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【大ちゃん大分析】らしい相撲出ている貴景勝 唯一黒星の御嶽海戦が良薬

豊昇龍(右)をはたき込みで破る貴景勝(撮影・江口和貴)

<大相撲夏場所>◇7日目◇15日◇東京・両国国技館

初顔が相手でも貴景勝には立ち合いの変化が頭にあったんだろう。当たりが多少、弱くても豊昇龍なら押し込まれないから相手をよく見て立った。

変化されても中に入ってまわしさえ取られなければ、相手は相撲にならない。冷静にさばいた。この日は別として、ここまでは貴景勝らしい相撲が出ている。良薬は唯一の黒星を喫した2日目の御嶽海戦だろう。押し込めず辛抱しきれず引いて墓穴を掘った。序盤のうちに自分の相撲を思い直して、押し相撲の原点に戻れたのが好調の要因だろう。押し相撲は難しいが最後まで貫いて、全勝の照ノ富士を追ってほしい。残念だったのは豊昇龍だ。右上手を狙って変化したのは安易だった。将来には何のプラスにもならない。明生に敗れたが、この日の若隆景のように小さくても正攻法で行かないと成長はできない。真っすぐ当たることで何かが生まれ道は開ける。(元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)

豊昇龍(左)をはたき込みで破った貴景勝(撮影・鈴木正人)

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【大ちゃん大分析】前半を1敗で乗り切った正代 ひとまず目標はかど番脱出

明生(手前)を攻める正代(撮影・滝沢徹郎)

<大相撲夏場所>◇4日目◇12日◇東京・両国国技館

かど番の正代が前半の5日間を1敗で乗り切った。

明生は簡単な相手ではないが、左を入れるとその左からすくって起こし、最後は右も入れて圧力をかけた。終始、体幹を生かし前に出るという、正代らしい攻めの姿勢が見て取れた。あのすくい投げも、相手が大きかったら呼び込んで劣勢を招くこともあるが、そこは正代も考えていたと思う。体調は決して万全ではないだろう。優勝して大関昇進を決めた去年の秋場所のような、相手をはじき飛ばす立ち合いはまだない。ただ場所は、まだ3分の1を終えただけだ。今場所のひとまずの目標は、かど番脱出の8勝。その最低目標を中盤戦で早々にクリアして、精神的にも楽になればエンジンもかかるだろう。対戦相手も後半は関脇以上だから、気持ちもグッと盛り上がるはず。1差でついて行けば、乗った時の正代は強い。(元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)

正代(手前)は明生を寄り倒しで破る(撮影・柴田隆二)

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【大ちゃん大分析】高安、攻めに圧力序盤3勝 先場所V逸経験生きている

明生(右)を攻める高安(撮影・河田真司)

<大相撲夏場所>◇3日目◇11日◇東京・両国国技館

高安の攻めの相撲に圧力があった。かち上げや体当たりではなかったが、腰が決まっているから立ち合いの踏み込みがいい。あの元気な明生もズルズル下がるばかりだった。回り込む相手を最後まで冷静にさばいて、腰が浮いたところで押し倒した。

大関経験者だから序盤は勝っても驚かないが、目前で優勝を逃した先場所のことがある。手放しでは喜べないだろうし、2日目は少しバタバタした相撲を取ったが、ここまで3日間は無難に取っている。先場所、終盤で崩れたのは優勝経験がない精神面のもろさが出たと思う。どんな状況でも自分の相撲を取りきることが、いかに大事かと思い知ったはずだ。いい経験をさせてもらった、苦い経験を土俵に生かそうと切り替えて今場所に臨んでいればいい。1日で15番を取るわけではない。一番一番の積み重ねを自分に言い聞かせればおのずと結果は出る。(元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)

明生(右)を攻める高安(撮影・小沢裕)

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【大ちゃん大分析】危なげなかった照ノ富士、大事に大事に休まず前への圧力

明生(右)を攻める照ノ富士(撮影・鈴木正人)

<大相撲夏場所>◇初日◇9日◇東京・両国国技館

二本差されても照ノ富士は全く危なげなかった。

差されることを望んではいないだろうが、たとえ差されても抱えればいいと決めているような流れだ。危なげないと言ったのは、その後の攻め。相手が軽いからと安易に振ったり、小手投げにいかなかったことだ。振ったりすれば逆に食い付かれるだけ。そこを休まず前に圧力をかけ続けたのが良かった。それは膝への負担を軽減することにもなる。両膝をがっちりテープで固めている姿を見ると、状態は決して良くないと思う。膝に爆弾を抱えているのは本人も重々、承知のこと。強引な相撲を取って再発すれば力士生命が終わることもだ。だから大事に大事に取ることを肝に銘じているはずだ。そうするうちに、右を入れて左上手を取る万全の相撲も戻ってくるはずだ。4大関安泰でスタートした今場所、その中心に照ノ富士がいる。(元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)

明生(手前)を攻める照ノ富士(撮影・鈴木正人)
明生(後方)を豪快に土俵下へ落とした照ノ富士(撮影・河野匠)

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朝乃山が調整「勝敗に関係なく番数を」夏場所へ13勝目標

朝乃山(2021年3月19日撮影)

大相撲夏場所(9日初日、東京・両国国技館)の初日まで3日となった6日、大関朝乃山(27=高砂)が朝稽古後に、報道陣の電話取材に応じた。

先月19日から4日間の日程で行われた合同稽古では、連日の三番稽古(同じ相手と連続して相撲を取る)で、同じ大関の正代(29=時津風)や小結御嶽海(28=出羽海)らと約60番取り、実戦感覚を磨いた。その後の部屋での稽古は関取衆不在のため連日、幕下以下の若い衆と稽古。この日は「勝敗に関係なく番数を取ろうと思って20番ぐらい」(朝乃山)取った。調整に入る時期でもあるため少なめのようだが、番付発表後は30番ほど取ったという。

2年前の夏場所は、トランプ前米国大統領から大統領杯を贈られた記念すべき初優勝。昨年の夏場所は新大関として臨むはずが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて中止。何かと縁深い場所を前に「気付けばもう大関になって1年がたちます。大関になってふがいないし、納得いかない結果になっている。大関に求められるのは優勝ですから」と、休場を除けば8場所連続2ケタ勝利中にも、さらなる向上を自分に求めた。

結果的には2ケタ勝利を挙げても、番付下位への取りこぼしで優勝争いには、なかなか加われない状況が続く。「自分より下の番付(の力士)に負けないことが大事。それを突破しても大関同士で(の対戦)も勝っていかないといけない」と本人も重々、承知のことだ。大関昇進時に先代の師匠(現錦島親方=元大関朝潮)から「13勝で優勝しなければダメだ」と言われたことも頭にあり「12番しかないので、それ以上、勝たないといけない」とクリアすべき数字も明確に挙げた。

季節がら相撲界では関取衆が、後援者らに日頃の感謝のしるしとして贈る、浴衣地の反物を作るシーズンだ。朝乃山は今年、チューリップをデザインした反物を作った。出身地・富山の名花で「地元のやつを何か入れようかなと思ってチューリップがあるので。皆さんに喜んでいただけるように、少しでも地元を入れたいと思って」と説明。夏場所初日は母の日でもあり「5月場所と(母の日が)重なるので白星を届けることが一番のプレゼント」と話すように、浴衣地の反物同様、感謝の思いを土俵上の白星とともに送る。

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3大関ふがいない「お山の大将では」大ちゃん大分析

照ノ富士に押し出しで敗れ、険しい表情を浮かべる貴景勝(撮影・河田真司)

<大相撲春場所>◇千秋楽◇28日◇東京・両国国技館

関脇照ノ富士(29=伊勢ケ浜)が昨年7月場所以来の優勝を果たして、確実にしている大関復帰に花を添えた。大関貴景勝を破って12勝目。3度目の幕内優勝は関脇以下では初となる快挙を成し遂げた。

   ◇   ◇   ◇   ◇

今場所の各力士の力量を考えれば、照ノ富士の優勝は落ち着くところに落ち着いたということだろう。相撲内容は少し雑な感じも見受けられたが、負けない相撲を取れる。懐の深さ、まわしの取り方とか大関経験者だから相撲の取り方を知っている。逆に言えば、ふがいなかった3大関には奮起を求めたい。貴景勝は減量で押す圧力が落ちた。今の体重に慣れてスピードを生かしたいところだ。朝乃山は合同稽古で泥だらけになるぐらいでないと部屋の稽古だけでは地力がつかない。正代は引く相撲が多く気力も感じられなかった。3大関には、いつまでもお山の大将では上の番付は望めないと言いたい。いつの間にか、横綱に一番近いのは照ノ富士に取って代わられた。来場所も白鵬は休場のようだが、もう番付には横綱はいないと思って、4大関で「俺が相撲界を引っ張るんだ」と、しのぎを削ってほしい。(元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)

朝乃山(左)に上手投げで敗れる正代にぶつかる行司の式守伊之助(右)(撮影・河田真司)
貴景勝(左)の攻めを耐える照ノ富士(撮影・鈴木正人)

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優勝経験ない高安 心の迷い感じる/大ちゃん大分析

高安は若隆景(左)に寄り倒しで敗れる(撮影・小沢裕)

<大相撲春場所>◇13日目◇26日◇東京・両国国技館

なぜ慌てたような相撲を取るのか首をかしげた。高安の相撲だ。最後の左からの小手投げは強引だった。それまでの流れも何がしたいのか、どんな相撲を取るのかが見えない。感じられるのは心の迷いだ。悲しいかな優勝経験がないのが、最終盤にきて響いている。優勝経験があれば、心の持ちようや乗り越える勘どころが分かる。登ったことがない山には登れない。ここは正念場だ。残り2日、ここは吹っ切って開き直って臨んでほしい。追いつくチャンスだった朝乃山は、上体と下半身がマッチしてない。のど輪を外し貴景勝の体を崩したのはいいが、自分も足が出ないまま上体だけ前のめりに出たからはたかれた。14日目の照ノ富士戦は、この日のように突いて押して相手を動かし、揺さぶりながら攻めないと勝機は見えない。とはいえ賜杯に近いのは3敗の2人。横綱不在とはいえ優勝ラインを4敗まで下げたくないという思いも込めて。(元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)

若隆景に寄り倒しで敗れ土俵を引き揚げる高安(撮影・鈴木正人)

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心労も重なった鶴竜の決断を尊重/大ちゃん大分析

14年9月、秋場所5日目に土俵入りする横綱鶴竜

日本相撲協会は24日、横綱鶴竜(35=陸奥)の引退と、年寄「鶴竜」の襲名を承認したことを発表した。

   ◇   ◇   ◇

優勝争いが佳境に入っての引退表明には、水を差したという声も聞く。だがここは鶴竜の横綱としての決断を尊重したい。本場所の土俵に復帰したいと必死だったろう。

ただ、どの親方も言うと思うが、晩年は相手ではなく自分の体との闘いだ。5場所も休場して、もう治らないと判断したんだろう。場所が近づくにつれ「出なければいけない」「勝たなければならない」というプレッシャーがかかり、心理的に押しつぶされそうな中でのケガだったと思う。もう5月場所までは持たない。負けても最後は土俵で…の思いがあっただろうから、無念さは察するにあまりある。育ての師匠の死、それに伴う移籍と精神的な心労も重なった。コロナ禍で出稽古が出来ず、相撲勘を取り戻せないのも響いた。強さというより、うまさで横綱まで上り詰めただけに余計だ。温厚な性格そのままに、親方としても立派な力士を育ててほしい。(元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)

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「大関は俺たちだ」存在価値見せて/大ちゃん大分析

妙義龍(右)を攻める照ノ富士(撮影・鈴木正人)

<大相撲春場所>◇9日目◇22日◇東京・両国国技館

大関経験者だから当然、と言ってしまえばそれまでだが、優勝を争う2人が対戦相手を考えた上で自分の持ち味を出し切っている。もろ差し狙いの妙義龍に対し照ノ富士は(両腕を)きめてしまえ、と決めていたように見えた。両上手でなく、きめた方が相手の動きを止められる。強引に投げを打ったりせず、そのまま前に出るから膝への負担も少ない。一方の高安は前日の照ノ富士戦とは相撲が違う相手だから、阿武咲に対し当たりを止めて中に入らず突き放して起こした。右のおっつけが何より効いたし、リズムがいいからはたきも一発で決まる。引っ張り込んで四つに組み止めようとすれば、懐に飛び込まれ一気の出足を食うリスクがある。押し相撲に突き押しで対処できたのも体調が戻りつつある証しだろう。場所も終盤戦に入る。元大関に対し「今の大関は俺たちだ」と対戦する3大関は存在価値を見せてほしい。(元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)

妙義龍(左)をきめ出しで破った照ノ富士(撮影・野上伸悟)

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高安は相撲に自信、我慢のたまもの/大ちゃん大分析

宝富士(下)を上手出し投げで破った高安(撮影・鈴木正人)

<大相撲春場所>◇7日目◇20日◇東京・両国国技館

辛抱したかいがあったというものだ。3分近い相撲で高安が勝ったのは、我慢のたまものだ。

自分得意の左四つになったが、土俵中央で膠着(こうちゃく)状態になり、先に右上手を取ったのが宝富士。半身の苦しい体勢になったが、高安は下手に動かず勝機をジッとうかがった。腰を痛めて大関から陥落して1年少しがたつ。体が戻らなければ辛抱しきれず、焦って攻めて墓穴を掘る結果になっただろう。そこをジッと我慢して宝富士の上手を、うまく腰を使って切り、逆に自分が上手を引いて出し投げで勝負を決めた。常に自分十分の体勢になれるわけではない。こうして星を拾っていくことが大事だ。最近は自分の相撲に自信を持っているように感じる。

8日目は1敗同士で照ノ富士との好一番が組まれた。元気な三役2人が、横綱不在の場所で救いとなっている。(元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)

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照ノ富士苦しい最も嫌な攻められ方/大ちゃん大分析

照ノ富士(左)を攻める阿武咲(撮影・河田真司)

<大相撲春場所>◇5日目◇18日◇東京・両国国技館

膝にケガを抱える照ノ富士にすれば、最も嫌な攻められ方を阿武咲にされてしまった。

4連勝中も大栄翔や明生といった、同じ押し相撲の相手に押し込まれ、懐に飛び込まれた照ノ富士だが、相手が差したりまわしを取りにきたことで、うまく抱えてしのげた。だがこの日の阿武咲は肘をうまく曲げて、はず押しを基本に押し込んだ。さらに揺さぶりながらの攻めだから、照ノ富士もなかなか抱え込めない。辛抱しきれず最後も、体が伸びきってしまったところで駄目押しの右はずで勝負を決められた。

同じような相撲でも4日目までの対戦相手と違うのは、アゴを上げられ棒立ちにさせられる攻め方を阿武咲がしたということ。まわしを与えてくれない、抱えられない攻め方をされるのが、今の照ノ富士には一番苦しい。上背はなくても大型力士を倒せる、お手本のような阿武咲の相撲だった。(元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)

照ノ富士(左)を押し出しで破る阿武咲(撮影・中島郁夫)

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貴景勝の自滅…体重減は不安材料/大ちゃん大分析

若隆景(右)に寄り切りで敗れる貴景勝(撮影・鈴木正人)

<大相撲春場所>◇3日目◇16日◇東京・両国国技館

小兵の若隆景に、貴景勝が粘り負けした。小さい相手だけに、安全にいこうという気持ちが出たのか、少し相手を見て相撲を取ってしまった。

小さい相手だからこそ怖がらずに押さないとダメだ。それが、立ち合いで押し勝っているのに、若隆景のちょっとした横の動きで足が出なくなった。だから押しに威力がない。さらに、押し込んでいないうちのいなしでは、逆に相手に飛び込まれてしまうだけ。苦し紛れの右からのいなしで、精神的にも相手に余裕を与えてしまった。若隆景が下から粘り強く反撃できたのも、付け入る隙を与えてしまった貴景勝の自滅ともいえるだろう。

今場所は17キロも体重を落としたことで、動きが良くなったように伝えられているが、そこは不安材料と自分は見ている。突き押しの威力が、やはり落ちるのではないかと。また、相手に差させない、まわしを取らせない技術も、横綱を目指す上で貴景勝に求められる課題だろう。(元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)

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8カ月ぶり白鵬が最良の立ち会い/大ちゃん大分析

大栄翔(奥)と激しく立ち合う白鵬(撮影・河田真司)

<大相撲春場所>◇初日◇14日◇東京・両国国技館

8カ月ぶりの本場所の土俵で白鵬が、どんな立ち合いをするのか。思った通り右から張っていった。物議を醸した立ち合いだが自分の一番、得意な形を出したかったんだろう。押し相撲の出足を止めるにも最良の選択だった。

その後の足の運びには多少のぎこちなさも感じたし、最後もどっちが先に出たかとなると際どかったが、大栄翔は宙に浮き完全に攻め勝った。立ち合いから勝負どころまで、今場所にかける必死さを感じさせる一番だった。白鵬にとってそれほど、この一番が持つ意味は大きい。勝てば8カ月の空白が埋められ流れに乗れる。負ければ「3場所全休は厳しい。やっぱりダメかな」という落胆になりかねない。しかも相手は先場所の覇者。負けて世代交代を感じるか、勝って「まだまだ若いもんには負けん」という気持ちになれるか雲泥の差だ。とはいえ15日間は長い。じっくり見てみたい。(元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)

懸賞金の束を手に土俵を引き揚げる白鵬(撮影・鈴木正人)

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東関部屋が春場所を最後に閉鎖か、継承者選びが難航

東関部屋を継承し、報道陣の取材に対応する東関親方(2020年1月30日撮影)

外国人力士のパイオニアが創設し、優勝11回の横綱を輩出した東関部屋(東京都葛飾区柴又)が、大相撲春場所(3月14日初日、東京・両国国技館)を最後に、閉鎖される可能性があることが8日、関係者への取材で分かった。

現師匠である東関親方(44=元小結高見盛)の後任選びが難航しているためで、このままの状況が続けば約35年の歴史に幕を閉じるという。

東関親方は、19年12月に41歳の若さで死去した先代東関親方(元前頭潮丸)の死去に伴い、部屋付き親方だったことから、年明けの昨年1月、部屋を継承した。ただ、部屋の運営には師匠としての精神的負担から難色を示し、関係者によれば1年ほどの“暫定的”な継承として師匠の座を引き継いだという。

そのため高砂一門内で、次期継承者を模索。先代高砂親方(現錦島親方=元大関朝潮)の定年に伴い、高砂部屋を継承しなかった若松親方(元前頭朝乃若)らが候補に挙がったが、不調が続き現状では候補者不在。前述の「1年間」のリミットが切れる状況では、部屋封鎖もやむなしの方向で話が進んでいるという。

東関部屋は、ハワイ出身で高砂部屋付きだった12代東関親方(元関脇高見山)が、86年2月に高砂部屋から分家独立して東京・東駒形に創設。外国出身者による初めての部屋で、ジェシーの愛称で人気を博したこともあり話題を集めた。同じハワイ出身の曙が横綱に上り詰め、高見盛や潮丸らの関取を輩出。09年6月の定年後は、当時小野川親方の先代東関親方が部屋を継承。18年1月に現在の部屋に移転した。

現在の部屋は、地域活性化の狙いで誘致した葛飾区が、区有地を有償で貸し出した土地に建築された。行政側との問題なども残り「完全には(撤退は)決まっていないが、その方向にはある」と関係者は話し、その際には東関親方と力士6人は、同じ高砂一門の八角部屋(師匠=元横綱北勝海)に移籍する方向性も示されているという。

○…部屋の存続問題について東関親方は、電話取材に「自分がどうこう言っても悪い方にとられてしまう。正直、ノーコメントです」と話した。14日初日の春場所が迫っていることもあり「場所も近いし余計なことは言いたくありません」とも付け加えた。コロナ禍で力士の生活環境も厳しい状況が続く。「自分も力士も外出はしてませんが、こんな状況ですから、いつ感染するかもしれない。(いつ感染するか分からないという)覚悟はしています」と予断を持たずに責務を全うする姿勢を示した。

◆東関大五郎(あずまぜき・だいごろう)本名・加藤精彦、元小結高見盛。1976年(昭51)5月12日、青森・板柳町生まれ。99年春場所で幕下付け出しデビュー。00年名古屋場所で新入幕。愛称は「ロボコップ」。13年初場所で現役を引退し同年10月に年寄「振分」を襲名、20年1月に年寄「東関」を襲名して部屋を継承

東関部屋の入口(2021年2月6日撮影)
東関部屋の外観(2021年2月6日撮影)

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朝乃山「体を丸く」創意工夫で上体起きる課題克服

幕下力士と申し合い稽古を行う朝乃山(右)

課題克服は、創意工夫で乗り切る。昇進を決めた昨年の春場所から1年。先の初場所で11勝を挙げ、かど番を脱出し在位5場所目の大相撲春場所(3月14日初日、東京・両国国技館)を迎える大関朝乃山(26=高砂)が15日、稽古場取材で「工夫」を示した。

この日は基礎運動後、幕下の寺沢、朝玉勢、深井と20番取った(17勝3敗)。これまでと“変化”があったのは、土俵に入る前に、稽古場の羽目板に手を着いて、左右交互に足を上げを入念に5分ほど行ったこと。その意図について朝乃山は「体を丸くしようと(思って)」と明かした。どういうことか。「(立ち合いで相手に)当たって上体が起きちゃうところがある。体が大きいと伸びてしまう。それで前傾姿勢にしようと。体を前に倒せるように」と説明した。

恵まれた体を十分に生かし切れない現状に、先代師匠の錦島親方(元大関朝潮)も常々、稽古場で朝乃山に「アゴを引け」「胸をのけ反らせるな」と口酸っぱく言い聞かせていた。もちろん、そのアドバイスは体に染み込ませていただろうが、あらためて課題克服のために反復した格好だ。

幕下相手にも、立ち合いからすぐに上手を取らず、突き放して右を差す、左上手を取るという取り口も何度か見せた。「(相撲の)幅を広げないといけない。相手によって(相撲も)変えていかないといけない」と朝乃山。9日の取材対応では、何度も「頭を使わないといけない」と話した。心技体で自分に足りないものは「『心』と『技』がない」と答えたが、その技を磨くための工夫を、試行錯誤しながら稽古場で実践している。「心」については「大一番で弱い。大一番で負けてしまっている。普段の私生活から意識したい」と認識。目に見えない自分との闘いだが「『勝ちたい』という気持ちだと相撲が変になったりする。『負けない』という気持ちが必要。落ち着いて1日1番、自分の相撲を取れるようにしたい」と自分に言い聞かせるように話した。

最後に、ファンへ感謝の思いを。昨年はチョコレート含め段ボール2箱分のプレゼントが届いたという前日14日のバレンタインデー。今年は20個ほどのチョコが届けられたという。「手作りだったり、デパートに行って買ってくださったり、郵送にもお金がかかる。すごくうれしいです」と感謝の言葉を並べた。

幕下力士と申し合い稽古を行う朝乃山(右)
幕下力士と申し合い稽古を行う朝乃山(左)
幕下力士と申し合い稽古を行う朝乃山(右)
ゴムチューブを使って体をほぐす朝乃山

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押し相撲を貫いた初V大栄翔は立派/大ちゃん大分析

大栄翔(左)は隠岐の海を突き出しで破り幕内優勝を決める(撮影・小沢裕)

<大相撲初場所>◇千秋楽◇24日◇東京・両国国技館

見事な大栄翔の優勝だ。立派としか言いようがないな。小細工しない隠岐の海が相手とはいえ、重圧がかかる中、迷いなく突き放す相撲が取れたのは、精神的にも揺らぎがなかったということ。ムラがありがちな押し相撲で15日間、自分の相撲を貫き通せたのは本当に立派だ。今場所は三役以上が全員、勝ち越した。ある意味、レベルが高い場所で、平幕の優勝は価値がある。

大栄翔の優勝にケチをつけるつもりは全くないが、一方で横綱不在の影響が浮き彫りになったともいえるだろう。初場所は6年連続らしいが、初優勝が多すぎる。優勝者の顔ぶれがコロコロ変わるのは本来、最上位である横綱がドッシリ構えて、にらみを利かせていないからだ。出場しないようでは話にならない。日替わりならぬ“場所替わりヒーロー”が出るのは、番付社会で本来、あるべき姿ではないと思う。やっぱり横綱には壁になってほしい。その横綱を脅かす大関陣の中からも、早く次代の横綱が誕生してほしい。(元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)

八角理事長(手前)から内閣総理大臣杯を受け取る大栄翔(撮影・鈴木正人)
優勝インタビューを終え、しばらく天を仰ぐ大栄翔(撮影・河田真司)

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衰え知らぬ大栄翔の押し、結果自ず/大ちゃん大分析

玉鷲(左)を勢いよく攻める大栄翔(撮影・河田真司)

<大相撲初場所>◇14日日◇23日◇東京・両国国技館

あの玉鷲を慌てさせた大栄翔の押しの強さは、衰え知らずで千秋楽を迎えそうだ。

土俵際まで押し込んだ後、引いて呼び込んだが悪い引きではない。流れの中の引きで、逆に玉鷲は上体だけの反撃だから足が十分に送れず、押し込んでいた分、大栄翔には後ろの土俵に余裕があった。引き足も弾むような運びで体が動いている証拠だ。優勝争い最終盤で体がガチガチになっている様子もない。

一方の正代は悪い癖があだとなったな。照ノ富士相手に引いては、終盤で見せた神懸かり的な逆転勝利は無理だ。立ち合いも高く起きているし、中に入って攻めきれなかった。というより照ノ富士の執念が見事だった。

単独トップで千秋楽を迎える大栄翔の相手は隠岐の海。同じ左四つの宝富士に負けている。そこの攻防もポイントになるが、変に意識して右を固めて…などと思わないことだ。ここまで貫いた突き押しに徹すれば自ずと結果はついてくる。(元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)

懸賞金を受け取る大栄翔(撮影・鈴木正人)

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神懸かり的な正代は実力がある証拠/大ちゃん大分析

隆の勝(左)をはたき込みで破る正代(撮影・河田真司)

<大相撲初場所>◇13日目◇22日◇東京・両国国技館

4日間で4番も物言いがつく相撲を取るのも珍しいな。それでも相撲に負けて勝負には全部勝っている。正代の神懸かり的な相撲だが、それだけ実力がある証拠で勝つべくして勝っているとみている。隆の勝戦も確かに大関として褒められた内容ではない。最近の悪い癖で押し相撲相手に、はたいてしまった。それでも俵までの距離は頭に入っていて、土俵際で勝負を決められるという計算があるんだろう。勝ち方に異論はあるだろうが、横綱不在の場所で責任を果たしている。

大栄翔も役力士を連破した前半戦のような相撲を久しぶりに見せた。番付下位相手に、役力士と対戦した時のような攻めの姿勢で臨めるかが問題だったが、2敗したことで逆に、その気持ちを取り戻したと思う。2敗で並ぶ両者の優勝争いは正代次第ではないか。やはり残る照ノ富士、朝乃山は難敵だ。ここは何としても最後まで楽しませてほしい。(元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)

隆の勝(後方)をはたき込みで破る正代(撮影・鈴木正人)

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肩の力抜けた朝乃山は本来の姿に/大ちゃん大分析

隆の勝(手前)をはたき込みで破った朝乃山(撮影・江口和貴)

<大相撲初場所>◇11日目◇20日◇東京・両国国技館

師匠の座を譲って、これほど肩の力を抜いて朝乃山の相撲が見られるとは思わなかった(笑い)。だから気持ちも、くみ取れる。自分も経験したが、初めてのかど番は8番勝って大関の地位を守らないといけないという気負いで、肩に力が入り自分の相撲の流れに持ち込めない。前半の朝乃山はそうだったろう。3つ負けて、ようやく本来の姿に戻った。押しの強い隆の勝に、右から振られ肩越しの左上手を切られても、圧力をかけ続けたから体勢を崩すことができた。

正代とともに番付最上位として、曲がりなりにも優勝争いに加わった。かど番脱出でホッとしたいところだが、大関としては最後まで優勝争いに加わらなければダメだ。千秋楽結びの一番まで可能性を残すためにも、12日目の照ノ富士戦が重要だ。ここは中に入って二本入れるぐらいの気持ちで行ってもいいんじゃないかな。いかん、また肩に力が入ってしまった。(元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)

かど番を脱出した朝乃山は控えで目をつむりながらホッとした表情を見せる(撮影・小沢裕)

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勢い消えた大栄翔、優勝3敗までか/大ちゃん大分析

連勝がストップし天を仰ぐ大栄翔(撮影・河田真司)

<大相撲初場所>◇9日目◇18日◇東京・両国国技館

7日目までの勢いが消えた大栄翔の相撲だった。

勝ったものの8日目の輝戦に続いて、この日も当たってから押してない。踏み込んで突き放すはずが、踏み込めていないから当たりが弱い。だから、どうしても相手を見ながらの押しになってしまう。その後の流れが悪くなるのは押し相撲の宿命だろう。逆に宝富士はうまく取った。左足を前に出して、やや半身になりながら大栄翔にとっての「的」を小さくした。腰の重さ、体の柔らかさも生かして押させない、突かせない体勢をうまく取った。大栄翔に3連勝中という合口の良さも味方したと思う。

2敗が続々と負ける中、最後のとりでとなった正代が勝って1差につけた。あれだけアゴが上がり体が反っても勝てるのは正代の強み。かど番を抜ければ気も楽になって、追う身の強さで優勝争いが面白くなる。大栄翔が再び連勝を続けるのは考えにくく優勝ラインは3敗まで可能性がある。(元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)

大栄翔(右)の突き押しをこらえる宝富士(撮影・小沢裕)
宝富士(右)は大栄翔をはたき込みで破る(撮影・小沢裕)

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