モンスター井上尚弥「世界最強」PFP1位に決意新た「4団体統一に向けてまた頑張ります」

ボクシングWBAスーパー、WBC、IBF世界バンタム級王者井上尚弥(29=大橋)がついに全階級を通じた「世界最強」ボクサーに認定された。
世界的にもっとも権威のある米老舗ボクシング専門誌ザ・リングが10日(日本時間11日)、階級を超越した最強ボクサーを決める最新のパウンド・フォー・パウンド(PFP)ランキングを発表。井上が日本人史上初のPFP1位に到達した。これまで2位が自己最高だった井上は素直に喜んだ。
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ザ・リングの最新PFPランキングで1位に選出されたことを知った井上は日付が変わった11日未明、公式SNSを更新した。「日本人がこれまで誰もたどり着けなかった場所まで来た #pfp1」と素直に喜びを表現した。前回ランクで1位のWBAスーパー、IBF、WBO世界ヘビー級王者オレクサンドル・ウシク(ウクライナ)、2位のWBO世界ウエルター級王者テレンス・クロフォード(米国)に続いて3位だった。7日のドネア戦の衝撃的な2回TKO勝ちで世界的スター2人を一気に抜き去った。
所属ジムを通じ、井上は「歴史と権威ある米国のザ・リングのPFP1位に選出されました。1つ1つ積みあげてきたことがこうして評価され、ボクサーとして光栄です。この栄誉に恥じないためにも、また1つモチベーションが上がった。次戦4団体統一に向けてまた頑張ります」などと決意を新たにした。
所属ジムの大橋秀行会長(57)も「自分が生きている間に世界ミドル級王者(竹原慎二)、五輪金メダリスト(村田諒太)、そしてPFP1位を見られるとは思っていなかった。正直、驚いている」と感慨深げ。PFP10位以内には複数階級制覇、複数団体統一した各階級の名王者ばかりで「この中で1位になったことが驚き。これからも精進し、厳しく激しい練習を積んでいってもらいたい」と全力サポートを約束していた。
井上陣営は、残り1人の対抗王者となるWBO世界バンタム級王者ポール・バトラー(33=英国)陣営と対戦交渉を開始している。バトラーが契約を結ぶ米プロモート・プロベラム社は英国、中東などで興行開催実績を持っているが、バトラー本人は「日本に行って井上と対戦したい」と希望している。既に井上陣営も12月に1万5000人程度が収容できる首都圏の会場を確保。日本人初の快挙を成し遂げ、モンスターにまた1つ、大きな大きな「勲章」が加わった。【藤中栄二】
- 【イラスト】ザ・リング選定PFPランキング(6月10日付)
- 7日、3本のベルトを巻き笑顔でポーズを決める井上尚弥