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WWEの世界

新試合形式「アイアン・サバイバー・チャレンジ」とは、主要ルールなど概要を紹介

NXTの選手育成開発部門・上席執行役員のショーン・マイケルズ(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.

<第47回WWEの世界>

10日(日本時間11日)に米フロリダ州オーランドでWWEのNXTデッドライン大会が開催される。目玉カードの1つとなるのは新試合形式「アイアン・サバイバー・チャレンジ」。5人の選手が25分間でフォール、サブミッション(関節技)、反則によるポイント獲得で勝利を目指す。優勝者には王座挑戦権も与えられる。今回の出場選手の決定方法、主要ルールなど概要を紹介する。

◇  ◇  ◇  ◇

プレミアム・ライブイベントのNXTデッドライン大会が1週間後に迫った。

11月中旬、NXTの選手育成開発部門の上席執行役員「HBK(ハート・ブレーク・キッド)」ことショーン・マイケルズが新試合形式「アイアン・サバイバー・チャレンジ」の概要を発表。

<1>5選手が25分間の試合でファイト

<2>2選手で試合開始され、その後5分ごとに1選手ずつ追加

<3>フォール、サブミッション、反則で1ポイントを獲得

<4>フォールされた選手は90秒間ペナルティーボックス待機

<5>25分間で最も多くのポイントを獲得した選手が勝者

というルールが紹介された。優勝者はアイアン・サバイバーと呼ばれ、NXT王座、NXT女子王座への挑戦権を獲得することになる。

11月29日配信のNXT大会ではマイケルズがWWE殿堂入りを果たしているロードドッグ、アランドラ・ブレイズ、Xパック、モーリー・ホーリーを集めて出場選手選考会議を開いた。マイケルズは「NXTデッドライン大会は今年最後のNXTプレミアム・ライブ・イベントだ。年間を通して活躍したベストな5選手を選択したい」と提案。WWE殿堂者たちの意見に耳を傾け、出場候補者たちを絞りこんだ。

この会議を通じ、男子アイアン・サバイバー・チャレンジには、カーメロ・ヘイズ、JDマクドナ、グレイソン・ウォーラー、ジョー・ゲイシー。女子アイアン・サバイバー・チャレンジには、ロクサーヌ・ペレス、コーラ・ジェイド、ゾーイ・スターク、キアナ・ジェームスの男女各4人が決定。王座挑戦経験者を中心に選ばれた。

ペレスは「WWE殿堂者たちが私を選んでくれた。次のステップへの準備はできてるし、NXT女子王座の次期挑戦権を奪取する」と意気込みを示した。また男女の残り1枠については次週のNXT大会で、ワイルドカード3WAY形式マッチで決めることで合意。男子はヴォン・ワグナー、アクシアム、アンドレ・チェイス、女子はウェンディ・チュー、ファロン・ヘンリー、インディ・ハートウェルで争うことが決まった。

ポイント獲得で勝者が決まるという新試合形式でもあり、ルール説明から出場選手選考まで概要が丁寧に説明されてきた。22年のNXTをけん引してきた男子王者ブロン・ブレイカー、女子王者マンディ・ローズに挑むレスラーが決まるという「副賞」も分かりやすい。勝ち抜くアイアン・サバイバーは誰になるのか? 1年間を締めくくるビッグイベントで23年に向けたNXTの次なる「主役」が決まる。【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/連載「WWEの世界」)

NXTの選手育成開発部門・上席執行役員のショーン・マイケルズ(中央)がWWE殿堂入り4人を集めて会議(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.
10日NXTデッドライン大会で開催される女子アイアン・サバイバー・チャレンジの出場選手(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.
10日NXTデッドライン大会で開催される男子アイアン・サバイバー・チャレンジの出場選手(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.
原功「BOX!」

タイソン・フューリー、かつての好敵手チゾラとの防衛戦は調整試合 ウシクとの統一戦を希望

WBC世界ヘビー級王者、タイソン・フューリー(34=イギリス)の3度目の防衛戦が12月3日(日本時間4日)、同級14位のディレック・チゾラ(38=ジンバブウェ/イギリス)を相手にロンドンで行われる。両者は2011年と2014年に地域王座をかけて戦ったことがあり、フューリーが12回判定、10回終了TKOで連勝している。世界王座をかけて行われる3度目の対決は、当然のことながら圧倒的にフューリー有利と見られている。

フューリーとチゾラが最初に拳を交えたのは2011年7月のこと。当時、22歳のフューリーは14戦全勝(10KO)だった。一方、イギリス国内王座と英連邦王座を保持していた27歳のチゾラも14戦全勝(9KO)で、ホープ同士の対決だった。オッズはわずかにチゾラ有利と出ていた。小柄なチゾラが積極的に仕掛け、体格で勝るフューリーが応戦するというエキサイティングな展開になったが、フューリーは相手のパンチの多くを巧みにブロックして優勢を印象づけ、118対111、117対112、117対112の3-0で判定勝ちを収めた。

再戦は2014年11月、初戦と同じくロンドンで行われた。チゾラ(24戦20勝13KO4敗)の持つEBU欧州王座とWBOインターナショナル王座、さらに空位のイギリス国内王座がかけられた試合だったが、3年前と一転してフューリー(22戦全勝16KO)が左構えでスタート。右ジャブを有効につかってアウトボクシングを展開し、チゾラを懐に入り込ませなかった。初戦のような打撃戦を期待したファンからブーイングも飛んだが、劣勢のチゾラが10回終了時点で棄権して試合は終わった。

その1年後、フューリーはウラジミール・クリチコ(ウクライナ)を攻略してWBA、IBF、WBO3団体統一世界ヘビー級王者になり、引退を挟んで2021年にWBCで返り咲きを果たしている。現在の戦績は33戦32勝(23KO)1分。今年4月のV2戦後に引退を示唆したが翻意し、前3団体王者のアンソニー・ジョシュア(イギリス)に対戦を呼びかけていた。その試合が実現しなかったため、チゾラとの第3戦に臨むことになった経緯がある。

一方のチゾラはフューリーとの再戦に敗れたあとも強豪との対戦を続け、勝ったり負けたりを繰り返しながらも辛うじて世界挑戦圏内をキープしている。2019年から2021年にかけて3連敗を喫したが、今年7月に世界挑戦経験者のクブラト・プーレフ(ブルガリア)を破ってトップ戦線に踏みとどまっているというのが現状だ。戦績は45戦33勝(23KO)12敗。

身長206センチ/リーチ216センチ、体重120キロ前後のフューリーに対し、チゾラは187センチ/188センチ、117キロ前後と体格差は歴然としている。初戦のようにファイター型のチゾラが相手の懐に潜り込めれば勝機は出てくるが、フューリーが再戦のように距離を保った戦いに徹した場合は一方的な試合になりそうだ。オッズは14対1の大差でフューリー有利と出ている。3団体王者のオレクサンダー・ウシク(ウクライナ)との統一戦を望んでいるフューリーにとっては調整試合といえそうだ。

この日はWBA世界ヘビー級タイトルマッチも組まれており、19戦18勝(17KO)1敗の王者、ダニエル・デュボア(25=イギリス)が、29戦28勝(14KO)1敗のケビン・レリーナ(30=南アフリカ共和国)の挑戦を受けることになっている。パワーで勝るデュボアが10対1で有利と見られているが、スピードのある小柄なサウスポーの挑戦者に手を焼く可能性もある。

ヘビー級トップ戦線は安泰なのか、それとも大きな変化が起こるのか。

リングにかける

RIZIN王者堀口恭司、大みそかは格闘技だけじゃない 釣りと“同時”勝負、魚相手も「本気」

大みそかに釣り番組に登場するRIZINバンタム級王者堀口恭司

総合格闘技RIZINバンタム級王者の堀口恭司(32=アメリカン・トップチーム)が年末に格闘技以外の「戦い」にも挑む。大みそかのRIZIN40大会(さいたまスーパーアリーナ)でUFC時代と同じ1階級下のウエートに挑戦。RIZIN VSベラトールの5対5「全面対抗戦」で、ベラトール代表として扇久保博正(35=パラエストラ松戸)とフライ級ワンマッチで激突する。そして同じ大みそか午後8時からはスカパー!やケーブルテレビで放送される専門チャンネル、釣りビジョンに登場。「釣真剣勝負!~格闘家・堀口恭司にとって釣りとは何か~」に出演し、その腕前を披露する。

ロケは今年9月、米フロリダ州の練習拠点に戻る前に秋の東京湾で収録している。「(番組の)レギュラー化しか狙っていない」と意欲満々で収録に取り組んだ堀口は「釣りも結果がすべてですから、相当、気合を入れていました。ロケした日はめちゃくちゃ海の気合が入って荒波でしたね」と振り返る。今回のターゲットは、体長1メートルにも達する今人気のサワラだったという。

幼少時代、生まれ育った群馬にある釣り堀に親子で足を運び、中学時代にバス釣りを開始したそうだ。作新学院高時代からルアーフィッシングのとりこになったと明かす。「あんなおもちゃみたいなルアーで絶対に釣れないと思っていたのに、魚がえさだと思って食ってくれる。これが格闘技に似ていると思った」。そこに筋金入りの釣り好き格闘家=堀口の原点がある。

格闘技と釣りは共通項ばかりだと言う。対戦相手の動画をチェックするように釣り動画で対策を練る。

「格闘技ならフェイントを入れてパンチ、攻撃を当てる駆け引き、そして釣りは魚に口を使わせる駆け引きがある。もしかしたら釣りしてなかったらベルトを取っていなかったかもしれない(笑い)。物事を考えてやらないと意味ないし、自分は本気で、魚と勝負している」

社会人になる前には趣味を仕事にしたいと真剣に考え、プロ釣り師も有力候補だったそうだ。堀口は「本当に自分は格闘技と釣りがすごく好き。ずっと仕事にしたいと思っていた。格闘家になるか、プロの釣り師になるかを考えたこともあった。食っていけないかなと思って格闘家になった」と当時の心境を口にする。今回の釣り番組は念願の夢がかなったと言える。

ルアーなど釣り道具は日本製を購入し、今回も渡米時には30~40個のルアーを持参した。釣り道具として活用するだけでなく、ルアーを部屋に飾ってインテリアとしても楽しんでいる。「住んでいるフロリダはブラックバスの中心地なので。そこに良いジム(現所属ジム)があると聞いて『よっしゃ』と思った。今は近所のところの丘に歩いていって釣りしている」。調整に影響ない程度に定期的に釣りしている。

大みそかは「体が万全ならやりたかった」というフライ級の試合、そして釣りの腕前をファンに披露することになる。RIZINの試合時間帯次第では、扇久保戦と釣り番組が重なる“同時ファイト”になるかもしれない。年末の堀口は2つの「顔」で“勝負”することになりそうだ。【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける」)

9月に東京湾で釣りのロケに臨んだRIZINバンタム級王者堀口恭司
大相撲裏話

元幕下大司「ごっちゃんこ」として路上パフォーマンス、第2の人生でも土俵と同じ高揚感を

17年秋場所で引退した元幕下の大司。現在は「ごっちゃんこ」の名で路上パフォーマーとして活動している(ごっちゃんこさん提供)

2017年秋場所で現役引退した大相撲の元幕下大司(ひろつかさ、30)は、「ごっちゃんこ」の名で路上パフォーマーとして活動している。11月中旬に東京都内の繁華街に訪れ、まわし姿でお客さんと路上相撲をしたり、自作のフリースタイルラップを披露したりした。投げ銭のかごがわずか30分でいっぱいになる盛況ぶりだった。「お客さんのノリに後押しされて、良いパフォーマンスができた」とうれしそうに言った。

活動の原点は、腰椎椎間板ヘルニアで満足に稽古が積めなかった同志社大の相撲部時代。気を紛らわせようと友人と一緒に音楽バンドを始め、まわし姿でドラムをたたいて歌う「まわしパーカッション」を担当した。ライブハウスに集まった客から受ける声援が気持ち良くなり、次第にソロ活動へ。より手軽にできるフリースタイルラップに目覚め、路上ライブをするようになった。

大学卒業後の15年春に入間川部屋に入門。そこからは活動と離れていたが、引退後は「土俵に立つときと同じくらいの高揚感を味わえるから」と再び路上に戻った。

第2の人生を歩む今、同学年の活躍は大きな励みだ。関脇の御嶽海、小結の翔猿、平幕の北勝富士や宇良など有望株が多い平成4年生まれ。「現役の時は負けないぞと思って気合を入れてもらった」と稽古していたが、引退した今は「けがや痛みと闘って土俵に上がる姿に勇気づけられる。彼らは彼らの道で納得いくまで相撲を取り、俺は俺の人生を楽しむぞ、と刺激を受けてます」と笑った。

ごっちゃんこさんは、今日もどこかの街に出て、路上ライブに精を出す。風変わりな活動に見えるが、「今はこれが一番自分らしさを表現できるんです」。自信満々に訴えかける言葉が印象に残った。【平山連】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)

◆ごっちゃんこ 本名・太田航大。1992(平4)年8月30日、愛知・岡崎市生まれ。6歳から相撲を始め、同志社大卒業後に入間川部屋に入門。大司(ひろつかさ)のしこ名で15年春場所で初土俵を踏み、17年秋場所で引退。最高位は東幕下49枚目(16年秋場所)。引退後は路上パフォーマーとしてまわし一丁でライブや相撲を行っている。自作したラップの代表曲には「ヘルニア」や「路上」がある。

相撲教習所時代の一枚。後列は左から御嶽海、北勝富士、翔猿で、前列は左から大元、宇良、大司(ごっちゃんこさん提供)
ドラムボーカルをする元幕下大司のごっちゃんこさん(ごっちゃんこさん提供)
相撲教習所時代の一枚。左から翔猿、御嶽海、宇良、北勝富士、大司、大元(ごっちゃんこさん提供)
17年秋場所で引退した元幕下の大司。現在は「ごっちゃんこ」の名で路上パフォーマーとして活動している(ごっちゃんこさん提供)
都内の繁華街で路上パフォーマンスを見せる元幕下大司のごっちゃんこさん(撮影・平山連)
大相撲裏話

相撲よりピアノ歴が長い鳴滝「僕の癒やし」十八番はTM NETWORKの「GET WILD」

鳴滝

西幕下36枚目の鳴滝(24=伊勢ノ海)のストレス発散法は、小学校4年生から始めたピアノを弾くことだ。都内のスタジオで時には6時間以上没頭するほど熱中する趣味で、部屋の力士たちに自作した曲を披露することも少なくない。「相撲は精神的にも負担が結構大きいので、ピアノを弾くのが僕の癒やしになっています」と力説した。

「不純な動機なんですけど…」と打ち明けるピアノとの出合いは、好きな女の子に誘われたから。紹介された教室に通っているうちに夢中になった。曲をマスターするたびに大きな達成感を得て、ついには「好きな子がやめても続けてました」。小4から高3までの約9年間通った。「実はピアノ歴の方が相撲より長いんです」と話す。

十八番はTM NETWORKの「GET WILD」。弾く際の指の感覚が染みついている。気に入った曲を何度も練習して自分が納得するまで仕上げる過程は、相撲とはまた違うやりがいを感じている。「僕は音楽には上とか下がないと思っていて、自分を好きなように表現できるところが良いですよね」。今場所は4勝2敗で既に2場所連続の勝ち越しを決めている。残り一番もしっかり勝ち切り気持ちよく帰って、美しい音色を奏でたい。【平山連】

原功「BOX!」

ゴンサレス対エストラーダ3度目の対戦迫る 風雲急を告げるスーパーフライ級トップ戦線に注目

井岡一翔(33=志成)がWBO王座に君臨し、前WBO世界フライ級王者の中谷潤人(24=MT)が参入するなど注目度が増しているスーパーフライ級のWBC王座決定戦が12月3日(日本時間4日)、アメリカのカリフォルニア州グレンデールで行われる。元世界4階級制覇王者のローマン・ゴンサレス(35=ニカラグア)と、このクラスを含め2階級制覇の実績を持つファン・フランシスコ・エストラーダ(32=メキシコ)が拳を交えるもの。両者は過去に世界戦で2度対戦して1勝1敗と星を分けており、実力は伯仲している。今回も接戦が予想される。

ふたりが最初に戦ったのは10年前の2012年9月で、このときはWBA世界ライトフライ級王者のゴンサレスがエストラーダを12回判定で退けた。すでに世界的な注目を集めていたゴンサレスが無名の挑戦者に手を焼いたという印象の試合だった。採点は118対110、116対112、116対112の3-0だった。

2度目の対戦は昨年3月で、ゴンサレスがWBA世界スーパーフライ級のスーパー王者、エストラーダがWBC王者としてリングに上がった。試合は初戦よりもさらに競ったものになり、ふたりとも一歩も引かずに最後まで打ち合った。のちに集計されたパンチ数はゴンサレスが1317発、エストラーダが1212発だった。軽量級でも800発パンチを打てば多いといわれるが、ふたりともその1.5倍以上を繰り出したところに意地が感じられる。パワーパンチに限ってみればゴンサレスが883発打って352発命中、エストラーダは817発打って297発命中させたというデータが残っている。採点は際どいものになったが、終盤で印象点を稼いだエストラーダが117対111、115対113でジャッジ二者から支持された。しかし、もうひとりが115対113でゴンサレスを支持したようにゴンサレス優勢と見たファンや関係者の方が多かったようだ。

「年間最高試合」の声も出るほどの激闘だっただけに決着戦が8カ月後に行われることになったが、折悪くゴンサレスが新型コロナウィルスに感染。試合は今年3月にリセットされたが、今度はエストラーダが感染。こうして3度目の対決は再び先送りになり、このほど12月3日に行われる運びとなった。この間、ゴンサレスは今年3月にWBC世界フライ級王者のフリオ・セサール・マルチネス(メキシコ)に大差の12回判定勝ちを収めて健在ぶりを印象づけている。一方のエストラーダは今年9月、1年半ぶりの試合で無名選手に苦戦、辛うじて12回判定勝ちを収めている。

戦績はゴンサレスが54戦51勝(41KO)3敗、エストラーダが46戦43勝(28KO)3敗。第2戦の印象に加え直近の試合の内容が反映されてかオッズは12対7でゴンサレス有利と出ている。

スーパーフライ級ではWBO王座に井岡が君臨しており、年内にもWBA王者のジョシュア・フランコ(27=アメリカ)との統一戦が計画されている。その勝者に対してWBOは中谷の挑戦を受けることを課している。

風雲急を告げるスーパーフライ級トップ戦線。まずはゴンサレス対エストラーダに注目だ。

大相撲裏話

静岡・飛龍高相撲部で初女性主将、熱海富士の妹・武井陽奈さんは「他の部員の手本になっている」

熱海富士の妹で飛龍高相撲部主将の武井陽奈さん(撮影・平山連)

全国大会で数多くの実績を誇る静岡・飛龍高相撲部で新チームから創部約50年で初となる女性主将が誕生した。九州場所で新入幕の熱海富士(20=伊勢ケ浜)の妹、武井陽奈(ひな)さん(2年)だ。監督の栗原大介教諭は「過去の実績と練習への取り組み方が他の部員の手本になっている」と期待して抜てきした。

「相撲センスは兄より妹」というのが周囲の声。小中学校の頃から数々の全国大会で表彰台に上がった陽奈さんは、3歳年上の兄と同じく飛龍高に進学。相撲部では男子部員らに交じって稽古に励み、今年4月に国際女子相撲選抜大会の軽量級で3位に輝いた。

主将に就いたことに陽奈さんは「他校の生徒たちとかから『女子で大丈夫なの?』とか言われちゃうのかな」と不安もある。自主性を重んじながら強豪校に上り詰めた同校の伝統を受け継ぎながら、部員たちをどうまとめるか。個人競技の性質が強い相撲だが、大会では団体戦もある。自分の成績だけではなく部員一同で団体優勝をつかみ取りたいといい「女子でも大丈夫なんだということを見せたい」と意気盛んだ。【平山連】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)

リングにかける

USヘビー“飛び級”挑戦・新日本海野翔太 レフェリーの父の前で完敗も「何度でも起き上がる」

2022年11月20日、実父のレッドシューズ海野レフェリー(左)が見つめる前でオスプレイ(中央)にエルボーをさく裂する海野(撮影・菅敏)

今月5日開催の新日本プロレス大阪大会で英国遠征から帰国を果たした海野翔太(25)が、3年ぶりの日本マットで心身の成長を証明した。20日、東京・有明アリーナで行われた新日本と女子プロレス団体スターダムの史上初となる合同興行「ヒストリック・クロスオーバー」のセミファイナルで、ウィル・オスプレイ(29)が保持するIWGP・USヘビー級王座に“飛び級”挑戦。試合には敗れたものの、新しい新日本の幕開けを予感させた。

「止めるな!」。海野は試合中に、この試合を裁いていた実父、レッドシューズ海野レフェリーの足に必死でしがみついた。オスプレイの強烈なエルボーの乱打に、防戦一方になった海野の姿を見かねた父が、試合ストップの動きを見せたその時だった。俺はまだまだやれる。そんな思いを込めて、全身全霊の雄たけびを上げた。

ここまで海外でのオスプレイとのシングル対戦成績は2戦2敗。圧倒的な実力の前に屈してきたが、この日は一味違った。同級王座3度の防衛を果たしてきた世界最高峰のレスラーを相手に、勝ちへの執念を発揮。何度も3カウント寸前のキックアウトを連発し、師匠である元WWE王者モクスリー直伝の必殺技デスライダー(ダブルアーム式DDT)も決めた。最後は23分30秒、オスプレイの渾身(こんしん)のストームブレイカーに沈んだが、進化を実感させる敗北となった。

着々と階段を上ってきた。19年9月のヤングライオン杯で優勝を逃した後に海外武者修行を熱望した海野は、同年11月から英国遠征を開始。レボリューション・プロレスリング(RPW)を中心に活動し、今年6月のオール・エリート・レスリング(AEW)と新日本の合同興行「Fobidden Door(禁断の扉)」にも出場した。身にまとうものも、ヤングライオン時代の黒いパンツから、華やかなコスチュームへと変わった。

凱旋(がいせん)帰国初戦でいきなりタイトルマッチと、団体からも大きな期待を寄せられる。ベルト奪取にはあと1歩届かなかったが、ぎらついた目はそのままだった。「何度でも挑戦してやるよ。諦めねえ。何回転んでも転んだ回数+1起き上がって、お前の前に立ってやるから」と言い切った。「今日が第1歩。必ずまた立ってやる」。新日本の新時代を築いていく。【勝部晃多】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける」)

2022年11月20日、実父のレッドシューズ海野レフェリー(上)の足にしがみつく海野(撮影・菅敏)
2022年11月20日、実父のレッドシューズ海野レフェリー(左)が見つめる前でオスプレイ(中央)の攻撃を受ける海野(撮影・菅敏)
2022年11月20日、実父のレッドシューズ海野レフェリー(左)が見つめる前でオスプレイ(右)の強烈なパイルドライバーを食らう海野(撮影・菅敏)
2022年11月20日、実父のレッドシューズ海野レフェリー(左)が見つめる前でオスプレイ(右)の強烈なパイルドライバーを食らう海野(撮影・菅敏)
2022年11月20日、実父のレッドシューズ海野レフェリー(奥)が見つめる前でオスプレイ(左)にキックをさく裂する海野(撮影・菅敏)
大相撲裏話

朝青龍FW選出にサッカー通の鶴竜親方反論「ガッツあるからDF」/大相撲力士ベストイレブン

フットサルの試合で、デルピエロ氏(右)にボールを奪われ、悔しがる元横綱朝青龍

もしも大相撲の引退力士の中からベストイレブンを組んでみたら…。ついに開幕したW杯カタール大会に合わせ、角界きってのサッカー通として知られる元横綱鶴竜の鶴竜親方にこんな話題を振ってみた。記者が考えに考え抜いた布陣(いずれも現役時のしこ名)を力説すると、同親方も興味津々。時折うなずきながら、持論を展開してくれた。

布陣は4-2-3-1。GKは武蔵丸。DFは右から寺尾、千代大海、安美錦、玉乃島。2ボランチに旭国と鶴竜。その上の3枚は左に魁聖、中央に千代の富士、右に白鵬。個性派ぞろいの集団は、はまれば面白い。ここまでは鶴竜親方も理解を示してくれた。

問題の1トップ。記者が選んだのは第68代横綱の朝青龍。驚異的な運動神経と負けん気の強さで得点を量産すると訴えたが、同親方は「ガッツがあるからDFの方がいいね」と反論。では1トップは誰に?と尋ねると、「ヘディングが強そうだから、琴欧洲で決まり」と一択。さらに妄想を膨らませると、あの人は? この人は? と名が出てくる。今度は現役力士縛りで選ぼうか。開幕したばかりのW杯に合わせ、そんな気持ちが芽生えた。【平山連】

記者が選んだ選手とその選考理由は以下の通り。システムは4-2-3-1

▽GK武蔵丸

◆記者の選考理由 正直、曙と迷った。ただ、温厚そうな顔立ちからにじむ懐の深さから、武蔵丸を選んだ。きつい時間帯にも味方を励ます声を掛けられそうだし、何より190センチを超える身長と体重200キロ超の体格は魅力。まさに壁。最後のとりでとしてうってつけだと思った。

▽DF(右から)寺尾、千代大海、安美錦、玉乃島

◆記者の選考理由 いずれも最後まで集中を切らすことなく、走り続けられそうな守備陣を基準に置いた。熱いバトルを展開する千代大海は強度の高い対人ディフェンスが売りで、CBを一緒に組む安美錦はきめ細かいラインコントロールで守備陣を統率する。これならどんなFWにも対応できそう。両サイドは、バランスを見ながら前線まで駆け上がったり、最終ラインまで戻ったりと上下移動を繰り返すことを期待した

▽MF(2ボランチ)旭国、鶴竜

◆記者の選考理由 しぶとい相撲から「ピラニア」の異名で恐れられた旭国には、縦横無尽に顔を出してボールを奪う役割を期待。一方でサッカー通の鶴竜には、高い戦術理解度と確かな足元の技術を生かして攻守で存在感を発揮してほしい。それぞれの出来が試合の結果に直結しそうだ。

▽MF(ボランチの上3枚で左から)魁聖、千代の富士、白鵬

◆記者の選考理由 角界随一のゲーム好きという魁聖はサッカー王国ブラジル出身で、ゲームの腕と同様に、多彩なテクニックで攻撃のタクトを振るうはず。幕内優勝の最多回数(45度)を誇る白鵬と「ウルフ」の愛称で親しまれた千代の富士には、土俵上で見せた勝負強さを今度はピッチの上で表現してほしい。

▽FW(1トップ)朝青龍

◆記者の選考理由 けがで夏巡業の休場届を出しながら母国モンゴルでサッカーに興じたことは話題になったが、改めて当時の映像を見てみると、その華麗な動きに驚きを隠せない。鍛え抜かれた強靱(きょうじん)な肉体から放たれる強烈なシュート。DFと駆け引きをしながら、絶妙なタイミングで裏へ抜け出す得点感覚。試合終了の笛が鳴るまでトライし続ける圧倒的なメンタル…。どんな点においてもストライカーに必要な要素を兼ね備えているはず。まさしく生粋のゴールハンター。最前線で敵の脅威になり続けるはずだ。

フットサルの試合前に握手する、元横綱朝青龍(左)とデルピエロ氏
WWEの世界

アスカVSイヨ・スカイ第2幕は異色の5対5チーム戦 26日ウォーゲームズ戦で実現

アスカ(前冽左から2番目)VSイヨ・スカイ(後列左から2番目)の第2幕となる5対5女子ウォーゲームズ戦コピーライト2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.

<第46回WWEの世界>

アスカVSイヨ・スカイ(紫雷イオ)の「第2幕」は異色の5対5によるチーム戦で実現する。WWE女子タッグ王座戦で2度激突した両者は26日(日本時間27日)に開催されるプレミアム・ライブイベント、サバイバーシリーズ大会ウォーゲームズ(米マサチューセッツ州ボストン・TDガーデン)で組まれた女子ウォーゲームズ戦で対戦。WWEでは傘下のNXTで17年から行われてきた2つのリング、ケージ(金網)を使用した独特のチーム戦となる。約1週間後に迫った日本女子対決&異色の試合形式についてクローズアップする。

◇  ◇  ◇  ◇

アスカはアレクサ・ブリス、スカイはダコタ・カイをパートナーにWWE女子タッグ王座で2度激突してきたが、今度は5対5での顔合わせとなる。ロウ女子王者ビアンカ・ブレアのもとアスカはブリス、ミア・イムと未発表の5人目とともにブレア軍入りした。一方、スカイは同じユニット「ダメージCTRL(コントロール)」のベイリーのもと、カイ、ニッキー・クロス、リア・リプリーの5人でベイリー軍に加わった。現在もアスカ-スカイ間の抗争はヒートアップを続けている。

ウォーゲームズは87年にダスティ・ローデスがNWAで行われていた試合形式に由来する。その後、JCP(ジム・クロケット・プロモーション)やWCWのイベントとして組まれた。WWEでは17年11月のNXTで初開催された。屋根のない長方形のケージ(金網)に囲われた隣り合わせで並んだ2つのリングで行われた。これまでは2チーム、あるいは3チームによる対決で開催され、3~5人が1チームを構成。各チームの1人が同時にケージに入った5分後に「アドバンテージ権」を持つチームから選手が加わる。

アドバンテージ権として一時的に2対1の数的優位な時間帯がつくられた後、2分ごとに各チームから選手が加入。全員が入場してから試合開始となる。激しい試合内容となるものの、19年からは初めて女子ウォーゲームズ戦も開催され、実際に紫雷イオ時代のスカイが出場している。

今年のウォーゲームズ戦ルールも既に発表されている。2チームが別々のケージに収容され、各チームから1人のメンバーが試合を開始。5分後に「アドバンテージ権」を持つチームから1人が試合に参加。3分間隔で各チームのメンバーが交互に試合に入る。すべての選手が参加した時点でウォーゲームズのスタートとなり、勝利はピンフォールかサブミッション(関節技による一本勝ち)となる。週明けのロウ大会では女子ウォーゲームズの「アドバンテージ権」を懸けた試合が組まれることも発表されている。

実際、同形式で試合出場しているスカイの経験値は大きいだろう。一方、アスカも過去のサバイバーシリーズ大会で恒例カードだったブランド対抗5対5エリミネーション戦に出場、勝利している。両者ともにチーム戦独特の展開をイメージしているだろう。緊張感高まる日本女子勢2人の抗争が異色の試合形式を通じ、どのように展開するのかが注目される。【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/連載「WWEの世界」)

19年のNXT女子ウォーゲームスに出場したイヨ・スカイ(左)コピーライト2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.
屋根のない長方形のケージで囲まれた2つのリングで5対5チーム戦が行われるウォーゲームズコピーライト2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.
WWE傘下のNXTで17年11月のテイクオーバー大会から開始された5対5ウォーゲームズ戦のリングコピーライト2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.
大相撲裏話

玉の海を忘れてほしくない 没後半世紀、同級生らが結集して「横綱玉の海展」

土俵入りのポーズをきめる第51代横綱の玉の海(撮影・平山連)

忘れてほしくない人がいる。先月、愛知・蒲郡市で行われた没後半世紀を記念する「横綱玉の海展」に足を運んだ際、玉の海の蒲郡中時代の同級生の荒島伸好さん(78)から聞いた言葉が印象に残った。「若い人たちにとって地元出身の有名人といえば、プロ野球の千賀投手。玉の海を知っている人がほとんどいない。寂しいじゃないですか」。全力士の頂点に立った旧友を後世に伝えたいという思いがあふれた。

約90点の資料が並んだ第51代横綱の玉の海を紹介する企画展(撮影・平山連)

第51代横綱の玉の海のまげなどが展示された企画展(撮影・平山連)

第51代横綱玉の海の座布団(撮影・平山連)

第51代横綱の玉の海が使っていた明け荷(撮影・平山連)

中学3年の頃に相撲大会に出てもらうと、初出場ながら県大会で3位になった旧友。荒島さんは「天性の素質に加えて稽古熱心。わずか数カ月間一緒に練習しただけで、私たち相撲部員を追い抜いていった」といい、卒業後に角界入りして順調に歩む姿を自分ごとのように喜んだ。

70年初場所後に北の富士(現在NHK解説者の北の富士勝昭氏)と横綱に昇進。順風満帆な日々を送っていた矢先、翌年10月右肺動脈幹血栓症により27歳の若さでこの世を去った。

第51代横綱の玉の海の石像の横に立つ中学時代の同級生の荒島さん(撮影・平山連)

第51代横綱の玉の海の墓の前に立つ中学時代の同級生の荒島さん(撮影・平山連)

あれから51年。同級生らが結集して1500人以上が訪れる企画展ができたが、満足しない。自身にとっては今も地元のヒーロー。「今度は玉の海の常設展示や名前を冠した相撲大会を開きたい」と目を輝かせた。【平山連】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)

大相撲裏話

気は優しくて力持ち…山中で脱輪の約900キロ軽ワゴンを軽々と 立浪部屋の力士たちが救出

大相撲九州場所 2日目 琴裕将に押し出しで敗れた北大地(2022年11月14日撮影)

力士は気は優しくて、力持ち-。まさにその言葉を体現する、あっぱれな救出劇が場所前に起こった。

11月11日。稽古休みだった立浪部屋の幕下北大地(24)と三段目筑波山(20)は、部屋の関取衆の明け荷を会場の福岡国際センターに運びに行った。その帰り道。トレーナーが運転する車に乗って山中を走っていると、対向車線に1台の軽ワゴン車が止まっていた。周囲に複数の人がおり、異変を察知。左前輪が側溝にハマって脱輪し、運転手らが立ち往生していた。

車を降りて助けにいった。北大地とトレーナーが脱輪した左前輪側から車体を持ち上げると、ふわっと浮き上がる約900キロの軽ワゴン車。右前輪側についた筑波山も合わせて持ち上げ、手前に引いて車体をずらす。ものの1分での救出劇。ささやかながら山中に歓声と拍手が沸き起こった。

負傷する可能性もゼロではなかった。それでも両力士は「迷いはなかった」と口をそろえた。北大地が「稽古の方がしんどいです」と話せば、筑波山は「すごく軽かったっすよ」と涼しい顔。ともに一番相撲で黒星発進となったが、きっと相撲の神様は見ている。【佐々木隆史】

大相撲九州場所 初日 透輝の里(左)を攻める筑波山(2022年11月13日撮影)
原功「BOX!」

グーラミリアン、2年11カ月ぶりリングへ エゴノフも1年8カ月ぶり、両者ブランク吹き飛ばせ

コロナ禍のなか、たび重なる試合延期によって3年近いブランクをつくった世界王者がいる。WBA世界クルーザー級スーパー王者、アーセン・グーラミリアン(35=アルメニア/フランス)だ。「Feroz(獰猛な男)」というニックネームを持つグーラミリアンは19日、フランスでWBA1位のアレクセイ・エゴノフ(31=ロシア)を相手に2度目の防衛戦に臨む。2019年12月28日以来、実に2年11カ月ぶりのリングとなる。

新型コロナウィルスは2020年2月ごろから世界中に感染拡大していったが、ボクシング界もその影響をもろに受けた。その年3月中旬を最後にアメリカをはじめ世界中のイベントが開催見送りとなり、約3カ月の空白ができた。日本でも世界ミドル級スーパー王者の村田諒太(帝拳)の試合が内定しては流れ、結局、今年4月の試合まで2年4カ月のブランクができてしまったほどだ。こうした事情を考慮して各統括団体は結果として活動不活発になってしまった王者から無闇に王座剥奪することを避けてきた。グーラミリアンもそんな対象のひとりといえる。

2019年11月15日に4回KO勝ちでWBA世界クルーザー級スーパー王座を獲得したグーラミリアンは、戴冠からわずか43日後の12月28日に初防衛戦に臨み、9回終了TKO勝ちで王座を守った。翌年、2度目の防衛戦が計画されたタイミングでコロナ禍に突入したため試合が組みにくくなったことは想像に難くない。やっと2020年12月に防衛戦が決まったが、折悪くグーラミリアンが負傷、試合をキャンセルせざるを得なかった。

1年後の2021年12月、今回の相手、エゴロフとの防衛戦が決定したが、今度はグーラミリアンが新型コロナウィルスに感染。試合を中止しただけでなく自身の回復に努めなければならなかった。こうした経緯があって今回、やっとエゴロフを相手に2度目の防衛戦が実現することになったわけだ。

26戦全勝(18KO)のグーラミリアンは積極的に相手を追って左右のフックやアッパーを叩きつけるパワー型のファイターで、小細工なしの分かりやすいボクシングをする。約3年ぶりの実戦に向け、ゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)らを指導したアベル・サンチェス・トレーナーと一緒にアメリカのカリフォルニア州ビッグベアで集中トレーニング・キャンプを張り、攻撃力に磨きをかけてきたという。

挑戦者のエゴロフも11戦全勝(7KO)とプロでは挫折を知らないまま王座挑戦のチャンスをつかんだ。筋骨隆々の正統派で、中間距離で打ち込む右ストレートは破壊力がある。グーラミリアンへの挑戦が決まったあと試合がキャンセルになったため、こちらも1年8カ月ぶりのリングとなる。

下馬評はグーラミリアン有利に傾いているが、ともにブランクがあるだけに蓋を開けてみないと分からない不確定要素があるといえる。両者とも精神面でも肉体面でも難しい調整を強いられることになるだろうが、新型コロナウィルスを吹っ飛ばすような思い切りのいいボクシングを見せてほしいものだ。

大相撲裏話

「博多駅地下街」が式守勘太夫“指定”の懸賞「良い行司いること知ってほしい」付き合い20年以上

行司の式守勘太夫と博多駅マイング駅地下1番街の懸賞旗(撮影・岩下翔太)

大相撲の応援の1つに「懸賞」がある。企業や後援会が、応援する力士や「初口」「結びの一番」など取組を指定して懸けるのが通例だ。今場所の場合、力士指定の最多は「大関貴景勝」の153本、「結びの一番」には164本が懸けられた。15日間の総数は約1300本で新規申し込みは4社。そのうちの1社で今年初登場の「博多駅マイング駅地下1番街」は、力士や取組ではなく、幕内格行司の式守勘太夫(54=朝日山)を“指定”した懸賞だ。

懸賞を出した博多駅地下街の商店街担当の永留和宏さんは「(商店街の)会長から懸賞を出してもいいのではと提案があった」と明かした。博多どんたくに博多祇園山笠。それらの福岡・博多を代表する祭と同様に「11月の大相撲九州場所も福岡の伝統文化」と認識。商店街として九州場所に懸賞を出すことになった。では、どの力士に、はたまたどの取組に懸けるか-。考えていた永留さんは、20年以上の付き合いがある式守勘太夫に相談した。

懸け方の話し合いになると、式守勘太夫から「僕に懸けて下さい」と提案を受けた。式守勘太夫は17年12月に四肢に力が入らなくなる病気、ギラン・バレー症候群を発症。自力で歩行できなくなり緊急入院し、リハビリ開始当初は首しか動かせず、復帰を諦めた時期もあった。18年初場所から5場所連続休場。それでも懸命の治療の末、同年九州場所から土俵に戻った。

その苦労を知る永留さんは「大変な時があったからね。元気づけたかったし、良い行司がいることをみんなに知ってほしいというのもあって」と15日間、式守勘太夫が1日二番裁くうちのどちらか一番に懸賞を懸けることにした。

しかし、懸賞は勝った力士がもらうもの。行司はあくまで力士に渡すだけだ。それでも永留さんは「取組が終わった後、1枚でもいいから懸賞を力士に渡せるのは行司さんにとってもいいことじゃないかな」と話した。

初日は、式守勘太夫が裁いた隆の勝-栃ノ心の一番に懸賞が懸かった。寄り切った栃ノ心に軍配を上げたが物言い。協議の末、先に栃ノ心の足が出ていたとして、差し違えとなった。式守勘太夫は「初日は(懸賞旗を)見ましたが、差し違えてしまいました。緊張するもんですね。この2人のうち、どちらかがもらうんだなということが頭に入ってしまって」と反省。その様子をテレビで見たという永留さんは「いきなり差し違えてましたね。緊張ですかね。わはははは」と豪快に笑った。

あくまで自身が裁く一番に懸かるもので、自身が手にする懸賞ではないが「それでも力士に渡せるのは気持ちがいい。これもまた縁です。本場所後に(力士から)封筒だけをもらって、懸賞を出してくれた方にあげたい」と感謝した。10年以上、懸賞の管理を担当する日本相撲協会員が「行司を指定しての懸賞は聞いたことがないですね」と話すほどまれな行司指定の懸賞。これもまた、年に1回の地方場所らしい懸賞だ。【佐々木隆史】

行司の式守勘太夫(撮影・岩下翔太)
行司の式守勘太夫と博多駅マイング駅地下1番街の懸賞旗(撮影・鈴木正人)
リングにかける

ボクシングに光を見いだし荒れた人生やり直し 全日本新人王に王手かけた“元ヤン”ボクサー

11月6日、スーパーフェザー級で勝利した大谷新星

道をそれてもまた戻ればいい。ボクシングの取材を通じてまた、いい出会いがあった。新人王西軍代表戦のスーパーフェザー級を制し、12月17日の全日本決勝(後楽園ホール)に進む大谷新星(21=真正)は、18歳の時に過ちを犯して少年院に入りながら、ボクシングで人生の“やり直し”に成功した1人だ。

小学2年から井岡ジムでボクシングを始めた。ただ、「ボクシングが嫌いだった」と親に言われて、いやいや通うものだった。中学卒業と同時にジムから足は遠のいた。就職して工場勤務も続かない。「自分の意志が弱かったんです。何をやっても長続きしなかった」。もやもやを抱えた心は次第に暗闇へ。強盗、傷害などで少年院に入った。

今なら18歳は成人年齢。選挙権を得て、立派な大人として扱われる。そんな年になり「何をやってるんだ俺は」とわれに返った。母親がそっと差し入れてくれたのが元WBC世界バンタム級王者辰吉丈一郎の自伝。50歳を過ぎた今も「現役ボクサー」として生きる。そんな生きざまを「かっこいいじゃないですか」。もう1度、「ボクサーになろう」と心を決めた。

再出発は真正ジムの門をたたいた。元世界3階級制覇王者の長谷川穂積らを育てた山下正人会長(60)の厳しい指導はうわさに聞いていた。「そういう環境でないと、自分は甘えてしまう。(元暴力団担当の警官だっただけに)気持ちも理解してくれる」。一から鍛え直し、ここまで4戦4勝(3KO)で、全日本新人王に王手をかけた。

かつてはやんちゃを重ねてきたのだろう。しかし、今は研ぎ澄まされた肉体を保持し、取材においても質問に丁寧に言葉を返す。同じくくりにはしたくないが、かつて猛烈にやんちゃしていた矢吹正道は世界王者、弟の力石政法も現・東洋太平洋王者で、今や荒れていたころの面影などかけらも見せない。

気持ちのはき出し方が分からない。それぞれにいろいろな要因があって、荒れた道に踏み外すこともあるだろう。そこからいかに早く気づき、自分で道を修正できるか。出会った3人はいずれも、ボクシングに光を見いだした。

「悪かった」から、人の痛みも分かる。そんな柔らかさを大谷からも感じ取った。

大谷は西軍代表戦で逃したMVPを後楽園ホールにとりにいく。「大振りではなく、倒すパンチを磨いていきたい。今回はいい経験ができた。荒れていた時期も、それがあっての今。全日本でMVPをとります」。新たに出現した“元ヤン”ボクサーの今後も追いかけたい。【実藤健一】

原功「BOX!」

スペンス対クロフォード 2022年最大の注目ファイトが先送り “賞味期限”を心配する声

2022年最大の注目ファイトになると見られていたウェルター級の4団体王座統一戦、WBA、WBC、IBF王者のエロール・スペンス(32=アメリカ)対WBO王者、テレンス・クロフォード(35=アメリカ)が、先送りになることが確実になった。クロフォードが12月10日に出身地のネブラスカ州オマハで元WBA同級暫定王者のダビド・アバネシャン(34=ロシア)と対戦することになったからだ。夏までに両陣営が対戦合意に至り、発表間近と伝えられただけに落胆したファンや関係者は少なくないはずだ。32歳のスペンス、35歳のクロフォード、ふたりはいつリング上で交わるのだろうか。

7度の世界戦を含め28戦全勝(22KO)の戦績を残しているスペンスと、3階級制覇を成し遂げ38戦全勝(29KO)をマークしているクロフォード。ふたりの頂上決戦が現在のボクシング界で最も注目度の高いカードであることは間違いないだろう。しかし、両者の力量が接近していればいるほど、条件面の詰めは難しいらしい。今回も最後の最後ですれ違いになったようだ。

こうしたなか、この黄金カードの“賞味期限”を心配する声が出始めている。いまのところ両雄に力の衰えは感じられないが、いつまでピークを持続できるかという疑問が芽生えつつあるのだ。

同じ中量級でシュガー・レイ・レナードやマービン・ハグラー、トーマス・ハーンズ(いずれもアメリカ)らスーパースターが何度も直接対決した1980年代を振り返ってみよう。レナード対ハーンズのウェルター級王座統一戦時、レナードが25歳、ハーンズは22歳の若さだった。8年後の再戦時はレナード33歳、ハーンズ30歳だったが、初戦と比べると明らかに両者の力量は落ちていた。ちなみに3回TKOで勝負が決したハグラー対ハーンズは30歳と26歳、その2年後に行われたハグラー対レナードは32歳と31歳だった。

ウェルター級でみると1999年に行われた全勝同士の統一戦、オスカー・デラ・ホーヤ(アメリカ)対フェリックス・トリニダード(プエルトリコ)は、ふたりとも26歳だった。試合は噛み合わせの甘いものになったが、両雄とも全盛期だった。

21世紀に入ってからのデータを見ると、スーパーファイトに出場する選手の年齢が上昇傾向にあることが分かる。すなわちデラ・ホーヤ対メイウェザーが34歳と30歳、メイウェザー対サウル・カネロ・アルバレス(メキシコ)は36歳と23歳という世代間の対決だった。

さらに顕著なのが7年前のメイウェザー対マニー・パッキャオ(フィリピン)の対決だ。当時はメイウェザーが38歳、パッキャオが36歳だった。十分に堪能できる試合ではあったが「5年早く実現していたらなぁ」という慨嘆の声が多数あったものだ。

アルバレス対ゴロフキンのライバル対決3試合も同様だ。初戦がゴロフキン35歳、アルバレス27歳だった。1年後の再戦を経て今年9月に行われた3度目の対決時はゴロフキン40歳、アルバレス32歳である。第3戦のゴロフキンに全盛期の動き、迫力が感じられなかったことは残念としか言いようがないが、年齢を考えれば当然といえば当然か。

さて、スペンス対クロフォードだが、早くても実現は来年春になる。スペンスも一戦挟むとなると来夏にずれ込む可能性もある。「機が熟した」となるのか、それともメイウェザー対パッキャオのように「熟し過ぎた」となるのか。

リングにかける

サモアンフック炸裂!48歳マーク・ハントが引退マッチで9戦全勝ウィルアムスに4回TKO勝利

K-1、PRIDE、UFCで活躍し、引退マッチで勝利した「カリブの怪人」マーク・ハント(スタンスポーツ公式インスタグラムより)

K-1、PRIDE、UFCと格闘技トップ団体でファイトしてきた「カリブの怪人」が引退マッチで快勝した。

48歳のマーク・ハント(ニュージーランド)が11月5日、オーストラリア・シドニーのアウェア・スーパーシアターで約2年ぶりにリングに立った。元オールブラックスの元ラガーマンで、9戦全勝のプロボクサーとなるソニー・ビル・ウィリアムズ(37=ニュージーランド)とボクシングルールのヘビー級8回戦で対戦し、4回TKO勝利を挙げた。

劣勢が予想されていたハントが4回、得意のサモアンフック(右オーバーハンドの強打)でウィリアムズの顔面を打ち抜いた。たまらずマウスピースを口から吐き出した相手をロープ際に追い込んでラッシュ。ダウンを奪うと、そのままレフェリーストップ勝ちを収めた。20年12月にもオーストラリアのナショナルラグビーリーグで活躍した元ラガーマンでプロボクサーのポール・ガレンにノンタイトル6回戦で負けて以来のリングで、番狂わせを起こした。

集結した観客からの大歓声を浴びながら、ハントはあらためてプロ生活に終止符を打つことを表明。「試合が終わって『やべえ、またやりたい』と思ったが、私が笑っているのは勝利したからではない。これが最後だからリングに足を踏み入れたんだ」と口にした。ハントにとってボクシングルール4戦目で初勝利が引退マッチとなった。

このウィリアムズ戦はオーストラリアの動画配信サービス「スタンスポーツ」でPPVライブ配信されていた。ハントは手にしたファイトマネーを約5年前から続けるUFCとの法廷闘争の資金に当てるという。16年7月、UFC200大会で元UFCヘビー級王者ブロック・レスナーに判定負けした後、レスナーの禁止薬物の陽性反応が発覚。レスナー戦は無効試合に修正されたが、UFCが薬物違反を隠そうと主張して訴えた。

英デイリーメール紙によると、ハントは「総合格闘技でステロイドを使用していれば誰かを殺す可能性がある。将来的に誰も死なないようにするために訴訟している」と心境を明かしている。K-1、PRIDE、UFCとトップ団体をわたり歩き、18年に総合格闘技から引退。ウィリアムズ戦前には「うまく勝つことができれば、K-1、総合格闘技、ボクシングのルールで勝利し、キャリア最高の状態で終えることができる。グローブを外すまで自分が世界最高のファイターだと常に思っている」と口にしていたという。

01年にK-1 WORLD GPを制覇。総合格闘技ではタイトル獲得経験はなかったものの、世界的に長く愛されたファイターだった。ハントは納得いくプロ生活を終え、法廷闘争という新たな戦いに向かおうとしている。【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける」)

元オールブラックスのラガーマン兼プロボクサーのソニー・ビル・ウィルアムス(左)と対戦したマーク・ハント(スタンスポーツ公式インスタグラムより)
大相撲裏話

丁寧に教える琴ノ若と端的に問題点を指摘する大関正代 千差万別の関取衆の指導に好感

四股の踏み方をこまめにアドバイスする琴ノ若(撮影・平山連)

丁寧に教える平幕の琴ノ若(24=佐渡ケ嶽)と、ここぞという場面で端的に問題点を指摘する大関正代(31=時津風)。稽古場での若い衆への指導は対照的に映ったが、間近でその様子を見た記者はどちらの対応にも好感を持った。

前者は、九州場所(13日初日、福岡国際センター)前の取材で訪れた千葉・佐渡ケ嶽部屋で目撃した。腕立て伏せのノルマをこなそうと必死の若い力士の横で回数を数える琴勝峰(23)、筋力トレーニングの手本を見せた上で実際にやってみるように促す琴恵光(30)、胸を出して相撲を取りながら、気づいたことをアドバイスする琴ノ若。師匠と一緒に3人の関取が幕下以下の力士たちに率先して教える姿には、きめ細かさと気配りが感じ取れた。

琴ノ若は「下で上がってきている子たちが上に上がれば、他の下の子たちの刺激になる。指導している中でも自分が気づくこともあるので、一緒に伸びていけたら」と積極的な指導の意図を明かした。自身も若い頃には琴奨菊(現・秀ノ山親方)や琴勇輝(現・北陣親方)、部屋付き親方衆やかつて同部屋の若者頭を務めた琴千歳さんから目をかけられた。付きっきりで指導してもらった恩が今の行動につながってる。「自分もいろいろな人たちに面倒を見てもらって、そうやって上がってこれた。そういう感謝の気持ちを忘れず、今度は自分の経験を下の子にもつないでいきたい」と述べた。

かたや大関正代。九州場所に向けた取材で時津風部屋の稽古場に行った際、その日は錦木(32)、北勝富士(30)が出稽古に来ていた。関取衆が申し合いをしていた際、気の抜けた振る舞いを見せた若い衆2人に「しゃべるのなら、出て行っていいよ」と退場するよう促した。

落ち着いた口ぶりで端的に問題点を指摘されると、怒鳴られるよりもずっと怖い。まして普段は温厚な正代となれば、その効果は絶大。自分の経験と重ね合わせると、めったに怒らない先生から叱責(しっせき)された時の方がへこむ。偶然出くわした一連の出来事にはそんな記憶が呼び起こされた。「他の子たちにも影響する」からと理由を説明した正代は、稽古終了後に叱った若い衆に自ら話しかけていた。懐の深さも垣間見た。

相撲担当となって、はや半年。現在43部屋ある部屋のうちわずかしか訪れたことはないが、部屋によって雰囲気が違って面白い。稽古に打ち込む力士たちの1つ1つの動きを見逃すまいとペンを走らせたり、目に焼き付けたり。まだ担当となって日が浅い記者にとっても、関取たちの言葉や行動には目からうろこが落ちることが数々ある。【平山連】

ぶつかり稽古で胸を出す大関正代(撮影・平山連)
WWEの世界

王者アスカ組VS挑戦者イヨ・スカイ組、日本人同士の中東決戦などクラウン・ジュエル見どころ

WWE女子タッグ王者アスカ(左端)、アレクサ・ブリス(同2番目)とイヨ・スカイ(同3番目)、ダコタ・カイ組が中東で激突(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserve

<第45回WWEの世界>

アスカ、イヨ・スカイ(紫雷イオ)の日本女子勢が初めて中東興行に参戦する。日本時間6日のクラウン・ジュエル大会がサウジアラビア・リヤドで開催される。WWE女子タッグ王者アスカ、アレクサ・ブリス組が前王者スカイ、ダコタ・カイ組の挑戦を受ける。3年前に初めて同興行で女子マッチが組まれたが、女性の行動制限が厳しいサウジアラビアで、ついに日本人対決が組まれた。今年のクラウン・ジュエル大会の見どころを紹介する。

◇  ◇  ◇  ◇

WWEが初めてサウジアラビア開催のクラウン・ジュエル大会で女子マッチを組んだのは19年10月。ナタリヤ-レイシー・エバンス戦が最初だった。以後、組まれた女子マッチは3試合しかない。アスカ組-スカイ組のWWE女子タッグ王座戦は4試合目となる。

10月31日のロウ大会で王者スカイ、カイ組から王座を奪ったばかりのアスカ、ダイレクトリマッチで王座奪回を狙うスカイはサウジアラビアでの前日会見に出席。20年4月以来、約2年6カ月ぶりのWWE女子タッグ王座返り咲きとなったアスカは「(スカイ所属ユニット)ダメージCTRL(コントロール)は私とアスカにかなわない」と挑発すれば、スカイも「私の王座を取り戻す。私たちの王座だぞ」とにらみ合いを展開した。

サウジアラビアはイスラム教徒が主流で、女性の行動制限が厳しいことで有名。宗教的に全身を包むアバヤと呼ばれる黒い布で肌の露出を極力抑え、隠さなければならない。これまで出場した女子選手は上半身にTシャツを着用し、通常のコスチュームではなく、肌の露出を抑えた姿でファイトした。アスカ、スカイもいつもと違うスタイルで出場するとみられており、1つの注目点となる。

メインでは、WWEヘビー、ユニバーサル王者ローマン・レインズが人気ユーチューバー兼格闘家ローガン・ポールの挑戦を受ける。ポールのセコンドには同じく人気ユーチューバー兼プロボクサーの弟ジェイクが入る。サウジアラビアではポール兄弟の人気が絶大で、今回、統一王座の挑戦者に抜てきされた経緯もある。4日の記者会見にポールはラクダに乗って登場し「(レインズを)めちゃくちゃにしてやる」と挑発し、現地ファンを喜ばせた。

また身長221センチの「巨人」オモス-身長211センチの「巨獣」ブラウン・ストローマンの“ビッグ対決”も話題を呼んでいる。前日会見では両者が計量に臨み、オモスは416・66ポンド(約188・99キロ)、ストローマンは335ポンド(151・95キロ)だった。両者合わせて約340キロの肉弾戦。元WWEユニバーサル王者となるストローマンは「俺がモンスターの中のモンスター」と豪語した。

アスカ-イヨ・スカイ戦をはじめ、人気ユーチューバー、ローガン・ポールの王座初挑戦、オモス-ストローマンの巨人対決など話題豊富なクラウン・ジュエル大会。他にも「野獣」ブロック・レスナー-「筋肉魔人」ボビー・ラシュリーのシングル戦、新日本プロレスの王座戦をキャンセルしたNEVER無差別級王者カール・アンダーソンの6人タッグ戦など日本でおなじみのレスラーたちも参戦予定。WWEが繰り広げる中東興行も見逃せない。【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/連載「WWEの世界」)

<クラウン・ジュエル大会主要カード>

<1>WWEヘビー、ユニバーサル統一王座戦=王者ローマン・レインズ-挑戦者ローガン・ポール

<2>スチールケージ形式シングル戦=ドリュー・マッキンタイア-カリオン・クロス

<3>ロウ、スマックダウン統一タッグ王座戦=王者ウーソズ(ジェイ、ジミーのウーソ兄弟)-リッチ・ホランド、ブッチ組

<4>ラストウーマン・スタンディング形式ロウ女子王座戦=王者ビアンカ・ブレア-挑戦者ベイリー

<5>シングル戦=ブラウン・ストローマン-オモス

<6>6人タッグ戦=AJスタイルズ、カール・アンダーソン、ルーク・ギャローズ組-フィン・ベイラー、ダミアン・プリースト、ドミニク・ミステリオ組

<7>シングル戦=ブロック・レスナー-ボビー・ラシュリー

<8>WWE女子タッグ王座戦=王者アスカ、アレクサ・ブリス組-イヨ・スカイ、ダコタ・カイ組

◆配信 クラウン・ジュエル大会は6日午前1時よりWWEネットワークで配信

アレクサ・ブリス(左)とWWE女子タッグ王座ベルトを掲げて喜ぶアスカ(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserve
アスカ(右)にミサイルキックを放つイヨ・スカイ(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserve
ロウ女子王者ビアンカ・ブレア(中央)に祝福されるWWE女子タッグ王者アスカ(左端)とアレクサ・ブリス組(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserve
原功「BOX!」

ビボル対ラミレス、全勝の技巧派同士の好カード アルバレス下したビボル有利も番狂わせ十分

WBA世界ライトヘビー級スーパー王者、ドミトリー・ビボル(31=キルギス/ロシア)の12度目の防衛戦が5日(日本時間6日)、同級1位のヒルベルト・ラミレス(31=メキシコ)を相手にUAEアラブ首長国連邦の首都アブダビで行われる。20戦全勝(11KO)のビボル、44戦全勝(30KO)の元WBO世界スーパーミドル級王者のラミレス、高度な技術戦が展開されそうだ。

もともと左ジャブと右ストレートを軸にした堅実なボクシングに定評のあったビボルは2016年5月の戴冠後、4連続KO防衛を果たして早々とスター選手の仲間入りを果たすかと思われた。

ところが一転して2018年8月以降は慎重な戦いぶりが目立ち、5度目の防衛戦以降は12回判定勝ちが続いている。元世界王者のジャン・パスカル(ハイチ/カナダ)、のちに世界王者になるジョー・スミス(アメリカ)らが相手であることを考えれば十分な実績なのだが、アピールが不十分だったことは事実だ。

そんなビボルが11度目の防衛戦の相手として迎えたのが世界的なスター選手、4階級制覇王者のサウル・カネロ・アルバレス(メキシコ)だった。戦前のオッズは4対1で不利だったが、ビボルは体格の利を生かしつつ正確な左ジャブで主導権を握り、終盤には伸びのある右ストレートを打ち込んでアルバレスを追い込む場面もつくった。採点は接近していたが内容的にはビボルの完勝といえるものだった。結果として7連続判定防衛となったものの、それ以前とは価値の異なる勝利だった。ボクサーの総合的な評価ともいえる「パウンド・フォー・パウンド」では、アメリカの老舗専門誌リング・マガジンで7位にランクされている。

一方のラミレスは2016年4月にWBO世界スーパーミドル級王座を獲得した。このときの戦績は34戦全勝(24KO)だったが、戴冠後は5度の防衛のうち4度が判定勝ちに留まった。ビボル同様、自然と周囲の期待と評価は停滞した。

その一因が減量苦にあったのか、3年前に約3キロ重いライトヘビー級に転向してからは一転して5連続KO勝ちと好調だ。189センチの長身と191センチのリーチを生かしたサウスポーのボクサーファイター型で、好機には左ストレート、右フック、アッパーを思い切りよく上下に打ち分ける。

全勝の技巧派同士の好カードだが、試合が発表されてからオッズは6対1で王者有利が続いている。やはりアルバレスに完勝した実績が高く評価されているようだ。ただ、ビボルはサウスポーとの対戦が5年5カ月ぶりとなるだけに、ラミレスのスタイルに戸惑うことも考えられる。番狂わせの可能性も十分にあるカードだ。

この日はダブルメインとしてシャフカッツ・ラヒモフ(28=タジキスタン)対ゼルファ・バレット(29=英国)のIBF世界スーパーフェザー級王座決定戦も組まれている。6月に尾川堅一(帝拳)を2回KOで破って王座を獲得したジョー・コーディナ(英国)が負傷によって指名試合ができずベルトを剥奪されたことを受け、その後継王者を決める試合だ。17戦16勝(13KO)1分のラヒモフ、29戦28勝(16KO)1敗のバレット。好戦的なサウスポーと左ジャブの名手という興味深い組み合わせといえる。元王者の尾川も再起を宣言しているだけに、こちらにも注目したい。