力士会開催、白鵬らの引退相撲への協力要請 1場所出場停止処分の逸ノ城、十両の照強らは欠席

十両以上による力士会が27日、両国国技館で行われた。
新型コロナウイルス対応ガイドラインに違反したとして1場所出場停止処分を受けた平幕の逸ノ城、十両の照強らが欠席した。元小結常幸龍と元前頭の豊山から引退報告があったほか、来年1月に引退相撲がある宮城野親方(元横綱白鵬)と山科親方(元前頭豊響)から協力要請があった。
- 逸ノ城(2022年11月撮影)
十両以上による力士会が27日、両国国技館で行われた。
新型コロナウイルス対応ガイドラインに違反したとして1場所出場停止処分を受けた平幕の逸ノ城、十両の照強らが欠席した。元小結常幸龍と元前頭の豊山から引退報告があったほか、来年1月に引退相撲がある宮城野親方(元横綱白鵬)と山科親方(元前頭豊響)から協力要請があった。
プロボクシング元WBA世界スーパーフライ級王者でWBA世界バンタム級3位リボリオ・ソリス(41=ベネズエラ)が30日朝、来日した。4月8日に東京・有明アリーナで同級2位で元WBC世界同級暫定王者の井上拓真(27=大橋)とのWBA世界同級王座決定戦を控える。井上の兄で前4団体統一同級王者井上尚弥(29=大橋)の王座返上を受け、空位となった同王座を懸けて争う。16年にWBC世界バンタム級王者山中慎介に挑戦して以来、約7年ぶりの来日となる。
約3カ月間の合宿に取り組んだ練習拠点のパナマからオランダ経由で日本入りした。オランダに2日間滞在し、調整してきたという。過去に山中をはじめ、河野公平、亀田大毅と日本勢3人との世界戦を経験してきたソリスは「井上の印象は、他の日本人にも言える同じ印象だ。パワーがあってスピードがある。私はしっかり練習して勝利のためにやってきた。日本の方も私のことは良く知っているだろう。100%のコンディションをつくってきた」と自信の笑みを浮かべた。
マネジャーを務めるマヌエル・ペレス・バレイロ氏は「戦うために来た。井上戦は8ラウンドまでいかないだろう。8ラウンド前には決着するだろう。リボリオのすごいパンチが井上に入るだろう」と不敵な笑みを浮かべた。マネジャーの言葉を静かに聞いていたソリス本人は「12ラウンドの判定も頭に入っているが、12ラウンドまではいかないだろう」と予告していた。
<連載 さよなら金の拳:2>
12年ロンドン五輪ボクシング男子ミドル級金メダリストで、元WBA世界同級スーパー王者の村田諒太(37=帝拳)が引退を表明した。29日から5回連載で、歴代担当記者が日本人で初めてボクシングの五輪とプロで頂点に立った拳を振り返る。
◇ ◇ ◇
村田を、約12年前に取材した時だった。11年11月。岐阜産業会館で行われた全日本選手権は、その年の世界選手権で銀メダリストとなって初のリングだった。ミドル級で優勝後、取材依頼すると「少し待っていてください」と2人の選手を連れてきた。高校3年ながらライトフライ級で初優勝した井上尚弥と、ライト級を制した大学4年の成松大介だった。
3人並んで写真撮影。その後、スペースの関係でこの写真を新聞紙面に掲載できない可能性を伝えると、村田は笑って言った。「この写真、いずれ使うと思いますよ」。アマに残った成松は16年リオデジャネイロ、21年東京と2大会連続で五輪出場。プロに転向した井上は「モンスター」として世界で知られる王者となった。そして、村田自身もその翌年の五輪で金メダルを獲得。「金の拳」として、プロでも17年に世界王座を奪い、日本人初の五輪金メダリスト&プロ世界王者になった。プロアマ関係なく、この3人が10年以降の日本ボクシング界をけん引するとは…。当時は想像もしていなかった。
引退後の村田はWOWOWエキサイトマッチやAmazonなどで解説者の仕事に取り組む予定だ。既にアマ時代から養われていたボクサーの未来を見極める「目」は、さらに洗練されることだろう。かつての予言通り、今回、言葉通りになった貴重な3ショット。今後の活躍により、さらに価値ある写真になると思っている。【藤中栄二】
ボクシングの18年全日本バンタム級覇者で昨年6月にプロデビューしたホープ村田昴(26=帝拳)がプロ4勝目を挙げた米国から帰国した。25日(日本時間26日)、米フレズノのセーブ・マート・アリーナでスーパーバンタム級4回戦に臨み、ホセ・ネグレット(米国)を1回1分47秒KO撃破し、デビュー4連続KO勝利を挙げた。
現地での減量も順調に進み、気持ちにも余裕を持ってリングに上がった。会場ではブーイングも耳にしながらも「聞こえないふりをしてリングに上がりました。今回がアメリカでの試合2戦目とあって、周りも見えた分、はじめは緊張もしましたが、リングに上がってしまえばまったく問題ありませんでした」と振り返った。
今年1月に渡米し、ラスベガスでスパーリングを中心にトレーニングを重ね、オーギー・サンチェス・トレーナーにもとでテクニックを学んできた。村田は「長い期間、ラスベガスにいましたが、ボクシング以外のことも含めていろいろと新しいことを学ぶことができて、とても良い経験になりました。サンチェス氏は初めこそ少し言葉の壁のようなものも感じましたが、とても優しくて丁寧に教えてくれる上、少しずつ英語も聞き取れるようになってきたし、単語で返すこともできたり、とても良い経験になりました」と収穫を口にしていた。
5月には再び渡米し、ラスベガスで実戦練習を積み、プロ5戦目は米国で6~7月に予定。次戦は6回戦か8回戦で試合が組まれる予定だという。
<プロボクシング:東洋太平洋スーパーフェザー級王座決定12回戦>◇29日◇東京・後楽園ホール
東洋太平洋スーパーフェザー級王座は空位のままとなった。
同級3位森武蔵(23=志成)が同級6位渡辺卓也(34=DANGAN AOKI)と同王座を懸けて拳を交えたものの、引き分けた。8回の公開採点時に2ポイント劣勢だった森は最後まで接近戦を仕掛けて追い上げたが、ジャッジの判定は3人ともにドロー(114-114×3)。WBOアジア・パシフィック・フェザー級王座に続き、2階級でのアジア王座獲得はならなかった。
元王者渡辺を攻略し切れなかった森は「途中から陣営の『いけ』という作戦に僕も乗った。陣営のおかげで首の皮一枚つながった。自分が情けない」と振り返っていた。
ボクシングWBC世界ライト級4位の吉野修一郎(31=三迫)は、世界切符奪取に向けて渡米した。
4月8日(日本時間9日)に米ニューアークで米人気選手で同級3位のシャクル・スティーブンソン(25=米国)とWBC同級挑戦者決定戦で激突する。29日、最終調整先となる米ロサンゼルスへ出発。「世界の吉野をいろいろな人に見てもらいたい。気持ちは120%で限界を超えている」と気持ちを高揚させた。現地でメディカルチェックと時差調整し、約1週間前にニューアーク入りする予定だ。
ボクシングWBAスーパー、WBC世界ライトフライ級王者の寺地拳四朗(31=BMB)が4月8日に東京・有明アリーナで臨む防衛戦の挑戦者が、WBA世界フライ級2位アンソニー・オラスクアガ(24=米国)に決定した。29日、発表された。
3団体王座統一戦で拳を交えるはずだったWBO世界同級王者のジョナサン・ゴンサレス(31=プエルトリコ)がマイコプラズマ肺炎で来日不可能となり、防衛戦に変更されていた。WBO世界ライトフライ級13位ヘラルド・サパタ(28=ニカラグア)も候補だったが、先にオラスクアガのビザ手続きが整ったという。
日本相撲協会は29日、エディオンアリーナ大阪で大相撲夏場所(5月14日初日、東京・両国国技館)の番付編成会議を開き、藤青雲(25=藤島)と時疾風(26=時津風)の新十両2人を含む十両昇進力士3人を発表した。再十両は2場所ぶりに復帰の千代栄(32=九重)だけだった。
実業団をへて入門した藤青雲は、明治大出身では元幕内武雄山の山分親方以来、23年ぶりの新十両となる。「(山分)親方をしたって藤島部屋に入ってよかった。関取の自覚を持っていきたい。少しずつ手本になれるような力士になっていきたい。稽古して体も大きくして準備していきたい」と意気込みを語った。
この1年、関取昇進のチャンスがある幕下15枚目内にいながら、なかなかつかむことはできなかった。師匠の藤島親方(元大関武双山)は「歯がゆかった」とはっきり言い、「これからが大変。番付が上がるほど厳しくなる」とハッパをかけるように言った。
課題は自覚している。「地力はついてきたと思うが、精神的な面が弱い。そこに打ち勝つために頑張ってきた。稽古も集中してできるようになった」。精神面克服へ、ひたすらぶつかり稽古をこなす。藤島親方も「まだ迫力がない。それがないと上にはいけない。泥だらけの稽古しかない」と厳しく言った。
「後悔するより、夢を追いかけたかった」という大相撲への挑戦。「何回かはね返されたが、2年で上がれてよかった」と喜びは一瞬で、関取デビューに向けてただ精進していく。
日本相撲協会は29日、エディオンアリーナ大阪で大相撲夏場所(5月14日初日、東京・両国国技館)の番付編成会議を開き、藤青雲(25=藤島)と時疾風(26=時津風)の新十両2人を含む十両昇進力士3人を発表した。再十両は2場所ぶりに復帰の千代栄(32=九重)だけだった。
宮城県栗原市出身の時疾風は、東日本大震災の被災者への思いを背負う。12年前の3月11日、(本名)冨栄少年は翌日に中学の卒業式を控えて準備している最中だった。自宅は「あらゆるものが倒れて電気、水道が1カ月ダメだった」。それ以上に変わり果てたなじみの風景が心に刺さった。
「震災後、しばらくしてそれまでよく行っていた海岸地域に行ったら、何もなくなって更地になっていた。中学生ながら(被災者を)元気づけられるかな。テレビに出るようになれば元気づけられるかと。(大相撲を目指すきっかけに)なりましたね」
教職の選択肢もあったというが、夢と地元の復興への思いが後押しして大相撲の世界へ進んだ。19年春場所で初土俵を踏み、4年をかけて吉報を手にした。「うれしいです。ドキドキもあり、ここからだという気持ちです」と言った。
左四つ、右上手の得意を持つが、課題は「体格」になる。入門当初は115キロほどで、今場所は130キロまで増やした。当面の目標は140キロだが、「食が細い。頑張って食べます」と言った。
師匠の時津風親方(元幕内土佐豊)は「みんなの見本になる力士になってほしい。今の左四つ、右上手を磨いていけば上を目指せる」と期待する。時疾風は「津波で被害にあった地域を見にいって現状を見た。地元に恩返ししたい思い。頑張ります。(今後の目標は)まず幕内ですね。自分の相撲とって白星を重ねていきたいです」と気合十分に話した。
プロボクシング前4団体統一バンタム級王者でWBC、WBO世界スーパーバンタム級1位の井上尚弥(29=大橋)が7月25日、東京・有明アリーナでWBC、WBO世界同級統一王者スティーブン・フルトン(28=米国)に挑戦することが29日、正式発表された。
自身のSNSを通じて井上は「延期を受け入れてくれたフルトン陣営、各関係者に感謝をして最高の準備と最高の試合を約束します! 必ず勝ちに行きます」などと意気込みを示した。
井上は3月中旬に拳を負傷し、5月7日に横浜アリーナで予定されていた同カードが7月に延期になると3月22日に発表されていた。負傷した拳の腱(けん)の回復までには約1カ月かかるとされているものの、既に井上は負傷部分以外のトレーニング、ジムワークを再開している。
プロボクシング前WBO世界フライ級王者のWBO世界スーパーフライ級1位中谷潤人(25=M.T)がビッグマッチ興行で世界2階級制覇に挑戦する。29日に強化合宿先となる米ロサンゼルスに向けて出発。5月20日(日本時間21日)、米ラスベガスのMGMグランドガーデン・アリーナで同級2位アンドリュー・モロニー(32=オーストラリア)との同級王座決定戦を控え、師事するルディ・エルナンデス・トレーナーのもとで現地調整する。
28日(日本時間29日)には同じ興行のメインイベントが発表され、4団体統一ライト級王者デビン・ヘイニー(24=米国)-元3団体統一同級王者ワシル・ロマチェンコ(35=ウクライナ)戦に決まった。
出発前に取材に応じた中谷は「大きい舞台に上がらせてもらうので、インパクトを与える勝利をしたい」と意気込んだ。約1カ月半ほどのロング合宿となるものの、専属マネジャーの弟龍人氏も帯同するため「日頃サポートしてもらっている存在なので。あとは周りの方からも言われているのですが、けがだけには気をつけたい」と口にした。
MGMグランドの中でもガーデン・アリーナは約1万7000人収容の米ボクシング界でも歴史と伝統のある会場。15年5月のフロイド・メイウェザー-マニー・パッキャオ戦も行われている。同会場での日本勢による世界戦は14年7月の元世界2階級制覇王者亀田和毅以来。中谷は「KOする姿をみせたい。しっかり2階級制覇できるように勝てれば」と気持ちを引き締めていた。
元K-1の3階級制覇王者・武尊(31)が“戦友”へエールを送った。
29日、都内でABEMAの記者会見に出席。武尊は6月24日に、フランス・パリの「Impact in Paris(インパクトインパリ)」で、ベイリー・サグデンとのISKAの61キロ級のタイトルマッチを行うことが決まった。
これは昨年6月の「THE MATCH」以来となる約1年ぶりの復帰戦。その「THE MATCH」で拳を交わした那須川天心(24)は、4月8日にボクシングのデビュー戦を控える。武尊は「向こうは向こうで頑張っていますし、戦う場所は変わりましたけど、戦った選手として、違う競技に行っても負けてほしくないし。僕もそれをいい刺激にして、頑張りたいなと思います」。
世紀の一戦と言われた日から、2人は新たな旅路へ歩みを進めている。
元K-1の3階級制覇王者・武尊(31)が、6月24日に、フランス・パリで行われる「Impact in Paris(インパクトインパリ)」で、「ブリティッシュ・ブルドッグ」ことベイリー・サグデンとのISKAの61キロ級のタイトルマッチを行うことが決まった。3分5RのK-1ルールで行われる。
武尊、サグデンの両者は29日、都内で行われたABEMAの記者会見に出席。武尊は昨年6月の「THE MATCH」で那須川天心(24)と対戦後、休養を宣言。約1年を経ての“復帰戦”となる。
武尊は「うれしく思っています。ずっとK-1でやっていたころから海外で試合をしたいと言っていた。ISKAは世界でも権威のあるベルト。このタイトルマッチは、数年前に流れたことがある。このチャンスに、このベルトを取って、世界に日本の格闘技界には、こんな強い選手がいる、こんな面白い選手がいることを証明したい。世界で僕のことを知らないような会場で、その知らない人たちを熱狂させられるような試合をしたいと思っていた。フランスの会場を武尊ファンにして勝てるような最高の試合をしたい」と意気込みを口にした。
ABEMAは武尊が代表取締役を務める株式会社STRとの契約を締結し、ABEMA専属のPPVファイター契約が決まった。武尊の試合、大会を独占配信する権利を有し、「ABEMA PPV ONLINE LIVE」で独占生中継する。武尊に対しては「ABEMA PPV ONLINE LIVE」で配信する大会で、1試合ごとに最低保障として、1億円の報酬が支払われる。また大会視聴チケットの売り上げに応じた追加報酬も予定されている。“世界初陣”戦の視聴チケットは5月1日から販売を開始予定。「ABEMA PPV ONLINE LIVE」で配信が決まっている。
元K-1の3階級制覇王者・武尊(31)が、日本人格闘家初の“PPVファイター”となった。29日、都内でABEMAの記者会見に出席。今回、ABEMAは武尊が代表取締役を務める株式会社STRとの契約を締結し、ABEMA専属のPPVファイター契約が決まった。
武尊に対しては「ABEMA PPV ONLINE LIVE」で配信する大会で、1試合ごとに最低保障として、1億円の報酬が支払われる。また大会視聴チケットの売り上げに応じた追加報酬も予定されている。ABEMAは武尊の試合、大会を独占配信する権利を有し、武尊の試合を「ABEMA PPV ONLINE LIVE」で独占生中継する。武尊は昨年6月の「THE MATCH」で那須川天心(24)と“世紀の大一番”を終えた後、休養を宣言していた。
武尊は今回の超大型契約について「本当に感謝しています。この契約は現役を続けていく上で、モチベーションになる。PPVのビジネスは海外では浸透しているけど、日本、アジアではまだまだ。業界が発展できていなかったりする。そのモデルケースとして、第1弾として契約。スポーツでプロを目指す選手にとって、未来のある、業界が発展していくモデルとして、PPVでこういう契約をしてもらって、もっとさらに、良い契約をしてもらえるよう先頭で引っ張っていけるようにしたい」と思いを口にした。
プロボクシング前4団体統一バンタム級王者でWBC、WBO世界スーパーバンタム級1位の井上尚弥(29=大橋)が7月25日、東京・有明アリーナでWBC、WBO世界同級統一王者スティーブン・フルトン(28=米国)に挑戦することが29日、正式発表された。井上が3月中旬に拳を負傷し、5月7日に横浜アリーナで予定されていた同カードが7月延期になると3月22日に発表されていた。
試合日程を発表した所属ジムの大橋秀行会長(58)は「あらためて、延期を承諾してくれたフルトン選手、調整にご協力頂いた関係者の皆様、そして何よりも楽しみにしていただいているファンの皆様に対し、深く感謝申し上げます。新たな日程までに必ずや全開の井上尚弥に仕上げ挑戦させますので、ご期待の程、よろしくお願い致します」とコメントしていた。
負傷した拳の腱(けん)の回復までには約1カ月かかるとされているが、既に井上は負傷部分以外のトレーニング、ジムワークを再開している。
<WWE:ロウ大会>◇27日(日本時間29日配信)◇米アリゾナ州フェニックス・フットプリントセンター
「野獣」ブロック・レスナーが年間最大の祭典で激突する「巨人」オモスにパワー差をみせつけられた。4月1、2日に米イングルウッド・SoFiスタジアムで開催されるレッスルマニア39大会でシングル激突が決まっている身長221センチのオモスとリング上で行われた計量イベントにそろって出席した。
最初に仲間のMVPとともに姿をみせたオモスの体重は410ポンド(約185・9キロ)と判明。続いてレスナーがリングに入ると、体重計には乗らずにオモスに不意打ちの襲撃を開始。クローズライン、ジャンピング・エルボーでコーナーに追い詰め、体重計を持って殴ろうとしたが、逆に顔面にカウンターの前蹴りを浴び、なくなく場外へとエスケープ。身長190センチの野獣が巨人のパワフルな動きに圧倒されていた。
2週間前の調印式では得意のジャーマンスープレックスでも、F5でもオモスを投げられなかった。今回は場外で不敵な笑みをみせていたレスナーだったが、レッスルマニアに向けてまたも勢いづくことはできなかった。
<WWE:ロウ大会>◇27日(日本時間29日配信)◇米アリゾナ州フェニックス・フットプリントセンター
イヨ・スカイ(紫雷イオ)が年間最大の祭典レッスルマニア39大会(4月1、2日・米イングルウッド)の「前哨戦」で惜敗した。仲間のユニット「ダメージCTRL」のベイリー、ダコタ・カイと組み、トリッシュ・ストラタス、リタ、ベッキー・リンチ組との6人タッグが組まれており、この日はリンチとのシングル戦に臨んだものの、11分30秒、マンハンドルスラム(変形のど輪落とし)でマットにたたきつけられ、3カウントを許した。
クローズライン連打、キックで場外に蹴り飛ばされたスカイはさらにエルボーを食らってダメージ。切り返し技からのダブルストンプで踏みつけて反撃すると、スワンダイブ式ミサイルキックでコーナートップにいたリンチを落下させた。しかし月面水爆を回避されてダメージを受け、何とか丸め込み合戦で競り合ったものの、最後はモロにマンハンドルスラムを浴びてフォール負けした。
試合前にはリンチから「ベッキーの手下」呼ばわりされる屈辱を味わったスカイ。WWE女子タッグ王座もリンチに奪われており、レッスルマニアに向けた「前哨戦」でストレスをためる試合結果となった。
日本相撲協会は29日、大阪市内で大相撲夏場所(5月14日初日、東京・両国国技館)の番付編成会議を開き、モンゴル出身で3月15日付で日本国籍を取得した元前頭の鏡桜(35=伊勢ノ海)ら、以下8人の引退を発表した。
【時虎】時虎謙信(ときとら・けんしん)本名・下山謙信。西三段目72枚目、時津風部屋。02年2月20日生まれ、宮城県登米市出身、21歳。
【透輝の里】透輝の里大(ときのさと・だい)本名・松永輝透。西三段目73枚目、西岩部屋。02年12月14日生まれ、大阪市平野区出身、20歳。
【電山】電山博保(でんざん・ひろやす)本名・吉野博保。西序二段62枚目、大嶽部屋。88年6月8日生まれ、山口県宇部市出身、34歳。
【北勝八雲】北斗八雲海猿(ほくとやくも・かいと)本名・福井海猿。西序二段73枚目、八角部屋。04年1月13日生まれ、北海道八雲町出身、19歳。
【北勝潮】北勝潮龍生(ほくとしお・りゅうき)本名・和田龍生。番付外、八角部屋。00年6月22日生まれ、青森市出身、22歳。
【筑乃蔵】筑乃蔵久三(ちくのくら・きゅうぞう)本名・田原祐太。番付外、武蔵川部屋。02年6月21日生まれ、福岡県久留米市出身、20歳。
【大海原】大海原渡(おおうなばら・わたる)本名・玉田亮。番付外、錣山部屋。86年1月19日生まれ、広島市安佐南区出身、37歳。
【鏡桜】鏡桜秀興(かがみおう・ひでおき)本名・バットフー・ナンジッダ(モンゴル名)。番付外、伊勢ノ海部屋。88年2月9日生まれ、モンゴル・ウブルハンガイ出身、35歳。
日本相撲協会は29日、大阪市内で大相撲夏場所(5月14日初日、東京・両国国技館)の番付編成会議を開き、十両昇進力士3人を発表した。
新十両は藤青雲(25=藤島)、時疾風(26=時津風)の2人で、念願の関取の座を初めてつかんだ。また、千代栄(32=九重)は2場所ぶりの復帰となる再十両を果たした。
さきの春場所で西幕下2枚目の藤青雲、東幕下3枚目の時疾風は、ともに4勝3敗の成績を収めた。また、西幕下2枚目の千代栄は5勝2敗の結果を残した。
藤青雲(本名・東龍輝)は熊本市西区出身。明大を卒業後、約1年のブランクを経て、年齢制限緩和措置により21年春場所で初土俵(コロナ禍で前相撲はなし)。翌夏場所の序ノ口から3場所連続7戦全勝(優勝は序ノ口と三段目の各1回)の21連勝で幕下入り。幕下では3勝4敗の負け越しが2回あるだけで着実に番付を上げ、所要2年でスピード出世を果たした。181センチ、139キロで右四つ、寄りを得意とする。
時疾風(本名・冨栄秀喜)は宮城県栗原市出身。東京農大を経て19年春場所で初土俵を踏んだ。序ノ口から所要3場所で幕下入り。だが、幕下1ケタ台では壁にはね返されてきた。東幕下15枚目だった21年春場所では、6戦全勝で三役経験者の阿炎と7番相撲で対戦。勝てば優勝&新十両昇進だったが、引き落としで敗れて逃した。その後も勝ち越しと負け越しを繰り返したが、初土俵から4年で関取の座をものにした。178センチ、130キロで左四つ、寄りを得意とする。序二段で優勝経験がある。
再十両の千代栄(本名・岸栄太)は京都府福知山市出身。09年初場所が初土俵で、12年半をかけて昨年7月の名古屋場所で悲願の新十両昇進を果たした。4場所連続で十両の土俵を務めた後、先の春場所で幕下に降格したが、1場所で復帰を果たした。
日大4年時に学生横綱の座に就き、22年9月の初場所で幕下15枚目格付け出しで初土俵を踏んだ川副(23=宮城野)は、西幕下3枚目の春場所で4勝3敗だった。昇進の可能性もあったが、今回は惜しくも逃した。野球WBCの侍ジャパンで世界一になった主砲の村上宗隆内野手(ヤクルト)とは、高校こそ違うが(川副は文徳高、村上は九州学院高)、同学年で交流があり、よく話した間柄だという。
<連載 さよなら金の拳:1>
村田諒太(37)が引退を表明した。今日から5回連載で、歴代担当記者が日本人で初めてボクシングの五輪とプロで頂点に立った拳を振り返る。
◇ ◇ ◇
村田諒太の「金の拳」が、日本ボクシング界に2つの変革をもたらした。1つは「日本人の身体能力ではミドル級(72・5キロ以下)で世界に通用しない」という、長きに及ぶ固定観念の壁を突き破ったことだ。
日本人にとってミドル級は「夢の階級」だった。欧米の男性の平均的な体格で、全階級を通じて最も選手層が厚いといわれる。ヘビー級並みの強打とフライ級のようなスピードを兼備した超人的な猛者たちが、名勝負を繰り広げてきた。
今も歴代最強といわれるシュガー・レイ・ロビンソン、10年間不敗のマービン・ハグラー、5階級制覇のシュガー・レイ・レナード、史上初の4団体統一王者バーナード・ホプキンス、17連続KO防衛のゲンナジー・ゴロフキン-。歴代王者の顔触れのすごいこと。
小柄な日本人は選手層も薄く、手の届かない階級だった。95年に竹原慎二さんが初めてWBA王座を奪取したが、当時は「大番狂わせ」という印象が強く、ミドル級に対する認識はさほど変わらなかった。それを覆したのが村田だった。
12年ロンドン五輪で金メダル。プロでも世界トップ選手を強打で圧倒して2度世界王座を獲得。KOで敗れたゴロフキンとの統一戦も一進一退の打撃戦で、日本人の強い肉体と高い運動能力を証明。あらためて評価が高まり、試合後は世界中から報酬額数億円の対戦オファーが殺到した。
村田は以前、自らの強打について「神様が僕にくれた才能」と語っていた。ただ、それだけでミドル級で頂きには立てない。神様は探求心や地道に努力する才能も彼に授けたのだと思う。帝拳ジムの本田明彦会長は「体格に加えて頭脳がずぬけている。集中力も違う」と明かす。
もう1つは村田の登場で試合中継が配信時代へ移行し、報酬の天井に風穴があいたことだ。スター選手が居並ぶミドル級で、ビッグマッチを実現させるには数億円単位の報酬を用意する必要があり、従来の地上波の放映権料では成立しない。本田会長は資金力のある有料配信サービスと交渉し、新たな道を切り開いた。
昨年4月のゴロフキン戦は、海外がDAZN、日本ではAmazonが配信することで実現。村田のファイトマネーは推定6億円超。2人合わせて20億円超の国内史上最大規模の興行になった。配信サービスの契約数も一気に増えた。以後、井上尚弥ら人気王者の試合はライブ配信が主流となり、報酬も跳ね上がった。
ミドル級で再び世界トップ戦線で戦える日本選手を育てることは簡単ではない。それでもきっと近い将来、村田の金の拳が突き破った壁の穴から、第2の村田が出てくるはずだ。もしかすると世界ヘビー級王者だって誕生するかもしれない。そう思えるほど、村田諒太は私たちに日本人の計り知れない可能性を示してくれた。【首藤正徳】
◆村田諒太(むらた・りょうた)1986年(昭61)1月12日、奈良市生まれ。伏見中1年で競技開始。南京都高(現京都広学館高)で高校5冠。東洋大で04年全日本選手権ミドル級で優勝など。11年世界選手権銀メダル、12年ロンドン五輪で日本人48年ぶりの金メダルを獲得。アマ戦績は119勝(89KO・RSC)19敗。13年8月にプロデビューし、17年10月、WBA世界ミドル級王座を獲得。日本人で初めて五輪金メダリストがプロ世界王者となった。プロ戦績は16勝(13KO)3敗。身長183センチの右ボクサーファイター。
12年ロンドン五輪ボクシング男子ミドル級金メダリストで元WBA世界同級スーパー王者の村田諒太(37=帝拳)が、グローブを置いた。
28日、都内で会見し、現役引退を正式に表明した。今後の進路は未定としながらも自身の会社を立ち上げ、ボクシング界への恩返しとして大手企業と組んでコンディショニングや疲労回復の研究を開始。知識と経験を後進に伝える仕事に意欲を示した。また本人は否定したものの、周囲からは世界的プロモーターへの期待の声が上がった。
◇ ◇ ◇
ラストマッチは昨年4月の“ミドル級最強”ゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)との2団体王座統一戦となった。少し言葉を詰まらせた村田は、「もともとゴロフキン戦が最後だと。引退以外の選択肢はなかった」。約1年間、自らに問い続け、出た答えに現役続行はなかった。
「ボクシングに求めること、ボクシング界に対してできることが自分の中に見つからなかった。Amazonという大きな資本が入り、今まで以上に稼げただろうが、その欲を求めてしまうのではないか。執着が芽生え始めた自分に気づいたのが最大の引退理由」
そしてスッキリした表情で「これは引退という名のスタートだと思っている」と次の挑戦を見据えた。
今後は未定ながら、自身の会社を立ちあげた。「選手への良いロールモデルになれれば、自分の存在価値がある」。すぐに消費財化学メーカー大手と組み、自らの知識と経験をもとにコンディショニング、疲労回復、減量の研究に入る。またゴロフキン戦までの自身のメンタルをまとめる作業にも着手。1日3~4時間の英語の勉強も続けている。
世界的プロモーターで、所属ジムの本田明彦会長(75)の“後継者”への興味を問われると「それは会長しかできない。まだやられているし、おこがましい」と否定した。ただ同会長のサポートには「役に立てることがあれば、やらせてほしい」と言った。本田会長は「ボクシング界に貢献したい気持ちがすごく出てきた。将来的にいろいろ関わってくると思う」と期待を寄せた。
村田を支える関係者からも「将来的に本田会長のような世界的プロモーターになれるよう知識と経験を積んでほしい」との待望論が挙がる。米プロモート大手トップランク社のボブ・アラムCEOとの関係も深い村田。大きな可能性を秘め、第2のステージに進む。【藤中栄二】