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WWEの世界

デビュー20周年「神秘の王」レイ・ミステリオJr. 50歳現役の目標へ息子と亡き親友が力に

WWEデビュー20周年を迎えた「神秘の王」レイ・ミステリオJr.(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.

<第34回WWEの世界>

「神秘の王」レイ・ミステリオJr.(47)が02年7月25日の初登場以来、WWEデビュー20周年を迎えた。身長168センチ、体重78キロの軽量級ながら08年以降はヘビー級にも参戦し、WWE王座も獲得。現在は息子ドミニク・ミステリオ(25)とタッグ戦線で活動中。次の目標は「50歳まで現役」を掲げるマスクマンはまだまだ健在だ。

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ロープを使った得意技の変形ブーメランキック「619」を武器にキャリア30年以上を誇る。47歳となった今も、ミステリオJr.はWWEトップレスラーとして躍動している。30日(日本時間31日)の真夏の祭典サマースラム大会(米ナッシュビル)ではドミニクと組み、フィン・ベイラー、ダミアン・プリースト組とのノーDQ形式(反則裁定なし)タッグ戦に臨む。人気選手としてのキャリアを歩みつづけているが、軽量級レスラーとしての体格差の影響で数多くの負傷も重ねてきた。

04年以降はヘビー級レスラーとも積極的に戦い、WWEヘビー級王座1度、WWE世界ヘビー級王座2度の計3度の最高位シングル王座を獲得してきた。インターコンチネンタル王座、USヘビー級王座、WWEタッグ王座も獲得し、WWEグランドスラムも達成してきたが、その「代償」も大きかった。

英BTスポーツのインタビューでは左ひざ前十字靱帯(じんたい)損傷で何度も手術を受けてきたことを明かした。「右(ひざ)は無傷だが、左(ひざ)は12回以上の手術を受けた。さらに上腕二頭筋を断裂し2度手術も受けている。この体のサイズで大柄な男たちに殴られているのだから」と告白している。

体重100キロを超えるレスラーたちと対等に戦うことへの肉体的負担は大きいに違いない。それでも「私のキャリアの中で最大の問題だったのはひざだけ」とも。「神は私を世話し、守ってくれた。背中や首は大丈夫なんだ」とWWEデビュー20周年を迎えられたことに安堵(あんど)した。現在も「引退の計画を立てたことは1度もない。ただ続けることが大切。50代が近づいてきた今、息子がプロレスをしている姿を見て、あと3年はやりたいと自分に言い聞かせる」と次なる目標として50歳現役を掲げた。

同じメキシコ系米国人としてWWEの人気スター選手だった親友の故エディ・ゲレロさんが05年11月、動脈硬化性疾患のために38歳で死去している。7月25日、米ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンで開催されたロウ大会でセッティングされたWWEデビュー20周年を祝うスピーチの際、ミステリオJr.は「エディ、あなたがいなければ、私はここにいなかっただろう。毎日、エディが恋しい。あなたがいつも見守ってくれていることは分かっている。ありがとう、エディ」と言葉を詰まらせた。

WWEでは当時7歳だったドミニクの親権を巡ってゲレロさんと抗争を繰り広げ、ラダーマッチで戦ったこともある。そのドミニクと組み、21年5月にはスマックダウン・タッグ王座を獲得し、WWE史上初の親子タッグ王者となった。亡き親友の分までミステリオJr.は現役を続けるに違いない。「50歳は超えたくない。でも気分が良かったら『もう1年いけるかな』とか、どうするか考えることになるだろう。今のところ、私の引退は常に50歳は超えないようになっているが」。何年たっても、神秘の王は輝き続ける。【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/連載「WWEの世界」)

◆レイ・ミステリオJr. 本名オスカー・グティエレス・ルビオ。1974年12月11日、米カリフォルニア州チュラビスタ出身。メキシコ系米国人。叔父のレイ・ミステリオ・シニアからマスクとリングネームを引き継ぐ。89年4月にプロレスデビューし、AAA、WCWなどを経て、02年にWWEと契約。03年にWWEクルーザー級王座を獲得。04年にはロブ・ヴァンダムと組み、ケンゾー・スズキ、レネ・デュプリ組を下しWWEタッグ王座獲得。06年に男子ロイヤル・ランブル戦優勝し、WWE世界ヘビー級王座も獲得。09年にインターコンチネンタル王座初奪取。15年にWWE退団後、メキシコAAA復帰。18年には新日本プロレスにも参戦。同年10月にWWE復帰し、19年にはUSヘビー級王座を初奪取し、WWEグランドスラムを達成した。得意技は619。168センチ、78キロ。

息子ドミニク・ミステリオ(右)と組み、サマースラム大会でノーDQ形式タッグ戦に臨むレイ・ミステリオJr.(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.
マスク、コスチュームも多彩な「神秘の王」レイ・ミステリオJr.(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.

ロングヘア、規格外の両腕の太さ…ロウ女子王者ビアンカ・ブレアとは

ロウ女子王座ベルトを掲げる王者ビアンカ・ブレア(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved

<第33回WWEの世界>

長く束ねたロングヘア、規格外ともいえる両腕の太さ。WWEのビアンカ・ブレア(33)は昨年4月にスマックダウン女子王座を獲得し、今年4月にロウ女子王座を奪取。女子最高位となる両シングル王座を手にし「EST(最上級)」の愛称通りの活躍をみせている。

陸上競技と重量挙げで鍛えたパワフルな技を駆使し、WWE女子のトップ戦線の先頭を突っ走るブレアの近況に迫る。

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自ら「EST」を名乗るロウ女子王者ブレアは全身のシルエットだけでもインパクトがある。長いロングヘアを束ね、両腕の太さを筆頭に筋肉質な肉体の持ち主。まるで格闘ゲームのキャラクターのような存在感がある。注目されたのは21年1月の女子ロイヤルランブル戦(30人出場の時差式バトルロイヤル)だった。最後の1人に残って初優勝。最高位王座挑戦権を得たとともに、ザ・ロック(ハリウッド俳優ドゥエイン・ジョンソン)に次ぎ、2番目となるロイヤルランブル戦を制覇したアフリカ系アメリカ人レスラーとなった。

必殺技KOD(キス・オブ・デス)はパワフルそのもの。アルゼンチン式背骨折りのように相手を担ぎ、顔面からたたきつける開脚式フェイスバスターとなる。レスラーを軽々と持ち上げるパワーは陸上競技の障害走選手として活躍した下半身のバネ、そしてWWE入り直前、負傷するまで続けていた重量挙げで鍛えた両腕の力がバックボーンにある。ベンチプレスの記録もWWE女子トップ。17年のメイ・ヤング・クラシックでは2回戦でカイリ・セイン(現KAIRI)に敗れたものの、着実にプロレスへの順応性をみせ、WWE女子トップまで駆け上がってきた。

昨年4月のレッスルマニア37大会ではスマックダウン女子王者サーシャ・バンクス、今年4月の同38大会ではロウ女子王者ベッキー・リンチと年間最大の祭典で2度も王座奪取する爆破力を持っている。ブレアの次のターゲットとしてリング復帰間近といわれる女子最高位王座12度戴冠を誇るシャーロット・フレアーを指名。過去3度対決しているが、1度も勝利できていない。「女王様」に向けて「誰が(王座に)必要なものを持っているのか、誰が本当にもっともタフなのか実際に示したい」とやる気満々だ。

またフレアーとの対戦する舞台も「サウジアラビアより良い場所はありますか」と今年11月5日、リヤドで開催される予定のWWEクラウン・ジュエル大会での中東決戦を指定するなど女子王者としての貫禄がついてきた。デビュー当初から自ら「EST」を自称し、約7年間の時を経てWWE女子で最上級の存在になろうとしている。【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/連載「WWEの世界」)

◆ビアンカ・ブレア 1989年4月9日、米テネシー州ノックスビル生まれのアフリカ系米国人。テネシー大時代は陸上競技の障害走に没頭。その後、重量挙げ選手としても活躍したが、肋骨(ろっこつ)軟骨炎などの負傷が原因で引退。元重量挙げ選手で五輪出場の経験もあるWWEレジェンド、マーク・ヘンリーに誘われ、WWEのトライアウトに参加。16年に契約し、WWE傘下のNXTで活動。20年4月からスマックダウン昇格。21年1月に女子ロイヤルランブルを制覇。同4月のレッスルマニア37大会でスマックダウン女子王座獲得。今年4月のレッスルマニア38大会でロウ女子王座を獲得。18年にWWEのタッグ戦線で活動するモンテス・フォードと結婚。フォードの前妻との間に誕生した子供2人と家族4人で生活。170センチ、75キロ。

長く束ねたヘアと両腕の太さがトレードマークのロウ女子王者ビアンカ・ブレア(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved
EST(最上級)が愛称のロウ女子王者ビアンカ・ブレア(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved

フォロワー92万人を誇る女子格闘家ルレダがWWEと契約「本当に興奮。世界を楽しませる好機」

WWEと契約した人気総合格闘家ヴァレリー・ルレダ(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.

<第32回WWEの世界>

WWEがインスタグラムで92万人のフォロワーを持つ人気女子格闘家ヴァレリー・ルレダ(23=米国)と選手契約を結んだ。キューバ系米国人で米総合格闘技ベラトールを主戦場にしていたが、4月と5月にWWEパフォーマンスセンターでのトライアウトに参加。6月30日(日本時間7月1日)に正式に契約を結んだことが発表された。WWEでは登録者2350万人を誇る人気ユーチューバーでプロボクサーのローガン・ポールとも契約を結ぶなどSNSの人気者たちを次々とリングに迎えている。

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総合格闘技で4勝1敗の成績を残したルレダがWWEに新加入した。SNSのインフルエンサーであり、女優であり、モデルでもある人気ファイター。「(契約は)とてもうれしい。何よりも(WWEパフォーマンスセンターにある)オーランドにもうすぐ引っ越して本当の旅をスタートできます。それを発表できることに興奮しています」。24歳となる7月19日にパフォーマンスセンターへ入門し、本格的なトレーニングを開始する予定だ。

もともとプロレスにあこがれを抱き、WWEのシャーロット・フレアー、元UFC女子バンタム級王者でもあるロンダ・ラウジーの大きなファンだった。今年4月に開催されたWWE年間最大の祭典レッスルマニア38大会を招待された際、イベント全体のムードに感激し、WWE入りに気持ちが傾いたそうだ。「本当に興奮している。私のカルチャーを紹介し、世界を楽しませる好機です。WWEと契約した最初のキューバ系米国人になりました。それは私の運命で、今が私の時間なのです」。

19年2月の総合格闘技デビューから5試合でインスタグラムで92万人のフォロワーを獲得したのはルレダの自己プロデュース力のたまもの。ケージ(金網)での勝利後のダンスは炎上気味に目立つ。その美貌とスタイル、筋肉美を強調する水着ショットなどで、ファンを次々と増やしてきた。この人気格闘家を簡単に手放したくないベラトールのスコット・コーカー代表も「ルレダは引き続き、現役格闘家でベラトールと契約している。近い将来、彼女をケージに戻すことを楽しみにしている」と強調するほどだ。

10代後半テコンドー米国代表としてオリンピック出場を目指しながらも、母ミラグロスさんが急性骨髄性白血病となったために断念。「母が病気になった時、私たちの人生すべてが一時停止した」。母の看病、ナタリー、フランチェスカの妹2人の生活を支える役目を担った苦労人でもある。17年に母が骨髄移植によって完治したことを受け、総合格闘技への挑戦が可能となっていた。

WWEとは複数年契約を結んだ。年内にはWWE傘下のNXTでデビューし、1年以内にロウ、スマックダウンに昇格することが目標だという。「私には大きな目標がある。WWEで何ができるかは分かっている」。ルレダによるプロレスラーとしての挑戦が始まる。【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/連載「WWEの世界」)

◆ヴァレリー・ルレダ 1998年7月19日、米フロリダ州マイアミ生まれ。フロリダ国際大卒。テコンドー道場を運営していた父フランクさん、テコンドー黒帯の母ミラグロスさんの影響でテコンドーの道へ。並行してダンスも習う。20年8月に米総合格闘技ベラトールと契約を結び、女子フライ級で活躍。愛称はマスター(ミスMMA)。家族は両親と妹2人の5人家族。168センチ、56・7キロ。

総合格闘技ベラトール参戦時のヴァレリー・ルレダ(ルレダのインスタグラムより)

人妻となった「小悪魔」ブリスと大人の香り漂わせてきた「カワイイ系」モーガンが合体で新コンビ

新タッグをスタートさせた「小悪魔」アレクサ・ブリス(左端)と「かわいい系」リブ・モーガン(右端)(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.

<第31回WWEの世界>

WWEに新たな女子タッグチームがスタートした。人妻となった「小悪魔」アレクサ・ブリス(30)、大人の薫りを漂わせてきた「かわいい系」リブ・モーガン(28)が緊急合体。早速、タッグ初戦で快勝するなど好発進した。米専門メディアによると、ブリス、モーガン組として女子タッグ戦線に殴り込みをかけることになるという。WWEファンからも歓迎された新コンビが注目されている。

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6月13日のロウ大会(米カンザス州ウィチタ)でブリス、モーガン組が本格的に始動した。ドゥドロップ、ニッキー・A・S・H組と対戦して勝利。この白星で2人は7月2日に米ラスベガスで開催されるプレミアム・ライブ・イベント(旧PPV)のマネー・イン・ザ・バンク(MITB)大会で組まれたMITB女子ラダー戦出場権も獲得していた。

6選手が出場(予定)し、ラダーによじ登り、リングの天井につるされた王座挑戦権利証入りブリーフケースをゲットするMITBラダー戦。新タッグで出場権を手にしたブリス、モーガン組はWWE製作の番組「ロウ・トーク」にそろって出演し、友好的なジョークを交えながらライバル心をのぞかせた。モーガンは「私はブリスとチームを組むのが楽しいが、ブリーフケースをつかむつもりなので、あなたの友人にはなれないわ」と言えば、ブリスも「それ(ブリーフケース)は私のもの。私へのプレゼントだから、ごめん」と笑顔をみせながらお互いに健闘を誓い合っていた。

WWEファンの間でもブリス、モーガン組の可能性について話題になっており、早くもSNS上でタッグチーム名も議論されているほどだ。WWE女子タッグ王者だったサーシャ・バンクス、ナオミ組の無期限活動停止処分の影響で女子タッグ王座は空位の状態。女子タッグ王座トーナメント開催も計画され、正式決定すれば新タッグがエントリーされることは間違いないだろう。

30歳になった「小悪魔」ブリスは今年4月、婚約者の歌手ライアン・カブレラと結婚式を挙げた。古傷の鼻骨6カ所を手術を受け、コンディションを整えている。ロウ女子王座3度、スマックダウン女子王座2度、WWE女子タッグ王座2度獲得。18年MITB女子ラダー戦覇者でもある。タイトル獲得の経験がないモーガンにとってはブリスの存在こそが大きな刺激、プラス材料になるだろう。

WWEで人気の高い「小悪魔」と人気上昇中「かわいい系」の融合が、どのような化学反応を起こすのか。まずは来月の注目イベントで控えるMITB女子ラダー戦に出場するブリス、モーガンの動向から目が離せない。【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/連載「WWEの世界」)

ザ・ロックの長女シモン・ジョンソンがデビュー間近

WWEパフォーマンスセンターでトレーニングを積むザ・ロックの長女シモン・ジョンソン(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.

<第30回WWEの世界>

WWEで活躍した人気スター、ザ・ロック(ハリウッド俳優ドゥエイン・ジョンソン=50)の長女シモン・ジョンソン(20)のWWEデビューが間近となっている。5月末に新リングネーム「アヴァ・レイン」になったとSNSで報告したばかり。20年2月にWWEパフォーマンスセンター(道場)に入門し、同5月に契約を結んだシモンはレスラーとしてのトレーニングを開始していた。

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「ロック様」の長女が、ついにWWEマットに登場する日が近づいてきたようだ。シモンは5月末に自らの公式ツイッターでアカウント名をアヴァ・レインに変更。同名が新リングネームになったことを報告した。米メディアはWWE傘下のNXTからデビューすると伝えている。

WWEパフォーマンスセンター入門前からヒザの故障を抱え、計3度の手術も受けていた。長いリハビリ期間を乗り越え、現在は順調に回復。道場ではスクワット回数でも高い能力を示しているという。WWE人気スターのDNAを受け継いでいると道場内の評価も高い。NXTマットでデビューが実現すればシモンは父ドウェイン、祖父ロッキー、曽祖父ハイ・チーフ(ピーター・メイビア)に続くWWE初の4代目プロレスラーになる。

シモンは父ロック(ドウェイン)と母ダニー・ガルシアの間に誕生した。両親は08年に離婚し、一人っ子。高校時代はモデルとして活躍し、17年にはゴーデングローブ賞のアンバサダーも務めた。当初はニューヨーク大学進学が内定していたものの、レスラー一族としての血が騒いだのだろう。高校卒業と同時に急きょプロレスの道を選択した。 WWEパフォーマンスセンターで練習開始した際には団体を通じ「私の家族がレスリングととても個人的なつながりがあるということは、私にとって本当に特別なこと。プロレスをすることに加え、そのレガシーを継承するという機会を与えられたことを感謝します」と決意を新たにしていた。

ロックは自身のインスタグラムに「私の長女シモンはWWE初の4代目レスラーになるための道を進んでいる。誇らしい一家の名を継承するが、シモンの道は常に自身が創造し、稼ぎ、つかんでいく、あなた自身のものだ。とても誇りに思う。夢に生きてください」などと祝福メッセージを送った。

米メディアによると、道場内でシモンはベッキー・リンチ、リア・リプリーからWWE最高位女子王座獲得経験者からもアドバイスを受けていると伝えられている。そんな“英才教育”も吸収している「ロック様」の長女という逸材が、マットで躍動する瞬間が待ち遠しい。【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/連載「WWEの世界」)

レインズ率いるユニット「ブラッドライン」がWWE席巻、いとこの双子ウーソズが存在感

スマックダウン・タッグ王者ジェイ(左)、ジミーのウーソ兄弟(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.

<第29回WWEの世界>

今、WWEを席巻しているのは、WWEヘビー級、ユニバーサル統一王者ローマン・レインズ(36)が率いるユニット「ブラッドライン(血統)」だ。特にレインズを支える、いとこの兄ジェイ、弟ジミー(ともに36)の双子ウーソズはスマックダウン(SD)タッグ王者として300日のベルト保持期間に到達。ロウ、スマックダウンを超越し、両ブランドでレインズとともに存在感を示している。

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父はWWEで活躍し、15年にWWE殿堂入りしたリキシ。10年からWWEデビューしたジェイ、ジミーのウーソ兄弟が今、いとこのレインズとともに2大ブランド両方で躍動している。4月のレッスルマニア38大会でレインズがブロック・レスナーを下し、WWE最高位王座ベルト2本を統一した後、今度はSDタッグ王者ウーソズがロウ・タッグ王座とのベルト統一を狙っている。

今やロウ・タッグ王者ランディ・オートン、リドル組との抗争は元WWEヘビー級王者ドリュー・マッキンタイアも巻き込み、WWEの話題の中心となっている。昨年7月、レイ・ミステリオJr.、ドミニク・ミステリオ組からSDタッグ王座を獲得したウーソズの同保持期間は今月16日、16年の同王座設立以降、歴代トップとなる300日に到達。WWEのタッグチームとしての記録も残している。

21年7月にレインズとともに結成されたブラッドラインというユニット名もウーソズはお気に入りの様子だ。2人の血縁にはウマガ、ヨコヅナ、ザ・ロック(ドゥエイン・ジョンソン)がいるプロレス一家。サモアのレスラーで有名なアノアイファミリーのメンバーとなる。ジェイは「全員が集まった時、もうユニット名はブラッドラインしかないと分かっていた。誰が何と言おうとブラッドライン以外の名前が思いつかないさ」と振り返っている。

ユニット拡大も想定されている。ウーソズの弟ソロ・シコア(29)は昨年10月からWWEのNXTでデビューし、活動している。ジェイは「いとこたちが毎週テレビで自分たちを見ている。準備もできている。彼らが(アノアイファミリーの)名前をつなげていきたいと思っている」と明かせば、ジミーは「彼は次の列にいる。ブラッドラインが拡大できるのが待ち切れない」と強調した。

さらにジミーは自らの妻でWWEに所属するナオミのユニット入りにも言及し「彼女も新しいことを試す準備ができている。順応性もある」と可能性を示唆した。同ユニットの「スポークスマン」として働くポール・ヘイマンも「1年以上、ブラッドラインが続き、22年に入った。他の選手が加入することはきっとあるだろう。私たちが一緒にテレビに出ていないからと言ってブラッドラインの視界に入っていないという意味ではない」と付け加えた。

WWEに根づくアノアイファミリーの歴史を受け継ぐウーソズがマットで躍動するのは必然なのだろう。まだまだ拡大する可能性があるブラッドライン。レインズ一派を支える双子タッグチームが、今のWWEをけん引していると言っていい。【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/連載「WWEの世界」)

◆ジェイ、ジミーのウーソ兄弟 1985年8月22日、米サンフランシスコ生まれの双子。本名は兄ジェイがジョシュア・サミュエル・ファトゥ。弟ジミーはジョナサン・ソロファ・ファトゥ。米ペンサコーラのエスカンビア高ではサッカー、ウエストアラバマ大ではアメフトで活動。プロレスを開始する前は引っ越し店で働いていた。父リキシによってプロレスの訓練を受け、09年にWWEの下部組織だったFCWでデビュー。10年5月にWWEデビューし、フェイスペイントに入場時にはシバタウ(サモア流ハカ)を導入して注目を集めた。14年にWWEタッグ王座を獲得した。スマックダウン・タッグ王座は現在、5度目の戴冠中。サイズはジェイが188センチ、110キロ。ジミーが191センチ、114キロ。

スマックダウン・タッグ王者ながらロウ大会にも姿をみせて活躍するジェイ(右)、ジミーのウーソ兄弟(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.

WWEデビュー20周年「毒蛇」ランディ・オートン、活躍を続けられた秘訣は自らの“限界”理解

現在、ロウ・タッグ王座を保持している「毒蛇」ランディ・オートン(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.

<第28回WWEの世界>

人気トップスターとなる「毒蛇」ランディ・オートン(42)が22年4月、WWEデビュー20周年を迎えた。4月25日のロウ大会では20周年を祝う記念式典も開催されるなど、WWEの第一線で活躍してきた功績を認められた。世界各国から実力者が集まるWWEで、一貫して活躍を続けるオートン。区切りイヤーを迎え、円熟味は増している。

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02年4月5日にWWEデビューしたオートンには、20年間活躍を続けられる秘訣(ひけつ)がある。元NFL戦士で現在はスマックダウンの解説者を務めるパット・マカフィーのインタビューでこう言った。

「キャリアの早い段階で、まるでブームのように何度かケガに見舞われ、理解しなければならないことがあった。長い間活躍するには、自分がどうやって戦っていくかを理解しなければならない」。

WWEデビュー直後の02~03年に肩などを負傷。度重なる長期の試合欠場を余儀なくされた。ここで、自らの「限界」を理解し、コンディションを整えながらファンに興味を持ってもらう存在になることを心掛けたという。当時は試合欠場中も大会には継続して登場し、他選手に絡みながら自らを売り出していた。

「自分の体で、何がどこまでできるかを知ること。わざわざ首を折る必要はない。毎晩、死と隣り合わせで戦うと、この業界で何十年も生き残ることはできない」。

デビュー後まもなくトリプルHがリック・フレアー、バティスタとのユニット「エボリューション」に加入した。トリプルHの後継者として迎えられたことが、人気スターへとかけあがるステップとなった。その良き先輩、理解者となるトリプルHから「WWEの頂点に立つのはごくわずか。20年間もできることではない。それをオートンがやってきたことを見守ることができて光栄だ」などとSNSを通じ、祝福された。するとオートンは「最初は少し辛抱してくれていたことは知っていました。あきらめないでくれてありがとう」とSNSで応じ、素直に感謝を伝えていた。

現在は元UFC戦士のリドルとロウ・タッグ王者として活躍中。現在42歳だが、10年以上は現役を続けるつもりでいる。「自分がリングでしていることが大好きで愛している。もっと長くやりたい。あと10~12年かな。サマースラム、レッスルマニアで大きな試合をするのが好きだよ」。

8日(日本時間9日)に控えるプレミアム・ライブイベント、レッスルマニア・バックラッシュ大会(米ロードアイランド州プロビデンス・ダンキンドーナッツ・センター)でも注目の試合が組まれた。タッグパートナーのリドル、元WWEヘビー級王者ドリュー・マッキンタイアと組み、WWEヘビー、ユニバーサル統一王者ローマン・レインズ、スマックダウン・タッグ王者ウーソズ(ジェイ、ジミーのウーソ兄弟)組との6人タッグ戦に出場。競争の激しいWWEでオートンはリングへの情熱を燃やし続ける。【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/連載「WWEの世界」)

◆ランディ・オートン 1980年4月1日、米テネシー州ノックスビル出身。祖父がボブ・オートン・シニア、父がボブ・オートン・ジュニアとプロレスラー一家。00年にプロデビューし、01年にWWF(現WWE)と契約。02年4月5日のスマックダウン大会でWWE初出場。04年8月、クリス・ベノワを下し、当時のWWE史上最年少24歳で世界ヘビー級王座を獲得し、当時は「レジェンド・キラー」の愛称だった。WWEヘビー級王座10回、世界へビー級王座4回、USヘビー級王座、インターコンチネンタル王座は各1回とシングル戦線で大活躍。現在の愛称はバイパー(毒蛇)。196センチ、114キロ。

エレベイテッドDDTも「毒蛇」ランディ・オートンの必殺技(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.
必殺技RKOも健在の「毒蛇」ランディ・オートン(右)(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.

6年ぶりWWE復帰のコーディ・ローデス「父のようになる」ユニバーサル王座獲得へ強い決意

WWEの中心メンバーとして早くも存在感を見せつけているコーディ・ローデス(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.

新日本プロレスのユニット「バレットクラブ」の元メンバーで、今年2月に米団体AEW(オール・エリート・レスリング)を退団したコーディ・ローデス(36)が今月のレッスルマニア38大会で約6年ぶりのWWE復帰を果たした。16年5月のWWE退団後、ROH、新日本プロレス、そして副社長も務めたAEWを経てカムバック。第27回「WWEの世界」では、既に中心選手となったローデスの言動を追う。

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WWEの舞台に戻ってきたローデスは、レジェンドの父ダスティの名を挙げ「私の父にようになるため」とカムバックの理由を明かした。米メディアに対し「もう家族の『醜いアヒルの子』にはならない。このローデスの名を付ける責任を感じている。私が世界で最高のレスラー。それを証明する機会が今、存在し、私は興奮している」とも口にした。その言葉には、強い決意がにじんでいる。

レッスルマニア38大会ではトップスターのセス“フリーキン”ロリンズの当日発表の相手として登場し、7万人を超える観衆の前で勝利。存在感をみせつけると、翌週のロウ大会ではロリンズと向き合い、早くも5月8日(日本時間9日)のプレミアム・ライブイベント(旧PPV)のレッスルマニア・バックラッシュ大会(米ロードアイランド州プロビデンス・ダンキンドーナッツ・センター)でのリマッチが即決定した。

ローデスはWWE最高位王座となるWWEユニバーサル王座の獲得を目標に掲げている。「ダスティ・ローデスは父であり、俺にとってヒーローだった。王座ベルトを奪取して父に渡したかったが、彼が亡くなってその機会も失った。もう直接手渡すことはできないが(自身の愛称)『アメリカン・ナイトメア』である俺の腰に巻くことはできる。『アメリカン・ドリーム』ダスティ・ローデスのためにやるぞ」。

16年のWWE退団直前には、兄ゴールダスト(ダスティン・ローデス)のフェースペイントを模倣し、星マークを顔に描いたスターダストに変身するなど“迷走”していた面影はない。父の愛称通りの「アメリカン・ドリーム」を胸に秘め、再びWWEの舞台に戻ってきた。レッスルマニア・バックラッシュでロリンズを返り討ちし、WWEユニバーサル王座の獲得への大きなステップを踏むつもりだろう。【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/連載「WWEの世界」)

6年ぶりにWWE復帰したコーディ・ローデス(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.

中邑真輔3年ぶり3度目祭典出場で王座挑戦 レッスルマニア38大会ガイド

祭典でスマックダウン・タッグ王者ウーソズ(左端ジェイ、同2番目ジミー)に挑戦する中邑真輔(同3番目)、リック・ブーグス(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.

WWEの「キング・オブ・スタイル」中邑真輔(42)が年間最大の祭典で3年ぶり3度目のタイトル挑戦を果たす。4月2、3日に米テキサス州アーリントンのAT&Tスタジアムで開催されるレッスルマニア38大会で、仲間のリック・ブーグス(34)と組み、スマックダウン(SD)タッグ王者ウーソズ(ジェイ、ジミーのウーソ兄弟)に挑む。第26回「WWEの世界」は2日間に渡って開催される恒例のレッスルマニアの注目カードを紹介する。

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3月11日のSD大会で、中邑の3度目の祭典出場が発表された。バックステージでブーグスと一緒にインタビューを受けた中邑は「とても興奮している。俺たちが新しい王者になる」とSDタッグ王座獲得を見据えていた。19年のレッスルマニア35大会ではルセフと組み、4WAY形式SDタッグ王座に挑戦したものの、王者ウーソズの防衛を許した。今回はリベンジ舞台となる。

18年のレッスルマニア34大会で祭典初出場を果たした中邑は、当時のWWEヘビー級王者AJスタイルズに挑戦して王座奪取に失敗。祭典で組まれた過去2度のタイトル戦は、いずれも敗退している。ギターも奏でるパワフルレスラーのブーグスという新たなパートナーを得て、中邑は祭典でタイトル奪取するイメージを膨らませている。

SDタッグ王者に君臨するウーソズは、WWEユニバーサル王者ローマン・レインズのいとこで、同じユニット「ザ・ブラッド・ライン」を組んでいる。WWEでの最高位王座奪取を目標としている中邑にとっては、レインズを引きずり出すチャンスでもある。ウーソズ撃破となれば、これ以上ないアピールになる。

レインズとは昨年10月の米軍慰問のトリビュート・トゥ・ザ・トゥループス大会でシングル対決。この時はウーソズの邪魔が入って中邑がレインズのスピアーを浴びて敗れているが、完全決着はしていない。

将来的な中邑の標的でもあるレインズは、祭典でWWEヘビー級王者レスナーとの王座統一戦に臨む。昨夏にレスナーがWWEカムバックして以降、冗舌スポークスマンのポール・ヘイマンを絡めながら両者は緊張関係を続けてきた。間違いなく祭典メインカードとなる両王者のベルト総取りマッチだろう。

また、元UFC女子バンタム級王者で元ロウ女子王者のロンダ・ラウジーも祭典でSD女子王者シャーロット・フレアーに挑戦する。出産のため、19年レッスルマニア35大会以降からWWEを離脱。今年1月からリング復帰したばかりだが、王者フレアーやWWEオフィシャルのソーニャ・デビルの相次ぐ嫌がらせをはね返しながら、その力強さと存在感は高まるばかりだ。

試合として発表されていないが、03年に現役を引退したレジェンドの“ストーン・コールド”スティーブ・オースチンが、ケビン・オーエンズのコーナー「KOショー」に登場することも発表済み。トークショーの予定だが、オースチンが19年ぶりにファイトする姿勢を示しており、その動向に注目が集まっている。

中邑による祭典での王座奪取チャンスに加え、レインズVSレスナー、フレアーVSラウジーの決着戦も気になるところ。オースチンらも含め、今年のレッスルマニアも気になるカードがめじろ押しとなっている。【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/連載「WWEの世界」)

◎レッスルマニア38大会(4月2、3日・米テキサス州アーリントン)の対戦カード(日本時間3月25日現在)

◇2日(日本時間3日)

★スマックダウン・タッグ王座戦=王者ウーソズ(ジェイ・ウーソ、ジミー・ウーソ組)VS中邑真輔、リック・ブーグス組

★シングル戦=ドリュー・マッキンタイアVSハッピー・コービン

★タッグ戦=ザ・ミズ、ローガン・ポール(人気ユーチューバー)組VSミステリオズ(レイ・ミステリオJr.、ドミニク・ミステリオ組)

★ロウ女子王座戦=王者ベッキー・リンチVSビアンカ・ブレア

★スマックダウン女子王座戦=王者シャーロット・フレアーVSロンダ・ラウジー

★KOショー(トークのみ?)“ストーン・コールド”スティーブ・オースチンがケビン・オーエンズのコーナーに登場

◇3日(日本時間4日)

★WWE女子タッグ王座戦(3WAY形式)=王者カーメラ、クイーン・ゼリーナ組VSサーシャ・バンクス組VSリア・リプリー、リブ・モーガン組

★ロウ・タッグ王座戦(3WAY形式)=王者ランディ・オートン、リドル組VSモンテス・フォード、アンジェロ・ドーキンス組VSチャズ・ベッツ、オーティス組

★シングル戦=サミ・ゼインVSジョニー・ノックスビル(タレント)

★シングル戦=パット・マカフィー(WWE解説者)VSオースティン・セオリー

★シングル戦=AJスタイルズVSエッジ

★WWE王座統一戦=WWEヘビー級王者ブロックレスナーVSユニバーサル王者ローマン・レインズ

祭典で王座統一戦に臨むWWEヘビー級王者ブロック・レスナー(左)とWWEユニバーサル王者ローマン・レインズ(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.
スマックダウン女子王者シャーロット・フレアー(左)に挑むロンダ・ラウジー(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.
22年WWE殿堂入りを果たしたシャド・ガスパードさん。20年に息子を助けるために死去(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.

“闘魂注入”された中邑真輔&ブロック・レスナー 新日本50周年、猪木イズム継承の2人に注目

2005年10月 ブロック・レスナー(左)とアントニオ猪木

6日に新日本プロレスが旗揚げ50周年を迎えた。契約上の問題で区切りイベントに絡むことはできなかったものの、団体の歴史上で中邑真輔(41)、ブロック・レスナー(44)は「新日本」「アントニオ猪木」には欠かせない存在だ。第25回「WWEの世界」は、猪木も前身WWFヘビー級王座に絡んで活躍したWWEを主戦場とする中邑とレスナーの「闘魂注入」をおさらいする。

◇  ◇  ◇  ◇

WWEで猪木の代名詞を引き継ぎ、愛称は「キング・オブ・ストロングスタイル」。中邑は世界に「ストロングスタイル」という言葉を広げている。02年の新日本プロレス入門後から猪木に見いだされ、総合格闘技路線へ。現役時代、異種格闘技にも挑んだ猪木の期待を受け、米ロサンゼルス道場で修業した。同年大みそかには、猪木祭でダニエル・グレイシーと総合ルールで対戦して敗れた。

総合ルールで03年にK-1の身長211センチの巨人ヤン“ジャイアント”ノルキヤを下し、K-1のアレクセイ・イグナショフとは2戦(03年大みそか、04年5月)で1勝1無効試合。23歳9カ月の史上最年少でIWGPヘビー級王者となり「選ばれし神(=猪木)の子」と呼ばれた。現在の必殺技キンシャサ(ニー・ストライク)は新日本時代、ボマイェの技名。猪木の入場曲「イノキ・ボンバイエ」がルーツとなっている

06年1月、中邑が東京ドームで対戦したのが、猪木の「最後の刺客」レスナーだった。WWEデビューから5カ月で、最高位のWWE統一王座を獲得しながら契約切れとともに05年10月から新日本に参戦。ミネソタ大卒業後、猪木とスパーリングしていた縁もあり「日本の師」として仰いだ。猪木軍としてIWGPヘビー級王座も獲得。その後、契約上の問題から来日せず、新日本からの王座剥奪も無視、第3代目のベルトを返却せずにトラブルメーカーとなった。

レスナーは07年6月、猪木が主宰した団体IGFの旗揚げ戦に参戦し、カート・アングルに敗れて第3代目ベルトを譲った。この2本同時に存在したIWGPベルトを統一したのが中邑だった。08年2月、当時のIWGPヘビー級王者として、3代目ベルト保持者アングルと対戦して勝利。無事にベルトは1つになった。中邑、レスナーの2人が猪木とIWGPベルトを絡めた新日本の歴史をつくってきたと言っていい。また新日本離脱後、レスナーは米総合格闘技UFCに参戦し、ヘビー級王座を獲得。猪木の格闘技路線を継承したような活躍だった。

05年には新日本のオーナーから外れた猪木に向け、中邑は09年にIWGP王座に返り咲いた際、リング上で「猪木ー!」と叫んで物議を醸した。猪木の名言「一寸先はハプニング」をほうふつさせる言動で団体を活発化させようとした。今思えばレスナーのベルト問題もハプニング好きの猪木魂だったのかもしれない。

現在、猪木が前身のWWFヘビー級王座獲得(WWEは未承認)したWWEヘビー級王座は、現在、レスナーが保持している。16年からWWEに移籍した中邑も最高位王座を目指して奮闘している。新日本50周年の歴史を振り返りつつ、闘魂を注入されてきた中邑、レスナーの動向を追うのも面白い。【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/連載「WWEの世界」)

2004年5月 中邑真輔(左)とアントニオ猪木

44歳AJスタイルズ、シングル戦線復活で輝き増す 契約3年更新の報道、47歳までOK?

22年から王座戦線に戻ってきたAJスタイルズ(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.

第24回「WWEの世界」は、日本マットでもおなじみのAJスタイルズ(44)の今を追う。2月19日のエリミネーション・チェンバー大会では久しぶりにWWEヘビー級王座にも挑戦。シングル戦線に復活している。米TNAから新日本プロレスを経て、16年からWWEで活躍してきた44歳のベテランは、少なくとも47歳までは米トップのマットで現役を続けそうだ。

◇  ◇  ◇  ◇

昨年は身長221センチの巨人オモスとともにタッグ戦線で活躍してきたAJスタイルズだったが、22年に入って再びシングルプレーヤーとして輝きを増してきた。21年4月のレッスルマニア37大会でオモスとロウ・タッグ王座を獲得していたが、昨年末からオモスと仲間割れ。今年1月3日のロウ大会ではオモスとのシングル戦もチョークスラムで倒されたが、これを契機に再び躍動を始めた。

挑発してきたグレソン・ウォーラーと決着をつけるために、若手が多いWWE傘下のNXTにも初参戦。スピードと技のキレは健在でフェノメナル・フォアアームでキッチリ勝利を挙げた。さらにロウ大会で組まれたレイ・ミステリオJr.とのシングル戦でも得意技スタイルズ・クラッシュで下して予選を勝ち抜き、2月のエリミネーション・チェンバー形式WWEヘビー級王座戦(サウジアラビア)にも挑戦者の1人として出場。「フェノメナル(驚異的)」の愛称通り、1人で自由に動く姿は躍動感があり、44歳という年齢を感じさせない。

WWEの公式発表はないものの、今週に入って複数の米専門メディアはAJスタイルズがWWEとの契約を3年間更新したと報じた。一部メディアでは年俸300万ドル(約3億3000万円)超えとも報じられており、AJスタイルズの「価値」が世界中に広く伝わった。3年後の47歳まではWWEでの活躍が見られそうだ。

最近、米メディアのインタビューに応じたAJスタイルズは、4月のレッスルマニア38大会(米ダラス)で人気スターの「R指定の男」エッジ(48)との対戦を希望した。「彼は知識が豊富なスーパースター。彼と一緒にリングに入るチャンスを得たい。彼と対戦する機会は絶対にないと思っていた時期もあったが、今ここにある。我々の時間は限られている。ファンが楽しめるカードになる」と実現を願った。

新日本プロレス時代、オカダ・カズチカ、棚橋弘至らとIWGPヘビー級王座を争い、WWEでは中邑真輔とWWEヘビー級王座を懸けて何度も対戦。WWEでもヘビー級王座を始め、シングル王座を総なめにしてきた。20年のレッスルマニア36大会では引退間近だった「地獄の墓掘人」ジ・アンダーテイカーと墓場マッチで対戦し、生き埋めにされた経験も味わった。日本でも有名なAJスタイルズが再びシングル戦線で暴れれば、さらにWWEマットは面白くなりそうだ。【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/連載「WWEの世界」)

◆AJスタイルズ(本名アレン・ジョーンズ)1977年6月2日、米ジョージア州ゲインズビル出身。98年に本格デビューし、02年から米TNA参戦。03年にゼロワンで初来日。05年にはWRESTLE-1、08年に新日本に参戦。13年にTNAを退団し、14年4月から新日本に本格参戦し、ヒールユニット「バレットクラブ」のボスに就任。同5月にオカダ・カズチカを下し、IWGPヘビー級王座を獲得。同7月にはG1出場。15年には棚橋弘至を下し、2度目のIWGPヘビー級王座奪取。16年1月の東京ドーム大会後に新日本を離れ、WWEと契約。同年1月のロイヤルランブル大会でWWEデビュー。WWEヘビー級王座、WWEインターコンチネンタル王座、WWE・US王座、ロウ・タッグ王座を獲得。既婚。180センチ、99キロ。

44歳になってもAJスタイルズのスピード、技のキレは健在(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.
今年1月にはNXTにも初参戦を果たし、ウォーラー(右下)を下して勝利(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.

「ママでも王者」へ戻ってきた元ロウ女子王者ロンダ・ラウジー、王座挑戦権もゲット

スマックダウン女子王者シャーロット・フレアー(左)と舌戦を展開したロンダ・ラウジー(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.

1月のWWEプレミアム・ライブイベント、ロイヤルランブル(RR)大会で元ロウ女子王者ロンダ・ラウジー(35)がリング復帰を果たした。19年4月のレッスルマニア35大会以来、約2年9カ月ぶりにWWEにカムバック。いきなり王座挑戦権もゲットした。第23回「WWEの世界」は母となって戻ってきたラウジーの今を紹介する。

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1月29日、米セントルイスで開催された30人出場の時差式バトルロイヤル、女子RR戦で、ラウジーがサプライズを起こした。28番目に出場し、そのまま優勝。最高位王座への挑戦権をもぎ取った。4月のレッスルマニア38大会(米ダラス)ではスマックダウン女子王者シャーロット・フレアー(35)に挑戦することも表明。元UFC女子バンタム級王者で「地球上で最も危険な女」との愛称通りの存在感を示した。

2年9カ月ぶりに戻ったラウジーには「母の強さ」という新たな魅力が加わった。リングから離れている間、元UFC戦士の夫トラヴィス・ブラウン(39)と“妊活”し、昨年9月に長女のラケア・マカラプアオカラニポ・ブラウンちゃんを無事出産した。リング復帰時、自らのSNSで長女妊娠判明日にリング復帰したと報告。「4カ月前に赤ちゃんが生まれた。妊娠を知り、期日を計算した日から22年ロイヤルランブルに戻りたいと思っていました」とつづった。

もちろん出産後4カ月でのリング復帰は簡単ではなかったようで「産後2週間、産後2カ月でさえ、その目標はかつてないほどクレージーにみえた」と振り返るほどの調整だったと明かした。そして女子RR戦のバックステージの写真も公開し、愛娘に母乳をあげている姿を披露し「マルチタスク(複数作業を同時並行)」との言葉を添えた。

母親としての仕事も果たす姿勢は言葉にもにじみ出ている。女子RR戦制覇後のインタビューでは「バスに戻って小さな赤ちゃんをあやすつもりです。今、私が気にかけているのはそれだけです。優先順位が変わりました」と口にしていた。女子史上初となるUFC王座とWWE最高位王座を獲得してきたラウジーが「ママでも王者」の新たな称号を目指し、再び動きだしている。【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/連載「WWEの世界」)

◆ロンダ・ラウジー 1987年2月1日、米カリフォルニア州リバーサイド生まれ。84年柔道世界選手権女子56キロ級優勝の母アン・マリア・ラウジー・デマルスの影響で8歳から柔道開始。08年北京オリンピック(五輪)女子70キロ級で銅メダルを獲得。11年に総合格闘家としてプロデビュー。12年8月、ストライクフォース女子バンタム級王者に。同年11月UFCと契約し、ストライクフォース女子バンタム級廃止と受け、初代UFC女子バンタム級王者に認定。同王座は6度防衛に成功。18年1月、WWEに参戦。同年8月にロウ女子王座を獲得。170センチ、61キロ

4月のレッスルマニア38大会でスマックダウン女子王者シャーロット・フレアー(左)に挑むロンダ・ラウジー(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.

元ロウ女子王者アスカらロイヤルランブル戦での“サプライズ”復帰待望論

昨年7月以来のリング復帰が待たれるWWEの元ロウ女子王者アスカ(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.

第22回「WWEの世界」は88年からスタートし、35回目となる伝統のバトルロイヤル戦で復帰が期待される選手を紹介する。29日(日本時間30日)に米セントルイスで開催されるプレミアム・ライブ・イベント、ロイヤルランブル大会で組まれる30選手出場の時間差バトルロイヤル、ロイヤルランブル戦で元ロウ女子王者アスカ(40)らのカムバックが待ち望まれている。

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何もWWEからの発表はないものの、ファンは毎年1月に“サプライズ”を待っている。21年7月のマネー・イン・ザ・バンク大会を最後にリングに登場していないアスカの復帰待望論が挙がる。同9月には左腕を負傷した画像が公開。長期離脱を想像させていたが、今年に入って米専門メディアからドクターから出場許可が出ており、復帰間近であると伝えられた。

WWEの複数選手がアスカのリング復帰を予想しているという報道もあり、SNSなどでWWEファンのテンションもアップ。女子ロイヤルランブル戦からの「明日の女帝」復帰を楽しみに待っている。このタイミングでリングに戻ることができれば、4月の祭典レッスルマニア大会(米ダラス)に向けて再び女子王座戦に絡んでいく可能性も十分にある。ロウ、スマックダウンの両女子王座の獲得、そして18年女子ロイヤルランブル覇者でもあるアスカが戻ってくれば、大きな話題になる。

アスカの他、昨年7月に練習中の前十字靱帯(じんたい)を損傷し、9カ月欠場が発表されていた元スマックダウン女子王者ベイリーらのロイヤルランブル戦出場を望む声も大きい。既にベラ・ツインズ(ニッキー、ブリーのベラ姉妹)、ミッキー・ジェームス、リタ、ミシェル・マクール、ケリー・ケリー、サマー・レイらWWEレジェンドの女子ロイヤルランブル戦出場が発表されている。

またWWEの公式発表ではないが、出産&育児で離脱している元ロウ女子王者ロンダ・ラウジーをはじめ、日本に帰国中でWWEアンバサダーを務めるカイリ・セイン(宝城カイリ)、カート・アングル、ジ・アンダテイカーらが何らかの登場を果たすとの米報道もある。男女ともにロイヤルランブル戦の30選手全員の名前が出ているわけではない。さらなる“サプライズ”が用意されているかもしれない。【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/連載「WWEの世界」)

★21年ロイヤルランブル(RR)戦出場予定選手(日本時間28日時点)★

【男子RR戦】アンジェロ・ドーキンス、モンテス・フォード、ドミニク・ミステリオ、レイ・ミステリオJr.、オースティン・セオリー、ジョニー・ノックスビル(タレント)、シェイマス、ダミアン・プリースト、AJスタイルズ、ビッグE、マッドキャップ・モス、ハッピー・コービン、サミ・ゼイン、コフィ・キングストン、ケビン・オーエンズ、オーティス、チャド・ゲイブル、ロバート・ルード、ドルフ・ジグラー、オモス、リドル、ランディ・オートン

【女子RR戦】ニッキーA.S.H、リア・リプリー、タミーナ、デイナ・ブルック、クイーン・ゼリーナ、カーメラ、アリーヤ、ナタリア、ナオミ、ショッツィー、シェイナ・ベイズラー、シャーロット・フレアー、ミッキー・ジェームス、ニッキー・ベラ、ブリー・ベラ、リタ、ミシェル・マクール、ケリー・ケリー、サマー・レイ、リブ・モーガン、ビアンカ・ブレア

22年の女子ロイヤルランブル戦に出場予定の選手(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.
22年の男子ロイヤルランブル戦に出場予定の選手たち(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.

2022年版WWEは無料で視聴可能、チェックしやすい環境に

WWE公式ユーチューブチャンネルにて毎週日曜日予定で視聴できるスマックダウン大会(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.

22年も正月のビッグイベントでプロレス界は幕を開けた。WWEは1月1日(日本時間2日)にPPV「DAY1」大会(米アトランタ)でスタートを切った。第21回「WWEの世界」は今年から変更されたWWE各大会の視聴方法をまとめた。昨年まで有料が多かったが、2大ブランドのロウ大会、スマックダウン大会は無料で視聴可能に。これからWWEを見ようという初心者にはチェックしやすい環境となった。

◇ ◇ ◇ ◇

長らくWWEを放送してきた有料スポーツ専門チャンネルのJスポーツによるロウ大会、スマックダウン大会の中継は21年限りで終了した。基本的に生中継だった英語版をはじめ、日本語字幕版やハイライト版が放送が消滅し、WWEを愛するファンには衝撃が走った。しかし22年に入り、両大会の視聴方法がアナウンス。WWE公式ユーチューブチャンネルで配信されることが発表された。

WWEインターコンチネンタル王者中邑真輔が在籍するスマックダウン大会は毎週日曜日、そして元24/7王者戸沢陽、元ロウ女子王者アスカらが在籍するロウは毎週水曜日にそれぞれ短縮英語版で配信される。諸事情による配信日変更もあるというが、いずれも無料で2大会をチェック可能となった。生中継ではなく、1日遅れとなる。日本語字幕の放送もなくなったのは少し寂しいが、詳細はWWEの1週間を凝縮した地上波放送「This Week in WWE」で確認すれば十分にフォローできそうだ。

他日本勢の試合チェックはこれまで通りとなる。紫雷イオ、KUSHIDA、サレイ、イケメン二郎が在籍するNXT大会は毎週木曜日、里村明衣子が所属するNXT・UK大会は毎週金曜日、またクルーザー級中心のマットとなる205Live大会は毎週土曜日に、いずれも有料配信のWWEネットワークに加入すれば視聴できる。205Live大会にも最近、KUSHIDA、イケメン二郎、サレイが参戦している。

WWEネットワークに加入すれば、毎月のように開催されるPPV大会も視聴可能となる。毎年4月に開催される最大の祭典レッスルマニア大会を中心に世界中に注目するビッグマッチを楽しめる。

これからWWEを知ろう-という視聴者にとってもロウ大会、スマックダウン大会の2大ブランドがユーチューブで気軽に視聴できることは朗報だろう。22年も「WWEの世界」を楽しめる環境は十分、整っている。【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/連載「WWEの世界」)

WWE公式ユーチューブチャンネルにて毎週水曜日予定で視聴できるロウ大会(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.
スマックダウン所属のWWEインターコンチネンタル王者中邑(左)。右は仲間のブーグス(C)2022 WWE, Inc. All Rights Reserved.

WWE、1日に新PPV大会「DAY1」開催 注目はレインズvsレスナー

WWEの新しいPPV「DAY1」大会で対戦するユニバーサル王者レインズ(左)とレスナー(C)2021 WWE, Inc. All Rights Reserved.

WWE年間最大の祭典に向けた布石か!? 第20回の「WWEの世界」は新たに組まれた新たなPPV(ペイ・パー・ビュー)大会を紹介する。1月1日(日本時間2日)、米ジョージア州アトランタのステート・ファーム・アリーナで開催される「DAY1」大会だ。最注目カードは団体の「顔」でWWEユニバーサル王者のローマン・レインズ(36)と「野獣」ブロック・レスナー(44)による同王座戦。今のWWEでもっとも注目を集めることができる好カードを組んだ。

◇  ◇  ◇  ◇

新春早々からWWEは動きだす。21年10月のPPVクラウン・ジュエル大会(サウジアラビア)以来、約2カ月半ぶりに「野獣」レスナーが試合復帰し、王者レインズに再挑戦する。昨秋の中東決戦では、レインズをサポートするウーソズ(ジミー、ジェイのウーソ兄弟)の介入、王者のベルト攻撃で敗れたレスナーは雪辱と王座奪回に燃えている。さらにレインズにスポークスマンを解雇されたポール・ヘイマンの動向も見もの。長らく代理人を務めてきたレスナーのセコンドに戻るかどうかも注目されている。

例年は1月下旬に伝統のPPVロイヤルランブル大会が行われ、同大会を契機に年間最大の祭典レッスルマニア大会に向けた抗争が始まる。今年もロイヤルランブル大会は29日に米セントルイスで開催されるものの、22年に限っては「DAY1」大会で新たな「確執」がスタートしそうだ。米専門メディアもレインズ-レスナー戦がレッスルマニア38大会(4月2、3日・米ダラス)に向けた大きな流れをつくるだろうと予測する報道が多い。

新春プロレスといえば、日本では恒例行事となっている。今年も新日本のレッスルキングダム大会(4、5日=東京ドーム、8日=横浜アリーナ)、全日本も後楽園ホール大会で連戦(2、3日)、そしてノアは1日に日本武道館大会を組んだ。正月はプロレスという日本の文化をWWEが取り入れた大会でもある。22年から新たにWWEをチェックしたいと思っているプロレスファンにとっても良いタイミングになるだろう。【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/連載「WWEの世界」)

★PPV「DAY1」大会の主要カード★

<1>WWEユニバーサル王座戦(王者ローマン・レインズ-挑戦者ブロック・レスナー)

<2>4WAY形式WWEヘビー級王座戦(王者ビッグE-挑戦者セス・ロリンズ、ケビン・オーエンズ、ボビー・ラシュリー)

<3>ロウ女子王座戦(王者ベッキー・リンチ-挑戦者リブ・モーガン)

<4>スマックダウン・タッグ王座戦(王者ジェイ・ウーソ、ジミー・ウーソ組-挑戦者キング・ウッズ、エディ・キングストン組)

<5>シングル戦=エッジ-ザ・ミズ

<6>シングル戦=ドリュー・マッキンタイア-マッドキャップ・モス

<7>ロウ・タッグ王座戦(王者ランディ・オートン、リドル組-挑戦者アンジェロ・ドーキンス、モンテス・フォード組)

<8>タッグ戦=セザーロ、リコシェ組-シェイマス、リッジ・ホランド組

WWEユニバーサル王者レインズ(手前)と抗争を繰り広げるレスナー(C)2021 WWE, Inc. All Rights Reserved.
WWEユニバーサル王者レインズ(上)をF5で投げ飛ばすレスナー(C)2021 WWE, Inc. All Rights Reserved.
WWEで新開催されるPPV「DA1」大会のロゴマーク(C)2021 WWE, Inc. All Rights Reserved.

元スターダム外国人選手2人がWWEで存在感 ドゥドロップ&ダベンポート

日本ではビー・プレストリーのリングネームで活動していたブレア・ダベンポート(C)2021 WWE, Inc. All Rights Reserved.

日本女子マットのスターダムで活躍した外国人レスラーたちが今、WWEで存在感を示している。第19回の「WWEの世界」は「スターダム→WWE」で頭角を現してきた2人を紹介。バイパーのリングネームで活動したドゥドロップ(30)がロウで、また19年にワールド・オブ・スターダム王座を奪取し、新日本プロレスにも登場していたビー・プレストリーことブレア・ダベンポート(25)はNXT UKで女子王座挑戦が迫っている。

   ◇   ◇   ◇

身長166センチながら体重は108キロとされるドゥドロップは今やWWE女子では異色の存在となる。主戦場は2大ブラントの1つとなるロウ。パワー自慢の前スマックダウン女子王者ビアンカ・ブレアと抗争を繰り広げながら存在をアピールしている。

今年6月のロウ登場当初からコンビを組んでいたエヴァ・マリーが11月にWWEから解雇後も、シングルプレーヤーとして目立っている。米メディアにWWEビンス・マクマホン会長から「我々はあなたのキャラクターをとても気に入っている」と激励されたというエピソードを明かしたドゥドロップは「クールな体験だった。私のファイトにとても満足しているようでした」とやる気満々だ。

日本で活躍していた当時から「メガトン・バービー」の愛称で親しまれ、16年に主戦場としていたスターダムでは「バイパー」のリングネームで活動。17年のWWE加入後は「パイパー・ニブン」にリングネームを変更していたが、ロウ登場時は現在のドゥドロップとしてリングに立った。9月にはSNSで結婚を発表。リングでもさらなる充実ファイトをみせそうだ。

そしてプレストリーとしてスターダムで19年にワールド王座を獲得したダベンポートも、英国を拠点とするWWEのNXT UKで王座奪取のチャンスをつかもうとしている。20年10月から新日本プロレスで第2代IWGP世界ヘビー級王者ウィル・オスプレイのガールフレンドとしてユニット、UNITED EMPIRE(UE)の一員となった。日本で知名度を上げていたが、今年3月の新日本ニュージャパン杯決勝でオスプレイに痛めつけられ、UEから追放。すると同7月からNXT UKに参戦していた。

現在はNXT UK女子王者里村明衣子(42=センダイガールズ)との抗争がスタートし、王座挑戦は間近に。母国の英国でもニックネームは日本語も交えた「トップ・ガイジン」を貫く。加入から半年で、里村の保持する女子王座を狙えるほどの存在感を見せているのが印象的だ。

「スターダム→WWE」のルートは、カイリ・セイン(宝城カイリ)、紫雷イオ、トニー・ストームらが先駆者。さらにドゥドロップ、ダベンポートが頭角を現してきたことで、日本の女子プロレスが世界に通じることをあらためて証明していると言っていい。

【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/連載「WWEの世界」)

NXT UKで王座挑戦間近のブレア・ダベンポート(右)(C)2021 WWE, Inc. All Rights Reserved.
WWEロウで頭角を表してきたドゥドロップ(C)2021 WWE, Inc. All Rights Reserved.
前スマックダウン女子王者ビアンカ・ブレア(下)を見下すドゥドロップ(C)2021 WWE, Inc. All Rights Reserved.

キュートな風貌にワイルドな服装!トニー・ストームがWWEに「嵐」起こす

スマックダウン女子王座挑戦を狙うトニー・ストーム(C)2021 WWE, Inc. All Rights Reserved.

第18回の「WWEの世界」は、日本女子プロレス団体スターダムでも活躍したトニー・ストーム(26)をクローズアップする。21年7月にスマックダウン(SD)に昇格。現在はSD女子王者シャーロット・フレアー(35)に食らいつき、王座挑戦のチャンスをつかもうとしている。今、女子部門でホットなニューヒロインだ。

  ◇  ◇  ◇  ◇

キュートな風貌で人気のトニー・ストームがリングネーム通りに「嵐」を起こしている。11月に入るとWWE主要女子シングル王座12度の戴冠を誇るSD王者フレアーに対戦を要求した。トップ級のトップを極める「女王様」との舌戦を繰り広げ、11月26日のSD大会(米グリーンズボロ)では大乱闘も展開。感謝祭(サンクス・ギビング)のため、テーブルに設置されたパイを2度も顔面に浴びた。フレアーのパイ攻撃で顔中をクリームまみれとなり、怒りに震える姿が全米に放送された。両者間には大きな遺恨が始まっている。

NXTから昇格し、今年7月からSD所属となったストームは「10歳の時から夢見てきた舞台。正直なところ、気持ちを言葉に表せないほど。今、その舞台にいて、想像していたことが実現した。格好良かった」とWWEのトーク番組のインタビューで感極まっていた。さらに王座挑戦への強い意欲を示し「私はSD女子王者になる。なぜここにいるのか? 私は時間を無駄にはしない。いつの日か、新しいチャンピオンになる」と高らかに宣言。積極的に王者フレアーに絡み、王座挑戦を狙っている。

野球帽をかぶり、ごつい革ジャンなどを着用するストームのコスチュームは80年代風をほうふつさせる。母からの影響だと明かし「母は80年代に育ち、音楽や文化についても話してくれた。幼少時代の私に、大きなインスピレーションを与えた。80年代の大ファンだからやりたいと思っていた」と明かす。キュートな風貌にワイルドな服装というギャップが、WWEファンの視線を集めている。

ニュージーランド生まれでオーストラリア育ちのストームは13歳でプロレスラーデビュー。日本女子団体スターダム所属を経て、17年からWWEに参戦した。WWE登竜門となる女子トーナメント「メイ・ヤング・クラシック」では17年大会に4強入り、18年大会では決勝でスターダム時代のライバル、紫雷イオを下し優勝を果たした。WWE傘下のNXT UK女子王座、NXT女子王座を獲得。満を持してのSD昇格となっていた。

SD昇格後は他レスラーたちに大きなサポートを受けているという。WWEドイツの番組インタビューで、ストームは「舞台裏でみんながクールで歓迎してくれ、助けてくれます。(SDには)何か特別なものがあるような気がする、良いムードが取り巻き、私は非常にエキサイティングになっている」と気持ちの高揚感を口にした。ロウ所属のかわいい系女子リブ・モーガンとともに、WWE女子で期待の新鋭となるストーム。近い将来、SD女子王者フレアーを振り向かせ、王座挑戦権をつかむ日も近い。【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/連載「WWEの世界」)

◆トニー・ストーム(本名トニー・ロッサル)1995年10月19日、ニュージーランド・オークランド生まれ、オーストラリア・ゴールドコースト育ち。09年10月にプロレスデビュー。地元プロレス団体を経て、英国に渡って活動。16年から1年間、日本女子団体スターダムに参戦し所属。17年にWWEと契約を結び、NXT UKやNXTで活躍し女子王座を獲得。21年7月にスマックダウンに昇格し、ゼリーナ・ベガとのシングル戦で勝利した。21年9月には新日本プロレスのジュース・ロビンソンと婚約。165センチ、65キロ

7月のスマックダウン所属から存在感を示し始めたトニー・ストーム(C)2021 WWE, Inc. All Rights Reserved.
野球帽をかぶり、サングラスを装着し、ワイルドな80年代風コスチュームで入場するトニー・ストーム(C)2021 WWE, Inc. All Rights Reserved.

中邑真輔PPVで2年ぶり王者対決 カート・アングルも期待“覚醒”なるか

21日のPPV大会で王者対決に臨むインターコンチネンタル王者中邑(左から2番目)とUS王者プリースト。左端はブーグスコピーライト2021 WWE, Inc. All Rights Reserved.

第17回の「WWEの世界」は、WWEインターコンチネンタル(IC)王者中邑真輔(41)が臨む王者対決にスポットを当てる。21日(日本時間22日)、米ブルックリンで開催されるPPVサバイバー・シリーズ大会でWWE・US王者ダミアン・プリースト(39)とのノンタイトル戦を控える。今年最後のPPV大会というチャンスをステップに最高位シングル王座への道を切り開けるか-。

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現在はロウ-スマックダウンの2大ブランドによる全面対抗戦というカラーが全面に出ているサバイバー・シリーズ大会。スマックダウン所属となった17年に同大会に初出場した中邑は20年大会を除き、過去3大会に出場しているが、意外にも勝利がない。

17年は両ブランドの男子5対5エリミネーション戦に出場したが、最初の脱落者になった。18年はUS王者としてIC王者セス・ロリンズと対決して敗れた。NXT勢も加わる3ブランド対決となった19年はIC王者としてUS王者AJスタイルズ、NXT王者ロデリック・ストロングとの3WAY形式マッチに出場し、ストロングに敗れた。

出番のなかった20年大会を経て、今年はIC王者としてUS王者プリーストとの対決が決まった。中邑にとって2年ぶりとなるPPV大会での王者対決は仲間のリック・ブーグスがセコンドに入る。サバイバー・シリーズで初勝利を狙う絶好の機会と言える。IC王座はスマックダウン内、US王座はロウ内の2番目のシングル王座。最高位シングル王座の獲得を狙う中邑には、今回の王者対決勝利が現状打破の起爆剤となりそうだ。

96年アトランタ・オリンピック・レスリング男子フリースタイル100キロ級金メダリストでWWEヘビー級王座4度戴冠などを誇るレジェンド、カート・アングル(52)は、さらなる中邑の「覚醒」を期待している。自らのポットキャスト番組で、08年2月、新日本プロレスで中邑とIWGPヘビー級王座を懸けて激突した。中邑が保持した2代目と自らが持った3代目の同王座ベルトの統一戦で戦った当時を振り返り「中邑は素晴らしかった。かなり若かったが、才能にあふれていた。初対戦した時、彼には大きな未来があると分かった。WWEに入ったら大スターになると。今、彼はそれを実現しつつある」とした上で、こう言った。

「中邑はWWEのトップレスラーとして、もっと別の(高い)レベルにあるべき。偉大なレスラーであるだけでなく、面白さがある。カリスマ性も飛び抜けている。WWEでビッグなスーパースターになるはずなんだ」。

今年7月にIC王者獲得後、中邑によるテレビマッチの防衛戦は1度のみ。今回のPPV大会での王者対決は大きなアピールの場になる。21年に入って中邑はスマックダウンの最高位シングル王座を保持するWWEユニバーサル王者ローマン・レインズ(36)との対決を掲げてきた。現在は男子トーナメントのキング・オブ・ザ・リングを制した「キング」ウッズらとの抗争を繰り広げるレインズを振り向かせるパフォーマンスが求められる。

WWEレジェントのアングルによる熱いエールは、中邑にとって心強かったに違いない。サバイバー・シリーズという大会名通り、王座戦線の「生き残り」を懸けてUS王者プリーストと激突することになる。【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/連載「WWEの世界」)

新日本両国大会 カート・アングルに胴絞めスリーパーを決める中邑真輔(2008年2月17日撮影)
新日本両国大会 中邑真輔と握手をするカート・アングル(2008年2月17日撮影)

かわいい系女子リブ・モーガンに大人の香り ロウ女子王座挑戦濃厚

WWE加入から7年を経て最高位王座のロウ女子王座挑戦がきまりそうなモーガン(C)2021 WWE, Inc. All Rights Reserved.

WWEのロウ女子王座の次期挑戦者に「かわいい系」として人気のリブ・モーガン(27)が浮上した。11月1日(日本時間2日)のロウ大会(米プロビデンス)で王座防衛した同王者ベッキー・リンチ(34)の眼前に登場し、バックステージで堂々とにらみ合った。第16回「WWEの世界」は、WWEと契約して7年が経過し、最高位シングル王座への挑戦権をつかもうとしているモーガンの横顔を紹介する。

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1日のロウ大会で、モーガンが動いた。「ザ・マン(超雄)」と呼ばれるロウ女子王者リンチとにらみ合い、次期挑戦者として名乗りをあげた。正式に決まれば、WWE女子最高位シングル王座への初挑戦となる。既にWWEファンからSNSなどで歓迎するコメントが多く寄せられ、機運が一気に高まっている。

以前、米メディアの取材でモーガンは「私とリンチのキャリアには多くの類似点があると感じる。長い間、彼女も苦労した。それが私のキャリアでもあったように感じる。自分自身を証明するように絶えず戦い、引っかき、かみつく。大きなブレイクアウトの瞬間を待っている」と先輩王者が歩んできた道を胸に秘め、チャンスを待ち続ける意向を示していた。リンチ挑戦の流れは運命的でもある。

14年にWWEと契約を結び、NXTで活動したモーガンは、17年11月からルビー・ライオット、サラ・ローガンとの3人ユニット「ライオット・スクワット」を組み、ロウを主戦場とした。「一生の姉妹」とも振り返る関係だった同ユニットが19年4月に解散となると、モーガンは同年12月からは主にシングル戦線で王座戦の好機をうかがってきた。「私は当然、ポジティブな人間。最善を尽くし、幸せになることを考える。王座戦に勝ち、称賛を得たいと思う限り、私は上しかみていない」とも心境を明かしていた。

米ニュージャージー州パラマスで生まれたモーガンは早くに父が他界し、母親のもと4人の兄、妹1人の6人きょうだいの環境で育ったという。兄と庭でのプロレスごっこが大好きで、元WWE女子王者リタがあこがれの存在だったそうだ。プロレスを始める前は、スポーツバー・チェーンの「フーターズ」のモデルを務めた経歴があるなどビジュアル的にも人気も高い。

「偉大なベッキー・リンチを知ることがブレイクアウトの瞬間を探すことになる。WWEのスターは間違いなく希望とひらめきが必要だが、私にもできると思っている」。モーガンが見据えるWWE最高位シングル王座獲得への道。20歳でWWEと契約を結んだかわいい系レスラーは大人の色気と自信に満ちあふれた王座挑戦者としての風格が漂う。まもなく王座挑戦が決定するだろう。【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/連載「WWEの世界」)

19年12月、女子シングル戦線に向かう直前にイメージチェンジとしてバスルーム姿を公開したリブ・モーガン(C)2021 WWE, Inc. All Rights Reserved.
ロウ女子王者リンチとにらみ合った後、自らの公式SNSを更新したリブ・モーガン(モーガンの公式インスタグラムより)

女性の肌の露出を制限する中東で、WWEが女子マッチを開催する理由とは

サウジアラビアで防衛戦に臨んだSD女子王者リンチ(中央)とバンクス(奥)、ブレア(下)もTシャツにスパッツを着用(C)2021 WWE, Inc. All Rights Reserved.

WWEが中東で3年連続の女子マッチを開催した。

22日のPPVクラウン・ジュエル大会(サウジアラビア・リヤド)でスマックダウン(SD)女子王者ベッキー・リンチが前王者ビアンカ・ブレア、元王者サーシャ・バンクスの挑戦者2人を迎え撃ち、防衛に成功。女子トーナメントのクイーン・クラウン決勝も組んだ。第15回「WWEの世界」は女性の行動制限が厳しいサウジアラビアで女子レスラーのファイトを組んだ理由に迫る。

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22日にリヤドで開催されたPPV大会。新旧王者が入り乱れた3WAY形式SD女子王座戦を制したのは王者リンチだった。ブレアを場外に排除したバンクスを強引に捕獲して丸め込み、3カウントを奪取した。ヒールらしい勝利を飾ったリンチは試合後に公式SNSを更新し「今夜はタイトル防衛以上のものがあった。今夜はトラッシュトーク(挑発的な言葉)は横に置き、リングで戦った選手に感謝する。家で観戦したファンにも感謝します」と素直な心境をつづった。

サウジアラビアはイスラム教徒が主流で女性の行動制限は非常に厳しい。宗教的に全身を包むアバヤと呼ばれる黒い布で肌の露出を極力抑え、隠さなければならない。つい3年前まではサッカー観戦も禁止されていたほどだ。今回、リンチ、ブレア、バンクスの3人、そしてクイーン・クラウン決勝で激突したゼリーナ・ベガ、ドゥドロップも上下にスパッツ、さらに上半身はTシャツを着用。通常コスチュームではなく、肌の露出を抑えた姿で戦っていた。

それでもリンチは「今夜のリヤドの素晴らしいファンのみなさん、試合全体を通じて熱心な応援をもらい、私のサウジアラビア初試合はとても思い出深いものになりました。世界中の女性の未来に大きな希望を与えてくれたことに感謝します」と自らの試合が中東での女性スポーツ活性化につながることを期待した。

16年途中からWWEでは女子レスラーの呼称「ディーバ(歌姫)」を廃止。男子選手と同様に「スーパースター」と呼び「男女平等」「女性の革新」を掲げてきた。WWEビンス・マクマホン会長の娘で、団体の役員を務めるステファニー氏は22日の大会終了後に「WWE女子は世界舞台で競い合い、決して希望を失わない。クラウン・ジュエル大会も例外ではなかった」などと声明を発表した。

選手以外でも、エッジ-セス・ロリンズ戦のレフェリーは女子審判のジェシカ・カー氏が務めた。19年10月のPPVクラウン・ジュエル大会でレイシー・エバンス-ナタリア戦が組まれ、中東で史上初の女子ファイトが開催された。20年2月のスーパーショー・ダウン大会(ともにサウジアラビア)でスマックダウン女子王者ベイリーが挑戦者ナオミとの防衛戦を制した。3年連続の女子カード開催で、着実に中東に「風穴」を空けつつある。

ステファニー氏は「WWE女子選手たちが世界中にいる何百万人もの子供たちの憧れになることを誇りに思っています」とSNSで意義を強調した。「女性の革新」を掲げるWWEは中東の地でも男女平等への道筋を整備しつつある。【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/連載「WWEの世界」)

19年10月、サウジアラビアで史上初となる女子試合に臨んだナタリア(右端)とエバンス(左端)。スパッツにTシャツを着用(C)2021 WWE, Inc. All Rights Reserved.