大相撲の秋巡業で日刊スポーツは、「大関」に関することをテーマに来場者約100人にアンケートを行った。
<1>今の大関陣の活躍についての満足度(大変良い、良い、どちらでもない、やや悪い、悪い)とその理由
<2>大関とはどんな存在であるべきか
<3>ネクスト大関候補とその理由の3点について尋ね、<3>では関脇の若隆景(27=荒汐)を挙げる声が回答のうち約3割に上った。

- 大関候補No.1に選ばれた若隆景
29票を得た若隆景は、同じ関脇の豊昇龍(23=立浪)らを抑えてダントツだった。ファンからは「安定した相撲を取れている」「今後の相撲界を背負って立つ存在になって」などと好意的な評価が相次いだ。埼玉・久喜市内の男性は「千代の富士のような体をしていて相撲がうまい」。埼玉県在住の38歳女性は「勝ち越しを続けているし、何より『華』があります」と絶賛した。
先場所は初日から3連敗を喫するなど出遅れたが、そこから8連勝。12日目に平幕の高安(32=田子ノ浦)に敗れはしたが、11勝4敗で技能賞を獲得。大関取とりへの起点とした。1年を締めくくる九州場所(11月13日初日、福岡国際センター)で大関取りの足固めを狙いたいところ。
2位は共に12票で2人の名が挙がった。1人は関脇豊昇龍、もう1人は大関経験者で幕下の朝乃山(28=高砂)だ。

- 秋巡業で稽古に参加する豊昇龍
前者については叔父の元横綱朝青龍を重ね合わせるファンも少なくなく、「スケールが大きい」(茨城県在住30歳男性)。「血筋からいっても、遅かれ早かれいつか綱を張れる」(埼玉県在住55歳女性)といった声も。新関脇として臨んだ先場所も8勝を挙げて勝ち越すなど、「最近の活躍がめざましい」(群馬・前橋市の43歳男性)と目の肥えた相撲ファンもうならせた。
かたや幕下でありながら、大関経験者の朝乃山。ファンの期待は今も変わらないようで、「大関に返り咲くの時間の問題」(群馬・桐生市の68歳男性)といった声が数多くあった。日本相撲協会の新型コロナウイルス対策ガイドライン違反による6場所出場停止処分が明けた名古屋場所で7戦全勝して三段目優勝し、7戦全勝なら十両復帰が確実だった秋場所は六番相撲で負けて6勝1敗。九州場所での十両復帰とはならずも、「この人しかいない。大関、いや横綱になれる人でしょ!!」(千葉市の51歳男性)と期待を寄せる声は依然高い。
ネクスト大関候補としては他に、6票→琴ノ若、4票→大栄翔、霧馬山、阿炎、高安、3票→明生、隆の勝が続いた。【平山連】

- 秋巡業で稽古に参加する大関正代

- 秋巡業でファンのサインに応じる大関貴景勝
○…秋場所時点の3大関(貴景勝、正代、御嶽海)の活躍の満足度については、最多が「やや悪い」(25人)で、1票差で「良い」(24人)が続いた。
「やや悪い」とした理由について、「あっけない取組が多いような気がする」(東京都在住66歳女性)「大関陣が定着せず見ごたえがない」といった厳しい意見が並んだ。その一方で「良い」と答えた人の中には「ずばぬけた存在がいないため、観ていてハラハラする」(群馬・太田市の25歳男性)など実力伯仲の状況について好意的に捉える声も。
埼玉・久喜市内の53歳男性は「ふがいないという部分はあるけどれ、誰が勝ってもおかしくないという場所は逆に面白い」という理由で、「大変良い」と回答していた。
○…「大関とはどんな存在であるべきか」という問いには、優勝争いに絡んでほしいという声が目立った。「横綱を目指し、横綱や勢いのある平幕を倒せる本場所の『要』」(埼玉・久喜市の11歳男性)「最低でも10勝を」(さいたま市38歳男性)というように、その地位にふさわしく求められるハードルの高さがうかがえた。
◆大関 江戸時代を通じて最高位で、1890年までは横綱免許を授与された力士も番付上は「大関」と記載された。1909年に横綱が制度化されたが、大関は番付から欠いてならないとされる。現在、東西に大関が1人ずついない場合、横綱が大関の地位を兼ねて「横綱大関」として地位を書かれることがある。