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原功「BOX!」

ユーバンク・ジュニア対ベン 親子2代にわたる壮大なライバル対決、どんな形で決着するか

元WBA暫定世界ミドル級王者のクリス・ユーバンク・ジュニア(33=英国)と、ウェルター級の世界ランカー、コナー・ベン(26=英国)が10月8日(日本時間9日)、英国ロンドンで対戦する。このふたりは、父親がともに元世界2階級制覇王者で1990年代前半に2度対戦したことがある。つまりユーバンク家とベン家は親子2代にわたってライバル関係にあるわけだ。親はユーバンクが1勝1分と勝ち越したが、はたして息子たちは?

父ユーバンクと父ベンは1990年11月に初対戦し、ユーバンクが9回TKO勝ちを収めてWBO世界ミドル級王座を奪い取った。最後は挑戦者のユーバンクが連打でレフェリー・ストップに持ち込んだのだが、それまではジャッジ二者が1ポイント差で王者のベン有利と採点していた接戦だった。1993年10月、ふたりは再び拳を交える。今度はユーバンクがスーパー・ミドル級のWBO王者、ベンがWBC王者として統一戦に臨んだのだ。結果は115対113(ユーバンク)、114対113(ベン)、114対114の三者三様のドローだった。この試合の観衆が4万7000人だったことでも両者の人気ぶりが分かるだろう。その後、ユーバンクはWBO王座の防衛回数を14まで伸ばしたが1998年に引退。ベンは9度防衛後、1996年の試合を最後に引退した。戦績はユーバンクが52戦45勝(23KO)5敗2分、ベンは48戦42勝(35KO)5敗1分。

そんな英雄ふたりの息子同士が対戦するのだから話題にならないはずがない。

ユーバンク・ジュニアは2011年11月にプロデビューし、2015年と2019年の2度、WBA暫定世界ミドル級王座を獲得している。自分から攻めて出るボクシングもできる一方、相手に攻めさせておいてカウンターを合わせる迎撃ボクシングもできる。ワンツー、左フック、右アッパーなどパンチは多彩だ。戦績は34戦32勝(23KO)2敗。現在は72.5キロが体重上限のミドル級でWBO2位、WBC3位にランクされている。

対するベンは2016年4月にプロデビューし、6年間で21連勝(14KO)をマーク。実績面ではユーバンク・ジュニアに及ばないが、2018年に獲得したWBAコンチネンタル王座を7度防衛中だ。特に直近の5試合は元世界王者ら強豪を相手に圧勝しており勢いを増している。卓抜したスピードと切れのあるワンツー、左ボディブローなどが主武器だ。66.6キロがリミットのウェルター級でWBAとWBOで4位、WBCとIBFで5位にランクされている。

本来ならばベスト体重が約6キロ異なるが、両者が歩み寄って157ポンド(約71.2キロ)の契約体重で試合が行われる。しかし、ユーバンク・ジュニアが身長180センチ、ベンが173センチと体格差は歴然で、実際にふたりが並ぶと一回り違う。それもありオッズは2対1でユーバンク・ジュニア有利と出ている。

「体重をつくることは厳しいが、それだけの価値がある試合だと思う。私にとって最も重要な試合」とユーバンク・ジュニア。ベンも「これは運命、避けては通れない戦い。タイトルやランキングは関係なく、私たちファミリーにとっては終わっていない試合なんだ」と父の仇討ちに意気込む。

親子2代にわたる壮大なライバル対決。どちらがどんなかたちでけりをつけるのだろうか。

大相撲裏話

宮城野部屋、朝稽古ならぬ夕稽古で下半身強化 現役時代から取り入れていた親方発案トレ早速効果

川副(手前)は切り返しで北天海を破り勝ち越しを決める(撮影・小沢裕)

外はやや薄暗い。時間は5時。午前、ではなく午後5時だ。宮城野部屋の力士らがまわしを締めて、8月からの新天地、旧東関部屋の稽古場で体を動かす。涼しい風を感じながら、朝稽古ならぬ、夕稽古で場所前に調整していた。

7月末に師匠になった宮城野親方(元横綱白鵬)の発案だ。同親方が現役時代から取り入れていた稽古方法。朝稽古とは別に実施し、主に下半身トレーニングを行う。朝稽古後の午後にジムなどでトレーニングを行う力士は多くなってきたが、部屋の稽古場で体を動かすのは珍しい。30キロのサンドバッグをかついで土俵を歩くなど、出身のモンゴル式ともいえるメニューで下半身をいじめ抜いた。

若い力士を中心に早速、効果は現れている。序ノ口デビュー場所で優勝した大谷は「あのトレーニングを続けて下半身を強化したから、場所前の出稽古で幕下力士と相撲を取っても勝てた」と手応えを口にする。21年学生横綱で幕下15枚目格付け出しデビューの川副も、この日、7番相撲で勝ち越しを決めた。「場所前の師匠のトレーニングのおかげです」と話している。いきなり、指導力を発揮している。【佐々木隆史】

序ノ口優勝を決めた大谷(撮影・小沢裕)
入門会見で宮城野親方と握手する川副圭太(22年8月22日撮影)
WWEの世界

米マット席巻の統一王者ローマン・レインズ率いるユニット、ザ・ブラッドラインとは?

ローマン・レインズ(前列右)率いるユニット、ザ・ブラッドラインのメンバー。後列左からジェイ・ウーソ、ジミー・ウーソ、ソロ・シコア、サミ・ゼイン。前列左はポール・ヘイマン(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved

<第42回WWEの世界>

WWEヘビー、ユニバーサル統一王者ローマン・レインズ(37)率いるユニットが米マットを席巻している。そのユニット名はザ・ブラッドライン。血統を意味する名前の由来通り、レインズの親族を中心とした選手で構成される。ユニット顧問のポール・ヘイマン(57)を含めたレインズ一派のメンバーを同ユニットの歴史とともに紹介する。

◇  ◇  ◇  ◇

有名なプロレス一家となるアノアイ・ファミリーが結束したユニットがザ・ブラッドラインとなる。レインズがヒール転向した20年8月、ブロック・レスナーら数多くの人気レスラーのマネジャーやスポークスマンを務めてきたヘイマンを顧問として迎えたところからユニットは始まった。

◆ローマン・レインズ(37) ザ・ブラッドラインの設立者。20年8月、WWEユニバーサル王者ブレイ・ワイアット、ブラウン・ストローマンとの3WAY形式王座戦を制し、王座獲得。同王座を懸けて対戦したいとこのジェイ・ウーソを皮切りに、ジェイの双子の兄弟ジミー・ウーソも仲間に引き込んでユニットを拡大。王者としても22年4月、年間最大の祭典レッスルマニア38大会でWWEヘビー級王者ブロック・レスナーとの王座統一戦を制した。9月23日現在、ユニバーサル王座の保持期間は754日となる。

◆ジェイ・ウーソ(37) 20年9月、WWEユニバーサル王座挑戦権をつかみ、いとこの同王者レインズに挑戦したものの、陽動作戦にはまって連敗。レインズの軍門に降り「右腕」として活動開始した。ジェイがレインズへの忠誠心が強すぎた時期にジミーと意見相違で対立したものの、最終的に和解。21年7月にはレインズ、ジェイ&ジミーのウーソ兄弟、ヘイマンによる現在のユニットが誕生した。

◆ジミー・ウーソ(37) 21年7月にジミーがザ・ブラッドラインに加入し「ウーソズ」が再結成されると、すぐにジェイとタッグ戦線に殴り込みをかけた。21年7月、プレミアム・ライブイベント、マネー・イン・ザ・バンク大会でスマックダウン(SD)タッグ王者レイ・ミステリオJr.、ドミニク・ミステリオ組を下し、5度目のSDタッグ王座戴冠を果たした。22年5月にはロウ・タッグ王者ランディ・オートン、リドル組とのタッグ王座統一戦に勝利し、ユニットメンバー全員でシングル、タッグ両最高位王座を統一した。

◆ソロ・シコア(29) 「ウーソズ」の弟シコアは22年9月のWWE英国イベント、クラッシュ・アット・ザ・キャッスル大会で初登場。挑戦者ドリュー・マッキンタイアに苦戦した王者ローマン・レインズのセコンドとして姿をみせた。マッキンタイアを妨害し、レインズの王座防衛に貢献した。その直後のSD大会で新メンバーとして正式に紹介された。

◆サミ・ゼイン(38) 22年4月、マッキンタイアとの抗争を繰り広げる中でザ・ブラッドラインのロッカールームに入り込み、レインズとヘイマンに忠誠心をみせた。その後、ユニットの試合を支援し、ユニットのTシャツを着用。最終的にレインズの信頼を得た。所属メンバーの中でただ1人、血族ではない。

シングル、タッグのWWE最高位王座を独占し、今なおザ・ブラッドラインは勢力を拡大し続ける。盤石にも見える同ユニットだが、唯一の懸念材料は「裏切り」「造反」を得意とするお調子者のゼインの存在だろう。時にジェイとはリング内外で“内紛”を起こしている関係にある。ユニット内部崩壊の危機が漂うメンバー構成が、ファンの耳目を集めるという面白いユニットになっている。【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/連載「WWEの世界」)

ザ・ブラッドラインのメンバー。左端からジェイ・ウーソ、ポール・ヘイマン、ジミー・ウーソ、ローマン・レインズ、ソロ・シコア、サミ・ゼイン(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved
大相撲裏話

行司が「密です」 巡業で人気「初っ切り」も新様式、コロナ禍の時代を反映

相撲の禁じ手を面白おかしく紹介する「初っ切り」を披露する大野城(左)と恵比寿丸(2022年8月撮影)

大相撲の夏巡業で来場者100人にアンケートを取ったところ、相撲の禁じ手を面白おかしく紹介する「初っ切り」が最も印象に残ったとの声が相次いだ。担当した高田川部屋の三段目恵比寿丸(31)と幕下大野城(26)に話を聞くと、新型コロナ禍という時代を反映した出し物にするべく意見を出し合ったという。ファンの心をつかんで離さない新様式に、2人とも手ごたえを感じていた。

口に含んだ水を相手の顔に吹きかけるパフォーマンスはコロナ前に恒例だったが、今巡業では採用されなかった。代わりに消毒やマスクの着用といった内容を取り入れた。行司に「密です」と言わせて笑いを誘った場面が印象に残ったという恵比寿丸は「お客さんを笑顔にできた」。大野城も「新しく取り入れたネタに反響があった」と声を弾ませた。

新型コロナの影響で20年5月に亡くなった同部屋の勝武士(しょうぶし)さんも初っ切りを務めた。「お客さんに聞こえなきゃ意味がないから、声を張れ」というかつての助言を胸に土俵に上がる。大野城は「初っ切りに対する思いが強かった」と懐かしむ。演目は真新しくなっても、大役を担う力士たちの情熱は変わらない。「遺志を継いで、勝武士さん以上に盛り上げたい」と誓った。【平山連】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)

相撲の禁じ手を面白おかしく紹介する「初っ切り」を披露する大野城(左)と恵比寿丸(2022年8月撮影)
大相撲裏話

部屋の味を再現 逸ノ城の元付け人がつくる台湾料理店の逸品ちゃんこ

逸ノ城の付け人を務めた元朱鷺ノ若(ときのわか)の永井史弥さん。今はJR高崎駅近くの台湾料理店の調理場に立っている(撮影・平山連)

群馬・高崎市のJR高崎駅西口から徒歩15分ほどの所にある台湾料理店「來來(ライライ)」は、夜が更けるにつれて地元客でにぎわいを見せる。魯肉(ルーロー)飯、ワンタン、台湾まぜそばといった定番メニューが並ぶ中で、異彩を放つのが「高崎ちゃんこ」。考案したのは、名古屋場所で初優勝を果たした小結逸ノ城(29=湊)の付け人を務めた元朱鷺ノ若(ときのわか)の永井史弥さん(37)だ。

17年に引退し、両親が営む創業36年の店を手伝っている。現役時に所属していた湊部屋ではちゃんこ番を務めたこともあり、店で提供されるちゃんこは逸ノ城らが食べていた部屋の味を再現した。肉、野菜をふんだんに入れ、塩、にんにく、ごま豆乳、トマト、カレーの5種類の味から楽しめる豊富さ。予約のみでも注文が殺到し「町中華にもかかわらず、一度に10~20人のお客さんが来てくれて大変好評です」と話す。

関取になった逸ノ城の付け人を約2年務め、稽古場で胸を出し、時には一緒にモンゴル料理を食べに行った。現役時代に交流を深めたことを思い出し、初優勝の時には自分のことのようにうれしかったという。土俵で奮闘するかつての仲間たちの活躍に刺激を受けながら、きょうも調理場に立っている。【平山連】

(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)

JR高崎駅近くの台湾料理店「來來」で提供される「高崎ちゃんこ」
原功「BOX!」

リオ五輪銀スティーブンソンが同金コンセイサン破り王座防衛なるか

スーパー・フェザー級のWBC、WBO2団体統一王者、シャクール・スティーブンソン(25=アメリカ)が23日(日本時間24日)、アメリカのニュージャージー州ニューアークで防衛戦を行う。挑戦者は両団体で2位にランクされるロブソン・コンセイサン(33=ブラジル)。この試合が注目される要因のひとつとしてスティーブンソンが2016年リオデジャネイロ五輪バンタム級銀メダリストで、コンセイサンが同五輪ライト級金メダリストという点がある。プロでひと足早く成功を収めたスティーブンソンが王座を守るのか、それとも体格で勝るコンセイサンが五輪王者の意地をみせるのか。

スティーブンソンは19歳でリオデジャネイロ五輪に出場し、56キロ以下のバンタム級で3勝して銀メダル以上を確定させた。しかし、決勝で前大会フライ級覇者のロベイシー・ラミレス(キューバ)に1対2の判定で惜敗、最も高い表彰台に上ることはできなかった。

その悔しさを胸に2017年4月にプロ転向。2019年10月にWBO世界フェザー級王座を獲得し、昨年にはWBO世界スーパー・フェザー級王座も手に入れた。今年4月、WBC王者のオスカル・バルデス(メキシコ)に圧勝して2団体王者になった。スピードとスキルに長けたサウスポーの技巧派で、防御技術の高さに定評がある。一時はディフェンシブな戦いが目立ったため評価が停滞したが、最近は周囲の期待に応えようと積極性が出てきた。戦績は18戦全勝(9KO)。

挑戦者のコンセイサンは2008年北京大会、2012年ロンドン大会はいずれも初戦敗退だったが、3度目の五輪では4連勝して金メダルを獲得した。その3カ月後、28歳でプロに転向し、順調に勝利を重ねてきた。昨年9月、バルデスの持つWBC世界フェザー級王座に挑んだが、善戦したものの12回判定負けを喫した。これが18戦したなかで唯一の敗北だ(17勝8KO1敗)。今年1月の再起戦で17戦全勝のホープを下してトップ戦線に残った。身長178センチ、リーチ178センチの体格を生かして長距離から右ストレートを放つこともあれば中間距離で打撃戦を仕掛けることもある。パンチは左右ともチョップ気味のものが多く、それがKO率の低さ(44パーセント)に表れているようだ。

ともに中長距離での戦いを得意としているが、スティーブンソンの方がプロでの経験値で勝り、より洗練されている印象だ。序盤から互いにスピードのあるリードパンチを繰り出しながら二の矢、三の矢を継ぐタイミングを計ることになりそうだが、早々に王者が主導権を握るものとみる。オッズは12対1の大差でスティーブンソン有利と出ている。ライト級進出も視野に入れているスティーブンソンは、周囲の期待どおりにKO防衛を果たすことができるか。

リングにかける

11・1京口紘人vs寺地拳四朗 条件、舞台すべてがそろった10年ぶり日本人同士の王座統一戦

WBC・WBA世界ライトフライ級王座統一戦の会見に臨んだ寺地拳四朗(左)と京口紘人(2022年9月14日撮影)

ボクシングWBA世界ライトフライ級スーパー王者の京口紘人(28=ワタナベ)とWBC世界同級王者の寺地拳四朗(30=BMB)が11月1日、さいたまスーパーアリーナで2団体王座統一戦に臨むことが決まった。14日に都内のホテルで発表会見が行われて両者がそろって出席し、静かに火花を散らした。京口は同年齢で親交の深いWBAスーパー、WBC、IBF世界バンタム級王者井上尚弥(29=大橋)に以前から寺地との統一戦を勧められていたことを明かした。

井上に寺地戦を直接会った際に報告したという京口は「会った時に話したら『え~(会場に)行こうかな』『頑張ってね』と言ってもらえましたね」と笑みを浮かべた。井上には数年前から「同じ階級で、日本人選手同士なんだから統一戦をやりなよ、とフラットな会話の中で言っていたので。国内で一番盛り上がるカードなのかな」とうなずいた。世界王者同士の会話で、寺地との統一戦という機運を感じてきたことも大きかったようだ。

日本人王者による団体王座統一戦は12年6月のWBC世界ミニマム級王者井岡一翔-WBA世界同級王者八重樫東戦以来、約10年ぶり2度目。10年前は井岡が3度目防衛戦で世界戦4戦目、八重樫は初防衛戦で世界戦3戦目だったが、現在の京口、寺地は経験値が違う。5度目の防衛戦となる京口はIBF世界ミニマム級王者時代を含めて世界戦9戦目となる。一方の寺地は王座陥落前の8度防衛成功を含めて世界戦12度目と世界トップのキャリアが豊富にあり、両者の対決の機が熟したタイミングでもある。

世界ライトフライ級の対抗王者をみてもWBO世界同級王者ジョナサン・ゴンサレス(31=プエルトリコ)は世界戦3試合を経験。同じ11月1日、京口-寺地戦のセミファイナルでWBO世界同級2位岩田翔吉(26=帝拳)との2度目防衛戦が4地合目となる。IBF世界同級王者スベナティ・ノンティンガ(23=南アフリカ)は今年9月4日の王座決定戦で新王者になったばかりで、世界戦経験はこの1試合のみ。世界主要4団体の中でも京口、寺地2人のキャリアが群を抜いている。

同興行の中継も豪華だ。4月の村田諒太-ゲンナジー・ゴロフキン戦、6月の井上尚弥-ノニト・ドネア戦に続き、Amazonプライムビデオでライブ配信されることが発表された。京口は「統一戦に見合った金額、ファイトマネーだった。今までで一番大きな金額でありがたい。(プライムビデオの)第3弾として選んでもらえたこともありがたいですし、期待の表れとも感じている」と歓迎した。

両者の意向、条件、タイミング、舞台すべてがそろったと言える。約7週間後に控える日本人同士の王座統一戦は「世界ライトフライ級祭り」にふさわしいビッグファイトになりそうだ。【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける」)

大相撲裏話

隆の勝モチーフのキャラクター「ノブドッグ」愛くるしい表情がたまらない グッズの人気も上々

自身をモチーフにしたオリジナルキャラクター「NOBDOG」の化粧まわしと隆の勝(パンダデザイン氏提供)

その笑顔に癒やされる~。平幕の隆の勝(27=常盤山)をモチーフにしたオリジナルキャラクター「NOBDOG(ノブドッグ)」だ。ミカンを頭に乗せて太い眉毛の柴犬は、まさに本人そのもの。2020年九州場所から化粧まわしに採用されているが、活躍はそれだけじゃない。ステッカー、エコバッグ、LINEスタンプなど幅広い展開を見せている。

手掛けたのは、常盤山部屋のオリジナルグッズの制作を担うデザイナーのパンダデザインさん。目指す力士像を尋ねた際に「いろんな人に知ってもらいたい」という願いをくみ取り、相撲とは別の切り口から関心を広げようとキャラクターの作成を発案。戌(いぬ)年生まれの本人にちなみ、好きな柴犬とミカンをデザインに落とし込んだ。

ファンの間でも愛くるしい表情がたまらないと人気も上々で、記者も実はその1人。優勝次点だった夏場所中に存在を知り、ノブドッグのラインスタンプを購入。喜怒哀楽さまざまな場面に応じた40種類のスタンプを日頃愛用している。右肩の負傷で名古屋場所途中休場、今場所は中日を終え4勝4敗。後半戦に向けて白星を重ね、さらにノブドッグが日の目を見る機会を増やしてほしい。【平山連】

秋場所初日、土俵入りする隆の勝
大相撲裏話

体重170キロ差対決制し話題の小兵、白猿は元サーファー 兄の背中追い高校中退し角界の荒波へ

須山に突き押しで敗れた白猿(撮影・小沢裕)

大相撲の東序二段60枚目の白猿(17=立浪)は、角界では珍しい元サーファーだ。父の影響で小学4年の時から高校を中退して立浪部屋に入門するまでの約8年間、サーフィンに打ち込んだ。

持ち前の粘り腰は波に乗って鍛えたもの。「(サーフィンのおかげで)土俵際で、残りギリギリで踏ん張れています」と強調する。地元三重・市後(いちご)浜や国府白浜に通い詰めて培った体幹の強さを武器にしている。

開催中の秋場所でもその力を存分に発揮したのが、3日目の二番相撲。68・9キロの白猿は、体重238・8キロの謙豊(33=時津風)と対戦した。体重差は成人男性の約3人分? に匹敵する約170キロ。それでも、力強く、「前に、前に」と攻め立てた。押し込まれながらも土俵際で粘り、最後は軍配差し違えで勝ち名乗りを受けた。まさにサーフィンで鍛えた体の強さが生かされたような一番だった。

6人きょうだいの次男で、入門前は「相撲は全然やっていなくて、ほぼ毎日サーフィンでしたね」という。ボードの上では、左足が前のレギュラースタンス。時には大会に出たり、東京オリンピック(五輪)男子日本代表の大原洋人が講師を務めるスクールを受講したりし、腕を磨いた。勢いよく波から飛び出して空中で横回転する「エアリバース」が好きな技で、大技を成功さようと、複数所有するマイボードで練習を重ねた。

そんな日々は高校2年の頃に変わった。かつて佐渡ケ嶽部屋にいた元琴浦崎で兄の浦崎恭乃介さんの背中を追い、高校を中退して大相撲の世界に飛び込んだ。相撲の経験はほとんどなかったが、土俵上で奮闘する兄の姿に引かれた。

家族も背中を押してくれたことで立浪部屋の門をたたき、昨年の夏場所で初土俵。兄2人を追うようにして、三男で東序二段54枚目の豈亜(がいあ)も同部屋に入り稽古相手として切磋琢磨(せっさたくま)している。

6日目に東大相撲部出身の須山との三番相撲に敗れ「いやぁ~、強かったですね」と悔しさをかみしめた。まだまだ、大相撲という荒波にテイクオフしたばかり。将来の目標は「翔猿関、翠富士関や炎鵬関のような小兵力士として活躍して、関取になりたい」。そう語る17歳の目は、故郷・伊勢志摩の光る真珠のようにキラキラと輝いていた。【平山連】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)

◆白猿(びゃくえん) 本名・浦崎太陽。2004年(平16)10月5日、三重・志摩市生まれ。高校2年で中退し、立浪部屋に入門。昨年5月の夏場所で初土俵。しこ名は「申(さる)年」などが由来。趣味は映画を見ること。体重は公式では68・9キロだが、「今は72、73キロ」を目指し増量中。

須山に土俵際へ攻め込まれる白猿(左)(撮影・小沢裕)
大相撲裏話

元尾車部屋の友風と矢後が初対戦「これからも切磋琢磨」別れても変わらぬ同部屋同期への思い

尾車親方(右)と会見後、新番付のしこ名を笑顔で指さす友風(2019年2月25日撮影)

何度、ぶつかり合ってきただろうか。思い出される懐かしい尾車部屋での稽古場。しかし、ここは国技館の本土俵。初対戦を振り返った幕下の友風は「最高に楽しみにしていた相撲だった。負けてもそう言える一番だった」と振り返った。

二番相撲となったこの日、目の前には矢後がいた。17年夏場所。ともに尾車部屋から初土俵を踏んだ同期だ。同学年で同じ学生出身。入門以来、同じ稽古場で高め合ってきた。師匠だった尾車親方(元大関琴風)の日本相撲協会の定年に伴い、2月に尾車部屋が封鎖。友風は二所ノ関部屋へ、矢後は部屋付きの押尾川親方(元関脇豪風)が興した押尾川部屋に転籍。部屋が別々となったことで対戦が実現し「稽古場で何百番も相撲を取ってきた矢後と戦えることに喜びを感じた」としみじみと話した。

ともに幕内経験があるものの、ケガに悩まされて幕下にいる。友風は「またやりたい。これからも切磋琢磨(せっさたくま)していきたい」と意識。一方の矢後も「またお互い上に上がれれば。今後はもっと上で当たりたい」と話す。部屋が変わっても、同部屋同期への思いだけは変わらない。【佐々木隆史】

新入幕を果たし自身の番付を指さす平幕矢後(左)と師匠の尾車親方(2018年12月25日撮影)
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まばたき厳禁アルバレス対ゴロフキン 3度目の対戦のカギはスーパー・ミドル級の体重

スーパー・ミドル級の4団体統一王者、サウル・カネロ・アルバレス(32=メキシコ)と、ミドル級のWBAスーパー、IBF王者のゲンナジー・ゴロフキン(40=カザフスタン)が17日(日本時間18日)、アメリカのネバダ州ラスベガスで対戦する。両者は2017年9月と2018年9月にミドル級王座をかけて対戦。初戦は引き分け、再戦はアルバレスが12回判定勝ちを収めている。しかし、2試合ともゴロフキンの勝利を推す声が多く、決着戦が待たれていた。4年の歳月を経て実現する第3戦はアルバレスが保持するスーパー・ミドル級王座の防衛戦として行われる。オッズは約4対1でアルバレス有利と出ている。

2017年9月の初戦はゴロフキンが保持するWBAスーパー、WBC、IBF王座にアルバレスが挑むかたちで行われた。試合全般を通してゴロフキンが押し気味に戦っていたが、終盤にアルバレスが反撃して追いついたという内容だった。

1年後の再戦はアルバレスが積極的に仕掛け、ゴロフキンが左ジャブを軸に迎え撃つという展開になった。優劣の見極めが難しいラウンドが続いたが、ジャッジ二者が2ポイント差でアルバレス優勢と採点(ひとりは引き分け)したためゴロフキンはプロ40戦目で初黒星を喫し、WBAスーパー王座とWBC王座を失った。

2試合ともゴロフキン優勢とみる関係者やファンが多かったこともあり3度目の対戦が期待されたが、アルバレスが1階級上のスーパー・ミドル級、2階級上のライト・ヘビー級に進出したため決着戦は実現しないまま4年近くが経過した。この間、ゴロフキンはIBFでミドル級王座返り咲きを果たし、今年4月には村田諒太(帝拳)に9回TKO勝ちを収めてWBAスーパー王座も取り戻した。一方のアルバレスはスーパー・ミドル級で4団体の王座を統一し、またライト・ヘビー級でも戴冠を果たして4階級制覇を果たした。しかし、今年5月、ライト・ヘビー級のWBAスーパー王者、ドミトリー・ビボル(キルギス/ロシア)に12回判定で敗れている。その試合を含めた戦績は61戦57勝(39KO)2敗2分。

今回の決着戦はスーパー・ミドル級(76.2キロ以下)の体重で行われる点がミソといえる。ゴロフキンは16年のプロ生活で44戦(42勝37KO1敗1分)をこなしているが、過去の最重量体重は73.9キロに留まる。これに対しアルバレスは直近の8戦のうち7試合をスーパー・ミドル級、またはライト・ヘビー級(79.3キロ以下)で戦っているのだ。現在のベスト体重で試合に臨めるという絶対的な優位性がある。アルバレスが直近の試合で負けているとはいえ、40歳になったゴロフキンにとっては悪条件下の試合といっていいだろう。

村田がゴロフキンにしたようにアルバレスも序盤から圧力をかけて出ることが予想される。相手を下がらせておいて自分が踏み込む間合いをつくろうとするはずだ。これに対しビボルがアルバレスにしたようにゴロフキンは左ジャブを多用するものと思われる。相手の前進を押さえ込み、そのうえで右の強打に繋げるチャンスをうかがうのではないだろうか。試合は前半から中盤にかけてヒートアップしていき、終盤には打撃戦に突入する可能性が高い。もちろん、どちらかが前半でミスを犯すようなことがあれば衝撃の結末も考えられる。どちらがどんなかたちで決着をつけるのか。まばたき厳禁の試合だ。

大相撲裏話

芝田山親方ならではの発案「ビスケットつかみ取り」に「物言い」なし コロナ禍お客さんへの心遣い

芝田山広報部長の店でつかみ取りする佐々木隆史記者(撮影・鈴木正人)

パイプいすに座る元横綱大乃国の芝田山親方と向き合う。

「はっけよい」と威勢のいい行司のかけ声を脳内で再生。右手をつっこみ、がばっとまわしを、いやビスケットをつかんで持ち上げた。記録は21枚。芝田山親方のおまけで、さらに1枚もらって22枚だった。

芝田山親方発案の「スイーツ親方の店」が昨年から館内に構え、同親方厳選のパンなどが売られて好評だ。今場所から「ビスケットのつかみ取り」を実施。1口大のビスケットが2枚入った小包が段ボールいっぱいに入っており、そこからつかみ取る。

「長時間相撲を見ることになるから口も寂しくなる。ちょっと口に入れて観戦のお供になれば」と広報部長も務める芝田山親方ならではの発案だ。つかみ取りする際には裏返しにしたポリ袋を手袋代わりにするなど、感染対策もばっちり。一口で食べられるため、マスクをさっと外すだけで済む。ほどよく甘く、塩味が絶妙に効いたビスケットは「もう一丁」とついついすすむ。つかみ取りというよりは、豪快に下からすくい上げる客もいたが「物言い」はなし。「コロナ禍でもお客さんに楽しんでもらうのが一番」と笑顔だった。【佐々木隆史】

芝田山広報部長の店でつかみ取りのビスケット(撮影・鈴木正人)
芝田山広報部長の店でつかみ取りする佐々木隆史記者(撮影・鈴木正人)
WWEの世界

WWE女子部門席巻!イヨ・スカイら3人組「DAMAGE CTRL」とは?次のターゲットは?

イヨ・スカイ(前)、ダコタ・カイ(左後方)、ベイリーのユニット名は「DAMAGE CTRL」に決定(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.

<第41回WWEの世界>

8月からリング復帰したイヨ・スカイ(紫雷イオ=32)、ベイリー(33)、ダコタ・カイ(34)が「DAMAGE CTRL(ダメージ・コントロール)」のユニット名で活動中だ。主戦場となるロウ大会だけでなく、別ブランドのスマックダウン大会にも登場し、次々と女子レスラーたちに「宣戦布告」している。WWE女子部門を席巻している同ユニットの命名の由来、今後のターゲットについて予想する。

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9月3日(日本時間4日)、30年ぶりのWWE英スタジアムイベントとなったクラッシュ・アット・ザ・キャッスル(CATC)大会(米カーディフ)でスカイ、ベイリー、カイのユニット名が正式発表された。その名もダメージCTRL(コントロール)。大型画面にユニット名が表示され、新しいユニット入場曲も流れる中、3人がステージから入場し、6万2296人の大観衆をわかせた。

早速、WWEネットワークやWWE公式ユーチューブで視聴できるトーク番組ザ・バンプの7日配信分に3人そろって参加。ユニット名の由来について明かした。カイは「最初から私たちは『コントロール』(支配)という言葉を使っていたのは、WWE女子部門で存在を確立したかったから。少しの間、(負傷や解雇で)レールから外れていたように見られていたからです」と経緯を説明した。

さらにカイは「3人には共通の目標があります。それはWWE女子部門を支配し、手に入れられるものは何でも手に入れ、支配したいということです。そして『ダメージCTRL』という名前が頭に浮かび、全員が同意したと思います」と振り返った。ダメージ・コントロールと言えば、アベンジャーズのVR作品や、劇場版スパイダーマンに登場する異星人などの残骸の処理・保管を目的とする組織を頭に思い浮かべる。世界的にも親しみやすい、認知度が高いユニット名と言えそうだ。

ダメージCTRLはユニット結成からすぐにロウ、スマックダウンの両大会に姿をみせ、次々と対立構図を演出している。最初に襲ったのは前ロウ女子王者ベッキー・リンチで肩負傷に追い込んで戦線離脱。復帰まで数カ月かかるとみられているが、リンチ復帰後は対立は必至だろう。そしてCATC大会の6人タッグで激突した現ロウ女子王者ビアンカ・ブレア、アスカ、アレクサ・ブリスとの抗争も続くに違いない。

3人の連係技でフォール負けを喫したブレアからは早速、シングル戦を要求されており、いずれ3人の誰かが王座挑戦するだろう。また将来的にはユニットに新しいメンバーが加入する可能性もある。米メディアでは早くも元WWEティーガン・ノックス、スマックダウン所属のショッツィが候補として挙がっている。

真っ先に照準を合わせているのがWWE女子タッグ王座にほかならない。次週ロウ大会では、スカイ、カイ組が同王者ラケル・ロドリゲス、アリーヤ組に再び挑戦する。8月下旬のWWE女子タッグ王座決定トーナメント決勝では敗れているだけに雪辱戦でもある。WWE女子部門を支配するユニットになるための勢いは十分にあるだけに今後の展開が楽しみだ。【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/連載「WWEの世界」)

ロウ大会の大観衆の声援を浴びながら存在を誇示するユニット「DAMAGE CTRL」。左からダコタ・カイ、ベイリー、イヨ・スカイ(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.
「DAMAGE CTRL」がユニット名になったダコタ・カイ(左端)、ベイリー(中央)、イヨ・スカイ(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.
7月30日のサマースラム大会でカムバックしたイヨ・スカイ(左端)、ベイリー(中央)、ダコタ・カイの3人(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.
原功「BOX!」

アルバレス破った男ドミトリー・ビボルがUAEで12度目の防衛戦 ラミレスと高度な技術戦期待

WBA世界ライト・ヘビー級スーパー王者、ドミトリー・ビボル(31=キルギス/ロシア)が11月5日(日本時間6日)、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビで同級1位のヒルベルト・ラミレス(31=メキシコ)を相手に12度目の防衛戦を行うことになった。ビボルは今年5月、ボクサーの強さ指標ともいえる「パウンド・フォー・パウンド」でNO,1の評価を得ていたサウル・カネロ・アルバレス(32=メキシコ)に判定勝ちを収めて知名度を上げている。元WBO世界スーパー・ミドル級王者のラミレスとの試合は技巧派同士の注目の対決といえる。

ビボルはプロデビューから1年半、わずか7戦目でライト・ヘビー級のWBA暫定王座を獲得した。25歳と若いこともあり高い期待を集めるなか4連続KO防衛をマークし、この間、正規王者への昇格も果たした。しかし、2018年以降は強打よりもテクニックを前面に出す戦い方が目立つようになり、5度目の防衛戦以降はKOから遠ざかり6試合続けて判定勝ちに留まった。危な気はないがスリルもない-極端な言い方をすれば守りのボクシングに変わったといっていいだろう。

そんなビボルに目を付けたのが1階級下のスーパー・ミドル級4団体統一王者のアルバレスだった。自慢のパワーで押し切れると判断したのだろう。事実、試合前は4対1でアルバレス有利というオッズが出ていた。ところがビボルは左ジャブでアルバレスの接近を許さず、終盤には正確なワンツーをヒットしてダメージを与える場面もつくった。ジャッジ三者の採点は115対113と接近していたが、ビボルの完勝といっていい内容だった。

試合直後には即再戦というプランも浮上したが、アルバレスがミドル級のWBAスーパー王座とIBF王座を持つゲンナジー・ゴロフキン(40=カザフスタン)との第3戦を選択したため、ビボルはラミレスとの防衛戦に舵を切ることになった経緯がある。

2009年にプロデビューしたラミレスは身長189センチ、リーチ191センチの大柄なサウスポーで、スーパー・ミドル級時代にはWBO王座を5度防衛した実績を持っている。3年前にライト・ヘビー級に転向してからは世界挑戦経験者や世界ランカーを相手に5連続KO勝ちを収めており、勢いと自信を増している印象だ。

12度の世界戦を含め20戦全勝(11KO)の戦績を残しているビボルに対し、ラミレスも6度の世界戦を含め44戦全勝(30KO)と挫折を知らない。右構えと左構えの違いはあるが、ジャブで試合を組み立てる点も似ている。高度な技術戦になる可能性が高そうだ。

アルバレスに勝ったことで評価が急上昇したためか、8月下旬時点でのオッズは6対1でビボルの圧倒的有利と出ている。2カ月後の試合が待ち遠しい。

リングにかける

全てかっさらったムタが示したヒールレスラーの神髄 O・カーンの人心掌握し突如の裏切り

グレート・ムタ(2022年9月3日撮影)

来春での現役引退を表明している武藤敬司(59)が代理人を務める「悪魔忍者」グレート・ムタが、プロレス界にヒールレスラーの神髄を示した。

今月3日、プロレスリング・ノア大阪大会(エディオンアリーナ大阪)に“降臨”し、1990年に日本初登場を果たした同地でのラストマッチを行った。新日本プロレスのグレート・O・カーン、NOSAWA論外とトリオを結成し、反骨集団「金剛」と6人タッグマッチで対戦。代名詞の毒霧や火炎など「魔界殺法」を惜しみなく披露した。

極め付きは試合後だった。味方で「魔界・帝国同盟」を結んでいたはずのO・カーンを毒霧で急襲。「最強は自分ひとりで十分」とでも言わんばかりの突如の裏切りで、大阪に敵味方なしの魔界ワールドを作り上げた。

しかし、観客を魅了したのは、傍若無人な振る舞いだけではなかった。その行動の裏に、レジェンドヒールたる「クレバーさ」が光った。

実は大会前、NOSAWAとムタの代理人武藤が暗躍し、神奈川の某所で魔界会談が開かれていた。ムタの強い要望で、O・カーンとの同盟が締結。最初は「なぜ余を選んだのか?」「余にメリットはあるのか?」と疑念を抱いていたO・カーンを、この会談ですっかり落としてしまった。ムタの人心掌握術は、鮮やかなものだったのだ。

O・カーンの好物が「甘いもの」ということを事前にリサーチし、魔界からのお土産としてケーキを“献上”。さらに、武藤を使って「O・カーンは最近、人気が急上昇している。集客力がある」とおだてあげ、いい気分にさせてしまった。O・カーンは「それなら納得だ。愉快だ」と快諾。「グレート・ムタのファイナルを食ってもいいんだな?」という問いかけにも、武藤は笑顔であっさりとうなずいていた。

さらに武藤を通し、「O・カーンと組むことで観客を集めて魔界にお金をたくさん持って帰りたい」と発言。引退後の魔界ライフを満喫するための堅実な(?)プランがあることをほのめかし、すっかり安心させてしまったのだった。

ふたを開けてみれば、当日の全てをかっさらったムタ。新日本で猛威を振るう「ユナイテッド・エンパイア」の支配者に一杯食わせた。ヒールレスラーとしての経験、そして格の差を見せつける形となった。

「ファッキン、O・カーン。シーユースーン。メイビーユナイテッドステイツ、アンドヨコハマ。メイビーニュージャパン、トゥー」。試合後にムタはそう言い放った。

まだまだストーリーの続きは見られそうだ。魔界の門が閉じる来年1月22日(ノア横浜大会、神奈川・横浜アリーナ)まで、神出鬼没で予測不能な悪の姿を、この目にしっかりと焼き付けたい。【勝部晃多】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける」)

退場するグレート・ムタ(2022年9月3日撮影)
大相撲裏話

玉鷲を追い込む「1対2」力士4人で濃密稽古 片男波親方が試行錯誤し見据える育成のさらなる先

幕下以下の若い衆2人と相撲を取る平幕の玉鷲

「何番だ」、「10番です」。「何回だ」、「15回です」。鋭く目を光らせる師匠からの問いに、弟子らがきびきびと答える。きっちりと10番相撲を取り、きっちりと体幹トレーニングを15回行う弟子ら。宣言した回数より少なく終わることもなければ、それ以上の回数が行われることもない。所属力士は4人。決して多くはないが、大相撲秋場所(11日初日、東京・両国国技館)に向けて、稽古場には緊張感が張り詰めていた。

師匠の片男波親方(元関脇玉春日)は「(弟子が)回数をごまかすからね」と、回数を先に弟子に言わせることの理由を笑いながら説明した。冗談半分のようだったが「明確な目標を持たせることが大事。どうしても自分に甘えてしまうから」と確かな理由がもう1つあった。

自身が現役時代だった昭和から、平成を越えて、今は令和の時代となった。伝統ある大相撲とは言え、その時代に合ったやり方も必要だと片男波親方は感じている。「今の時代に昔の稽古はなかなか難しいでしょう」。決して、昔のやり方を否定するわけではない。ただ「昔は何でも100回連続なんかもあったけど、今は10回1セットにするとか。昔と融合しながらやってますよ」と効率の良さも考えている。

もちろん、どの時代であっても厳しい稽古も必要だ。4人の弟子のうちの1人は関脇経験者の平幕の玉鷲だが、他は幕下、序二段、序ノ口が1人ずつ。新型コロナ感染拡大により出稽古は自由に行えず、各力士らは自身の部屋で稽古を積むしかない。だが、玉鷲と他3人の実力差は言わずもがな。そんな状況を見かねて、片男波親方が考案したのが1対2の稽古だ。

その名の通り、玉鷲1人対若い衆2人による相撲を取る稽古。正面2人、正面1人に右側1人、正面1人に後ろに1人。さまざまなパターンから攻められる玉鷲は、必死に動きながら突破口を探る。優勝経験のある玉鷲でも、2人相手にはさすがに息も絶え絶え。15番連続で行われると、玉鷲の荒い息遣いが稽古場に響いた。間髪入れず、片男波親方のげき。「痛いこと、苦しいことに向き合わないと」。04年初場所での初土俵から休場が1度もない鉄人・玉鷲が、返事をする余裕がないほど追い込まれていた。

弟子を強く育てたい思いは、どの部屋の師匠も必ず持っている。しかし、片男波親方は、さらにその先を見据えている。「稽古場を見てもらって面白いと思ってもらえれば、本場所にも観客が来てくれると思う。いいかげんな稽古ではお客さんに(相撲の)魅力が伝わらない」と話す。稽古場での稽古、それによって育った力士の本場所での活躍が、大相撲界のさらなる発展につながると考える。

確かに、1対2の稽古のおかげか、現役最年長関取の玉鷲は、まだまだ幕内上位で存在感を発揮している。実力もさることながら、相撲ファンからの人気も十分。それも、試行錯誤を繰り返す片男波親方の指導によるものだろう。「現役をやめたら苦しいことはしなくていい。苦しいのは今だけ。しっかり自分と戦って欲しい」。濃密な稽古を終え、疲労感たっぷりの表情を浮かべながら後片付けする弟子らを見て言った。【佐々木隆史】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)

幕下以下の若い衆2人と相撲を取る平幕の玉鷲
片男波親方(元関脇玉春日)
リングにかける

ヴァンダレイ・シウバ、総合格闘技「公式引退」もボクシングでの復帰と息子のRIZIN参戦示唆

1番ポーズで歓声に応えるシウバ(2013年3月2日撮影)

総合格闘技RIZINの“前身”と言えるPRIDEの元ミドル級王者で人気スター選手だったヴァンダレイ・シウバ(46)が総合格闘技から「公式に」引退したと8月31日(日本時間9月1日)、米専門メディアMMAファイティングが報じた。同メディアのポルトガル語のポッドキャスト番組でシウバ自身が「公式に総合格闘技から引退した」と表明したという。

気になるのはリングからの引退と言わなかったことだ。同メディアによると、総合格闘技からの引退を口にしたシウバは「再び戦うことになる唯一のチャンスはボクシングになるだろう」と新たな挑戦も示唆。元UFCミドル級王者アンデウソン・シウバ(ブラジル)ら総合格闘技のレジェンドたちが他競技の有名人たちとボクシングルール、あるいはエキシビション形式でファイトしている。その流れをシウバ自らも意識した発言とみられる。

シウバは13年3月、UFC日本大会でブライアン・スタン(米国)にKO勝ちして以降、総合格闘技マッチの勝利はない。ラストマッチは18年9月の米団体ベラトール206大会で組まれたクイントン“ランペイジ”ジャクソン(米国)戦だった。正式な引退表明はなかったが、この後にシウバは「気分のムラ、すぐに怒り出す、忘れっぽい、眠れない」など脳しんとうに似た症状があることを明かしていた。

現在、シウバは母国パラナ州で政治活動を加速させている。8月にはブラジル議会の連邦議会議員に立候補を表明。18年の選挙では落選しているだけにリベンジの決意は強い。さらに息子のトール(19)がアマチュアながら総合格闘技デビューへの準備を進めていることも大きい。9月25日、ブラジル・クリチバにある4500人収容のスタジアムで開催される「ファイト・ミュージック・ショー2大会」でパウロ・ランゲル(ブラジル)と対戦する予定となっている。

シウバは「試合で起きうることは私も分かっている。(息子の試合は)エキサイティングなことだ。すべてを経験してきたし、大変な仕事だと分かっている。有名人の息子で、お金を持っていたとしても、そこで重要なのはハードワークと練習。息子が既にプロのように振る舞っていることを神に感謝している」と愛息による総合格闘技へのまじめな取り組みを評価している。

また、トールの今後についても「今はベラトール、RIZIN、UFCなどの素晴らしいプロモーションが数多くある。アスリートが自分の仕事を披露し、最高の戦いをする機会を与える素晴らしいプロモーションだ。彼のキャリアがどのように進展し、どんな機会があるかを見て、最善の道を選択する」と日本での試合も視野に入れている。シウバが総合格闘技から「公式に引退」するのは寂しいが、将来的なボクシングマッチでのリング復帰、そしてDNAを引き継ぐ息子トールの日本進出の可能性は、日本のファンにとっても楽しみな話題になるはずだ。【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける」)

原功「BOX!」

ルイス対オルティス、元世界ヘビー級王者同士のサバイバルマッチ 踏みとどまるのはどっちだ

元世界ヘビー級王者同士のサバイバルマッチが9月4日(日本時間5日)、アメリカのカリフォルニア州ロサンゼルスで行われる。WBAスーパー、IBF、WBOの王座を保持していた実績を持つアンディ・ルイス(32=アメリカ)と元WBA暫定王者のルイス・オルティス(43=キューバ)が拳を交えるもので、勝者がトップ戦線残留、敗者が脱落する非情な試合だ。

現在、WBC5位、WBA12位の肩書を持つルイスは身長とリーチが188センチ、直近の試合(2021年5月)の体重が116キロというポッチャリ型の選手で、アメリカ西海岸を中心に人気がある。2009年3月のプロデビューから13年間で36戦34勝(22KO)2敗の戦績を残している。相手の地元に乗り込んだ世界初挑戦試合では惜敗したが、2019年6月、22戦全勝(21KO)のアンソニー・ジョシュア(英国)に7回TKO勝ちを収めるという歴史的な番狂わせを起こして3団体王座を獲得した。一気にヒーローの座に駆け上がったもののパーティーが続いて自分自身を見失い、初戦よりも7キロ増で臨んだ再戦では12回判定で完敗。天下は半年に終わった。

その後、1年5カ月のブランクをつくったが、昨年5月に戦線復帰を果たした。そのときはジョシュアとの再戦時から12キロ以上も減量して試合に臨んでいる。

一方のオルティスはアマチュア強国キューバで368戦(349勝19敗)を経験後、30歳でプロ転向を果たした。以後、12年間に37戦33勝(28KO)2敗2無効試合の戦績を収めている。36歳のときにWBA暫定王座を獲得したが、1度防衛したあと放棄。2018年と2019年の2度、WBC王座に挑んだが、デオンテイ・ワイルダー(アメリカ)に10回TKO、7回KOで敗れた。その後は2連続KO勝ちを収め、現在はIBF2位、WBO5位、WBC8位にランクされている。

ともに攻撃型だが、総合的な戦力ではサウスポーのオルティスが勝る。長中短どの距離でも戦えるタイプで、パンチがあるうえテクニックもあり、経験値も高い。ただ、最近は打たれ脆くなっており、今年1月の試合では2度のダウンを喫している。

ルイスは一見すると体が重そうだが、その印象に反して動きは俊敏で、瞬間的なハンドスピードはオルティスを上回っているかもしれない。チャンスをつかんだあとのパンチの回転も速い。アゴの強さにも定評がある。

32歳のルイスはともかく、43歳のオルティスにとっては敗北が引退に直結する可能性があるだけに失敗が許されない試合だが、オッズは3対1でルイス有利に傾いている。オルティスの年齢と打たれ脆さが響いているようだ。ルイスが前に出て中近距離の戦いに持ち込み、回転の速い連打で攻めたてる姿が目に浮かぶ。

WBC王者のタイソン・フューリー(英国)は去就が微妙だが、そんななか21日にはオレクサンダー・ウシク(ウクライナ)が前王者のジョシュアに判定勝ちを収めて3団体王座の防衛を果たした。フューリーに連敗したワイルダーも10月に再起戦が決まった。風雲急を告げるヘビー級トップ戦線に踏みとどまるのはルイスなのか、それともオルティスなのか。

WWEの世界

イヨ・スカイ「インパクトある」新リングネーム変更の経緯、ユニットの絆語る/インタビュー後編

日刊スポーツのインタビューに応じたWWEのイヨ・スカイ(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.

<第40回WWEの世界>

WWEの元NXT女子王者イヨ・スカイ(紫雷イオ=32)が8月からロウ所属として活躍している。9月3日(日本時間4日)、英ウェールズのカーディフで開催されるWWEクラッシュ・アット・ザ・キャッスル(CATC)大会でアスカとの6人タッグ戦が決定するなど話題に事欠かない。ロウ入りを契機に新リングネームとなった経緯、約3カ月間の戦線離脱、ベイリー、ダコタ・カイとの深い絆などを日刊スポーツのインタビューで明かした。今回は後編となる。

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7月30日の真夏の祭典サマースラム大会で紫雷は新リングネームのイヨ・スカイとして姿をみせた。4月2日のNXTスタンド&デリバー大会以来、119日ぶりの登場。これに合わせて変更されたリングネームについて解説した。

「このタイミングでリングネームを変えないといけないとなりました。いくつか候補があり、私の意見が入っています。『ジーニアス・オブ・ザ・スカイ』を代名詞で使っていたので、スカイはいいかなと。日本で紫雷イオは漢字からイメージがわきやすいですし、インパクトもあると思います。一方で英語表記になるとIO(イオ)が数字の10に見えたり、IがフォントによってはLの小文字に見えたりする。ロウ・スカイと読む人もいたので、間違えにくいIYO(イヨ)はいい。今はイヨ・スカイがインパクトある、覚えやすいイメージになったと思います」

NXTからロウに所属が変わり、レスラー生活は一変した。ロウの選手となって以降、この1カ月間は慣れない移動続きのライフスタイルを体験し、WWEトップのレスラーとしての自覚もさらに確立された。

「これまでNXTは米オーランドのスタジオで収録でした。ロウになってから、例えば金、土、日、月と移動して試合するという生活サイクルになりました。これがメインロースターの生活なのかと感じています。環境が激変した感じはあります。バタバタして大変というよりも、順応していかないといけないですし。生活が新しくなると、人間なので体がこのサイクルに慣れていない。今はこのタフな生活に体が順応してくれるように、と思っています」

この多忙な生活に入る直前まで、スカイはリハビリに専念していた。NXT最後の登場となった4月のNXT大会で組まれた4WAY形式NXT女子王座戦の際、右足首の骨を折った。

「WWEからオフィシャル公開されていないけれど、ケガしていました。王座戦で場外にムーンサルトした時でした。この大会がレッスルマニアと同日開催で試合会場がバタバタだったのです。リング周辺のチェックができない状況のままで試合し、アナウンステーブルのところにつま先を強打しました。試合はアドレナリンが出ているので耐えることができましたが、激痛でしたね。最初は捻挫の診断でしたが、回復が遅いので再検査したら足首の距骨(きょこつ)が骨折していました」

3カ月近くのリハビリはコロナ禍も重なり、松葉づえ生活で、メンタル的にも苦しかった。1度、日本に帰国し、リハビリに取り組んでいたという。

「保存治療では治らず、手術が必要でした。砕けた骨と骨をつなぐボルトを入れました。体重を患部にかけてはいけない期間が2カ月。ジャンプ禁止が3カ月。松葉づえで外にも行けないし、生活用品の買い物さえも行くことができない。もともと運動をたくさんしている人間が動けないので、足の筋肉も、メンタルも落ちました。試合できない事実は変わらないのでポジティブな気持ち、落ち着いた状況で安心してリハビリできるように、と歩けるようになってから日本に戻りました。良い意味でリフレッシュできて、しっかりとリハビリ、調整ができましたね」

ベイリーをリーダーにカイと3人でユニットとして行動している。ベイリーは昨年7月、練習中に前十字靱帯(じんたい)損傷して離脱。負傷こそしていないが、カイは4月にWWEから解雇されていた。3人ともどん底を味わってからの復帰。境遇が似ていた。

「3人ともビッグカムバックだなと思います。ベイリーは長くケガで離脱し、ダコタは1度会社から解雇を言われました。彼女に解雇の連絡がきたところに周りも、私自身もすごくショックだったし『なぜ彼女が!?』という気持ちでした。彼女も精神的につらかった期間があった中での復帰で、私は私で右足を負傷していて。3人の思い入れと絆は強いです。『ここから』と3人でよく話しますし、実際に仲が良いし、2人は性格、試合を含めて素晴らしい選手、人間です。『タイミングの奇跡』という出会いです」

92年のサマースラム大会以来、30年ぶりの英スタジアム大会となるCATC大会では、この3人が同時出場する初試合になりそうだ。対戦相手にアスカ、アレクサ・ブリス、ビアンカ・ブレアと王者経験者が並ぶ6人タッグ戦という注目カードになる。大会には7万人の観衆が集結する。

「今、ベイリー、ダコタと一緒に3人が、このユニットがブレークすること、WWE女子部門を席巻していこうというのが目標です。CATC大会の何が楽しみかって3人がそろって試合するところです。私たちは3人で秘密特訓しています。新しく秘密特訓の成果をみせられると思いますので、CATC大会を楽しみにしていただければと思います」

(おわり)【取材・構成=藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/連載「WWEの世界」)

◆中継 WWEクラッシュ・アット・ザ・キャッスル大会は日本時間9月4日午前にWWEネットワークでライブ配信

約3カ月の長期離脱期間の負傷について明かしたWWEのイヨ・スカイ(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.
同じユニットを組むベイリー、ダコタ・カイと目指す野望について語ったWWEのイヨ・スカイ(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.
ロウ所属に合わせ、新リングネームのイヨ・スカイに変更した紫雷イオ(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.
WWEの世界

イヨ・スカイ「WWEで1番になる」アスカとの関係、英国大会を語る/インタビュー前編

日刊スポーツの取材に応じたWWEのイヨ・スカイ(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.

<第39回WWEの世界>

8月からWWEロウに昇格した元NXT女子王者イヨ・スカイ(紫雷イオ=32)が30年ぶりとなる英国スタジアム大会で日本人対決に臨む。9月3日(日本時間4日)、英ウェールズのカーディフで開催されるWWEクラッシュ・アット・ザ・キャッスル(CATC)大会でアスカ(40)との6人タッグ戦が決定。約7万人が集結するWWEの英ビッグイベントで日本人同士が対決する意義、「姉御」アスカとの関係性など日刊スポーツのインタビューで明かした。今回は前編となる。

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世界のWWEファンが注目する30年ぶりの英スタジアム大会まで、1週間を切った。スカイにとってWWE加入後に初の英国でのファイトになる。ベイリー、ダコタ・カイと組み、アスカ、アレクサ・ブリス、ロウ女子王者ビアンカ・ブレア組との6人タッグ戦に向けて意気込みを口にした。

「スターダム時代に英国で試合しましたが、印象に残っているのが英国人のプロレス熱がすごいということです。今回のCATC大会は7万人がスタジアムに入ると聞き、とんでもないビッグマッチだなと思います。対戦相手にはアスカさん、超人気者のアレクサさん、王者ビアンカもいる。願ったりかなったりなシチュエーションです。日本人女性の活躍としても注目してもらえればと思います。そして、こんなに世界の大きな舞台で日本女子が頑張っているという姿をみせる舞台でもあるので見てほしいです」

日本ではアスカと10~11年に姉美央と3人でユニット「トリプルテイルズ」を組み、何度も自主興行も開催していた間柄となる。

「知っている方は少ないと思いますが、10年以上前にアスカさんと一緒にユニットを組んでいました。それほど関係性の深い選手。昔も今も『お姉さん』と思っています。尊敬する部分もすごく多い。WWEで生き残ること、地位を確立させることが、WWEに在籍していればいるほど、どれだけ難しいのか思い知らされています。自分が次のステップに進めば進むほど、それを痛感します。この道を通ってきたアスカさん、やっぱりすごいなと」

WWEでもアスカの背中を見て、走り続けてきた。現在は敵対関係にあるが、昔も今もアスカへの尊敬の念は変わらないという。

「アスカさんは常に第一線を走り続けてます。お客さんの前に来た時の歓声、存在感は確立されています。中邑(真輔)さんもそうなのですが、人気者として確立され、知名度もすさまじい。当たり前ですが、自分はまだないなと素直に認めています。この『ないもの』を積み上げるために私には何があるか。それは(ロウ昇格後の)勢いとか、シチュエーションがある。それを爆発力に変えていきます。尊敬しているからこそ、アスカさんに追いつき、いつか追い越せるようにしていきたい」

22日のロウ大会ではWWE女子タッグ王座決定トーナメント準決勝でアスカ、ブリス組と対決。タッグ戦ながら注目の日本人対決でスカイがアスカからピンフォールを奪って決勝進出を決めていた。

「(日本人対決の意識は)ファンだけでなく、もちろん私もあります。世界一の舞台で世界中が見ているすごい団体で、日本人レスラー同士が戦う場面を世界中が熱狂して見ているというのは誇らしいです。アスカさんはその状況を築きあげ、私もはい上がってきた。日本人に限らず、ここまでのぼって来られずに団体に入ることができなかった選手、入ってものぼってこられずにWWEを去っていった選手を国籍問わずにたくさん見てきました。(生存競争が激しい団体で)日本人が戦うところを世界にみてもらえるのはうれしいです」

次回ロウ大会ではNXT時代、ライバル関係にあったラケル・ロドリゲス、アリーヤ組とのWWE女子タッグ王座決定トーナメント決勝が決まった。まず女子タッグ王座獲得が近い目標になるものの、将来的にかなえたい夢がスカイの胸に秘められている。

「なぜ、ここ(WWE)にいるのか。イヨ・スカイでいるのか、と言えば頂点に立ちたいからです。もともと世界で一番すごい選手だと世界中に知ってもらいたいという思いで海を渡りました。日本では女子プロレス大賞MVPなどいろいろな賞をもらい、もう脂のり切ってイケイケ、バリバリでした。それを投げうってここでやっていこうと思ったのはWWEで1番になるためです。いずれロウ、スマックダウンのどちらかの王座を獲得したい。その意識は常にあります」

(後編につづく)【取材・構成=藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/連載「WWEの世界」)

◆イヨ・スカイ(紫雷イオ) 1990年(平2)5月8日、神奈川・鎌倉市生まれ。器械体操などを経験し、07年3月にプロレスデビュー。姉美央とともに「紫雷姉妹」として活動し、10年にはアスカ(当時は華名)とユニットを結成して自主興行も開催。11年に姉妹コンビ解消し、同年8月にスターダムに初参戦。同団体でワールド・オブ・スターダム王座を皮切りに5大王座を獲得し、同団体初のグランドスラムを達成。3年連続女子プロレス大賞MVPを達成後、18年5月にスターダムを退団。同年6月にWWEへ加入し、同年10月に女子トーナメント、メイ・ヤング・クラシック準優勝。同6月にWWE加入を表明。20年6月、NXT女子王座を獲得。21年7月にNXT女子タッグ王座も奪取(パートナーはゾーイ・スターク)。156センチ、47キロ。

◆中継 WWEクラッシュ・アット・ザ・キャッスルは日本時間9月4日午前にWWEネットワークでライブ配信

スマックダウン1200回記念大会をチケット購入で視察したイヨ・スカイ(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.
8月からロウを主戦場にファイトしているWWEのイヨ・スカイ(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.
9月3日の英スタジアム大会でアスカ(左上)組との日本人対決に臨むイヨ・スカイ(右中央)組(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.