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ロマゴン-エストラーダ戦のジャッジが一時資格停止

スクレ氏に大差の採点をつけられたローマン・ゴンサレス(2019年12月23日撮影)

ボクシング団体のWBAは14日、世界スーパーフライ級2団体統一戦のジャッジだったカルロス・スクレ氏(ベネズエラ)を一時資格停止処分とした。

試合は2-1の判定だったが、1人だけ6ポイントの大差の採点に、メディアやSNSで異議の声が上がっていた。ヒルベルト・メンドサ会長は事情聴取委員会開催を要請したと表明した。

試合は13日に米ダラスで、8年ぶりの再戦にWBC世界スーパーフライ級王者ファン・エストラーダ(メキシコ)が勝利した。WBA世界スーパーフライ級スーパー王者ローマン・ゴンサレス(ニカラグア)と激しい打ち合いに終始。他のジャッジ2人は115-113だったが、スクレ氏は117-111と1人だけ大差がついていた。

メンドサ会長は「すばらしい好勝負だった。エストラーダをリスペクトするが、あのような採点にはならない」とコメントした。コンピューターのパンチ計測ではいずれも負けたゴンサレスが上回り、本人も「勝っている」と不満を口にしていた。

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「マーベラス」元世界王者ハグラー氏が死去 66歳

マービン・ハグラー氏(2011年撮影=ロイター)

プロボクシング元統一世界ミドル級王者のマービン・ハグラーさん(米国)が、米ニューハンプシャー州の自宅で死去した。66歳だった。13日にケイ夫人がフェイスブックに「残念ながら私の最愛の夫であるマービンは、ここニューハンプシャーの自宅で突然亡くなりました」と記した。息子のジェームス氏は「呼吸が苦しくなり、胸に痛みを訴えて病院に運ばれた」と米メディアに話した。

ハグラーさんは73年にプロデビュー。80年に2度目の挑戦でWBA、WBC同級王座を獲得。87年まで通算12度防衛(11KO)に成功した。ムハマド・アリ(米国)の引退でヘビー級人気が低迷した80年代、ロベルト・デュラン、トーマス・ハーンズ、シュガー・レイ・レナードとスーパーファイトを繰り広げて、ミドル級に黄金時代を築いた。

驚異的を意味する「マーベラス」と呼ばれ、打撃戦もアウトボクシングもこなす万能型で、サウスポーながら左右どちらでも倒せる強打を誇り、そり上げた頭に筋骨隆々の肉体は無類のタフネスを誇った。デュランには技巧で判定勝ち。ハーンズとは真っ向打ち合って3回TKO勝ち。87年4月のレナード戦では相手のアウトボクシングに微妙な判定を落とした。これが現役最後の試合になった。

生涯戦績は62勝(52KO)3敗2分け。13日に米ダラスで行われたローマン・ゴンサレスとファン・エストラーダの世界スーパーフライ級王座統一戦の前に追悼のテンカウントゴングが鳴らされた。

マービン・ハグラー氏(1982年撮影=AP)

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エストラーダが判定勝利2団体統一王者/詳細

ローマン・ゴンサレス(19年12月撮影)

<ボクシング:世界スーパーフライ級タイトルマッチ>◇13日(日本時間14日)◇米国

WBAスーパー王者ローマン・ゴンサレス(33=ニカラグア)とWBC王者ファン・エストラーダ(30=メキシコ)のスーパーフライ級2団体統一戦はエストラーダが判定2-1でゴンサレスに勝利した。

両者は12年11月のライトフライ級時代以来の再戦で、前回はゴンサレスが3-0で判定勝ちしていた。

◆世界スーパーフライ級タイトルマッチ

ゴンサレス判定1-2エストラーダ

【1回】

初回早々、仕掛けたのは雪辱を期すエストラーダだった。左ジャブを突いて前進。ワンツーをヒットさせた。ゴンサレスはガードをかためて、相手の出方をじっくりと見る。1分半すぎからゴンサレスも前に出てプレッシャーをかけはじめるが、お互い有効打はなし。エストラーダが手数で優位か。

【日刊採点】10-9(エストラーダ)

【2回】

エストラーダが左ジャブを突いて、距離を保ち、ペースを握る。1分すぎにはボディーから顔面に連打も、ゴンサレスもしっかりとガード。1分半すぎからゴンサレスもプレッシャーを強めて連打。2分半すぎに右ストレートもヒット。エストラーダも反撃に出るが、パンチの的中率でゴンサレスのラウンド。

【日刊採点】10-9(ゴンサレス)

【3回】

開始早々、バッティング。その後はゴンサレスがプレッシャーを強めて、パンチを出しながら前進。エストラーダは左を突いて距離を保とうとする。その後はお互いパンチを繰り出すが、ともにガードもかたく、有効打はなし。互角のラウンドだが、ややゴンサレスが優位か。

【日刊採点】10-9(ゴンサレス)

【4回】

30秒すぎの打ち合いはエストラーダの左右がヒット。その後はゴンサレスがエストラーダをロープにつめて連打。1分半すぎにゴンサレスの右ストレートをヒット。その後はゴンサレスが的確なパンチをヒットさせる。2分すぎにエストラーダの右ストレートでゴンサレスが後退も、後続打は許さず。

【日刊採点】10-9(ゴンサレス)

【5回】

30秒すぎからゴンサレスが細かい連打でエストラーダを圧倒。エストラーダは中間距離からパンチを繰り出すが、ほとんどをゴンサレスは見切る。2分すぎにゴンサレスの左フックがエストラーダのアゴをとらえる。パンチの的中率でゴンサレスが上回る。

【日刊採点】10-9(ゴンサレス)

【6回】

開始からエストラーダが左ジャブからワンツーでペースを握る。中盤もエストラーダが連打で圧倒。残り1分を切ってからゴンサレスが猛然とラッシュ。エストラーダをロープに詰めるが、終盤はエストラーダのパンチもヒット。ほぼ互角。

【日刊採点】10-9(エストラーダ)

【7回】

30秒すぎにゴンサレスの右の連打がヒット。中盤以降は頭をつけての打ち合い。お互いパンチをヒットさせるが、エストラーダの左右がクリーンヒット。ややエストラーダ優位か

【日刊採点】10-9(エストラーダ)

【8回】

お互いパンチを繰り出すが、なかなか決定打が出ない。1分すぎにエストラーダの左ジャブからボディー左アッパーが決まる。中盤以降、エストラーダが左右パンチをゴンサレスのボディーに集める。終盤、エストラーダは前進するゴンサレスを左ジャブとフットワークでさばく。

【日刊採点】10-9(エストラーダ)

【9回】

序盤からエストラーダがジャブ、ボディアッパーと巧みな左でペースを握る。ゴンサレスは距離をなかなか詰めることができない。接近戦でもエストラーダがゴンサレスのパンチを巧みなガードでかわす。30秒すぎにゴンサレスがワンツーを決めるが、エストラーダはすぐに左ボディーブローで反撃。エストラーダが流れをつかんだか。

【日刊採点】10-9(エストラーダ)

【10回】

開始からゴンサレスが前に出るが、エストラーダは距離を保って、ゴンサレスのパンチが当たる距離にさせない。1分20秒すぎにゴンサレスのワンツーがヒットも、エストラーダもすぐに反撃。1分すぎにはエストラーダの右ストレートがヒット。残り30秒からゴンサレスが前に出て細かい連打も有効打はなし。

【日刊採点】10-9(エストラーダ)

【11回】

開始から中間距離からエストラーダが果敢にパンチを繰り出し、ワンツーがヒット。ゴンサレスも前に出て打ち返すが、なかなかパンチが中らない。中盤の打ち合いは、エストラーダが手数で有利。ゴンサレスも打ち返すが、エストラーダは1発あびても後続打を浴びない。終盤の打ち合いもエストラーダが支配。

【日刊採点】10-9(エストラーダ)

【12回】

開始から打ち合い。お互い王者の意地で譲らない。1分半すぎにゴンサレスのワンツーでエストラーダのアゴが上がる。1分すぎにゴンサレスの左右クリーンヒットで、エストラーダがグラつくいて手数が減る。最終回はパンチの的中率でゴンサレスが取った。試合を通じて決定打がほとんどなく、微妙なラウンドが多かった。試合後は両選手とも勝利を確信してセコンドに肩車された。

判定は1人が115-113でゴンサレス、2人が117-111、115-113でエストラーダ。

2-1のスプリットでエストラーダが勝利を収めた。

【日刊採点】10-9(ゴンサレス)

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ロマゴン、エストラーダとも52キロで計量パス

ローマン・ゴンサレス(19年12月撮影)

ボクシング世界スーパーフライ級タイトルマッチの前日計量が、12日に米ダラス市内で行われた。

WBAスーパー王者ローマン・ゴンサレス(33=ニカラグア)に、WBC王者ファン・エストラーダ(30=メキシコ)ともリミットより100グラム軽い52キロでパスした。両者は12年11月のライトフライ級時代以来の再戦で、前回はゴンサレスが3-0で判定勝ちした。WBO王者井岡一翔(31=Ambition)が勝者との統一戦を熱望している。

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京口 憧れゴンサレスと汗「楽しく追い込めました」

京口紘人(左)はあこがれのローマン・ゴンサレス(右)と同じリングで練習(ワタナベジム提供)

ボクシングWBA世界ライトフライ級スーパー王者京口紘人(27=ワタナベ)が10日、あこがれの世界王者と共演した。13日の同級10位アクセル・アラゴン・ベガ(20=メキシコ)とのV3戦を控え、米ダラスに滞在して6日目もホテルの特設ジムでの練習。メインに出場するWBA世界スーパーフライ級スーパー王者ローマン・ゴンサレス(33=ニカラグア)と、同じリングに上がって汗を流した。

京口は08年にゴンサレスが世界王座を獲得した試合をテレビで見て以来、ずっとあこがれていたという。4階級制覇したファイトスタイルも参考にしている。練習前には撮影やメディア対応があり、自ら駆け寄って17年に世界王座についた時以来となる対面を果たしていた。

2人並んでのサンドバッグ打ちでは、両陣営が拍手で盛り上げ。フレンドリーな対応でいい雰囲気のまま練習を終えた。京口も「減量の時期ですが、ローマンと一緒にトレーニングができたので、いつもよりも大変な感じはなく、楽しく追い込めました」と充実感を得ていた。

バンデージ後にポーズする京口紘人(ワタナベジム提供)
ミット打ちする京口紘人(左)(ワタナベジム提供)

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京口紘人V3戦へ米ダラスに到着「気を抜かず調整」

ボクシングWBA世界ライトフライ級スーパー王者京口紘人(27=ワタナベ)が5日、米ダラスに到着した。ホテル内にあるジムでシャドーをこなして早速汗を流す様子などをSNSに投稿。「気を抜かず調整します」とコメントしている。13日に米ダラスでのV3戦で、同級10位アクセル・アラゴン・ベガ(20=メキシコ)の挑戦を受ける。

メインはスーパーフライ級で、WBAスーパー王者ローマン・ゴンサレス(33=ニカラグア)とWBC王者ファン・エストラーダ(メキシコ)の王座統一戦となる。12年のライトフライ級以来の再戦で、前回はゴンサレスが判定勝ちしている。WBO王座井岡一翔(31=Ambition)が勝者との統一戦を熱望している。

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京口紘人が米デビュー 3月にダラスで3度目防衛戦

京口紘人(21年1月撮影)

ボクシングのWBA世界ライトフライ級スーパー王者京口紘人(27=ワタナベ)が3月13日、米テキサス州ダラスでアクセル・アラゴン・ベガ(20=メキシコ)との3度目の防衛戦に臨むことが22日(日本時間23日)、ストリーミング配信のDAZNから発表された。

英プロモート大手マッチルームと複数試合契約後、初試合となり、米デビュー戦でもある。同興行のメインイベントには、WBC世界スーパーフライ級王者ファン・フランシスコ・エストラーダ(30=メキシコ)-WBA世界同級スーパー王者ローマン・ゴンサレス(33=ニカラグア)の王座統一戦が組まれている。

なお、ワタナベジムなどからは発表されていない。

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井岡一翔 アンカハスが統一戦の新たな標的に浮上

8回、田中をTKОで破り、チャンピオンベルトを腰にポーズをとる井岡(20年12月撮影)

ボクシングWBO世界スーパーフライ級王者井岡一翔(31=Ambition)に、統一戦の新たな標的が浮上した。IBF同級王者ジェルウィン・アンカハス(28=フィリピン)をサポートする、MPプロモーションのショーン・ギボンズ社長が対戦希望を表明した。海外メディアが7日に報じた。

アンカハスは同級3位ジョナサン・ハビエル・ロドリゲス(メキシコ)との指名試合が、昨年から延期されている。このV8戦に勝利後に、井岡との統一戦を実現させたいとしている。

大みそかにV2を成功させた井岡も、次戦で統一戦を熱望している。3月13日には米国で、WBC同級王者ファン・エストラーダ(メキシコ)と、WBA同級スーパー王者ローマン・ゴンサレス(ニカラグア)による統一戦が予定されている。井岡はこの勝者を第1の標的に挙げている。

WBCはエストラーダとゴンサレスの勝者には、前王者シーサケット・ソールンビサイ(タイ)との対戦を義務付けている。この一戦が優先された場合、井岡対アンカハスが実現する可能性がある。

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井岡一翔 米リング誌格付け10位にランクイン

2回、田中(左)の顔面に右フックを入れる井岡(撮影・菅敏)

ボクシングWBO世界スーパーフライ級王者井岡一翔(31=Ambition)が、米リング誌による全階級を格付けするパウンド・フォー・パウンドで10位にランクインした。井岡は大みそかに、日本人2人目の4階級制覇を狙った同級1位田中恒成(25=畑中)に8回TKO勝ち。完勝でのV2に、海外でも高い評価を受け、6日に発表したランキングに反映された。

同誌は22年に創刊され、最も歴史と権威がある月刊誌。1位サウル・アルバレス(メキシコ)、2位は井上尚弥(日本)など9位までに変わりはない。井岡はゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)に代わってのベスト10入り。井上と日本人2人が世界のトップ10に名を連ねた。

8位には井岡と同級のWBC王者ファン・エストラーダ(メキシコ)がつけている。WBA同級王者ローマン・ゴンサレス(ニカラグア)と、3月に統一戦を予定している。井岡はこの勝者と統一戦を次の目標に掲げている。

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井岡一翔1年間無駄じゃなかった…21年は統一王者

色紙に「2021統一王者!」と記した井岡一翔(Ambitionジム提供)

ボクシングWBO世界スーパーフライ級王者井岡一翔(31=Ambition)が1日、V2から一夜明けてオンラインで会見した。井岡に次ぐ日本人2人目の4階級制覇を世界最短で狙った同級1位田中恒成(25=畑中)に、8回TKOで完勝した。「大みそか1日で1年間が無駄じゃなかったと。信じてやってきてよかった」と満足感に浸っていた。

左フックで3度のダウンを奪って仕留めた。最後は「気持ちで来てるなら、足も使えるが気持ちで返そう。打ち合おうと誘った」と、狙い通りに仕留めた。

自宅で試合映像を見たが、試合中の印象と「ほぼ変わりはなかった」と言う。「細かい戦略もあったが、どんな展開になっても負けないと思っていた。余裕を持って戦えた」と振り返った。

左目の下を赤く腫らしていた。2回に田中の右ストレートをもらった。「スピードは評判通り。パンチ力もそこそこ。上下の打ち分け、コンビネーションもあり、全体のバランスは取れていた」。世代交代を期した相手を評価も「やってきたこと、時間も違う。黒星をつけるしかない」。4階級制覇第1号のプライド、経験で下克上を許さずにはね返した。

田中優位の声もあった中で完勝した。「成長過程の中でしっかりと動きができていた。やりたいことができ、見せられた。試合で出せてこそ実力。自信は高まった。まだまだ伸びる。成長、進化できるようにやっていきたい」とさらなる高みを目指す。

21年の目標には「一番は統一王者になること」と掲げた。WBC王者ファン・エストラーダ(30=メキシコ)と、WBA王者ローマン・ゴンサレス(33=ニカラグア)が、3月に統一戦を予定している。「勝者と対戦を希望する」。

井岡は同じ4階級制覇の「ゴンサレスが優位」とみる。「エストラーダの評価が高かったが、最近はパンチをもらい、いいパフォーマンスができていない。ゴンサレスは地力があり、元々の強さがある」と評し、色紙にも「2021年統一王者」としたためた。

普段なら試合を終えると家族と海外旅行に行くが「日本でゆっくり過ごしたい」と、標的が定まるまでは英気を養う。コロナ禍で状況がどうなるかは不透明だが「やるときめたことをやるだけ。モチベーションに変わりはない。あとは1戦1戦、結果を残して証明していくだけ」と決意に揺るぎはなかった。

完勝V2から一夜明けてオンライン会見した井岡一翔(Ambitionジム提供)
完勝V2から一夜明けてオンライン会見した井岡一翔
一夜明けてオンライン会見で左目の腫れを見せる井岡一翔は左目の腫れ

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井岡一翔V2 今度こそ夢の海外ビッグマッチ実現だ

1回、田中(右)の顔面に左フックをヒットさせる井岡(撮影・菅敏)

<プロボクシング:WBO世界スーパーフライ級タイトルマッチ12回戦>◇12月31日◇東京・大田区総合体育館

WBO世界スーパーフライ級王者井岡一翔(31=Ambition)が完勝TKOでV2を飾った。5、6回に左フックを浴びせ、同級1位田中恒成(25=畑中)を連続ダウンさせた。8回にも左で崩すと即座にレフェリーが止め、8回1分35秒TKO勝ち。日本男子初の4階級制覇達成者として宣言通り“レベチ”な勝利で、最速での同2人目を狙った田中に世代交代を許さなかった。9度目の大みそかで国内開催は8戦全勝。自身の日本選手世界戦最多勝利数を17に伸ばして20年締め。21年こそ海外で統一戦をもくろむ。

   ◇   ◇   ◇

井岡は左フック3発で田中を仕留めた。5回にロープを背にしたが、カウンターで最初のダウンを奪う。田中が反撃も「ふっきれて出てきた。熱くならずに見せつけようと思った」。冷静に見極め6回にもダウンを奪う。8回もぐらつかせると、ダウンする前にレフェリーが田中を抱きかかえた。世代交代を狙った若武者の前に、堂々と立ちはだかってはね返した。

左目の下は青く腫れていた。2回に右ストレートをもらった。「予想外に伸びてきてもらった。ダブって見えた」という。序盤にピンチがあったが「気持ちに余裕を持って戦えた」。4回までの採点はほぼ五分も、田中をレッスンするかのように見切っていた。

46度目の日本選手対決で初の複数階級制覇経験者同士も、井岡は「ビッグマッチではない」と言ってきた。実力差の部分を問われると「本質的にすべて。レベル、格が違う」と。試合後も「男として結果で証明できた。有言実行できてよかった。若い選手に負けられない。まだトップに君臨し続けたい」と胸を張った。

すでに2階級を制した世界王者だった13年の夏、高3の田中とスパーリングをしたことがあった。井岡には記憶にもなかった。田中のほぼ倍の中身の濃い27戦をこなしてきた。1度は引退、2度苦杯も喫した。日本人とは8年ぶりの対戦も、負けたことがない。

「勢いだけでは勝てない。背負うもの、経験した分、拳の重みが違う」。井上尚弥と並んでいた日本選手の世界戦勝利を17に伸ばし、再び単独トップになった。日本人初の4階級制覇というプライド、実力を見せつけ、コロナに振り回された20年も井岡が締めた。

大みそかに負けたのは、18年、唯一海外開催だったマカオだけで、8勝(6KO)とした。「節目の10回目まで頑張っていこうと思う」。早くも1年後の大トリを口にしたが、その前に大目標がある。

WBC王者ファン・エストラーダ(メキシコ)と、WBA王者ローマン・ゴンサレス(ニカラグア)が、3月に統一戦を予定する。「その勝者とやりたい」。今度こそ現役復帰の目的である海外ビッグマッチを-。21年こそ実現させたい。【河合香】

◆世界戦での日本選手対決 67年のスーパーフェザー級が最初で、王者沼田から小林が12回KOで奪取した。今回が46試合目。統一戦、決定戦の各3試合を除くと王者の31勝9敗となった。今回と同じ世界王者経験者の対決は15試合目。団体統一戦1試合を除き、暫定王者との統一戦を含めて王者が11勝3敗。いずれも王者が勝率7割超。

8回、田中(手前)をTKОで破り、喜ぶ井岡(撮影・菅敏)
8回、田中恒成(手前)をTKОで破り、雄たけびを上げる井岡一翔(撮影・菅敏)
試合後、田中(右)と抱き合い健闘をたたえ合う井岡(撮影・菅敏)

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井岡強かった「拳重み違う」大一番制し海外統一戦へ

8回、田中恒成(手前)をTKОで破り、雄たけびを上げる井岡一翔(撮影・菅敏)

WBO世界スーパーフライ級王者井岡一翔(31=Ambition)が完勝TKOでV2を飾った。5、6回に左フックを浴びせ、同級1位田中恒成(25=畑中)を連続ダウンさせた。8回にも左で崩すと即座にレフェリーが止め、8回1分35秒TKO勝ち。日本男子初の4階級制覇達成者として宣言通り“レベチ”な勝利で、最速での同2人目を狙った田中に世代交代を許さなかった。9度目の大みそかで国内開催は8戦全勝。自身の日本選手世界戦最多勝利数を17に伸ばして20年締め。21年こそ海外で統一戦をもくろむ。

   ◇   ◇   ◇

井岡は左フック3発で田中を仕留めた。5回にロープを背にしたが、カウンターで最初のダウンを奪う。田中が反撃も「ふっきれて出てきた。熱くならずに見せつけようと思った」。冷静に見極め6回にもダウンを奪う。8回もぐらつかせると、ダウンする前にレフェリーが田中を抱きかかえた。世代交代を狙った若武者の前に、堂々と立ちはだかってはね返した。

左目の下は青く腫れていた。2回に右ストレートをもらった。「予想外に伸びてきてもらった。ダブって見えた」という。序盤にピンチがあったが「気持ちに余裕を持って戦えた」。4回までの採点はほぼ五分も、田中をレッスンするかのように見切っていた。

46度目の日本選手対決で初の複数階級制覇経験者同士も、井岡は「ビッグマッチではない」と言ってきた。実力差の部分を問われると「本質的にすべて。レベル、格が違う」と。試合後も「男として結果で証明できた。有言実行できてよかった。若い選手に負けられない。まだトップに君臨し続けたい」と胸を張った。

すでに2階級を制した世界王者だった13年の夏、高3の田中とスパーリングをしたことがあった。井岡には記憶にもなかった。田中のほぼ倍の中身の濃い27戦をこなしてきた。1度は引退、2度苦杯も喫した。日本人とは8年ぶりの対戦も、負けたことがない。

「勢いだけでは勝てない。背負うもの、経験した分、拳の重みが違う」。井上尚弥と並んでいた日本選手の世界戦勝利を17に伸ばし、再び単独トップになった。日本人初の4階級制覇というプライド、実力を見せつけ、コロナに振り回された20年も井岡が締めた。

大みそかに負けたのは、18年、唯一海外開催だったマカオだけで、8勝(6KO)とした。「節目の10回目まで頑張っていこうと思う」。早くも1年後の大トリを口にしたが、その前に大目標がある。

WBC王者ファン・エストラーダ(メキシコ)と、WBA王者ローマン・ゴンサレス(ニカラグア)が、3月に統一戦を予定する。「その勝者とやりたい」。今度こそ現役復帰の目的である海外ビッグマッチを-。21年こそ実現させたい。【河合香】

◆世界戦での日本選手対決 67年のスーパーフェザー級が最初で、王者沼田から小林が12回KOで奪取した。今回が46試合目。統一戦、決定戦の各3試合を除くと王者の31勝9敗となった。今回と同じ世界王者経験者の対決は15試合目。団体統一戦1試合を除き、暫定王者との統一戦を含めて王者が11勝3敗。いずれも王者が勝率7割超。

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<プロボクシング:WB0世界スーパーフライ級タイトルマッチ12回戦>◇31日◇東京・大田区総合体育館

WBO世界スーパーフライ級王者井岡一翔(31=Ambition)が、世代交代を阻止するV2を飾った。日本人2人目の4階級制覇を狙った同級1位田中恒成(25=畑中)と対戦。8回1分35秒、TKO勝ちで、プライドを示した。9度目の大みそかで国内は負け知らずの8勝目となり、日本人の世界戦最多勝利を17に伸ばした。2021年こそ海外、統一戦のビッグマッチへ挑む。

 ◇   ◇   ◇

新型コロナウイルス感染症に振り回された20年も、井岡が最後を締めた。5、6回にダウンを奪い、8回に左アッパーを見舞い、田中が倒れそうになったところをレフェリーが止めた。貫禄を示した王者は「格の違いを見せると言い続けてきた。口だけで終わるわけにはいかなかった。(田中の)速さは前から分かっていたが、さすがの実力だなと思った。(ダウンを奪ったシーンは)タイミングで、狙ったパンチでも何でもない」と振り返った。相手をしっかりたたえ「ディス・イズ・ボクシング」と、競技の魅力もしっかりアピールした。

46度目の日本選手対決で初の複数階級制覇王者同士。世紀の一戦ともいえたが、井岡にはルーティンと言える大みそかの戦い。負けは18年に4階級制覇に挑戦した唯一海外開催のマカオだけ。国内では過去7勝(5KO)の晴れ舞台で、きっちり大トリを飾ってみせた。

「ビッグマッチではない」と言ってきた。同じミニマム級からスタートした田中。すでに2階級を制した世界王者だった13年の夏、まだ高3だった相手とスパーリングした。田中は「強かった」と強烈な印象が残るが、井岡は記憶にもなかった。

挑戦者田中のほぼ倍の中身の濃い27戦をこなしてきた。1度は引退、2度苦杯も喫した。日本人相手は八重樫と激闘を演じた2団体統一戦以来8年ぶり。実力差の部分を問われると「本質的に持っているものが違う。すべて。レベル、格が違う」と言い続けてきた。

10月まで実戦練習からは離れ、ピラティスに週1回取り組んだ。頭と体を連動させ、筋肉を意識して使うことで、試合で無意識でも瞬発的に力を引き出せるという。女性向けと思われがちだが、発案者ピラティス氏は元ボクシング指導者と知り、意欲は増した。

11月からスパーに入ると、同門となった元世界王者比嘉らと約100回をこなし、手応えも得ていた。コロナ禍で恒例の米ラスベガス合宿には行けなかったが、オンライン指導を受けた。そのサラス・トレーナーが11月末に試合のためロンドン入りした際に感染が判明したが試合には間に合い、心強いチーフセコンドでリードしてくれた。

WBC王者ファン・エストラーダ(メキシコ)と、WBA王者ローマン・ゴンサレス(ニカラグア)が、3月に統一戦を予定している。今度こそ現役復帰の目的である海外ビッグマッチを実現したい。世代交代、下克上を阻み、21年こそ海外へ打って出る。

◆井岡一翔(いおか・かずと)1989年(平元)3月24日、大阪・堺市生まれ。興国高で史上3人目の高校6冠を達成。東農大2年中退で09年プロデビュー。11年に当時日本最速7戦目でWBC世界ミニマム級王座、12年にWBAライトフライ級、15年に18戦目の当時世界最速でWBAフライ級王座獲得。17年に引退も18年に復帰。昨年再挑戦でWBOスーパーフライ級王座を獲得し、日本初の4階級制覇達成。164センチの右ボクサーファイター。家族は夫人と1男。

1回、田中(右)の顔面に左フックをヒットさせる井岡(撮影・菅敏)
1回、井岡(左)の顔面に右ストレートをヒットさせる田中(撮影・菅敏)

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井岡と田中の世界戦、過去の日本人対決は王者が圧倒

井岡一翔(左)と田中恒成

<プロボクシング:WB0世界スーパーフライ級タイトルマッチ12回戦>◇31日◇東京・大田区総合体育館

WBO世界スーパーフライ級王者井岡一翔(31=Ambition)と日本人2人目の4階級制覇を狙う同級1位田中恒成(25=畑中)の大みそかの大一番のゴングが鳴る。

世界複数階級制覇経験者の日本人の男子対決は初めて。

 ◇   ◇   ◇

◆複数階級制覇 世界最多はオスカー・デラホーヤ(米国)とマニー・パッキャオ(フィリピン)の6階級で、5階級が7人いる。日本のジム所属選手では、4階級の井岡一翔が男子最多、世界で20人目だった。アジアではパッキャオ、5階級のノニト・ドネア(同)、ドニー・ニエテス(同)に続き4人目。ミニマム級からはレオ・ガメス(ベネズエラ)、ローマン・ゴンサレス(ニカラグア)、ニエテスに続き4人目。国内で3階級は亀田興毅、ホルヘ・リナレス、八重樫東、長谷川穂積、井上尚弥、田中恒成に井岡で7人いる。2階級制覇はファイティング原田から京口紘人まで17人。女子はアマンダ・セラノ(プエルトリコ)の7階級が最多で、国内は藤岡奈穂子の5階級が最多。

 ◇   ◇   ◇

◆世界戦での日本選手対決 67年のスーパーフェザー級が最初で、王者沼田から小林が12回KOで奪取した。過去45試合ある。統一戦、決定戦の各3試合を除くと王者の30勝9敗。今回と同じ世界王者経験者の対決は過去14試合ある。団体統一戦1試合を除き、暫定王者との統一戦を含めて王者が10勝3敗。いずれも王者が勝率77%となっている。

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井岡一翔、大みそか決戦圧勝予告「格の違い見せる」

井岡一翔(2019年12月29日撮影)

ボクシングWBO世界スーパーフライ級王者井岡一翔(30=Ambition)が、大みそか決戦へ揺るぎない自信を見せた。

同級1位田中恒成(25=畑中)と31日に東京・大田区総合体育館でV2戦。初の日本人4階級制覇王者として、2人目を狙う相手を迎え撃つ。24日にオンライン会見し、格の違いを見せつけると圧倒勝利を予告した。

井岡には9度目の大みそか決戦で、初の日本人対決となる。過去45度の日本人対決があったが、複数階級制覇王者同士は初。注目の大トリとなるが、井岡は「僕の中ではビッグマッチでも、注目カードでもない」と言い切った。

27戦の実績に引退、挑戦失敗の経験も積んできた。田中は半分の15戦で、調整なしでの同級挑戦に、井岡優位と言われる。「階級とかスタイルでなく、本質的に持っているものが違う。レベル、格の違いを見せる。どの部分でも差を見せられる」。11月の世界戦発表時と変わらず、自信満々の言葉を連ねた。

コロナ禍で1年ぶりの試合も、新たな手応えもある。今年に入ってから週1回ティラピスに取り組んだ。「頭と体を連動させるもの。新たな発見もあった。いい動きにつながっている効果がある」。その成果で制限のある中、同門となった元世界王者比嘉らとのスパーリングも約100回こなしてきた。

普段は米ラスベガスでキャンプを張り、高地でのロードワークとスパーをこなす。サラス・トレーナーと対策を徹底してきた。今回は渡米できない上、11月にサラス氏がコロナに感染した。

幸い重症化はせず、LINEでやりとりし、オンライン指導を受けて「特に問題なかった」。29日にはチームに合流してチーフセコンドに入れる。「1年ぶり。早く会いたい」と井岡には何よりの朗報となった。

練習も公開したが、オンライン制限もあってストレッチとシャドーを5分程度披露するにとどまった。「調整前は不安もあったが、いい状態に仕上がった。今年最後の日に日本が盛り上がる試合をしたい」。

来年3月にはWBC王者ファン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)と、WBA王者ローマン・ゴンサレス(ニカラグア)の統一戦が予定されている。「勝者とやりたい」。現役復帰した目的は海外でのビッグマッチ。大みそかはその通過点で圧勝を確信していた。

田中恒成(2019年12月31日撮影)

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ロマゴン初防衛、後半ペースつかみ3-0判定勝ち

ローマン・ゴンサレス(2019年12月22日撮影)

ボクシングのトリプル世界戦が23日にメキシコ市で行われ、WBA世界スーパーフライ級王者ロマゴンことローマン・ゴンサレス(33=ニカラグア)が初防衛に成功した。3度目の世界挑戦となる同級3位イスラエル・ゴンザレス(23=メキシコ)に3-0で判定勝ちした。

ロマゴンは後半に連打でペースをつかんだ。判定となったが4~8ポイント差と危なげなく勝利。2月に王座に返り咲いて以来の試合で50勝目をマークした。

メインはWBC世界同級王者ファン・フランシスコ・エストラーダ(30=メキシコ)が、逆転TKOでV2を果たした。元世界王者で同級3位カルロス・クアドラス(32=メキシコ)との3年ぶりの再戦だった。

エストラーダは3回に連打でダウンを喫してリードされた。激しい打撃戦となったが、11回に右アッパー、左フックでダウンを奪い返す。右で2度目のダウンを奪い、試合続行もアゴをはね上げるとレフェリーストップ。11回2分2秒TKOとなった。

前回もダウンを喫して小差の判定勝ち。今回も同じ展開になったが、きっちりと決着をつけた。クアドラスは4年ぶり王座返り咲きならず。ロマゴンとエストラーダの団体統一戦実現が期待される。

WBC世界フライ級王者フリオ・セサール・マルチネス(25=メキシコ)は2回TKOでV2に成功した。初回に右ストレートから左フックでダウンを奪い、2回に連打するとレフェリーストップ。2回分42秒TKO勝ちとなった。

挑戦者のモイセス・カジェロス(31=メキシコ)は挑戦予定だったマキシミノ・フローレス(メキシコ)が新型コロナウイルスで陽性となり、急きょ対戦が決まった代役。前日計量では2・4キロの体重超過し、相手にならなかった。

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ロマゴン、王座返り咲き後の初防衛戦へ計量クリア

ローマン・ゴンサレス(2019年12月22日撮影)

ボクシングのトリプル世界戦の前日計量が22日にメキシコ市で行われた。WBA世界スーパーフライ級王者のロマゴンことローマン・ゴンサレス(33=ニカラグア)は、同級3位イスラエル・ゴンザレス(23=メキシコ)とともにリミットより400グラム少ない51・7キロでクリアした。ロマゴンは3月に王座に返り咲いての初防衛戦。ゴンザレスは3度目の世界挑戦となる。

メインのV2戦となるWBC世界同級王者ファン・フランシスコ・エストラーダ(30=メキシコ)と、元2階級制覇王者で同級3位カルロス・クアドラス(32=メキシコ)も51・9キロでパスした。両者は3年前に対戦して、エストラーダが小差で判定勝ちしている。

V2戦のWBC世界フライ級王者フリオ・セサール・マルチネス(25=メキシコ)は、リミットから500キロ以下の50・3キロでクリアした。挑戦者のモイセス・カジェロス(31=メキシコ)は2・4キロオーバーで、2時間後の再計量でも落とせず。試合は実施されるが、カジェロスが勝っても王座は移動はしない。当初挑戦予定だったマキシミノ・フローレス(メキシコ)が新型コロナウイルスで陽性と判定され、急きょ対戦が決まった代役だった。

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全力で相乗効果も…松本トレーナー語る八重樫の強さ

松本トレーナー(左)とのミット打ちを消化する元3階級制覇王者八重樫東(2019年3月5日撮影)

<ボクシング、「激闘王」八重樫東を語る~4>

元世界3階級王者・八重樫東(37)が現役引退を発表した。激しく打ち合うスタイルから「激闘王」と呼ばれた名王者を、選手、関係者、歴代担当記者などが語ります。デビューから15年間コンビを組んできた、元東洋太平洋フェザー級王者の松本好二トレーナー(50)は、類いまれな精神力の強さが、世界王者につながったと振り返りました。

 ◇    ◇   

世界の舞台で、これだけ長く一緒に戦ってこられたのは、僕にとっても最高の財産です。あらためて思い返してみると、大橋ジムに入ってきた時は、今のように、「とことん頑張る」というタイプの選手ではなかったんです。それが川嶋(勝重)の練習への姿勢を見たり、後輩に(井上)尚弥が入ってきたりする中で、どんどん良い方に変わっていきました。尚弥は、階級も近く、比較もされますし、「自分」を持っていない選手だったら、気持ち的にもぶれる環境だったと思いますが、八重樫は最後までぶれなかったですね。

激しい打ち合いの連続で、身内からしたらハラハラする選手でしたが、無事に引退を迎えられて、寂しい半面、トレーナーとしても、キャリアをまっとうさせてあげられたのかなという自負もあります。

忘れられないのは、日本王者時代ですね。けがの連続で、万全の状態でリングに立つことがほとんどできませんでした。実際、会長は「引退」も考えていましたし、2度目の防衛戦の初回にダウンした時は、「厳しいかな」と思いました。でも、その試合を逆転で勝ちきって、そこから、吹っ切れたように世界が近づいていった感じがします。

八重樫の練習を受けるのは、こちらも真剣勝負です。普通の選手は、トレーナーとのミット打ちは、だいたい1日に3~4ラウンド程度なのですが、八重樫は多いときは、10ラウンドを超えます。僕も体力的に相当きついですが、八重樫がすべてのラウンドを全力でくるから、こっちも、少しでも良いコンディションにしてあげたいと、相乗効果が生まれるんです。その姿勢は、世界王者になっても変わらなかったですね。

八重樫のボクシングへの向き合い方は、後輩ボクサーの手本になると思います。負けても一生懸命頑張ればチャンスがくるんだというのを背中で示してくれましたし、試合の結果がすべてではないということを伝えてくれました。

世界王座を取ったポンサワン戦の前に、実は別の世界王者に挑戦する話がほぼ決まっていたんですが、東日本大震災で試合が流れてしまったんです。僕も現役時代に世界に3度挑戦させてもらっていますし、何年も待ってつかみかけたチャンスですから、その悔しさは分かります。

なので、会長に「1週間ぐらい休ませたい」とお願いし、リフレッシュするように八重樫に伝えたんです。ところが、「他にやることがないんで、練習してもいいですか?」と言ってきました。自分の現役時代と比較し、「こういうやつが世界王者になるんだろう」と、その時に思いました。

いろんな激闘がありましたが、やはりロマゴン(ローマン・ゴンサレス)戦は特別でした。前半は足をつかう作戦だったんですが、1ラウンドを終えてコーナーに戻ってくると、八重樫が「打ち合いたいです」と言ってきたのです。わずか60秒のインターバルですから、長く話すことはできませんし、相手と向き合って八重樫が感じた「風」が正解なんだと僕も覚悟を決めました。「行くのか?」「行きます!」「止めてもいくんだろ?」「はい!」。そんな短い会話をかわした、八重樫は楽しそうな笑顔でした。そのシーンが写真で残っていて、それは僕にとっても特別な1枚ですね。

その試合で結果(9回TKO負け)は残せませんでしたが、世界戦が決まれば、2人で作戦を立てて、何カ月も前から、その日に向かって作りあげていきます。八重樫が世界を取って以降は、「俺は教える立場かもしれないが、ずっと一緒に戦ってきた同士だと思っている」と言ってきました。あらためて、15年間、ありがとう、お疲れさまと伝えたいですね。これからは、八重樫の持っているトレーニング方法や減量の知識を1人でも多くの後輩に伝えていってほしいですね。

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さらば「激闘王」八重樫東!殴られ殴った/写真特集

ボクシングの元世界3階級制覇王者・八重樫東(37=大橋)が1日、横浜市内の所属ジムで会見し、現役引退を発表した。「本日、9月1日をもちまして、引退することを決意しました。たくさんの応援をしていただき、一生懸命、プロボクシングができたことを誇りに思います。ありがとうございました」。思い出の試合に、WBC世界フライ級王者時代のローマン・ゴンサレス戦をあげ、「常に前を向いて、今日よりも明日がいい日になればいいと進んできたので、後悔はない。15年間、一生懸命走ってきたつもり。人間なので転ぶ時もあれば、休む時もあったが、それでいいと思っている。100メートル走ではなく、マラソン。今日、こうやって完走できてうれしく思う」と山あり谷ありの現役生活を振り返った。

大橋秀行会長 中身の濃い15年だった。最初の世界戦でケガして引退してもおかしくない。引退勧告も何度もしたが、ここまで大きく人間としても成長するとは、こちらも教えられた。負けて大歓声は八重樫以外見たことない。いろんなトレーニングを採り入れ、食事や減量など日本で一番知識がある。精神力はもちろん、科学的研究も熱心だった。後輩に教えてもらい、第2の八重樫を育てていきたい。

デビュー戦からコンビを組んできた松本好二トレーナー (日本王者時代に)けがでもう辞めた方がいいと思う時期もあったが、諦めずによく世界王者になってくれた。一緒に歩めたのはトレーナー冥利(みょうり)に尽きる。

11年10月25日、チャンピオンベルトを掲げ「ベルトとったぞー」と絶叫する八重樫

14年9月5日、王者陥落した八重樫は、WBCから贈られたメダルをかけて引き揚げる

14年9月5日、9回、八重樫(右)はゴンサレスの左アッパーをまともに受ける

WBC世界ミニマム級タイトルマッチ(07年6月4日・初王座奪取に失敗)

八重樫東判定
0-3
イーグル京和

07年6月4日、WBC世界ミニマム級選手権 イーグル京和対八重樫東 12回終了と同時に判定負け覚悟したようにうなだれる八重樫東

07年6月4日、WBC世界ミニマム級選手権 イーグル京和対八重樫東 4回、八重樫東(左)にフックを打ち込むイーグル京和

07年6月5日、WBC世界ミニマム級タイトルマッチ・イーグル京和戦で上あごの両側骨折の重傷を負った八重樫東のエックス線写真

WBA世界ミニマム級タイトルマッチ (11年10月24日・WBA初王座奪取)

八重樫東10R
TKO
ポープラムック

11年10月24日、WBA世界ミニマム級で新チャンピオンに輝いた八重樫(中央)は大橋会長(左)と彩夫人からキスの祝福を受ける。前列は長男の圭太郎くんと長女の志のぶちゃん

11年10月24日、10回TKO勝ちで新王者となり、キャンバスに寝転がって喜ぶ八重樫

11年10月24日、8回、ポンサワン(右)に強烈なパンチを見舞う八重樫

WBA・WBC世界ミニマム級王座統一戦(12年6月20日・WBA王座陥落)

八重樫東判定
0-3
井岡一翔

12年6月20日、健闘をたたえて抱き合う統一王者となった井岡(左)と八重樫

12年6月20日、8回、顔面が腫れた八重樫(左)は井岡に強烈なパンチを浴びせる

12年6月20日、9回、腫れた顔面で井岡(右)にパンチを浴びせる八重樫

12年6月20日、八重樫のシューズには長男圭太郎君の名前が入っていた

WBC世界フライ級タイトルマッチ(13年4月8日・WBC・リングマガジン王座獲得 )

八重樫東判定
3-0
五十嵐俊幸

13年4月8日、11回、五十嵐(右)を圧倒的に攻め、ガッツポーズする八重樫

13年4月8日、9回、八重樫東(左)の左が五十嵐俊幸の顔面をとらえる

WBC世界フライ級タイトルマッチ(13年8月12日・WBC王座初防衛)

八重樫東判定
3-0
ブランケット

13年8月12日、防衛に成功した八重樫は大橋会長(中央右)ら陣営に祝福される

13年8月12日、WBC世界フライ級タイトルマッチ 7回、オスカル・ブランケット(左)の顔面にパンチを見舞う八重樫

WBC世界フライ級タイトルマッチ(13年12月6日・WBC王座2度目の防衛)

八重樫東3-0
12R判定
ソーサ

13年12月6日、WBC世界フライ級タイトルマッチ 八重樫東対エドガル・ソーサ 判定でエドガル・ソーサに勝利し、2度目の防衛を飾った八重樫東(中央)は次女一永ちゃんにキス。左から松本好二トレーナー、長女志のぶちゃん、2人おいて長男圭太郎君、大橋秀行会長

13年12月6日、11回、ソーサ(右)の顔面に左フックをヒットさせる八重樫

WBC世界フライ級タイトルマッチ (14年4月6日・WBC王座3度目の防衛)

八重樫東9R
KO
サレタ

WBC世界フライ級タイトルマッチ(14年9月5日・WBC王座陥落 )

八重樫東9R
TKO
ローマン・ゴンサレス

14年9月5日、9回、ゴンサレス(手前)にダウンを奪われTKO負けとなった八重樫

14年9月5日、9回、レフェリーストップとなった八重樫に声をかける大橋会長

14年9月5日、死闘を繰り広げたゴンサレス(左)と八重樫。6回にはクロスカウンター気味にお互いのパンチが入る

WBC世界ライトフライ級王座決定戦 (14年12月30日・WBC王座奪取失敗)

八重樫東7R
KO
ゲバラ

7回、八重樫(左)はゲバラの強烈な左フックをボディーに食らい、崩れ落ちる(撮影・山崎安昭)

IBF世界ライトフライ級タイトルマッチ (15年12月29日・IBF王座獲得)

八重樫東3-0
判定
メンドーサ

IBF世界ライトフライ級タイトルマッチ (16年5月8日・IBF王座防衛)

八重樫東2-1
判定
テクアペトラ

16年5月8日、防衛に成功しながらもリングを降りる際、手を合わせる八重樫

16年5月8日、11回、テクアペトラ(右)の顔面に強烈なパンチを見舞う八重樫

IBF世界ライトフライ級タイトルマッチ (16年12月30日・IBF王座2度目の防衛)

八重樫東12R
TKO
ゴーキャットジム

16年12月30日、12回、ラッシュする八重樫

IBF世界ライトフライ級タイトルマッチ (17年5月21日・IBF王座陥落 )

八重樫東1R
TKO
メリンド

17年5月21日、1回、メリンド(手前)から1度目のダウンを奪われる八重樫

17年5月21日、1回、メリンド(手前)から1度目のダウンを奪われるパンチを浴びる八重樫

IBF世界ライトフライ級タイトルマッチ (19年12月23日・IBF王座奪取失敗)

八重樫東9R
TKO
ムザラネ

19年12月23日、観客に深々と頭を下げる八重樫

19年12月23日、9回、ムザラネ(右)から右ストレートを食らう八重樫

◆八重樫東(やえがし・あきら)1983年(昭58)2月25日、岩手・北上市生まれ。黒沢尻工3年でインターハイ、拓大2年で国体優勝。05年3月プロデビュー。06年東洋太平洋ミニマム級王座獲得。7戦目で07年にWBC世界同級王座挑戦も失敗。11年にWBA同級王座を獲得し、13年にWBCフライ級王座を獲得して3度防衛。15年にIBFライトフライ級王座を獲得し、日本から4人目の世界3階級制覇を達成した。2度防衛。160センチの右ボクサーファイター。通算28勝(16KO)7敗。家族は彩夫人と1男2女。

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両目腫れても「もともと細い」続行/八重樫3番勝負

12年6月20日、9回、腫れた顔面で井岡(右)にパンチを浴びせる八重樫

ボクシングの元世界3階級制覇王者・八重樫東(37=大橋)が1日、横浜市内の所属ジムで会見し、現役引退を発表した。

<八重樫の激闘3番勝負>

◆統一戦 12年6月20日(大阪府立体育会館)11年にWBAミニマム級王者となり、初防衛戦でWBC同級王者井岡一翔との日本男子初の2団体王座統一戦に臨んだ。序盤から互角も初回で左、3回に右目を腫らしながら打ち合い。左はほぼ見えなくなっていたが、ドクターチェックには「もともと目が細い顔」と訴えて続行。最後までリングに立ち続け、判定負けも1、2ポイントの小差だった。

◆無敵相手 14年9月5日(代々木第2体育館)WBCフライ級王者のV4戦で、自ら名乗りを上げて3階級制覇を狙う39戦全勝(33KO)のローマン・ゴンサレス(ニカラグア)と対戦した。3回には左フックでダウンしたが、立ち上がると両拳を当てて、覚悟を決めて真っ向勝負に出た。リング中央でも打ち合って応戦したが、9回にコーナーに崩れ落ちてレフェリーストップされた。

◆偉業達成 15年12月29日(有明コロシアム)3階級制覇に2度目の挑戦で、IBFライトフライ級王者ハビエル・メンドサ(メキシコ)と対戦した。初回から足を使ってリードも、7回に急に足が止まってロープを背負った。インターバルで亡き祖母の遺影を見せられて奮起。王者の反撃にも逃げずに打ち合って、結果的には大差の3-0判定勝ち。日本人4人目の3階級制覇を果たした。

9回、ゴンサレスに右アッパーを見舞う八重樫東(撮影・たえ見朱実)

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