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大相撲裏話

「満員御礼」の光景はいつ見られるか、鍵は地方場所

11月場所では観客の上限を引き上げた(20年11月8日撮影)

20年の本場所も、残すところ1日となった。徳勝龍の幕尻優勝で始まり、新型コロナウイルスに振り回された1年。21年の大相撲はどうなるのか-。日本相撲協会で講習会などを開いてきた、東京大医科学研究所の四柳宏教授が分析した。

春場所は史上初の無観客開催、7月と秋場所は1日あたり約2500人の上限を設けた。11月場所では両国国技館の定員の半数にあたる5000人に設定。「場所中に力士の感染がなく、お客様からも連絡がなかった」と本場所期間中に協会員や観客の感染が確認されなかったため、増員を決めた。また協会が、場所前後に段階的に各部屋に通知してきた、外出自粛などを盛り込んだガイドラインが効いているという。

ではファンが、角界が待ち焦がれている満員御礼の光景はいつ見られるのか。「道筋は立っていないが、まずは地方場所が国技館での開催同様、安全にできることを確認してから」と地方場所の成功が鍵を握るとした。協会は来年3月の春場所の、大阪開催を目指している。全国での流行状況にもよるが、協会員やファンや我々が、感染対策を怠らずに過ごすことが日常を取り戻す1歩になる。【佐々木隆史】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)

無観客で開催された春場所初日、協会あいさつする八角理事長(中央)(20年3月8日撮影)
リングにかける男たち

戦略面でも楽しみな井岡vs田中、最大の敵はコロナ

井岡一翔(左)田中恒成

新型コロナウイルスにあえいできた今年の日本ボクシング界を締めくくる一戦は、ワクワクする大一番となった。日本選手で初の4階級制覇を成し遂げたWBO世界スーパーフライ級王者井岡一翔(31=Ambition)に、世界最速16戦目での4階級制覇を狙う同級1位の田中恒成(25=畑中)が挑む。

相撲でいえば横綱の地位を固めた井岡に、スピード出世で番付を駆け上がってきた田中が挑む構図か。結果、試合内容だけでなく試合に至るまでの両陣営の言動まで、実に興味深い。

別日にリモートで行われた会見から、両者は火花を散らした。王者が「レベルの違いを見せる」と言い放った翌日、挑戦者は「直接戦ったら俺の方が強いと思います。世代交代というか、文句のつけようがないKOで決着をつけたい」と返した。井岡には一時代を築き上げた誇りと意地、田中にはその座を奪う絶好のチャンスに燃える気持ちがこもっていた。

かつて、すでに世界王者だった井岡は当時まだ高校生だった田中とスパーリングで拳を交えている。その時のことを井岡は「覚えていない」と言った。練習相手のことはいちいち記憶にとどめない。それよりも世界の舞台で、世界の強豪と戦ってきたという自負があるのかもしれない。

このやりとりで思い起こされたのが94年12月4日に行われた、WBC世界バンタム級王者薬師寺保栄と同級暫定王者辰吉丈一郎の世紀の一戦だった。薬師寺は辰吉のスパーリングパートナーから、いわば成り上がった。戦前も辰吉有利の声が多かったが、魂のど突き合いを制したのは薬師寺。もちろん状況や背景は違うが、注目度や興味においては負けていない。

ともにオーソドックスのボクサーファイター。井岡は大阪の興国高から東農大(中退)、田中も中京高-中京大とアマで実績を残し、プロでもエリート街道を歩んできた。注目の一戦はディフェンシブにもなりがちだが、田中が早い回で仕掛けていくとか、戦略面でも楽しみは大きい。

その楽しみを奪う最大の敵がコロナだろう。実際にこれまでコロナの影響で京口の世界戦や元世界王者高山の復帰戦など試合、興行の中止があった。また大声を出すなどの観戦スタイルがあらためられないとして日本ボクシングコミッション(JBC)が先日、警告を発している。

とはいえ選手、関係者、そしてファンも十分に我慢してきた。両陣営も十分に備えて、戦いに向かっていると聞く。とにかく無事に大みそかを迎えてほしいと切に願う。【実藤健一】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける男たち」)

大相撲裏話

納谷改め王鵬は自他共に認める「おじいちゃん子」

新十両昇進にあたり新しいしこ名を掲げる納谷改め王鵬

ついに、やっと、いよいよ…納谷改め王鵬(20=大嶽)の新十両昇進に、周囲もさまざまな感情を抱いていただろう。春場所前の2月。東京・江東区の大嶽部屋で朝稽古を取材した際に、師匠の大嶽親方(元十両大竜)が「新しいしこ名、早く発表したいですね。大鵬親方も、喜ぶと思うから」と、少年のような笑みを浮かべていたのが懐かしく感じる。

新しいしこ名は、次男の三段目「鵬山」、四男の幕下「夢道鵬」とともに、字画数などにもこだわっていると聞く。本来は偉大な祖父のしこ名「大鵬」を継がせたいところだが、一代年寄のため使えない。先月の新十両会見で師匠は「(大鵬と)どこか似た名前をと。『大』にかわるものとして『王』をつけた。昔から『王』『王』という感じで、マッチしていた。風貌が王鵬という感じ。今もそうだけど、あまりしゃべらないというがわが道を行くという。どっしりと落ち着いたところがある」としこ名の由来を力説。万感の思いだったはずだ。

王鵬を取材していると、祖父への愛情が伝わってくる。「小さい時にじいちゃんの相撲を見て、最初に相撲の格好良さが分かったのがおじいちゃん。今でもすごく格好いいというのは変わらない」。場所が終われば、欠かさず祖父の墓前に足を運ぶという。取組後の囲み取材では、報道陣に祖父のことを聞かれる機会も多いが、いつも毅然(きぜん)と対応。「注目されることはうれしい。たいしたことないなと見劣りしないように頑張るだけです」。師匠の言葉によると、自他共に認める「おじいちゃん子」とのことだ。

初場所(来年1月10日初日、東京・両国国技館)の10日目、19日が祖父の命日になる。関取として土俵に上がる孫の姿を、天国から温かく見守っているはずだ。【佐藤礼征】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)

原功「BOX!」

2団体王者スペンス 自動車事故から華麗なる復活なるか

WBC、IBF世界ウェルター級王者のエロール・スペンス(30=アメリカ)が5日(日本時間6日)、米国テキサス州アーリントンのAT&Tスタジアムで元WBC王者のダニー・ガルシア(32=米国)を相手に5度目の防衛戦に臨む。ボクサーの総合偏差値ランキングともいうべき「パウンド・フォー・パウンド(PFP)」で井上尚弥(27=大橋)らとともに5強内にランクされるスペンスが有利とみられているが、昨年10月に起こした自動車事故の後遺症が懸念されてもいる。

スペンスは2012年ロンドン五輪ウェルター級ベスト8入りを果たすなどアマチュアで147戦135勝12敗の戦績を残し、その年の12月にプロに転向。サウスポーからの強打と高次元でバランスのとれた攻防技術を武器にKOの山を築き、3年半前にケル・ブルック(34=英国)を倒してIBF世界ウェルター級王座を獲得した。昨年9月にはWBC王者との統一戦で判定勝ちを収め、同時に4度目の防衛を果たした。

しかし、その2週間後に飲酒運転で事故を起こし、実戦から遠ざかることになってしまった。回転する車から外に放り出されながらも奇跡的に大事には至らなかったが、目に見えない後遺症を心配する声は多い。さらにコロナ禍の影響もあり、ガルシア戦が1年3カ月ぶりのリングとなる。26戦全勝(21KO)。

挑戦者のガルシアは2012年にスーパー・ライト級のWBC、WBA王座を獲得し、5度防衛後に返上。ウェルター級に転向後の2016年1月にはWBC王座を獲得し、2階級制覇を成し遂げた。しかし、WBA王者との統一戦で惜敗して無冠になり、2年前のWBC王座決定戦でも僅少差の判定負けを喫した。その後、再起2連勝と調子を取り戻して今回の試合に臨む。戦績は38戦36勝(21KO)2敗。スペンスのような数字上のアピールには欠けるが、総合力は高い。特に変則的なタイミングと軌道で放たれる左フックはパワフルだ。

10対3というオッズが出ているようにスペンス有利は不動といえる。体格でも勝る王者がプレッシャーをかけながら距離を潰し、自慢の強打で攻め落としてしまう可能性が高い。ただし、事故の後遺症とブランクの影響がないという条件がつく。スペンスが不十分なコンディションでリングに上がった場合はガルシアにもチャンスが出てきそうだ。

6階級制覇のスーパースター、マニー・パッキャオ(41=比国)がWBAスーパー王座を保持し、WBO王座には37戦全勝(28KO)のテレンス・クロフォード(33=米国)が君臨しているウェルター級は、スペンスを加えた3強を中心に動いているといっていい。そんななかクロフォードが11月14日にブルックを4回TKOで下していることもあり、ライバル関係にあるスペンスとしては力が入るところだ。また試合の内容、結果によってはスペンスの評価がさらに上昇する可能性もあり、PFPのランキングに変動が出ることも考えられる。スペンス対ガルシアは様々な点で注目に値する試合といえる。

リングにかける男たち

元世界王者らを興奮させたタイソンのシニアファイト

強烈な右ボディーを放つマイク・タイソン(右)(USA TODAY=ロイター)

ボクシング元世界ヘビー級王者マイク・タイソン(54=米国)が15年ぶりにリング復帰したファイトが、元世界王者たちを「興奮」させている。28日(日本時間29日)に米ロサンゼルスで元世界4階級制覇王者ロイ・ジョーンズJr.(51=ともに米国)とエキシビション8回戦で拳を交えた。試合は引き分けながら、スピード感十分のパンチ、1回2分とはいえ、最終8回までスタミナが落ちなかった勇姿は評判が良かった。

USAトゥデーによると、元世界ヘビー級王者ジョージ・フォアマン氏(71=米国)は「自分が見た試合を信じることができなかった。タイソンが今のように調子を整え、試合感覚を取り戻し、すべてのことがうまくいけば、世界挑戦のチャンスがあるのでは。いずれ適切な世界王者がやってくるのではないか」と解説。自身が45歳で世界王座を獲得した経緯もあり「タイソンが54歳、55歳で再び世界王者の候補に並ぶのでは」とも強調した。

英メディアのBTスポーツによると、02年にタイソンに8回KO勝利した元3団体統一ヘビー級王者レノックス・ルイス氏(55=英国)は「タイソンは人々を楽しませる方法を知っている。あのエキシビションで何をすべきか知っていた。それが正しいことなら、私はリングに戻ってくるかもしれない」と発言。現役時代のライバル、元3団体統一同級王者リディック・ボウ氏(53=米国)の名を挙げ「ボウが私との戦いを望んでいるという話があったので、そこには、まだいくつかの未完成のビジネスがある」とリング復帰さえも示唆した。

英紙ザ・サンでは、早くもタイソンの次期対戦相手を予想した。

<1>タイソンが「これをもう1度やらなければならない」と希望したジョーンズJr.との再戦

<2>現役時代に2度対戦し、リング復帰に意欲的な元3団体統一同級王者イベンダー・ホリフィールド氏(58)との「3度目」対決

<3>リング復帰を示唆したレノックス・ルイス氏

<4>当初タイソンの相手として浮上した元WBO世界同級王者シャノン・ブリックス氏(48)

<5>現3団体統一同級王者アンソニー・ジョシュア(31)か現WBC世界同級王者タイソン・フューリー(32=ともに英国)と5パターンを挙げるほどの「熱さ」だ。

レイプ事件で逮捕、ホリフィールドの耳かみ、アルコール依存症、麻薬使用など破天荒なボクサーなのは間違いない。それでも15年ぶりというリングでのエキシビション戦で、これほど世界のボクシング関係者、ファンを興奮させる力は、本当に天性のものだろう。このまま54歳のタイソンがエキシビションを続ければ「シニアファイト」というジャンルを世界に根づかせるのではないかと感じる。【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける男たち」)

WBCの記念ベルトを手にポーズを決めるマイク・タイソンとロイ・ジョーンズ・ジュニア(USA TODAY=ロイター)
大相撲裏話

幕尻でV争い盛り上げた志摩ノ海 地元後援会に勇気

大相撲11月場所14日目 志摩ノ海(右)の強烈な張り手をこらえる照ノ富士(撮影・小沢裕)

1人の力が、多くの人を勇気づける力がある。

スポーツ取材をしている中で、たびたび感じる。今回は相撲。11月場所、2横綱2大関が休場と看板役者が次々と消えていく中で、場所の終盤まで優勝争いを盛り上げたのが幕尻の志摩ノ海だった。

はっきりいって、優勝争いの上ではノーマーク。本人も「幕尻だから」と幕内残留へ必死に臨んだ結果だった。その思いが優勝争いとなり、幕尻が結びで相撲をとることになる。だから相撲はおもしろい。

志摩ノ海の快進撃にあわてたのが、地元・三重県志摩市の後援会だった。山下弘会長は結果にかかわらず千秋楽、パブリックビューイング(PV)を決めた。結果的に千秋楽を迎える前に志摩ノ海の優勝の可能性は消えていた。それでもPVの企画を中止することなく、地元の人たちを集めて、志摩ノ海に声援を送った。結果は11勝4敗に終わったが、2度目の敢闘賞を受賞した。

1人の力が多くの人を勇気づける。それを実感する出来事でもあった。山下会長は、志摩ノ海が初優勝の可能性があった時点から「千秋楽は東京に行きません。PVに専念します」。地元で、地元の人と応援することを決めていた。

山下会長は志摩ノ海の父、幸康さんと小学校、中学校と同級だった。幸康さんは志摩ノ海が入門前、09年4月に54歳の若さで急逝した。その時に「かわりに俺が応援していく」と決めたという。地元で後援会をたちあげ、後押ししてきた。幕尻の11月場所。山下会長は「何とか勝ち越してほしいと思っていたのが、うれしい誤算というのでしょうか。地元はざわざわしてます」と語っていた。

忖度(そんたく)なしに言えば、地味な存在だ。11月場所は自身の人生で最もスポットライトを浴びたのではないだろうか。それでも、人生における15日間の活躍で地元の、多くの人々を勇気づけられる。

土俵の上では孤独な戦い。その裏には、支える多くの人たちがいる。志摩ノ海の「ひょっとして」の活躍で、改めて知ることができた。【実藤健一】

原功「BOX!」

デュボアVSジョイス ヘビー級トップ戦線占う全勝対決

今後のヘビー級トップ戦線を占ううえで重要な世界ランカー対決が28日(日本時間29日)、英国ロンドンで行われる。15戦全勝(14KO)のダニエル・デュボア(23=英国)と、16年リオデジャネイロ五輪スーパー・ヘビー級銀メダリストでプロでは11戦全勝(10KO)を収めているジョー・ジョイス(35=英国)が拳を交えるのだ。デュボアがWBO2位、WBC7位、ジョイスもWBCとWBO11位、IBF13位にランクされており、勝者が世界王座への挑戦に大きく前進することになる。

もともと、この試合は4月11日に行われる予定だったが、コロナ禍のため7月に延期、そして11月28日に再延期された経緯がある。

この間、デュボアは8月にWBOインターナショナル王座の防衛戦を行い2回TKO勝ち。ジョイスも7月にリングに上がり3回TKOで快勝している。

ハードなトレーニングで彫刻のような上半身をつくり上げているデュボアは、若いころのマイク・タイソン(米国=元世界ヘビー級王者)を思わせる攻撃型で、15戦のうち11試合は3ラウンド以内で終わらせている。このなかには昨年12月の藤本京太郎(角海老宝石)戦も含まれている。身長196センチ、リーチ198センチ、体重110キロと均整のとれた大柄選手で、正確な左ジャブやカウンターなど細かな技巧も身に付けつつある。9月で23歳になったばかりの若さと勢いも魅力だ。ニックネームは「ダイナマイト」。

一方のジョイスはリオデジャネイロ五輪で銀メダルを獲得後、32歳でプロデビュー。元世界王者ひとり、世界挑戦経験者ふたりを下すなどして15傑入りを果たしている。身長198センチ、リーチ203センチ、体重120キロ前後とデュボアを上回る体格の持ち主で、その巨体と馬力を生かして相手を攻め立てるファイター型だ。こちらも11戦のうち7試合を3ラウンド以内で片づけている。9月で35歳になったが「年齢なんて単なる数字でしかない」と気にした様子はない。

それでも若くて才能に溢れたデュボアを推す識者やファンは多く、オッズは4対1と出ている。デュボアが左ジャブで先制して主導権を握り、得意の右をタイミングよくヒットして中盤までにKO勝ち、というのが最も可能性の高い結果といえよう。しかし、ジョイスの体ごとのアタックを持て余し、デュボアが後手にまわるようだと逆の結果も考えられる。

現在、ヘビー級はアンソニー・ジョシュア(英国)がWBA、IBF、WBOの3団体王座に君臨し、WBC王座はタイソン・フューリー(英国)が保持している。最重量級の覇権は英国勢が握っている状態といえる。この両王者を脅かす存在として浮上するのはデュボアなのか、それともジョイスなのか。全勝対決に注目したい。

リングにかける男たち

“聖地”カムバックK1「2021」年のチャレンジ

K-1スーパー・フェザー級王者武尊(中央左)と挑戦者レオナ・ペタス(同右)。左端はK-1復帰の京太郎。右端は中村K-1プロデューサー

K-1が仕掛ける「2021年の挑戦」と言っていい。従来の大会スケジュールをぶち壊し、「聖地」に戻ることを決めた。年間最大の祭典「ケイズフェスタ」は毎年3月、さいたまスーパーアリーナで開催する流れが恒例だったが、来年で4回目となるケイズフェスタ4大会は1月24日、東京・代々木競技場第1体育館で開催されることが11月17日に正式発表された。

代々木第1体育館と言えば、93年にK-1が大会初開催した会場。以後、K-1ヘビー級、K-1 MAXのビッグマッチが開催されてきた。しかし財政難で活動休止した旧K-1以後、14年に旗揚げされた新K-1でも、同会場での大会開催は実現していなかった。K-1中村拓己プロデューサーは「代々木第1での開催は大きな夢だった。『聖地』と言える場所」と感慨深く口にした。

3月から1月に祭典を前倒ししたことで、K-1が年始めに行ってきたK-1アウォーズ(年間表彰式)の開催時期が未定になった。1つの区切りとなるケイズフェスタを変更することによる影響は少なくない。準備期間は大会発表から約2カ月後。それでも同プロデューサーは「(アウォーズは)今後、調整したい。代々木第1でやることに思い入れがあった。(新K-1の)旗揚げが代々木第2で過去の規模よりも小さく始まったが、いつか代々木第1へ戻りたいと。いろいろなことを考えると1月に代々木第1で開催するのが1番良い選択」と新たなチャレンジを強調した。

出場選手も聖地カムバックにふさわしいメンバーになりそうだ。新K-1の顔となるスーパーフェザー級王者武尊(29)の登場が決定。K-1傘下のKrush同級王者レオナ・ペタス(28)との防衛戦が発表された。当初は11月3日のK-1福岡大会で決まったカードだったが、武尊の左拳骨折で延期に。今回はスライドした形となるものの、K-1とKrushの王者対決は新K-1の歴史にふさわしい顔合わせだろう。

武尊は「(代々木第1体育館は)昔、何度かK-1を見に行った。K-1にとって始まりの場所。さいたまスーパーアリーナも思い入れがあるが、それ以上にK-1として第1に戻ってこれた。その場所で昔のK-1を超える戦いをしたい」と今大会の意味をかみしめた。

さらにプロボクシングを引退した元ヘビー級3冠王者藤本京太郎(34)が再び「京太郎」のリングネームでK-1復帰することも発表された。対戦相手は未定ながらも、ケイズフェスタ4大会への参戦も決定。10年12月以来、10年ぶりのキックボクシング復帰となる。旧K-1時代、日本人初のヘビー級王座を獲得。ピーター・アーツ(オランダ)、ジェロム・レバンナ(フランス)に勝利し、セーム・シュルト(オランダ)とも対戦経験がある。旧K-1のヘビー級DNAが肉体に宿ると言っていい。

K-1スーパーフェザー級王者武尊、Krush同級王者ペタス、そして旧K-1ヘビー級王者京太郎。この3人の参戦だけで、旧K-1と新K-1のムードを融合するというイメージがわく。それも「2021年の挑戦」という強いメッセージだろう。聖地に戻るK-1のチャレンジが始まった。【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける男たち」)

大相撲裏話

36歳玉鷲は休場なしの「鉄人」3年後も歴史刻むか

隆の勝(左)の攻めに耐える玉鷲(撮影・河田真司)

「鉄人」がまた節目の記録を迎えた。幕内最年長の36歳、玉鷲が通算連続出場を1298に伸ばし、飛騨乃花を抜いて単独8位に浮上した。

初土俵から17年間、1度も休場なく土俵に立ち続ける。師匠の片男波親方(元関脇玉春日)は「押す力は去年と比べて弱くなっているかもしれないが、気力でカバーしている」と、年齢にあらがう弟子を見守る。部屋の関取は玉鷲だけで力士は4人だけ。コロナ禍で出稽古が禁止となり、普段通り高田川部屋などへ出稽古に行けない状況で、師匠は「基礎(運動)をいつもの倍やっていた」と述懐した。

中川部屋の閉鎖に伴い、7月場所前に夫人の弟で“義弟”にあたる幕下玉正鳳が転籍してきたことも発奮材料。師匠は「かっこわるい姿を見せられないと思う。お互いに刺激し合っていますね」と心境を察した。

通常通り年6場所が行われた上で玉鷲が関取の座を守り続ければ、24年名古屋場所を皆勤して歴代1位の青葉城(1630)を抜く。そのとき39歳。初優勝した昨年初場所後には「40歳」までの現役を宣言していたが、大相撲に新たな歴史を刻めるか。【佐藤礼征】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)

▼通算1298回連続出場 玉鷲が記録。飛騨乃花を抜き単独史上8位で現役1位。史上1位は青葉城の1630回。

原功「BOX!」

WBC新設「ブリッジャー級」はファンに受け入れられるのか

ボクシングの統括団体のひとつ、160以上の国と地域が加盟しているWBC(世界ボクシング評議会)のマウリシオ・スライマン会長(50=メキシコ)が11月10日、「ブリッジャー級」の新設を明らかにした。これは200ポンド(約90.7キロ)以下のクルーザー級とヘビー級の間に設けられるクラスで、体重上限は224ポンド(約101.6キロ)とされる。新階級の呼称は、犬に襲われた妹を助けるために果敢に闘った6歳の男児の名前から命名したのだという。これでボクシングの階級は18に増えることになったが、混乱を招くことは必至だ。

もともと素手で戦っていたボクシングに体重制が設けられたのは19世紀半ばのことで、ヘビー級、ライト級、ミドル級というシンプルな3階級でスタートした。前後してグローブ着用や細かなルールが定められ20世紀初頭にはフライ級、バンタム級、フェザー級、ウェルター級、ライト・ヘビー級を加えた8階級制が確立された。以後、それぞれの階級にスーパーをつけたクラスが新設され、1980年代にクルーザー級、スーパー・ミドル級、ミニマム級が加わって現在の17階級制が定着した。同じころWBA、WBCに加えIBFとWBOが新設され、現在はこの4団体が一般的な認知を受けている。

つまり4団体が17階級で世界王者を認定しているわけで、その数は単純計算で68人になる。これにスーパー王者、フランチャイズ(特権)王者、暫定王者、休養王者などを加え現在は100人近い「世界チャンピオン」が存在している。軽量級選手の多いアジアや中南米に市場が拡大されたという点でメリットは認められるが、王座乱造、価値低下を招いたことも否めない。イベントの成否はともかくとして、3年前から始まった階級最強を決めるトーナメント戦「ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)」がファンの支持を集めて人気を博しているのは、こうした混乱状態が整理され、誰が一番強いのかが明白になったからであろう。シンプルで分かりやすいことは格闘競技の原点であり、生命線といってもいいものだ。

今回のWBCの「ブリッジャー級」新設は、そうした王座収れん、統一の流れに逆行するものといえる。しかも、ほかの3団体と足並みを揃えることなくスタートするため、ファンはもちろんのこと選手や関係者も戸惑うことが予想される。もっともさかのぼってみれば足並みが揃わないから4団体に分裂した経緯があるわけで、現在も世界戦の3ノックダウン制(WBAのみ採用)、途中公開採点(WBCのみ採用)、リバウンド制限のための当日計量(IBFのみ採用)など団体独自のルールがいくつも存在する。階級の呼称に関しても、たとえば115ポンド(約52.1キロ)を体重上限とする階級を「スーパー・フライ級」とする団体(WBA、WBC)と「ジュニア・バンタム級」と呼ぶ団体(IBF、WBO)に分かれているほどだ。

WBCは6カ月の猶予期間を設けて新階級への転向者を募るとしており、「ブリッジャー級」の選手はヘビー級でも戦えるというメリットを提示している。しかし、それならば根本的な問題として現在のヘビー級を2階級に分割する必要はあるまい。

これまでも新階級は時間の経過とともに受け入れられてきたわけだが、はたして「ブリッジャー級」もそうなるのだろうか-。

大相撲裏話

玉垣親方「おっ」目の前で宇良が弟子に居反りも感慨

大相撲11月場所5日目、旭秀鵬(左)を居反りで破る宇良(撮影・菅敏)

これも巡り合わせか。宇良が居反りを決めた5日目、元小結智ノ花の玉垣親方(56=友綱)は、ちょうど土俵下で審判を務めていた。「いつか決めるとは思っていましたが…縁があるんでしょうね」。居反りが十両以上で出たのは宇良で4回目。直近の93年初場所の花ノ国戦で決めたのが、同親方だった。赤房下の位置から、宇良がのけ反る瞬間を正面から見ていたが「決まった瞬間はたすき反りかなと。決まり手が発表されて『おっ』となりました」。

1993年 居反りで花ノ国を破る智ノ花

意識はわずかながら、宇良よりも相手の旭秀鵬に向いていたという。「うちの(友綱)部屋の力士だったので。(居反りがあると)警戒しなきゃいけないのに、なんで決められるかな(笑い)。でもお客さんが盛り上がることはいいことですね」。

アマチュア時代から居反りに注目が集まっていた宇良。十両以上で最後にその珍手を決めた力士として、玉垣親方も取材を受ける機会が多かっただけに、宇良の復活がうれしかった。「お手本になるべき力士ですよ。今後はけがしないように、ときにはああいう変則的な相撲で盛り上げてほしいですね」。【佐藤礼征】

リングにかける男たち

中邑真輔らアンダーテイカーに敬意「なりきり写真」

ジ・アンダーテイカーをイメージしたコスチュームを身にまとう中邑真輔(C)2020 WWE, Inc. All Rights Reserved.

米プロレスWWEで30年間、人気レスラーとして活躍してきた「地獄の墓掘人」ジ・アンダーテイカー(55)の「Final Farewell(最後の別れ)」が週末に迫った。今夏に現役引退を表明。22日(日本時間23日)のPPV大会サバイバーシリーズ区切りの30周年を迎えるレジェンドに向け、後輩レスラーたちが敬意を表した「なりきり写真」を撮影し、WWE公式サイトに掲載した。

日本人選手では、中邑真輔がブラックの半袖シャツに身を包み、シルバーのグローブとハットを装着。アンダーテイカーさながらの白目になって「デッドマン」ムードを漂わせている。自らのインスタグラムにも写真と撮影風景を投稿するほどの熱量だ。この企画には、AJスタイルズ、ジェフ・ハーディに加え、女子からも「小悪魔」アレク・ブリス、スマックダウン女子王者サーシャ・バンクス、ビアンカ・ブレア、リヴ・モーガン、ルビー・ライオット、ゼリーナ・ベガも参加。「最後の別れ」の盛り上げ役として一役買っている。

アンダーテイカーは4月のレッスルマニア36大会でAJスタイルズとボーンヤード(墓場)戦に臨んだ後に引退を表明した。今回のPPV大会でも試合は予定されず、その功績を記念した表彰イベントとなる。同世代で長年の友人とされるレスラー、サビオ・ベガ(59)やザ・ゴッドファーザー(59)、アンダーテイカーと破壊兄弟と呼ばれるタッグを組んだケイン(53)らが駆けつける。

年間最大の祭典レッスルマニアで21年間無敗(通算戦績は25勝2敗)、WWEヘビー級王座4回、世界ヘビー級王座3回、WWEタッグ王座6回などの戴冠を誇る。先月開催された英紙ザ・サンでの史上最大のWWEスター投票でも1位に輝いた。怪奇派レスラーの中でも、無類の強さをみせたアンダーテイカーは同僚レスラーに信頼され、後輩レスラーから慕われ、老若男女問わず、世界中のファンに愛された。「REST IN PEACE(安らかに眠れ)」が決めぜりふ。数多くのファン、関係者に見送られ、アンダーテイカー自身が安らかに眠る時がやってきたのだろう。【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける男たち」)

ジ・アンダテイカーをイメージしたコスチュームでポーズを取る中邑真輔(C)2020 WWE, Inc. All Rights Reserved.
ジ・アンダーテイカーに敬意を表したコスチュームで写真撮影するアレクサ・ブリス(C)2020 WWE, Inc. All Rights Reserved.
ジ・アンダーテイカーの得意ポーズを取るスマックダウン女子王者サーシャ・バンクス(C)2020 WWE, Inc. All Rights Reserved.
大相撲裏話

琴奨菊の父、思い出の一番は「縁ある」豊ノ島戦黒星

引退会見に臨んだ元大関琴奨菊(日本相撲協会提供)

九州場所ではほぼ毎日、そのほかの本場所でも会場でよく見かけた。琴奨菊の父、菊次一典さん(65)はいつも、祈るように息子の相撲を見ていた。

引退が決まり、胃の痛む日々は終わる。心境を聞くと「正直言って、ホッとしています。いい時ばかりではありませんから。これからは相撲を楽しく見ることができます」と答えた。

思い出の一番には、14勝1敗で琴奨菊が優勝した16年初場所13日目、豊ノ島戦を挙げた。唯一負けた取組がなぜ思い出なのか? 「(豊ノ島とは)小中高とずっとライバルで親友だったけど、負けてしまった。でも、本人がそこから気持ちを持ち直して、最後の2日間、連勝して優勝したんです。大樹くん(豊ノ島)とは縁があるなと。相撲を通して、一弘(琴奨菊)を育ててもらったなと思えました」。あの敗戦があったからこその優勝だと、親の目には映っていた。

親方になっても、息子は息子。「本人も勉強していかないといけません。しっかりと指導にあたってもらいたいですね」と期待した。【佐々木一郎】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)

琴奨菊の優勝に涙する父の菊次一典さん(奥)と母の美恵子さん(2016年1月24日撮影)
大相撲裏話

合同稽古に感謝…狼雅充実3連勝、欧勝竜も白星先行

狼雅(2020年7月20日撮影)

あすの関取を目指して、若者が奮闘している。1番相撲から3連勝とした西幕下12枚目狼雅(21=二子山)は「場所前にいい稽古ができた。足も動いてくれている」と充実の表情。東幕下16枚目欧勝竜(24=鳴戸)も2勝1敗と白星が先行する。次期関取として有望視されている2人の共通点は、場所前の10月に両国国技館内の相撲教習所で行われた合同稽古したことだ。

連合稽古などもなくなり、関取や幕下上位と稽古する機会が失われた欧勝竜は、師匠の鳴戸親方(元大関琴欧洲)に参加を直訴したという。今年1月の初場所で序ノ口デビューから史上3位の24連勝をして注目を浴びたが、関取の壁は分厚い。「幕下上位は強い人ばかり。前に出る相撲を取りたくて(合同稽古に)行かせてもらった」と話す。

17年に初めて外国出身の高校横綱に輝いた狼雅は、同じモンゴル出身の横綱白鵬から、立ち合いの踏み込みについて直接助言をもらった。「アドバイスをされるとうれしい。合同稽古(の影響)は大きかった」。コロナ禍の出稽古禁止で、影響を受けたのは幕下以下の力士も同じ。成長の場に感謝した。【佐藤礼征】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)

欧勝竜(2020年9月26日撮影)

大相撲裏話

宇良の居反り、決定的瞬間撮ったカメラマン3人の目

宇良(左)は居反りで旭秀鵬を破る(撮影・小沢裕)

大相撲11月場所5日目、十両の宇良が大技の「居反り」を決めた。この時、日刊スポーツのカメラマン3人が決定的瞬間を撮影した。3人はそれぞれの角度からシャッターを押し、三者三様の感想を口にした。

2階席の向正面東寄りで取材していた小沢裕カメラマンは「宇良関ならいつかやってくる。いつ何をやってもおかしくないと思って、カメラを構えていました。写真を見ると、(顔が)上を向いているところは撮れていました。でも位置的に、おいしいところは菅カメラマンに持って行かれたと思いました」と振り返る。

その菅カメラマンは、2階席正面西側にいた。米国在住歴が長い同カメラマンは「すごい技。一瞬、WWEのプロレスのようだと思いました。相撲って、こんな技が出るんやなと思って、面白かった。データを見ると、肩の入り方、上がり方などお相撲さんはこんなに柔らかいんだなと」と感心した様子。13日付紙面では、菅カメラマンの連続写真が相撲面のメインを飾った。

もう1人、河田真司カメラマンは2階席の東にいた。「以前、聡ノ富士が(序二段で居反りを)やった時も撮影していましたので、『あっ、やったな』と思いながら、割と冷静に撮れました。僕が唯一、居反りを決めた2人を見ています。腰の角度がとにかくすごい。真横からの撮影だったので、腰が反っている様子を表現できればと思いました。想像しえない技なので、どうやって力を入れているんだろうと。写真を見て感動しました」。

河田カメラマンの位置は、従来なら陣取らない席でもある。新型コロナウイルスの影響により無観客で実施した春場所以降、砂かぶりの席で撮影できるカメラマンは1人だけ。各社が交代で座るため、砂かぶりには数日に1度しか入れない。その代わりに新たな割り当てとなった位置が、電光掲示板のほぼ真上となるこのカメラマン席だ。

3人が撮影した宇良の居反りは、以下からご覧ください。【佐々木一郎】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)

旭秀鵬(左)を居反りで破る宇良(撮影・菅敏)

旭秀鵬(手前)を居反りで破る宇良(撮影・河田真司)

大相撲裏話

密避けながらサービス“一石二鳥”の新企画に手応え

弓取り式後、新型コロナウイルス感染防止対策として、一斉退場を緩和させるためお楽しみ抽選会が行われる(撮影・河田真司)

“一石二鳥”となるイベントが今場所から始まった。打ち出し後、来場者を対象に「お楽しみ抽選会」が実施されている。弓取り式が終わると間もなく、土俵まわりに一部の呼び出しや警備担当の親方衆が集結。その場で抽選を行い、1日20組の来場者に現役力士の直筆サイン入り手形色紙や、相撲土産の詰め合わせがプレゼントされる。

初日は三役呼び出しの克之(56=芝田山)と重夫(54=九重)が司会を務めた。「初めての試みなので、スムーズにいかないかもしれませんが、ご了承お願いします」と話し、和やかな雰囲気に包まれた。井筒親方(元関脇豊ノ島)ら現役を退いたばかりの人気力士が、くじ引きや景品の手渡しを担当。握手など接触はできないが、力士とファンとのふれあいが復活しつつある。

企画にはサービスとしてだけでなく「密」を避ける狙いもある。これまで打ち出し後、観客は出口に押し寄せるように向かっていたが、正面、向正面、東西の4方向で時間を分けて抽選会をすることで、退館を分散できる。芝田山広報部長(元横綱大乃国)も「うまくお客さんは流れたということで(連絡が)きている」と手応えを感じているようだ。【佐藤礼征】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)

原功「BOX!」

目に見えない強敵新型コロナウイルスとの闘いは続く

世界的に新型コロナウイルスの感染拡大の勢いが衰えないなか、6月から対策をとりながらイベントを再開してきたボクシング界だが、11月に入って現役世界王者3人が検査で陽性と判定され、予定された世界戦が3試合も延期、中止に追い込まれた。目に見えない強敵との闘いは今後も続きそうだ。

WBA、IBF世界バンタム級王者の井上尚弥(27=大橋)が米国ラスベガスで会心の7回TKO防衛を果たした翌日の2日、大阪で3日に行われる予定だったWBA世界ライト・フライ級タイトルマッチが急きょ、中止に追い込まれた。スーパー王座の3度目の防衛戦に臨むはずだった京口紘人(26=ワタナベ)のPCR検査の結果が陽性と出たためだ。挑戦者のタノンサク・シムシー(20=タイ/グリーンツダ)とともに計量もパスしたあとで中止が決まったこともあり、京口とタノンサクの落胆は極めて大きかった。主催者は同じカードで年内の開催を目指すとしている。

3日にはWBC世界ヘビー級暫定王者のアレクサンデル・ポベトキン(41=露)もコロナウイルスに感染していることが報じられた。京口の場合は無症状だったが、ポベトキンは発熱のため入院したという。8月にディリアン・ホワイト(32=ジャマイカ/英国)を逆転の5回TKOで破って暫定王座を獲得したポベトキンは、11月21日に英国ロンドンでホワイトとの再戦に臨む予定だった。プロモーターはポベトキンの早期回復を前提に来年1月30日に試合をリセットする方向で調整に入っている。

海を越えた連鎖反応なのだろうか、4日にはWBC世界スーパー・フェザー級王者のミゲール・ベルチェルト(28=メキシコ)の陽性がニュースとしてアップされた。正式発表こそなかったもののベルチェルトは12月12日に米国ネバダ州ラスベガスで元WBO世界フェザー級王者のオスカル・バルデス(29=メキシコ)を相手に7度目の防衛戦を行う計画だった。この試合に向けメキシコ国内でトレーニングしている最中に罹患が判明したのだという。注目度の高いメキシカン対決は来年春まで持ち越しになることが確実だ。

これより前、夏にはWBO世界スーパー・フェザー級王者のジャメル・ヘリング(34=米国)もコロナウイルスに感染、2度の試合延期を経験している。最初は7月2日にV2戦を行うはずだったが、陽性であることが判明。無症状だったため試合は7月14日にリセットされたが、またも直前で陽性反応が出て再延期に。これに懲りた主催者は開催日を2カ月近く延ばして9月に実現にこぎ着けている。

このほかWBC世界スーパー・フライ級王者のファン・フランシスコ・エストラーダ(30=メキシコ)も夏にコロナウイルスに感染したが、次戦まで期間が十分にあったため延期や中止は免れている。

無観客や集客数を減らしてイベントを開催するなどコロナ禍のなか関係者の懸命な努力が続いている。目に見えない敵との戦いに勝つ日が来ることを切に願っている。

リングにかける男たち

タイソン立腹、ジョーンズJr戦のルールどうなる?

マイク・タイソン氏(2018年10月19日撮影)

54歳のマイク・タイソンが「立腹」している。15年ぶりにエキシビションマッチ8回戦でリング復帰する元世界ヘビー級王者タイソンは拳を交える元世界4階級制覇王者ロイ・ジョーンズJr.(51)とともにルール問題に不満をもらした。28日(日本時間29日)に米ロサンゼルスで組まれた両者のレジェンド対決に向け、先月28日にリモート会見が開かれた際、1回2分というルールにかみついた。

今回のエキシビション戦は12オンスのグローブを装着し、ヘッドギアはなし。WBCによるリモートスコアリングシステムが導入され、公式戦のように採点するルール。年齢、体重差、ブランクなどを考慮に入れ、安全重視で1回の時間は通常の3分ではなく2分に短縮された。しかしタイソンは「何らかの理由があるのだろうと確信しているが、1回2分というのは女子のラウンドだよな」と不満タラタラ。加えてジョーンズJr.も「まったく幸せではない。我々は女子じゃない。ベストな2人。時間を短くしたところで、我々には何の役にも立たない。興奮しているファンをだますことだ」と同調した。

タイソンは全盛期と同じような真剣ファイトをすると主張してきた。ブラジル人総合格闘技トレーナー、ラファエル・コルデイロ氏と激しいジムワークを重ね、ウエートを絞ってきた。現役ラストマッチとなった15年前の05年6月、ケビン・マクブライド戦で棄権による6回終了TKO負けを喫した当時の体重は104・32キロだったが、現在は96・16キロまで落としたという。タイソンは「オレが最後にこの体重だったのは17~18歳の頃。これまでやってきたことを本当に満足している」と自信たっぷりだ。

YouTubeなどのSNSを通じ、タイソンがミット打ち動画などを投稿すると、大勢のファンから「ビースト(野獣)モード」と絶賛の声も挙がるなど期待値は高い。「オレは戦うつもりだ。ロイが戦ってくれることを願っている。彼が最高の状態だった動画を見ているのは期待しているから。今、若くハングリーな選手とスパーリングしている。うまく調整できている」。2人合わせて105歳マッチ。高齢のエキシビション戦となるものの、タイソン、ジョーンズJr.の希望通り、1ラウンド3分間でファイトにならないものか。もちろん安全重視は最優先だが、血気盛んな50歳代レジェンドによる公式戦さながらの殴り合いを見てみたい。【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける男たち」)

大相撲裏話

高砂部屋「明るく楽しく」LINEスタンプ御恩返し

高砂部屋が作成した公式LINEスタンプ(高砂部屋提供)

湿っぽい話は性に合わない。人生は明るく楽しく。それを、お世話になった人にも分かち合えたら-。そんな思いで高砂部屋が、LINEの公式スタンプを作製し6日から発売された。

高砂親方(元大関朝潮)の原画は、漫画家の木村えいじ氏が90年代に青年親方の奮闘記として同親方(当時若松親方)をモデルに、マンガ雑誌に連載した「達磨」から転用。朝乃山らの画は、木村氏の実子の漫画家・沖田龍児氏が描いた。高砂親方のコミカルなキャラクターがにじみ出るなど「明るく楽しく」感満載の24種類のスタンプ。作製に至った思いは切実だった。

12月9日に65歳の誕生日を迎え定年となる高砂親方。協会には再雇用制度で残るが、師匠の座を後任に譲り渡す惜別の時だ。しかしコロナ禍の折、予定していた定年パーティーは中止。後援者に直接、会ってあいさつする機会は奪われた。

製作に携わった、おかみの恵夫人は思いを込めて話す。「ここまで部屋を育てていただいた皆さんに、お礼の言葉もかけられない中で、少しでも御恩を返せたら、そしてスタンプのイラストで楽しんでいただけたらという、ごあいさつがてらの気持ちを込めました」。収益は全額、コロナ関連など社会貢献にかかわる団体に寄付するという。【渡辺佳彦】

高砂部屋が作成した公式LINEスタンプ(高砂部屋提供)
高砂部屋が作成した公式LINEスタンプ(高砂部屋提供)
大相撲裏話

通常開催なら連日満員御礼…11月場所は役者ぞろい

両国国技館の外観(2020年5月4日)

1年納めの11月場所が、いよいよ2日後の8日に幕を開ける。新型コロナウイルス感染拡大の影響により、福岡から東京・両国国技館への開催地変更や、増員したとは言え、観客数にはまだまだ制限があるなど通常開催が待ち遠しい日が続く。そんな中、今回がもしも通常開催ならきっと連日の満員御礼-、と思うほど、今場所は役者ぞろいの本場所になると予想している。

まずは新大関の正代(時津風)。今年は朝乃山に続いて、2人目の新大関誕生となった。これまでは相撲内容よりもネガティブな発言が目立っていたが、秋場所では得意のもろ差しを武器にした力強い相撲を連発して初優勝。29歳の誕生日を迎えた5日には、初優勝した際に賜杯を手にした時の写真がプリントされた誕生日ケーキを後援会関係者からもらったという。「あまり20代最後は意識しないように、できるだけ若々しい相撲を取れたらと思う」と新大関の勢いそのままに本場所に臨む。通算45勝でトップの年間最多勝も懸かっている。

三役復帰を果たした、2人の大関経験者にも注目が集まる。内臓疾患や両膝の負傷などにより、一時は番付を序二段まで落とした照ノ富士(28=伊勢ケ浜)は「そんなに長く相撲が取れるわけではない。爆弾抱えてやっているから、いつ何が起こるか分からない」と話すが、悲愴(ひそう)感ではない。むしろ「ここから3場所が大事。チャンスがあればつかみたい」と、大関昇進を見据える。

左肘の靱帯(じんたい)断裂や腰痛などの度重なるケガに苦しんだ高安(30=田子ノ浦)も、番付を三役まで戻した。部屋付き親方の荒磯親方(元横綱稀勢の里)との三番稽古で調整を進めたといい「とても復調している。とてもいい稽古ができている」と充実ぶりをのぞかせる。来年には妻で演歌歌手の杜このみとの間に、待望の第1子が誕生予定。「また一回りも二回りも成長して、しっかり結果を出して、また審判の皆さんに評価されるような相撲を取りたい」と、家族の力を糧にこちらも大関復帰を見据える。

前頭筆頭の霧馬山(24=陸奥)や若隆景(25=荒汐)、東前頭3枚目輝(26=高田川)、西前頭4枚目翔猿(28=追手風)、西前頭5枚目琴勝峰(21=佐渡ケ嶽)と、前頭上位には勢いのある若手らが自己最高位で名を連ねる。他にも新関脇の隆の勝(25=千賀ノ浦)もいるなど、毎場所押し寄せてくるのを感じる世代交代の波が、今場所もより一層強まりそうだ。

十両の土俵も注目だ。まずは業師、東十両13枚目宇良(28=木瀬)が十両に復帰。右膝の靱帯と左膝の半月板を損傷するなどして、一時は番付を序二段にまで落としたがはい上がってきた。土俵際での驚異的な粘りが武器な一方、再び両膝を負傷するリスクは高い。しかし、宇良は「居反りもバンバン使っていきたい。封印はしてませんよ。バンバン出しますよ」とやる気満々。トレードマークのピンク色のまわし姿で15日間戦う。

大関経験者の西十両3枚目琴奨菊(佐渡ケ嶽)は、05年春場所以来15年ぶりに十両の土俵に上がる。36歳のベテランは大なり小なり、多くのケガを抱えるが言い訳にはしない。むしろ「勝てば上がれる世界。ネガティブにとらえがちだけど、自分としてはポジティブなところがたくさんある。まだまだ力を出してないぞというところ」と幕内返り咲きを目指す。

1年を締めくくるのにふさわしい程に、今場所も話題が豊富だ。相変わらずリモート取材が続くが、できるだけ多くの声を拾い、発進していきたいと思う。【佐々木隆史】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)