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山中慎介「神の左」ロハス病院送り/三浦隆司の一撃

WBC世界バンタム級タイトルマッチ 山中慎介対トマス・ロハス 7回、左ストレートでトマス・ロハス(右)をKOした山中慎介(2012年11月3日撮影)

<ボクシング、忘れられない一撃~3>

一発のパンチですべてが変わるボクシング。選手、関係者が「あの選手の、あの試合の、あの一撃」をセレクトし、語ります。強打を武器に、米国でも活躍した元WBC世界スーパーフェザー級王者三浦隆司氏(35)は、同じ帝拳ジムに所属した山中慎介氏の「ロハス戦の左ストレート」を挙げました。(取材・構成=奥山将志)

    ◇    ◇

▼試合VTR 11年11月にWBC世界バンタム級王座を獲得した山中慎介が、2度目の防衛戦(12年11月、ゼビオアリーナ仙台)で、元WBCスーパーフライ級王者トマス・ロハス(メキシコ)を迎え撃った。7回36秒、山中が連打で距離を詰めると、最後はロハスの顎に、至近距離からねじこむような左を打ち抜いた。意識を失ったロハスは、前のめりにキャンバスに倒れこみ、ダメージの大きさから、試合後の取材もキャンセル。病院に直行した。この試合から5試合連続でKO防衛を果たすことになる山中。日本歴代2位のV12を果たした名王者が、「神の左」の威力を存分に見せつける一戦となった。

    ◇    ◇

あれは、本当にすごいパンチでした。ロハスが人形のように前に崩れ落ち、ファンがどっと沸いたかと思えば、ピクリとも動かない姿に、少しずつ会場が静まりかえっていったのを覚えています。

山中さんといえば、ワンツー。フィニッシュのほとんどがワンツーからの左ストレートでした。ただ、この試合は、めずらしく、コンビネーション4発で仕留めました。力みのないパンチで警戒を散らし、最後は左。ディフェンスに追われたロハスは、最後のパンチはまったく見えていなかったと思います。

僕も同じサウスポーでしたが、山中さんのパンチは特別でした。ダメージを与えるのではなく、下半身の力を上半身に伝え、一発で相手の意識を断ち切るパンチです。だからこそ、見る人が「当たれば倒せる」というワクワク感を感じていたんだと思います。

あの当時、僕は世界初挑戦(内山高志戦)に失敗し、帝拳ジムに移籍して再びチャンスがくるのを待っていたころです。山中さんとは練習時間も同じでしたし、山中さんの背中を追いかければ、僕もいつか世界王者になれると思っていました。練習中は、どんなメニューをやっているのか、どんなパンチを打っているのかを横目で見ていました。

左ストレートだけで勝ち続けた山中さん。多くの印象的なKOパンチがありましたが、あらためて考えても、あのロハス戦の一撃は恐ろしいですね。

◆三浦隆司(みうら・たかし)1984年(昭59)5月14日、秋田・三種町生まれ。金足農時代に国体優勝。横浜光ジムに所属し、03年7月プロデビュー。11年1月、内山高志戦で世界初挑戦。同年に帝拳ジムへ移籍。13年4月にWBC世界スーパーフェザー級王座を獲得し、4度防衛。17年に現役を引退し、現在は秋田県体育協会テクニカルアドバイザーとして高校生などを指導している。プロ37戦31勝(24KO)2分け4敗。169センチの左ファイター。家族は彩美夫人と1男1女。強打から、愛称はボンバーレフト。

WBC世界バンタム級タイトルマッチ 山中慎介対トマス・ロハス 7R、山中慎介(右)はトマス・ロハスに左ストレートを放ちKO勝ちする(2012年11月3日撮影)
三浦隆司氏

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井上尚弥にIBFベルト授与、新旧世界王者が集結

IBF総会に出席し、ベルト授与式に出席したWBA・IBF世界バンタム級王者井上(中央)(セカンドキャリア提供)

ボクシングWBA・IBF世界バンタム級王者井上尚弥(26=大橋)が30日夜、マカオでIBFベルトを授与された。

27日から同地のウィンパレスで開催される第36回IBF総会内のイベント「ミート・ザ・チャンプス」カクテルソワレに出席。IBFから新品のベルトと盾を贈呈された。18日、英グラスゴーで開かれたワールド・ボクシング・スーパーシリーズ準決勝で、IBF王者エマヌエル・ロドリゲス(26=プエルトリコ)に2回TKO勝ちし、同王座奪取に成功していた。

今回、IBFから出席が発表されていた元統一ヘビー級王者マイク・タイソンの姿はなかったものの、計10人の新旧世界王者が集結。井上は、プロ20戦目という当時の世界最速で3階級制覇を成し遂げたジェフ・フェネック氏(55)や、元WBC世界スーパーフェザー級王者三浦隆司氏にも挑戦した元IBF世界フェザー級王者ビリー・ディブ(33=ともにオーストラリア)らと檀上で並び、祝福を受けた。また会場では常にサインや写真撮影をお願いする行列ができるほどの人気だった。

IBF総会は6月1日まで続き、最終日にはIBF地域王座のタイトルマッチが予定されており、井上も1日までマカオに滞在する。

元3階級制覇王者フェネック氏(左端)、元IBF世界フェザー級王者ディブ(右端)らと檀上に並んだWBA・IBF世界バンタム級王者井上(セカンドキャリア提供)

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伊藤雅雪が王座陥落 2度目防衛に失敗/世界戦詳細

<プロボクシング:WBO世界スーパーフェザー級王座戦12回戦>◇25日(日本時間26日)◇米フロリダ州

ボクシングWBO世界スーパーフェザー級王者伊藤雅雪(28=横浜光)が25日(日本時間26日)、米フロリダ州キシミーで12年ロンドン・オリンピック(五輪)米国代表で同級7位のジャメル・へリング(33=米国)と対戦し2度目の防衛に失敗した。

この勝者が、17年7月に三浦隆司にも勝利したWBC王者ミゲル・ベルチェント(27=メキシコ)と2団体統一戦に臨む予定。伊藤はビッグマッチを逃した。

◆WBO世界スーパーフェザー級王座戦12回戦

伊藤雅雪判定 ヘリング

井上尚弥(左)と伊藤雅雪(2019年3月17日撮影)

【12回】伊藤は接近戦を挑むが、ヘリングにかわされる展開。伊藤は決定打のないまま終了のゴング。ヘリングは終始主導権を譲らなかった。伊藤は0-3の判定負け

【11回】ヘリングの右ジャブは的確。接近戦でもボディーを決める。伊藤はなかなか有効打を決められない。

【10回】接近戦の展開が続くが両者決め手に欠く。後半に入るとヘリングが足を使い、左ボディーなどを決めて再びペースを奪う。

【9回】流れをつかみかけた伊藤は接近戦を挑む。要所で右ストレートも決まる。ヘリングは疲労も重なり守勢にまわる。

【8回】開始から接近戦が続く。伊藤は左フック、右ストレートを決める。伊藤は接近戦に勝機を見いだす。頭をつけパンチを放つ。ヘリングのうまさを殺す作戦。伊藤が少し流れを取り戻す。

【7回】伊藤は積極的に前に出るが、パンチは単発。ヘリングはジャブを含め有効打は多い。

【6回】伊藤は懸命に接近戦に持ち込もうとするが、ヘリングにうまくかわされる。1分半にはヘリングの左が炸裂。伊藤は残り20秒で右ストレートを決めた。

【5回】伊藤か開始から果敢に前に出る。ヘリングは的確に左ストレートを決める。ヘリングが終了間際に左ストレートを連発。ペースは譲らない。

【4回】ヘリングが右ジャブから左ストレートを顔面に決める。中盤にもワンツー。伊藤は前進してパンチを放つもかわされる。接近戦を挑んでもうまくクリンチで逃げられた。

【3回】伊藤がヘリングの長いリーチをかいくぐり、懸命にパンチを放つが有効打は少ない。ヘリングは距離を保ち、的確に右ジャブを決める。

【2回】ヘリングは要所で左ボディーを決める。伊藤も手数が増えだし、残り1分で得意の右ストレートをたたき込んだ。残り30秒で右ボディーも決める。

【1回】178センチとリーチ長いヘリングのジャブ的確。伊藤も前に出て、積極的にパンチを放つ。自分の距離を保ったヘリングがペースを握る。

伊藤雅雪V2戦計量クリア「夢をもっと続けたい」

伊藤雅雪(18年12月撮影)

ボクシングWBO世界スーパーフェザー級王者伊藤雅雪(28=横浜光)が25日(日本時間26日)、米フロリダ州キシミーで12年ロンドン・オリンピック(五輪)米国代表で同級7位のジャメル・へリング(33=米国)と2度目の防衛戦に臨む。

24日には同地で前日計量に臨み、伊藤は129・4ポンド(約58・7キロ)、ヘリングも129・6ポンド(約58・8キロ)でクリアした。

試合トランクスには米ロサンゼルス合宿中に指導を受けるルディ・エルナンデス・トレーナーから命名された愛称「ザ・ジャッジ」の文字を刻み込んだ。O・J・シンプソン事件を担当した日系人裁判官ランス・イトウ氏に由来。「自分自身が試合の結果を決める」との意味を込める。エルナンデス・トレーナーと4月中旬から約1カ月間の現地合宿で左対策を練り「最善の答えを与えてくれた。勝つ方法を考えてくれる」と感謝した。

V2戦を前に米老舗ボクシング誌ザ・リングの取材にも応じた。インタビューでは伊藤は「以前もキシミーに来たので、家にいるような快適な環境。地元のファンもみんな素晴らしい」とアウェーとは考えていないことを明かした。第3子が生まれる予定を明かし「家族に対して責任があります。勝たなければならない。ボクシングで夢をもっともっと続けたい」と意気込んだ。

この勝者が、17年7月に三浦隆司にも勝利したWBC王者ミゲル・ベルチェント(27=メキシコ)と2団体統一戦に臨むとされる。伊藤は「世界的にも有名なベルチェントと対戦できる可能性があることが、自分のやる気になります。プレッシャーはないです」と気合を入れ直していた。

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名トレーナーが那須川絶賛 挙げた戦いのポイントは

葛西トレーナー(左)のミットを打つ那須川(撮影・鈴木正人)

ボクシング世界王者の元トレーナーが、31日のRIZIN14大会(さいたまスーパーアリーナ)で元5階級制覇王者フロイド・メイウェザー(41=米国)と戦う那須川天心(20)の可能性に太鼓判を押した。那須川は18日、所属ジムで練習を公開。ミット打ちの相手を務めた元帝拳ジムトレーナーの葛西裕一氏(49=用賀ボクシングジム グローブス代表)から、その才能を絶賛された。

那須川のパンチが、葛西氏のミットに突き刺さった。時折見せる右からの裏拳のようなジャブや、急に前にジャンプして打ちおろす左ストレート。スピードと、軽快なステップワークは、メイウェザーとの対戦が決まった1カ月前より、格段に進化していた。

帝拳ジムで、元WBC世界スーパーバンタム級王者西岡利晃、元WBC世界スーパーフェザー級王者三浦隆司らを育てた葛西氏が3分でふらふらになるほどの威力だった。「ボクシング界じゃ、『メイウェザーとやるなんてふざけるな』という感じですけど、ボクは天心は恥ずかしくないレベルにいると思う。天心はまだ負けてないし、可能性はある」と太鼓判を押した。

那須川は、メイウェザー戦が決まると、2日から2週間、米ラスベガスで本格的にボクシングの練習を積んだ。元世界3階級制覇王者ホルヘ・リナレスのジムで、リナレスと毎日4、5回のスパーリング。葛西氏は「ハンドスピードではメイウェザーより上」と評価。リナレスの顔面にパンチも当てたという。

スパーリングを終えた那須川は「KOで倒すというよりまず当てること。当たれば、階級に関係なく倒れるパンチを持っている」と自信をのぞかせた。メイウェザーがことあるごとに「エキシビション」と強調することに「自分の中では逃げてるんじゃないか」と挑発した。

葛西氏は「那須川の特長は頭の回転の速さと吸収力、そして動体視力。試合中に、メイウェザーのリズムをどれだけ吸収できるか。天才的な動体視力でどう危険を察知できるか」とポイントを挙げ、中学時代から教える愛弟子に期待を寄せた。【桝田朗】

葛西トレーナー(右)と笑顔で話す那須川(撮影・鈴木正人)

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リナレスにパンチ当てた、那須川を元世界王者ら支援

公開トレーニングでミット打ちする那須川(撮影・鈴木正人)

31日のRIZIN14大会(さいたまスーパーアリーナ)で、ボクシングの元5階級制覇王者フロイド・メイウェザー(41=米国)と、ボクシング・エキシビションマッチを戦う那須川天心(20)が18日、千葉県・松戸のテッペンジムで公開練習を行った。

那須川は、シャドーボクシング3分、ミット打ち3分を披露。ミット打ちでは、ボクシングの帝拳ジムで、、元WBC世界スーパーバンタム級王者西岡利晃、元WBC世界スーパーフェザー級王者三浦隆司らを育てた葛西裕一氏(49=用賀ボクシングジム グローブ代表)のミットに、葛西氏がふらつくほどの鋭いパンチを打ち込んだ。葛西氏は「ボクシング界じゃ、『メイウェザーとやるなんてふざけるな』という感じですけど、ボクは天心は恥ずかしくないレベルにいると思う。天心はまだ負けてないし、可能性はある」と、那須川の可能性に期待を寄せた。

那須川は、メイウェザー戦が決まると、2日から2週間、米ラスベガスで本格的にボクシングの練習を積んだ。元世界3階級制覇王者ホルヘ・リナレスのジムで、リナレスと毎日4、5回のスパーリング。「ハンドスピードではメイウェザーより上」と葛西氏がいうリナレスの顔面にパンチも当てた。

この日は、リナレスにアドバイスされたレスリングシューズを履いて練習。「グリップがすごく効いていて、ステップごとに動きやすい」と話した。スパーリングを終えた那須川は「KOで倒すというよりまず当てること。当たれば、階級に関係なく倒れるパンチを持っている」と自信をのぞかせた。メイウェザーがことあるごとに「エキシビション」と強調することに「自分の中では逃げてるんじゃないか」と挑発した。

ファイティングポーズする那須川(撮影・鈴木正人)
公開トレーニングでミット打ちする那須川(撮影・鈴木正人)

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元世界チャンプ三浦隆司氏、今度は教え子と世界へ

ミットを手に、生徒に指導する三浦氏

 プロボクシング元WBC世界スーパーフェザー級王者で、秋田・三種町出身の三浦隆司氏(33)が、故郷とボクシングへの恩返しを誓った。昨年7月に引退後、第2の人生を模索していたが、今年4月に同県体育協会の「テクニカルアドバイザー」に就任。すでに県内の小学生から高校生に対し、世界を経験した技術や精神面、練習方法などを伝え始めている。夢はボクシング普及と、教え子を世界王者に育てることだ。

 世界が認め「ボンバーレフト」と呼ばれたハードパンチャーに、今度は後継者育成のゴングが鳴った。異色の転身で大役を担った三浦氏は、母校の金足農、西目、秋田工の各校ボクシング部に出向いて毎週指導。金曜日には県内の小中学生を1カ所に集めてボクシング教室を開き、競技の楽しさを伝えている。

 三浦氏 正直、こんな良い話をいただけるなんて考えてもいなかった。引退した後もボクシングに携われることがうれしいし、仕事になるなんて幸せ者です。ボクシングに出会えたのも秋田ですし、故郷のボクシング界を盛り上げることができればいい。とても充実しています。

 昨年1月、ミゲル・ローマン(メキシコ)との世界王座決定戦でKOしたパンチは全米で中継され衝撃を与えた。左拳を弓矢のように引いて、足も引き、大きなモーションで相手腹部に突き刺した。だが、導くのは“ボンバースタイル”ではなく、1人1人にあった形や練習法の確立だ。パンチに一番力が入る体勢も違う。筋力トレーニングも適性に個人差がある。

 三浦氏 みんな知らないことがたくさんあるし、その分、成長する容量が大きい。若くて輝いているし、教えがいがある。何のためにやるのかをしっかり伝えなくてはいけない。高校生はしっかりとした打ち方や、連動したパンチを教えたいし、小中学生にも楽しさだけでなく、厳しさも知ってもらいたい。

 07年には5校50人いた県内の部員は、現在4校で30人弱まで激減。秋田からボクシング人口を増やす使命も担う。11日には高校総体中央支部大会で教え子たちが“デビュー”するのも心待ちにしている。

 三浦氏 自分が指導して最初の大会なのでケガなく終わること。次の目標を見つける試合にしてほしい。その次には県トップになって東北大会。いずれは全国出場、そして優勝。大学で活躍したり、プロになって世界に羽ばたいてくれれば最高。

 元世界王者の、新たな挑戦が始まった。【鎌田直秀】

 ◆三浦隆司(みうら・たかし)1984年(昭59)5月14日、秋田・三種町生まれ。金足農時代には国体優勝。横浜光ジムに所属し、03年7月プロデビュー。11年1月、内山高志戦で世界初挑戦。同年に帝拳ジムへ移籍。13年4月にWBC世界スーパーフェザー級王座を獲得し、4度防衛。昨年7月、ミゲール・ベルチェルト(メキシコ)に敗れて同級王座返り咲きに失敗し、現役引退を表明。プロ37戦31勝(24KO)2分け4敗。169センチ。左ファイター。家族は八竜中同級生の彩美夫人と1男1女。愛称はボンバーレフト。

自身の写真(右奥)が飾られている母校金足農のリング上で、生徒らと笑顔で記念写真に納まる三浦氏(中央)

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元王者アルバレスにネリと同様の禁止薬物陽性反応

 ボクシングの元2階級制覇王者サウル“カネロ”アルバレス(27=メキシコ)が、ドーピングで陽性反応を示した。カネロと契約する米ゴールデンボーイプロモーションが5日に明らかにした。5月5日に米ラスベガスでWBAスーパー&WBC&IBF統一世界ミドル級王者ゲンナジー・ゴロフキン(35カザフスタン)と再戦を予定している。

 カネロはグアダラハラでのキャンプ中で、2月に2回にわたって自主的に検査を受け、筋肉増強作用で禁止薬物のクレンブテロールが少量検出された。カネロは「驚いている。必要な検査をすべて受ける。最終的に真実が明らかになるものと思っている」との声明で潔白を主張。米国に練習拠点を移し、必要な検査を受けるという。ゴロフキン戦は昨年9月に行われ、三者三様の採点で引き分け。採点で物議を醸し、直接再戦することになっていた。

 最近になって、クレンブテロールは多くのメキシコ人選手から検出されている。16年には三浦隆司を下したWBC世界スーパーフェザー級王者フランシスコ・バルガスが初防衛戦前に陽性反応を示した。また、WBC世界バンタム級王者山中慎介のV13を阻んで王者となったルイス・ネリも、同様の禁止薬物ジルパテロールで陽性反応を示した。いずれも牛肉に違反薬物が混入しており、原因は汚染食品にあるというものだった。

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那須川公開スパ中止、古傷左足首「折れているかも」

元WBC世界スーパーフェザー級王者三浦隆司さん(右)とポーズをとる那須川天心(撮影・野上伸悟)

 キックボクシング界の神童、那須川天心(19)が17日、千葉・新松戸のTEPPENジムで予定されていた公開スパーリングを左足首負傷のため中止した。

 那須川は、父の弘幸氏(48)のジムオープン記念で、ボクシングの元WBC世界スーパーフェザー級王者三浦隆司さん(33)と公開スパーリングを行う予定だった。しかし、12日のKNOCK OUT大田区大会のスアキム戦後に古傷の左足首が腫れ、足をつけない状態となった。父弘幸氏は「月曜日に精密検査を受けるが、折れているかもしれない」と語り、3月24日のRISE後楽園大会は出場回避の可能性が高くなった。

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那須川天心が左足首負傷、元王者との公開スパー中止

那須川天心(2018年2月2日撮影)

 キックボクシング界の神童、那須川天心(19)が17日、千葉・新松戸のTEPPENジムで予定されていた公開スパーリングを左足首負傷で中止した。

 那須川は、父の弘幸氏(48)が新規オープンしたジムお披露目の記念として、ボクシングの元WBC世界スーパーフェザー級王者三浦隆司さん(33)と公開スパーリングを行う予定だった。しかし、12日のKNOCK OUT大田区総合体育館大会で強敵スアキム・シットソートテーウ(22=タイ)に5回判定勝ちした後に、古傷の左足首が腫れ、足をつけない状態となった。父・弘幸氏は「月曜日に精密検査を受けるが、折れているかもしれない」と語り、3月24日のRISE後楽園大会は出場回避の可能性が高くなった。那須川は、5月6日のRIZIN福岡大会や、6月17日のRISE幕張メッセ大会とビッグイベントを控えており無理はできない状態で、弘幸氏も「年末の前から痛めていたところ。無理はさせたくない。このあと1週間ぐらいで決めたい」と話した。

 那須川に代わって、三浦氏はジムの篠塚辰樹(19)と2回のスパーリングを行った。リングに熱い視線を注いでいた那須川は「プレッシャーのかけ方がすごい。上下の散らしのパンチも参考になった」と話していた。三浦氏は「実戦形式のスパーは引退してから初めて。那須川君には注目している。パンチの技術もパワーもすごい。ボクシングをやったとしても世界チャンピオンに絶対なれる。それぐらいのパンチがある」と話していた。

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那須川天心、元世界王者三浦隆司さんとスパー実施へ

前日計量を1発でクリアした那須川(左)とスアキム

 キックボクシング界の神童、那須川天心(19)がボクシングの元WBC世界スーパーフェザー級王者三浦隆司さん(33)とスパーリングを行うことが11日、分かった。父親が経営するTEPPENジム(千葉・松戸市)の17日のジム開きに合わせ、教えを請うことになった。

 那須川は今日12日のKNOCK OUT大田区総合体育館大会の前日計量に出席。過去最強の相手スアキム(タイ)とともに55・7キロでパスした。「日本代表としてしっかり倒す」とKO宣言し、スパーについても「三浦さんのスキルを盗みたい」と話した。

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村田諒太、王座奪取の尾川を祝福「いい流れ来てる」

勝利後にリング上でベルトを巻く尾川

<プロボクシング:IBF世界スーパーフェザー級王座決定戦>◇9日(日本時間10日)◇米ネバダ州ラスベガス・マンダレイ・ベイ・リゾート&カジノ

 IBF世界スーパーフェザー級4位尾川堅一(29=帝拳)が同級5位テビン・ファーマー(米国)を2-1の判定で下して世界初挑戦でベルトを手にした。以下は各界からの祝福コメント。

 ◆WBAミドル級王者村田諒太 気持ちが出ていた。人生初の海外で難しい面があったと思うが、リングに上がって強さを見せた。一瞬で踏み込む速さがある。僕も勝って尾川も勝って、いい流れが来ている。

 ◆ジムの先輩で7月に引退した元WBC世界スーパーフェザー級王者三浦隆司 右で活路を開いた。(自身は米国で活躍したが)追い越してどんどん上にいってほしい。

 ◆尾川の明大日本拳法部時代の先輩でノア所属のプロレスラー拳王 本当に良かった。アウェーで判定で勝ったのがすごい。オレも、22日の後楽園大会でGHCヘビー級王座に挑戦するので、尾川と同じように、頑張ってチャンピオンになろうと励みになった。

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内山高志氏、具志堅氏ら引退パーティーに1000人

内山高志氏(2017年7月29日撮影)

 ボクシングの元世界WBAスーパーフェザー級スーパー王者内山高志氏(38)の引退記念パーティーが、4日に都内のホテルで開かれた。ボクシングからは具志堅用高、ガッツ石松ら元世界王者の各氏に、卓球の石川佳純、タレントの大林素子ら、約1000人が駆けつけた。内山は当初700人程度を想定していたが、「声を掛けた9割の人が来てくれた。ありがたい」と感謝しきりだった。

 会場には2本のベルトや日本歴代3位となるV11を記す紙面などが飾られた。世界戦で対戦した三浦隆司、金子大樹らのビデオメッセージなども流された。歌手の太田裕美、AK69が歌で花を添えた。

 内山氏は現在も週3、4回のロードワークを欠かさず、2週間に1回程度のジムワークもこなしている。体重は63・5キロを維持。イベントや講演などの仕事をこなしているが、1日何もない日は「プータローになったみたい」と笑っていた。「教えることが好きだから。でもプロとかアマとかも悩んでいる」と話しながら、来年にはジム開設へのプランにとりかかっている。後楽園ホールでの引退式も予定している。

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尾川堅一、世界戦へ「いつでも戦える体」一問一答

尾川堅一(17年7月1日撮影)

 ボクシングの前日本スーパーフェザー級王者尾川堅一(29=帝拳)が12月9日(日本時間10日)、米ネバダ州ラスベガスのマンダレイベイ・イベンツセンターでIBF同級王座決定戦に臨む。

 相手は同級ランクで1つ下の5位テビン・ファーマー(27=米国)。74%のKO率を誇る強打者の尾川(22勝17KO1敗)に対し、ファーマー(25勝5KO4敗1分)はディフェンス力にたけた技巧派サウスポーだ。

 父の指導のもとで2歳のときに日本拳法を始め、大学卒業後にボクシングに転じた異色の経歴を持つ。「せるという自信がある」と言い切る尾川。試合を10日午後0時20分からWOWOWメンバーズ・オンデマンドで先行ライブ配信するWOWOWのインタビューに応じた。

 -小さいときから格闘技を続けているわけですが、尾川選手なりに追求しているものがありますか?

 尾川 いや、追求はないですね。気づいたときには格闘技をやっていたので、自分にはこれしかないと。やって当たり前という感覚ですね。でも、ボクシングを始めて日本一、世界一というものを初めて意識するようになりました。

 -プロ9戦目で敗北を喫したときは、どんな心境でしたか?

 尾川 負けた瞬間、頭が真っ白でした。ノーガードで殴っているところにカウンターをもらってしまったんです。ガードしろと言われてもできず、それでも勝つことができていたので「ボクシングってこんなものか」と思っていたところでした。あの負けがあったからこそ今の自分がある。負けが人を強くするということを実感しました。あのときの気持ちや痛みを覚えているので、その痛み以上のものはないと思ってます。

 -ボクシングの奥深さを知ったわけですね。

 尾川 そこはまだ分かりません。ボクシングは難しいし、まだまだ成長できる部分もあると思っています。たとえばジャブの打ち方や種類など、いまだに分からないことがありますから。でも、そういう点が自分の伸びしろ。ただ、取り組む姿勢の大切さは教わりました。いいかげんに取り組めばいいかげんのまま終わるし、しっかりと向き合えばチャンスは必ずくると。

 -試合が決まり、周囲から激励の言葉をかけてもらいましたか? 

 尾川 「おめでとう」ではなく、「やっと決まったね」という言葉がほとんどでした。みんな待っていてくれたんだなと感じました。拳法のときからそうなんですが、自分が勝つことによって先輩や後輩などまわりの人たちが喜ぶ姿を見るのがうれしいんです。プロになってからもそうです。自分のために戦いなよ、と言ってくれる人もいますが、それだとなぜだか頑張れない。誰かが喜ぶ姿を見るのが幸せなんです。家族ができてからは、子供たちが試合のDVDを見てはしゃいでいるので、それを見ているときが一番幸せですね。今回、玄関に置いてあった日本王者のベルトを返上したので、子供たちは悲しそうでした。だから「次に世界のベルトを持ってくるから」と約束したんです。

 -今回は東京以外で初の試合ですが、不安な点はありますか?

 尾川 コンディションや時差など、すべての点ですね。後楽園ホールの試合だと500人ぐらいが応援に来てくれるけれど、今回は1万人以上入る会場に20人ぐらいなので。もちろん、その声援は大きな力になりますが。完全アウェーのなかで戦うという不安はあります。あとは減量ですね。まったく違う環境で減量するわけですから。でも、海外での試合経験がある亀海(喜寛)選手などからアドバイスをいただくなど環境は整っているので、少しずつ不安は取り除かれてきています。

 -亀海選手からは、どんなアドバイスを?

 尾川 ラスベガスは乾燥がすごいと聞いています。湿気があった方が汗が出るんですが、最後は水分を控えて汗を出すことになるので。何があって何がないのか、分かる限りの情報は聞いて、準備して納得したうえで行った方がいいじゃないですか。

 -米国のファンを取り込むためには、それなりの戦いが必要になってくると思います。

 尾川 アメリカのファンを取り込もうという意識はないけれど、僕が勝つことで観客は熱狂すると思います。僕が勝つ=自然と会場の人たちは「オガワ」という名前を覚えてくれると思うので、意識せずともそうなるんだろうと思います。

 -今回の相手、ファーマはどんな印象ですか?

 尾川 避けるだけの選手、という感じです。僕が常に思っていることなんですが、もちろん避けることは大切なんですが、ボクシングは殴り合う格闘技であって避けるスポーツではないんですよね。だから避けてポイントになるという点は理解できない。殴って殴ってということを36分間(3分×12ラウンド)続ければ、相手は避け続けることは不可能だと思うし、どこかで手を出さなければならないので、そこまで(ファーマーの)スタイルを気にはしていません。避けるなら避けてください、自分はずっと殴り続けますよと。

 -ディフェンス以外で気になる点はありますか?

 尾川 全然ないですね。僕はどんどん自信を深めているんですが、逆にまわりが不安になって緊張していくのを感じて、ちょっと不思議な気分です。僕よりもまわりの人の方が研究してくれています(笑い)。日本王者のときはタイトルを取って当たり前みたいな雰囲気がまわりにありましたが、世界となると何か違うんでしょうね。まわりからも変な緊張感を感じて、それが面白いですね(笑)。

 -ファーマーはサウスポーです。左構えの相手に対する苦手意識は?

 尾川 キャリアの3分の1ぐらいはサウスポーと戦っているので、苦手意識はないですね。特別に得意だとも思っていないけれど、(パンチの当たる距離が)半歩遠くなるので少し疲れるかなという程度です。それにサウスポーの内藤(律樹)選手と2回戦った経験が大きいですね。

 -その内藤戦と似た戦いになりそうですか。

 尾川 そう思っています。(ファーマーは)8割から9割はディフェンスを意識している選手ですよね。自分もそうですが、同じ割合で守りに徹していいと言われれば誰でもあれぐらいはできる。でも、そんな試合をしても面白くないし、そんなことをまわりも求めていないからやらないだけで。だから、特に(ファーマーのことを)すごいとは思いません。みんなは「うまい選手」というけれど、ただ単に攻撃しないだけだと自分は思っているので。

 -自分のストロングポイントは?

 尾川 スピードですかね。まわりはパワーだと言いますが、一瞬のスピードに自信を持っているので。

 -では、自分でこだわっている点は?

 尾川 右のパンチで仕留めたい。最近は相手のレベルも上がってきているので右が当たらず、左でも倒すということはありますが。フックでもストレートでも、右の感触のあるパンチを当てられれば絶対に倒せる自信はあります。

 -調整は順調ですね。

 尾川 自分のなかでは納得した練習ができているし、世界戦が決まる前の9月ごろから準備は始めていたので、いつでも戦える体です。どこかを伸ばそうかという意識はないし、あとはコンディション調整だけですね。短いラウンドでも内容のあるスパーリングをするとか、自分を納得させて毎日を消化していくという段階です。

 -現在のスーパーフェザー級は、WBO王者ロマチェンコ(ウクライナ)やWBC王者ベルチェルト(メキシコ)ら強い選手が数多くいます。

 尾川 三浦(隆司)さんが引退して、自分の番が来たなと感じています。先輩が負けた相手(ベルチェルト)に勝てば評価も一気に上がると思うし、そう考えると自分は運がいい。自分の評価を上げる最大のチャンスですから。今回、ファーマーに勝って次はデービス(前IBF王者)と戦って勝ちたい。それがモチベーションにもなっているし、勝つ自信もあります。そうなればロマチェンコやベルチェルトなど強い相手との対戦の可能性が広がりますよね。

 -遠くに見据えている目標はありますか?

 尾川 チャンピオンにこだわるというよりも大物選手と戦いたいし、自分がそういう選手になりたい。自分の力を試したくてボクシングを始めたので、自分の強さの位置を確かめたいですね。強い人と戦って自分の実力を試したいという気持ちがすごくあります。

 -そのためにも今回の試合は重要ですね。

 尾川 こんなところで立ち止まってはいられない、という気持ちです。いまはベルトを取って当たり前という気持ちになっています。期待はプレッシャーにもなりますが、反面、力になる。今回は通過点だと思っています。勝ってIBFのベルトをコレクションとしてもらい、そこからやっとボクシング人生がスタートするというイメージです。自信満々です。

 -あらためて意気込みを聞かせてください。

 尾川 「尾川堅一」という名を残すためにボクシングをやっているので、負けたら何の意味もない。待ちに待った世界戦、応援してくれた人や日本のボクシングファンのために世界一という称号とベルトを持って日本に帰ってきます。

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八重樫東が現役続行!階級上げ日本人初4階級V照準

4階級制覇へ4本指でポーズ。左から松本トレーナー、八重樫、大橋会長

 ボクシングの元3階級制覇王者八重樫東(34=大橋)が11日、横浜市内のジムで会見し、日本人初の4階級制覇を目指して現役を続行すると発表した。

 5月にIBF世界ライトフライ級王座3度目の防衛戦でミラン・メリンド(フィリピン)に1回TKO敗北後に進退を悩み抜いた。「いまの自分自身の気持ちと正直に向き合い、納得していない部分があった。いろいろな方に体を大事にした方が良いと引退も勧められたが、自分の将来のことなので一番は自分の気持ち。ボクシングの情熱が残っている」と決断に至った。

 山あり谷ありで3階級を制したボクシング人生だけに、復帰に向けた新たなモチベーションが必要だった。それは日本人初の4階級制覇。これまでミニマム→フライ→ライトフライと2階級上げ、1階級下げ、変則的に世界タイトルを奪取してきたが、今後の照準は2階級上げるスーパーフライ級。「選択肢はそこ。タレントも多い。すてきな階級と」と気持ちを高ぶらせる。先月には米国デビューした同門のWBO世界スーパーフライ級王者井上尚弥(24)のV6戦を現地観戦し、ともに対戦経験のあるWBC同級王者シーサケット・ソールンビサイ(タイ)対元4階級制覇王者ローマン・ゴンサレス(ニカラグア)のタイトルマッチなども観戦した。盛り上がるスーパーフライ級戦線に参戦することが、何よりのカンフル剤だった。

 今夏には同世代の名王者もリングを去った。内山高志、三浦隆司。得に内山は拓大の先輩で親交厚い。「続けると思っていたのでビックリした。これは僕も辞めた方がいいのかなとも思いました。でも、僕らの代の選手が根こそぎ辞めていく流れがあるからこそ、逆にもう1回やってみようと思った」。ベテランの星として復活を遂げる。それも大きなモチベーション材料となった。

 注目の復帰戦は、早ければ年末。状況を見てもいきなり世界タイトル戦は難しく、世界前哨戦を組むことになりそうだ。「ぼちぼちやりますよ」と柔らかい笑顔で述べたが、しっかりと目標を定め、前人未到の領域に進む。

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末吉大、17戦目で王座初挑戦「圧倒的な内容を」

王座決定戦の計量を終えた末吉(右)と高畠

 ボクシングの日本スーパーフェザー級王座決定戦の前日計量が6日に都内のJBCで行われ、同級1位末吉大(26=帝拳)、同級2位高畑里望(38=ドリーム)ともに100グラムアンダーの58・8キロでパスした。

 WBC、WBOでも世界ランクしている末吉は、11年6月のプロデビューから6年目、17戦目での王座初挑戦になる。同じ帝拳ジム所属の前王者尾川堅一のタイトル返上により、挑戦者決定戦が王座戦に変更になった経緯をふまえ、「尾川さんが持っていたベルトはほしい。ちょうど良いタイミング」と力を込めた。

 国内のスーパーフェザー級戦線は、世界王者になった内山高志、三浦隆司も引退し、新たな世代の芽吹きを待っている。15勝(10KO)1敗の末吉にも、後継候補の1人として期待がかかる。「まだ中間地点です」と目標高く、「圧倒的なパフォーマンスを見せたい」と誓った。

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井上尚弥アピール誓う、同級ライバル集結「品評会」

挑戦者アントニオ・ニエベス(中央右)の横でファイティングポーズをとる井上(撮影・菅敏)

 【カーソン(米カリフォルニア州)8日(日本時間9日)=奥山将志】WBO世界スーパーフライ級王者井上尚弥(24=大橋)が、「ボクシング人生の分岐点」で世界を驚かす。米国デビュー戦となる同級7位アントニオ・ニエベス(30=米国)との6度目の防衛戦は今日9日(同10日)にゴング。会場となるスタブハブ・センターでの前日計量をリミットでパスすると、堂々のKO宣言で本場でのアピールを誓った。

 「ボクシング人生の分岐点」。報道陣に囲まれた井上は、翌日に迫った試合をそう表現した。計量をリミットの52・1キロでパスすると、日本の応援団に向かって拳を突き上げてアピール。同じく1回でパスし、雄たけびを上げたニエベスと2日連続でにらみ合い、「初回からフルでいく。チャンスが来ればKOを狙う」と表情を引き締めた。

 米初陣は、本場の心をつかむ絶好機だ。米国では異例の軽量級中心の興行で、「SUPERFLY」の名のもと、同じ階級のビッグネームが集結。4階級王者ゴンサレス、ゴンサレスにプロ初黒星を付けたシーサケット、フライ級で2団体を統一したエストラーダ、WBC王座を6度防衛したクアドラス。4人のライバルと比較される中で存在をアピールできるかは、今後のキャリアにも直結する。

 減量苦からバンタム級転向も視野に入れる大橋会長も“品評会”さながらのこの状況を歓迎。「どの階級でやるにしても、彼らを目の前に引きずり出すことが重要」と今後の対戦を意識した一戦だと強調した。プレッシャーを背にリングに立つ井上は「ここにセッティングされた意味は分かっている。仕上がりは過去最高。すべてにおいて期待に応えたい」と力を込めた。

 計量を終えると、昼はうどん、夜はステーキを食べ、しっかりと回復。プロデビューから5年。歴史を塗り替え続けてきた日本の才能が、世界に殴り込みをかける時が来た。

 ◆日本人王者の海外での防衛(海外選手相手) 成功したのは過去5人(7例)。85年に渡辺二郎が敵地韓国で勝利したのが初めて。西岡利晃は09年にメキシコ、11年に米国で防衛に成功。13年に三浦隆司がメキシコ、亀田興が韓国で勝利。14年には亀田和が2度米国で勝利している。米国で米国人選手を相手に防衛を果たせば、井上が初めてのケースとなる。

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山中慎介「狙いやすい」標的は挑戦者ネリの濃いヒゲ

予備検診後、ファイティングポーズをとる王者・山中(右)と挑戦者・ネリ(撮影・滝沢徹郎)

 打ち頃のヒゲを射抜く。ボクシングのWBC世界バンタム級王者山中慎介(34=帝拳)は12日、都内で13度目の防衛戦(15日、島津アリーナ京都)の予備検診に臨み異常なくパスした。具志堅用高に並ぶ世界戦連続防衛の日本記録がかかる舞台。初対面した挑戦者で同級1位ルイス・ネリ(22=メキシコ)の伸びたヒゲに「狙いやすい」と照準を合わせた。

 試合が迫っても、いつも通りのユーモア。山中の性格と豊富な経験値が余裕を漂わす。「僕も濃い方だと思うんですけど、ヒゲは負けましたね。勝負はそこじゃないんですけど」。これまでの挑戦者最長のヒゲを蓄えたネリの姿に“ジャブ”を放ち、続いてが“ストレート”。「濃いのでくっきりしていて目印になる」。頬あたりの境目が明確。アイスピックに例えられる1点で打ち抜く独特の「神の左」には、うってつけの標的と見込んだ。

 「三浦もタトゥーを狙ってましたね」。先月引退した同門の後輩三浦隆司の14年11月、WBCスーパーフェザー級王座3度目の防衛戦。挑戦者プエルタの上半身のタトゥーを的に、6回TKO勝ちを収めた。好例を思い起こした。

 さらに好材料は続く。ネリの身長は165センチ。「ちょうど良い高さ」とうなずく。「バンタム級ではやはり体が大きい。再確認できて自信になった」と170センチの自身の体形を評したが、その“高身長”には5センチ低いくらいが打ち頃。左拳をそのまま伸ばした高さに、ネリのヒゲ面が待つ。過去13回を数える世界戦の相手の平均身長は166・5センチ。自分より大きい相手はV2戦のロハス(172・5センチ)だけで、「ちょうど良い」の根拠も確かだ。

 あとはネリがひげをそらないかが問題だが…。試合もこのままか聞かれると、「si」。スペイン語で「はい」と答えた。日本記録への的はリング上にある。試合まで3日、計量まで2日。減量がきつい最中だが、「(体重の)リミットが近づくと逆に元気になる。まひしてきたのかな」。やはりユーモアな問答に、快挙の予感が色濃く漂った。【阿部健吾】

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山中が同世代“戦友”へ「今なお強い姿を見せる」

10キロのダンベルを持ち上げ首の強化をする山中(撮影・横山健太)

 ボクシングのWBC世界バンタム級王者山中慎介(34=帝拳)が倒して2つの日本記録に並ぶ。9日、挑戦者の同級1位ルイス・ネリ(22=メキシコ)との15日のタイトル戦(島津アリーナ京都)に向けて都内のジムで練習を公開した。V13達成なら世界戦連続防衛の日本記録に並ぶ大一番。KO勝利なら世界戦で10度目となり、内山高志の日本記録にも並ぶ。引退を表明した内山、三浦隆司と同世代の王者として、衰えぬ雄姿を見せる。

 今年一番の暑さ。37度の外気がこもる都内ジムは、一層の熱気を集める。山中が補給する水分は2リットル。それでも約2時間の練習で体重は3キロ減る。大粒の汗が途切れないその口元に、本心を乗せた。「正直ちょっと寂しかったですね、あの2人は」。先月引退を発表した内山、そしてジムの後輩だった三浦。階級は違うスーパーフェザー級だが、世界王者となった同じ30代。「同じ時期にチャンピオンをやらせてもらいましたしね。(自分は)いまなお強い姿を見せられたら」。時代の動きに心を砕きながら、使命感に燃えた。

 記録にはこだわりはない。ただ、健在の証明にはうってつけの機会でもある。具志堅用高に37年ぶりに並ぶ13度目の防衛が注目だが、世界戦で積み上げたKO数はその具志堅と同じ9回。唯一上にいるのが内山だ。「多少こだわってもいい。力みにつながらなければいいんですけど、もともと1発1発力んで打つタイプなので、そんなに影響はない」。“神の左”と称される左拳ならKOへのこだわりも障害にはならない。

 この日から初のテレビCMも放送開始となった。頭皮ケアシャンプー「スカルプD」のCM。「話しているところは棒読みですけど」と苦笑したが、試合では「棒」立ちなしでKOを呼び込む。中間距離から回転力ある連打が威力あるネリに、「足を止めない。要所で自分のタイミングで打ち込む。シンプルです」と青写真を明瞭に描く。

 22歳の挑戦者は13人目で最年少。「勢いか自分の経験か。どちらが勝るのか、試合でお見せしたい」。したたる汗をぬぐい続けた口元を結び、ひとつうなずいた。【阿部健吾】

山中世界戦
日本の世界連続防衛
国内ジム所属王者の世界戦KO数

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内山高志、激闘の代償ずれていた右拳の骨/記者メモ

11年1月の防衛戦で内山高志が負った右手脱臼のエックス線写真(提供写真)

 前WBA世界スーパーフェザー級スーパー王者内山高志(37=ワタナベ)が、29日に中継局だった都内のテレビ東京で会見。気持ち、ケガに衰えもあり、100%を出し切れないとの理由で引退を表明した。

 ◇ ◇ ◇

 衝撃的なエックス線写真だった。「KOダイナマイト」の代名詞、破壊力ある右拳の骨が完全にずれていた。11年1月の3度目の防衛戦の挑戦者は、のちに世界王者となる三浦隆司。激闘の末に勝った代償が写真にある右手根骨と中手骨の脱臼だった。内山の携帯電話に保存してあったこの写真を見せてもらった時、大きなショックを受けたことを今でも覚えている。

 この脱臼から試合復帰まで11カ月を要し、翌年から内山の年間試合数は1~2回程度に減少した。それは右拳の負傷が影響していたことは言うまでもない。年間2回以上の防衛戦が可能だったら、日本記録となる世界王座の13回防衛に並ぶ、そして記録更新も可能だったのではないか。世界王座を奪取した時、内山の年齢は30歳。痛めた右拳と付き合いながら11回の防衛を成功させたのも、内山の強さだったと思う。【06年、11年、13年ボクシング担当=藤中栄二】

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