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大相撲裏話

突然の水戸泉来訪…元大子錦「流れるがまま」入門に

元大子錦の斉藤佳信さん(2020年9月25日撮影)     

秋場所を最後に引退した、高砂部屋でちゃんこ長を務めた元大子錦の斉藤佳信さん(42)に話を聞いた。角界での思い出を中心に、約25年の相撲人生を振り返ってもらった。その中で、定番の質問「入門のきっかけは何でしたか」と聞くと、当時を思い出して楽しそうに振り返ったのが印象的だった。

1995年、高3の夏休みだった。斉藤少年のもとに、担任の先生が訪れた。一緒に訪れたのが高砂部屋の関係者と、地元の茨城・大子町の先輩で高砂部屋の久慈乃里の父。レスリングにのめり込んでいた斉藤少年は当時、体重120キロほどと恵まれた体格をすでに持っていた。角界関係者がほっとくわけもなく、勧誘を受けたが「嫌です」と断った。当時の夢は料理人だった。

夏休みが明けた、9月のある日。学校が大騒ぎとなった。「高砂部屋にいたことは知りませんでしたけど、相撲素人の僕でもさすがに分かりました。だってこの間までテレビで見ていた人ですから。学校も大騒ぎでした」。秋場所で勝ち越し、返り三役を目指していた水戸泉が学校を訪れたのだった。目的は斉藤少年の勧誘。「部屋の稽古が始まったら部屋に来なさい」。さすがに気持ちが揺れ動いた。

勧誘を受けて数日後、おそるおそる都内にある高砂部屋の朝稽古の見学に行った。朝稽古が終わり、ちゃんこをごちそうになる時だった。見学に来ていた後援会関係者らと一緒に、1階か2階で食事をすると思ったら、通されたのは3階。おかみさんに「これから何度も来るのも大変でしょうから」と言われ、入門に必要な書類を渡された。「もう流れるがままですよ」と、あれよあれよと必要事項を記入。最後は「母印でいいから」と母印を押して、高砂部屋への入門が決まった。反対されるのを少し期待しつつ、帰宅して両親に相談。「やるならやり通しなさい」と言われ気持ちが固まった。

95年九州場所で初土俵を踏み、25年の相撲人生。最高位は三段目だったが、濃密な相撲人生だった。「朝青龍関とか小錦関とか、横綱、大関を間近で見ることができた。長い歴史の中でも、なかなかないこと。しかも辞める間際に、朝乃山が大関に上がった。すごい時代にいたなと思います。いい経験をさせてもらった」としみじみと話した。

昨年夏場所で朝乃山が初優勝した際には、母校の近大から46キロの「近大マグロ」が届いた。さばき方を動画サイトで見ながら4時間かけてさばいたのも、長いちゃんこ長時代でのいい思い出。「でもね、横綱(朝青龍)がいた時には50キロのアラが届いた。それが今までで一番でかい魚でしたね」と楽しそうに振り返るなど、思い出は尽きなかった。

師匠の高砂親方(元大関朝潮)の後援会関係者からの紹介で、11月から岐阜県内の会社寮で寮長を務めることになった。「師匠も今年で定年。節目の年で区切りにもなる。悔いはありません」と角界に未練はない。「同級生から20年遅れて社会人。少し不安もあるけど、楽しみもあります」。ひょんなことから始まった相撲人生に幕を閉じ、第2の人生に向けて力強く歩みだす。【佐々木隆史】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)

高砂部屋ちゃんこ長の元大子錦の斉藤佳信さん(2017年2月14日撮影)
リングにかける男たち

京口紘人の挑戦者は異国で1人…コロナ禍調整に苦労

11・3に王者京口に挑むタノンサック(撮影・実藤健一)

WBA世界ライトフライ級スーパー王者京口紘人(26=ワタナベ)に挑む、同級11位タノンサック・シムシー(20=タイ)が10月23日、大阪市のグリーンツダジムで公開練習を行った。11月3日にインテックス大阪で開催される。

京口にとって3度目の防衛戦となるが、勝敗に加えて異例の状況下で行われる国内初の世界戦としても注目される。新型コロナウイルス感染症の影響で春先からボクシング興行は休止してきた。再開後、国内では初の世界戦となる。

さまざまな制限が緩和されている中でも、海外渡航は依然として厳しい。その影響をもろに受けるのが挑戦者で、念願の世界初挑戦が実現したとはいえ、異例の調整をへてきた。

本人だけでなく、周囲に感染者が出れば夢の世界挑戦は幻になる。王者陣営も想定して代替の挑戦者なども準備した。巡ってきたチャンスを逃すわけにはいかない。タノンサックは戦い以外の苦しみにも立ち向かってきたという。

タイから10月7日に来日した。日本でのマネジメントを請け負うグリーンツダジムの本石会長はマンションの1室を借り入れ、国内のガイドラインに沿って2週間の隔離。その間、トレーナーらとの接触は許されず、練習は1人だけ。エアバイクこぎ、シャドーボクシングと室内で1人で可能な練習しかできない。

練習以外の時間も、異国の地でままならない。練習以外の過ごし方を聞くと「シャワー、ごはん、寝る」。その時間を「2週間、きつかった。ストレスで気分悪い。勝つために我慢した」と振り返り、22日からようやく再開したジムワークを「新しい人生、天国みたいです」と表現した。

減量を伴うボクシングは試合前までも厳しい戦いとなる。通常以上にかかった負荷を乗り越えて臨む状態をプラスと捉えるのか。「(作戦は)今は言えないが11・3、見てください。チャンスあれば絶対、KOで勝ちます」。王者京口も、不自由な状況での調整をしいられてきた。最後は精神力の戦い。コロナ禍での世界戦に注目したい。【実藤健一】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける男たち」)

大相撲裏話

大相撲映画化に込めた「古い」覆したい監督の思い

大相撲のドキュメンタリー映画「相撲道~サムライを継ぐ者たち~」の坂田栄治監督(撮影・佐藤礼征)

大相撲のドキュメンタリー映画「相撲道~サムライを継ぐ者たち~」がTOHOシネマズ錦糸町で30日から、中野区のポレポレ東中野ほかで31日から全国で順次公開される。公開1週間前となった23日までに、本作の坂田栄治監督(45)が日刊スポーツのインタビュー取材に応じた。18年12月から19年6月の半年間、元大関豪栄道(現武隈親方)らが在籍する境川部屋と、前頭竜電(29)らが在籍する高田川部屋に密着。本作に込めた思いや、撮影の裏側を明かした。【聞き手=佐藤礼征】

-本作では土俵上での力士がぶつかる音に度肝を抜かれる

坂田監督 人と人が当たってあんな音が出ることなんてない。すごいことですよね。

-相撲のドキュメンタリー映画は本作が初めて

坂田監督 相撲の文化を撮りたかった。こういう部屋もあって、他の部屋もあると伝えたかったので(境川部屋と高田川部屋の)2つの部屋を撮影した。

-相撲に関する知識はもともとあったのか

坂田監督 全然ないです。知らないことを武器に撮りました。お相撲を好きな方に喜んでもらいたいと思って作ったのはもちろんだけど、相撲に関心のない人に関心を持ってもらえるように撮ったつもりです。相撲のファンを広げたい、海外の人にも相撲が面白いと伝えたかった。マニア向けではなく、僕みたいな知識のない人が関心を持つこと、刺激を得ることを目的に作った。

-境川部屋と高田川部屋の2つの部屋を選んだ理由

坂田監督 (本作のコーディネートプロデューサーを務める相撲漫画家の)琴剣さんも言っていたけど、境川部屋は「ザ・相撲部屋」。まず境川部屋を見に行ったときも、カメラやマスコミを受け付けない雰囲気を感じた。あまりカメラの前に出ていないと聞いたので、ドキュメンタリーを撮る意味があると思って決めた。もう1部屋は雰囲気が全く違うところが面白いと思っていたところで「高田川部屋がいいんじゃないか」と聞いた。高田川親方(元関脇安芸乃島)もまわしを締めて稽古場に降りているし、竜電関のしゃべっている感じが、僕が意識している力士のイメージではなく、好青年という感じだった。お相撲さんは言葉が少ないイメージがあったが、竜電関のそこにも魅力があった。

-最初に撮影したのは境川部屋

坂田監督 (18年の)12月前から撮影を始めたんですけど、取材は11月の九州場所から始まった。カメラを持たない自分の取材。力士と距離感を縮める取材だった。九州に泊まり込んで、朝から稽古を見て、稽古後にちゃんこを食べて、それがあってのあの撮影だった。

-最初は力士と距離感があったか

坂田監督 もちろんです。でも、豪栄道関は(撮影開始時は)けが明けだったけど全然、ピリピリしているところを出さなかったのでありがたかったです。妙義龍関(33=境川)は境川部屋に行って最初に「監督、一緒にちゃんこ食べましょうよ」と言ってくれた。すごく優しい人。距離感を縮めてくれました。

-稽古場には独特の緊張感がある

坂田監督 境川親方(元小結両国)に1回、稽古場から追い出されましたね。「撮られるのは好きじゃないんだ」と。撮影始まって3日目くらいのときでしたけど(笑い)。徐々に受け入れてもらえました。「自分じゃなくて現役の力士をちゃんと取り上げてくれ」と言われたことが印象に残っています。

-高田川部屋は境川部屋と雰囲気の違う部屋

坂田監督 高田川親方はまわしを締めて稽古場に出てくる。僧帽筋がまだすごい、どんな体しているんだと思いますよね。竜電関はナチュラル。豪栄道関もナチュラルだけど、竜電関は特に場所中も自然体でした。映画では境川部屋と高田川部屋で作り方を変えている。高田川部屋の撮影では密着感を大事にしているので、注目してほしいです。

-映画を通して力士や親方の奮闘が伝わってくる

坂田監督 ワイドショーとかで相撲が大々的に取り上げられるのは不祥事のときが多いけど、そうじゃないんだと。「相撲界は古い世界だ」というコメンテーターもいるけど、実際はどうなのかと。それをひっくり返したい意思もある。みんな頑張っているし、みんな戦っている。

-本場所で会場内の大歓声が響く場面がある。現在はコロナ禍でお客さんの歓声がないだけに懐かしく感じる

坂田監督 作っているときは感じなかったが、試写会で見て「レアなシーンだ」と思った。この作品は何十年後に残さないといけないと思って作った。たまたまコロナになったが、撮っておいて良かったと思う。残すべきものを残せたと思っている。

-豪栄道関は引退前に現役の姿を撮影できた

坂田監督 撮れて良かったですね! サムライを。引退後の表情は全然違いますね(笑い)。僕らは撮影の合間に見ているけど、メディアではそんな笑顔のイメージがなかった。

-間もなく映画公開日

坂田監督 本当はオリンピックの前を目指していて6月くらいに公開したかったが、コロナで劇場が閉まったりした関係で、このタイミングになった。この作品は、本来のお相撲の世界が残っている。相撲ファンにはそこを体感していただいて、元通りになることを楽しみにしてほしい。相撲を知らない人に向けては「力士ってかっこいいな」と思えるように作った。自分が仲のいい人に「すごいだろう、お相撲って」と自慢してほしい。日本人としてお相撲のある国に生まれてよかったなと思ってほしい。(11月5日から29日にかけて開催される)ハワイ国際映画祭に出品することも決まったので、それをきっかけに外国人の方も見てくれればいいですね。

-次回作も考えているのか

坂田監督 ヒットしたらやりたいですよね。「相撲道2」! ちゃんとヒットすることを願っています!

(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)

原功「BOX!」

日本が分の悪い世界戦対豪州 井上尚弥ジンクス打破なるか

バンタム級のWBAスーパー王座とIBF王座を持つ井上尚弥(27=大橋)が10月31日(11月1日)、米国ネバダ州ラスベガスでWBA2位、IBF4位、WBO1位にランクされるジェイソン・マロニー(29=オーストラリア)の挑戦を受ける。井上にとってはWBA王座の4度目、IBF王座は2度目の防衛戦となる。予想は井上が圧倒的有利だが、日本対オーストラリアの過去の世界戦の戦績は7戦して日本2勝(1KO)、オーストラリア5勝(2KO)と日本にとって分の悪いデータが残っている。

日本の初代世界王者は1952年にフライ級で戴冠を果たした白井義男(シライ)だが、オーストラリアではそれより62年前の1890年にヤング・グリフォーが世界フェザー級王座を獲得している。以後、日本の世界王者(男子)は90人を超えたが、オーストラリアは移民や女子王者を含めても30人に届かない。この数字はそのまま現在の世界のボクシングシーンにおける両国の勢力関係を表しているといえよう。

ただし、世界戦における日本とオーストラリアの直接対決では下記のとおり日本は負け越している(日本ボクシングコミッション認可試合)。

(1)1968年2月27日 東京

●ファイティング原田    王者

〇ライオネル・ローズ    挑戦者

   15回判定-バンタム級

(2)1968年7月2日 東京

〇ライオネル・ローズ    王者

●桜井孝雄         挑戦者

   15回判定-バンタム級

(3)1969年7月28日 シドニー

〇ジョニー・ファメション  王者

●ファイティング原田    挑戦者

   15回判定-フェザー級

(4)1970年1月6日 東京

〇ジョニー・ファメション  王者

●ファイティング原田    挑戦者

   14回KO-フェザー級

(5)1971年5月30日 広島

〇沼田義明         王者

●ライオネル・ローズ    挑戦者

   15回判定-スーパー・フェザー級

(6)2004年1月19日 ウロンゴン

〇アンソニー・ムンディン  王者

●西澤ヨシノリ       挑戦者

   5回TKO-スーパー・ミドル級

(7)2015年5月1日 東京

〇三浦隆司         王者

●ビリー・ディブ      挑戦者

   3回TKO-スーパー・フェザー級

※このほか1985年4月に日本ボクシングコミッション(JBC)非認可のもと、シドニーでIBFバンタム級王者の新垣諭がジェフ・フェネック(オーストラリア)に9回TKO負け。8月の再戦でも4回TKO負けという記録が残っている

※(6)のウロンゴンはオーストラリアのシドニー近郊の都市

勝敗では日本は2勝5敗と負け越しているが、王者と挑戦者という視点で見ると、王者の6勝に対し挑戦者はローズの1勝にとどまっている。オーストラリアにとっては、原田戦におけるローズの勝利と、原田の3階級制覇を阻んだファメションの2勝が光る。ただし、ファメションとの初戦は3度のダウンを奪った原田の勝利を推す者が多いことを付記しておく必要がある。日本側から見れば三浦がディブを「ボンバー・レフト」で豪快に倒した試合が印象深い。

これまでの7戦はすべて日本かオーストラリアのどちらかの国で行われてきたが、今回の井上対マロニーは初めて第三国での開催となる。

10対1というオッズが出ているように、井上が多彩な攻撃でマロニーを攻め落としてしまうのか、それともマロニーが大番狂わせを起こすのか。楽しみな一戦だ。

大相撲裏話

正代の熊本凱旋…コロナ禍で派手さなくとも溢れた愛

宇土市の元松市長とグータッチをする正代(2020年10月8日)

新大関正代(28=時津風)の熊本への凱旋(がいせん)帰郷を取材した。

大相撲秋場所で熊本県出身では初の優勝を飾り、県では栃光以来58年ぶりの大関昇進を果たした。その英雄が帰ってくる。本来なら県民をあげて歓迎したいところ、じゃまをしたのが新型コロナウイルスだった。

熊本・宇土市の元松茂樹市長は、地元後援会の顧問も務める。「息子が同い年なんですよ」と幼いころから知るという。「まさか、ここまでになるとは思わんかったですねぇ」。体は大きいが気が弱いというか、気が優しい印象が強かったという。「人に気遣いばかりしてましたね。こげんことで勝負事に勝てるのかと思ってました」。昔から人柄を知るだけに、大関として帰ってきたことが心底、うれしそうだった。

宇土市では祝賀パレードを計画し、日本相撲協会に申請している。パレードのルートは決定済み。使用するオープンカーも手配済みという。しかし、感染拡大防止に神経をとがらす中、なかなかOKは出ない。市長は「11月場所も優勝して、その場所後にできるとなれば盛り上がると思うんですが」とプランを描く。

正代の故郷愛も強い。コロナ禍の前は毎場所後に帰郷していたほどだ。地震、水害と自然災害に見舞われてきた地元へ恩返しの気持ちも強く持ってきた。「すごい心配で、自分のできることは何かと。災害があって今まで以上に稽古に取り組む意識が強くなった気がする」。大関正代の根っこには、常に「熊本」があり、支えている。

市長は「宇土を『うと』と言ってもらえるようになっただけでもすごい貢献。『うど』という方も多かったですから」と話す。派手な歓迎はない、ひっそりとした凱旋(がいせん)帰郷。それは大関正代の人柄にふさわしく、どこか温かかった。【実藤健一】

原功「BOX!」

統一戦期待のゴンサレスとエストラーダは王座を守れるか

日本では「ロマゴン」の愛称で知られる世界4階級制覇王者のローマン・ゴンサレス(33=ニカラグア)が23日(日本時間24日)、メキシコでWBA世界スーパー・フライ級スーパー王座の初防衛戦に臨む。この日は同じ階級のWBC王者、ファン・フランシスコ・エストラーダ(30=メキシコ)も3代前のWBC王者、カルロス・クアドラス(32=メキシコ)を相手に防衛戦を行うことになっている。近い将来に統一戦が期待されているゴンサレスとエストラーダは王座を守ることができるのか。

ローマン・ゴンサレスは今年2月、26戦全勝だったカリド・ヤファイ(英国)を9回TKOで下して現在の王座を獲得し、今回のイスラエル・ゴンサレス(メキシコ)戦が初防衛戦となる。過去にミニマム級、ライト・フライ級、フライ級での戴冠実績があり、世界戦だけで19戦(17勝11KO2敗)を経験している。4~5年前はボクサーの総合的な評価ともいえる「パウンド・フォー・パウンド」で最強の声もあったほどの実力者だ。通算戦績は51戦49勝(41KO)2敗。KO率は80パーセントを超える。

挑戦者のイスラエル・ゴンサレスは3度目の世界挑戦となる。18年2月のIBF王座挑戦はジェルウィン・アンカハス(比国)に10回TKO負け。9カ月後にはヤファイに挑んだが、12回判定負けに終わった。昨年12月には来日して石田匠(井岡)と対戦、12回判定で世界ランカー対決を制している。戦績は28戦25勝(11KO)3敗。

ローマン・ゴンサレスにとってはアウェイでの防衛戦となるが、これまでメキシコでは5戦全勝(3KO)をマークしており問題はなさそうだ。挑戦者の左ジャブとスピードは厄介だが、パワーと経験値の違いを見せつけてKO防衛を果たす可能性が高い。

エストラーダ対クアドラスは約3年ぶりの再戦となる。WBC王座への挑戦者決定戦として挙行された初戦は接戦だったが、10回にダウンを奪ったエストラーダがジャッジ三者とも1ポイント差の12回判定勝ちを収めている。その後、エストラーダはシーサケット・ソールンビサイ(タイ)を攻略して王座を獲得しており、これが2度目の防衛戦となる。43戦40勝(27KO)3敗。

一方、エストラーダ戦後の再起戦でも敗れたクアドラスは一時的にトップ戦線から後退したが、3連勝してWBC3位まで戻ってきた。戦績は43戦39勝(27KO)3敗1分。

ともにスピード、テクニック、パンチ力を備えた実力派で、初戦を見るかぎり総合的な戦力に大差は感じられない。ともにコロナ禍の影響で1年以上のブランクができたため、両者のコンディションが勝敗を分けることになるかもしれない。

もしも両王者がベルトを守った場合、統一戦が計画される可能性が高い。ローマン・ゴンサレスとエストラーダは8年前に対戦したことがあり、そのときはゴンサレスが中差の判定勝ちでWBA世界ライト・フライ級王座を防衛している。階級を上げて王者同士として統一戦は実現するのか。そういう視点からも23日の試合は注目に値する。

このスーパー・フライ級では、4階級制覇を果たしている井岡一翔(Ambition)がWBO王座に君臨している。次期防衛戦では田中恒成(畑中)の挑戦を受ける方向で調整中と伝えられる。そんななかで行われるWBA、WBCタイトルマッチは日本のファンにとっても気になるところといえる。

なお、23日はローマン・ゴンサレス対イスラエル・ゴンサレス、エストラーダ対クアドラスに加え、フリオ・セサール・マルチネス(メキシコ)対マキシミノ・フローレス(メキシコ)のWBC世界フライ級タイトルマッチも行われる。

原功「BOX!」

ロマチェンコVSロペス どちらが史上5人目の4団体統一王者か

世界ライト級王座の4団体統一戦が17日(日本時間18日)、米国ネバダ州ラスベガスで行われる。WBAスーパー王座とWBCフランチャイズ(特権)王座、WBO王座を保持しているワシル・ロマチェンコ(32=ウクライナ)と、IBF王者のテオフィモ・ロペス(23=米国)が対戦するもので、勝者は史上5人目の4団体統一王者となる。

ともにプロで15戦と試合数は多くないが、14勝(10KO)1敗のロマチェンコはデビュー戦を除く14試合が世界戦という中身の濃さを誇る。ライト級王座を獲得する前にフェザー級とスーパー・フェザー級でも戴冠を果たしており、すでに3階級制覇を成し遂げている。「ハイテク(高性能)」というニックネームを持ち、ボクサーの総合評価ともいえる「パウンド・フォー・パウンド」では現役最強に推されることが多い。アマチュア時代の実績も輝かしいもので、五輪と世界選手権をともに連覇するなど397戦396勝1敗という驚異的な戦績を残している。身長170センチ、リーチは166センチと決して体は大きくないが、左構えからテンポよくパンチを打ち込む技巧派で、常に立ち位置を変えるなど防御技術と勘の良さを備えている。

対するロペスは16年リオデジャネイロ五輪に両親の出身国であるホンジュラス代表として出場後にプロ転向。派手なKO勝ちを続けながらトップ戦線に浮上し、昨年12月にリチャード・コミー(ガーナ)を2回TKOで破って戴冠を果たした。躍動感溢れる攻撃型の選手で、特に相手のパンチに合わせて放つ右のショート・ストレートは破壊力がある。15戦全勝(12KO)とKO率では対抗王者を上回っている。身長173センチ、リーチ174センチと体格のアドバンテージもある。半面、スタミナや耐久力、対応力など未知の部分も残っている。

ロマチェンコのテクニックと経験、若いロペスの勢いとパワーの対決という構図になるが、オッズは3対1で3団体王者有利と出ている。報酬はロマチェンコが350万ドル(約3億6750万円)、ロペスが150万ドル(約1億5750万円)と伝えられる。

この試合の勝者は4団体の統一王者になるわけだが、最も新しい団体WBOが1988年に設立されて以降、4本のベルトを同時に保持した世界王者はバーナード・ホプキンス(米国=ミドル級)、ジャーメイン・テイラー(米国=ミドル級)、テレンス・クロフォード(米国=スーパー・ライト級)、オレクサンデル・ウシク(ウクライナ=クルーザー級)の4人しかいない。ちなみにホプキンスに勝って4王座を引き継いだテイラーを除く3王者は自力で統一を果たしている。史上5人目(自力での統一は4人目)の4団体統一王者になるのはロマチェンコなのか、それともロペスなのか。序盤から目の離せない試合になりそうだ。

大相撲裏話

横綱大関が必ず指名した正代「稽古場の恋人」の進化

翔猿(右)の立ち合いを受け止める正代(2020年9月27日撮影)

正直に言えば、高をくくっていた。「感染防止対策は十分している」「感染しそうな場所には行っていないし…」。だから鼻の奥に綿棒を突っ込まれ、経験したこともない違和感があろうと何てことはなかった。都内のクリニックを出て帰宅すがらも、検査を受けたのを忘れたぐらいだ。しかし人間なんて弱いものだ。4時間後、検査結果がスマホに通知され、PDF版の検査結果報告書を開く時のドキドキ感といったら、ありゃしない。結果は幸いにも陰性。だが、結果を知るまでは「当然だろう!」と胸を張っていた姿は影もない。ホッと胸をなで下ろす自分がいた。コロナ禍の折に何十万、何百万の人がこんな思いをしているのか…などと、妙に切なさが込み上げてくる。

つい先日、PCR検査を受けてきた。コロナの影響を受け、リモート取材が半年以上も続いている。どのスポーツの取材現場も似たりよったりだろう。直接、現場に行っての取材再開の第1歩として、日本相撲協会からの打診があった。それを受けての検査だ。他のプロスポーツ団体も取り組んでいる対応策であり、少しでもリスク軽減の安心感を担保できるならと異論などない。もちろん陰性だからといって、ただちに従前の大人数での対面取材が再開されるとは思っていない。徐々にでも安心感を持って距離感が縮まってくれれば…。私の最後の稽古場取材は、3月の春場所前までさかのぼる。はるか昔のことのように思える。そしてあの部屋から半年後、よもや大関が誕生するとは…。

特定の力士、部屋の取材記者ではない“遊軍”的立場の私がよく足を運ぶのは、東京や地方場所に関係なく時津風部屋だった。指令を受けるのは、たいがいキャップからの「○○が出稽古に来るから明日は時津風部屋に行ってください」の言葉。○○は白鵬や鶴竜であったり、高安、照ノ富士らで、取材本来の目的は彼らであった。そして出稽古組が必ずといっていいほど、稽古相手に指名するのが正代だった。

「また、いい稽古相手になっちゃったかな…」。昨年も一昨年もそうだった。稽古後、あの柔和な笑みを浮かべながら、そう口にする正代の姿が懐かしい。出稽古組からすれば、体を反らせ胸を出して踏み込んでくる腰高の力士は、稽古相手として絶好だ。何の躊躇(ちゅうちょ)もなく当たれ、押し込めばさほど粘ることなく俵を割る。私の記憶では両横綱など、10番取れば10番勝つし、15番取れば15番負けない。それは横綱審議委員会の稽古総見でも同じ。まさに「稽古場の恋人」状態だった。

その正代が下克上よろしく、大関昇進を果たした。角界には「場所相撲」という言葉がある。稽古場ではめっきり弱いのに、本場所の土俵では強さを発揮することを意味する。今までよもや、死んだふりをしていたわけではないだろう。稽古場で上位陣の当たりをまともに受け続け、自然と盤石な下半身が出来上がったと信じたい。そうして、コロナ禍にあって筋トレを積み重ね、強い体幹が出来上がったからこそ、アゴが上がろうが、胸を反らせようが、その胸で相手をはじき飛ばし、飛び込まれても懐の深さで翔猿戦のような逆転勝ちも収められた。白星を挙げる勝負時間も、今年初場所から6・6秒→6秒→6・1秒→5・1秒と速くなった。何か目覚めるものがあったのだろう。

あの胸を反らすような立ち合いは変えなければダメだ、アゴを上げるな、腰高を直せ-。期待の裏返しなのか、何かと周囲の声は、かまびすしい。ただ、このスタイルで大関の座を勝ち取った。正代なりの「形」を変えず貫くのも手だろう。よほど「これではダメだ」と本人の自覚が芽生えたときにモデルチェンジすればいい。

仮に横綱になれずに引退した時、土俵人生を振り返って正代は、どう思うだろう。「横綱になれなくて悔しかった」と言うか「大関になれて幸せな土俵人生だった」と笑うか。後者であっても、それはそれで正代らしくていいと思う。この逆境のコロナ禍で、大関の座を射止めたことに価値がある。【渡辺佳彦】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)

原功「BOX!」

ナバレッテ2階級制覇なるか 戴冠して井上を待つ

スーパー・バンタム級でWBO王座を5連続KO防衛したエマヌエル・ナバレッテ(25=メキシコ)が10月9日(日本時間10日)、米国ネバダ州ラスベガスでWBO世界フェザー級王座決定戦に臨む。ナバレッテといえば今春まで井上尚弥(27=大橋)に対戦を呼び掛けていた選手だが、ライバルの転級を待ちきれず自身が先に上の階級に転向。このほど2位のルーベン・ビラ(23=米国)を相手に2階級制覇を狙うことになった。

ナバレッテは33戦31勝(27KO)1敗1無効試合の戦績を誇る連打型の強打者で、18年12月に獲得したWBO世界スーパー・バンタム級王座は5度防衛した。特筆すべきは、その5試合が10カ月の短期間内に行われたことと、すべてKO(TKO)で終わらせていることである。そうした自信からか井上のスーパー・バンタム級転向を歓迎していた。しかし、現時点でバンタム級がベスト階級の井上は「しばらくはバンタム級で戦い、タイミングが来たらクラスを上げる」と急ぐ気配は見せていない。こうしたなか減量苦が続いていたナバレッテが痺れを切らしてフェザー級に上げたわけだ。

すでにナバレッテは6月にメキシコでテストマッチを行い、はるか格下の選手に6回TKO勝ちを収めた。フェザー級のリミットを450グラム上回る体重だったが、動きや勘に問題はなかった。この試合後にスーパー・バンタム級の王座を返上した。ただし、コロナ禍のなかで行われたこの試合はコミッションが管理したものではないとして、のちにノーコンテスト(無効試合)の扱いとなっている。

もともとナバレッテは自分より2代前のWBO世界スーパー・バンタム級王者、ジェシー・マグダレノ(28=米国)と戦う計画だった。イベントの開催権はトップランク社が25万ドル(約2625万円)で落札しており、ナバレッテに60パーセント(約1575万円)、マグダレノに40パーセント(約1050万円)の分配になる予定だった。しかし、マグダレノ側がこれに難色を示して辞退。代わりにビラにチャンスがまわってきたという経緯がある。

ビラは18戦全勝(5KO)のサウスポーで、立ち位置を変えながら打っては相手のパンチを外し、外しては打つ技巧派といえる。ただ、数字が示すとおりパワーには欠ける。世界戦で5連続KO勝ちしたナバレッテとは対照的に、このところ6試合続けてKOを逃している。

両者の戦闘スタイルから考えてナバレッテが攻め、ビラが迎え撃つ展開が予想される。ナバレッテがサウスポーのビラに手を焼く可能性はあるものの不覚をとることはあるまい。中盤から終盤にかけて攻め落として2階級制覇を果たすのではないだろうか。

大相撲裏話

大子錦 高砂部屋ちゃんこ長25年胸張り第2の長へ

17年2月、調理する高砂部屋ちゃんこ長の大子錦

高砂部屋の胃袋を支えてきた力士が角界を去る。同部屋ちゃんこ長、序ノ口の大子錦(42)が今場所限りで引退する。95年九州場所で初土俵を踏み、25年間の相撲人生。「スッキリです。裏方として頑張れました」と胸を張る。

ソップ炊きやキムチ鍋、アンコウ鍋や手羽ちりなど、高砂部屋では豊富な種類のちゃんこの味が代々受け継がれてきた。大子錦は入門当初からちゃんこ場に立つ機会が多く、伝統の味に四苦八苦しながら作り続けてきた。そして先代高砂親方(元小結富士錦)の定年に伴い、高砂部屋と現高砂親方(元大関朝潮)が興していた若松部屋の合併後の、03年ごろからちゃんこ長に就いた。一番の思い出は「昔からの味を知っている床寿さんに『今日のはうまいな』と言われたこと」。約50年間、高砂部屋の床山を務め、19年に死去した元特等床山で床寿の日向端隆寿さんにほめられたことだ。

今日まで、伝統ある高砂部屋直伝のちゃんこの味を先代から守り続けた。第2の人生は、高砂親方の後援会関係者からの紹介で、岐阜県内の会社寮で寮長を務める。ちなみに「料理はしない予定です」と“ちゃんこ長”ではない。「社員の寮と職場の送迎とか掃除とか。今の部屋の延長みたいなもの。楽しみです」と人生2度目の“長”として歩み始める。【佐々木隆史】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)

大相撲裏話

もし現役ならリモート取材応じる?親方4人に聞いた

鳴戸親方

今場所8日目のこと。幕内後半は西方力士が全員敗れ、誰も取材に応じなかった。コロナ禍にあるため報道対応はリモートのみ。東西の支度部屋を出たところにそれぞれモニターが設置されている。画面を通じてメディアの質問に応じるかどうかは、力士の判断に委ねられている。勝ってもしゃべらない力士もいる。

モニターの近くで、協会職員とともに力士に報道対応を促している担当の1人が、鳴戸親方(元大関琴欧洲)。事情を聴くと、仕事の難しさを口にした。「(力士)全員に声がけをしているが、強制ではないので3分の1くらいは取材に応じていない。負けた人の気持ちが分かるので、なかなか強くお願いできない」。現役時代、勝っても負けても口数が多くはなかった鳴戸親方は、力士の気持ちをおもんぱかった。

-もし現役力士だったら、リモート取材を受けますか?

「日によると思うが、会って話したほうが伝わるのでリモートは積極的に受けようと思わない。誤解を生んだり、ニュアンスがくみ取れない可能性もあるので」

対面での会話とは違い、互いの表情や空気感がリモート取材では読み取りにくい。ブルガリア出身の鳴戸親方が指摘する通り、特に外国出身力士にとってはやりにくさがあるのかもしれない。

-支度部屋に報道陣が入れた時は、負けた時でも質問される。この状況について、どう考えますか?

「記者の皆さんは質問することが仕事だと思っているので、当たり前だと思っている。ただ返答するかしないかは、力士の性格によるところが大きい。勝っても負けてもいろいろなことを話す人もいれば、勝っても多くを話さない人がいるように」

鳴戸親方のほかにも、3人の親方に、もし今現役だったらリモート取材に応じるかどうか、考えを聞いた。

元幕内天鎧鵬の音羽山親方は、YouTube「親方ちゃんねる」の中心メンバーとして軽やかなトークを展開している。現役時代は宇良に勝った際、映像分析が実を結んだことを明かし「宇良ビデオを見て研究しましたからね」と「宇良ビデオ」を連発して報道陣を笑わせた実績がある。

-今、現役だったらリモート取材に応じますか?

「受けますよ。でも自分は現役時代、取材していただく機会が少なかったので…。負けても(本場所の)前半だったらいいですけど、負けて(十両や幕下に)落ちる時はきついですよね」

元関脇栃煌山の清見潟親方は現役時代、負けるとめっきり口数が少なくなった。悔しさを強くにじませていたタイプだ。

-今、現役だったらリモート取材に応じますか?

「はい。自分は負けるとぶすっとしていたけど、しゃべるのも仕事のうちだと思っていましたから。聞かれたら必ず答えていましたよね? 取材を受けるのも仕事のうち。淡々と答えればいいと思います。お客さんから写真撮影やサインを頼まれた時も、場所入りの時は取組が控えているのでできませんが、帰りは必ず応じていました。負けた時は、あんな空気感を出しているにもかかわらず、よく来てくれたなと(笑い)」

最後は、元関脇安美錦の安治川親方。現役時代、勝っても負けても、気の利いたコメントで報道陣を手玉に取っていた。

-今、現役だったらリモート取材に応じますか?

「逆に、なんで応じないのかと思う。負けた時は『今日は負けたから明日頑張ります。これでいいですか?』と言って帰ればいい。明らかに変なことを書かれるなら別だけど、自分の名前を出して記事にしてくれるんだから。野球やサッカーに置き換えれば、負けた監督が何もしゃべらないで成り立つのかと言ったら違うでしょう。力士も自分のためだけに戦っているわけじゃない。こういう状況で本場所をやらせてもらって、お客さんにも来てもらっている。そこを考えれば、自分たちのすべき行動はみえてくるんじゃないかな」

8日目のことがあってから、気に懸けてくれる力士も増えてきた。個人的には、取材に応じるかどうかは力士の自由なので、決して無理強いするものではないと思っている。力士らしいおおらかなコメントが出れば、その横顔も書きたいし、無言のまま勝負に集中しているのなら、その一番にかける姿勢を伝えたい。ともにコロナ禍を乗り切りたい。【佐々木一郎】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)

リングにかける男たち

閉館した横浜文化体育館 数々の名勝負が思い出深い

横浜文化体育館でTKO勝利を収めた井上尚弥(2017年12月30日)

ボクシング世界戦も徐々に開催されている。相次いで日本人世界王者2人の防衛戦も発表された。井上尚弥(大橋)は10月31日に米ラスベガス、京口紘人(ワタナベ)は11月3日に大阪で臨む。

今年国内での世界戦は1試合も開催されていない。3月にタイで1試合、女子を含めても国内では日本人対決1試合だけだった。井上は再開後、日本人最初の世界戦、京口は国内最初の世界戦となる。

京口は2試合連続の凱旋(がいせん)でもある。会場は大阪市住之江区にある国際展示場インテックス大阪。4000席を設営も観客動員は2000人にとどめるという。ボクシング開催は初で、国内では113番目の会場になる。

日本で初開催したのは後楽園球場だった。52年の白井義男で、世界戦7試合すべてがここ。戦後復興のシンボルとして熱狂の渦となった。合計で9試合開催されたが、その後は蔵前国技館などが増え、人気の上昇から各地で開催されるようになった。

最も多いのが76試合の大阪府立体育館。ボディメーカーコロシアムをへて、今はエディオンアリーナ大阪となった。大相撲春場所など関西でのスポーツの拠点であり、ダブルやトリプル開催も多かった。

59試合の聖地と言われる後楽園ホール、44試合の両国国技館、40試合の大田区総合体育館、35試合の有明コロシアムと続く。

13試合で13番目も、思い出深いのが横浜文化体育館だ。62年に開館したが、9月6日に閉館となった。JR根岸線関内駅近くで、収容人員は約5000人と手頃な大きさだった。

最初の世界戦は74年で、現在は日本プロボクシング協会会長の花形進が5度目の挑戦で王座奪取した。大場政夫に挑戦は日大講堂も、他の3度挑戦はいずれも敵地海外だった。チャチャイ・チオノイ(タイ)に再挑戦で6回KO勝ち。生まれた地で、ジムもあった地元横浜での悲願に喜びも爆発した。

新王者誕生は2人だけ。アンタッチャブルと呼ばれた川島郭志は担当だった。94年に初挑戦で奪取した。11回にダウンを奪っての快勝に会場が歓喜に包まれた。V2、V3戦もここ。安定王者となり、V4戦からは両国国技館に格上げとなった。

その後は、川嶋勝重、内山高志、佐藤洋太らの防衛戦など。最後は17年。ダブルで寺地拳四朗が先陣、井上尚弥がトリとなった。WBO世界スーパーフライ級時代のV7戦で3回TKO勝ち。大橋ジムは世界戦以外の興行も多く、八重樫東はデビュー会場だった。

文体の名で親しまれた会場は生まれ変わる。地上3階建てでホテルも隣接される横浜ユナイテッドアリーナとなる。来年着工して、24年4月に完成する。こけら落としには井上尚弥がふさわしい? その時、何本目のベルトを持ち、どの階級にいるのだろうか。【河合香】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける男たち」)

原功「BOX!」

双子の兄弟世界王者チャーロ兄弟が揃って世界戦登場

史上5組しか達成していない双子の兄弟世界王者として知られるジャモール&ジャーメルのチャーロ兄弟(30=米国)が26日(日本時間27日)、米国コネチカット州アンカスビルで揃って世界戦のリングに上がる。兄のジャモール・チャーロはセルゲイ・デレビヤンチェンコ(34=ウクライナ)を相手にWBC世界ミドル級王座の4度目の防衛戦、弟でWBC世界スーパー・ウェルター級王者のジャーメル・チャーロは同級WBAスーパー王座とIBF王座を持つジェイソン・ロサリオ(25=ドミニカ共和国)との3団体統一戦に臨む。

兄弟で世界王者になった例は30組を超すが、双子の兄弟となるとカオサイ&カオコーのギャラクシー兄弟(タイ)、チャナ&ソンクラームのポーパイン兄弟(タイ)、ラウル&ラモンのガルシア兄弟(メキシコ)、レネ&フェリックスのアルバラード兄弟(ニカラグア)、そしてジャモール&ジャーメルのチャーロ兄弟(アメリカ)の5例しかない。

特にチャーロ兄弟はふたりとも評価の高い世界王者で、兄のジャモールはスーパー・ウェルター級とミドル級の2階級を制覇した実績を持つ。8度の世界戦を含む戦績は30戦全勝(22KO)だ。スピードとパワー、テクニックをバランスよく備えた強打者で、世界戦のリングで何度も戦慄を感じさせるようなKO勝ちを収めてきた。

挑戦者のデレビヤンチェンコはアマチュアで410戦(390勝20敗)を経験後にプロ転向し、ここまで15戦13勝(10KO)2敗の戦績を残している。2度の敗北はいずれも世界挑戦で惜敗したもので、現在はWBC1位にランクされている。

スピードとパンチ力で勝るジャモール・チャーロがテンポよく攻めることができれば防衛が濃厚だが、強引に距離を詰められるようだと厳しい戦いを強いられる可能性もある。オッズは3対2で王者有利と出ている。

双子の弟、ジャーメル・チャーロはこれが第2次政権となる。最初は2016年5月から2018年12月まで1年7カ月の在位で、現在の王座は昨年12月に奪回したものだ。コロナ禍の影響で試合ができなかったため、10カ月ぶりの実戦が初防衛戦となる。こちらはテクニックを主体としたボクシングに定評があったが、最近は兄のように切れのあるパンチで派手なKO勝ちを収めることが多い。戦績は34戦33勝(17KO)1敗。世界戦では6戦5勝(4KO)1敗の数字を残している。

そのジャーメル・チャーロと拳を交えるロサリオは今年1月、16対1のオッズをひっくり返して5回TKO勝ち、2団体王座を獲得した強打者で、こちらも9カ月ぶりの試合となる。右ストレートや左フックのほか死角から突き上げるアッパーなどパンチは多彩で強い。知名度や評価ではライバル王者に及ばないが、22戦20勝(14KO)1敗1分とKO率では上回っている。

経験値やテクニックで勝るWBC王者が有利とみられており、オッズは4対1と大差がついている。ジャーメル・チャーロが3つのベルトを手にするだろうと予想されているが、ロサリオの強打が火を噴く可能性も十分にある。

チャーロ兄弟が同じ日に同じ会場で揃って世界戦に臨むのは今回が3度目となる。最初(2016年5月)は兄が判定勝ちで王座防衛、弟がKO勝ちで王座獲得、2度目(2018年12月)は兄が判定勝ちで防衛、弟が判定負けで王座陥落という結果だった。理想は兄弟揃ってのKO勝ちだが、はたして-。

大相撲裏話

床山の床盛「後悔なく」勤続30年で転職した理由

力士の髪を結う床山の床盛

力士のまげを結う床山の床盛(とこもり、45=本名・難波健治)が、4日付で日本相撲協会を退職した。もともと妻の実家が兵庫・淡路島でタマネギ農園を営んでおり、まずは手伝うかたちで農業を始めたという。

15歳で角界入りし、勤続30年7カ月。来年早々には、2等床山から1等床山への昇進も確実だった。なぜ、この年での転職なのか? 元床盛の難波さんに聞いた。

「相撲も魅力があり、大好きなのですが、相撲協会にいたらできないことが淡路島にはあります。畑仕事もそうですし、目の前の漁港で魚を釣ることもできます。後悔はなく、今は楽しみしかありません。タマネギだけでなく、ブドウ作りも頑張りたい。義理の兄がワインを造っているんです」

難波さんは力士志望だったが身長が規定に足りず、床山として元関脇青ノ里の立田川部屋に入門。「2、3年床山をやって、身長が伸びたら力士になったらどうか」と言われ、のちに身長は170センチになったが転向はしないまま。その代わり、床山のまま約10年は、東京場所前や夏合宿に限って、まわしを締めて力士とともに稽古していたという変わり種だ。

「入門してから、師匠には手取り足取り、ちゃんこの作り方も教えてもらいました。一緒の部屋に寝て、朝から晩まで。師匠のおかげで、企業の社長と話す機会があったり、勉強になりました」

師匠の定年に伴い、2000年に湊部屋に移籍。2014年10月には報道陣約60人の前で、逸ノ城の初まげを結ったことが見せ場の1つだった。立田川部屋時代も含め、本場所では敷島(現在の浦風親方)、豊桜、霧の若、琉鵬、逸ノ城の大銀杏(おおいちょう)を担当してきた。

くしやまげ棒など、床山の道具は一式、記念に持ってきた。秋場所はテレビで観戦しているが、不思議な感覚だという。「変な感じがしますね。あの場にいたわけですから。近所にあいさつ回りをすると、不思議がられますよ」。

7月場所は、部屋から本場所まで車で逸ノ城の送迎も担当していた。逸ノ城に向けては「ケガを治すことも、トレーニングも、努力している関取です。三役に戻ってくれたらうれしいですね」とエールを送る。

最後に、タマネギのPRを。「淡路島のタマネギは甘いんです。サラダで食べるとみずみずしい。(力士たちにも)食べてもらいたいですね」。多くの力士のまげを結ってきた職人の手はこれから、畑仕事に生かしていく。【佐々木一郎】

大相撲裏話

伊勢ノ海部屋に新風バットトクトホ・トゥルトクトホ

伝統ある部屋に新風が吹く。伊勢ノ海部屋に入門したモンゴル出身のバットトクトホ・トゥルトクトホ(23)が、秋場所前に新弟子検査を受けて合格。長い歴史を持つ同部屋で初の外国出身力士が誕生した。伊勢ノ海親方(元前頭北勝鬨)は「部屋のいい刺激になっている」と声を弾ませた。

鳥取城北高を経て同志社大に進学。入門のきっかけは同大関係者からの紹介。同大との付き合いは、10代目伊勢ノ海親方(元前頭柏戸)時代から続くという。現部屋付きの甲山親方(元前頭大碇)と立川親方(元関脇土佐ノ海)も同大から伊勢ノ海部屋に入門している。

江戸の大相撲で初めて縦番付がつくられた1757年(宝暦7)に「初代伊勢ノ海」が存在した伝統部屋。同大出身者は5人目だが、外国出身力士は初。1部屋1人の外国出身枠や部屋の伝統を考えると悩ましかった。しかし「入門前に面接をしたら真面目でいい子だった。2人のOBもいるから大丈夫。この子に限って引き受けた」と受け入れを決意。すでに部屋での生活にもなじみ、相撲も幕下ほどの力があるという。「部屋がいい方向に傾いてくれれば」と期待をかけた。【佐々木隆史】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)

大相撲裏話

国技館に行きたくなる初の相撲ドキュメンタリー映画

満員の国技館を久々に体感できた。先日、10月末に公開される大相撲ドキュメンタリー映画「相撲道~サムライを継ぐ者たち~」の試写会に足を運んだ。コロナ禍以前の、大勢の観客でにぎわっていた本場所の様子が、美しい映像と音響で何度か流れた。忘れかけていた大歓声だった。

主に登場するのは境川部屋と高田川部屋の力士だ。18年12月から19年6月の半年間に密着している。見どころは数多くあるが、けがと闘う元大関豪栄道(現武隈親方)の姿は必見。弱音を吐かない「やせ我慢」の精神は、初の大相撲ドキュメンタリー映画という本作の主役にぴったりだった。

春巡業で稽古に励む豪栄道(2019年4月21日撮影)

大相撲ファン以外にもおすすめできる作品だ。立ち合いの「ゴンッ」という鈍いぶつかり音は、生で聞く以上に鮮明で度肝を抜かれる。番付制度など角界の複雑な仕組みも丁寧に説明されており、初心者も違和感なく楽しめるはず。映画はTOHOシネマズ錦糸町で10月30日、中野区のポレポレ東中野で同31日ほか全国で順次公開。コーディネートプロデューサーを務める相撲漫画家の琴剣淳弥さん(60)の言葉を借りれば「この映画を見終わったあと、きっとあなたも国技館へ行きたくなっているでしょう」。【佐藤礼征】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)

大相撲裏話

先代井筒親方死去から1年 伝授の技であと一歩

井筒親方(10年01月11日撮影)

天国で見守る先代師匠に伝授された技で、懸命な攻めを見せた。西三段目44枚目鋼(39=陸奥)は白旺灘に逆転の上手投げを食らって1番相撲から2連敗となったものの、もろ差しで土俵際まで追い詰めた。「師匠みたいに、もろ差しで寄り切りたかったんですけどね」と苦笑い。もろ差しの名人だった先代井筒親方(元関脇逆鉾)が死去して、16日でちょうど1年。去年の秋場所後、横綱鶴竜、三段目鶴大輝らとともに旧井筒部屋から陸奥部屋に転籍した。鋼は「あっという間の1年だった」と神妙な面持ちだった。

コロナ禍で、感染予防のため一周忌には参加できなかったが、思いをはせる機会があった。秋場所直前に鶴大輝と旧井筒部屋を訪問。仏壇に手を合わせ、先代師匠と会話した。「先代が喜んでくれると思い、こんなことがあったなと思いながら。いろいろ考えた」。思い出がよみがえった。

横綱鶴竜は初日から休場しているだけに、2人には期するものがある。1勝1敗の鶴大輝は「場所後に先代に手を合わせて、いい報告ができるようにしたい」。先代師匠の顔を思い浮かべ、土俵に上がり続ける。【佐藤礼征】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)

リングにかける男たち

京口紘人の異例防衛戦 コロナ禍では国内初の世界戦

挑戦者のパネルとファイティングポーズをとる王者京口(2020年9月8日)

新型コロナウイルス感染症の収束はまだまだ見えないが、スポーツ界は観客数の上限緩和など少しずつ「通常モード」へ動きだしている。室内競技で厳しい条件下にあるボクシングも、感染拡大防止のルールを徹底した上で興行を再開。9月8日には大阪市内のホテルでWBA世界ライトフライ級スーパー王者京口紘人(26=ワタナベ)の3度目防衛戦が発表された。

コロナ禍で興行の自粛など動きが停止した後、男子の世界戦では国内初。11月3日にインテックス大阪で開催される。挑戦者は同級11位、14戦無敗(12KO)のタノンサック・シムシー(20=タイ)。ただ、さまざまな条件付きの発表でもあった。

海外渡航の制限から、挑戦者が来日できる確約はない。発表会見もパソコンの画面越し、オンラインでの対応だった。またマッチコミッショナーやレフェリー、ジャッジのオフィシャルも団体の本部から選任し、来日するのが通例だが、今回の世界戦はそれらを日本国内でまかなうよう調整しているという。また、タイからの来日がかなわなかった場合に備え、代替の選手も検討と異例ずくめだ。

こういう事態は何より、主役となるボクサーの心理状態をおもんばかる。ボクシングは厳密な体重によって区切られる競技。最大の敵は対戦相手だけでなく、減量という己との戦いでもある。コロナ前も、減量に失敗しての体重超過が話題になってきた。それほど体重を絞るのは極限の戦い。対戦相手もどうなるか分からない状況下では、精神的負担も大きいはずだ。

京口の世界戦予定も、当初は3月だった。その上で「(試合間隔が)空いたのは仕方ない。トレーニングできる時間が増えてよかったと、プラスに捉えている」と言い切った。本音では不安を抱いているとしても、こう言い切れるのがチャンピオンの心だと思う。

体だけでなく、心もギリギリまで削って戦うところにボクシングの魅力がある、と個人的に思っている。京口にとって、すでに戦いは始まっていたのだろう。11・3、魂の戦いを楽しみにしたい。【実藤健一】

原功「BOX!」

ネリ、ローマン、パヤノ…日本ファン気になるボクサー続々登場

26日(日本時間27日)、米国コネチカット州アンカスビルで世界タイトルマッチ5試合と挑戦者決定戦1試合が行われる。出場選手のなかには日本で世界王座を獲得したルイス・ネリ(25=メキシコ)とダニエル・ローマン(30=米国)、そして井上尚弥(27=大橋)に70秒でKO負けを喫した元王者のファン・カルロス・パヤノ(36=ドミニカ共和国)が含まれている。さらに4月に予定された井上との統一戦が先送りになったWBO世界バンタム級王者、ジョンリエル・カシメロ(31=比国)の防衛戦も組まれている。日本のファンにとっては気になる一日となりそうだ。

ネリは17年8月に京都で山中慎介(帝拳)のV13を阻止してWBC世界バンタム級王座を獲得したが、試合後にドーピング違反が発覚。WBCが調査に乗り出したが、「意図的に禁止成分を摂取したとは断定できない」という灰色決着になり、山中との再戦を命じた。

そもそもネリは山中に対する挑戦者決定戦(17年3月)でも1.5キロ近い体重オーバーの失態を犯しているが、WBCはこれをスルーして挑戦権を与えた経緯がある。このあたりに“ネリ問題”の根っこがあるといってもいいだろう。

18年3月の山中との再戦時、ネリは計量で2.3キロという意図的とも考えられる体重超過を犯し、再計量でも規定内に収めることができずに王座を剥奪された。試合では2回TKO勝ちを収めたものの日本ボクシングコミッション(JBC)から事実上の永久追放処分を受けた。ちなみにWBCは6カ月の出場停止という大甘処分だった。その後、戦線復帰して4連続KO勝ちを収めたあと昨年11月にはWBCの挑戦者決定戦が組まれたが、ここでもネリは体重オーバー。試合は中止になり、主要4団体は揃ってネリを世界ランキングから除外した。

しかし、6月になってWBCはネリを1階級上のスーパー・バンタム級1位にランクしたうえでアーロン・アラメダ(27=メキシコ)との挑戦者決定戦を承認。その矢先、負傷したレイ・バルガス(メキシコ)を正王者から“休養王者”に格下げし、ネリ対アラメダを王座決定戦に昇格させた経緯がある。

30戦全勝(24KO)のネリに対しアラメダも25戦全勝(13KO)だが、強豪との対戦や目立った実績は皆無に等しい。WBCが世界6位にランクしているのが不思議に思えるほどだ。ネリのKO勝ちが確実視されるカードといえる。

ローマンは17年9月に京都で久保隼(真正)を9回TKOで攻略してWBA世界スーパー・バンタム級王座を獲得し、5カ月後には再来日して松本亮(大橋)の挑戦を退けている。今年1月に無冠になり、今回が再起戦となる。と同時にローマン対パヤノは、ネリ対アラメダの勝者に対する挑戦者決定戦でもある。

そのパヤノは18年10月に横浜で井上に右一発でKOされたが、5カ月後に再起。しかし、昨年7月にネリに9回KO負けを喫しており、こちらも再起戦となる。ローマンに分があるとみるが、接戦になりそうだ。戦績はローマンが31戦27勝(10KO)3敗1分、パヤノが24戦21勝(9KO)3敗。

コロナ禍の影響もあって井上戦が先送りになったカシメロは、12年ロンドン五輪出場経験者のデューク・マイカー(29)を相手に3度目の防衛戦に臨む。強引な攻撃とハードパンチで知られるカシメロのKO防衛が濃厚だが、リズムを狂わされると集中力を欠く傾向のあるカシメロだけに波瀾が起こる可能性もある。戦績はカシメロが33戦29勝(20KO)4敗、マイカーが24戦全勝(19KO)。

この日のイベントは2部構成になっており、1部のメインでスーパー・ウェルター級のWBA、WBC、IBF3団体統一戦、ジャーメル・チャーロ(30=米国)対ジェイソン・ロサリオ(25=ドミニカ共和国)が組まれている。2部のメインではジャモール・チャーロ(30=米国)対セルゲイ・デレビヤンチェンコ(34=ウクライナ)のWBC世界ミドル級タイトルマッチが行われる予定だ。

大相撲裏話

「国技館カレー」発売 蔵前時代の伝統の味解禁

日本相撲協会が新発売した「国技館カレー」

<大相撲秋場所>◇2日目◇14日◇東京・両国国技館

これを食べれば、あなたも新弟子の気分!? 国技館の地下にある、協会員専用の食堂で提供されるカレーを再現した「国技館カレー」が、今場所から館内で発売された。レトルトで1個400円。新弟子から理事長まで、誰しもが教習所時代に食べるカレーだ。今でも10日に1回は食堂で提供されており、親方衆や関係者が場所中などで食べていたが、ついに一般人にも伝統の味が解禁される。

発案は協会広報部の高崎親方(元前頭金開山)だった。売店ではタオルなどグッズは充実しているが、代表的な飲食物は焼き鳥くらい。角界でも「セブンプレミアムのような」プライベートブランドの開発が急務と感じた。昨年末から広報部で7人体制のチームをつくり、3、4回の試食を経て味を忠実に再現。高崎親方は「お客さんがお土産として買ってくれるようになれば」と期待した。

味にも自信がある。具材に特別な工夫はないが、豚肉とタマネギをたっぷり使った“王道”の味。レシピは蔵前国技館時代から変わっていないという。料理の腕前でも知られる同親方は「自信を持っておすすめできます」と力強く話した。

【佐藤礼征】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)