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au版ニッカン★バトル

原功「BOX!」

女子ボクシングに再び脚光 五輪金メダリスト3人に要注目

 世界的な傾向として下火になりかけていた女子ボクシングだが、ここにきて再び脚光を浴びつつある。きっかけは12年ロンドン五輪、16年リオデジャネイロ五輪の金メダリスト3人のプロ転向だ。彼女たちは大きな波を起こすことができるか。

 女子ボクシングは80年代以降、米国でクリスティ・マーティン(米)というスター選手を輩出して人気を博した。マーティンはマイク・タイソン(米)の世界ヘビー級タイトルマッチの前座や、フリオ・セサール・チャベス(メキシコ)、フェリックス・トリニダード(プエルトリコ)といったスター選手の前座に出場したこともある。2000年代に入るとモハメド・アリの娘、レイラ・アリ(米)が女子ボクシングを牽引したが、07年の試合を最後に活動を休止。以後もドイツやメキシコ、日本などを中心に世界戦は頻繁に開催されてきたものの、かつてのような世界的な注目度は得られなかった。

 こうしたなか12年ロンドン五輪から女子ボクシングが採用され、フライ級でニコラ・アダムス(英=34)、ライト級でケイティー・テイラー(アイルランド=30)、ミドル級でクラレッサ・シールズ(米=22)という3人の女王が誕生した。アダムスとシールズは16年リオデジャネイロ五輪でも金メダルを獲得して注目を集めた。

 この3人のうち、まずシールズが昨年11月に米国ラスベガスでプロデビュー(4回判定勝ち)した。シールズは今年3月の第2戦では4回TKO勝ちを収めて北米王座を獲得。この試合はテレビが生中継するなかメインイベントとして組まれたほどで、シールズは早くも大きな期待と注目を集めている。

 テイラーはシールズのデビュー戦の1週間後、英国ロンドンで初陣に臨み3回TKO勝ち。その試合を含め現時点で4戦全勝(2KO)を記録している。5戦目は4月29日、アンソニー・ジョシュア(英)対ウラジミール・クリチコ(ウクライナ)のIBF世界ヘビー級タイトルマッチの前座で8回戦を行うことになっている。

 ふたりに遅れること5カ月、アダムスは今年4月8日に英国マンチェスターでプロ初戦を行い、4回判定勝ちを収めた。すでに次戦が5月13日に組まれている。女子の試合は1ラウンドが2分の設定になっているが、それでは物足りないのかアダムスは「男子と同じ3分で戦わせてほしい」と要求している。

 3人とも来年には世界戦に絡んできそうな勢いがあるだけに、女子ボクシング界にとっては光明といえる。再び大きな波が起こるかどうか。シールズ、テイラー、アダムス、彼女たちの拳に要注目だ。

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揺れるミドル級トップ戦線 次の天下をとるのは誰だ

 村田諒太(31=帝拳)がアッサン・エンダム(33=カメルーン/仏)に物議をかもす12回判定負けを喫してから1カ月。あの試合に端を発したかのように世界のミドル級トップ戦線が揺れている。WBOの暫定王者が米国で逮捕されるという負のニュースがあった一方、WBC1位と2位の選手の挑戦者決定戦が決まるなど、ここに来て動きが活発になっているのだ。9月にはWBA(スーパー王座)、WBC、IBFと三つのベルトを持つゲンナディ・ゴロフキン(35=カザフスタン/米)対サウル・カネロ・アルバレス(26=メキシコ)の頂上対決が行われるが、それ以降は動きが読み切れない状況といえる。

 村田は6月8日の会見で「(エンダム戦で)すごくいい経験をした。失うものは何もなかったが、ベルトを得られなかったことが残念」と話し、現役続行を宣言。まだ次戦のプランは出ていないが、年内には再起戦、あるいは再び大きな試合をする機会があるかもしれない。

 村田の再起宣言と前後して飛び込んできたのが、WBO暫定王者アフタンディル・クルツィゼ(38=ジョージア/米)逮捕の報だった。クルツィゼは4月の決定戦を制して暫定王者になったばかりで、7月8日にはWBO正王者のビリー・ジョー・サンダース(27=英)と英国で団体内の統一戦を行うことになっていた。しかし、犯罪組織の一員として米国内で逮捕されたことで渡英が不可能になり、試合は中止。WBOはクルツィゼから暫定王座を剥奪した。試合が宙に浮いたサンダースは9月に防衛戦を行いたいと話しているが、まだ相手は決まっていない。もともと村田陣営はサンダースと対戦交渉をしていたが、話がまとまらなかったためエンダム戦が決まった経緯がある。サンダース側は再び村田も候補のひとりとして考えているかもしれないが、9月の実現は難しい状況といえる。

 7月29日にはWBC1位のホルヘ・セバスチャン・ヘイランド(30=亜)と、2位のジャモール・チャーロ(27=米)が挑戦者決定戦を行うことになった。35戦29勝(16KO)4敗2分のヘイランドに対し、今年2月にIBF世界スーパーウエルター級王座を返上してミドル級に転向したチャーロは25戦全勝(19KO)と勢いがある。チャーロが断然有利のカードといえる。

 さらにIBFも1位のトゥレアノ・ジョンソン(33=バハマ/米 21戦20勝14KO1敗)と2位のセルゲイ・デレビャンチェンコ(31=露/米 10戦全勝8KO)で挑戦者決定戦を行うよう指示を出している。

 そして9月16日にはゴロフキン対アルバレスが行われる。現時点のオッズは3対2でゴロフキン有利と出ているが、万能型のアルバレスを推す声も多い。勝敗の行方そのものも興味深いが、試合後の動きにも注目が集まりそうだ。ゴロフキンが勝った場合は3団体の王座を返上してスーパーミドル級に転向するプランがあり、アルバレスが勝った場合も王座が分裂する可能性があるからだ。

 いずれにしても9月でゴロフキンの1強時代が終わることは確実とみられており、そのあとは戦国化が予想される。村田を含め誰が次の天下をとるのか、ミドル級トップ戦線から目が離せなくなってきそうだ。

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技巧のウォードvs強打のコバレフ 因縁のLヘビー級戦

 WBA、IBF、WBO3団体統一世界ライトヘビー級タイトルマッチが17日(日本時間18日)、米国ネバダ州ラスベガスで行われる。王者のアンドレ・ウォード(33=米)が前王者セルゲイ・コバレフ(34=露/米)と対戦するものだが、この両者は昨年11月に今回とは逆の立場で対戦してウォードが判定勝ちを収めている。しかし、物議をかもす採点だったため即再戦となった。04年のアテネ五輪で金メダルを獲得した実績を持つウォードの技巧が冴えるのか、それとも「クラッシャー(破壊者)」と呼ばれる強打者のコバレフが雪辱を果たすのか。

 昨年11月の試合ではコバレフが初回から圧力をかけ、2回には相手の出端に右のカウンターを決めてダウンを奪った。前半で圧倒的優位に立ったコバレフに対し、ウォードは中盤から徐々に流れを引き寄せ、微妙なラウンドを拾っていった。終盤になると疲労の色が濃くなったコバレフをコントロール。終わってみればジャッジ三者の採点は114対113で一致、ウォードが接戦を制するかたちになった。しかし、試合を見た人の8割ほどがコバレフの勝利を支持したため場内は騒然となり、敗者自身も「判定を盗まれた」と憤慨。今回の再戦はこうした流れのなかで行われるわけだ。

 04年アテネ五輪で金メダルを獲得しているウォードはスピードとスキルに富んだ技巧派として知られ、スーパーミドル級に加え先のコバレフ戦で2階級制覇を成し遂げている。31戦全勝(15KO)と重量級にしてはKO率は高くないが、アマ、プロを通じて96年以降は21年間も無敗をキープしている。初戦についてもウォードは「たしかに2回にはダウンを喫したが、3回以降は私がコントロールしていた。接戦だったとは思うが私の勝ちは当然だ」と話し、「今度も同じことが起こるだろう」と自信をみせる。

 一方のコバレフは32戦30勝(26KO)1敗1分という戦績が示すとおりの強打者で、ウォードに敗れるまでは8度の防衛を重ねていた。相手にプレッシャーをかけながら重量感のある右ストレートや連携の速い左フックなどで相手をキャンバスに沈めてきた。初戦に関しては「勝ったのは私だ」と主張しながらも「オーバーワーク気味で終盤は疲れた」とも明かしており、今回は調整にも万全を尽くしている様子だ。「彼は偽物のチャンピオン。制裁が必要だ。ベルトは返してもらう」と挑発したうえで、「今度こそ叩きのめしてやる」とKOでの王座奪還を誓っている。

 オッズは4対3でウォード有利と出ているが、コバレフの強打を推す声も多い。初戦同様、接戦になった場合はウォードが巧みにポイントを集めそうだが、コバレフのパワーが凌駕する可能性も十分にある。

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三浦隆司、亀海喜寛ら日本トップ選手たちの世界戦に注目

 7月から9月にかけて日本のトップ選手たちが相次いで米国で世界戦のリングに上がることになった。先頭を切るのは元WBC世界スーパー・フェザー級王者の三浦隆司(33=帝拳)で、7月15日(日本時間16日)、カリフォルニア州イングルウッドのフォーラムで同級王者、ミゲール・ベルチェルト(25=メキシコ)に挑む。日本人として9人目の世界王座海外奪取を成し遂げて勢いをつけたいところだ。

 三浦は13年4月に世界王座についたあとの初防衛戦をメキシコのカンクンで行い、ダウン応酬のすえ12回判定勝ち。次いで5度目の防衛戦を米国ネバダ州ラスベガスで行ったが、このときは9回TKO負けという結果に終わった。しかし、これもダウン応酬の打撃戦で、日本のみならず世界の各メディアが「2015年度の年間最高試合」に選ぶほどの激闘だった。これに加え今年1月にはカリフォルニア州インディオで世界王座への挑戦者決定戦に臨み、壮絶な打ち合いのすえ12回KO勝ちを収めている。この3試合で「タカシ・ミウラ」の名前は広く世界中のボクシングファンに知られるところとなっている。

 三浦の挑戦を受けるベルチェルトは32戦31勝(28KO)1敗の戦績を誇る25歳の強打者で、「アラクラン(サソリ)」の異名を持っている。今年1月に王座を獲得したばかりで、三浦戦が初防衛戦となる。

 この試合から42日後の8月26日(日本時間27日)、カリフォルニア州カーソンのスタブハブ・センターでは三浦のジムメート、亀海喜寛(34=帝拳)が元世界4階級制覇王者のミゲール・コット(36=プエルトリコ)とWBO世界スーパー・ウェルター級王座決定戦を行う。コットはフロイド・メイウェザー(米)やマニー・パッキャオ(比)らと拳を交えたこともあるビッグネームで、これが1年9カ月ぶりのリングとなる。亀海の不利は否めないが、勝てば世界王座とスターの座を射止めることになるだけにモチベーションは高いものがあるはずだ。亀海もラスベガスなど計8度、米国のリングで戦ったことがあり、こうした経験がプラスになると思われる。

 さらに、まだ正式決定はしていないが、WBO世界スーパー・フライ級王者の井上尚弥(24=大橋)も9月に米国西海岸で試合をする計画が進行中だ。6度目の防衛戦になることが濃厚で、井上自身も「本場のリングで認められれば世界のスター選手になれる」と意気込んでいる。

 かつて日本のトップ選手の多くが、海外の選手や関係者から「彼らは国外で戦おうとしない。過保護だ」と揶揄されてきたが、それも過去の話になるときがやってきたようだ。

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世界戦6試合で露呈したボクシング界が抱える問題とは

 今月20日に東京で3試合、名古屋で1試合、そして21日に東京で2試合、2日間に日本で世界戦が合計6試合行われた。アッサン・エンダム(33=カメルーン/仏)対村田諒太(31=帝拳)のWBAミドル級王座決定戦の判定結果は物議をかもし、スポーツの枠を超えて話題になってもいる。その騒動に隠れるかたちになっているが、2日間にボクシング界が抱える問題がいくつか露呈した点も見逃すわけにはいかない。採点競技としての危うさはもちろんのこと、団体間でルールの違いがあるなど国際的なスポーツ・エンターテインメントとして是正すべきことは多い。

 20日のトリプル世界戦では、フライ級の比嘉大吾(21=白井・具志堅)が6度のダウンを奪う6回TKOの圧勝でWBC王座を獲得したが、試合前日の計量でファン・エルナンデス(30=メキシコ)が体重オーバーのため失格するという失態を犯している。つい1カ月前には、大阪で行われたWBOバンタム級タイトルマッチでマーロン・タパレス(25=比)が大森将平(24=ウォズ)との防衛戦を前に同じ過ちを犯したばかりだ。2試合とも挑戦者が勝った場合は王座獲得という変則タイトルマッチとして挙行されたが、興ざめしたファンもいたはずだ。なによりもボクシングという体重制格闘技の信用を失墜した罪は重い。エルナンデスもタパレスも1階級上げて出直すことになったが、一定期間の出場停止処分を科すなど厳罰が必要ではないだろうか。

 20日に拳四朗(25=BMB)がWBCライトフライ級王座を獲得したため、この階級の主要4団体の世界王座を一時的にではあるが日本が独占することになった。「快挙」と喜ぶファンもいたが、そもそも同じ階級に世界王者が4人もいることの矛盾に目を向ける必要があるだろう。21日に八重樫東(34=大橋)がミラン・メリンド(29=比)に敗れて一角が崩れたが、メリンドを含む4王者で統一戦を計画してほしいものだ。

 団体によってルールが異なることに戸惑ったファンも少なくなかったようだ。たとえば20日のトリプル世界戦では拳四朗の試合では4回と8回終了時に途中採点が公開され、6回でけりがついた比嘉の試合も4回終了時には採点がアナウンスされた。しかし、直後に行われたエンダム対村田では試合終了時まで採点が公開されなかった。20日に名古屋で行われた田中恒成(21=畑中)のWBOライトフライ級王座の初防衛戦も途中採点の公開はなかった。これはWBCだけがオープン・スコアリング・システム(途中採点公開制)を採っているためだ。このシステムに関してはいまだに賛否両論があるが、速やかにどちらかに統一すべきであろう。

 個人的には公開制を推したい。観戦者に試合の優劣を知らせることで競技の見方を啓蒙することにもなり、一方ではジャッジに他者との見解の統一を図るチャンスを与えることにもなるからだ。エンダム対村田でも途中で採点が公開されていたら、と考えてしまう。8回終了時点ですでに村田はふたりのジャッジから1ポイント劣勢と採点されていたわけで、ここで採点が公開されていれば終盤は違った展開と結果になっていたかもしれない。もっともジャッジの力量が不足していたり視点がずれていたりした場合はどうにもならないのだが……。

 ボクシングにとっては多くの課題、問題点が浮き彫りになったわけだが、救いは村田が試合後に極めて大人の対応をとったことである。誰よりも主張したいことがあるはずの村田は負の感情を胸の奥にしまい込み、試合翌日にはエンダムと健闘を称え合い連絡先を交換したと伝えられる。五輪の金メダリストは、ひとりの人としても金メダリストであると強く感じさせられたしだいである。

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ブルックvsスペンス 勝者はパッキャオらと統一戦も

 マニー・パッキャオ(38=比)らスーパースターが集うウェルター級のIBF王者、ケル・ブルック(31=英)が27日(日本時間28日)、英国シェフィールドで1位の指名挑戦者、エロール・スペンス(27=米)を相手に4度目の防衛戦を行う。勝者がパッキャオを含む他団体王者との統一戦に駒を進める可能性があるだけに、要注目のカードといえる。

 ブルックは14年8月に王座を獲得し、3連続KO防衛を果たした。その勢いを駆って昨年9月にはWBA、WBC、IBF世界ミドル級王者、ゲンナディ・ゴロフキン(35=カザフスタン/米)に挑んだが、善戦したものの5回TKO負けを喫した。試合後には眼窩底骨折が判明し、手術。これが8カ月ぶりの再起戦となる。高い攻防技術を身につけた技巧派の強打者で、「スペシャル(特別な男)」というニックネームを持つ。戦績は37戦36勝(25KO)1敗。「私がスペンスとの対戦を避けるのではないかと予想した人が多いみたいだが、この試合でウェルター級で最強であることを証明するつもりだ」とブルックは話している。

 挑戦者のスペンスは12年ロンドン五輪ウェルター級ベスト8の実績を残したあとプロに転向。5年間で21戦全勝(18KO)のレコードを誇る。サウスポーの万能型強打者で、挑戦者決定戦を含めこのところ8連続KO勝ちと勢いを増している。「世界王者という長年の夢を実現するときがきた。ベルトを持ち帰るために100パーセント集中して戦う」と意気込んでいる。

 試合会場はブルックの地元、シェフィールドのブラモール・レイン・サッカー場で、チケットは最高600ポンド(8万7000円)と高額にもかかわらず当日は3万人の集客が見込まれている。

 ともにスピードがあるが、その点ではサウスポーのスペンスが一枚上か。ブルックは左ジャブで突き放し、相手が入ってくるタイミングに右ストレートを合わせないと苦しくなりそうだ。王者の地元での試合だが、オッズは3対2でスペンス有利と出ている。

 この試合が注目されるのは、両者の力量が高い次元で接近しているという理由からだけではない。勝者が他団体王者との統一戦に向かう可能性が高いことも関心を寄せられる一因とみられている。特に今年3月にWBAとWBCの王座を統一したキース・サーマン(28=米)がブルックとの試合を望んでおり、さらなる統一戦が期待されているのだ。一方、スペンスもサーマンとの対戦を希望していることから、27日の試合でどちらが勝っても3団体の統一戦の可能性が膨らむことになりそうだ。また、WBO王者のパッキャオも7月2日に防衛戦が決まっており、勝つことを前提に11月に次々戦が計画されている。そのタイミングで他団体王者との統一戦が浮上する可能性も十分にある。

 実力も知名度も高いスター選手同士が鎬を削るウェルター級トップ戦線。はたして誰が最後に笑うのか。まずは27日のブルック対スペンスに注目したい。

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元五輪王者ディアス 圧倒的不利覆し王座獲得なるか

 20日、ロンドン五輪ミドル級金メダリストの村田諒太(31=帝拳)がプロの世界王座に挑むが、同じ日に海の向こうでも元五輪王者が世界王座に挑戦する。米国ニューヨークのマジソン・スクエア・ガーデン(MSG)で行われるWBC、WBO世界スーパーライト級タイトルマッチで、08年北京五輪ライトウエルター級金メダリストのフェリックス・ディアス(33=ドミニカ共和国)が王者のテレンス・クロフォード(29=米)に挑むもの。14対1で不利という厳しいオッズが出ているディアスだが、この数字をもひっくり返すことができるか。

 ディアスは初めて出場した04年アテネ五輪ではライト級で初戦敗退という結果に終わったが、北京五輪では5試合を勝ち抜いて金メダルを獲得した。翌09年にプロ転向を果たし、8年間で20戦19勝(9KO)1敗の戦績を残している。この1敗は15年10月、現WBA世界ウェルター級王者のレイモント・ピーターソン(33=米)戦で判定を落としたものだが、その後は2連勝を収めている。自国のほか米国、ロシア、ドイツ、プエルトリコで戦うなど逞しい一面も持つが、裏返せばチームのマネージメント力、プロモート力の欠如と分析することもできる。大舞台に辿り着くまでに時間がかかったのは、そうした事情が関係しているともいえる。初の世界挑戦を前にディアスは「私を軽視している人たちに泡を吹かせてみせる」と意気込んでいる。

 そんなエリート挑戦者を迎え撃つクロフォードは、アマチュアの実績では及ばないもののプロではライト級とスーパーライト級の2階級を制覇しており、ディアスを圧倒している。右構えでも左構えでも戦える器用さを持っており、スピードもテクニックも特別クラスといえる。30戦全勝(21KO)と7割のKO率を誇り、「ハンター」のニックネームにたがわずパンチ力もある。WBO王者だった昨年7月にはWBC王者との統一戦に臨み、全勝の相手から2度のダウンを奪って完勝している。近い将来に6階級制覇王者のマニー・パッキャオ(38=比)との対戦が期待されているが、クロフォード有利の声が多いほどだ。

 そのため両選手のプロモーターを務めるトップランク社は、パッキャオの最後の試合としてクロフォード戦を計画しているとも伝えられる。

 元アマエリートがプロでもトップの座を射止めるのか、それともクロフォードが実力差を見せつけるのか。20日(日本時間21日)、MSGの戦いにも注目したい。

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ゴロフキンvsアルバレス、頂上対決が9月対戦で合意

 7年間に18度の防衛を重ねているWBA、WBC、IBF世界ミドル級王者、ゲンナディ・ゴロフキン(35=カザフスタン/米)と、6日(日本時間7日)にフリオ・セサール・チャベス・ジュニア(31=メキシコ)を一方的に下したWBO(世界ボクシング機構)スーパーウエルター級王者、サウル・カネロ・アルバレス(26=メキシコ)の頂上対決が9月16日に行われることになった。チャベス戦直後のリング上でアルバレスとゴロフキンのふたりが対戦合意に達したことを明かしたもの。開催地は確定していないが、ラスベガスが有力とみられている。

 ジャッジ三者が120対108と採点するほどの圧勝を収めた直後、「次は誰と戦うのか」と聞かれたアルバレスは「ゴロフキン、どこにいるんだ?」とライバルに呼びかけた。すでに演出が決まっていたのか、リングサイドで観戦していたゴロフキンは会場の後方に移動しており、そこから歩いてリングインしてアルバレスと並んだ。マイクを向けられたゴロフキンが「カネロ、おめでとう」と声をかけると、アルバレスは「私はプロなんだから誰とでも戦う。恐怖心? それは生まれたときに忘れた。試合を楽しみにしている」と答えた。ゴロフキンも「きょうは素晴らしい試合だったが、これから先はそうはいかない」とやんわりと挑発するなど、早くも心理戦が始まっている。

 この両者は昨年9月に対戦が期待されたが、当時はWBCミドル級王者だったアルバレス側が回避。王座を返上して1階級下のスーパーウエルター級に移った経緯がある。そのあと9月に両者は別々の試合でTKO勝ちを飾り、さらにゴロフキンは今年3月に判定勝ちを収めて防衛回数を18に伸ばしている。ゴロフキンには6月にWBO王者との統一戦の計画もあったが、これを見送ってアルバレス戦を優先させることにしたようだ。

 04年アテネ五輪で銀メダルを獲得後にプロ転向を果たしたゴロフキンは37戦全勝(33KO)の戦績が示すとおりの強打者で、トップ選手たちからは畏怖の念を抱かれている。スパーリングで手合わせした経験を持つ12年ロンドン五輪金メダリストで、20日に世界挑戦を控えている村田諒太(31=帝拳)が「アマチュア、プロを通じて手合わせした選手のなかで最もパンチが強い。特に左のジャブとフックは硬さと重さが異質」と驚いたほどだ。

 一方、2階級制覇のアルバレスも51戦49勝(34KO)1敗1分という豊富なキャリアを持つ万能型で、右ストレートや左フックには一撃で相手を沈める破壊力がある。体格ではゴロフキンに劣るが、先のチャベス・ジュニア戦では身長とリーチで10センチ勝る相手を完封、自信を増しているはずだ。

 ともに強打が売りの攻撃型だけに、KO決着が約束されたカードといえる。試合は4カ月以上も先だというのに早くもオッズが出ており、現時点では3対2でゴロフキン有利とみられている。

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チャベス・ジュニアが番狂わせ起こすか アルバレスと対戦

 6日(日本時間7日)、米国ネバダ州ラスベガスでWBO世界スーパーウエルター級王者、サウル・カネロ・アルバレス(26)対元WBC世界ミドル級王者、フリオ・セサール・チャベス・ジュニア(31)というメキシコのスター選手同士の12回戦が行われる。ノンタイトル戦にもかかわらず発売直後に2万枚以上のチケットが完売になったほどの人気カードだ。本来ならば2階級異なる両者だが、今回は中間の164・5ポンド(約74・6キロ)の契約体重で行われる。

 アルバレスは20歳のときにWBC世界スーパーウエルター級(-69・8キロ)王座を獲得し、15年にはミドル級(-72・5キロ)でも戴冠を果たした。しかし、ベスト体重が70キロ前後のためミドル級時代も70・3キロの契約体重で戦っていた。現在の王座は昨年9月に獲得したもので、本来のクラスに戻ったともいえる。26歳と若いが、15歳でプロデビューしたためキャリアは12年に及び、試合数も50戦(48勝34KO1敗1分)と多い。唯一の敗北は4年前にフロイド・メイウェザー(米)に喫した(判定負け)ものだが、以後は6連勝(4KO)と完全に復調している。

 特に昨年は右一発で元世界王者のアミール・カーン(英)を失神KOで屠ったほか、9月の戴冠試合ではボディブローなどで3度のダウンを奪うなど圧倒的な強さを見せつけている。

 これに対し、世界3階級制覇王者(フリオ・セサール・チャベス)の息子としても知られるチャベス・ジュニアは、14年のプロキャリアで54戦50勝(32KO)2敗1分1無効試合という戦績を残している。11年から12年にかけてWBC世界ミドル級王座を3度防衛し、当時は偉大な父親の伝説を継承しつつあった。しかし、4度目の防衛戦で敗れて王座を失い、ドーピング違反も発覚して躓いた。以後は5年間に5戦(4勝1敗)と試合ペースが落ち、拙戦が目立つ。ベスト体重は76キロ~78キロに増えたが、それでも計量でオーバーする失態を犯したこともある。負傷も増え、父親から「やる気がないなら引退しろ!」と叱咤されたこともあった。こうしたなかで今回のアルバレス戦が決まったわけだ。

 両選手の近況や総合的な戦力を考えればアルバレス有利は絶対的なものといえる。スピードで圧倒したすえ右ストレートやボディブローなどでダメージを与えて中盤あたりでレフェリー・ストップに持ち込むというのが大方の見方だ。オッズは11対2でアルバレス有利と出ている。しかし、今回はベスト体重から4キロ以上も増量するうえ、チャベス・ジュニアが身長で10センチ、本来の体重では6キロ以上も重いことを考えると、アルバレスの理想どおりにことが運ぶかどうかは疑問だ。チャベス・ジュニアが体格を生かしてクリンチやもみ合いの多い乱戦に引きずりこみ、アルバレスの体力、スタミナを削いでしまう可能性もある。

 ミドル級3団体王者、ゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン/アメリカ)とのスーパーファイトが9月に計画されているアルバレスが順当に勝利を収めるのか、それともチャベス・ジュニアが番狂わせを起こして新たな伝説をスタートさせるのか。世界タイトルはかからないが、極めて興味深いカードだ。

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ジョシュアvsクリチコ 戦いを制するのは経験か若さか

 IBF世界ヘビー級王者、アンソニー・ジョシュア(27=英)対元王者で現WBA&WBO2位、IBF3位、ウラジミール・クリチコ(41=ウクライナ)のタイトルマッチは29日(日本時間30日)、英国ロンドンのウェンブリー・スタジアムで行われる。ともに五輪のスーパーヘビー級金メダリストだが、ジョシュアが12年ロンドン、クリチコが96年アトランタと4大会のズレがある。プロ18戦全KO勝ちのジョシュアがスピードと勢いで圧倒するのか、それとも経験で大きく勝るクリチコが貫録を示すのか。9万枚のチケットが完売になったほどの注目カード、世代間の戦いを制するのは-。

 ジョシュアは地元で開催された五輪を制した翌13年にプロデビューを果たし、英連邦王座や英国王座などを獲得後、昨年4月に世界王座を手に入れた。プロでのキャリアはわずか3年半、18試合で戦った総ラウンド数も44と少ないが、その素質は高く評価されている。3年前にスパーリングでジョシュアと手合わせしたクリチコ自身が「彼はまだまだ勉強が必要だが、潜在能力は高い。いずれトップ戦線に躍り出てくるだろう」と予測したほどだ。

 ジョシュアの最大の武器はスピードで、この点ではヘビー級でトップといっていいだろう。左ジャブから繋ぐ決め手の右ストレートも速いうえ破壊力がある。ただ、まだ経験が浅いことは否めず、最長でも7回までしか戦ったことがない。それほど圧倒的な勝ち方をしてきたことの裏返しでもあるが、クリチコが12回を8度もフルに戦いきっていることを考えると不安要素といえる。

 そのクリチコはプロキャリア20年、68戦64勝(53KO)4敗の戦績を残している大ベテランだ。世界戦だけでも28戦(25勝19KO3敗)を経験しており、第二次政権では9年半に18度の防衛をマークしている。「スティール・ハンマー」の異名があり、左ジャブで距離とタイミングを計ってから繰り出す右ストレートが最大の武器だ。ただ、41歳という年齢とともに15年11月の王座陥落後は試合から遠ざかっており、コンディション調整が気になる。試合が決まった際、クリチコは「今回の試合がジョシュアにとって実現が早過ぎたのか、それとも私にとって遅過ぎたのか、それは4月29日に分かるだろう」と俯瞰した見方をしたうえで「多くの場合、経験は若さに勝るものだ」と自信をみせた。

 体格はジョシュアが身長198センチ/リーチ208センチ/体重約113キロ、クリチコが198センチ/206センチ/約111・5キロと互角だ。ともに左ジャブから突破口を開くタイプだけに、序盤のリードブローの巧拙が勝負のカギを握りそうだ。スピードと勢いで勝るジョシュアが2対1のオッズで有利とみられており、前半で一気にけりをつけてしまう可能性もある。その一方、勝負が長引いた場合は経験で勝るクリチコが優位に立ちそうだ。

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「戦う上院議員」パッキャオの初防衛戦が7月2日に決定

 6階級制覇の実績を持つスーパースター、WBO世界ウエルター級王者、マニー・パッキャオ(38=比)の初防衛戦が7月2日、オーストラリアのブリスベンで行われることが決定した。相手はWBO2位にランクされるジェフ・ホーン(29=オーストラリア)。パッキャオにとっては昨年11月に王座を奪回してから8カ月ぶりの試合となる。

 もともとパッキャオは4月23日にホーンとブリスベンで戦う計画だったが、契約直前にUAE(アラブ首長国連邦)の投資家から「元世界王者のアミール・カーン(英)と戦うなら3800万ドル(約42億円)の資金を用意する」というオファーが舞い込んだ。そのため一時は「パッキャオ対カーンは5月、UAEで開催」という可能性が高まったが、結局、このプランは白紙になった。これを受けパッキャオ対ホーンが再浮上したという経緯がある。パッキャオのプロモートを15年以上も担当しているトップランク社は10日、試合決定を正式にアナウンスした。ブリスベンでは30億円近い経済効果が見込めるとして大歓迎の様子だ。

 19キロの体重の壁を乗り越えてフライ級からスーパーウエルター級までの10階級のうち6階級で世界王座を獲得しているパッキャオは、昨年4月の試合を最後に一度は引退。5月にはフィリピンの上院議員選挙に出馬して当選した。その後、カムバックして11月に現在の王座を獲得した。09年11月の試合を最後に12試合もKO勝ちから遠ざかっているが、攻撃的でエキサイティングなボクシングは依然として人気があり、世界的な知名度も高い。67戦59勝(38KO)6敗3分。

 そんなスーパースターと拳を交えるホーンは、12年ロンドン五輪に出場してライトウエルター級でベスト8に入った実績を持っている。13年3月のプロデビュー後はニュージーランドとオーストラリアで計17戦を行い、16勝(11KO)1分の戦績を残している。直近の試合は昨年12月で、世界ランカー同士の一戦で先にダウンを喫しながら逆転、6回TKO勝ちを収めている。ホーンは「パッキャオが強いことは知っているが、もう彼の時代ではない」と強気なコメントを発している。

 会場は5万5000人の収容が可能なサンコープ・スタジアムが予定されており、当日は満員になることが確実視されている。

 このホーン戦を機にパッキャオは世界ツアーを予定しており、すでに英国やロシアなどからオファーが来ているという。「戦う上院議員」から目が離せない状況はまだまだ続きそうだ。

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注目のロマチェンコ防衛戦、結果次第でライト級進出も

 五輪連覇、プロ3戦目で世界王座獲得、7戦目で2階級制覇と、驚異的な歩みをみせる天才サウスポー、WBO世界スーパーフェザー級王者のワシル・ロマチェンコ(29=ウクライナ/米)が4月8日(日本時間9日)、米国メリーランド州オクソンヒルで前WBA王者、ジェイソン・ソーサ(29=米)の挑戦を受ける。「ハイテク」というニックネームを持つロマチェンコがどんなパフォーマンスをみせるのか要注目だ。

 3月18日に4階級制覇王者のローマン・ゴンサレス(29=ニカラグア)が敗れ、同じ日にミドル級王座の18度目の防衛に成功したゲンナディ・ゴロフキン(34=カザフスタン/米)にも陰りがみえるなか、いまやロマチェンコは体重同一と仮定した最強ランキング、パウンド・フォー・パウンドのトップに躍り出そうな勢いだ。しかもプロキャリアは3年半、わずか8戦(7勝5KO1敗)で極めて高い評価を得ているのだから驚きである。

 ロマチェンコは08年北京五輪、12年ロンドン五輪で金メダルを獲得したほか世界選手権でも2度優勝している。アマチュア戦績に関しては諸説あるものの397戦396勝1敗が通説となっている。13年10月のプロデビュー戦では世界ランカーを一蹴。2戦目で世界挑戦したが、このときは体重オーバーの相手を警戒して中盤までセーブしたのが響いて僅差の判定で敗れた。

 しかし、史上最短タイの3戦目でWBO世界フェザー級王座を獲得すると、あとは手がつけられない強さをみせつけている。昨年6月には7戦目でWBO世界スーパーフェザー級王座を獲得し、井上尚弥(23=大橋)の持つ記録(8戦目で2階級制覇)を更新した。圧巻は昨年11月の初防衛戦だ。5階級制覇王者のノニト・ドネア(34=比/米)を倒して高い評価を得ていた無敗の元WBA世界フェザー級王者、ニコラス・ウォータース(31=ジャマイカ)をスピードとテクニックで翻弄、何もさせずに7回終了で棄権に追い込んだのだ。

 そんなロマチェンコに挑むソーサは昨年6月にWBA王座を獲得し、11月には初防衛にも成功したが、今回の試合が決まったため王座を返上した。戦績は25戦20勝(15KO)1敗4分だが、直近の16戦に限っては15勝(14KO)1分と極めて高いKO率を誇る。ソーサは「高い評価のチャンピオンと対戦できて光栄だ。そんな選手をどう攻略するのか、じっくりと見てほしい」と自信をみせている。

 しかし、プロモーターのボブ・アラム氏は「ソーサは力のある選手だから面白い試合にはなるだろうが、ロマチェンコに勝つのは難しい」と王者の勝利を予想している。それを裏づけるようにオッズも12対1でロマチェンコの圧倒的有利と出ている。

 この試合に勝つことを前提にライト級進出も視野に入れているロマチェンコの戦いぶり、そして結果に注目したい。

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群雄割拠のライト級トップ戦線 個性的な猛者たち

 25日に英国マンチェスターで行われたWBA世界ライト級タイトルマッチ、王者ホルヘ・リナレス(31=帝拳)対前WBA王者アンソニー・クロラ(30=英)の12回戦は、7回にダウンを奪ったリナレスが判定で圧勝した。特別な王者に与えられるWBCのダイヤモンド王座保持者でもあるリナレスには、次戦でWBC王者のミゲール・マイキー・ガルシア(29=米)との対戦が待っている。実現すれば3階級制覇王者同士のカードとなる。そのほかにもライト級には個性的な猛者が数多くおり、群雄割拠の様相を呈してきた。

 クロラを圧倒してWBA王座の初防衛を果たしたリナレスはスピードとスキル、強打を併せ持った万能型で、戦績は45戦42勝(27KO)3敗。これに対しガルシアは36戦全勝(30KO)という完璧なレコードを残している。今年1月に3階級制覇を成し遂げた試合では右アッパーから右ストレートで相手を失神させており、パンチ力には絶対の自信を持っている。WBCが両者の対戦をオーダーしており、早ければ夏には実現する可能性が高い。

 IBF王者のロバート・イースター(26=米)も勢いがある。61.2キロが体重上限のライト級では180センチと長身で、リーチは193センチもある。その特大サイズの恵まれた体格から左ジャブを突き、好機には右ストレートや右アッパーを繰り出して仕留めるタイプだ。戦績は19戦全勝(14KO)。昨年9月に王座を獲得し、今年1月には初防衛を果たしている。

 WBO王者のテリー・フラナガン(27=英)も32戦全勝(13KO)とプロでは負け知らずのサウスポーだ。15年7月に王座を獲得し、すでに4度の防衛に成功している。派手さはないが、攻防ともに安定感のあるタイプといえる。4月8日に5度目の防衛戦が決まっているが、その先の計画としてリナレスとの対戦希望を口にしている。

 そのフラナガンへの指名挑戦権を持つ12年ロンドン五輪戦士、フェリックス・ベルデホ(23=プエルトリコ)も力をつけてきた。23戦全勝(15KO)。6月10日に次戦が計画されているが、それがフラナガンへの挑戦になるかどうか注目される。

 12年ロンドン五輪バンタム級金メダリストのサウスポー、ルーク・キャンベル(29=英)にも注目したい。15年12月にプロで初の敗北を喫したが、その後は強豪相手に4連勝(3KO)と復調している。17戦16勝(13KO)1敗。遠からず勝負に出そうだ。

 さらに五輪連覇、プロ3戦で世界王座獲得、7戦目で2階級制覇を成し遂げた天才サウスポー、WBO世界スーパーフェザー級王者のワシル・ロマチェンコ(29=ウクライナ 8戦7勝5KO1敗)もライト級参入を狙っている。4月8日に2度目の防衛戦が決まっており、これをクリアすることが前提になるが、近い将来、リナレスやガルシアとの対戦が実現する可能性は高いといえる。リナレス自身、クロラを退けたリング上で「ガルシアやロマチェンコと戦いたい」とコメントしている。

 この1年で主要4団体のうちWBA、WBC、IBFで王座の持ち主が変わったライト級トップ戦線。はたして来年のいまごろはどんなメンバーが王座に君臨しているのだろうか。

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返り討ちか、雪辱か リナレスとクロラの再戦に注目

 3階級制覇の実績を持つWBA世界ライト級王者、ホルヘ・リナレス(31=帝拳)が25日(日本時間26日)、英国マンチェスターで地元の人気者、前WBA王者で現4位のアンソニー・クロラ(30=英)を相手に初防衛戦に臨む。両者は昨年9月、今回と同じ会場、マンチェスター・アリーナで拳を交え、当時、WBC級王者だったリナレスが12回判定勝ちを収め、WBA王座を獲得するとともにWBCからはダイヤモンド王者の称号を授かった。半年後の再戦はどちらに凱歌が挙がるのか。

 ベネズエラ生まれのリナレスは02年、17歳のときに日本でプロデビューし、以後は華やかなスター街道を歩んだ。21歳でWBC世界フェザー級王座を獲得し、23歳のときにはWBA世界スーパー・フェザー級王座も獲得した。このときの戦績は26戦全勝(17KO)だった。日本のほか故国ベネズエラ、パナマ、アルゼンチン、韓国、米国、メキシコで戦うなど見た目の線の細さとは裏腹に逞しい歩みといえた。

 ところが、09年10月に不覚の1回TKO負けを喫してWBAスーパー・フェザー級王座を失うと、11年、12年に米国、メキシコで連続TKO負け、スランプに陥った。

 7カ月の休養後に戦線復帰を果たすと、勢いを取り戻した。14年には日本でWBC世界ライト級王座を獲得し、3階級制覇を達成。初防衛戦を英国、V2戦をパナマで行うなど場所を気にせず戦って地力を発揮。昨年は右拳を骨折したため休養王者にスライドさせられたが、9月のクロラ戦で実力をみせつけた。

 そのクロラとの初戦は接戦で、中盤にリナレスが右でKOチャンスを掴んだものの拳を痛めて目的は果たせなかった。それでも勝負どころの10回、11回、12回をしっかりと抑え、敵地で勝利のコールを受けたのだった。

 雪辱と王座奪回を狙うクロラは、かつて隣家に押し入った強盗に立ち向かい、ブロックで頭部や足を殴られて瀕死の重傷を負ったことがある“正義の人”でもある。15年11月にWBA王座を獲得した試合と初防衛戦は、いずれもボディブローでKO勝ちしており、マンチェスターでは人気がある。器用なタイプではなく、ガードを固めて距離を潰して根気強く勝負するタイプだ。

 スピード、パンチの破壊力、テクニックなど個々の戦力ではリナレスがほとんど上回るが、打たれ脆い点が唯一の泣きどころといえる。戦績はリナレスが44戦41勝(27KO)3敗、クロラが39戦31勝(13KO)5敗3分。

 初戦のオッズは3対2でクロラ有利だったが、リナレスの勝利を経て行われる再戦は11対5で現王者有利と出ている。再戦が決まった直後、リナレスは「今度も私が勝つよ。チャンスがあれば今度こそ倒したいね」と日本語で意気込みを口にしたものだった。

 返り討ちか、それとも雪辱か。日本時間26日早朝、マンチェスターのリングに注目だ。

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軽量級の主役ゴンサレス、初防衛戦はシーサケットと

 井上尚弥(23=大橋)がWBO王座に君臨するスーパーフライ級で、WBCのベルトを持つローマン・ゴンサレス(29=ニカラグア)が18日(日本時間19日)、米国ニューヨークのマジソン・スクエア・ガーデンで2代前のWBC王者、シーサケット・ソールンビサイ(30=タイ)を相手に初防衛戦に臨む。軽量級シーンの主役、ゴンサレスがどんな試合をするのか注目される。

 ゴンサレスはアマチュアで89戦88勝1敗のレコードを残した。この1敗も「判定を盗まれたもの」(ゴンサレス)という。05年7月に18歳でプロデビューし、KOの山を築いていった。初めて日本のリングに上がったのはデビューから14連続KO勝ちのときで、ここでも世界ランカーを1回で沈めて驚嘆させた。08年には新井田豊(横浜光)の持つWBA世界ミニマム級王座に挑んで4回TKO勝ち、21歳で頂点を極めた。その後、ライトフライ級、フライ級と階級を上げて世界制覇を成し遂げ、昨年9月に36戦無敗のカルロス・クアドラス(28=メキシコ)を破って現在の王座を獲得した。4階級制覇はゴンサレスが師と仰ぐニカラグアの英雄、アレクシス・アルゲリョ(故人)の3階級制覇を上回る記録だ。

 ゴンサレスは左右の強打を間断なくボディ、顔面に打ち分ける攻撃的な選手で、防御技術にも長けている。井上も「すべての面でずば抜けている。欠点は見当たらない」と舌を巻くほどだ。戦績も46戦全勝(38KO)とパーフェクトだ。

 シーサケットも強打という点では負けていない。09年3月のデビュー戦から5戦目までは1勝3敗1分と振るわなかったが、以後の41戦は40勝(37KO)1敗というレコードを残している。この1敗も敵地メキシコでクアドラスに8回負傷判定で惜敗したもので、競った内容だった。その後は14連勝、13連続KO中と勢いがある。サウスポーのシーサケットは前傾姿勢で相手との距離を詰め、踏み込んで左右を強振するタイプで、中間距離での打撃戦を好む。日本のファンには、間合いを計るのが巧みな佐藤洋太(協栄)をロープからコーナーに追い詰めて攻め落とし、戴冠を果たした試合(8回TKO勝ち)が印象深いのではないだろうか。通算戦績は46戦41勝(38KO)4敗1分で、83パーセントのKO率はゴンサレスと同じだ。ちなみに12戦全勝(10KO)の井上のKO率も83パーセントだ。

 右構えと左構えの違いはあるが、ともに攻撃型だけに序盤からスリリングな打撃戦になりそうだ。パンチの連携や正確さ、攻防の幅で勝るゴンサレス有利は絶対的なものといえるが、シーサケットのパワーに手を焼く可能性もある。井上は「7対3でゴンサレス有利だが、リスクもある。どちらが倒れてもおかしくないカード」と話し、ライバルの戦いを注目している。

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ゴロフキン、18連続KO防衛で34年ぶり記録更新なるか

 ミドル級のWBAスーパー王座とWBC王座、IBF王座に君臨する王者、ゲンナディ・ゴロフキン(34=カザフスタン/米)と、WBAのレギュラー王者、ダニエル・ジェイコブス(30=米)の世界王者同士の一戦が18日(日本時間19日)、米国ニューヨークのマジソン・スクエア・ガーデン(MSG)で行われる。36戦全勝(33KO)のゴロフキン、33戦32勝(29KO)1敗のジェイコブス。KO決着確実の注目カードだ。

 ゴロフキンは戦績が示すとおりの強打者で、世界王座を獲得した試合を含めて18度の世界戦すべてをKOで終わらせている。17連続KO防衛は歴代トップに並ぶ数字で、今度もKOで片づけるようだと34年ぶりに記録を更新することになる。ちなみに世界戦前からの連続KO勝ちは23まで伸びている。防衛戦の決着ラウンドはまちまちで、1回で終わらせた試合もあれば7回や8回のKOもある。10回、11回という長丁場もあり、スタミナにも問題がないことを証明している。ゴロフキンのトレーニング・キャンプに参加してスパーリングで拳を交えたこともある村田諒太(31=帝拳)は「固いもので殴られたような感じ。特に左ジャブと左フックは異質」と話している。

 相手にとって厄介なのは、ゴロフキンが単なる強打者ではないという点だ。アマチュア時代に04年アテネ五輪ミドル級で銀メダルを獲得したほか03年の世界選手権では優勝するなど、テクニックの面でも秀でているのである。

 そんな絶対王者と拳を交えるジェイコブスも現代を代表するハードパンチャーだが、こちらは瞬間的なスピードとパンチの切れに定評がある。全米王者になるなどジェイコブスもアマチュア経験が豊富で、技術レベルも高い。また、10年7月に初の世界戦で5回TKO負けを喫し、その翌年には骨肉腫であることが判明するなど厳しい時期もあったが、それらを乗り越えて世界王座を獲得した不屈の戦士としても知られる。ニックネームは「ミラクルマン」だ。世界王座は14年8月に獲得し、4連続KO防衛を果たしている。初の世界戦やV2戦ではダウンを喫するなど耐久力に課題を抱えている。アマ、プロを通じて一度もダウン経験がないというゴロフキンとは対照的といえる。

 6対1というオッズが出ているように、ゴロフキンのKO勝ちを推す声が多いのは事実だ。順当にいけばゴロフキンが左ジャブであおり、ハンマーのような左右フックで沈めてしまうだろう。番狂わせが起こるとしたらジェイコブスのスピードのある右ストレート、切れのある左フックが命中した場合だろう。

 KO率92パーセントのゴロフキン、88パーセントのジェイコブス。スリリングな試合が期待できそうだ。

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サーマンvsガルシア 近未来左右する無敗王者対決

 28戦27勝(22KO)1無効試合の戦績を誇るWBA世界ウエルター級王者、キース・サーマン(28=米)と33戦全勝(19KO)のWBC同級王者、ダニー・ガルシア(28=米)が4日(日本時間5日)、米国ニューヨークのバークレイズ・センターで対戦する。試合はウエルター級王座統一戦として行われる。注目度の高い無敗の王者対決を制するのはサーマンか、それともガルシアか。

 147ポンド(約66・6キロ)を体重リミットとするウエルター級は欧米を中心に選手層が厚いことで知られ、現在も主要4団体のひとつ、WBOの王座には世界的なスター選手、マニー・パッキャオ(38=比)が君臨している。サーマンもガルシアも実績や知名度ではパッキャオに及ばないが、総合力では決して引けをとってはいない。将来性を加味して考えれば10歳若い彼らの方が上とみることもできる。それだけに今回の統一戦はウエルター級の近未来を左右する試合といってもいいだろう。

 サーマンは足をつかって距離を保ちながら戦うこともあれば、中間距離で自慢の強打を叩き込む好戦的な戦いもできる。スピードとパワー、テクニックに秀でた万能型で、流れを読む術にも長けている。13年7月にWBAの暫定王座を獲得し、正王者から現在はスーパー王者の称号を持つ。この間、元王者らを相手に6度の防衛に成功している。

 対するガルシアは5年前に1階級下のスーパーライト級で世界王座を獲得した実績を持ち、5度防衛後に返上してウエルター級に転向してきた。昨年1月に現在の王座を獲得し、ノンタイトル戦を経て今回の統一戦に臨む。SWIFT(俊敏な男)というニックネームを持ち、独特のタイミングで繰り出す左フックの強打に定評がある。こちらも2階級で計7度の世界戦を経験している。世界戦で拳を交えたのべ7人がすべて元、現、のちの世界王者である点は特筆に値しよう。

 無敗の王者同士の統一戦だが、オッズは2対1でサーマン有利と出ている。体格やパワーの点でアドバンテージがあるとみられているようだ。そのサーマンは「ガルシアの左フックには気をつけて戦うが、彼は中盤以降にペースが落ちるのでそこが狙い目。どんな展開になっても勝つ自信はある」と後半勝負を示唆している。これに対しガルシアは「私の方が彼よりも優れていると思う。私こそが真の王者だ。もちろん勝つ自信がある」と話している。

 群雄割拠のウエルター級でWBAとWBCの王座をひとつにまとめるのはサーマンなのか、それともガルシアなのか。

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ワイルダー5度目防衛戦は異色の経歴のワシントンと

 08年にプロデビューしてから37戦全勝(36KO)という驚異的なレコードを残しているWBC世界ヘビー級王者、デオンタイ・ワイルダー(31=米)の5度目の防衛戦が25日(日本時間26日)、同級8位のジェラルド・ワシントン(34=米)を相手に米国アラバマ州バーミンガムで行われる。挑戦が予定されていた選手がドーピング違反で失格になったため、試合まで1カ月を切ってから代役が決定するという慌ただしい状況だったが、ワイルダーは「地元ファンにすごい試合をみせる」と自信満々だ。

 もともとワイルダーはアンドレイ・ワウルジク(29=ポーランド)を相手にV5戦を行う予定だったが、1月中旬に行ったVADA(任意の反ドーピング協会)の抜き打ち検査でワウルジクのドーピング違反が発覚。そのためWBCはワウルジクの挑戦資格を剥奪し、ランキングからも除外してしまった。1月下旬のことである。

 試合を1カ月後に控えテレビ放送も決まっていたワイルダー陣営は相手探しに奔走したが、短い準備期間でKO率97パーセント超の豪腕と対戦しようという自信家はなかなか見つからなかった。そんななかワシントンが挑戦に名乗りをあげたという経緯がある。

 このワシントンは少年時代にテニスに親しみ、18歳から22歳までは米国海軍のヘリコプター整備士として働いた経歴を持つ。さらに整備士をやめたあとは大学に入ってフットボール選手として活躍したという異色選手だ。その後、12年7月にボクサーとしてプロデビューし、これまで19戦18勝(12KO)1分と無敗を保っている。身長198センチ、リーチ208センチ、体重は約110キロと大柄で、身長201センチ、リーチ211センチ、体重104キロ前後の王者と比べても体格では引けをとらない。ワイルダーほどの迫力はないものの左で相手をコントロールしておいて狙い撃つ右は破壊力がある。KO勝ちの多くはこの右を叩き込んで相手を沈めたものだ。昨年7月にはワイルダーのV4戦の前座で4回KO勝ちを収めており、世界戦の雰囲気は肌で感じとっている。「ワイルダーの地元に乗り込むことになるが、それが私の意欲を掻き立てている。前回と同じようにKOで勝って帰ってくるつもりだ」と意欲をみせている。

 しかし、圧倒的な攻撃力とスピードを備えているワイルダーを攻め落とすことは難しいとみられており、オッズは12対1で王者有利と出ている。主要4団体の王座統一を目標に掲げているワイルダーとしては、4月に防衛戦を控えるWBO王者のジョセフ・パーカー(25=ニュージーランド/米)とIBF王者のアンソニー・ジョシュア(27=英)よりひと足早く勝利を収め、ライバルたちに圧力をかけたいところだ。今回はKO防衛がノルマといえるだろう。

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ピーターソン、ボクサー生命を左右する重要な一戦に臨む

 少年時代に路上生活を送るなど波瀾万丈の半生を歩んできた元WBA、IBF世界スーパーライト級王者、レイモント・ピーターソン(33=米)が18日(日本時間19日)、米国オハイオ州シンシナティで2階級制覇を狙ってWBA世界ウェルター級暫定王者、ダビド・アバネシャン(28=露)に挑む。浮き沈みの激しいストーリーに、もうひとつ栄光を追加することができるか。

 ピーターソンは1984年1月に米国の首都ワシントンDCで生まれたが、幼少時に父親が収監され、やがて母親も蒸発。そのためピーターソンは1歳下の弟アンソニーとともに路上生活を送らなければならなかった。10歳のとき、ボクシング・トレーナーのバリー・ハンター氏が援助の手を差しのべるまで過酷な生活は数年続いたという。

 その後、ハンター氏が親代わりとなった。同氏は兄弟にボクシングの才能があることを見抜き、トレーニングを勧めたところふたりは驚くほどの成長をみせた。01年に兄のレイモントが全米ゴールデン・グローブ大会ライト級で優勝すると、03年には1階級上のライトウエルター級で全米選手権を制覇。同じ03年、アンソニーも全米ゴールデン・グローブ大会ライト級を制覇するなど兄弟で輝かしい実績を残した。

 ふたりは04年9月、同じリングで揃って1回TKO勝ちを収めてプロデビューを飾った。その後、レイモントは27連勝、アンソニーは30連勝を収めるなどプロでも歩みは順調だった。この間、兄はWBO世界スーパーライト級暫定王座を奪取し、弟は北米ライト級王座を獲得している。

 しかし、09年に兄が初黒星を喫して暫定王座を失うと翌10年には弟も初の敗北を経験、ここでも兄弟は足並みを揃えることになった。

 以後、弟が7連勝(4KO)を収めているのとは対照的に、兄のピーターソンの波瀾は続く。11年にWBA、IBF世界スーパーライト級王座を獲得すると、3度防衛後に団体の指名戦を拒否したため王座を剥奪され、さらにウェルター級進出をかけた試合では判定負けを喫してしまう。したがって再起戦を挟んで臨む今回の試合は、ボクサー生命を左右する重要な一戦といえる。戦績は38戦34勝(17KO)3敗1分。

 暫定王者のアバネシャン(24戦22勝11KO1敗1分)は世界的な知名度は低いが、昨年5月には元世界3階級制覇王者のシェーン・モズリー(米)に判定勝ちを収めて自信を深めている。当然のことながらピーターソンにとって楽観視できない相手といえる。

 ピーターソンを待ち受けるのは再びの栄光なのか、それともさらなる挫折なのだろうか。

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大注目のジョシュア対クリチコ、チケット9万枚が完売状態

 18戦全KO勝ちのIBF世界ヘビー級王者、アンソニー・ジョシュア(27=英)対元WBA、IBF、WBO同級王者のウラジミール・クリチコ(40=ウクライナ)のタイトルマッチ12回戦は4月29日、英国ロンドンのウェンブリー・スタジアムで行われることになっているが、用意された9万枚のチケットがすでに完売状態となっている。ジョシュア人気に加え、若さ対経験という分かりやすい構図がファンの興味をひきつけているようだ。

 ジョシュアは12年ロンドン五輪スーパーヘビー級の金メダリストで、13年10月のプロ転向から18戦すべてを規定ラウンド内で片づけてきた。世界王座は昨年4月に獲得し、すでに2度の防衛を記録している。身長198センチ、リーチ208センチという恵まれた体格から速い左ジャブで煽り、踏み込んで右ストレートを打ち抜く正統派の強打者だ。

 一方のクリチコは96年アトランタ五輪のスーパーヘビー級金メダリストで、プロ転向から20年で68戦64勝(53KO)4敗のレコードを残している。2度の戴冠実績を持ち、世界戦だけで28戦25勝(19KO)3敗という戦績を記している。こちらも身長198センチ、リーチ206センチの大型選手で、重量感のある左ジャブと打ち下ろしの右ストレートが主武器だ。

 両者は昨年12月に対戦するプランが浮上したが、クリチコが足を痛めたため流れ、あらためて4月に行われることになった。この延期が功を奏したのか、試合の注目度は異常ともいえるほど高い。イベントはジョシュア側のプロモーターが主催することになっているが、昨年12月に販売した第一次分のチケットは2000ポンド(約28万円)のVIP席を含め5万枚が飛ぶように売れ、今年1月の第2次販売でも3万枚が即完売となったほどだ。

 ウェンブリー・スタジアムのキャパシティは8万人といわれるが、プロモーターはロンドン市と交渉を重ね、さらに1万人の追加承認をとりつけた。2月初旬に発売されたその追加分も完売状態となり、試合当日は9万人の観客で埋まることが確実となっている。同スタジアムでは14年5月に行われたWBA、IBF世界スーパーミドル級タイトルマッチ、カール・フロッチ対ジョージ・グローブスの英国人対決で8万人の観客数を記録したことがあるが、それを超えることになる。

 試合は英国内では課金システムのテレビで放送される予定だが、その契約件数も100万件超えは確実とみられている。

 「伝説の人と戦うにはベストのタイミングだ。勝って歴史に名を刻む」と意気込むジョシュアに対し、3月25日に41歳となるクリチコは「(ジョシュアにとって)戦うのが早過ぎたということになるのか、(クリチコにとって)戦うのが遅すぎたということになるのか。答えは4月29日のリングで出るだろう」とベテランらしいコメントを発している。

 試合まで2カ月半以上あるが、現時点のオッズは2対1から5対2でジョシュア有利と出ている。

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リオ五輪出場のエリートたちが続々とプロ転向

 昨年のリオデジャネイロ五輪に出場したアマチュアのエリートたちが、続々とプロ転向を果たしている。すでに昨秋にデビューした金メダリストもおり、これからプロの世界で激しい出世争いが展開されることになる。

 かつてはプロでもアマでも米国が顕著な実績を残していたが、近年は特にアマで低迷が目立つ。リオ五輪では10階級のうちライトヘビー級、ヘビー級、スーパーヘビー級の重量3階級とウェルター級で大陸予選を勝ち抜けず、本選に代表を送り込めなかったほどで、深刻な不振状態に陥っている。代わりに台頭してきたのが旧ソ連組だ。リオではウズベキスタンが金3、銀2、銅2を獲得し、強豪国キューバの金3、銅3を上回った。カザフスタンも金1、銀2、銅1と健闘した。

 こうしたなか今年に入ってウェルター級金のダニヤル・エレウシノフとスーパーヘビー級銅のカザフスタンのメダル・コンビが、オーストラリアのプロモーターと契約を交わしてプロ転向を発表した。ロンドン五輪にも出場(3回戦敗退)しているエレウシノフは260戦246勝14敗のアマ戦績を残しており、大きな期待がかけられている。ディチコはロンドン五輪では金メダルを獲得するアンソニー・ジョシュア(英=現IBF世界ヘビー級王者)に物議をかもすポイント負けを喫しており、2大会で銅メダルに甘んじた。アマ戦績は199戦181勝18敗。ふたりとも5月にプロデビュー戦を予定している。

 このほかスーパーヘビー級金のトニー・ヨカ(仏)もプロ転向を発表した。契約を交わした米国のプロモーターは「“フランスのジョシュア”になる可能性を秘めた逸材」と大きな期待を寄せている。また、モロッコで絶大な人気を集めるウェルター級銅メダリスト、モハメド・ラビ(モロッコ)もプロ入りを決めている。

 昨年のうちにプロ転向を表明、あるいはデビューしたリオ五輪組もいる。ライト級金のロブソン・コンセイサン(ブラジル)は11月に6回判定勝ちで初陣を飾り、バンタム級銀のシャクール・スティーブンソン(米)もデビュー戦を待っている状態だ。またライトフライ級16強のホセリト・ベラスケス(メキシコ)は帝拳プロモーションと契約し、12月に1回KO勝ちで鮮烈なデビューを果たした。さらにヘビー級のローレンス・オケイン(英)、フライ級ベスト16のアントニオ・バルガス(米)などもプロ転向を表明している。

 一方、ロンドン五輪から採用された女子ボクシングからも、ミドル級連覇のクラレッサ・シールズ(米)が昨年11月に4回判定勝ちでプロデビュー。ロンドン五輪ライト級金、リオ五輪8強のケイティー・テイラー(アイルランド)は、すでに昨年のうちに2勝をマークしている。これに続けとばかりフライ級連覇のニコラ・アダムス(英)も今年に入ってプロ転向を発表した。

 こうしたなかから、はたして何人がプロで成功を収めるのだろうか。

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メキシカン・キラー三浦隆司がミゲール・ローマンに臨む

 WBAスーパー王座に内山高志(37=ワタナベ)を連破したジェスレル・コラレス(25=パナマ)が座り、IBFでは今月14日に22歳の新星、ジャーボンタ・デイビス(米)が新王者になった。WBO王座にはプロ7戦目で2階級制覇を成し遂げた天才、ワシル・ロマチェンコ(28=ウクライナ/米)が君臨し、WBAレギュラー王座はジェイソン・ソーサ(28=米)が保持。130ポンド(約58・9キロ)を体重上限とするスーパーフェザー級は、20代の王者たちを軸に群雄割拠の様相を呈している。こうしたなか28日(日本時間29日)、前WBC王者で現1位の三浦隆司(32=帝拳)が米国カリフォルニア州インディオで2位のミゲール・ローマン(31=メキシコ)と対戦する。勝てば返り咲きに向けた世界王座への挑戦権を獲得することになる。

 三浦は13年4月から15年11月までWBC王座に君臨し、この間に4度の防衛を果たした。戴冠試合と防衛戦ではメキシコ人を倒しまくり、「メキシカン・キラー」とも呼ばれた。しかし、5度目の防衛戦でフランシスコ・バルガス(32=メキシコ)にダウン応酬の激闘のすえ9回TKOで敗れベルトを失った。ラスベガスで行われたこの試合は世界の数多くのメディアやWBCから年間最高試合に選ばれたほどの激闘だったが、三浦自身は「評価してもらえるのは光栄だが、負けた試合なので気持ちは複雑」と胸中を話していたものだ。昨年5月に1回KO勝ちで再起を果たし、満を持してローマン戦に臨む。35戦30勝(23KO)3敗2分。

 そのローマンにとっても、三浦との一戦は負けられない試合だ。11年にフェザー級、12年にはライト級で世界挑戦の経験を持つが、12回判定負け、5回KO負けで目的は果たせないまま現在に至る。勝てば3度目の挑戦が約束されるだけに「十分な三浦対策を立てて最高の状態でリングに上がる。勝って挑戦権を手にするのは私だ」と自信をみせている。67戦56勝(43KO)11敗という豊富なキャリアを誇る連打型のファイターだ。

 サウスポーの三浦、オーソドックスのローマンと構えは異なるが、ともに打撃戦を好む好戦派だけに、序盤から激しいパンチの応酬が予想される。「ボンバー・レフト」と呼ばれる左ストレート、返しの右フックに一撃KOの威力を持つ三浦が有利と思われるが、ローマンの圧力に押されるようだと苦戦も考えられる。

 この日のメインでは、三浦から王座を奪ったWBC王者のバルガスが、WBO暫定王者のミゲール・ベルチェル(25=メキシコ)を相手に2度目の防衛戦を行う。25戦23勝(17KO)2分のバルガス、31戦30勝(27KO)1敗のベルチェル。こちらも連打型の好戦派同士の組み合わせだけに、やはりジャッジ不要の試合になりそうだ。

 風雲急を告げるスーパーフェザー級トップ戦線。WBC王座をめぐるこの2試合にも大きな注目が集まっている。

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風雲急を告げるスーパーフェザー級トップ戦線

 130ポンド(約58・9キロ)を体重上限とするスーパーフェザー級の世界トップ戦線が大きく揺れている。14日(日本時間15日)には米国ニューヨークで22歳の挑戦者、ジャーボンタ・デイビス(22=米)がV3を狙ったホセ・ペドラサ(27=プエルトリコ)を7回TKOで破りIBF王座を獲得。そして28日には米国カリフォルニア州インディオでWBCタイトルマッチと、三浦隆司(32=帝拳)対ミゲール・ローマン(31=メキシコ)のWBC挑戦者決定戦が行われる。

 このクラスはWBAのスーパー王者だった内山高志(37=ワタナベ)が長いこと第一人者として牽引してきたが、昨年4月にジェスレル・コラレス(25=パナマ)に2回KO負け。12月の再戦でも小差の判定負けを喫し、返り咲きを阻止された。

 そのコラレスにはWBO王者のワシル・ロマチェンコ(28=ウクライナイ/米)から対戦のオファーが寄せられている。08年北京大会、12年ロンドン大会と五輪連覇の実績を持つロマチェンコは「ハイテク」というニックネームを持つ天才型で、プロ7戦で世界2階級制覇を成し遂げている。次戦は4月15日に予定されており、交渉がスムーズに進めばこの日程にコラレスとの統一戦が組み込まれる可能性がある。内山を連破して勢いづくコラレスと、世界的な評価が高いロマチェンコ。なかなか興味深いカードといえる。

 内山の敗戦から2週間後、ニューヨークでIBFタイトルマッチが行われたわけだが、若くて才能に恵まれた新王者が誕生することになった。デイビスは世界的には無名だが、あの元世界5階級制覇王者、フロイド・メイウェザー氏(米)がプロモート契約を結んでいる期待のサウスポーで、4年に満たないプロキャリアで世界制覇を成し遂げたことになる。相手のペドラサは08年北京五輪に出場した実績を持ち、プロでは22戦全勝(12KO)と無敗を誇っていたが、デイビスはそんな王者に臆することなく攻勢をとり、大量リードを奪って迎えた7回にダウンを奪って仕留めた。新王者のレコードは17戦全勝(16KO)。このデイビスは強打だけでなく上体の柔らかい動きで相手のパンチの見切る勘とスキルも身に着けており、さらなる飛躍が期待できる逸材といえる。

 風雲急を告げるスーパーフェザー級トップ戦線。28日にはWBC王者のフランシスコ・バルガス(32=メキシコ)とWBO暫定王者のミゲール・ベルチェル(25=メキシコ)が対戦し、ダブルメインとして三浦対ローマンも組まれている。15年11月にバルガスに9回TKO負けを喫してWBC王座を失っている三浦にとっては、雪辱と返り咲きに向けた大きな関門といえる。<次回に続く>

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異なる戦闘スタイルのデゲールvsジャック戦に注目

 2017年最初の注目ファイトともいえるスーパーミドル級の王座統一戦、IBF王者ジェームス・デゲール(30=英)とWBC王者バドゥ・ジャック(33=スウェーデン/米)が14日(日本時間15日)、米国ニューヨークで行われる。ともに戴冠後は評価が停滞しており、ここで一気に上昇させたいところだ。

 この両者には共通点が多い。まずは同じ08年北京五輪ミドル級出場という点が挙げられる。父親の出身国である西アフリカのガンビア代表として出場したジャックは初戦で敗退したが、デゲールは5試合を勝ち抜いて堂々と金メダルを獲得している。

 プロデビューはデゲールが09年2月で、ジャックは09年6月。試合数はデゲールの24戦(23勝14KO1敗)に対し、ジャックは23戦(20勝12KO1敗2分)とほぼ同じだ。世界王座はジャックが15年4月、アンソニー・ディレル(米)を判定で破ってWBCのベルトを獲得。その1カ月後、デゲールはアンソニーの兄アンドレ・ディレルとの決定戦で判定勝ちを収め、IBFで戴冠を果たしている。

 ともに2度の防衛を果たしているが、いずれも判定によるものだ。デゲールは元世界王者のルシアン・ビュテ(ルーマニア/カナダ)、ロヘリオ・メディナ(メキシコ)を下しており、ジャックは指名挑戦者のジョージ・グローブス(英)に2対1の辛勝、V2戦ではビュテと引き分けという結果に終わっている。内容ではデゲールでは上を行くが、ふたりとも3度の世界戦でKO勝ちがないため、ややアピール不足といえる。

 体格はデゲールが身長183センチ、リーチ188センチ、ジャックが身長185センチ、リーチ185センチと大差はない。また、デゲールは英国、ジャックはスウェーデン出身だが、ふたりとも現在は米国が主戦場になっている。

 類似点が多いふたりだが、戦闘スタイルは大きく異なる。サウスポーのデゲールは機をみて右に構えを変えることもある変則型だが、ジャックは基本に忠実な右構えの正統派なのだ。スピード、テクニック、攻防の幅ではデゲールが勝り、ワンツーの破壊力ではジャックが上回っているといえる。デゲールは「彼(ジャック)の戦力は整っているが、ずば抜けたものがない。彼はリングの上で私のスピードに驚くだろう」と自信をみせており、ジャックも「スーパーミドル級最強は私だ。リング上では戦争のような戦いが繰り広げられることになるだろう」と意気込んでいる。オッズは5対2、デゲールのコメントを後押ししている。

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17年のボクシング界は?パッキャオ、日本の世界王者に注目

 年の初めということで今回は2017年の世界のボクシング界を占ってみたい。戦線復帰を果たしたWBO世界ウエルター級王者のマニー・パッキャオ(38=比)は今年も戦い続けるのか、ヘビー級の王者同士の戦いは実現するのか、日本人トップ・ボクサーの海外進出はあるのか-。

 フィリピンの上院議員でもあるパッキャオは今年、2試合を予定している。ボブ・アラム・プロモーターは6月に初戦を計画しているというが、パッキャオ自身は11月に来日した際に「議会がオフになる4月か5月にリングに上がるつもり」と話していた。ビジネス上の調整が必要になるが、いずれにしても上半期と下半期に1試合ずつを行うことになりそうだ。ウエルター級はWBA王者キース・サーマン(28=米)とWBC王者ダニー・ガルシア(28=米)が3月に統一戦を行うことになっており、今年の注目階級のひとつに挙げられる。

 ヘビー級からも目が離せない。まずは4月29日に英国で行われるIBF王者アンソニー・ジョシュア(27=英)対元王者ウラジミール・クリチコ(40=ウクライナ)の新旧対決に注目したい。ここで18戦全KO勝ちのジョシュアが勝つようだと、37戦全勝(36KO)のWBC王者デオンタイ・ワイルダー(31=米)との統一戦が具体化する可能性が出てくる。全勝のKOパンチャー同士のヘビー級英米決戦となればメガファイトになることは間違いない。

 ミドル級の3団体統一王者ゲンナディ・ゴロフキン(34=カザフスタン/米)と、WBO世界スーパーウエルター級王者サウル・カネロ・アルバレス(26=メキシコ)の頂上決戦も期待されている。ゴロフキンが3月にV18戦、アルバレスが5月に次戦を予定しており、両雄がこれをクリアすれば9月に待望の一戦が実現しそうだ。この階級では12年ロンドン五輪金メダリストの村田諒太(30=帝拳)が挑戦の機会を狙っており、いつ、どこで、誰に挑むのか気になるところだ。

 今年は日本の世界王者が海外のリングで大一番に臨む可能性もある。WBCバンタム級王座を5年間に11度防衛中の山中慎介(34=帝拳)は数年前から海外進出を目標にあげており、交渉しだいでは他団体王者との統一戦が実現するかもしれない。また、WBOスーパーフライ級王者の井上尚弥(23=大橋)は、軽量級の世界的なスター、同級WBC王者ローマン・ゴンサレス(29=ニカラグア)との統一戦を希望しており、こちらも条件が合えば海外での対戦もありそうだ。

 昨夏のリオデジャネイロ五輪後、金メダリストをはじめ多くのオリンピアンたちがプロ転向を果たし、あるいは転向を表明しており、今年は彼らの成長と活躍も楽しめそうだ。

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16年はまずまず充実 海外選手MVPはクロフォード

 2016年も残すところわずかとなった。今回は年末の定番ともいえる年間の各賞を選んでみよう。なお、国内では30日と31日に計7試合の世界戦が控えているため、海外の選手を中心としたものとする。

 今年は「誰が選んでもこの選手で決まり」という絶対的な選手がいなかったが、そんななかで統一戦を含め年間3度の防衛戦すべてで圧勝したスーパーライト級のWBC&WBO王者、テレンス・クロフォード(29=米)をMVPに挙げたい。来年は戦線復帰したマニー・パッキャオ(38=比)との対戦も期待されている。

 殊勲賞はプロ7戦目にして2階級制覇を成し遂げたWBOスーパーフェザー級王者のワシル・ロマチェンコ(28=ウクライナ)だ。五輪連覇の実績を持つサウスポーのロマチェンコは「ハイテク」というニックネームを持つ技巧派だが、6月の戴冠試合では攻撃的な一面も披露。さらに11月には無敗だった元フェザー級王者のニコラス・ウォータース(30=ジャマイカ)の挑戦も一蹴した。今年はMVPに匹敵する活躍をみせた。

 敢闘賞は3人。まずは、2月にスーパーバンタム級王座を統一し、7月にはフェザー級王座も獲得したカール・フランプトン(29=英)を挙げたい。そして、連続KO防衛を17に伸ばしたミドル級のWBA、WBC、IBF3団体統一王者のゲンナディ・ゴロフキン(34=カザフスタン/米)と、さらに5月と9月に豪快なKO勝ちを収めたWBOスーパーウエルター級王者、サウル・カネロ・アルバレス(26=メキシコ)だ。このゴロフキンとアルバレスの対決は来年9月に計画されている。

 技能賞は4階級制覇を成し遂げたWBCスーパーフライ級王者のローマン・ゴンサレス(29=ニカラグア)だ。今年は2試合とも判定勝ちに留まったが、その強打とともにテクニックは高い定評がある。来年は井上尚弥(23=大橋)との頂上決戦が期待される。

 KO賞にはIBFヘビー級王者のアンソニー・ジョシュア(27=英)を推したい。12年ロンドン五輪覇者でもあるジョシュアは4月に2回KO勝ちで世界王座を獲得し、6月の初防衛戦、12月のV2もKO(TKO)で片づけた。今年の成長度、活躍は目を見張るものがあった。

 最高試合賞は9月に大阪で行われた山中慎介(34=帝拳)対アンセルモ・モレノ(31=パナマ)のWBCバンタム級タイトルマッチだ。ダウン応酬の見応えある打撃戦は7回TKOで山中が勝利を収め、11度目の防衛に成功した。日本で開催された試合だが、グローバルな視野でみてもベストといえるドラマチックなファイトだった。

 無冠の選手を対象に選ぶ新鋭賞はスーパーミドル級のカルム・スミス(26=英)だ。スミスは今年4試合すべてでKO(TKO)勝ちを収め、戦績を22戦全勝(17KO)に伸ばした。すでにWBCでは指名挑戦権を持っており、来年は大舞台が約束されている。

 たび重なるドーピング違反や体重オーバーによる計量での失格など問題も多かったが、上記の選手の活躍などで、2016年はまずまず充実した年だったといえる。

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来年上半期最注目!4・29ジョシュア対クリチコ正式決定

 12年ロンドン五輪スーパーヘビー級金メダリストで現在はIBF世界ヘビー級王座に君臨するアンソニー・ジョシュア(27=英)と、96年アトランタ五輪スーパーヘビー級金メダリストで元WBA、IBF、WBO3団体統一世界ヘビー級王者、ウラジミール・クリチコ(40=ウクライナ)が来年4月29日、英国ロンドンで対戦することが正式決定した。

 ジョシュアが自力で新時代の扉を開けるのか、それともクリチコが時計の針を逆回転させるのか。気が早いと鬼に笑われるかもしれないが、来年上半期の最注目カードといえる。

 ジョシュアは地元開催の五輪で金メダル獲得から1年後にプロ転向、ここまで18戦すべてKO勝ちという強打者で、次世代のスーパースターとして注目を集めている。身長198センチ、リーチ208センチという恵まれた体から速い左ジャブで切り込み、正確で伸びのある右ストレートで仕留める正統派のハードパンチャーだ。今年4月に2回KO勝ちでIBF王座を獲得し、6月に7回TKO勝ちで初防衛、12月に3回TKO勝ちで2度目の防衛を果たすなど、この1年で完全開花した感がある。

 これに対しクリチコは96年アトランタ五輪で優勝後にプロ転向した20年選手で、ジョシュアの4倍近い68戦(64勝53KO4敗)のキャリアを誇る。過去に2度の戴冠を果たしており、世界戦だけでも28戦25勝(19KO)3敗という戦績を残している。ただ、昨年11月に王座を陥落してからは、試合が決まっては延期、キャンセルを繰り返してきたため、ジョシュア戦が1年5カ月ぶりのリングとなる。試合の1カ月前には41歳になるだけに、時間との戦いも強いられる。

 この両者、クリチコが17度目の防衛戦を前にしたときのトレーニング・キャンプでスパーリングをしたことがある。当時のジョシュアは7戦のプロキャリアしかなかったが、クリチコは「弟」と呼んで後輩をかわいがり、「彼には驚くべき才能がある。まだまだ学ぶべきことは多いが、優れたスキルとアマチュア経験があり、いずれ大成するだろう」と将来に太鼓判を押していたものだ。ただし、2年半後に自分が挑戦者の立場で世界王者のジョシュアと対峙するとは思いもしなかったに違いない。

 今回の試合の発表会見の席でジョシュアは「もしも私が負けるようなことがあれば、今後も私は彼のことを『兄』と呼ばなければならない。でも、勝利を確信している。新しい時代が到来するんだ」と自信をみせている。これに対しクリチコは「王座を失って目が覚めた。王座を奪い返すという大きな目標があるので、今回はモチベーションが高い」と意欲を燃やしている。

 14歳の年齢差がある世代間対決は、8万人以上を収容できるロンドンのウェンブリー・スタジアムが会場となる。チケットは40ポンド(約6000円)や60ポンド(約9000円)という比較的安価なものもあるが、VIP席には2000ポンド(約30万円)の値がつけられている。それほどの注目カードといえる。

 春が待ち遠しい-。

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“レジェンド”ホプキンス、18日注目の引退試合

 ミドル級王座を20度防衛したあとライトヘビー級に転向し、46歳と48歳で戴冠を果たした元世界王者、バーナード・ホプキンス(51=米)が、17日(日本時間18日)に米国カリフォルニア州イングルウッドで行われる試合を最後に引退することになった。WBC2位、WBA5位にランクされるジョー・スミス(27=米)との試合を前に、ボクシング界のレジェンドは、「いまは相手をKOすることに集中している」と話している。

 ホプキンスはアマチュアで99戦95勝4敗の戦績を残したが、十代のときに社会と隔離された時期があったためプロ転向は23歳と比較的遅かった。しかも初陣は4回判定負けだった。「生活に追われてボクシングどころではなかった」(ホプキンス)ため、次戦まで1年4カ月の期間が空いたが、以後は順調に白星を重ね、28歳と29歳のときには世界戦の舞台に上がるまでになった。この2回のチャンスは判定負け、引き分けで実らなかったが、95年に3度目のチャレンジでIBF世界ミドル級王座を獲得。以後、ホプキンスは10年間に20度の防衛を果たすことになる。特筆すべきはIBF王座を保持しながら次々に統一戦に臨み、WBC、WBA、WBOの王者を下して自力で主要4団体の王座を統一したことである。

 この4王座を40歳のときに失った際は関係者やファンの多くが引退を予想したが、ホプキンスは現役続行を決断。そして11年には46歳4カ月で、さらに13年には48歳1カ月でライトヘビー級の世界王座を獲得して驚かせた。これらは94年にヘビー級のジョージ・フォアマン(米)が王座を獲得した時の45歳9カ月を更新する最年長戴冠記録でもある。

 ライトヘビー級でも2団体統一王者になったホプキンスは、「これからはエイリアン(宇宙人)と呼んでくれ」と吠え、緑色のマスクを被ってリングに上がるようになった。

 50歳の誕生日を2カ月後に控えた14年11月、WBO王者のセルゲイ・コバレフ(露/米)と拳を交えたが、初回にダウンを喫したすえ判定負けという結果に終わった。これが現時点での最新試合だ。スミス戦はホプキンスにとって2年ぶりの実戦ということになる。

 そのスミスは、ホプキンスがプロデビューした翌年に生まれた27歳で、プロ戦績は23戦22勝(18KO)1敗。ちなみに24歳上のホプキンスの戦績は66戦55勝(32KO)7敗2分2無効試合で、その半分の33戦(24勝13KO5敗2分2無効試合)が世界戦だ。

 親子ほど年齢差のあるカードだが、オッズは5対2でホプキンス有利と出ている。大ベテランが経験を生かして若さを封じ込めてしまうという予想が多いのだ。主役のホプキンスは「多くの人は私の年齢やキャリアに注目するが、私はスミスをKOすることに集中している」と、なかなかカッコいいコメントを発している。どんなかたちで28年のキャリアを閉じるのか、レジェンドのラスト・ファイトに要注目だ。

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ヘビー級戦線の大本命ジョシュア、2度目防衛戦に注目

 ドーピング違反や王座返上など今年のヘビー級はリングの外で大荒れの1年だった。そんななかにあって4月にIBF王者になったアンソニー・ジョシュア(27=英)の台頭は大きな救いといえる。若くて17戦全KO勝ちという完璧なレコードを持つジョシュアは、37戦全勝(36KO)のWBC王者、デオンタイ・ワイルダー(31=米)とともにヘビー級に新時代を築く可能性を秘めている逸材だ。そのジョシュアの2度目の防衛戦が10日(日本時間11日)、英国マンチェスターで行われる。

 ジョシュアは高校時代に100メートル走で11秒を切るほどの俊足の持ち主で、フットボールなど他競技を経て18歳のときにボクシングに転向した。アマチュアで43戦40勝3敗の戦績を残し、12年ロンドン五輪ではスーパーヘビー級で金メダルを獲得した。そしてプロ転向からわずか2年半、今年4月に世界一の座についた。6月には同じロンドン五輪の米国代表を相手に初防衛戦に臨み、まったく付け入る隙を与えずに7回TKOで一蹴、実力差を見せつけたものだ。世界レベルの選手のなかでは今年一番の成長株といっていいだろう。

 騒動が続くヘビー級トップ戦線だが、ジョシュアは大きなトラブルには巻き込まれなかった。ただ、今回のV2戦は元WBA、IBF、WBO王者のウラジミール・クリチコ(40=ウクライナ)と対戦する計画もあったが、クリチコが負傷したため先送りされることになった経緯がある。ジョシュアとクリチコの年齢差が13もあることを考えると、むしろ延期は若いジョシュアにとってプラスと考えることができよう。

 今回、クリチコの代わりにリングに上がるのは28戦25勝(19KO)3敗の戦績を残しているIBF8位、エリック・モリナ(34=米)だ。モリナは身長193センチ、リーチ201センチ、体重106キロ~108キロと大柄だが、ジョシュアは身長198センチ、リーチ208センチ、体重110キロ~112キロとさらに大きい。そのうえジョシュアはスピードとパワーがあるのだから、相手にとっては厄介な存在といえる。25対1というオッズが出ているように、ジョシュアの圧勝が予想されるカードだ。モリナは1年半前にワイルダーの持つWBC王座に挑んで3度のダウンを喫して9回KO負けしており、最大の興味はジョシュアが何回でモリナを仕留めるかという点になるといっても過言ではない。来年4月に対戦が計画されているクリチコや、前座に出場する前WBA暫定王者のルイス・オルティス(キューバ/米)、そしてその先にあるワイルダーとの頂上決戦に向けてアピールするためにも、ここは豪快なKO防衛がノルマといえよう。

 同じ10日にはニュージーランドでWBO王座の決定戦が行われ、1週間後の17日にはロシアでWBC暫定王座決定戦が挙行されることになっている。こうしたなかヘビー級戦線の大本命に浮上してきたジョシュアが、どんなかたちで16年を締めくくるか注目したい。

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今年大きく揺れたヘビー級で12月に3つの世界戦

 ボクシングの象徴ともいえる最重量級のヘビー級は今年、トップ選手の相次ぐドーピング違反や王座返上で大きく揺れたが、少しずつ収束に向かっている。12月には10日と17日に団体の異なる三つの世界戦が行われる予定だ。

 16年はヘビー級にとって厄年のような1年だった。特に目立ったのがWBA王座関連のトラブルだ。3月にWBAレギュラー王座を獲得したルーカス・ブラウン(37=豪)から禁止薬物が検出されたのがケチのつき始めといえる。ブラウンは王座を剥奪され、半年の出場停止の処分を受けた。王座はルスラン・チャガエフ(38=ウズベキスタン/独)に返還されたが、今度はチャガエフが指名防衛戦に応じる意思を示さなかったため、これも剥奪の憂き目に。また、暫定王座を持っていたルイス・オルティス(37=キューバ/米)も指名防衛戦をこなさなかったため、9月に王座を剥奪された。さらにWBAスーパー王座とWBO王座保持者のタイソン・フューリー(28=英)も10月の防衛戦を前に試合をキャンセル。前後してコカイン使用が明らかになり、2団体の王座を返上して活動休止状態に入ってしまった。いまもWBAのヘビー級はスーパー王座、レギュラー王座、暫定王座が空いたままだ。

 WBCでは王者のデオンタイ・ワイルダー(31=米)が年間2度のKO防衛を果たしたが、7月の試合で右拳と右腕を痛めたため現在は休養をとっている。そのため暫定王座が設けられることになり、12月17日にロシアでアレクサンデル・ポベトキン(37=露)対バーメイン・スティバーン(38=ハイチ/米)のカードで決定戦が行われる。ポベトキンは04年アテネ五輪の金メダリストで、プロ転向後はWBAで王者になった経験を持つ実力者だが、今年5月に予定されたワイルダーへの挑戦を自身のドーピング違反で棒に振った苦い経験を持つ。王者の負傷で暫定王座決定戦のチャンスが転がり込んだかたちだが、その幸運を生かせるかどうか。戦績は、ポベトキンが31戦30勝(22KO)1敗、前WBC王者のスティバーンは28戦25勝(21KO)2敗1分。オッズは17対2でポベトキン有利と出ている。この試合の勝者はワイルダーとの対戦義務を負う。

 フューリーが返上したWBO王座の決定戦は12月10日、ニュージーランドのオークランドで行われる。1位のジョセフ・パーカー(24=ニュージーランド/米)は21戦全勝(18KO)、3位のアンディ・ルイス(27=メキシコ)は29戦全勝(19KO)と、ふたりとも若くて無敗という新鮮なカードだ。一時はニュージーランド開催が危ぶまれたが、パーカー陣営が彼の両親の出身国であるサモア政府の援助を得て自国開催にこぎ着けた経緯がある。パーカーが勝てばニュージーランド初、ルイスが勝てばメキシコ初の世界ヘビー級王者の誕生となる。

 こうしたなか、近い将来のスーパースターと目されるIBF王者、アンソニー・ジョシュア(27=英)も12月10日に2度目の防衛戦を予定している。(次週につづく)

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原功(はら・いさお)

1959年(昭34)4月7日、埼玉県深谷市生まれ。日大法学部新聞学科卒業。82年、ベースボール・マガジン社入社。以来18年間「ボクシング・マガジン」の編集に携わり、88年から11年間、同誌編集長を務める。2001年、フリーのライターとして活動を開始。現在はWOWOW「エキサイトマッチ」の構成などを担当。著書に「タツキ」「ボクシング 名勝負の真実・日本編/海外編」ほか。