、単に自分の弟子1人の出世だけを考えてのことではない。「一番最初に上がったことで納谷や塚原も『早く追いつきたい』といいライバル心になるでしょう。その年代が(上位に)上がって相撲界を盛り上げてくれればうれしい」。角界全体の活性化を望む気持ちだった。

プロ野球で輝かしい光を放ったのが「松坂世代」。現在の女子ゴルフでは「黄金世代」、サッカー界でも「プラチナ世代」などの言葉が一時代を築いてきた。角界にもかつて「栃若」「柏鵬」「輪湖」などの○○時代、同期生で横綱、大関らを多数輩出した「花のニッパチ」「サンパチ」「ロクサン組」などの代名詞が時代を彩ってきた。果たして数年後、大横綱のDNAを受け継ぐ豊昇竜と納谷が頂点に立ち「○○時代」を築くのか、そこに負けじと琴勝峰らが割って入り「花の99世代」(1999年度生まれ)なる代名詞が誕生するのか-。いずれにせよ、今後の彼らの精進にかかってくる。(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)

プロレスの月曜日

「100年に一人の逸材」棚橋弘至20年を振り返る

新日本プロレスのエース「100年に一人の逸材」棚橋弘至(42)が、10月10日にデビュー20周年を迎えた。ヤングライオン時代から、数々の故障を乗り越え復活した最近の姿まで、プロレス界のV字回復の立役者となった逸材の歩みを、日刊スポーツ秘蔵の写真とともにふりかえります。

◆棚橋の歩み◆

99年 10月10日後楽園大会の真壁伸也(刀義)戦でデビュー。

00年 9月の栃木大会で左手骨折し、長期欠場。

00年、真壁伸也の腕を固める

01年 4月19日の後楽園大会で復帰し、ヤングライオン卒業。

02年 G1初出場。11月28日、女性に刃物で刺され、12月に丸刈り姿で会見。

02年、女性に刺されてから初めて公式の場に姿を見せ、背中に2カ所ある傷を報道陣に公開

03年 U-30(30歳以下限定王座)を提唱し、4月に初代王者となる。6月、吉江豊とIWGPタッグ戴冠。

03年7月、新日本プロレス・大阪大会 流血させられた棚橋弘至(下)は魔界4号に首をしめられる

04年 6月、IWGPヘビー級王者ボブ・サップとのカードが直前に消滅。

04年6月、新日本プロレス・大阪大会 IWGPヘビー級王座決定戦 藤田和之対棚橋弘至 藤田和之(右)は倒れた棚橋弘至に容赦のないキックを浴びせTKOを奪った

05年 4月、ニュージャパン杯第1回大会優勝。

05年10月、メキシコ遠征から帰国した棚橋弘至(左)と中邑真輔

06年 7月、ジャイアント・バーナードに勝ち、IWGPヘビー級王座初戴冠。

06年7月、新日本月寒大会 IWGPヘビー級王者に輝いた棚橋弘至(前列中央)は右から長州力、永田裕志からビールをかけられ大喜び

07年 8月、G1決勝で永田裕志を破り、初優勝。

07年8月、新日本両国大会G1クライマックス最終日 勝利の瞬間マットにひざまずき喜びを表す棚橋弘至。奥は敗れた永田裕志

08年 4月、全日本のチャンピオンカーニバル準優勝。直後に左膝負傷で欠場し、8月復帰。

09年 1・4で師匠武藤敬司に勝利し、IWGP王座奪取。プロレス大賞MVP。

09年、師匠の武藤敬司戦

10年 09年にメキシコから帰ってきた内藤哲也との抗争勃発。

10年10月、新日本プロレス両国大会 棚橋弘至対内藤哲也 内藤哲也(下)からテキサスクローバーホールドでギブアップを奪った棚橋弘至

11年 1・4で小島聡を破り、IWGPヘビー級王座戴冠。そこから約1年間11度防衛し、新記録更新。

12年 2月、オカダ・カズチカに敗れ王座陥落も、6月に奪還。

12年1月、11試合連続防衛を果たした棚橋(左)は、オカダ・カズチカの挑戦を受ける

13年 CMLLトーナメント制覇。

13年、オカダ・カズチカ(右)と

14年 10月、AJスタイルズを破りIWGP戴冠。

15年 8年ぶり2度目のG1制覇も、優勝旗折るアクシデント。

15年8月、新日本プロレスG1クライマックス25 棚橋弘至はG1優勝旗を折ってしまいうなだれる

16年 1・4で王者オカダに挑戦も敗退。

17年 6月に内藤を破りIWGPインターコンチネンタル王者奪取。

18年 3年ぶり3度目のG1制覇。映画「パパはわるものチャンピオン」で主演。プロレス大賞MVP。

18年8月、新日本プロレスG1クライマックス28 棚橋弘至対飯伏幸太 セコンドの柴田勝頼(下)の肩車で優勝を喜ぶ棚橋弘至

19年 1・4で王者ケニー・オメガを破り、IWGPヘビー級王座8度目戴冠。

19年1月、ケニー・オメガに勝利した棚橋

原功「BOX!」

元クルーザー級王者ウシク 混戦状態ヘビー級頂点に立てるか

WBA、WBC、IBF、WBOという主要4団体の世界王座を統一した実績を持つ元クルーザー級王者、オレクサンダー・ウシク(32=ウクライナ)が、ヘビー級に殴り込みをかける。その転向初戦が12日(日本時間13日)、WBC22位のタイロン・スポーン(34=スリナム/オランダ)を相手に米国イリノイ州シカゴで行われる。主役と見られていた3団体王者のアンソニー・ジョシュア(29=英国)が6月に敗れたのを機に、一転して混戦状態となったヘビー級でウシクは結果を出すことができるのか。まずは12日の試合に注目したい。

ウシクはアマチュア時代に2度の五輪出場を果たし、08年北京大会では8強に甘んじたが12年ロンドン大会では91キロ以下のヘビー級で金メダルを獲得した。アマチュア戦績は350戦335勝15敗で、勝率は95パーセントを超す。ビタリ&ウラジミールのクリチコ兄弟が代表を務めるK2プロモーションズと契約して13年11月にプロ転向を果たし、6年間に16戦全勝(12KO)をマークしている。3年前に200ポンド(約90.7キロ)が体重上限のクルーザー級でWBO王座を獲得したあと階級最強決定トーナメント、「ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)」に参戦。18年1月の準決勝戦でWBC王者に勝利を収め、7月には決勝でWBA王座とIBF王座を持つムラト・ガシエフ(ロシア)にも完勝、4団体の王座統一を果たした。

身長190センチ/リーチ198センチというウシクの体格は元世界ヘビー級王者のモハメド・アリ(米国)とほぼ同じだが、大型化が進む現在のヘビー級トップ戦線では決して大きくはない。WBC王者のデオンタイ・ワイルダー(33=米国)は201センチ/211センチ、ジョシュアも198センチ/208センチある。元3団体王者のタイソン・フューリー(31=英国)は206センチ/216センチの特大サイズだ。この1年、ウシクはヘビー級にマッチした体をつくってきたはずだが、はたして何キロの体重でリングに上がるのか。中量級のような自在な動きとスピード、テクニックを身上とするサウスポーのウシクだけに、単純に体重を増やせばいいというわけにいかないのが悩ましいところだ。

転向初戦で対戦するスポーンは元キックボクサーで、4年半前に国際式に転向してからは14戦全勝(13KO)という戦績を収めている。体格は188センチ/189センチとウシクに劣るが、KO率93パーセントのパワーは侮れない。

ヘビー級トップ戦線は風雲急を告げる状況だ。このウシク対スポーンのあと11月23日にワイルダー対ルイス・オルティス(40=キューバ)のWBCタイトルマッチが決まっている。さらに12月7日にはジョシュアが3団体の王座奪回を狙って現王者のアンディ・ルイス(30=米国)との再戦に臨むことになっている。

転級して試運転を行う前からヘビー級でWBO1位、WBA2位にランクされているウシクは、大巨人たちが待ち受ける最重量級でも頂点に立つことができるのか。スポーン戦は期待と不安のなかでの試合になりそうだ。

大相撲裏話

霧馬山、憧れ横綱が突然兄弟子に 手本身近に成長を

霧馬山

ブレークの予感が漂う若手の十両力士が、思わぬ形で“横綱の弟弟子”になった。西十両4枚目霧馬山(23=陸奥)は目を丸くする。

「最初聞いたときは『え?』って思った。本当に急だったから」

先月16日に元関脇逆鉾の井筒親方が死去したことにより、横綱鶴竜(34)ら井筒部屋の力士3人と床山が陸奥部屋へ移籍。同じ時津風一門で連合稽古、巡業などで声をかけてもらったことはあったが、あまりの“急接近”に「今でもあんまり信じられませんね」と笑った。

23歳の霧馬山は、鶴竜と同じモンゴル出身。まだモンゴルに住んでいた小学生の頃、テレビで放送される大相撲中継で当時前頭だった鶴竜が相撲を取っていたことを覚えている。

「(幕内で)戦ってみたかったけど、教えてもらって強くなれる方がいいかな」

184センチ、129キロと細身ながら四つ身で力を発揮し、春場所の新十両昇進から着実に番付を上げて幕内を射程圏にしていた。そんなホープの上に、若手力士への指導に定評のある鶴竜が兄弟子として君臨する。

鶴竜も言葉に熱を込めた。

「(陸奥)親方に厳しく指導しろと言われているんでね。(霧馬山は)まだ体重で十両の上の方に負けているところはあるけど、いいものは持っていると思う」

7日に富山・砺波市で行われた秋巡業、朝稽古で霧馬山はおもりを持ったスクワットをするように指示された。「最初は軽いと思ったんですけど」と楽々とこなしていくが、回数をこなしていくうちに太ももが悲鳴。「もうめちゃくちゃきつかった。横綱にちゃんとした(スクワットの)やり方を指示されて、すごく効くんです」。

常に体を動かすことが性分だ。場所中も朝は20~30番相撲を取る。その日の取組が終わっても、動き足りない。部屋に戻っても40~50分、四股やすり足などの基礎運動で汗を流す。

「動いていた方が、体が軽く感じるというか、体のクスリになる」

稽古熱心な23歳は、最高のお手本が近くにいる今後を見据えて言った。

「横綱に教えられたことは他の人に言いたくないな。みんな強くなったら困るから」

強くなることを確信するように、期待に胸を躍らせて、霧馬山はちゃめっ気たっぷりに笑った。【佐藤礼征】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)

リングにかける男たち

王者京口紘人まだ14戦目、理想の追求へ成長は続く

2度目の防衛戦に向けて12回のスパーリングを行ったWBA世界ライトフライ級スーパー王者京口紘人(2019年9月10日撮影)

2度目の防衛戦を控えるWBC世界ライトフライ級王者京口紘人(25=ワタナベ)の12回スパーリングがあると聞き、試合3週間前の9月10日に所属のワタナベジムを訪ねた。

スパーリング直前、京口はおもむろに胸部を守るガードをつけ始める。「言っちゃだめだよ」とジムの渡辺会長。8月のフィリピン合宿の際、1階級上フライ級の世界トップランカー、ギエメル・マグラモとの激しいスパーリングで肋骨(ろっこつ)2、3番目の間の軟骨を骨折していた。パンチを打つ時、守る時、体を丸め、ねじる度に痛むだろうと予想された。

医師の診断は全治約3週間。その時既に痛みはなく、ガードは万が一の保護のためにつけているとのことだった。その日の12回のスパーリングもキレ味抜群。不安はないように見えた。それでも、体のことは本人にしか分からない。肋骨(ろっこつ)の状態を聞くと、「試合までは間に合う。それも含め実力。全然危惧(きぐ)していない」と言い切った。

防衛戦から一夜明け笑顔を見せるWBA世界ライトフライ級チャンピオン京口。左は井上トレーナー、右はワタナベジムの渡辺会長(2019年10月2日撮影)

10月1日の防衛戦で久田哲也に判定勝ちした後も、最後までそのけがのことを公の場では口にしなかった。一夜明けた2日、なぜ明かさなかったか聞くと、「なんか言い訳っぽくなるじゃないですか」と照れながら話した。京口担当となって1年弱。まだ言葉や態度に幼い面を感じることはある。ただ、今回はけがの件も含め、言動すべてでかっこいい世界王者であろうとする京口のプライドが感じられた。

17年7月にIBF世界ミニマム級王者となり、昨年大みそかにWBA世界ライトフライ級王座を奪取して2階級制覇を達成。それでもまだプロ14戦目だ。伸びしろは計り知れない。京口は言う。「ベースは確立していて、それにパーツを付け加えていく作業を追求していかないと」。

求めるのは「見てて目が離せない試合」。自分のお決まりの勝ちパターンに持っていくのではなく、相手のスタイルや試合の流れによって変化し、最終的に勝つ魅力的なボクシング。そのために、打ち方の種類、角度やタイミングなど技術の引き出しを増やすことにいま情熱を注いでいる。

今回の試合後、井上トレーナーはプロ47戦目だった挑戦者久田のうまさをたたえ、その上で「47戦した時の京口が見たいですね」と頬をゆるめた。世界王者の成長は続く。【高場泉穂】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける男たち」)

WBA世界ライトフライ級タイトルマッチ 京口紘人は久田哲也を判定で下し2度目の防衛に成功(2019年10月1日撮影)

プロレスの月曜日

新日本プロレスYOHの個展は「なぜトイレ?」

アーティストとしても活動する新日本プロレスYOH(31)の2度目の個展「YOHの部屋(風呂なし)」が10月26日まで東京・アートコンプレックスセンターで開かれている。一見「?」な作品について、YOH本人に解説してもらった。【取材・構成=高場泉穂】

展示スペースのトイレに溶け込む、プロレスラーでアーティストのYOH(撮影・河田真司)

建物内のいくつかの部屋をのぞき、やっと見つけた展示「YOHの部屋」はトイレの中にあった。便器と床は黒い線と色面(しきめん)で構成されたピエト・モンドリアンの抽象画で覆われ、後ろの壁面にはシルクスクリーンで複製した便器の図が12枚。ところどころにプロレスラーYOHの象徴ともいえる星を木でかたどったものが置いてある。「この空間は好きで、うまくいったかなと思います」と自慢げに話す通り、わずか1畳分のスペースに自分の好きなものを美しく配したインスタレーションだ。

少年の頃からの夢が実現した。「いつかぼくもプロレスラーになったら、バンドやってみたい、個展したい。軸に枝をつけたいと思っていた」。本格的にアート活動を始めたのは約1年半前から。プロレスラーを描く旧知の日本画家森博幸さんにアドバイスを受けながら、絵を描き始め、「描けば描くほど上手になる自分がいやになって」と次第にシルクスクリーンや物を使っての表現に発展した。

YOHの展示スペースであるトイレは通常使用可能

しかし、なぜトイレ、便器を使うのか。YOHの答えは「うんちが好きなんです」だった。「毎日違う色で、うんちだってアート。100人いたら100個違う。ただ出すものじゃない、生み出すもの」と哲学的にうんちの魅力を語った。自然と引かれる便器をそのまま展示してみたい。調べているうち知ったのが芸術家マルセル・デュシャン。便器に「泉」とタイトルを付け、展示会場に置いた現代アートの先駆者だった。「自分と考えが一緒の人いるんだと思った。もしかしてボクは生まれ変わりかもしれないです(笑い)」。

アイデアは次から次へと湧いてくる。「映像とか作りたいです。クレーン車で便器を落とすんです。それを映像にとって…。そういうことばっかり考えてます」。年内には六本木で師匠森さんと一緒に展示を行う予定だ。プロレスラーでありながら芸術活動をすることで「うまく回っている。これを続けていってどうなるのかなという未来を想像して、ワクワクしてます」とうれしそうに語った。

YOHが描き上げたユニークなイラストも展示されている

プロレスファンが自身の作品に興味を持つのと同様に、作品からプロレスを知る人が増えることに期待する。「きっかけが自分の作品だったらうれしい。根底にあるのはプロレスを広めたい、届けたいという思い」。大好きなうんちと向き合いながら、新たなアートを生み出していくつもりだ。

◆YOH(よう)1988年(昭63)、宮城県栗原市生まれ。12年2月に入門テストに合格し、同11月にデビュー。16年1月からメキシコ遠征へ、その後米国ROHでも活躍。17年10月に凱旋(がいせん)帰国。SHO、ロッキー・ロメロとともに「ROPPPONG 3K」のチームを組む。SHOとのタッグで第54、56、59代IWGPジュニアタッグ王者。172センチ、85キロ。得意技はファイブスタークラッチ。

原功「BOX!」

様々な思惑が見える ゴロフキンのIBF王座決定戦

17連続KOを含む20度の防衛を記録した元3団体統一世界ミドル級王者、ゲンナディ・ゴロフキン(37=カザフスタン)が5日(日本時間6日)、米国ニューヨークでIBF同級王座決定戦に出場する。相手は14戦13勝(10KO)1敗の戦績を残しているIBF1位のセルゲイ・デレビャンチェンコ(33=ウクライナ)。昨年9月、サウル・カネロ・アルバレス(29=メキシコ)との再戦で惜敗して無冠になったゴロフキンにとっては返り咲きの好機である反面、負ければ選手生命に影響を及ぼす可能性もある重要な試合だ。

もともとゴロフキンはWBA(スーパー王者)、WBC、IBFの3団体のベルトを保持していたが、昨年9月のアルバレスとの再戦(アルバレスが判定勝ち)を前にIBF王座を剥奪された。デレビャンチェンコとの指名試合に応じなかったというのが理由だった。それを受け10月にIBF王座の決定戦が行われ、デレビャンチェンコに12回判定勝ちを収めたダニエル・ジェイコブス(32=米国)が王座を獲得。今年5月、そのジェイコブスとアルバレスが統一戦を行い、アルバレスが12回判定勝ちで3団体の王座を統一した。ところが、アルバレスもデレビャンチェンコとの指名試合に応じる構えをみせなかったためIBFが王座を剥奪した。これが昨夏以降のIBFのミドル級王座を巡る動きだ。

これだけをみるとゴロフキンとアルバレスがデレビャンチェンコから逃げてきたように映るが、必ずしもそういうわけではない。極端な言い方をすれば、実績も知名度もあるゴロフキンとアルバレスにとってデレビャンチェンコはリスクがある反面、多くのリターン(報酬)が見込める相手とはいえなかっただけのことだ。こうしたなか今回、ゴロフキンが対戦に応じたのは、勝てば王座復帰が叶い、その先に大きなビジネスとなるアルバレスとの第3戦がおぼろげながら見えてくるからといっていいだろう。

かつて全階級を通じたボクサーの総合評価「パウンド・フォー・パウンド」で現役最強の声もあったゴロフキンだが、17年以降は5戦3勝(2KO)1敗1分と勝率が落ちている。KO率85パーセントを超す(41戦39勝35KO1敗1分)強打は37歳のいまも健在だが、最近の試合では被弾が目立つなど経年劣化の気配がみられる。今春、9年前から師事してきた指導者とコンビを解消し、前戦から新コーチのもとでトレーニングしているが、それがプラス効果をもたらすかどうか。

一方のデレビャンチェンコはニックネームこそ「テクニシャン」だが、実際の戦いぶりはファイターに近い。積極的に圧力をかけて距離を潰し、右ストレートや左ボディブローなどを矢継ぎ早に打ち込んでくる。1年前、ジェイコブスに惜敗後、スーパーウエルター級の元世界王者を判定で下して最上位に戻ってきた。

オッズは4対1、ゴロフキン有利と出ている。早い段階で歯車が噛み合えばパワー勝負になる可能性もある。そうなれば体格、経験値、一撃の破壊力で勝るゴロフキンのKO勝ちが濃厚だ。

ところで、ゴロフキンの宿敵ともいえるアルバレスは、特例でミドル級王座とスーパーミドル級王座を保持したまま11月2日(日本時間3日)、ライトヘビー級王座に挑戦することが決まっている。ゴロフキン対アルバレス第3戦実現の前には多くの壁がある状況だが、まずは先陣をきるかたちのゴロフキンがインパクトのある勝利で存在感を示すことが求められる。また、同じミドル級にはWBA王者の村田諒太(33=帝拳)もいる。ゴロフキンやアルバレスら世界的なスター選手たちの動向しだいではあるが、大きな試合が決まる可能性もある。

様々な意味でゴロフキン対デレビャンチェンコに注目したい。

リングにかける男たち

侮れないアマチュア、技術の高さはプロにも劣らず

全日本選手権東海地区予選で高山勝成を判定で破った三重県代表の宇津輝(2019年8月31日撮影)

相撲の担当もしている。秋場所は関脇御嶽海が、2度目の賜杯を手にした。9月23日、千秋楽からの一夜明け会見に行った時、へ~と思う言葉があった。

「大学の監督から教わったことで…」

3回ぐらい口にしたか。プロの大相撲で来場所には大関取りを目指そうというお相撲さんが、だ。それが悪いと言うつもりは毛頭ない。むしろ感心した。親方衆や先輩力士から「もっと稽古したら、もっと強くなる」と言われてもマイペースを貫き、結果を残してきた御嶽海に、あれこれ言わず“放任”する師匠の出羽海親方(元前頭小城ノ花)の懐の深さに。そして、アマチュア相撲という土壌の確かさに。

さて、ボクシングの話をします。

8月31日、岐阜工で全日本選手権東海ブロック予選に行った。元世界主要4団体ミニマム級王者の愛知県代表・高山勝成(36=名古屋産大)のアマ転向→東京五輪挑戦を取材するためだったが、高山が負けた。相手は三重県代表宇津輝(日大3年)。最高キャリアは久居高でインターハイ5位(ライトフライ級)だから…とても日本代表クラスとは呼べない。

ある先輩記者に言われた。「元世界王者が地方予選で全国的に有名でも何でもない若手選手に負けるって、どうやねん? 情けないんちゃうの?」

う~ん…とちょっと考えたが、反論した。

「いや、そんだけアマチュアが侮れんし、難しいんと違いますか」

アマチュアが侮れん根拠の1つは、プロボクシングの現状を見たら、わかる。

バンタム級で「モンスター」と世界的に認知されとる井上尚弥。

海外で層の厚さが圧倒的なミドル級で世界を取った村田諒太。

世界最速タイで3階級を制覇したWBOフライ級王者田中恒成。

プロ5戦目で世界を奪った2階級覇者のWBA世界ライトフライ級スーパー王者京口紘人。

五輪金メダリストの村田を筆頭に、みんなアマチュアからの転向者です。

私もボクシング取材はプロの現場がほとんどですが、一昨年秋、国体少年の部を取材して衝撃を受けました。フライ級の中垣龍汰朗(当時、宮崎・日章学園)バンタム級の堤駿斗(同、千葉・習志野)ライト級の今永虎雅(同、奈良・王寺工)ウエルター級の荒本一成(同、奈良・王寺工)。4人とも優勝し、現在は関東の大学リーグで活躍中ですが、その戦いぶり、攻守の技術の高さに「プロの8回戦でもいけるんちゃう?」とたまげたもんです…いや、全く素人目からみた感想なんですがね。

もうひとつ、アマチュアの難しさの根拠は、競技性の違いという点。プロは世界戦で最長3分×12回で、アマは3分×3回の短期決戦。実際、高山は「1回にペースを握られて、焦ってしまった。これが6回、10回あれば巻き返せるけど、1回取られたら、2、3回取らないと負けですから」と話してました。グローブは形状、重さとも違うし。

あと付け加えるなら、本来はミニマム級の高山が、五輪採用される階級を見越し、2つ上のフライ級で戦わなあかんかった不利さもあるでしょうか。

フィールドの最終的なレベルで言うなら、アマチュアよりプロの方が高いかもしれません。しかし、アマチュアで磨かれる技術の高さは、プロに決して劣るものではない。そこは間違いないんやないでしょうか。【加藤裕一】

(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける男たち」)

プロレスの月曜日

内藤哲也 相棒「内藤くん」と育む風景愛と写真愛

<プロレスラーの相棒>

「相棒」シリーズ第4回は新日本プロレス内藤哲也(37)が登場です。国内外の巡業やプライベートの旅などどこでも行動とともにするミニチュア人形「内藤くん」について、また彼を撮ることで生まれた風景愛と写真へのこだわりについて語ってもらいました。【取材・構成=高場泉穂】

人形「内藤くん」と同じポーズをする内藤哲也(撮影・大野祥一)

-(人形の)呼び名は

僕は「内藤くん」かな。

-いつからの付き合い

うーん、この2、3年かな。もともと自分の写ってる写真あんまり好きじゃないんですよ。特に自分で自分を撮るのが嫌で。15年の5月にロス・インゴ(・ベルナブレス・デ・ハポン)に入ってからはツイッターでは自分の姿は一切出さず、キャップだけ置いて風景の写真を撮るというのをずっとやっていました。そのうち、これ(内藤くん)を知ってこれでやろうかな、と。

-どこでも登場しますね

彼は身長が低いので持ち運びが簡単。日本中もそうですし、海外に行くときも常に一緒に連れていってますね。いま働いているのは2人。1人はクラッチバッグ、1人はスーツケースに入れてます。

-ロケーション選びや構図が上手。その土地が分かるように撮ってますよね

最近気付いたんですけど風景の写真撮るの好きだなと思って。写真家の人ってこんな感じかなと。もし僕がプロレスラーではなく、一ファンだったら、完全に客席でカメラ構えて、レスラーを撮ってると思います。それぐらい今はちょっと写真に興味がある。昔はメインは自分で風景がサブだったんですけど、今はメインが風景で、内藤くんがサブ。構図とか考えるのが毎回すごい楽しくて。

内藤の相棒「内藤くん」

-撮影の合間に恥ずかしい思いをしたことは

今のところないですね。ぱっと決めたらさっと動いて、すぐ撤収しちゃうので。毎回時間をかけない。後で見たらピントが合ってなくて後悔することはあります。

-オフになぜたくさん旅に出るのか

おもしろい回答ではないけど、いろんな景色を見てみたいし、いろんなところに住んでいるいろんな人と触れあいたいんだよね。だからお誘いがあったり、カープの試合を見られると思ったら飛んでいく。僕ら試合がなければオフで時間はあるっちゃあるので、使わない手はないなと。

-旅先ですることは

なんだろな。ぼーっとしてます。彼を連れて、その土地が分かる場所を探してるかな。あとはのんびり。ぜいたくしてます。

-今、行きたいところは

北海道の右側に行きたいんです。釧路とか。自然の中の水が好きなんで、流氷に内藤くんを乗せてみたいですね。基本暑がりなんで、寒いところのほうが好きなんですよ。プロレスラーなのに汗かくのは嫌い。例外は毎年行ってるサイパンぐらいで。37歳ですけど、東京生まれだからか、いまだに雪でテンションが上がっちゃうんですよ。積雪というものに興奮しますよね。もっと(日本の)上に行きたいですね。

◆内藤哲也(ないとう・てつや)1982年(昭57)6月22日、東京都足立区生まれ。06年5月デビュー。13年8月G1クライマックスで初優勝。メキシコ遠征から戻った15年に「ロスインゴベルナブレス・デ・ハポン」を結成し大ブレーク。16年4月にIWGPヘビー級王座初戴冠。現IWGPインターコンチネンタル王者。180センチ、102キロ。得意技はデスティーノ。

原功「BOX!」

スペンスに死角なし ウェルター級王座統一戦

 ウェルター級のIBF王者エロール・スペンス(29=米国)とWBC王者のショーン・ポーター(31=米国)が28日(日本時間29日)、米国カリフォルニア州ロサンゼルスで統一戦を行う。選手層の厚いことで知られるこのクラスにはWBAスーパー王者として6階級制覇のマニー・パッキャオ(40=比国)、WBO王者として3階級制覇のテレンス・クロフォード(31=米国)がおり、近い将来の4団体統一戦が期待されている。こうしたなかスペンスが次のステージに駒を進めるのか、それとも下馬評を覆してポーターが勝ち上がるのか。注目度の高い試合だ。

 12年ロンドン五輪ウェルター級ベスト8の実績を持つスペンスは、距離をとっても接近しても戦えるサウスポーの万能型で、25戦全勝(21KO)の戦績が示すとおりパンチ力がある。村田諒太(帝拳)に勝って一度はWBA世界ミドル級王者になったロブ・ブラント(米国)は無名時代にスペンスとスパーリングをした経験を持つが、「2階級の差があるのに彼のパワーはミドル級でも経験したことがないほどだった」と話している。また、同じくスペンスとスパーリングで手合わせしたことがあるフロイド・メイウェザー(米国)は「彼こそが私の後継者だ」と太鼓判を押したエピソードがある。

 現在、スペンスが保持するIBF王座は17年5月に英国遠征でケル・ブルック(英国)を11回KOで下して獲得したもので、これまで3度の防衛を果たしている。内容も圧倒的なものだ。初防衛戦では元2階級制覇王者のレイモント・ピーターソン(米国)を7回終了時点で棄権に追い込み、22戦全勝だった指名挑戦者のカルロス・オカンポ(メキシコ)は3分ちょうどで片づけた。今年3月のV3戦では5階級制覇を狙うマイキー・ガルシア(米国)の挑戦を受けたが、39戦全勝の相手に付け入るスキを与えず、120対108(二者)、120対107の完封勝ちを収めた。身長177センチ、リーチ183センチと体格にも恵まれており、現時点では死角が見当たらない。

 WBC王者のポーターはアマチュア時代はミドル級で活躍したが、プロ転向後はスーパー・ウェルター級からウェルター級に体を絞って成功を収めた。13年12月から14年8月までIBF王座に君臨したが、ブルックに敗れてベルトを失った。現在の王座は昨年9月に獲得したもので、今年3月には指名挑戦者に競り勝って初防衛を果たしている。戦績は33戦30勝(17KO)2敗1分。身長170センチ、リーチ177センチとウェルター級では小柄だが、上体を伸ばすようにして相手の懐に飛び込み、荒々しいフックを浴びせる戦闘スタイルで知られる。10ラウンド以上の戦いを14度も経験しており、スタミナとタフネスに定評がある。

 王者同士の統一戦だが、スペンスの評価が高いためオッズは7対1と大差がついている。

ポーターに飛び込む機会を与えず、逆にスペンスが圧力をかけて攻め落としてしまうだろうという予想が多い。勝者との対戦を望んでいるパッキャオやクロフォードも注目するなか、スペンスが下馬評どおりの強さを見せつけるのか。それともポーターが先輩王者としての意地を見せるのか。

リングにかける男たち

那須川天心は大人に変貌、試合に見た団体背負う覚悟

16日、志朗(左)に判定勝ちした那須川(撮影・中島郁夫)

雰囲気と話し方を見ていて「おやっ?」と思った。9月9日、新松戸のTEPPENジムで行われた那須川天心(21)の公開練習。同16日に、幕張メッセ・イベントホールで開催されるRISEワールドトーナメント決勝へ向けての、練習とインタビューの席だった。

実戦を見据えて多彩な攻撃を、わずか2分のミット打ちで那須川は披露した。そのあとの会見。おだやかな表情で、記者の質問に答えるときの那須川の目は、相手を包み込むような、余裕と自信をたたえていた。記者は他競技と掛け持ちで、6カ月ぶりぐらいの再会だったが、明らかに那須川は変わっていた。

会見では、格闘技界への危機感を語った。「全体的に意識が低いかな。現状に満足し過ぎている人が多いかなと思います。日本の格闘技がすごいと思いすぎている人が多い。今、日本人で外国でトップとやって勝てる人いないんです。もっともっと自分が世界に出て活躍したいとか、そういうことに気付いている選手が少ないでしょう」。

熱く語るわけではなく、淡々と、静かな語り口だが、その思いは強く伝わってきた。キックボクシングでプロデビューし、ガムシャラに頂点を目指してきた少年が、いつの間にか大人になっていた。というより、トップ中のトップ選手の風格、オーラを漂わせていた。総合格闘技のRIZINで名を上げ、地元ともいえるRISEで実績を積み上げてきた。両団体でトップに君臨する存在になって、那須川は自分のことだけでなく、自分が属する団体や競技の将来を考えるようになっていた。

それは試合にも出ていた。自身初の世界一の座を懸けた志朗との決勝で、那須川は3回3-0の判定勝ちを収めた。派手なKOや決定打はほぼなかったが、終始相手に圧力をかけ、相手にはほとんど打たれない完璧な試合運びだった。試合後、那須川の顔は、腫れやアザが全くなく、きれいなままだった。

「今までにない、頭を使った試合だった。志朗君は、すごく研究して、その対策を最後まで貫いた。強い選手だった。今は、ジャイアントキリングブームで、それをさせないように戦った。盛り上がっているときに、ぱっといってやられるのが一番ダメなパターンだから。最後、やっぱり主人公が勝つというストーリーが見せられた」と那須川は胸を張った。

那須川の前の試合で、61キロ以下級で優勝した白鳥大珠(23)も、ワールドシリーズを通じて成長し、トップスターの仲間入りを果たした。16日のRISE大会は、2人の若者の成長を目の前で見られた貴重な大会だった。【桝田朗】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける男たち」)

16日、志朗を下しポーズを決める那須川(撮影・中島郁夫)
大相撲裏話

隆の勝「僕も乗ってます」仲良し明生の活躍横目に

4日目に霧馬山(左)を破った隆の勝(撮影・河田真司)

幕内での活躍と同時につくばエクスプレスでの「電車通勤」に注目が集まる明生を横目に、十両隆の勝(24=千賀ノ浦)がつぶやいた。「僕も、たまに乗っているんですよ」。千葉・柏市出身。帰省の際には部屋の最寄り駅である南千住駅から、柏の葉キャンパス駅までつくばエクスプレスを利用している。昨年9月に発行されたつくばエクスプレスの広報誌「TXかわら版」でも地元力士として紹介された。明生とは巡業の支度部屋では隣同士で寝るなど仲もいいだけに「負けていられないですね」と意識していた。

自身も来場所の返り入幕は確実だ。右膝の負傷などでここ5場所は幕内から遠ざかっているが、今場所は東十両2枚目ですでに9勝。今場所前から敬遠していたウエートトレーニングをやり始め、細かい筋肉がついてきたとか。ライバルに負けない活躍を、虎視眈々(たんたん)と狙っている。【佐藤礼征】

プロレスの月曜日

飯伏幸太がラグビーワールドカップ日本代表にエール

逃げない、負けない、諦めない! 元ラガーマンの新日本プロレス飯伏幸太(37)が、ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会に向け、日本代表へエールを送った。また、ベールに包まれている高校ラグビー部での思い出も明かした。【取材・構成=高場泉穂】

元ラガーマンで、当時から体の強さが持ち味だった飯伏(撮影・大野祥一)

ゴールデンスター飯伏にラグビー界の常識は通じない。日本代表が定める今回のW杯目標は初の8強だが、「ベスト8といわず、優勝じゃだめなんですか?」。色紙に書いたエールは「逃げない!負けない!諦めない!」。左足首痛を抱えながら初優勝したG1中に支えとした言葉を、そのまま桜戦士へ贈った。

記者(右)のタックルをモノともせず前に進む飯伏(撮影・大野祥一)

ラグビーとの出合いは15歳の時。中卒でプロレスラーになることを親に反対され、鹿児島・加治木工高に進学。そこで最もプロレスに生かせると感じて選んだ部活がラグビー部だった。「初めて見学にいった時に、フロントスープレックスやってたんですよ。たぶん、正確にはスマザータックルです。相手をつかんで、自分側に倒す。その時はたまたま体が浮いてしまったのだと思いますが。でも僕はそれを見た瞬間、『これだ』って思いました」。

ラグビーの楽しさに開眼しつつも、「すべてはプロレスのため。ぶれませんでした」。ポジションはフォワードの花形NO8で、役割は“投げ”。「試合中に『いけ』とサインがあって、本当に相手を投げまくってました」。反則すれすれの技でチームに貢献した。片手でボールを抱え、もう一方の手でタックルをかわすハンドオフも得意だった。「僕は常にフルスイングで、相手のあご狙い。プロレス、戦い、と思ってやっていました」。今とほぼ変わらぬ体形と50メートル6・2秒の快足で敵を倒しまくり、高3の時には鹿児島選抜候補にも選ばれた。

高校卒業後はラグビーから遠ざかったが、この夏のG1優勝を機に再び接点が生まれた。優勝するとすぐに、ラグビー部同期のグループLINEで祝福メッセージが殺到。その後、帰郷した際には地元テレビ局の企画で母校ラグビー部を約20年ぶりに訪ね、後輩たちのタックルを受けた。「久々にラグビーに触れて、懐かしかったですね。グラウンドも何にも変わってなかった」。当時の監督とも再会し、思い出が鮮やかによみがえった。

ラグビー日本代表への応援メッセージを記した飯伏(撮影・大野祥一)

W杯は「見ます」と飯伏。注目選手には、松島幸太朗とトンプソン・ルークの2人を挙げた。松島について「こうた、ろう。僕の名前が入ってるから頑張ってほしい」。代表最年長で1歳上のトンプソンについては「どうやって体力を維持しているのか。肉体的な衰えを感じているのか。けがもどう乗り越えているのか。いろいろ話してみたい」。芝上の選手と自分を重ねながら応援するつもりだ。

◆ラグビー出身のプロレスラー 日本プロレスと国際プロレスで活躍したグレート草津(08年死去)は、元八幡製鉄のロックで日本代表も経験。国際プロレス阿修羅・原(15年死去)は元近鉄でNO8、プロップで日本代表入り。現在テレビマン兼レスラーのKENSOは元明大ラグビー部。新日本でトンガ生まれの巨人バッドラック・ファレは福岡サニックスブルース(現宗像サニックスブルース)で06年から2年間ロックとしてプレー。

大相撲裏話

大相撲中継で名実況「あ、行司が消えた」

豪栄道と朝乃山の取り組みで土俵下に落ちた行司の木村玉治郎(撮影・丹羽敏通)

秋場所6日目、NHK大相撲中継で名実況があった。朝乃山-豪栄道戦、取組中に行司の木村玉治郎が足をもつれさせて転倒し、土俵下に落ちていった。NHKの佐藤洋之アナウンサーは、こう実況した。

「張っていきました豪栄道、もろ差し狙いだ。巻き替えた朝乃山、右四つ。豪栄道が左の前まわしを引いている。あ、行司が消えた。上手投げ~、勝ったのは朝乃山。朝乃山が勝ったんですが、玉治郎が土俵の外に吹っ飛ばされてしまいました。朝乃山、これで連日の殊勲の星です」

文字通り、玉治郎は画面中央から左へ、サッと消えた。「転倒した」「つまずいた」ではなく「消えた」と表現した言葉選びのセンス、適度に驚く抑揚、ハプニングに固執せず朝乃山の白星をたたえてフォローするなど、アナウンスの技量が凝縮され、機転が利いていた。

NHKアナウンサーの話を総合すると、実況する時は、土俵を直接見るよりも、モニターを見る方が多いという。というのも、複数のカメラで撮影された映像が切り替わるため、適宜反応しなければならないからだ。土俵でなく、視聴者と同じ画面を見ていたからこその「消えた」なのかもしれない。

AbemaTVの大相撲LIVEで実況を務めるフリーアナウンサーの清野茂樹氏は「『行司が消えた』は名実況だと思う。巻き戻して何度も見てしまった」と指摘し「最初に聞いた時はびっくりしました。取組以外のことは言わないという選択肢もあり、取組後に言ってもよかったのかもしれません。でも、記憶に残るという時点で名実況。すごくよかったと思います。速い相撲の中でズバっと言った。条件反射で言ったと思いますね」と解説。佐藤アナは同業者もうならせた。

実況だけでなく、審判や呼び出しもプロだった。

この一番で、赤房下の審判を務めた竹縄親方(元関脇栃乃洋)は、目の前を横切って消えた玉治郎に目もくれず、土俵上の力士2人を凝視し続けた。これについて聞くと「相撲を見る方が仕事だから」ときっぱり。目の前に玉治郎が落ちてきながらも水おけを守った呼び出しの照矢は、こう締めくくった。「びっくりしましたが、みんな無事で良かったです」。

【佐々木一郎】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)

原功「BOX!」

アルバレス4階級制覇なるか コバレフは危険な相手

現役ボクサーのなかで「最も稼ぐ男」として知られるサウル・カネロ・アルバレス(29=メキシコ)が11月2日(日本時間3日)、米国ネバダ州ラスベガスでWBO世界ライトヘビー級王者のセルゲイ・コバレフ(36=露)に挑むことが決まった。アルバレスはスーパーウエルター級、ミドル級、スーパーミドル級で世界王者になっており、勝てば4階級制覇となる。ただ、「クラッシャー(破壊者)」の異名を持つコバレフは76パーセントのKO率を誇る強打者だけに、アルバレスにとってはリスクの高い冒険マッチといえそうだ。

現在もミドル級のWBAスーパー王座とWBAスーパーミドル級王座を同時に保持しているアルバレスは、昨秋にDAZNと「5年間に11試合、総額3億6500万ドル(当時のレートで約412億円)」という超大型契約を結んだ。1試合につき約37億円が保証される好条件だが、代わりに強敵とのマッチメークが続くハイリスクの契約でもある。事実、12月の初戦ではWBAスーパーミドル級王座への挑戦試合が組まれ(3回TKO勝ちで戴冠)、今年5月の第2戦ではIBFミドル級王者のダニエル・ジェイコブス(32=米)との統一戦がセットされた(12回判定勝ち)。この2試合でアルバレスは3階級制覇とミドル級3団体王座統一を果たしたが、のちにミドル級のIBF王座は剥奪され、WBCからは「フランチャイズ(特権)王者」にスライドさせられた経緯がある。それでも、このまま2階級の王座を保持したままコバレフに挑んで勝った場合、3階級の王座を同時に保持する可能性があるわけだ。

そんなアルバレス(55戦52勝35KO1敗2分)だが、コバレフ(38戦34勝29KO3敗1分)は文字どおり大きな壁になるかもしれない。米国を主戦場にしているコバレフは10年前のプロデビュー時からライトヘビー級で戦っており、この階級の主ともいえる存在だ。13年8月以降の16戦はすべて世界戦(13勝10KO3敗)で、3度の戴冠を果たしている。身長173センチ/リーチ179センチのアルバレスに対しコバレフは183センチ/184センチと体格でも大きく勝る。体重もライトヘビー級はミドル級よりも約7キロ、スーパーミドル級よりも約3キロ重い。アルバレス自身も「コバレフは大きくて危険な強打者」と認めているが、「だからこそリスクと向き合って挑戦する意味がある」とも話している。

アルバレスにとって危険なカードには違いないが、試合が発表された直後のオッズは9対2で挑戦者有利と出ている。直近の7戦でコバレフがアゴとボディの打たれ脆さを露呈して3敗(2KO負け)していることが理由だと思われる。ボディ攻撃が巧みなアルバレスがコバレフの弱点を突いて攻略してしまうだろうという見方が多いのだ。

予想どおりの結果になるのか、それともアルバレスの冒険が失敗に終わるのか。ゴングが待ち遠しい。

大相撲裏話

歴代2位の11回目 不戦勝が魁聖の活力源

青狼の休場により不戦勝の勝ち名乗りを受ける魁聖(撮影・小沢裕)

東前頭4枚目の玉鷲(34=片男波)と東十両8枚目の魁聖(32=友綱)が、不戦勝で星を伸ばした。玉鷲は鶴竜、魁聖は青狼と取組予定だったが相手が休場。実はこの2人、不戦勝の回数が歴代1位と2位タイ。玉鷲は5日目の逸ノ城戦に続く今場所2回目で通算13回目、魁聖は11回目となった。

出羽錦と並ぶ1年半ぶり不戦勝に魁聖は「コツは他のことでツイてないことかな」と笑うが、すぐに真顔で「幕内上位で取ることが多かったから」と話した。結果も内容も問われる上位は途中休場も多く、その副産物だと分析する。玉鷲は「お客さんに相撲を見せられず残念」と話した。

この1年半の間に、玉鷲に追い越された魁聖は「名前を残したい。また幕内の上位に」と活力源となっている。魁聖は現在も継続中の横綱戦37連敗という、不名誉な1位記録も保持。「そっちは抜かれないと思うけど…」。【高田文太】

リングにかける男たち

日本王者5人所属の三迫ジム、名門復活へ今後が勝負

左からミニマム級田中教仁、バンタム級鈴木悠介、フェザー級佐川遼、三迫貴志会長、ライト級吉野修一郎、ライトフライ級堀川謙一の三迫ジムの日本王者

5人の王者が並ぶとやはり壮観だ。三迫ジムにとって現役最多を更新する日本王者が誕生した。昨年1月のミニマム級田中教仁(34)、昨年2月のライトフライ級堀川謙一(39)、7月のバンタム級鈴木悠介(30)、17年10月のライト級吉野修一郎(27)にフェザー級佐川遼(25)が加わった。鈴木が王座獲得時でジム最多だった。躍進著しい。

プロボクシングは1人が年間3、4試合程度しかできない。他競技も当たり前になったが、昔からランキングというシステムで、マッチメークという独特方法で試合を決める。1試合の重み、勝ち負けが大きい個人競技。相乗効果はあるが、これだけ同時はなかなかない。

佐川は天才肌の阿部麗也(26=KG大和)に判定勝ちした。下馬評を覆す9戦目での王座獲得は3-0の判定。採点は1、2ポイント差だったが、スコア以上の完勝だった。東農大出身で技術力は認められていたが、阿部は日本王座挑戦前に世界ランク入り。前回の初挑戦は引き分けも、センスのよさは高評価だった。

佐川は長身でリーチを生かし、先手でジャブを突き、右ストレートを打ち込み、阿部に入り込ませなかった。地味な技術戦にはなったが、作戦を遂行しきった。文句のつけようのない勝利だった。

ジムは毎月1日にプロ全選手が集合してミーティングを開いているそうだ。三迫貴志会長を中心に選手からも忌憚(きたん)のない意見をかわす。プロの個人競技では珍しいが、ジムの結束力となり、5人王者誕生にも結びついたと言えるだろう。

加藤健太トレーナー(33)の存在も大きそうだ。プロボクサーだったが網膜剥離で引退し、12年から三迫ジムのトレーナーになった。他ジムながらも東京を練習拠点に移したWBC世界ライトフライ級王者拳四朗(BMB)も指導。現役では最多の6度防衛中が、その指導能力の高さを示している。

名門ジムと言えば、歴史と実績=世界王者を何人輩出したかがバロメーター。協栄ジム13人、帝拳ジム12人、ヨネクラジム5人、角海老宝石、ワタナベ、大橋の3ジムが4人輩出し、三迫ジムなどが3人で続く。

8月に大会長と呼ばれた三迫仁志会長が亡くなった。輪島功一らを育て、プロモーターとして手腕を発揮した。昭和の時代は協栄、帝拳、ヨネクラと4大ジムが引っ張った。平成だった2年前にヨネクラは閉鎖。令和となった現在、4つのジムの世界王者はWBAミドル級の村田諒太しかいない。

14年に跡を継いだ長男貴志会長も海外で積極的にマッチメーク。佐川も前戦でマニラでの地域王座獲得が成長にもつながった。移籍組のベテランも多いが、日本は世界へのステップも共通認識。世界再挑戦を期すライト級小原佳太もいる。三迫が名門復活と言えるか、本当の勝負はこれからの勝負となる。【河合香】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける男たち」)

プロレスの月曜日

「ヤングライオン杯」令和最初の最強若獅子は誰だ

新日本プロレス若手選手の登竜門「ヤングライオン杯」が9月4日の後楽園大会から開幕した。2年ぶり12度目の開催となる今回は新日本2、3年目の4人に加え、柴田勝頼がコーチを務めるLA道場から3人、バッドラック・ファレが指導するニュージーランドのファレ道場から1人の計8人が参戦。未来のスターを目指し、頂点を争う。

   ◇   ◇

この中から未来のスターが生まれるかもしれない。4日の後楽園ホールから総当たりリーグ戦がスタート。3カ所の道場から集まった8人は熱いファイトで聖地を盛り上げた。リーグ戦は22日神戸大会まで続き、最高得点者が優勝となる。以下参戦8人を紹介する。

海野翔太<新日本>(左)と成田蓮<新日本>

<新日本(野毛道場)>

公式のファン優勝予想で1位となったのがデビュー3年目の海野だ。転機となったのは6月のジョン・モクスリーとのシングルマッチ。元WWEのスーパースターに敗れたものの、モクスリーに気に入られ、G1期間中はタッグパートナーと、セコンドを務めた。英語でのコミュニケーションに苦戦しながらも一流の背中を近くで追った経験は大きい。黒星スタートとなったが、「絶対あきらめない」と巻き返し初優勝を狙う。

同期で青森生まれの成田も負けじとステップアップのチャンスをうかがう。今年は初めてベスト・オブ・ザ・スーパー・ジュニアに参戦も全敗。その悔しさをぶつける。

辻陽太<新日本>(左)と上村優也<新日本>

アメフト出身の2年目辻は、ヤングライオンの名にそぐわない貫禄とパワーをつけつつある。G1最終戦の武道館でLA道場のコナーズに敗れ、体を絞り、新技も用意してリベンジを狙う。もう1人の2年目上村はアマレス出身で技術と高い身体能力を誇る。優勝とその先の海外遠征を目標に掲げる。G1期間中諸事情により、トレードマークだった髪をばっさりカット。昭和風のお気に入りの髪形に戻すためにも、ここで結果を残したい。

カール・フレドリックス<LA道場>(左)とクラーク・コナーズ<LA道場>

<LA道場>

長期欠場中の柴田勝頼が育てた精鋭がそろった。最年長29歳のフレドリックスは185センチの長身と強靱(きょうじん)な肉体を武器にチャンスを狙う。コナーズは初戦で優勝候補の海野を撃破。173センチと小柄だが技術とジュニア離れしたパワーを持つ。

アレックス・コグリン<LA道場>とマイケル・リチャーズ<ファレ道場>

鋼の筋肉をまとうコグリンは8人中唯一2連勝。強烈な逆水平で客席を沸かせるほか、甘いマスクで人気が出そうだ。

<ファレ道場>

バッドラック・ファレがニュージーランドで主宰する同道場からは1人。スキンヘッドにあごひげ、24歳には到底見えない風貌のリチャーズは17年のトライアウトで合格し、ファレ道場に入門。日本の野毛道場でも練習を積み、この6月にオーストラリア大会で2連勝デビューした。必死なファイトが日本のファンの心をつかみつつある。【高場泉穂】

ヤングライオン杯歴代王者