井上尚弥「思いつくのは4人」Sバンタムでの対戦候補 誰と対戦してもビッグマッチ、因縁マッチ

ボクシング4団体統一バンタム級王者井上尚弥(29=大橋)が13日、4団体すべての王座返上とスーパーバンタム級転向を正式表明した。
同日に横浜市内で記者会見に臨み、1階級上で戦いたい相手が4人いると明かした。具体的な選手名こそ挙げなかったものの、同階級で2本の世界ベルトを統一している世界王者2人をはじめ、自身や日本人との因縁がある元世界王者たちとの対戦を希望していることをうかがわせた。
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ベージュのスーツをさわやかに着こなした井上が晴れやかにスーパーバンタム級に挑む気持ちを明かした。4団体の王座ベルトをすべて返上すると表明し「バンタム級でやり残したことはない。戦いたい相手もいないので、スーパーバンタム級の挑戦を決意した。ここから先の挑戦は本当の戦い。非常にわくわくしている」と胸を躍らせた。
1階級上は2団体統一王者が2人、そして複数階級制覇する元世界王者たちが王座を狙っている。井上は「スーパーバンタム級は、かなりタレントがそろっている。(対戦したい相手で)思いつくのは4人いるが、名前を言うのは避けておきたい」と含みを持たせた。所属ジムの大橋秀行会長(57)は「すべて交渉中」と言うにとどめた。
有力な対戦候補4人とは、誰と対戦してもビッグマッチ、因縁マッチになる。日本人2人目の4階級制覇へ、まずは現役王者2人のどちらかが有力視される。WBC、WBO王者スティーブン・フルトン(28=米国)、またはWBAスーパー、IBF王者ムロジョン・アフマダリエフ(28=ウズベキスタン)に挑戦するのが自然な流れ。
また、同級にはWBC1位、WBO2位、IBF3位のルイス・ネリ(28=メキシコ)がいる。元WBC世界バンタム級王者山中慎介(帝拳)と2度対戦した際、薬物違反や体重超過などで物議を醸し、日本人にとって因縁の相手でもある。WBC8位には、元WBO世界バンタム級王者ジョンリール・カシメロ(32=フィリピン)もいる。20年4月、米ラスベガスで3団体王座統一戦が計画されながらコロナ禍で中止に。以後も井上への挑発を続けている。
2月以降、スパーリング相手に米国やメキシコから世界ランカーを呼ぶ計画が立てられている。4人の候補を意識した実戦トレが始まる。井上は「スーパーバンタム級でも4団体統一を目標に。2階級の4団体統一は世界初の偉業になると思うので」と自信の笑み。注目マッチを勝ち続け、1階級上でも最強を証明する覚悟だ。【藤中栄二】
◆井上のスーパーバンタム級の対戦候補4人◆
選手名(年齢=国名)通算戦績 備考
ムロジョン・アフマダリエフ(28=ウズベキスタン)11勝(8KO) WBAスーパー、IBF王者。左拳骨折離脱
スティーブン・フルトン(28=米国)21勝(8KO)WBC、WBO王者。フェザー級転向可能性
ルイス・ネリ(28=メキシコ)33勝(25KO)1敗 WBC1位。元2階級制覇王者。山中と対戦
ジョンリール・カシメロ(32=フィリピン)31勝(21KO)4敗1無効試合WBC8位。元3階級制覇王者。井上と因縁
- 会見を終え報道陣のリクエストに応え4本のベルトを腕にぶら下げるも重みに耐えきれず苦笑いの井上尚(撮影・垰建太)
- 会見を終え報道陣のリクエストに応え4本のベルトを腕にぶら下げるも重みに耐えきれず苦笑いの井上尚(撮影・垰建太)
- 会見でベルトの返上と階級変更を発表し質問に応じる井上尚(撮影・垰建太)