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白石改め東白龍が新十両「まだ実感ない。うれしい」

新十両昇進を決めて新しいしこ名を手にガッツポーズをする白石改め東白龍

日本相撲協会は25日、大相撲初場所(来年1月10日初日、東京・両国国技館)の新番付を発表し、白石改め東白龍(24=玉ノ井)の新十両昇進を決めた。リモートでの会見に出席した東白龍は「まだ実感がない。うれしい」と笑顔を見せた。

東洋大を卒業して19年夏場所に三段目最下位格付け出しでデビューし、所要9場所で関取の座をつかんだ。秋場所前に部屋で新型コロナウイルスの集団感染が発生し、東白龍を含めて玉ノ井部屋に所属する力士全員が秋場所を全休。コロナ禍の“救済措置”として番付は据え置かれ、2場所ぶりに出場した今場所は西幕下2枚目で4勝3敗と勝ち越した。「特例措置で据え置きにしていただいて、それを聞いてこれは絶対に上がらなきゃだめだなと思った」と、覚悟を持って臨んだ。

勝ち越しをかけた7番相撲は土俵際の攻防の末、行司軍配差し違えで白星を拾った。大学時代は団体戦で大将を務めることが多かったが、2対2で迎えた大将戦で負けた記憶はほとんどないという。「自分でも勝負強いと思う。(7番相撲は)やってやろうという気持ちの方が強かった」と、強心臓をアピールした。

突っ張り相撲を得意としているが、引き技で相手を呼び込む場面も多い。会見に同席した師匠の玉ノ井親方(元大関栃東)は「スピードが速い分、相手がよく見えているが、今後はもっと大きい相手とぶつかっていく。もっと体を大きくして全体的な力をつけないといけない。似たようなタイプだと千代大海関が突き押しでどんどん前に出ていた。ああいう突き押しをしながら、うまく回り込むセンスが(東白龍には)ある」と、自身が現役時代に対戦した突き押しの大関を引き合いに出して、さらなる成長を期待した。

平成8年度生まれで11月場所を制した大関貴景勝や平幕の阿武咲らは同学年にあたる。アマチュア時代に対戦した経験もあるだけに「自分は進学という道を選んで大学で(貴景勝と阿武咲を)すごいなと思っていた。追いつけるように頑張りたい。対戦してみたい」と意欲を示す。まずは関取デビューとなる新年最初の場所に向けて「とりあえずは勝ち越しで、欲を言うなら(十両)優勝したい」と力強く宣言した。

新十両昇進を決めた白石改め東白龍(右)と師匠の玉ノ井親方
リモートでの新十両会見に臨む白石改め東白龍

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貴景勝-志摩ノ海1敗対決、大関対幕尻平成以降4例

竜電(左)を下手出し投げで破る志摩ノ海(撮影・河田真司)

<大相撲11月場所>◇12日目◇19日◇東京・両国国技館

幕尻の快進撃が止まらない。東前頭17枚目の志摩ノ海(31=木瀬)が竜電を下手出し投げで下し、1敗を守った。幕内での11勝は自己最多。13日目は結びで大関貴景勝との「1敗対決」が組まれた。

初優勝が現地味を帯び、地元の三重・志摩市もバタバタの優勝準備を開始した。

◆幕尻の大関戦 平成以降では90年春場所12日目の大関小錦-久島海、91年夏場所12日目の大関霧島-両国、07年九州場所13日目の大関千代大海-把瑠都、今年の初場所千秋楽の貴景勝-徳勝龍の4例で、勝ったのは徳勝龍だけ。幕尻が出場最高位の力士と対戦するのは00年春場所の貴闘力(13日目に横綱武蔵丸、14日目に横綱曙と対戦して連敗)と、今年初場所の徳勝龍に次いで3人目。

竜電(手前左)を下手出し投げで破った志摩ノ海(撮影・河田真司)

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正代「痛いというより怖い」じん帯損傷で全治3週間

4日目、膝に手を当て座る正代(2020年11月11日撮影)

左足首を痛めた新大関の正代(29=時津風)が5日目の12日、日本相撲協会に「左遠位脛腓靱帯(じんたい)損傷により約3週間の安静加療を要する見込み」との診断書を提出して休場した。

新大関の休場は19年夏場所の貴景勝以来で、現行のかど番制度となった69年名古屋場所以降では9人目。2横綱、2大関の休場は03年初場所(横綱武蔵丸、貴乃花、大関千代大海、魁皇)以来となった。

3日目の高安戦で突き落としを決め、土俵下に落ちた際に負傷した。休場は14年春場所の初土俵以来初めて。4日目の大栄翔戦では患部にテーピングして土俵に上がったが、踏み込みが弱く一気に突き出された。師匠代行の枝川親方(元前頭蒼樹山)によると、本人は「痛いというより怖い」と話したという。

11日目の18日には故郷の熊本・宇土市から「応援ツアー」として応援団が駆け付ける予定だった。地元の後援者によると、中止が決まった。地元ファンも残念がる中、再出場の可能性について枝川親方は「意欲はあると思うけど、今は治療に専念します」と厳しい見解。再出場しなければ、来年1月の初場所は大関2場所目にしてかど番となる。

幕内後半戦の伊勢ケ浜審判長(元横綱旭富士) (正代は)ケガで仕方がないところもあるけど上位が休んで残念。普段の稽古でケガをしない稽古をするのも重要。

4日目、大栄翔に突き出しで敗れ、肩を落とす正代(2020年11月11日撮影)

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新大関の正代休場 2横綱2大関の不在は03年以来

新大関・正代

<大相撲11月場所>◇5日目◇12日◇東京・両国国技館

新大関の正代(29=時津風)が大相撲11月場所5日目の12日、日本相撲協会に「左遠位脛腓靱帯(けいひじんたい)損傷により約3週間の安静加療を要する見込み」との診断書を提出して休場した。新大関の休場は、現行のかど番制度となった1969年名古屋以降、2019年夏場所の貴景勝以来9人目。今場所は白鵬、鶴竜の両横綱が初日から不在で、大関朝乃山も3日目から休場。2横綱2大関の休場は03年初場所(横綱武蔵丸、貴乃花、大関千代大海、魁皇)以来となった。

正代は3日目の勝った小結高安戦で、土俵際で逆転の突き落としを決めて土俵下に落ちた際に、左足首を負傷したとみられる。4日目は左足首にテーピングを施して土俵に上がるも、三役返り咲きを狙う大栄翔の突き押しに粘ることなくあっさりと土俵を割っていた。

4日目まで3勝1敗だった正代は、このまま再出場しなければ、来年1月の初場所は大関2場所目にしてかど番で臨むことになる。

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大関昇進の正代「至誠一貫」輪島以来の本名横綱挑戦

大関昇進の伝達を受ける正代(中央)。右は枝川親方(代表撮影)

大関正代が誕生した。日本相撲協会は9月30日、11月場所(11月8日初日、東京・両国国技館)の番付編成会議と臨時理事会を開催し、秋場所で初優勝した関脇正代(28=時津風)の大関昇進を満場一致で決めた。伝達式で正代は「至誠一貫の精神で相撲道にまい進してまいります」と口上を述べた。大横綱双葉山が創設した時津風部屋から57年ぶり、熊本出身では58年ぶりの新大関が、次は横綱を目指す。

   ◇   ◇   ◇

和やかな伝達式だった。熊本から両親が駆けつけ、急病の師匠・時津風親方(元前頭時津海)の代行を枝川親方(元前頭蒼樹山)が務めた。会見を終えた正代は「足、足が…」。緊張も重なり、しびれた足にもん絶した。

予告していた口上に入れる四字熟語は「至誠一貫」だった。中国の儒学者、孟子の言葉で「最後まで誠意を貫き通す」などの意。部屋の後援会「木鶏会」関係者が提案。正代は「調べたらいい意味だったんで、使わせて下さいと言いました」と話し、「こうありたいと思ったからです。相撲道に誠実で、貫き通す思いで決めました」と明かした。夜遅くまで練習し「かまずに言えたんで、まずまずです」と合格点を与えた。

先々代師匠で元理事長、元大関豊山の内田勝男氏(83)も新潟から駆けつけた。「立派に成長した。(至誠一貫は)道場の精神を感じ取ってくれていると思う」。内田氏が退職後、弟子の暴行死があった。部屋の不祥事を憂いていただけに喜びを隠せず、うれしそうに正代と記念写真も撮った。正代は「時津風部屋の看板を汚さないよう必死に頑張ります」と誓った。

5人目の本名大関。その上、本名横綱は輪島しかいない。3大関で迎える来場所は、横綱への戦いの火ぶたが切られる。正代は「大関で存在感を示してから」と慎重ながら「今まで以上に頑張らないといけない」と気合を入れた。今、最もやりたいことを「目覚ましをかけず、ゆっくり寝たい」とらしい答え。地元で人気のくまモンのような「ゆるキャラ」も魅力の新大関が、角界の新たな看板を担う。【実藤健一】

◆正代直也(しょうだい・なおや)1991年(平3)11月5日、熊本県宇土市生まれ。小学1年から相撲を始め、熊本農3年時に国体優勝。東農大に進み、2年時に学生横綱も卒業を優先してプロ入りせず、14年春場所に前相撲で初土俵。序ノ口、幕下、十両で優勝し16年初場所新入幕。184センチ、170キロ。得意は右四つ、寄り。

◆四字熟語を使った大関昇進時の口上 初代貴ノ花、北の湖、千代の富士、今年の朝乃山は「一生懸命」というシンプルな四字熟語を入れてきた。難解な四字熟語の代表例は、貴花田の「不撓不屈(ふとうふくつ)」や貴ノ浪の「勇往邁進(まいしん)」、琴奨菊は「万理一空」。四字熟語ではないが、近年では11年九州場所後に稀勢の里が「大関の名を汚さぬよう、精進します」と簡潔に述べた。

◆正代の大関昇進関連の記録 28歳10カ月での昇進は年6場所制となった58年以降の初土俵では7位の年長。時津風部屋の大関は63年春場所の豊山以来57年ぶり。学生相撲出身では今年3月の朝乃山以来9人目。平成生まれでは5人目。直近3場所32勝での昇進となり、平成以降で33勝未満の昇進はいずれも同数の32勝で千代大海、稀勢の里、豪栄道、朝乃山に次いで5人目。

大関昇進の伝達を受け部屋の木札を「大関」に替える正代(代表撮影)

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「不撓不屈」貴花田は難解四字熟語/大関昇進の口上

大相撲秋場所千秋楽 勝ち名乗りを受ける正代(2020年9月27日撮影)

「大関正代」が四字熟語で生きざまを示す。30日に行われる11月場所(8日初日、東京・両国国技館)の番付編成会議と臨時理事会を経て、大関昇進伝達式が行われる。大相撲秋場所で初優勝を果たし、大関昇進を確実にした関脇正代(28=時津風)は同式で述べる口上について「今後の自分の生き方」を示す、四字熟語を用いることを明かした。

◆四字熟語を使った大関昇進時の口上 初代貴ノ花、北の湖、千代の富士、今年の朝乃山は「一生懸命」というシンプルな四字熟語を入れてきた。難解な四字熟語の代表例は、貴花田の「不撓不屈(ふとうふくつ)」や貴ノ浪の「勇往邁進(まいしん)」、琴奨菊は「万理一空」。四字熟語ではないが、近年では11年九州場所後に稀勢の里が「大関の名を汚さぬよう、精進します」と簡潔に述べた。

<平成以降の大関昇進の口上>

▼霧島(90年夏場所)「稽古に精進し、大関の名を汚さぬよう一生懸命頑張ります」

▼曙(92年名古屋場所)「大関の名を汚さぬよう、稽古に精進します」

▼貴花田(93年春場所)「今後も不撓不屈の精神で相撲道に精進します」

▼若ノ花(93年秋場所)「今後も一意専心の気持ちを忘れず、相撲道に精進いたします」

▼武蔵丸(94年春場所)「日本の心を持って相撲道に精進いたします」

▼貴ノ浪(94年春場所)「今後は、相撲道に勇往邁進する所存です」

▼千代大海(99年春場所)「大関の名を汚さぬように相撲道に精進、努力致します」

▼出島(99年秋場所)「力のもののふ(士)を目指し、精進、努力します」

▼武双山(00年夏場所)「大関として常に正々堂々、相撲道に徹します」

▼雅山(00年名古屋場所)「大関の名を汚さぬよう、初心を忘れず相撲道に精進、努力します」

▼魁皇(00年秋場所)「大関の地位を汚さぬよう、稽古に精進します」

▼栃東(02年初場所)「大関の名に恥じぬよう、稽古に励み、努力精進いたします」

▼朝青龍(02年秋場所)「大関の名に恥じぬよう、一生懸命頑張ります」

▼琴欧州(06年初場所)「大関の名に恥じぬように、稽古に精進します」

▼白鵬(06年夏場所)「大関の地位を汚さぬよう、全身全霊をかけて努力します」

▼琴光喜(07年秋場所)「いかなるときも力戦奮闘し、相撲道に精進いたします」

▼安馬(09年初場所)「今後も全身全霊で相撲道に精進します」

▼把瑠都(10年夏場所)「稽古に精進し、栄誉ある地位を汚さぬよう努力いたします」

▼琴奨菊(11年秋場所)「大関の地位を汚さぬよう、万理一空の境地を求めて日々努力昇進します」

▼稀勢の里(12年初場所)「大関の名を汚さぬよう、精進します」

▼鶴竜(12年夏場所)「これからも稽古に精進し、お客様に喜んでもらえるような相撲が取れるよう努力します」

▼豪栄道(14年秋場所)「これからも大和魂を貫いてまいります」

▼照ノ富士(15年名古屋場所)「今後も心技体の充実に努め、さらに上を目指して精進いたします」

▼高安(17年名古屋場所)「大関の名に恥じぬよう正々堂々精進します」

▼栃ノ心(18年名古屋場所)「親方の教えを守り、力士の手本となるように稽古に精進します」

▼貴景勝(19年夏場所)「大関の名に恥じぬよう、武士道精神を重んじ、感謝の気持ちと思いやりを忘れず、相撲道に精進してまいります」

▼朝乃山(20年7月場所)「大関の名に恥じぬよう、相撲を愛し、力士としての正義を全うし、一生懸命努力します」

※力士名は昇進後のしこ名

優勝賜杯を手にする正代(2020年9月27日撮影)

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正代、初Vなら大関昇進も ダブル歓喜へ今日大一番

朝乃山(左)を押し倒しで破る正代(撮影・河田真司)     

<大相撲秋場所>◇14日目◇26日◇東京・両国国技館

関脇正代(28=時津風)が、悲願の初優勝に王手をかけた。2連敗中だった大関朝乃山を圧倒。力強い出足から最後は押し倒し、ただ1人2敗を守った。千秋楽、新入幕の翔猿戦で熊本出身力士初の優勝を決める。大関連破で審判部は「明日の相撲を見ての判断」と結果次第で大関昇進の可能性も示唆。正代が人生最大の大一番を迎える。

   ◇   ◇   ◇

まるで重戦車の突進だった。「最近負けている相手なんで、思い切りいった」という正代の踏み込みは一瞬、大関朝乃山の体を浮かせた。その圧力で横向きにさせると、左でたてみつをつかみ、休まずグイグイ前に出て最後は押し倒した。

「休まず前に出ることを意識した。当たり勝ったんで、止まったらまわしをとられるんで、そのまま出ました」。3連敗から10連勝と勢いづいてきた大関さえも吹き飛ばす破壊力。進撃の相撲でついに単独トップに立った。「素直にうれしいです」と言いながら、表情は全く崩れなかった。

弱気な“ネガティブ力士”から変身のきっかけとなった要因のひとつが、朝乃山への“ライバル心”だった。正代が2歳上だが、同じ学生相撲出身で巡業などでは「人に言えないぐらい、くだらない話をする」仲だ。東農大2年時に学生横綱になった正代が、アマ時代の実績は圧倒。しかし、大相撲の世界では初優勝も、大関の座もあっという間に追い越された。朝乃山の活躍に「同じ学生相撲出身で悔しい思いはある」とメラメラした思いを隠さなかった。「強い相手とはだれとも対戦したくない」と公言していた男が変わった。「それなりに緊張はするけど、落ち着くところは落ち着いてメリハリができている」。相撲への自信は、精神面の成長にもつながった。

場所前にはなかった「昇進ムード」も急浮上。高田川審判部副部長(元関脇安芸乃島)は「明日の相撲を見ての判断」と、千秋楽の結果次第で大関昇進の可能性を示唆した。そんな機運を知らずに場所を後にした正代は「(単独トップで千秋楽は)初めての経験ですから。明日になってみないと分からないが明日で終わり。思い切り相撲をとれたらいいと思います」。

故郷の熊本・宇土市では市民体育館で応援会を開催する。前日13日目は20人程度が、この日は100以上の大盛況。熊本出身力士初の賜杯に期待は高まる。初優勝と大関。ダブルの歓喜を目指し、正代が人生最大の一番に臨む。【実藤健一】

◆大関への道 昇進目安は三役で直近3場所33勝。しかし、32勝以下での昇進も珍しくない。平成以降では朝乃山、豪栄道、稀勢の里、千代大海が32勝で昇進。また照ノ富士は、昇進3場所前(15年初場所)が平幕で8勝、2場所前(16年春場所)が関脇で13勝の優勝次点だったが、関脇だった16年夏場所を12勝で優勝すると昇進した。正代は今場所13勝でも直近3場所の合計は32勝。しかし八角理事長(元横綱北勝海)は、正代の直近3場所の成績よりも、この1年の安定感を評価している。

朝乃山(右)を押し倒しで破る正代(撮影・鈴木正人)

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正代突進V王手、朝乃山へのライバル心で弱気打破

正代(左)は朝乃山を押し倒しで破り2敗を死守した(撮影・小沢裕)

<大相撲秋場所>◇14日目◇26日◇東京・両国国技館

関脇正代(28=時津風)が、悲願の初優勝に王手をかけた。2連敗中だった大関朝乃山を圧倒。力強い出足から最後は押し倒し、ただ1人2敗を守った。千秋楽、新入幕の翔猿戦で熊本出身力士初の優勝を決める。大関連破で審判部は「明日の相撲を見ての判断」と結果次第で大関昇進の可能性も示唆。正代が人生最大の大一番を迎える。

   ◇   ◇   ◇

まるで重戦車の突進だった。「最近負けている相手なんで、思い切りいった」という正代の踏み込みは一瞬、大関朝乃山の体を浮かせた。その圧力で横向きにさせると、左でたてみつをつかみ、休まずグイグイ前に出て最後は押し倒した。

「休まず前に出ることを意識した。当たり勝ったんで、止まったらまわしをとられるんで、そのまま出ました」。3連敗から10連勝と勢いづいてきた大関さえも吹き飛ばす破壊力。進撃の相撲でついに単独トップに立った。「素直にうれしいです」と言いながら、表情は全く崩れなかった。

弱気な“ネガティブ力士”から変身のきっかけとなった要因のひとつが、朝乃山への“ライバル心”だった。正代が2歳上だが、同じ学生相撲出身で巡業などでは「人に言えないぐらい、くだらない話をする」仲だ。東農大2年時に学生横綱になった正代が、アマ時代の実績は圧倒。しかし、大相撲の世界では初優勝も、大関の座もあっという間に追い越された。

朝乃山の活躍に「同じ学生相撲出身で悔しい思いはある」とメラメラした思いを隠さなかった。「強い相手とはだれとも対戦したくない」と公言していた男が変わった。地道な努力で大関を連破する立ち合いの馬力を身につけた。「それなりに緊張はするけど、落ち着くところは落ち着いてメリハリができている」。相撲への自信は、精神面の成長にもつながった。

場所前にはなかった「昇進ムード」も急浮上した。高田川審判部副部長(元関脇安芸乃島)は「明日の相撲を見ての判断」と、千秋楽の結果次第で大関昇進の可能性を示唆した。そんな機運を知らずに場所を後にした正代は「(単独トップで千秋楽は)初めての経験ですから。明日になってみないと分からないが明日で終わり。思い切り相撲をとれたらいいと思います」。

故郷の熊本・宇土市では市民体育館で応援会を開催する。前日13日目は20人程度が、この日は100以上の大盛況。熊本出身力士初の賜杯に期待は高まる。初優勝と大関。ダブルの歓喜を目指し、正代が人生最大の一番に臨む。【実藤健一】

▽八角理事長(元横綱北勝海) 正代の馬力勝ち。朝乃山も悪い立ち合いではなかったが浮いた。ちょっと想像できなかった。正代を褒めるべきでしょう。12勝は立派。内容がいい。優勝に近づいたが本当のプレッシャーはここから。新入幕で翔猿も立派。千秋楽は思い切って行けば面白くなる。

▽幕内後半戦の高田川審判長(元関脇安芸乃島) 正代は立ち合いが強い。迷いなく真っ向勝負。小細工がなく好感が持てる。貴景勝は硬くなっていたけど、無難に勝った。プレッシャーはあったと思う。

◆優勝争いの行方 千秋楽結び前の一番で正代が翔猿に勝てば、13勝2敗で正代の優勝が決定。正代が翔猿に敗れ、結びで貴景勝が敗れると、3敗で並んだ正代と翔猿による決定戦。貴景勝が勝って正代、翔猿と並べばともえ戦(3人での優勝決定戦)となる。実現すれば幕内では94年春場所の曙、貴ノ浪、貴闘力以来7度目で、当時は曙が制した。

◆大関への道 昇進目安は三役で直近3場所33勝。しかし、32勝以下での昇進も珍しくない。平成以降では朝乃山、豪栄道、稀勢の里、千代大海が32勝で昇進。また照ノ富士は、昇進3場所前(15年初場所)が平幕で8勝、2場所前(16年春場所)が関脇で13勝の優勝次点だったが、関脇だった16年夏場所を12勝で優勝すると昇進した。正代は今場所13勝でも直近3場所の合計は32勝。しかし八角理事長(元横綱北勝海)は、正代の直近3場所の成績よりも、この1年の安定感を評価している。

正代(左)に押し倒しで敗れる朝乃山(撮影・鈴木正人)

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栃ノ心が波乱呼ぶ 2敗9人、後半は東9人全員勝利

貴景勝(左)をはたき込みで破る栃ノ心(撮影・河田真司)     

<大相撲秋場所>◇8日目◇20日◇東京・両国国技館

東前頭4枚目栃ノ心(32=春日野)が、波乱の展開を巻き起こした。

負ければ大関貴景勝が単独トップになる結びの一番。注目の立ち合いで頭から突っ込んできた貴景勝を、変化気味に右に動いてはたき込んだ。勝負は一瞬で決まり、結果、2敗が9人となった。立ち合いについて栃ノ心は「作戦じゃない。たまたまそうなった。いつも通りやってやろうという気持ちだった」と話した。

また栃ノ心が勝ったことで幕内後半の取組は、東方の力士9人全員が勝利するという珍事が起きた。若手の若隆景から始まり、先場所優勝の照ノ富士や好調の正代が順当に白星を挙げ、朝乃山は不戦勝。自身の取組までに東方の力士が全勝だったことについて栃ノ心は「知らなかった。全然意識してなかった」と驚いた様子だった。

◆記録メモ 8日目を終えてトップに9人が並ぶのは、2敗で10人(大関魁皇、千代大海、武双山、栃東、平幕の雅山、土佐ノ海、時津海、海鵬、春日錦、琴光喜)の2003年名古屋場所以来の多さ。2敗が首位で折り返すのは、1場所15日制が定着した1949年夏場所以降で、68年夏場所、75年名古屋場所と合わせて4度目。03年名古屋場所は朝青龍と武蔵丸の2横綱が序盤から負け込み、ともに途中休場したことも混戦のきっかけになった。最終的には魁皇が千代大海との千秋楽相星決戦を制し、12勝3敗で4度目の優勝を果たした。

貴景勝(右)をはたき込みで破る栃ノ心(撮影・鈴木正人)
貴景勝を破り、懸賞金の束を手にする栃ノ心(撮影・河田真司)     

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涙は隠れて…「横綱白鵬」誕生/夏場所プレイバック

優勝を決め部屋に戻った白鵬はタイを両手に満面の笑み(2007年5月26日)

コロナ禍により大相撲夏場所が中止になり、本場所開催まで待ち遠しい日々が続きます。そんな中、日刊スポーツでは「大相撲夏場所プレイバック」と題し、初日予定だった24日から15日間、平成以降の夏場所の名勝負や歴史的出来事、話題などを各日ごとにお届けします。14日目は、4人目の外国出身力士横綱の誕生です。

<大相撲夏場所プレイバック>◇14日目◇2007年5月26日◇東京・両国国技館

勝ち名乗りを受けた後の土俵下。こみ上げるものを必死にこらえるように、2階席に視線をさまよわせた。「ふーっ」と肩で息すること7回。今度は、乾いた唇をなめながら目を閉じた。

「弱いとこ見せちゃダメ。涙は隠れて出すものなんだ」

貫いてきた哲学そのままに、大関白鵬は心の中で涙を流した。

大関千代大海を寄り切りで破り、無傷の14連勝。2場所連続3度目の優勝を果たし、横綱昇進を確実にした。圧倒的な強さの要因を「もちろん、家族です」と即答。2月に紗代子夫人と結婚し、初日3日前には長女愛美羽(あみう)ちゃんが誕生した。綱取り場所のナーバスな時期。部屋での寝泊まりを勧める周囲に首を横に振った。

「奥さんがいたから、ここまでこれた。頑張って赤ちゃんを産んでくれたから僕が頑張る番なんです」

実は出産後、夫人は体調を崩した。それでも顔色ひとつ変えず土俵を務め続けた。

千秋楽に横綱朝青龍を破り、自身初の全勝優勝を果たした。そして場所後に、日本相撲協会が名古屋場所の番付編成会議と理事会を開き、白鵬の第69代横綱昇進を決定。外国出身力士の横綱は曙、武蔵丸、朝青龍以来4人目で、22歳2カ月での昇進は北の湖、大鵬に次ぐ史上3番目(昭和以降)の若さとなった。

以降、無類の強さを見せ続け、今年3月の春場所で44度目の優勝を果たすなど、横綱昇進から13年たった今も角界を引っ張り続けている。

千代大海を寄り切りで破り優勝を決めた白鵬(2007年5月26日)

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大嶽親方、怒りの平手打ち/記者が振り返るあの瞬間

06年7月15日、大相撲名古屋場所7日目で土俵下でにらみ合う千代大海(右)と露鵬

<スポーツ担当記者 マイメモリーズ>(36)

政府の緊急事態宣言が延長され、スポーツ界も「自粛」状態が続いている。

日刊スポーツの記者が自らの目で見て、耳で聞き、肌で感じた瞬間を紹介する「マイメモリーズ」。サッカー編に続いてオリンピック(五輪)、相撲、バトルなどを担当した記者がお届けする。

   ◇   ◇   ◇

はじめはよく見えなかった。大関千代大海の盛り上がった肩の筋肉から腹へ、細くて赤い筋が何本も流れていた。

06年名古屋場所。打ち出し後の役員室に怒髪天をつく形相の千代大海がバスタオル姿で入ってくる。目が慣れてきて分かった。上半身に小さいガラスの破片が数え切れないほど刺さっていた。粉々になったガラスを浴びたのだ。

すぐにロシア出身の平幕の露鵬も来る。師匠の大嶽親方(元関脇貴闘力)がこわばった顔で付き添う。本割で感情的になった2人が風呂場でもめ、露鵬がドアを破壊した。

帰り支度で騒がしかった役員室が無音になった。お互いにいつでも襲いかかりそうな殺気だ。北の湖理事長(元横綱)は事情を聴き「いつまでも遺恨を残すな。握手して仲直りしなさい」と言った。

露鵬が千代大海に「これからも頑張って」と言う。番付上位の先輩力士に対して、何より加害者としては間違った言葉遣いだった。

直後、大嶽親方が「お前は~」と怒鳴りながら顔面を平手で打った。すさまじかった。記者だったら失神、いや、脳振とうは免れない。張り手で千代の富士、小錦、曙に挑んだあの貴闘力の平手打ちだ。その一撃を受けても露鵬は顔をそむけず正面を向いたまま。映画のようだった。

この時、露鵬はフラッシュを嫌がり、カメラマンに暴力をふるい、出場停止処分になった。

後日、巡業先の体育館で寂しそうに座っていた。目があった。「カメラマンの人には悪いことをしました。大関にも悪い態度、反省しています」と言った。気まずい空気が流れ、話をつなごうと焦り「(平手打ち)ものすごかったね。痛かったでしょ」と聞いた。すると「あんなの痛くない。それよりも悔しかった。俺は強いんだって、みんなに分かってほしかった」。顔の前を太い右腕で振り払うようにした。よみがえった記憶を払いのけようとしているようだった。屈辱に顔はゆがんでいた。

番付が力を示す相撲社会を取材して、こんなきわどい瞬間にはほとんど出会えなかった。ただ、ケンカ沙汰はいたるところにあるとはうすうす感じていた。相撲界は時津風部屋での力士暴行死事件、元横綱日馬富士の暴行問題という不祥事から暴力追放を目指してきた。現在は暴力への問題意識も格段に広まっているだろう。記者が遭遇したあの瞬間は、もう過去のものであると信じている。【井上真】

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小結に新三役朝乃山、富山出身は戦後3人目 新番付

大相撲夏場所千秋楽、笑顔で優勝インタビューに臨む朝乃山(2019年5月26日撮影)

日本相撲協会は28日、大相撲九州場所(11月10日初日、福岡国際センター)の新番付を発表した。

ともに先場所は途中休場だった両横綱は3場所連続で東に鶴竜(34=陸奥)、西に白鵬(34=宮城野)が就いた。鶴竜は、師匠の井筒親方(元関脇逆鉾)死去により今場所が陸奥部屋所属となって初の本場所で、2場所ぶり7度目の優勝を狙う。白鵬は、日本国籍取得後としては初となる、4場所ぶり43回目の優勝を目指す。

大関は、先場所10勝5敗の豪栄道(33=境川)が東、全休した高安(29=田子ノ浦)が西、1場所で復帰を果たした貴景勝(23=千賀ノ浦)が東の2枚目。豪栄道の大関在位32場所は史上10位タイ(1位は千代大海と魁皇の65場所)、高安は昨年名古屋場所以来3度目のかど番、貴景勝の大関復帰は今年名古屋場所の栃ノ心(32=春日野)以来、昭和以降10人(11度)目となった。

関脇は東が、先場所優勝の御嶽海(26=出羽海)が3場所連続(三役は17場所連続)の在位。西の栃ノ心は先場所の貴景勝以来の大関降下で、現行制度では23度目(2度降下は貴ノ浪、栃東に続き3人目)。

小結は東が3場所連続の阿炎(25=錣山)、西が2場所連続の遠藤(29=追手風)。今場所はさらに、付け出しとして2人が名を連ね、06年九州場所(稀勢の里、黒海、安美錦、露鵬)以来13年ぶりの小結4人となった。

東は4場所ぶり小結復帰の北勝富士(27=八角)で、西は待望の新三役となる朝乃山(25=高砂)が就いた。高砂部屋からは06年名古屋場所の朝赤龍以来で、富山県出身では64年夏場所の若見山、85年九州場所の琴ケ梅以来、戦後3人目。近大からは80年夏場所の朝汐(のち朝潮)、15年名古屋場所の宝富士(32=伊勢ケ浜)以来3人目の新小結で、三段目付け出しデビュー力士の新三役は初めてとなる。

九州場所は、11月8日の取組編成会議で初日、2日目の対戦相手が決定。10日の初日を迎える。

貴景勝(2019年9月19日)
高安(2019年7月6日)
大関栃ノ心(2019年1月16日)

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栃ノ心休場の可能性「考えないと」春日野親方が示唆

大相撲名古屋場所 朝乃山に敗れ肩を落とす栃ノ心(撮影・白石智彦)

<大相撲名古屋場所>◇5日目◇11日◇ドルフィンズアリーナ

いまだ白星のない栃ノ心について、師匠の春日野親方(元関脇栃乃和歌)が「(出場は)いろいろ考えないといけないこともある」と休場の可能性を示唆した。栃ノ心は朝乃山に寄り切られて完敗。大関の初日から5連敗(不戦敗を除く)は、08年初場所で7連敗した千代大海以来11年ぶりとなった。場所前に左肩痛を発症し、古傷の膝にも不安を抱える。師匠は「やる気はあるけど内容が…。(栃ノ心は)泣きたい気分だろうな。出るからには頑張らないといけない」と、苦しむ弟子の心境を察した。

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貴景勝休場 早朝から複数病院で検査 再出場絶望的

15日の取組後、土俵を支えにして立つ貴景勝(2019年5月15日)

<大相撲夏場所>5日目◇16日◇両国国技館

新大関の貴景勝(22=千賀ノ浦)が、右膝内側側副靱帯(じんたい)損傷のため夏場所5日目から休場することを決めた。16日の朝稽古後、師匠の千賀ノ浦親方(元小結隆三杉)が「無理に(相撲を)取って相撲人生を終わらせるわけにはいかない。ゆっくり時間をかけて治して欲しい」と話した。5日目の対戦相手だった玉鷲は不戦勝になる。貴景勝はこのまま再出場せずに負け越せば、7月の名古屋場所はかど番で迎える。

千賀ノ浦は前日から休場させる意向だった。「本人が一番悔しいし出たいとは思う」と弟子の意思を尊重しながらも、「私はもともと休場させるつもりだった」と明かす。貴景勝は早朝から病院を複数軒まわっており、MRIを撮るなどして、けがの詳細を調べている。

貴景勝は前日4日目、小結御嶽海を寄り切ったが、右膝の内側を負傷。「痛めてないです」と言い張り、詳細は明かさなかったが、千賀ノ浦親方は、16日に出場の可否を判断するとしていた。故障を招いた場面は、貴景勝本人いわく「投げを打った際」という。

新大関場所で、あまりにショッキングな出来事。師匠は「けがは怖いですね…」と神妙な面持ちで話した。再出場の可能性については「考えていないですけどね。その辺はまだ今日病院に行ったばかりなので」と話すにとどめた。

新大関の休場は、現行のかど番制度となった69年名古屋以降、18年名古屋場所の栃ノ心以来8人目。翌場所も負け越して大関陥落したのは、過去に武双山だけ。武双山はその翌場所に関脇で10勝を挙げ、大関に復帰した。99年春場所で千代大海が休場、翌場所全休したが、公傷制度(当時)により陥落しなかった。

貴景勝(右)は寄り切りで御嶽海を下す(2019年5月15日撮影)

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貴景勝の「相撲人生を終わらせるわけにはいかない」

貴景勝の休場を明らかにする師匠の千賀ノ浦親方(撮影・小沢裕)

新大関の貴景勝(22=千賀ノ浦)が「右膝関節内側側副靱帯(じんたい)損傷」との診断書を提出し、夏場所5日目から休場することを決めた。16日の朝稽古後、師匠の千賀ノ浦親方(元小結隆三杉)が「無理に(相撲を)取って相撲人生を終わらせるわけにはいかない。ゆっくり時間をかけて治して欲しい」と話した。

5日目の対戦相手だった玉鷲は不戦勝になる。貴景勝はこのまま再出場せずに負け越せば、7月の名古屋場所はかど番で迎える。

親方は前日から休場させる意向だった。「本人が1番悔しいし出たいとは思う」と弟子の意思を尊重しながらも、「私はもともと休場させるつもりだった」と明かす。貴景勝は早朝から病院を複数軒まわっており、MRIを撮るなどして、けがの詳細を調べている。

貴景勝は4日目、小結御嶽海を寄り切ったが、右膝の内側を負傷。「痛めてないです」と言い張り、詳細は明かさなかったが、千賀ノ浦親方は、16日に出場の可否を判断するとしていた。故障を招いた場面は、貴景勝本人いわく「投げを打った際」という。

新大関場所で、あまりにショッキングな出来事。師匠は「けがは怖いですね…」と神妙な面持ちで話した。再出場の可能性については「考えていないですけどね。その辺はまだ今日病院に行ったばかりなので」と話すにとどめた。

新大関の休場は、現行のかど番制度となった69年名古屋以降、18年名古屋場所の栃ノ心以来8人目。翌場所も負け越して大関陥落したのは、過去に武双山だけ。武双山はその翌場所に関脇で10勝を挙げ、大関に復帰した。99年春場所で千代大海が休場、翌場所全休したが、公傷制度(当時)により陥落しなかった。

15日の取組後、土俵を支えにして立つ貴景勝(2019年5月15日)

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貴景勝が休場、新大関が翌場所かど番は8人目

15日の取組後、土俵を支えにして立つ貴景勝(2019年5月15日)

新大関の貴景勝(22=千賀ノ浦)が16日、右膝負傷のため夏場所5日目から休場することを決めた。

診断の結果、右膝内側側副靱帯(じんたい)損傷と診断された。5日目の対戦相手だった玉鷲は不戦勝になる。貴景勝はこのまま再出場せずに負け越せば、7月の名古屋場所はかど番で迎える。

この日、師匠の千賀ノ浦親方(元小結隆三杉)が「無理に取って相撲人生を終わらすわけにはいかない。ゆっくり時間をかけて治してほしい」と明かした。

貴景勝は前日4日目、小結御嶽海を寄り切ったが、右膝の内側を負傷。「痛めてないです」と言い張り、気丈に振る舞い詳細は明かさなかったが、千賀ノ浦親方は、16日に出場の可否を判断するとしていた。

新大関の休場は、現行のかど番制度となった69年名古屋以降、18年名古屋場所の栃ノ心以来8人目。翌場所も負け越して大関陥落したのは、過去に武双山だけ。武双山はその翌場所に関脇で10勝を挙げ、大関に復帰した。99年春場所で千代大海が休場、翌場所全休したが、公傷制度(当時)により陥落しなかった。

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3大関が1勝8敗の大惨敗 平成ワーストを更新

豪栄道(左)をすくい投げで破る御嶽海(撮影・河田真司)

<大相撲初場所>◇3日目◇15日◇東京・両国国技館

大関さ~ん、大丈夫ですか…? 横綱稀勢の里(32=田子ノ浦)の動向が耳目を集める初場所だが、その陰で目を覆うような体たらくぶりが3日目までに起こった。

初日に続き、高安(28=田子ノ浦)、豪栄道(32=境川)、栃ノ心(31=春日野)の3大関が総崩れ。この3日間で勝ったのは、前日2日目の高安(妙義龍に押し出し)だけ。何と3人合わせて1勝8敗という、白星の大盤振る舞いだ。

平成になり1人大関、2人大関、今回の3人や4人大関の番付もあった。日刊スポーツ調べによると、平成以降、大関が3日目までに挙げた総勝利数の最少は00年初場所(出島1勝2敗、千代大海1勝2敗)など4例で「2勝」があるが、「1勝」となると平成ワースト記録になる。しかも前述の4例はいずれも2大関(97年夏場所は3大関だが1人は初日から全休)の時で、今回の「3人で1勝」はより無残を浮き彫りにしている。

この状況について、八角理事長(元横綱北勝海)は極力、プラス思考にとらえている。「若手がどんどん上がって力をつけている証拠じゃないかな。自信をつけてきている」と分析し「(本来なら)上位は自信をつけさせてはいけないところだが」とくぎを刺しつつ、どの時代にも必ず訪れる世代交代の波を感じ取っている様子だった。

北勝富士(左)は高安を送り倒しで破る(撮影・小沢裕)
栃ノ心(右奥)を寄り切りで破る妙義龍。左は稀勢の里(撮影・河田真司)

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栃ノ心400勝発進「怖さない」踏み込み不安も解消

初日を白星で飾り懸賞を手にする栃ノ心(撮影・小沢裕)

<大相撲秋場所>◇初日◇9日◇東京・両国国技館

大関栃ノ心(30=春日野)が、かど番脱出へ幕内通算400勝目でスタートした。

西前頭2枚目千代大龍(29=九重)から得意の左四つを奪い、一方的につり出し。「だいぶよかったね」と内容にも好感触だった。

先場所7日目の玉鷲戦で小手投げを食らった際に、右足親指付け根を負傷して8日目以降を休場。夏巡業や1週間前の稽古では踏み込みに不安を感じていたが、この日は「怖さがなくなった」と力強さを取り戻した。

現行のかど番制度となった1969年(昭44)名古屋以降、大関2場所目でかど番を迎えるのは00年秋場所の元大関雅山(現二子山親方)以来18年ぶり8人目。翌場所も負け越して大関から陥落したのは、過去には元大関武双山(現藤島親方)だけ。11年春場所で千代大海が休場、翌場所全休したが、公傷制度(当時)によって陥落しなかった。

千代大龍(左)をつり出しで破る栃ノ心(撮影・鈴木正人)

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栃ノ心かど番も「やる気まんまん」状態良くなった

大相撲秋場所の土俵祭りに臨む、左から逸ノ城、栃ノ心、豪栄道(撮影・小沢裕)

大相撲秋場所(東京・両国国技館)初日前日の8日、大関栃ノ心(30=春日野)が、東京・両国国技館で土俵祭りに出席した。秋場所はかど番で迎えるが「やる気まんまん」と表情豊かだった。

8月27日の健康診断で175キロだった体重は2、3キロ微減。夏巡業や直近の稽古では、先場所で痛めた右足親指に怖さを感じていたが、今の状態は「完璧じゃないが少しずつ良くなってきた」と、不安を徐々に拭い去ってきた。大関定着へ「なんとか勝ち越さないとね」と、終始笑顔で意気込みを語った。

新大関で迎えた先場所では、6日目の小結玉鷲(33=片男波)戦で小手投げを食らった際に右足親指付け根を痛め、7日目から休場した。現行のかど番制度となった69年名古屋以降、大関2場所目でかど番を迎えるのは00年秋場所の元大関雅山(現二子山親方)以来18年ぶり8人目。翌場所も負け越して大関陥落したのは、過去に元大関武双山(現藤島親方)だけ。11年春場所で千代大海が休場、翌場所全休したが、公傷制度(当時)により陥落しなかった。

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横綱は4場所連続の序列、栃ノ心かど番 新番付発表

白鵬

日本相撲協会は27日、大相撲秋場所(9月9日初日、東京・両国国技館)の新番付を発表した。

横綱は東西、東2枚目の順に鶴竜(33=井筒)、白鵬(33=宮城野)、稀勢の里(32=田子ノ浦)で、4場所連続の序列となった。

大関陣は先場所、ともにかど番を脱出した豪栄道(32=境川)、高安(28=田子ノ浦)が東西を張る。新大関の名古屋場所で途中休場し負け越した栃ノ心(30=春日野)は、現行制度の69年名古屋場所以降としては、00年秋場所の雅山(現二子山親方)以来8人目の、大関2場所目でのかど番を迎えた。過去7人で、かど番場所を負け越して翌場所、関脇に陥落したのは武双山(のち大関再昇進、現藤島親方)だけ(かど番場所を全休した千代大海=現九重親方=は当時、公傷制度があり陥落せず)。何とか勝ち越したいところだ。

関脇は東西が入れ替わり、2場所連続で御嶽海(25=出羽海、関脇は2場所連続、三役は10場所連続)と逸ノ城(25=湊、関脇は3場所連続、三役は4場所連続)の顔ぶれ。名古屋場所で初優勝した御嶽海は、秋場所の成績次第で大関昇進の期待がかかる。

小結は東が2場所連続の玉鷲(33=片男波)、西が今年初場所以来、4場所ぶりに返り咲いた貴景勝(22=貴乃花)の陣容となった。

新入幕の隆の勝(23=千賀ノ浦)は、現師匠(元小結隆三杉)が16年4月に先代(元関脇舛田山)から部屋を継承してからは初めての新入幕。千賀ノ浦部屋としては11年秋場所の舛ノ山(現舛乃山)以来となった。また千葉県出身では、12年秋場所の旭日松(友綱)以来、戦後22人目の新入幕となった。

再入幕は2人。昨年10月、横綱日馬富士(当時)から暴行を受け2場所連続全休で十両に陥落した貴ノ岩(28=貴乃花)は、5場所ぶりの幕内返り咲きとなった。琴勇輝(27=佐渡ケ嶽)は3場所ぶりの再入幕を果たした。

新十両はなく、再十両は4人。白鷹山(23=高田川)は2場所ぶり、炎鵬(23=宮城野)は3場所ぶり、天空海(27=立浪)は4場所ぶりの復帰。常幸龍(30=木瀬)は14場所ぶりの返り咲き。14年秋場所で小結を務めているが、三役経験者が三段目に降下してからの十両復帰は、十両が地位として明確になった1888年(明21)1月場所以降では初めての復活劇となった。

秋場所は、9月7日の取組編成会議で初日、2日目の対戦相手が決定。9日の初日を迎える。

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