<RIZIN LANDMARK 5 IN YOYOGI>◇29日◇東京・国立代々木第1体育館◇観衆1万3837人(札止め)
無冠の「路上の伝説」が、戦いの場に戻ってきた。人気格闘家の朝倉未来(30=トライフォース赤坂)が、1年4カ月ぶりとなるMMAで、元RIZINフェザー級王者の牛久絢太郎(28=K-Clann)から3回判定3-0で白星を奪った。
「強者」が、帰ってきた。ファンの悲鳴に近い、絶叫が止まらない。勝者しか味わえない、心地よいBGM。朝倉はかみしめるように、うなずいた。マイクを握ると言った。
朝倉 格闘家の朝倉未来ファンの皆さん、お待たせしました。ただいま。1年何カ月試合しない間、いろいろ言われましたけど、男はやるときやればいいでしょ。
「格闘家の朝倉未来にまた期待してもらえるような試合、というのが自分の中のテーマ」と位置づけていた一戦だった。格闘家以外に、実業家、YouTuber、さまざまな顔を持つが、型にはまらないのが朝倉未来。「1つのことにモチベーションを保つのが苦手で、いろいろなことをしながら格闘技をしている。逆に格闘技だけをするとモチベーションが下がると思うんですよ」。だからこそ、結果で示した。
「KOしたかったんですけど、出来なくて残念です」と、純粋に悔しがった。1年4カ月ぶりのMMA。戦いの場に戻ってきた男の表情だった。「結構、想定外の引き込みもあったりして、したい試合が出来なかった」と、久しぶりの感覚を口にした。
格闘家・朝倉未来として、歩みを止めることはない。「今年中に試合したいなって感じで、相手は誰でもいいです。クレベルとは、やりたいですね一番。もし次のタイトル戦(6月24日、RIZIN.43)で鈴木選手が(クレベルに)勝ったら鈴木選手でもいい。クレベルとは1度やりたい」。21年6月13日の「RIZIN.28」(東京ドーム)で、一本負けしたフェザー級絶対王者のクレベル・コイケの姿をイメージした。
試合途中には、ニヤリとする場面もあった。朝倉らしい光景だった。「格闘技が好き、この世界が好き」と言った。朝倉未来にしか歩めない格闘家人生を刻んでいく。【栗田尚樹】

- 3回、牛久絢太郎(手前)との打ち合いで笑みを浮かべる朝倉未来(撮影・河田真司)

- RIZINガールからトロフィーを受け取る朝倉未来(撮影・河田真司)

- 3回、牛久絢太郎(右)を攻める朝倉未来(撮影・河田真司)

- 牛久絢太郎(手前)に判定勝利する朝倉未来(撮影・河田真司)