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那須川の右ジャブ世界ランカークラス 帝拳ジム元トレーナー葛西裕一氏分析

那須川(左)葛西裕一氏(2018年2月17日撮影)

那須川天心にボクシング技術を指導している東京・用賀のジム「グローブス」代表で帝拳ジムの元トレーナー、葛西裕一氏(51)は、既に那須川の右ジャブが世界ランカークラスに到達していると強調した。月2回のペースで那須川にパンチ技術を教えている同氏は「技術は日本王者と普通に戦えるレベル」と前置きした上で「サウスポースタイルから天才的な右ジャブを打っている。あれは世界ランカーレベルのタイミングですよ」と断言。また勝負勘の良さ、天性の勝負運の強さにも舌を巻いている。

97年から20年間、帝拳ジムでトレーナーを務めた葛西氏は、西岡利晃ら計4人の世界王者を育てた。那須川が中学3年時、同ジムに出稽古に訪れ、当時のWBC世界ライトフライ級王者木村悠とスパーリングしていたエピソードも披露。「階級は(那須川の体格が大きく)違うが、当時の世界王者木村と互角にやっていた」とも明かしていた。

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村田諒太が井上尚弥を絶賛「パンチ力が全く違った」

<プロボクシング:WBA、IBF世界バンタム級タイトルマッチ>◇10月31日(日本時間11月1日)◇米ラスベガス・MGMグランド

ボクシングWBA世界ミドル級王者村田諒太(34=帝拳)が、でラスベガス・デビューを豪快に飾ったWBAスーパー、IBF世界バンタム級王者井上尚弥(27=大橋)を絶賛した。

WOWOWの生中継にゲスト出演。フィニッシュブローに「一撃のパンチ力がまったく違った。誰もが納得するパンチ」と評した。「軽量級は体全体を使ったパンチの打ち方。その連動性がうまい選手はパンチ力がある」と分析した。

さらに「コロナ禍の中で、1年ぶりにはみえないパフォーマンスを見せてくれた」と褒めちぎった。

井上とは高校生の頃から親交がある。「いろいろ不安材料もあった中でも、ナオちゃんは強い。向上心の強い子だった。それが続いている。基礎がしっかりしていないと才能も開かない。井上ファミリーは基礎がしっかりしている」と感心しきりだった。

解説した元WBC世界スーパーバンタム級王者西岡利晃氏(44)も「思うトレーニングできない中でラスベガスのメイン。しっかり倒して結果を残した。求められていることを実現した。さすが井上」とほめまくった。

「やりにくい相手。高いガードで、タフで、足も使う。狙いすぎると悪いパターンになりがち。井上は最後も力みなく冷静にカウンターを決めた。すごい」と褒め言葉が並んだ。

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西岡利晃、帝拳魂の左ストレート/葛西裕一氏の一撃

西岡利晃(11年10月撮影)

<ボクシング、忘れられない一撃~10>

一発のパンチですべてが変わるボクシング。選手、関係者が「あの選手の、あの試合の、あの一撃」をセレクトし、語ります。帝拳ジムの元トレーナー葛西裕一氏(50)の一撃は、西岡利晃氏の「ゴンサレス戦の左ストレート」です。日本人初の北米で防衛を逆転KOで決めた、技術と裏話を披露してくれました。(取材・構成=河合香)

▼試合VTR 西岡は09年5月に敵地メキシコに渡り、WBC世界スーパーバンタム級王座のV2戦に臨んだ。相手は同級2位の指名挑戦者ジョニー・ゴンサレス。2階級制覇を狙った人気の強打者で、1回には右ストレートを浴びてダウンを喫した。長いリーチにも苦戦となったが、3回1分すぎに左ストレートを打ち込み、くの字になって吹っ飛ばしてダウンを奪い返した。立ち上がってはきたがふらついてレフェリーストップ。3回1分20秒TKOで劇的逆転勝ちを決めた。日本人の海外防衛は24年ぶり2人目で、本場の北米では初の偉業だった。王座獲得までは5度目の挑戦で39戦かかったが、現地で「モンスター・レフト」と呼ばれたこの一撃で名を上げ、通算7度防衛に成功した。

    ◇    ◇

あの瞬間、鳥肌が立った。そんなことは、後にも先にもあの試合だけ。一発で倒すのがボクシングの魅力。西岡が自信を持って打ち込んだ、奇跡とも言える逆転の一撃だった。

あの時、西岡は2ステップして打ち込んだ。普通は5センチぐらい1度だけステップする。それが最初15センチ、さらに8センチぐらい踏み込んだ。

ゴンサレスはリーチがあって懐が深く、さらにバックステップする。1度では入り切れなかった。2ステップは教えてないし、やったこともなかった。西岡もあとで「2度とできない」と言っていた。天才肌を示した一撃だった。

ゴンサレスは左フックが強く、まずは右腕を上げて徹底ガードした。それが初回に右をもらってダウン。前評判も不利と言われ、地元の人気者を相手に普通は負け試合。でも、西岡は相手に近づけていて、距離感では勝てると思った。

実は本田会長あっての一発と言っていい。試合前最後の食事で、ホテルでランチを食べた。その後はみんなで近くを散歩した。そうしたら、広場かなんかで、西岡が左ストレートを打ち出した。

それを見た会長が「もっと肘を絞めろ」と教えだした。「もっと上」とか「伸ばせ」とか言っての軌道調整。そのうち、きれいなフォロースルーで打ち切ると「それだ!それだ!」って。そのパンチで試合を決めたので、鳥肌も立ったんだと思う。

世界挑戦は4度失敗したが、元々才能があり、のみ込みも早かった。フィジカルやスタミナがなかった。ケガもあって時間はかかったが、その分、しぶとい帝拳魂がすり込まれ、つないでくれた。その象徴があの一撃だった。

◆葛西裕一(かさい・ゆういち)1969年(昭44)11月17日、横浜市生まれ。横浜高3年でインターハイ優勝。専大中退で帝拳ジムから89年プロデビュー。94年に20戦無敗でWBA世界スーパーバンタム級王座挑戦も1回KO負け。96年にラスベガス、97年に横浜でも世界挑戦は3度とも失敗した。右ボクサーファイターで通算24勝(16KO)4敗1分け。引退後はトレーナーとなり、西岡を皮切りに三浦、五十嵐、下田を世界王者に育てる。17年に退職して、東京・用賀にフィットネスジムのGLOVESを開いた。

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オーラ漂うドネア 井上尚弥に「何も感じなかった」

前日計量を終えポーズを取るドネア(撮影・鈴木みどり)

ボクシング5階級制覇王者でWBA世界バンタム級スーパー王者のノニト・ドネア(36=フィリピン)が静かに闘志を燃やした。

7日、さいたまスーパーアリーナで控える3階級制覇王者のWBA・IBF世界バンタム級王者井上尚弥(26=大橋)とのワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)決勝に向けた前日計量が6日都内で開かれ、ドネアは200グラム少ない53・3キロで1発パス。井上尚とはフェイスオフの写真撮影で20秒ほど目を合わせた。

「特に何も感じなかった。向かい合って目を合わせただけ。明日のリングで何かを感じたい」。

計量後、まず水分補給し、サラダとフルーツを口にしたフィリピーノ・フラッシュ(フィリピンの閃光)にはオーラが漂った。WBSS準決勝となる4月のステファン・ヤング戦の6回KO勝ちで区切りのプロ40勝を飾った。IBF世界フライ級を皮切りにWBA世界フェザー級スーパー王座まで実に5階級を制覇。バンタム級、スーパーバンタム級では2団体統一王者にも君臨した。WBCにもバンタム級、スーパーバンタム級でダイヤモンド王座を獲得してきた風格は、より大きな存在感として伝わってくる。

井上尚を倒すための秘策を問われ「秘策はない。自分の経験による引き出しが今までにある。それを使うことが作戦になる」とだけ言った。通常体重は58・9キロで、減量は5キロほどだった。試合当日にはリミット53・3キロから5キロ程度の増量でリングに上がるという。

海外オッズでは、ドネアが不利になっているものの「オッズとか、どちらが勝つとかは予想は関係ない。他人が決めたこと。自分には自分が信じる力がある。気にしていない。今まで同じ状況でも勝ってきたから」と不敵な笑みを浮かべた。勝てば新たに階級最強の証明となるアリ・トロフィーが手に入る。「あのトロフィーをリングで持つことを楽しみしている」と最後まで平常心を崩すことはなかった。

過去には元WBC世界バンタム級王者長谷川穂積を下したWBC・WBO世界同級王者フェルナンド・モンティエル(メキシコ)や元WBC世界スーパーバンタム級名誉王者西岡利晃も下すなど、日本のリングでも強さを証明してきたボクサーたちを次々と下してきた軽量級のレジェンド。今度は無敗の若きモンスター井上尚の大きな「壁」なる覚悟ができている。

前日計量をクリアし、ドネア(右)とにらみ合う井上尚(左手前)(撮影・鈴木みどり)
前日計量をクリアしたドネア(中央)。左下は真吾トレーナー(撮影・鈴木みどり)

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山中慎介氏「汗もかいてない」衝撃KO劇の井上絶賛

WBSSバンタム級準決勝 試合後、決勝で戦うドネア(右)と記念撮影する井上(撮影・滝沢徹郎)

<プロボクシング:ワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)・バンタム級準決勝>◇18日◇英国・グラスゴー・SSEハイドロ

ボクシング元世界王者たちが、2回TKO勝利の井上尚弥を絶賛した。元WBCバンタム級王者山中慎介氏は、WOWOWの生中継で英国グラスゴーから現地解説。「最初のダウンは相打ちかと思ったが、瞬間の判断の速さ、パンチの威力が違う。パワーが違った。ロドリゲスは2度目のボディーでのダウンで心が折れた」と破壊力の違いを強調。3試合連続の序盤決着に「これだけ注目されていて、3試合で結果を出している。あきれる強さ。汗もかいていない」と評した。

東京のスタジオで解説を務めた元WBCスーパーライト級王者浜田剛史氏は「1回はロドリゲスにとられた。井上は空振りもあり、若干焦りもあったのでは」と分析。「2回も打ち合いの勝負に来たが、井上は切り替えて対応した。実力は紙一重でも、井上の瞬間の判断に数段の違いがあった。短い時間も技術戦の中で、パンチ力は何よりの武器。さすが」と褒めちぎった。ドネアとの決勝に向けて「現状伸びている井上と、現状維持しているドネア。新旧交代かな」と井上の優勝を予想した。

同じくスタジオ解説した元WBCスーパーバンタム級王者西岡利晃氏は、一発に衝撃を受けていた。まずは「ロドリゲスがプレッシャーをかけるとは思わなかった」。予想外の出だしだったが「2回は前に出させるとまずいと、井上が強めに出た。ロドリゲスの左ガードは高いが、一瞬の隙をついた。左フック一発ですべてが変わった。一発でひっくり返し、すばらしい」と絶賛。ボディーでの連続ダウンには「当たって押し込んでいる。フォロースルーがすごい」と解説した。決勝は「勢いのある井上」と、こちらも井上の優勝を予想した。

WBSSバンタム級準決勝 井上対ロドリゲス 1回、ロドリゲス(手前)にパンチを見舞う井上(撮影・滝沢徹郎)

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メイウェザー132億円/ボクシングファイトマネー

ロドリゲス戦を控えファイティングポーズを決める井上(撮影・滝沢徹郎)

WBA世界バンタム級王者井上尚弥(26=大橋)が階級最強を決めるトーナメント、ワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)2連勝で計1億円超の報酬ゲットを狙う。18日(日本時間19日)に同地でIBF世界同級王者エマヌエル・ロドリゲス(26=プエルトリコ)とのWBSS準決勝を控え、井上は体重調整に専念した。軽量級では破格となる2戦合計で1億円超マネーを狙い、グラスゴーのリングに向かう。

◆ボクシングのファイトマネー バンタム級の日本人世界王者では94年に薬師寺保栄とWBC王座統一戦に臨んだ辰吉丈一郎が1億1000万円の報酬を得た。1階級上のスーパーバンタム級ではWBC名誉王者西岡利晃が11年に米ラスベガスで臨んだV7戦で100万ドル(約1億1000万円)のファイトマネーを獲得。海外戦は知名度の高さや人気によって報酬が変動。昨年8月に米国で開催されたWBO世界同級王座の防衛戦に臨んだ当時の王者ドクボエ(ガーナ)は6万5000ドル(約715万円)。中量級ではメイウェザー(米国)が15年のパッキャオ(フィリピン)戦で1億2000万ドル(約132億円)が保障され、パッキャオは16年のブラッドリー(米国)戦で2000万ドル(約22億円)が最低保障の報酬だった。

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井上尚弥 昭和の王者を超え世界的ヒーローの可能性

18年5月、3階級制覇を果たしベルトを掲げる井上尚弥

<平成とは・バトル編(3)>

5月18日(日本時間19日)、英国のグラスゴーでWBA世界バンタム級王者の井上尚弥(26=大橋)が、IBF同級王者エマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)との統一戦に臨む。4人の現役世界王者らが参戦するバンタム級最強を決めるトーナメントの準決勝。無敗の王者対決は今、世界の注目を浴びている。

所属ジム会長で元WBC、WBA世界ミニマム級王者の大橋秀行(54)は「新しい時代にふさわしい試合になる。今は国内だけで防衛戦を重ねていく時代ではない。だから世界に出て勝負をかけた」と、90年2月に平成初の世界王者になった自身の頃と比較しながら、今回の試合の意義を力説する。

90年代まで世界王者になれば、国民的ヒーローになれた。ファイティング原田、具志堅用高、辰吉丈一郎……街を歩けば人が群がった。「世界王座を奪取した翌日に首相官邸に招待されて、海部俊樹首相にネクタイピンをいただきました」と大橋も現役時代を振り返る。しかし、近年は街で囲まれる世界王者は少ない。

「自分の頃はJリーグもなかったし、大リーガーもいなかった。プロスポーツの世界王者はボクシングだけ。今はテニスをはじめあらゆる競技のプロ選手が海外で活躍するようになった。その分、国内で興行を続けてきたボクシングへの注目度が薄れた。自分も責任を感じていた」。日本プロボクシング協会の会長も務めた大橋は自戒も込めて分析する。平成に入ってスポーツ界は海外への門戸が大きく開かれた。イチローや松井秀喜、錦織圭や大坂なおみの活躍で、選手に世界的な評価が求められる時代になった。

現在、日本の男子の世界王者は7人。昨年は一時11人もいた。13年に日本ボクシングコミッション(JBC)がWBAとWBCに加えて、IBFとWBOの王座も承認し、ベルトも倍増した。元WBC世界スーパーライト級王者の浜田剛史(58)は「昔は世界王者が最終目標だった。今は王者になってから何を残すかが問われる時代になった」と話す。

一方で日本選手の技術レベルは飛躍的に伸びた。08年に日本プロボクシング協会がU-15(15歳以下)全国大会をスタート。小中学生から全国規模で活躍できる場ができた。井上尚弥、拓真兄弟、田中恒成らの現役世界王者はこの大会の優勝者。「技術は始めた年齢に比例する。世界のリングでボディーで倒されていた日本選手が、今はボディーで倒すようになった。技術は世界でもずぬけている」と、同大会を協会会長として主導した大橋は言う。11年7月にはWBC世界スーパーバンタム級王者の西岡利晃(帝拳)が、日本人で初めて米国の本場ラスベガスで防衛に成功するなど、世界でも日本選手の評価は高まっている。

井上はプロわずか16戦で世界3階級制覇を達成。卓越したボクシングセンスと強打は、海外でも注目され、日本人ボクサーで初めて米ボクシング誌「リングマガジン」の表紙にもなった。あの昭和の王者を超える、世界的なヒーローになる可能性を秘めている。「日本から世界へ。そのレールを井上が敷く」と大橋は力を込める。

世界ヘビー級王者マイク・タイソンの東京ドーム防衛戦(90年)という「ビッグバン」で始まった平成がまもなく終わる。昭和の時代に26人だった世界王者は、平成の約30年間をへて91人まで増えた。今や日本は世界屈指のボクシング大国に躍進した。

令和の時代の幕開けを前に、大橋がこんな予言をした。

「平成はタイソンで盛り上がり、あのミドル級で村田諒太が世界王者になった。そして井上が世界で勝負をかける。日本ボクシング界は大きく変わった。あとはヘビー級。令和の時代に日本人の世界ヘビー級王者が誕生するかもしれない。そうしたら再びビッグバンが起きる」。【首藤正徳】(敬称略)

90年2月、WBC世界ストロー級王座に就いた大橋秀行

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名トレーナーが那須川絶賛 挙げた戦いのポイントは

葛西トレーナー(左)のミットを打つ那須川(撮影・鈴木正人)

ボクシング世界王者の元トレーナーが、31日のRIZIN14大会(さいたまスーパーアリーナ)で元5階級制覇王者フロイド・メイウェザー(41=米国)と戦う那須川天心(20)の可能性に太鼓判を押した。那須川は18日、所属ジムで練習を公開。ミット打ちの相手を務めた元帝拳ジムトレーナーの葛西裕一氏(49=用賀ボクシングジム グローブス代表)から、その才能を絶賛された。

那須川のパンチが、葛西氏のミットに突き刺さった。時折見せる右からの裏拳のようなジャブや、急に前にジャンプして打ちおろす左ストレート。スピードと、軽快なステップワークは、メイウェザーとの対戦が決まった1カ月前より、格段に進化していた。

帝拳ジムで、元WBC世界スーパーバンタム級王者西岡利晃、元WBC世界スーパーフェザー級王者三浦隆司らを育てた葛西氏が3分でふらふらになるほどの威力だった。「ボクシング界じゃ、『メイウェザーとやるなんてふざけるな』という感じですけど、ボクは天心は恥ずかしくないレベルにいると思う。天心はまだ負けてないし、可能性はある」と太鼓判を押した。

那須川は、メイウェザー戦が決まると、2日から2週間、米ラスベガスで本格的にボクシングの練習を積んだ。元世界3階級制覇王者ホルヘ・リナレスのジムで、リナレスと毎日4、5回のスパーリング。葛西氏は「ハンドスピードではメイウェザーより上」と評価。リナレスの顔面にパンチも当てたという。

スパーリングを終えた那須川は「KOで倒すというよりまず当てること。当たれば、階級に関係なく倒れるパンチを持っている」と自信をのぞかせた。メイウェザーがことあるごとに「エキシビション」と強調することに「自分の中では逃げてるんじゃないか」と挑発した。

葛西氏は「那須川の特長は頭の回転の速さと吸収力、そして動体視力。試合中に、メイウェザーのリズムをどれだけ吸収できるか。天才的な動体視力でどう危険を察知できるか」とポイントを挙げ、中学時代から教える愛弟子に期待を寄せた。【桝田朗】

葛西トレーナー(右)と笑顔で話す那須川(撮影・鈴木正人)

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リナレスにパンチ当てた、那須川を元世界王者ら支援

公開トレーニングでミット打ちする那須川(撮影・鈴木正人)

31日のRIZIN14大会(さいたまスーパーアリーナ)で、ボクシングの元5階級制覇王者フロイド・メイウェザー(41=米国)と、ボクシング・エキシビションマッチを戦う那須川天心(20)が18日、千葉県・松戸のテッペンジムで公開練習を行った。

那須川は、シャドーボクシング3分、ミット打ち3分を披露。ミット打ちでは、ボクシングの帝拳ジムで、、元WBC世界スーパーバンタム級王者西岡利晃、元WBC世界スーパーフェザー級王者三浦隆司らを育てた葛西裕一氏(49=用賀ボクシングジム グローブ代表)のミットに、葛西氏がふらつくほどの鋭いパンチを打ち込んだ。葛西氏は「ボクシング界じゃ、『メイウェザーとやるなんてふざけるな』という感じですけど、ボクは天心は恥ずかしくないレベルにいると思う。天心はまだ負けてないし、可能性はある」と、那須川の可能性に期待を寄せた。

那須川は、メイウェザー戦が決まると、2日から2週間、米ラスベガスで本格的にボクシングの練習を積んだ。元世界3階級制覇王者ホルヘ・リナレスのジムで、リナレスと毎日4、5回のスパーリング。「ハンドスピードではメイウェザーより上」と葛西氏がいうリナレスの顔面にパンチも当てた。

この日は、リナレスにアドバイスされたレスリングシューズを履いて練習。「グリップがすごく効いていて、ステップごとに動きやすい」と話した。スパーリングを終えた那須川は「KOで倒すというよりまず当てること。当たれば、階級に関係なく倒れるパンチを持っている」と自信をのぞかせた。メイウェザーがことあるごとに「エキシビション」と強調することに「自分の中では逃げてるんじゃないか」と挑発した。

ファイティングポーズする那須川(撮影・鈴木正人)
公開トレーニングでミット打ちする那須川(撮影・鈴木正人)

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西岡利晃氏「ブラントをほめるべき」香川照之も称賛

WBA世界ミドル級タイトルマッチ 12回、顔面に挑戦者ブラントのストレートを受ける村田(撮影・菅敏)

<プロボクシング:WBA世界ミドル級タイトルマッチ12回戦>◇20日◇ラスベガス・パークシアター

ボクシングWBA世界ミドル級王者村田諒太(32=帝拳)が、20日に米ラスベガスで2度目の防衛に失敗した。

DAZNが独占生中継したが、東京のスタジオで観戦したゲスト2人は、苦渋に満ちた顔で王座を奪ったロブ・ブラント(28=米国)を評価した。

元WBC世界スーパーバンタム級王者西岡利晃氏(42)は「ブラントをほめるべき試合だった。よく研究していて、万全の準備をしてきていた。彼には最高の試合だった」と話した。

タレントでボクシング通の香川照之(52)は「ブラントのスタミナが落ちると思っていたが、それが最後まで落ちなかった。ブラントがよかった」とほめていた。

WBA世界ミドル級タイトルマッチ 12回を戦い終え、コーナーに戻り、厳しい表情を見せる村田(撮影・菅敏)

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村田諒太、ブラントに判定負け…聖地でV2逃す 

WBA世界ミドル級タイトルマッチで判定で挑戦者ブラント(右から2人目)に敗れ、ぼう然とする村田(撮影・菅敏)

<プロボクシング:WBA世界ミドル級タイトルマッチ12回戦>◇20日(日本時間21日)◇ラスベガス・パークシアター

WBA世界ミドル級王者村田諒太(32=帝拳)が同級3位ロブ・ブラント(27=米国)に0-3の判定(110―118、109―119、109―119)で敗れ、2度目の防衛はならなかった。

序盤からブラントの強打に苦戦を強いられた。村田は顔を赤く腫らせながらも粘り強く戦い抜いたが、決定打が出なかった。

西岡利晃、亀田和毅に続き3人目の聖地ラスベガスでの日本人王者防衛はならなかった。この試合に勝てば元統一世界ミドル級王者ゲンナジー・ゴロフキン(36=カザフスタン)とのビッグマッチもあったが、思わぬ敗戦で遠のいてしまった。

WBA世界ミドル級タイトルマッチ 12回、顔面に挑戦者ブラントのストレートを受ける村田(撮影・菅敏)

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村田諒太、分岐点となる聖地マッチ/V2戦見どころ

公式記者会見でベルトを携える村田。右は対戦相手のブラント

ボクシングのWBA世界ミドル級王者村田諒太(32=帝拳)が、分岐点となる聖地での世界戦を迎える。10月20日(日本時間21日)に同級3位ロブ・ブラント(27=米国)とボクシングのメッカである米ラスベガスのパークシアターで迎えるV2戦は、今後のビッグマッチにつなげるために明確な結果が求められる。13日に現地入り後、「非常に光栄なこと。良い試合をみなさんに見せたい。(ブラントは)良い選手だと思ってます。指名挑戦者ですし。その選手に勝つことに意味がある」と述べた。必要なのは判定勝ちではない。倒して勝つことが「意味」を持つ。

ブラントは17歳でボクシングを始め、アマチュアで全米王者となっている。ミドル級戦線では新鋭ながら、ハンドスピードの速さと手数の多さでKO勝利を重ねてきた。今回は初の世界戦に合わせて、拠点のテキサス州から2カ月前にラスベガスに入った。4カ月前からは元WBAライトヘビー級王者で世界王者も育ててきたエディ・ムスタファ氏(66)に師事し、向上を目指してきた。17日の練習公開では「判定までいって勝ちたい」とフルラウンドの作戦を口にしており、その必勝プランは明確だと言えそうだ。

村田は従来通り、ガードを固めて前進、プレッシャーをかけ続けてKOを狙うことになる。足を使ってジャブを当ててくるだろう相手に対し、勝負どころを見極めて倒しにいく。「非常にいいトレーニングを積めている。練習したことを出して、その結果が良いものになると信じている。自信を持ってリングに上がるだけです」と決意を述べる。

本場でのアピールに成功すれば、その先に明確なビッグマッチが待つ。契約する米大手プロモーターのトップランク社のボブ・アラム氏は「来年の1月から3月までにゴロフキンと試合をしたい」と青写真を描く。9月に王座陥落したが、いまだに評価は高い元3団体統一王者ゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)を標的に、ラスベガスか東京ドームでの一大イベントを視野に入れる。

ラスベガスで防衛に成功した日本人王者は過去2人(西岡利晃、亀田和毅)しかいない。村田は日本人としては初のミドル級での防衛を4月に成功させ、すでに前人未到の領域を歩んでいるが、また新たな金字塔に挑むことになる。しかも、求められるのは内容。選手層の厚さ随一のミドル級、しかも指名挑戦者相手という高いハードルをクリアすれば、また一段階上のステージでの戦いに進むことになる。

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薬師寺vs辰吉は1・1億円/ファイトマネーメモ

会見を終え記念撮影に納まる井上(右)とパヤノ(撮影・河野匠)

ボクシングWBA世界バンタム級王者井上尚弥(25=大橋)が世界最強を証明し、軽量級では破格となる億単位のファイトマネーをゲットする。7日開幕の階級最強を決める賞金争奪トーナメント、ワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)1回戦(横浜アリーナ)を控えた5日、同級4位フアンカルロス・パヤノ(34=ドミニカ共和国)らと都内で開かれた公式会見に出席。同席したWBSS首脳からは優勝賞金が100万ドル(約1億1000万円)超えになるとの見通しが明かされた。

◆ファイトマネーメモ バンタム級の日本人世界王者では94年に薬師寺保栄とWBC王座統一戦に臨んだ辰吉丈一郎が1億1000万円の報酬を得たとされる。1階級上のスーパーバンタム級ではWBC名誉王者西岡利晃が11年に米ラスベガスで臨んだV7戦で100万ドル(約1億1000万円)のファイトマネーを稼いだ。海外では知名度や人気によっても報酬は左右され、8月に米グレンデールで開催されたWBO同級タイトル戦に臨んだ王者ドクボエ(ガーナ)は6万5000ドル(約715万円)だった。なお中量級では5階級制覇王者メイウェザー(米国)が15年の6階級制覇王者パッキャオ(フィリピン)戦で1億2000万ドル(約132億円)が保障され、パッキャオは16年のブラッドリー(米国)戦で2000万ドル(約22億円)が最低保障の報酬だった。

WBSSの会見を終え相手の顔を見つめる井上(左)とパヤノ(右)。中央はWBSSプロモーターのザワーランド氏(撮影・河野匠)

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西岡利晃氏、9・1フィットネスクラブをオープン

大阪市内にフィットネスクラブをオープンする西岡氏(左)と、セレモニーに駆けつけた山中氏(撮影・加藤裕一)

元WBC世界スーパーバンタム級王者西岡利晃氏(42)が大阪市西区に「SPEED KING BOXING FITNESS CLUB」を開くことになり、26日、セレモニーを行った。

兵庫・西宮市の「西岡利晃ジム」に続く2号店。フィットネスを目的に多人数参加型のレッスンが中心になる。西岡氏は「ボクシングのトレーニングがいかに健康管理、生活習慣病対策、ダイエットなどに有効かを知ってほしい」。9月1日オープン。会費などの問い合わせは同クラブ【電話】06・4395・5959まで。

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元王者西岡利晃が新たなジム開設、リング外した思い

大阪市内にフィットネスクラブをオープンする西岡氏(左)と、セレモニーに駆けつけた山中氏(撮影・加藤裕一)

元ボクシングWBC世界スーパーバンタム級王者西岡利晃氏(42)が大阪市西区に「SPEED KING BOXING FITNESS CLUB」を開店することになり、26日、同所でオープニングセレモニーを行った。西岡氏は5年前から兵庫・西宮市内でフィットネス目的で「西岡利晃ジム」を主宰しており、今回も主旨は同じでフィットネスとなる。ただし、同ジムが会員個人にバラバラに利用してもらうのに対し、「SPEEDKING-」は同じ時間帯に会員を集めての多人数参加レッスンがメーンになるという。

ターゲットは老若男女を問わない。西岡氏は「ボクシングは怖い、痛いという世間のイメージを払拭(ふっしょく)したい。ボクシングのトレーニングがいかに健康管理、生活習慣病対策、ダイエットなどに有効かを知ってほしい。多人数で行うレッスン形式にしたのは、女性がより親しみやすいと思ったので」。施設内にサンドバッグはあるが、リングはない。ボクシングの持つ敷居の高さを下げるため、と説明した。

住所は大阪市西区北堀江1-2-16 ツリガネビル本館3階。地下鉄四つ橋線四ツ橋駅下車すぐと立地は抜群。27日から31日まで見学会を実施し、9月1日にオープンする。入会金1万円、入会手数料5000円、月会費1万2000円(いずれも税別)。問い合わせは同クラブ電話06・4395・5959。

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井上尚弥アピール誓う、同級ライバル集結「品評会」

挑戦者アントニオ・ニエベス(中央右)の横でファイティングポーズをとる井上(撮影・菅敏)

 【カーソン(米カリフォルニア州)8日(日本時間9日)=奥山将志】WBO世界スーパーフライ級王者井上尚弥(24=大橋)が、「ボクシング人生の分岐点」で世界を驚かす。米国デビュー戦となる同級7位アントニオ・ニエベス(30=米国)との6度目の防衛戦は今日9日(同10日)にゴング。会場となるスタブハブ・センターでの前日計量をリミットでパスすると、堂々のKO宣言で本場でのアピールを誓った。

 「ボクシング人生の分岐点」。報道陣に囲まれた井上は、翌日に迫った試合をそう表現した。計量をリミットの52・1キロでパスすると、日本の応援団に向かって拳を突き上げてアピール。同じく1回でパスし、雄たけびを上げたニエベスと2日連続でにらみ合い、「初回からフルでいく。チャンスが来ればKOを狙う」と表情を引き締めた。

 米初陣は、本場の心をつかむ絶好機だ。米国では異例の軽量級中心の興行で、「SUPERFLY」の名のもと、同じ階級のビッグネームが集結。4階級王者ゴンサレス、ゴンサレスにプロ初黒星を付けたシーサケット、フライ級で2団体を統一したエストラーダ、WBC王座を6度防衛したクアドラス。4人のライバルと比較される中で存在をアピールできるかは、今後のキャリアにも直結する。

 減量苦からバンタム級転向も視野に入れる大橋会長も“品評会”さながらのこの状況を歓迎。「どの階級でやるにしても、彼らを目の前に引きずり出すことが重要」と今後の対戦を意識した一戦だと強調した。プレッシャーを背にリングに立つ井上は「ここにセッティングされた意味は分かっている。仕上がりは過去最高。すべてにおいて期待に応えたい」と力を込めた。

 計量を終えると、昼はうどん、夜はステーキを食べ、しっかりと回復。プロデビューから5年。歴史を塗り替え続けてきた日本の才能が、世界に殴り込みをかける時が来た。

 ◆日本人王者の海外での防衛(海外選手相手) 成功したのは過去5人(7例)。85年に渡辺二郎が敵地韓国で勝利したのが初めて。西岡利晃は09年にメキシコ、11年に米国で防衛に成功。13年に三浦隆司がメキシコ、亀田興が韓国で勝利。14年には亀田和が2度米国で勝利している。米国で米国人選手を相手に防衛を果たせば、井上が初めてのケースとなる。

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井上尚弥の米国V6戦、会場はカリフォルニアと発表

井上尚弥

 ボクシングのWBO世界スーパーフライ級王者井上尚弥(24=大橋)の米国デビュー戦の会場が、カリフォルニア州カーソンのスタブハブ・センターに決まった。

 主催者が6日(日本時間7日)に発表した。9月9日(同10日)の興行のセミファイナルでアントニオ・ニエベスを迎えて6度目の防衛戦を行う。同会場は12年にWBC世界スーパーバンタム級王者だった西岡利晃がIBF・WBO同級王者ドネアと王座統一戦を行い、今年8月26日には亀海喜寛(帝拳)が元4階級制覇王者コットとWBO世界スーパーウエルター級王座決定戦を行う。

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現役では三浦隆司/米国のリングで活躍した日本人

井上尚弥(2016年9月4日撮影)

 ボクシングのWBO世界スーパーフライ級王者井上尚弥(23=大橋)の5度目の防衛戦が4日、都内で発表された。同級2位リカルド・ロドリゲス(米国)との一戦に先立ち、9月に米国での試合要請が届いたことが判明。本場へ渡るため必勝を期した。

 ◆米国のリングで活躍した日本人 現役では元WBC世界スーパーフェザー級王者三浦隆司が注目を集める。15年11月にラスベガスでバルガスに敗れて王座陥落したが、壮絶な打ち合いで年間最高試合に選ばれた。今年1月にカリフォルニアでの挑戦者決定戦では12回KO勝ち。豪快なファイトがファンの心をとらえる。過去には、WBC世界スーパーバンタム級王者西岡利晃が11年10月にラスベガスで日本人で初めて米国での防衛を達成。重量級が主戦だった石田順裕は、11年にラスベガスでWBO世界ミドル級4位だったカークランドに1回TKO勝利。番狂わせで名を挙げ、その後も海外で試合を重ねた。

三浦隆司

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西岡“ボクシングの聖地”日本人初の防衛成功/復刻

2011年10月3日付日刊スポーツ紙面

<日刊スポーツ:2011年10月3日付>

 プレーバック日刊スポーツ! 過去の10月3日付紙面を振り返ります。2011年の1面(東京版)は西岡利晃の“ボクシングの聖地”日本人王者初防衛でした。

 ◇ ◇ ◇

<プロボクシング:WBC世界スーパーバンタム級タイトルマッチ>◇12回戦◇米ラスベガス・MGMグランド・ホテル&カジノ

 【米ラスベガス1日(日本時間2日)】強い! 歴史的快挙だ! WBC世界スーパーバンタム級王者の西岡利晃(35=帝拳)が、“ボクシングの聖地”で日本人王者初の防衛に成功した。40勝中36KOを誇る元2階級制覇王者の同級2位ラファエル・マルケス(36=メキシコ)の強打を完封。後半から自慢の左強打の連打で圧倒して、3-0の判定勝ちで7度目の防衛を飾った。試合後、所属する帝拳ジム本田明彦会長(64)は「次が最後」と来春のV8戦で引退させる意向を表明。再び世界的強豪との夢のスーパーファイトで、有終の美を飾ることになりそうだ。

 「モンスターレフト」と呼ばれる左拳は最後まで驚異的だった。8回、西岡は左ストレート3連発で勢いづいた矢先、バッティングで右頭上部をカット。流血し、マルケスの容赦ない右ストレートを浴びたが、守勢に回らず左ストレート、左ボディーで反撃した。攻め手を失い気落ちした挑戦者とは逆に、最後12回も「どんどんいけと言われたので、とにかくいった」(西岡)。文句なし3-0の判定勝ちで完勝。「1秒たりとも油断できない強い選手。そんな素晴らしい相手と戦えてうれしかった」。西岡は惜しみなく、すべてを出し切った安堵(あんど)感を漂わせた。

 40勝のうち36KOと抜群の破壊力を持つマルケスは強かった。序盤は伸びるような左ジャブに手を焼いた。ガードの上からでも強い衝撃を受けた。序盤、ポイントも奪われた。「最初は相手の右で左が殺されて当たりにくかったので、前半は距離感をつかむまで焦らずじっくりいった」(西岡)。わざとマルケスに攻めさせた。敵ガードの上から左強打を放って体力を削り、徐々に間合いをつかんだ。経験のすべて詰め込んだ集大成の左強打で敵をのみ込んだ。

 日本人の世界王者として米国本土での防衛成功は初の快挙だった。舞台は聖地ラスベガス、数多くの名勝負が繰り広げられたMGMグランドのメーン。西岡は「プレッシャーはありました」と吐露した。試合1週間前、乱暴な言葉遣いでスタッフにストレスをぶつけた。重圧がかかりイライラした時、本田会長に振る舞いを厳しく叱責(しっせき)された。西岡は「1日、1人にさせてください」と部屋に閉じこもり、自らを見つめ直した。「あそこは選ばれたものしか立てない場所」(西岡)と食事、練習以外は常に1人で部屋で過ごして精神統一した。帝拳プロの浜田剛史代表(50)も「腹をくくって勝負するところを勝負することができた」と頼もしそうに見つめた。

 35歳2カ月での防衛成功は、内藤大助の34歳8カ月を抜く日本人最年長防衛記録。しかし、本田会長は「次が最後」とV8戦をラストマッチにする意向を明言した。西岡が兵庫・尼崎市に55坪の土地を購入。来年2月に新居も完成予定で、同会長は「西岡は『あと2戦』というが家族と離れて暮らすのも良くない。ダメージが蓄積する前に辞めた方がいい。やることはやったのだから」と引退を勧める方針だ。

 次戦は来年4~5月を予定しており、対戦相手は2団体統一バンタム級王者ノニト・ドネア(28=フィリピン)が最有力候補。「ラストファイトにふさわしい試合を。ラスベガス、米国のどこか、日本もある」と本田会長。米国で存在感を示した西岡がビッグマッチでボクシング人生を締めくくる時が来た。

 ◆MGMグランドでの主なスーパーファイト 94年11月にIBF・WBA統一ヘビー級王者モーラーを元王者フォアマンが10回KOで倒し、45歳9カ月の当時の最高齢王座奪取に成功。96年11月には宿命のライバル対決とされたタイソン対ホリフィールドのWBA世界ヘビー級戦を開催、当時のボクシング史上最高額1415万700ドル(当時約15億5600万円)の入場料収入を記録した。97年6月のホリフィールド対タイソンの再戦では、タイソンが相手の耳をかみちぎる“事件”も起きた。近年では07年5月、メイウェザー対デラホーヤのWBC世界スーパーウエルター級戦、08年12月にパッキャオ対デラホーヤが開催された。

※記録と表記は当時のもの

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三浦隆司が年間最高の一戦で惜敗…16年こそ勝利を

三浦隆司

<2015取材ノートから:ボクシング>

 連載「取材ノートから」では、担当記者が今季を振り返る。今回はボクシング編。

 米国を「憧れる」時代は終わった。そう強く感じた試合だった。11月21日、米ラスベガスでWBC世界スーパーフェザー級王者三浦隆司(31=帝拳)が5度目の防衛に失敗し、2年7カ月守った王座から陥落した。今年の中ではパッキャオ-メイウェザー戦に次ぐ大型興行のセミファイナル。これまで日本人が立ったことのない大舞台で壮絶な打撃戦を繰り広げ、会場を埋めた約1万2000人のファンを熱狂させた。

 現地で取材した記者自身も「負けはしたが…」といった肯定的な記事を書いた。だが、時間がたつにつれ「勝ってほしかった」という悔しさにも似た感情がこみ上げてきた。13年4月、日本ボクシングコミッションも世界の流れに乗る形でWBOとIBFを承認し、「4団体時代」に入った。王者が増えた一方で、その価値は薄れたとも指摘され、「誰が強いのか分かりにくい」というジレンマにも陥った。

 錦織が壁を突き破ったテニス、W杯で感動を呼んだラグビーがそうだったように、国内のスポーツの盛り上がりは、その競技のトップが世界のどの位置にいるかが大きく影響する。WBCのスライマン会長が「これぞボクシング。年間最高試合だ」と興奮した口調で振り返ったほどの激闘を三浦が制していれば、日本ボクシング界に漂う閉塞(へいそく)感を一気に打ち破る可能性さえあった。だからこそ「勝ってほしかった」。

 11年10月、西岡利晃が日本人として初めて米国本土で王座を防衛し、時代は大きく変わった。12年に1試合だった日本人選手の米国での世界戦は今年5試合に増えた。三浦の試合直後、世界的プロモーターである帝拳ジムの本田明彦会長は言った。「よく頑張ったが、パッキャオはこういう大事な試合にすべて勝った。だからあそこまでいけた」。

 これから先、求められるのは大一番での結果以外にない。パッキャオ-メイウェザーの「世紀の一戦」で、両者のファイトマネーは合計で350億円を超えた。ボクシングには他の競技に負けない夢と爆発力がある。内山、井上らの米国進出がうわさされる16年が、大きな節目になってほしい。【奥山将志】組

 ◆三浦の防衛戦VTR 同級1位の指名挑戦者フランシスコ・バルガス(メキシコ)と対戦。初回に左フックでぐらつくなど序盤は劣勢も、4回に強烈な左ストレートでダウンを奪う。8回終了間際には連打でKO寸前まで追い込んだ。バルガスの右目下の傷が深刻となり、レフェリーが「(傷口が広がれば)この回が最後」と通告した。続く9回開始直後、三浦はアッパーを食らってふらつくと、左フックでダウンを喫した。どうにか立ち上がるも一気の連打を集められ、同回1分31秒にTKO負け。米ケーブル局大手HBOのPPV(ペイ・パー・ビュー)に日本人として初めて起用された一戦は、全米ボクシング記者協会の「年間最高試合」候補に挙がった。

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