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【大ちゃん大分析】荒々しくV照ノ富士、綱取りには安定した四つ相撲不可欠

八角理事長(手前)から総理大臣杯を受け取る照ノ富士(撮影・鈴木正人)

<大相撲夏場所>◇千秋楽◇23日◇東京・両国国技館

優勝決定戦の一番は、安定感のあった10日目までとは別人のような、なりふり構わぬ荒々しい相撲で照ノ富士が、優勝をもぎ取りに行った。本割の一番は、終盤戦の悪い流れを引きずるような嫌な負け方だっただけに、よく気持ちを切り替えて決定戦に臨んだ。必死さも手に取るように分かった。最後は貴景勝ともども大関としての責任は果たせたと思う。

大関に返り咲いて、いきなりの優勝で来場所は綱とりになる。今場所の照ノ富士は、中盤までは「このまま全勝で行くんじゃないかな」と思わせたが、やはり右を入れて左上手という本来の形を作れなかった。相手によって懐の深さ、大きな体を生かした相撲や、相手を引っ張り込んでの相撲は取れるが、横綱を目指す上ではやっぱり、本来の四つ相撲を安定させたい。そうでなければ膝に爆弾を抱えているだけに、強引な相撲で力士生命を絶たれかねない。膝に負担をかけないためにも最高位に座るためにも、安定した四つ相撲を求めたい。(元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)

照ノ富士は優勝決定戦で貴景勝(左)をはたき込みで破る(撮影・小沢裕)

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【大ちゃん大分析】1差の分だけ照ノ富士有利、貴景勝は自分の間合いで勝機

行司軍配差し違いで遠藤に敗れ、浮かない表情で土俵から引き揚げる照ノ富士(撮影・河田真司)

<大相撲夏場所>◇14日目◇22日◇東京・両国国技館

場所の最終盤、それも優勝争いをかける一番で、これが相撲の醍醐味(だいごみ)という熱のこもった相撲を両者が取った。

遠藤の勝因は中に入って、休まずうまく攻めたことにある。照ノ富士の小手投げは頭にあったから、その投げに力を出させないように、右肘を張って右から攻めていった。右腰に食い付くのが最善で、そこまではさせてくれず最後も微妙な差だったが、遠藤の執念と技術が凝縮された白星だった。照ノ富士は今場所、前に圧力をかける相撲は良かったが食い付かれると、どうしても無理して振るような相撲があった。小兵の相手ならいいが、大型力士や遠藤のようなうまさを兼ね備えた相手には墓穴を掘りかねない。そんな危うさが出てしまった。

ただ優勝争いは、まだ1差の分だけ照ノ富士が有利だろう。貴景勝とすれば自分の間合いでジワジワと押し通せれば勝機は生まれる。遠藤は最後まで無欲を貫き通すことだ。(元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)

正代(右)を突き落としで破る貴景勝(撮影・鈴木正人)

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【大ちゃん大分析】朝乃山に裏切られた思い…信用取り戻すために自問自答を

朝乃山。右は師匠で元大関朝潮の高砂親方(2019年12月24日撮影)

<大相撲夏場所>◇13日目◇21日◇東京・両国国技館

たった星1つの差が、両大関の余裕の差となって相撲に表れた。照ノ富士は12日目に苦手の阿武咲に勝ったのが大きかった。その前日に、よもやの反則負けで喫した悪夢を振り払ったばかりか、苦手の阿武咲に完勝したことで「いける」とはずみがついた。大きい逸ノ城が相手というのも好都合。多少、時間はかかっても上手さえ取ればという余裕を持って臨んだはずだ。一方、本来なら追う立場の方が精神的に楽なはずの貴景勝は、勝ちたい意識が強すぎた。それが勝負を決めにかかる場面での頭の低さに表れた。前傾になりすぎ相手が見えないから逆転の突きを食ってしまう。勝った遠藤は14日目の照ノ富士戦で何とか食らい付きたいところだ。

朝乃山の件ではファンの皆さんに本当に申し訳なく責任を感じている。何であんな行動をしたのか理解しがたい。入門から昨年まで師匠として、そんな指導はしていないし期待を裏切られた思いでいる。大関の地位にいながら考えが甘く自覚がなかった。信用を取り戻すためにどうするか、自問自答してほしい。(元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)

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【大ちゃん大分析】初黒星の照ノ富士 慢心というか不断の積み重ねを怠った

まげを掴み反則となり、妙義龍に軍配が上がり土俵下で険しい表情を見せる照ノ富士(撮影・河田真司)

<大相撲夏場所>11日目◇19日◇東京・両国国技館

前回の評論で、照ノ富士の優勝確率は80%とみたが「余裕が生まれて安易に取って墓穴を掘らなければ」という注釈付きだった。

その危うさが図らずも妙義龍相手に出た。安易に取ったとまでは言わない。ただ、これまでの相撲はどんな相手にも前に出ることに徹していたのに対して、この日は組み止めた後、投げで勝負を決めようとした。流れの中で頭を押さえたのは仕方ないとしても、やはり投げを打ったところに心のすきが見えた気がする。慢心というか、不断の積み重ねを怠った。1敗ぐらいは痛くもかゆくもないかもしれないが、小さな穴からほころびが生じて大きな穴になる。いま一度、立て直すことが必要だ。逆に見る側とすれば面白い展開になってきた。貴景勝も逆転優勝の可能性が出てきたし、ここまでふがいない残りの2大関も遅まきながら存在感を示すチャンスが出てきた。(元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)

妙義龍(左)のまげを掴み反則となる照ノ富士(撮影・河田真司)
照ノ富士(右奥)は妙義龍との一番で物言いがつき控えで審判団の協議を見守る(撮影・小沢裕)

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【大ちゃん大分析】照ノ富士V確率80%、合口悪い高安は密着させず下す

高安(左)の攻めに耐える照ノ富士(撮影・河田真司)

<大相撲夏場所>◇9日日◇17日◇東京・両国国技館

照ノ富士の勝因は、辛抱して上体を起こさず、しぶとく粘って高安に密着させなかったことにある。

合口が悪かった過去の高安戦では、アゴを上げて相手を引っ張り込むような展開が多かった。その反省を生かし頭を下げ、前傾姿勢をとることで懐の深さが生きた。高安からすれば最後、もう少し密着して出ていれば、下に落ちることはなかったはず。足が出なかったこともあるが、そうさせなかった照ノ富士の終始一貫した前傾姿勢が白星を呼び込んだ。

二本差されはしたが、いっぺんに攻められない間隔を作ったのも、この前傾姿勢。絶対に負けたくないという気持ちが、それを作ったとも思う。相手のかいなを引っ張り込む技術も大型力士の割にうまいし、冷静さも保ち続けている。膝の状態もここまでは問題ない。後続とは2差。余裕が生まれて安易に取って墓穴を掘らなければ現状、優勝確率は80%ぐらいとみる。(元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)

立ち会いで激しくぶつかり合う高安(左)と照ノ富士(撮影・狩俣裕三)
高安(左)をはたき込みで破る照ノ富士(撮影・鈴木正人)

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【大ちゃん大分析】らしい相撲出ている貴景勝 唯一黒星の御嶽海戦が良薬

豊昇龍(右)をはたき込みで破る貴景勝(撮影・江口和貴)

<大相撲夏場所>◇7日目◇15日◇東京・両国国技館

初顔が相手でも貴景勝には立ち合いの変化が頭にあったんだろう。当たりが多少、弱くても豊昇龍なら押し込まれないから相手をよく見て立った。

変化されても中に入ってまわしさえ取られなければ、相手は相撲にならない。冷静にさばいた。この日は別として、ここまでは貴景勝らしい相撲が出ている。良薬は唯一の黒星を喫した2日目の御嶽海戦だろう。押し込めず辛抱しきれず引いて墓穴を掘った。序盤のうちに自分の相撲を思い直して、押し相撲の原点に戻れたのが好調の要因だろう。押し相撲は難しいが最後まで貫いて、全勝の照ノ富士を追ってほしい。残念だったのは豊昇龍だ。右上手を狙って変化したのは安易だった。将来には何のプラスにもならない。明生に敗れたが、この日の若隆景のように小さくても正攻法で行かないと成長はできない。真っすぐ当たることで何かが生まれ道は開ける。(元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)

豊昇龍(左)をはたき込みで破った貴景勝(撮影・鈴木正人)

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【大ちゃん大分析】前半を1敗で乗り切った正代 ひとまず目標はかど番脱出

明生(手前)を攻める正代(撮影・滝沢徹郎)

<大相撲夏場所>◇4日目◇12日◇東京・両国国技館

かど番の正代が前半の5日間を1敗で乗り切った。

明生は簡単な相手ではないが、左を入れるとその左からすくって起こし、最後は右も入れて圧力をかけた。終始、体幹を生かし前に出るという、正代らしい攻めの姿勢が見て取れた。あのすくい投げも、相手が大きかったら呼び込んで劣勢を招くこともあるが、そこは正代も考えていたと思う。体調は決して万全ではないだろう。優勝して大関昇進を決めた去年の秋場所のような、相手をはじき飛ばす立ち合いはまだない。ただ場所は、まだ3分の1を終えただけだ。今場所のひとまずの目標は、かど番脱出の8勝。その最低目標を中盤戦で早々にクリアして、精神的にも楽になればエンジンもかかるだろう。対戦相手も後半は関脇以上だから、気持ちもグッと盛り上がるはず。1差でついて行けば、乗った時の正代は強い。(元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)

正代(手前)は明生を寄り倒しで破る(撮影・柴田隆二)

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【大ちゃん大分析】高安、攻めに圧力序盤3勝 先場所V逸経験生きている

明生(右)を攻める高安(撮影・河田真司)

<大相撲夏場所>◇3日目◇11日◇東京・両国国技館

高安の攻めの相撲に圧力があった。かち上げや体当たりではなかったが、腰が決まっているから立ち合いの踏み込みがいい。あの元気な明生もズルズル下がるばかりだった。回り込む相手を最後まで冷静にさばいて、腰が浮いたところで押し倒した。

大関経験者だから序盤は勝っても驚かないが、目前で優勝を逃した先場所のことがある。手放しでは喜べないだろうし、2日目は少しバタバタした相撲を取ったが、ここまで3日間は無難に取っている。先場所、終盤で崩れたのは優勝経験がない精神面のもろさが出たと思う。どんな状況でも自分の相撲を取りきることが、いかに大事かと思い知ったはずだ。いい経験をさせてもらった、苦い経験を土俵に生かそうと切り替えて今場所に臨んでいればいい。1日で15番を取るわけではない。一番一番の積み重ねを自分に言い聞かせればおのずと結果は出る。(元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)

明生(右)を攻める高安(撮影・小沢裕)

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【大ちゃん大分析】危なげなかった照ノ富士、大事に大事に休まず前への圧力

明生(右)を攻める照ノ富士(撮影・鈴木正人)

<大相撲夏場所>◇初日◇9日◇東京・両国国技館

二本差されても照ノ富士は全く危なげなかった。

差されることを望んではいないだろうが、たとえ差されても抱えればいいと決めているような流れだ。危なげないと言ったのは、その後の攻め。相手が軽いからと安易に振ったり、小手投げにいかなかったことだ。振ったりすれば逆に食い付かれるだけ。そこを休まず前に圧力をかけ続けたのが良かった。それは膝への負担を軽減することにもなる。両膝をがっちりテープで固めている姿を見ると、状態は決して良くないと思う。膝に爆弾を抱えているのは本人も重々、承知のこと。強引な相撲を取って再発すれば力士生命が終わることもだ。だから大事に大事に取ることを肝に銘じているはずだ。そうするうちに、右を入れて左上手を取る万全の相撲も戻ってくるはずだ。4大関安泰でスタートした今場所、その中心に照ノ富士がいる。(元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)

明生(手前)を攻める照ノ富士(撮影・鈴木正人)
明生(後方)を豪快に土俵下へ落とした照ノ富士(撮影・河野匠)

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結びで巻き添え、行司背中から落下/千秋楽写真特集

<大相撲春場所>◇千秋楽◇28日◇東京・両国国技館

関脇照ノ富士(29=伊勢ケ浜)が昨年7月場所以来の優勝を果たして、確実にしている大関復帰に花を添えた。大関貴景勝を破って12勝目。3度目の幕内優勝は関脇以下では初となる快挙を成し遂げた。

八角理事長(右)から内閣総理大臣杯を受け取る照ノ富士(撮影・河田真司)

幕内優勝を飾り師匠の伊勢ケ浜審判部長(左)から優勝旗を受け取る照ノ富士(撮影・小沢裕)

優勝力士インタビューで笑顔を見せる照ノ富士(撮影・鈴木正人)

千秋楽の熱戦を写真で振り返ります。

幕内

徳勝龍(7勝8敗)とったり琴勝峰(1勝6敗8休)

琴勝峰(手前)をとったりで破る徳勝龍(撮影・鈴木正人)


英乃海(10勝5敗)すくい投げ豊昇龍(8勝7敗)

豊昇龍(右)をすくい投げで破る英乃海(撮影・河田真司)


魁聖(8勝7敗)下手投げ翔猿(10勝5敗)

魁聖(右)を下手投げで破る翔猿(撮影・河田真司)

翔猿 (兄英乃海とともに2桁白星)目の前で取っていて、良かったと思う。場所中は自分のことであれだったので(話はしていない)。


琴ノ若(6勝9敗)寄り切り大奄美(9勝6敗)

琴ノ若(右)を寄り切りで破る大奄美(撮影・河田真司)


琴恵光(8勝7敗)寄り切り輝(6勝9敗)

琴恵光(左)を寄り切りで破る輝(撮影・河田真司)


玉鷲(5勝10敗)寄り切り照強(8勝7敗)

玉鷲(右)を寄り切りで破る照強(撮影・鈴木正人)


翠富士(5勝10敗)押し出し隠岐の海(3勝12敗)

隠岐の海(右)を押し出しで破る翠富士(撮影・鈴木正人)


竜電(6勝9敗)寄り切り妙義龍(7勝8敗)

竜電(右)を寄り切りで破る妙義龍(撮影・鈴木正人)

妙義龍 (7勝8敗の成績に)十分じゃないですか。連勝あり、連敗ありで、最後勝ちで締められたので良かったと思う。足が動いた相撲もあったし、動かなかった相撲もあった。


千代大龍(6勝9敗)はたき込み志摩ノ海(4勝11敗)

志摩ノ海(手前)をはたき込みで破る千代大龍(撮影・河田真司)


明生(10勝5敗)寄り切り剣翔(9勝6敗)

明生(手前)に寄り切りで敗れる剣翔龍(撮影・河田真司)


北勝富士(9勝6敗)押し出し若隆景(10勝5敗)

北勝富士(右)を押し出しで破る若隆景(撮影・河田真司)

若隆景 (立ち合い変化は)体が反応しました。(技能賞は)うれしいです。おっつけの技能が評価されたのはすごくありがたい。


千代翔馬(8勝7敗)上手投げ阿武咲(4勝11敗)

阿武咲(下)を上手投げで破る千代翔馬(撮影・河田真司)

阿武咲 思い切りいったが、自分が弱かっただけです。明日から切り替えて来場所、出直します。


宝富士(3勝12敗)突き落とし霧馬山(7勝8敗)

宝富士(右)を送り引き落としで破る霧馬山(撮影・鈴木正人)

宝富士(右)を送り引き落としで破った霧馬山(撮影・鈴木正人)

霧馬山 最後危なかったけど、我慢していきました。思い切りいっていい相撲をとろうと。勝って来場所につなげたかった。(部屋の横綱鶴竜が引退も)あまり考えず集中して、いつも通りいけました。


明瀬山(7勝8敗)突き出し大栄翔(8勝7敗)

明瀬山(手前)を激しく攻める大栄翔(撮影・鈴木正人)

大栄翔(左)は明瀬山を突き出しで破る(撮影・小沢裕)

大栄翔 (7勝7敗千秋楽に)ちょっと緊張したけどやることはひとつ。思い切りいきました。とりあえず勝ち越しはよかったが、内容的には悪い相撲が多かった。


逸ノ城(7勝8敗)押し出し御嶽海(8勝7敗)

逸ノ城(右)を押し出しで破る御嶽海(撮影・鈴木正人)

御嶽海 (千秋楽勝ち越しに)ホッとしてます。ようやく終わりました。自分としてはもっととりたかったが、ファンの方はハラハラドキドキ、刺激になったんじゃないでしょうか。


高安(10勝5敗)はたき込み碧山(11勝4敗)

碧山(左)にはたき込みで敗れる高安(撮影・鈴木正人)

高安(右)をはたき込みで破った碧山(撮影・河田真司)

碧山 (優勝決定戦への望みは)もちろんありました。残念です。(勝てばの条件付き敢闘賞は)知っていました。落ち着いていい相撲がとれたと思います。


栃ノ心(7勝8敗)押し出し隆の勝(8勝7敗)

栃ノ心(左)を押し出しで破る隆の勝(撮影・河田真司)

隆の勝 (千秋楽勝ち越しに)ガチガチにはならず、いい緊張感で臨めた。勝ち越しで終われたのは自信になる。来場所、もっと活躍できるように頑張りたい。


貴景勝(10勝5敗)押し出し照ノ富士(12勝3敗)

貴景勝(手前)を攻める照ノ富士(撮影・鈴木正人)

貴景勝(右)を土俵際に追い込む照ノ富士(撮影・河田真司)

貴景勝(右)を押し出しで破り、幕内優勝を決める照ノ富士(撮影・河田真司)

貴景勝 本割で勝たないことには始まらないんで。一生懸命やろうと思いました。負けたのは自分が弱いから。それをしっかり考えて、来場所に向けてやっていきたい。


正代(7勝8敗)上手投げ朝乃山(10勝5敗)

朝乃山(左)に上手投げで敗れる正代にぶつかる行司の式守伊之助(右)(撮影・河田真司)

朝乃山(右)は正代を上手投げで破る。行司の式守伊之助(左)は巻き添えを食らい土俵下に頭から落ちた(撮影・小沢裕)

結びの一番で土俵下に落ちた立て行司の式守伊之助(撮影・鈴木正人)

結びの一番で土俵下に落ちた立て行司の式守伊之助(中央)。声をかける西岩親方(左)と呼び出し(撮影・鈴木正人)

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3大関ふがいない「お山の大将では」大ちゃん大分析

照ノ富士に押し出しで敗れ、険しい表情を浮かべる貴景勝(撮影・河田真司)

<大相撲春場所>◇千秋楽◇28日◇東京・両国国技館

関脇照ノ富士(29=伊勢ケ浜)が昨年7月場所以来の優勝を果たして、確実にしている大関復帰に花を添えた。大関貴景勝を破って12勝目。3度目の幕内優勝は関脇以下では初となる快挙を成し遂げた。

   ◇   ◇   ◇   ◇

今場所の各力士の力量を考えれば、照ノ富士の優勝は落ち着くところに落ち着いたということだろう。相撲内容は少し雑な感じも見受けられたが、負けない相撲を取れる。懐の深さ、まわしの取り方とか大関経験者だから相撲の取り方を知っている。逆に言えば、ふがいなかった3大関には奮起を求めたい。貴景勝は減量で押す圧力が落ちた。今の体重に慣れてスピードを生かしたいところだ。朝乃山は合同稽古で泥だらけになるぐらいでないと部屋の稽古だけでは地力がつかない。正代は引く相撲が多く気力も感じられなかった。3大関には、いつまでもお山の大将では上の番付は望めないと言いたい。いつの間にか、横綱に一番近いのは照ノ富士に取って代わられた。来場所も白鵬は休場のようだが、もう番付には横綱はいないと思って、4大関で「俺が相撲界を引っ張るんだ」と、しのぎを削ってほしい。(元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)

朝乃山(左)に上手投げで敗れる正代にぶつかる行司の式守伊之助(右)(撮影・河田真司)
貴景勝(左)の攻めを耐える照ノ富士(撮影・鈴木正人)

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開き直れず高安らしさ影潜めた/大ちゃん大分析

翔猿(奥)に首ひねりで敗れる高安(撮影・河田真司)

<大相撲春場所>◇14日目◇27日◇東京・両国国技館

高安が守り続けた優勝争い首位から陥落した。動き回る翔猿を捕まえて左四つになって右上手を取ったが、勝負を決められない。じりじりと土俵際に寄ったが、必死の首ひねりに屈した。同時に土俵下に落ち、軍配は翔猿。物言いがついたが、協議の結果、軍配通りとなった。

   ◇   ◇   ◇

ここまで場所を引っ張ってきたのは誰もが認めるところだ。だから星で並ばれても「残りは自分らしい相撲を取ろう」と開き直ればいいものを、高安らしさが影を潜めてしまった。前日の若隆景、この日の翔猿と同じような小さい相手だから取りづらいのは分かるが、小兵の力士は怖がらずに前に圧力をかけられるのが一番、嫌なんだ。なのに警戒しすぎて前に出ないから翔猿も、しめたと仕掛けられる。左四つに組み止めても攻められないのは、プレッシャーだろう。動かないと言うより動けない。開き直れないままこの日を迎えてしまったようだ。一方の照ノ富士は朝乃山が一応、考えた立ち合いでもろ手で突かれたが、4連勝中ということもあり左上手さえ取れればという精神的な余裕があるから対処できた。千秋楽で対戦する貴景勝はここにきて、いい相撲を取れている。照ノ富士も押されるのは嫌だろう。大関復帰に優勝で花を添えられるか、4敗で優勝決定ともえ戦か、面白い一番になる。(日刊スポーツ評論家)

高安(左)を首ひねりで破る翔猿(撮影・河田真司)

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優勝経験ない高安 心の迷い感じる/大ちゃん大分析

高安は若隆景(左)に寄り倒しで敗れる(撮影・小沢裕)

<大相撲春場所>◇13日目◇26日◇東京・両国国技館

なぜ慌てたような相撲を取るのか首をかしげた。高安の相撲だ。最後の左からの小手投げは強引だった。それまでの流れも何がしたいのか、どんな相撲を取るのかが見えない。感じられるのは心の迷いだ。悲しいかな優勝経験がないのが、最終盤にきて響いている。優勝経験があれば、心の持ちようや乗り越える勘どころが分かる。登ったことがない山には登れない。ここは正念場だ。残り2日、ここは吹っ切って開き直って臨んでほしい。追いつくチャンスだった朝乃山は、上体と下半身がマッチしてない。のど輪を外し貴景勝の体を崩したのはいいが、自分も足が出ないまま上体だけ前のめりに出たからはたかれた。14日目の照ノ富士戦は、この日のように突いて押して相手を動かし、揺さぶりながら攻めないと勝機は見えない。とはいえ賜杯に近いのは3敗の2人。横綱不在とはいえ優勝ラインを4敗まで下げたくないという思いも込めて。(元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)

若隆景に寄り倒しで敗れ土俵を引き揚げる高安(撮影・鈴木正人)

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心労も重なった鶴竜の決断を尊重/大ちゃん大分析

14年9月、秋場所5日目に土俵入りする横綱鶴竜

日本相撲協会は24日、横綱鶴竜(35=陸奥)の引退と、年寄「鶴竜」の襲名を承認したことを発表した。

   ◇   ◇   ◇

優勝争いが佳境に入っての引退表明には、水を差したという声も聞く。だがここは鶴竜の横綱としての決断を尊重したい。本場所の土俵に復帰したいと必死だったろう。

ただ、どの親方も言うと思うが、晩年は相手ではなく自分の体との闘いだ。5場所も休場して、もう治らないと判断したんだろう。場所が近づくにつれ「出なければいけない」「勝たなければならない」というプレッシャーがかかり、心理的に押しつぶされそうな中でのケガだったと思う。もう5月場所までは持たない。負けても最後は土俵で…の思いがあっただろうから、無念さは察するにあまりある。育ての師匠の死、それに伴う移籍と精神的な心労も重なった。コロナ禍で出稽古が出来ず、相撲勘を取り戻せないのも響いた。強さというより、うまさで横綱まで上り詰めただけに余計だ。温厚な性格そのままに、親方としても立派な力士を育ててほしい。(元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)

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「大関は俺たちだ」存在価値見せて/大ちゃん大分析

妙義龍(右)を攻める照ノ富士(撮影・鈴木正人)

<大相撲春場所>◇9日目◇22日◇東京・両国国技館

大関経験者だから当然、と言ってしまえばそれまでだが、優勝を争う2人が対戦相手を考えた上で自分の持ち味を出し切っている。もろ差し狙いの妙義龍に対し照ノ富士は(両腕を)きめてしまえ、と決めていたように見えた。両上手でなく、きめた方が相手の動きを止められる。強引に投げを打ったりせず、そのまま前に出るから膝への負担も少ない。一方の高安は前日の照ノ富士戦とは相撲が違う相手だから、阿武咲に対し当たりを止めて中に入らず突き放して起こした。右のおっつけが何より効いたし、リズムがいいからはたきも一発で決まる。引っ張り込んで四つに組み止めようとすれば、懐に飛び込まれ一気の出足を食うリスクがある。押し相撲に突き押しで対処できたのも体調が戻りつつある証しだろう。場所も終盤戦に入る。元大関に対し「今の大関は俺たちだ」と対戦する3大関は存在価値を見せてほしい。(元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)

妙義龍(左)をきめ出しで破った照ノ富士(撮影・野上伸悟)

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高安は相撲に自信、我慢のたまもの/大ちゃん大分析

宝富士(下)を上手出し投げで破った高安(撮影・鈴木正人)

<大相撲春場所>◇7日目◇20日◇東京・両国国技館

辛抱したかいがあったというものだ。3分近い相撲で高安が勝ったのは、我慢のたまものだ。

自分得意の左四つになったが、土俵中央で膠着(こうちゃく)状態になり、先に右上手を取ったのが宝富士。半身の苦しい体勢になったが、高安は下手に動かず勝機をジッとうかがった。腰を痛めて大関から陥落して1年少しがたつ。体が戻らなければ辛抱しきれず、焦って攻めて墓穴を掘る結果になっただろう。そこをジッと我慢して宝富士の上手を、うまく腰を使って切り、逆に自分が上手を引いて出し投げで勝負を決めた。常に自分十分の体勢になれるわけではない。こうして星を拾っていくことが大事だ。最近は自分の相撲に自信を持っているように感じる。

8日目は1敗同士で照ノ富士との好一番が組まれた。元気な三役2人が、横綱不在の場所で救いとなっている。(元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)

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照ノ富士苦しい最も嫌な攻められ方/大ちゃん大分析

照ノ富士(左)を攻める阿武咲(撮影・河田真司)

<大相撲春場所>◇5日目◇18日◇東京・両国国技館

膝にケガを抱える照ノ富士にすれば、最も嫌な攻められ方を阿武咲にされてしまった。

4連勝中も大栄翔や明生といった、同じ押し相撲の相手に押し込まれ、懐に飛び込まれた照ノ富士だが、相手が差したりまわしを取りにきたことで、うまく抱えてしのげた。だがこの日の阿武咲は肘をうまく曲げて、はず押しを基本に押し込んだ。さらに揺さぶりながらの攻めだから、照ノ富士もなかなか抱え込めない。辛抱しきれず最後も、体が伸びきってしまったところで駄目押しの右はずで勝負を決められた。

同じような相撲でも4日目までの対戦相手と違うのは、アゴを上げられ棒立ちにさせられる攻め方を阿武咲がしたということ。まわしを与えてくれない、抱えられない攻め方をされるのが、今の照ノ富士には一番苦しい。上背はなくても大型力士を倒せる、お手本のような阿武咲の相撲だった。(元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)

照ノ富士(左)を押し出しで破る阿武咲(撮影・中島郁夫)

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貴景勝の自滅…体重減は不安材料/大ちゃん大分析

若隆景(右)に寄り切りで敗れる貴景勝(撮影・鈴木正人)

<大相撲春場所>◇3日目◇16日◇東京・両国国技館

小兵の若隆景に、貴景勝が粘り負けした。小さい相手だけに、安全にいこうという気持ちが出たのか、少し相手を見て相撲を取ってしまった。

小さい相手だからこそ怖がらずに押さないとダメだ。それが、立ち合いで押し勝っているのに、若隆景のちょっとした横の動きで足が出なくなった。だから押しに威力がない。さらに、押し込んでいないうちのいなしでは、逆に相手に飛び込まれてしまうだけ。苦し紛れの右からのいなしで、精神的にも相手に余裕を与えてしまった。若隆景が下から粘り強く反撃できたのも、付け入る隙を与えてしまった貴景勝の自滅ともいえるだろう。

今場所は17キロも体重を落としたことで、動きが良くなったように伝えられているが、そこは不安材料と自分は見ている。突き押しの威力が、やはり落ちるのではないかと。また、相手に差させない、まわしを取らせない技術も、横綱を目指す上で貴景勝に求められる課題だろう。(元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)

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8カ月ぶり白鵬が最良の立ち会い/大ちゃん大分析

大栄翔(奥)と激しく立ち合う白鵬(撮影・河田真司)

<大相撲春場所>◇初日◇14日◇東京・両国国技館

8カ月ぶりの本場所の土俵で白鵬が、どんな立ち合いをするのか。思った通り右から張っていった。物議を醸した立ち合いだが自分の一番、得意な形を出したかったんだろう。押し相撲の出足を止めるにも最良の選択だった。

その後の足の運びには多少のぎこちなさも感じたし、最後もどっちが先に出たかとなると際どかったが、大栄翔は宙に浮き完全に攻め勝った。立ち合いから勝負どころまで、今場所にかける必死さを感じさせる一番だった。白鵬にとってそれほど、この一番が持つ意味は大きい。勝てば8カ月の空白が埋められ流れに乗れる。負ければ「3場所全休は厳しい。やっぱりダメかな」という落胆になりかねない。しかも相手は先場所の覇者。負けて世代交代を感じるか、勝って「まだまだ若いもんには負けん」という気持ちになれるか雲泥の差だ。とはいえ15日間は長い。じっくり見てみたい。(元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)

懸賞金の束を手に土俵を引き揚げる白鵬(撮影・鈴木正人)

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押し相撲を貫いた初V大栄翔は立派/大ちゃん大分析

大栄翔(左)は隠岐の海を突き出しで破り幕内優勝を決める(撮影・小沢裕)

<大相撲初場所>◇千秋楽◇24日◇東京・両国国技館

見事な大栄翔の優勝だ。立派としか言いようがないな。小細工しない隠岐の海が相手とはいえ、重圧がかかる中、迷いなく突き放す相撲が取れたのは、精神的にも揺らぎがなかったということ。ムラがありがちな押し相撲で15日間、自分の相撲を貫き通せたのは本当に立派だ。今場所は三役以上が全員、勝ち越した。ある意味、レベルが高い場所で、平幕の優勝は価値がある。

大栄翔の優勝にケチをつけるつもりは全くないが、一方で横綱不在の影響が浮き彫りになったともいえるだろう。初場所は6年連続らしいが、初優勝が多すぎる。優勝者の顔ぶれがコロコロ変わるのは本来、最上位である横綱がドッシリ構えて、にらみを利かせていないからだ。出場しないようでは話にならない。日替わりならぬ“場所替わりヒーロー”が出るのは、番付社会で本来、あるべき姿ではないと思う。やっぱり横綱には壁になってほしい。その横綱を脅かす大関陣の中からも、早く次代の横綱が誕生してほしい。(元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)

八角理事長(手前)から内閣総理大臣杯を受け取る大栄翔(撮影・鈴木正人)
優勝インタビューを終え、しばらく天を仰ぐ大栄翔(撮影・河田真司)

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